知事の泊発電所視察、岩宇4町村長との面談(令和7年12月4日)
令和7(2025)年12月4日、鈴木知事は、北海道電力(株)泊発電所3号機における安全対策の状況を現地で確認しました。また、岩宇4町村(泊村、共和町、岩内町、神恵内村)の町村長の皆様から、再稼働に同意を表明されたお考えや、各町村内でのご議論などについてお伺いしました。
発電所視察動画(Youtubeへのリンク)
泊発電所の視察の状況
泊発電所の視察の状況については、下記のページからご覧ください。
岩宇4町村長との面談の概要(速報版)




1 趣旨
北海道電力株式会社泊発電所3号機に関し、国から再稼働に向けた理解要請を受け、同意を表明された岩宇4町村長の皆様から、その判断に至る経過や町村内の議論などについて、鈴木知事が直接お話を伺うため、面談を実施しました。
2 日時及び場所
令和7年(2025年)12月4日(木)18:15~18:45(泊村役場2階大会議室)
3 概要
(1) 鈴木知事冒頭コメント
泊発電所3号機の視察のため、皆様をお待たせして申し訳ない。また、本日はこのような場を設けていただき感謝。そして長年にわたって北海道の電力の安定供給のため大きく貢献をいただいていることに、知事として感謝申し上げる。
岩宇4町村は、原発の立地地域として、発電所建設予定地が選定される当初から、50年以上にわたり、地域一体となり安価で安定した電力を全道に届けるという役割を担っていただいていること、それによって道民の皆さんの暮らしや本道経済を支えていただいていることに、道民を代表して、知事として、重ねて感謝申し上げる。
私としても皆様と同じく国から理解要請を受けた立場として、また、広域自治体の長として、これまで、原発については、経済団体や市民団体の皆様から様々なご意見、ご要望をいただいているところ。説明会においても賛否にとどまらない多様なご意見、ご質問をお伺いした。道内の電気料金が全国的に高い水準であり、道民の生活や道内経済に大きな影響を与える中、北電からは、再稼働後の電気料金の値下げの見通しが公表され、私も斎藤社長から直接説明を受けた。
こうした中、現在開会中の第4回定例道議会において、泊発電所3号機が、福島第一原発事故の教訓を踏まえた新規制基準に適合していると認められたこと、国や道とUPZ内13市町村の防災計画、避難計画を一体化した「泊地域の緊急時対応」を取りまとめ、原子力防災会議で了承していること、これに加え、再稼働により電気料金の引下げが見込まれるということとともに、電力需要の増加が想定される中、安定した電力供給が確実なものとなること、さらには、脱炭素電源の確保により、今後の道内経済の成長や温室効果ガス削減に繋がることなどから、原発の活用は当面取り得る現実的な選択と考えているところ。
そして、私自身、先程、泊発電所を訪れて、現地で安全対策について直接、確認をし、地元4町村長の皆様からもお話しをこれからお聞きした上で、今定例会でのご議論を踏まえて、最終的に判断してまいりたいという私の考えを、議会でお示しした。
私はこれまでも、原発は安全性の確保が大前提であると申し上げてきており、本日、泊発電所を視察させていただいた中で、あらためて、私自身の目で、泊発電所3号機の安全対策などについて、その対応や北電の取組の姿勢などを確認することができ、大変有意義だった。
そして、本日、この場で、髙橋泊村長、成田共和町長、木村岩内町長、髙橋神恵内村長が再稼働の同意を表明されたお考えや、判断表明に至るまでのそれぞれの町村の中でのご議論などについて、直接、お伺いさせていただきたい。
(2) 髙橋 泊村長コメント
本日は泊発電所をご視察頂き、またこのような意見交換の場を設けて頂き、感謝。
泊村は11月17日に泊発電所3号機の再稼働について地元同意を表明。私が総合的に判断した理由としては、1つめは原子力発電所の再稼働については安全性の確保が大前提であり、その点においては原子力規制委員会の審査に合格したことにより、安全性は保たれるということ。しかし安全性の確保については終わりがないことから、引き続き事業者や国に対して安全管理の徹底や避難計画を含む防災計画等においても住民の安全・安心の観点から実効性を更に深化させるために、国が責任をもって取り組むことを求めてまいる。
2つめは、再稼働後の地元経済の活性化をはじめ経済的波及効果が得られるよう期待をするもの。
3つめは、今後の北海道においては半導体産業やデータセンターの新増設による電力需要の増加が見込まれることや国の第7次エネルギー基本計画を鑑み、引き続き国のエネルギー政策に協力して行くことが必要であること。
以上3点に加え、北海道、北電それぞれの住民説明会で議員の皆様と住民の意見もお聞きし、いくつかの意見はあったものの、厳しい反対意見もなく終了したこと。
更には我々立地地域は発電所が計画されて以来、50年以上、一貫して国策であるエネルギー政策に協力してきた。その歴史の中で、北電も住民の皆様から理解を得るべく、地道な理解活動を発電所の計画以来、展開しており、住民の原子力発電所への理解も深まっていること。そして住民の代表である議会の再稼働の同意を全会一致での判断、地元経済団体からの陳情を最大限尊重した上で、泊発電所3号機の再稼働につきましては、何よりも安全性の確保を最優先した上で、その必要性及び意義について真摯に受け止め、泊発電所3号機の再稼働の地元同意について立地村として同意するに至った考え方である。
いずれにしても先ほど知事より話があったが、私は50年と云う歴史は大変重く、この間、住民の皆様や歴代の議会議員、そして5代に亘る歴代村長をはじめとする先人の皆様が幾多の困難を乗り越え、協力してきたことにより、北海道のエネルギー供給基地として、道民生活や道内の産業活動を支える一翼を担ってきたものと自負をしており、これからも北海道の更なる成長や道民の皆様の生活、道内の産業活動をしっかり支えるために立地地域として真正面から取り組んでまいる。本日はありがとうございました。
(3) 成田 共和町長コメント
本日はこのような貴重な場を設けて頂き、また冒頭、並んで4町村への思いをお話しいただいたこと、心が熱くなる思いがした。感謝申し上げる。
それでは、共和町が再稼働に関する地元同意の表明に至った経緯と、判断理由について、泊村長と重複するところも若干あるが、説明させていただく。共和町は去る11月26日に開催された原子力発電所対策特別委員会において、泊発電所3号機の再稼働について、立地地域として同意する意向を表明した。この判断は、3つの主要な理由による。
それを申し上げるが、1点目は、原子力発電所の再稼働にあっては、安全性の確保が揺るぎない大前提である。その点については、原子力規制委員会において新規制基準に適合すると認められ、現時点での安全性が確保されていると判断している。引き続き、事業者や国に対しては、新たな知見等が得られた場合は、即時に対応を含め、安全管理体制の徹底と、厳格な指導・監督を強く求めてまいりたいと思っており、同時に、避難計画を含む防災計画等の実効性を高めることは、住民の安全安心に直結する課題である。これには、国が責任を持って取り組みを主導していただくとともに、北海道とこの地元、そして共和町が、その責務をしっかりと果たしていく、着実な取組を進めてまいりたいと考えている。
2点目については、国が策定した第7次エネルギー基本計画において、原子力発電は再生可能エネルギーと並び、エネルギー安全保障と、脱炭素化に資する重要な電源と位置づけられている。本町としても、エネルギーミックスの観点から、泊発電所の担う重要な役割を認識しているところ。
3点目は、共和町議会から提出された意見書には、泊発電所の長期間の停止が、本町の農業や商工業などの地域経済の衰退を招いているとの認識が示されている。議会は、泊発電所の再稼働は、こうした喫緊の課題を解決する1つの重要な施策となり得るものと考えが示されており、私としても、その趣旨には深く共感している。この意見書に記載されている、オフサイトセンターへのアクセス道路や避難道路の充実・整備ついては、住民の安全を確保する上で極めて重要であり、今後も関係機関に対して強く要請してまいりたいと思っているとのことなので、よろしくお願い申し上げる。
以上の3点に加え、住民の代表である町議会が全会一致で再稼働を容認したご判断、そして、岩宇4町村は立地地域として、発電所計画以来、50年以上にわたり、一貫して国のエネルギー政策に協力してきた歴史の重みを真摯に受け止め、私としては、今後とも、北海道経済をしっかりと支えていくとともに北海道が掲げるゼロカーボン北海道の実現に向けて、本町としても一緒になって貢献していきたいという思いで深く認識しているところ。私としては、何よりも安全性の確保を最優先とした上で、泊発電所3号機の再稼働の地元同意について、立地地域として同意する判断に至ったところ。
先ほど泊村長も仰いましたが、これまで50年以上に及ぶ歴史は、立地地域としての重い歴史である。住民の皆様、歴代議会、そして歴代の町長をはじめとする多くの先人の皆様が数々の課題を乗り越えながら尽力された結果、今日まで国のエネルギー政策、そして北海道の経済を支えてきていると私どもは自負しているところ。今後も、繰り返しになるが、北海道経済や道民の皆様の生活を支え、ゼロカーボン北海道の実現に貢献する責務を果たすべく、立地地域として、その役割に真摯に向き合って、着実に取組を進めたいと思っているので、よろしくお願い申し上げる。本日は大変ありがとうございました。
(4) 木村 岩内町長コメント
私からも、このような場を設けていただいたこと、心から感謝を申し上げる。
岩内町では、11月28日に、臨時会の中で私から町政報告というかたちで報告した。その報告をするまでの間に、町内の経済団体4団体と意見交換させていただいた。商工会議所、観光協会、新日本婦人の会、岩内郡漁業協同組合、この4団体のほかに、町がイベントを催すときに積極的に参加をいただいている、町内会、通り会、各種団体の方とも個別にお話をさせていただいたところ。この中では、安全の確保を大前提として、やはり再稼働による地域経済の活性化というものを期待する声や、それから、電気料金が下がることによって、非常に皆さん、生活が安定するとの期待の声がすごく多かった。
一方、安全性への不安が払拭できないとのご意見、それから環境へ及ぼす影響はどうなのか、あるいは防災対策として、避難計画の実効性、それから避難道路が拡充できないのか、それから安定ヨウ素剤の配布方法に関する不安、高齢者の要配慮者に対する支援体制についてもご意見を得た。
こうした中、住民から、再稼働を進めるべきという陳情書が2件、再稼働をしないでほしいという反対の陳情書が1件、議会と町に対して出され、それを審議する過程の中で、最終的に、岩内町議会としては、再稼働を早期に進めるべきとの意見書を添えて、私に対して提出されたというところで、私としてはやはり議会のご判断は非常に重いというふうに捉えている。
こうした中で、総合的な判断というところで、今、泊村長、共和町長も仰ったように、やはり1つめは、国のエネルギー政策の中で、原子力、それから再生可能エネルギーというのは、脱炭素とエネルギー安全保障にものすごく貢献するというところ、それから、2つめとしては、再稼働することによって地元企業を含めた雇用の創出や経済効果というものが期待できること、3つめには、電気料金の値下げというものは、一般家庭、それから地域の企業にとっても非常に安定に貢献する、こうした3つのことに加え、国としては、令和6年の能登半島などを踏まえ、これからも計画の充実のために支援、それから内容の確認を行い、計画の改善評価を継続して取り組むとされているので、私としては、この原子力発電に対する賛否が、最高の技術や理論に基づいている専門家の中でも意見が分かれる、非常に難しい問題であるという認識のもとで、事業者や自治体任せではなく、今後も国が前面に立って、その最高のレベルの科学的検討を通じて、公正な議論を醸成して、そして更なる安全性の向上と、国民理解が進むように最大限努力をしていただくこと、加えて、事業者においては今後も積極的な万全な対策をとるように最善を尽くしていただく。そして、地域事情を理解し、誠意ある姿勢で対応していただく、このことを申し添えながら、住民の代表である議会の意見書を尊重して、この度、8月4日に大臣からお受けした理解要請について、了承し、同意したという流れです。本日は誠にありがとうございました。
(5) 髙橋 神恵内村長コメント
本日はこのような意見交換の場を設けて頂き、感謝。神恵内村では、11月28日、泊発電所3号機の再稼働について同意することを表明した。
同意に至った理由については、ただいま泊村の髙橋村長、共和町の成田町長、岩内町の木村町長がお話した内容と重複するところも多々あるが、まず、原子力発電所の再稼働にあたっては安全性の確保が大前提にあり、この点においては、原子力規制委員会の審査に合格していることや、地域住民に対する説明会では規制側の立場にある原子力規制庁からも安全性は確保されているとの説明を受けまして、私としても安全性は十分保たれているものと判断したところです。
しかし、安全の追求に終わりはないので、引き続き事業者に対しては、最新知見の収集に努めるとともに、迅速かつ的確な対応で安全対策の徹底を図ることや、原子力防災に関しては、道道998号線の避難道としての機能確保と、特に冬期間に安心して通れるような対策をとっていただくよう、道路を管理する北海道はもちろん、国に対しても責任をもって取り組んでいただくよう強く要請する。
また、道内の電力需要は、次世代半導体の量産を目指すラピダスの進出などでこれからさらに高まっていくことや、知事からも話があったが、全国一高い水準にある道内の電気料金を値下げすることについて北電の表明があったことから、道民の皆様の暮らしや道内経済活動全体に及ぼすことも十分考慮した。さらに再稼働によって地元雇用の確保や地元全体の経済波及効果が高まるということから、大いに期待しているところ。
最後に、当村は、泊村に原子力発電所が計画されてから半世紀以上に亘り、発電所とともに歩を進めてきた。皆さん若いが、私が56年前に役場に入ったときから原子力政策に関わってきている。そうした点からも原子力政策に対する思いが強いというところがあり、国策であるエネルギー政策に一貫して協力してきたところであり、原子力政策全般に対して、私は全面的に協力してまいりたいので、よろしくお願い申し上げる。
こうした歴史の中で当村は、国や北海道、周辺自治体、ならびに事業者や関係機関と連携し、村民の皆様からご理解いただけるよう、地道な広報活動と防災対策の充実に努めてきたことで、村民の原子力発電所に対する知識や理解は、他の地域に比べて大変深いと考えており、引き続き国のエネルギー政策に、村民共々協力していくことに問題はないと私は考えており、よろしくお願い申し上げる。
以上のことから、1つは、地域経済団体の皆様が陳情書に記されたお考え、2つは、住民説明会における村民の皆様の反応、そして3つめは、再稼働を求める意見書を全会一致で議決した議会の皆様からのご判断、これらを最大限尊重したうえで、改めて泊発電所3号機再稼働の必要性を認識し、再稼働に十分な安全性は確保されていると判断いたしましたので、近隣自治体として同意したもの。
最後に、原子力政策について、鈴木知事はじめ担当職員の皆様方が正面から取り組んでいただいていることに対して、私から4町村を代表して敬意を表したいと思う。ありがとうございました。
(6) 4町村長の皆様のコメントを受けた鈴木知事コメント
まずは改めて、この50年の4町村長、歴代の首長の皆様、地域の皆様が、地域のことはもとより、北海道全体のエネルギーを支える、北海道経済を支える、そういう思いでこれまで取り組んでこられ、また今回の再稼働に向けた背景や考え方についても、今お話がある中で、ご決断、ご判断された。このことを改めて重く受け止めなければならないと思っている。今、様々な、どんな思いを経て、このたびの同意という大きな判断をされたかについては、それぞれ、本当に丁寧にお話いただいた。ありがとうございます。
それぞれの町村で様々な意見があって、議論を経た中でそういう決断に至られたということで、こういったかたちで直接、4町村の首長の皆さんからお話を聞くということは、とても重いことであると同時に、大変有意義な場になったと思っている。
冒頭でお話もさせていただいたが、泊発電所3号機の再稼働について、国からの理解要請を受けられた皆様が、それぞれの考えのもとで、今般、同意を表明された。私としても、この判断については、重ねて申し上げますが、重いと思っている。
この場でお伺いした皆様の考えや思いなども参考に、第4回定例道議会での議論を踏まえ、私としては、泊発電所3号機の再稼働について、最終的に判断したいと重ねて申し上げる。これからも引き続き、様々な機会で皆さんの思いを聞かせていただきながら、取組を進めて行ければと思う。これからもよろしくお願い申し上げます。
