JA 北海道厚生連 ニセコ羊蹄広域 倶知安厚生病院
総合診療科 医長
大井 利起
医師プロフィール

出身
北海道美唄市
略歴
- 2018年 聖マリアンナ医科大学医学部卒業
- 2018年 JA北海道厚生連ニセコ羊蹄広域倶知安厚生病院勤務(臨床研修)
- 2020年 JA北海道厚生連ニセコ羊蹄家庭医養成プログラム
- 2024年 同プログラム修了
資格 / 役職
- 日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医・家庭医療専門医
- 日本専門医機構総合診療専門医・特任指導医
趣味
スキー、ドライブ、資産運用
座右の銘・ モットー
人は人、自分は自分
総合診療医を目指した理由
中学生の頃、地元・美唄市で市立病院と労災病院の合併構想が持ち上がりました。経営改善を目的に統合が検討されましたが、医師不足が深刻で、最終的には白紙になってしまったんです。̶̶地域には医師が足りない。衝撃でした。そして、このときに注目されたのが総合診療医だったんです。「じゃあ、自分が目指そう」。そう決めました。
医者になると決めた時点で総合診療科一本。医学部に入っても揺らがなかったですね。
初期研修は、後期研修を見据えて総合診療科のある病院を探しました。
「田舎で働きたい」という思いもあり、周囲にあまり病院がなく、幅広い患者さんが集まる倶知安厚生病院(現JA 北海道厚生連ニセコ羊蹄広域倶知安厚生病院)を選びました。北海道の総合診療をけん引する木佐先生のもとでなら、確実に多くを学べる。そう確信しての選択でした。

医師として試される日々
当院は専門医が非常に少なく、そのぶん、総合診療科が担う役割は他院と比べても格段に大きいと思います。実際、総合診療科の医師数は10人前後と、当院の他科に比べて圧倒的に多く、この病院の「主役」といっても言い過ぎではありません。
軽症・重症を問わず、外傷でも、命にかかわるような疾患でも、来院した患者さんをまずは自分たちで診ます。その上で院内で完結できるのか、それとも札幌や小樽の大きな病院へ送るべきかを判断します。
私自身の担当は、外来、救急、病棟、訪問診療、人工透析、産業医、人間ドック。さらに蘭越の診療所へ毎週応援に行っています。警察医を頼まれることもあり、ご遺体を診て事件性の有無や死因を判断する「検案」も行っています。
病棟を持たない診療所や、専門医がそろった病院では、一人の総合診療医がここまで幅広く対応することはまずありません。
雪崩のような外来、外国人診療、救急、転院搬送……。限られた時間の中で、手を動かしながら優先順位を考え、容赦のない決断を迫られる日々。
医師としての力を常に試されている実感があります。その一方で、ほとんどの患者さんの医療問題を自分たちの能力で完結できることは、大きなやりがいです。

自らを省みる
医師として年数を重ねると、「なんとなくできている気」になりがちです。
ですが、医学は常に進歩しています。自分の診療が本当に妥当か、大きな見逃しはないか。謙虚に、客観的に、振り返ることが欠かせません。
水は低きに流れ、人は易きに流れます。だからこそ、最新の医学情報に目を通し、参考書を開き、問題を解く。日々の積み重ねが重要です。
総合診療医は、特に”興味の薄い領域”や”経験の少ない領域”を、いかに底上げできるかが勝負です。患者さんから持ち込まれるどんな困りごとに対しても、常に合格点を出し続けられる医師でありたいと思っています。
そして、大きな目標は、この地域に住む皆さんが、いつまでも健康に安心して暮らせるようになることです。
「この地域に住むことが健康上のリスク」「ここじゃなければもっと元気でいられたのに」……、そんな状況には絶対にしたくありません。
そのためにも必要十分な医療、それ以上の医療を、チームで提供し続けたいと考えています。
「なんでも診る、まるごと診る」その挑戦を支えます
現在は指導医として、専攻医の育成にも携わっています。若い先生には、とにかくたくさんチャレンジしてほしい。ここには、経験を積むチャンスが本当に数多くあります。
医者は、患者さんを選べてしまう職業です。つまり、忙しいからといって断ることもできるし、「専門外だから」と目の前の患者さんを診ないこともできます。
でも、そうしてしまえば、自分の診療の幅を狭めてしまいます。
ですから、最初は「なんでも診る、まるごと診る」気持ちで臨んでほしい。迷うこともあるでしょうが、私たち指導医がしっかり支えます。
セッティングによって提供する医療が変わる総合診療は、医学生の皆さんや研修医の先生にとって、なかなかその実態をイメージしにくいかもしれません。
だからこそ、本を読んで悩むより、まずは現場の総合診療医に会いにきてほしい。堅苦しく考えず、気軽に連絡してく
ださい。見学、大歓迎です。


「総合診療科は、倶知安厚生病院の主役なんです」。
そう語るのは、大井利起先生。
一般内科はもちろん、人工透析、人間ドック、外傷、生死を分ける重症患者まで。
総合診療科は、地域医療の「入口」であり、「砦」でもあります。
そのぶん総合診療医の肩にかかる負担は大きく、医師一人ひとりの力が地域の安全と安心を左右します。
毎日”試されている”緊張感はありますが、「それこそがやりがい」と大井先生は言います。
自らに厳しく自己研鑽を惜しまず、今日もやさしく地域を見守ります。