北の総合診療医 - その先の、地域医療へ | 倶知安厚生2

倶知安厚生病院Kutchan-Kosei General Hospital

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2019.03.14 記事

プロフィール
埼玉県出身。
早稲田大学政治経済学部を卒業後、銀行に勤務。その後病院事務を経験し、
北海道大学医学部入学。同大を2011年3月卒業。
網走厚生病院での初期研修修了後、倶知安厚生病院で後期研修修了し現職。

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人の役に立てる仕事がしたい…
事務職を経験後に医師の道に進んだ太田医師
総合診療医を目指した思い

早稲田大学を卒業後、銀行に就職。その後医療、介護の事務職を経験した時代に、医師を目指すきっかけとなる出来事が・・・。北大医学部で出会った木佐先生に弟子入りする形で総合診療医の道へ。

“人を応援したい”との強い思いを今も胸に抱き続ける太田医師。「総合診療医として日々患者さんの目線で接することを大事にしています」と語る言葉から、医師として自分が目指す姿が伝わってきました。

患者さんの立場・目線でモノが考えられるようにしたい

太田先生に医師を目指したきっかけについて質問すると、早稲田大学時代からの思いを語ってくれました。

早稲田大学在学中は、応援団に所属していた太田先生。「人の役に立ちたいとか、人を応援したいという気持ちがあったんです」。

卒業後、最初は銀行に勤務するも、もっと何か直接的に人の役に立てる仕事ができるようになりたいと思ったことが、総合診療医を仕事としていくことにつながっているといいます。

太田先生は「最初から医師になろうと思ったのではなく、介護の仕事がしたいと考えておりました。でも資格もないし免許もない、歳もとっているのでどこも雇ってくれるところがなくて」と当時を振り返ります。

結果的に、老人保健施設と病院の事務職に転職。しかし事務の仕事でも少し患者さんとの距離を感じて、「もっと直接的に患者さんの役に立つ仕事がしたいと、少し悶々としていたんです」。

患者さんの中には、医師への不平不満を看護師や事務職など、他の医療スタッフに言ってくる人が結構いたといいます。そんな現場の姿を見ていて、「自分だったら患者さんにこういう言葉をかけてあげたいとか、自分ならこうするのにとか、そういう気持ちがだんだんと高まってきたのです」。

でも当時は事務職。「代わりに何かしてあげることもできないしなあ」と思ったときにひらめいたのが、免許を取ればいいじゃないかという選択肢。太田先生は「それで辞表をポーンと出してしまいました」と医師への道へ舵を切りました。

太田先生は「今、自分が医師になって、あのときの気持ちを忘れないようにしていきたい」と話します。以来ずっと「患者さんの立場に立って、患者さんの目線でモノが考えられるようにしたいと思っています」と語ってくれました。

患者さんに一番近いところで診るのが総合診療医

最初から、地方や医療資源の少ない過疎地で仕事をしたいという気持ちがあったという太田先生。初期研修終了後、倶知安厚生病院を選択したのは、学生時代から太田先生を知っていた木佐先生に弟子入りの形だったようです。「どういう教育を受けられるのかというのがすごく大事なこと」と話します。

太田先生にとって総合診療医は「専門的な"最先端"の医療ではないのですが、患者さんに一番近いところで、家族や地域社会なども含めてトータルに診る"最前線"の医師だと思います」と語ってくれました。

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やるべき仕事の幅は非常に広いと感じています
大事にしているのは患者さんや家族に寄り添った治療

こうして総合診療医としてのスタートを切った太田先生ですが、「総合診療医となると、やるべき仕事の幅が非常に広いなというのを感じました」といいます。専門分野だけではなく、幅広く診ていかなければいけないので、その都度勉強をしていかなければならないそうです。

「必要な知識の幅は、非常に広くなりますし、間に合わないところがありますので、問題にぶつかるごとに勉強をしています」と日々の経験と勉強の重要性を指摘します。

そしてなにより「治療について何がベストかというのを考える時に、検査データとかではなくて、患者さん本人や家族の気持ちも大切だと思っています。通り一遍の治療というより、患者さんや家族に寄り添った治療ができればと思います。なるべくそこに飛び込んでいきたい。相手の懐に入り込んで仕事がしたいなと思っています」。

患者さんが退院したあとの生活にまで目を配る

総合診療科が担っている仕事の中で、退院支援や、入院受け入れの間口の広さなどは、特徴的であると話す太田先生。「専門的な治療をして、治療が終わったらおしまいではなくて、その後どうやって患者さんが帰っていくのか、どう生活していくのか、そこまで目を配ることが必要」と、患者さんに寄り添う医療の大切さを強調します。

患者さんの受け入れに関しても、これはうちの科の病気でないから受けないということは、総合診療科ではあまりない。どんな病気どんな状態であっても、できるだけ受け入れられるような体制をとりつつ、患者さんが退院した後にまで目を配ることができるようにすることを心がけているといいます。

少しでも喜んでくれる人がいればいい

太田先生にこれからの目標についてお伺いしたところ、「最終的には、地域の診療所で勤務したいという気持ちはありますね」と話してくださいました。そのためにも今、幅広い分野の勉強はやっておかなければいけない。「日々の診療に全力で取り組み、力を付けて診療所に行きたいです」と。

太田先生は、社会人を経験してから医師として再出発しています。最後に、これからの自分の目指す姿を次のように語ってくれました。

「回り道をして、歳をとってから始めたことなので、記憶力や技術などが見劣りするところはあるかもしれません。ただ、自分ができる範囲で、自分のできることをやって、少しでも喜んでくれる人がいるのであれば。何百人も何千人もということではなくて、自分の周りの何人かにでも、『いてくれて良かった』と思ってもらえるようなことができればいいなと考えています」。

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