北の総合診療医 - その先の、地域医療へ(足寄3)

足寄町国民健康保険病院

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2020.03.31 記事

住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるまちへ…。足寄町は医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する、地域包括ケアシステムの構築に取り組んできました。渡辺俊一町長は、4期を務めた安久津勝彦前町長から2019年5月にバトンを受け、町民と協議、検討し、知恵を出し合い、共に行動する「協働のまちづくり」を基本理念に掲げ、人と自然にやさしい地域社会のさらなる拡充に力を注いでいます。

10年の歳月をかけて取り組んできた多職種による医療・介護・保健・福祉連携システム、足寄町国民健康保険病院の役割について渡辺町長にお話しを伺いました。

高齢者等複合施設「むすびれっじ」

足寄町では2012年4月に医療機関の再編が行われ、医療機関の役割分担により、「主に急性期医療」「介護療養型老人保健施設」「無床診療所」と機能の分担を図りました。「国保病院と2つの医療機関、介護・福祉施設の役割分担で限られたサービスの有効活用につながり、地域包括ケアシステムの基盤になりました」。

町役場に隣接する木のぬくもりを感じる建物。高齢者等複合施設「むすびれっじ」です。2014年に、小規模多機能型居宅介護施設と地域交流施設が一体となった「地域支え合いセンター」としてスタート。翌年には認知症高齢者グループホームと生活支援長屋がオープンし、医療・介護・保健・福祉連携システムの拠点となりました。

生活支援長屋は高齢者や障がい者が、支援が必要なときに一時的に滞在できる足寄町オリジナルの施設。「買い物や通院が困難な人が冬期間だけ生活する、用事などで家族が介護できないとき、退院後の生活にまだ不安が残る人が日常生活に慣れてから在宅に戻るなど、様々な用途に利用され、特に冬季は利用度が高くなっています」。地域交流施設は「むすびれっじ」の各施設の利用者だけでなく、子どもから高齢者まで地域の住民が参加して交流を図り、自立した生活を支援しています。

そのほか、町内にはケアハウスやグループホームも開設されており、「医療・介護・福祉の連携により、介護サービスの充実に結びついています」。

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村上院長が発案し取り組んできた連携システム

こうした連携システムは、2009年に国保病院に赴任したばかりの村上院長の発案から始まったと渡辺町長は語ります。「治療を終えたあとに行き場のない高齢者の対応を課題としていた村上院長から様々な提案が出され、連携システムや「むすびれっじ」につながっています。着任以降ずっと、病院の医療だけではなく、町全体の介護や福祉を考えたアイデアを頂いています」。

在宅サービス充実への取り組みに成果 変化した町民の意識

足寄町における保険給付サービスは、連携システムが機能する前の2010年には、在宅サービスと施設サービスの割合が3:7でしたが、現在は4:6。「町民の意識として、かつては特別養護老人ホームなど介護施設を選択する傾向が強くありました。それが少しずつ変化し、自分の家で最後まで暮らしたいという人が少しずつ増え、在宅にシフトしてきていると思います。安久津前町長と村上院長が協働して在宅サービスの充実に取り組み、地域包括ケアシステムにつながってきていると思います」。

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職種の枠を越えた関係づくり 顔の見える連携で情報共有

「住民のための連携システムを機能させるには、互いの顔が見える関係づくりが大事。多職種が一堂に会して話し合う機会を増やす必要があります」。

3カ月に1回、国保病院の村上院長や各介護施設のトップ、町の福祉課職員が定期的に集まり、入所者に対する処遇の適正を期するために情報交換をしています。

足寄町国民健康保険病院に寄せる今後の期待

「村上院長には各種講演会に協力いただき、地域医療の啓発活動を行っていただいています。病気を治す医療だけではなく、生活を支える医療をしっかりと実践してもらっています」。渡辺町長は国保病院の取り組みを振り返り、こう続けます。「高齢者が自分でできることに病院の支援が加わることで地域で生活することの安心感につながると思います」。

足寄町の高齢化率は2019年1月で39.1%。高齢化が進みゆくまちの将来を見据え、「広い町ですべての町民が安心して暮らしていくために、今後も国保病院の機能を保持するとともに、町内の医療・介護・福祉機関の協力をいただきながら在宅の人たちを支えていく取り組みを進めていただきたいと思います」。

帯広協会病院のほかの
医療スタッフのインタビューもご覧ください

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