知事定例記者会見
- 日時/令和7年10月10日(金)16:00~16:43
- 場所/記者会見室
- 記者数/15名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 秋の山の実なり調査結果とヒグマ注意特別期間の延長について
記者からの質問
- メガソーラーについて(1)
- メガソーラーについて(2)
- メガソーラーについて(3)
- メガソーラーについて(4)
- 公明党の連立離脱について
- IR(統合型リゾート)について
- 自民党新総裁について
知事からの話題
秋の山の実なり調査結果とヒグマ注意特別期間の延長について
私から一点お話しさせていただきます。
10月4日でありますが、小樽市でヒグマによる人身事故が発生いたしました。被害に遭われた方に、心からお見舞いを申し上げます。
ヒグマの市街地や農地への出没については、その時期の主要な食物の生育状況と関係があると考えられております。道では毎年、ヒグマの秋の主要な食物の実なりの状況を調査しています。今年の調査結果を取りまとめましたので、お知らせさせていただきます。調査対象といたしましては、ミズナラとブナのドングリ、ヤマブドウ、コクワの4種とも豊作の地点がないということであります。道内の広範囲で実なりが悪い傾向になっております。今年は令和5年と同様に実なりが悪いという状況であります。その年も9月から11月にかけて、道警察に寄せられたヒグマ通報件数が1500件程度ということで、例年に比べて多かったところであります。あらためて、道民の皆さまに注意喚起させていただければと思います。(モニターを指して)こちらご覧いただいて分かるように、この令和5年が多かったのですけれども、それを上回る通報件数になっていますし、さらに、期間が少しずれていますので、この特別期間についても早く出させていただきましたけれども、さらにこれを延長するということも決定させていただいたところであります。今お話を申し上げたとおり、この食物が少ない年には、ヒグマが冬眠までの間、広範囲で活動することがあります。これまで出没しなかった地域でも、遭遇する恐れがあります。例年10月末までとしていた秋のヒグマ注意特別期間について、11月末までの1カ月間、延長させていただきます。前倒しして8月から発令させていただいていますので、そういう意味では、今年は最も長い注意特別期間ということになるところであります。道民の皆さまに対して、ホームページ、SNSなどを通じて注意を呼びかけていきます。また各振興局において、市町村とも連携しながら、地域のイベントなどさまざまな機会を活用して、また登山者向けなど、集中的に注意喚起を行っていきます。野山はもちろんなのですが、山に近いところにお住まいの方、ヒグマに遭遇する恐れがあることを念頭に置いていただいて、ヒグマの出没している地域については、(モニターを指して)こちらに書いてありますけれども、それぞれスライドでお示しをしておりますような、ヒグマと出会わないための基本的なルールを守っていただくほか、万が一、人里周辺などで目撃したという場合には、引き続き、市町村や警察にご連絡をいただくということのご協力をお願い申し上げます。
報道の皆さまにも、引き続き、重ねてご理解とご協力をお願い申し上げます。
私からは以上です。
記者からの質問
【記者からの質問】
(北海道新聞)
釧路湿原周辺の大規模太陽光発電、メガソーラーの関係で伺います。釧路市議が、先日、SNSにこの事業者が土壌汚染対策法で定められた届け出も出していなかったという発信をしています。事実関係について把握されている範囲で教えてください。
(知事)
今、ご質問いただきました件でございますが、釧路市北斗の太陽光発電事業計画については、4ヘクタールを超える土地の形質変更が行われる案件であります。この土壌汚染対策法においては、0.3ヘクタール以上の土地の形質変更がある場合、事業者から、工事着手前に届け出が必要なものであります。今回、事業者からの届け出が工事着手後の提出であったというところでありますが、道では現在、事業者に対して、必要な土壌調査を求めています。そして、その求めにおいて、事業者は対応中というところでございます。
この調査状況の先ですけれども、この調査の結果、土壌汚染の恐れがあるという場合は、調査命令を発出して、詳細な調査の上で汚染が確認された場合、区域指定を行って、区域外への土壌搬出に関する規制を行うことになります。その際には、法に基づいて、所在地と有害物質の種類を公表するという形になっています。
いずれにしても、この土壌汚染対策法に基づく必要な調査、こういったものなどしっかりと行われるように、道としても、適切に対応していきたいと考えています。
(北海道新聞)
関連で伺います。この事業者は、これまで森林法に基づく許可や盛土対策法に基づく届け出を出していないということがありました。今回、新たに三つ目の法令違反が見つかったわけですけれども、知事の見解をあらためて教えてください。
(知事)
これまでも、この法令遵守において、適切な対応がとられてこなかったところがありますので、ここは厳正に、しっかり対応していかなければならないと思いますし、それぞれの法に基づく必要な対応については、事業者に求めているところであります。
今回の土壌汚染対策法の部分で、調査も行政指導の中で求めておりまして、事業者は対応するという形にはなっておりますが、いずれにせよ、しっかり法律を遵守していただくことは大前提でありますし、また地域との共生、地域の理解を終えた上で、事業を進めていくことが重要であるということに変わりありませんので、しっかり適切に対応いただくよう道としても対応していきたいと考えています。
(北海道新聞)
最後に伺います。今回の土壌汚染対策法に基づく届け出は、本来であれば2月中に出ていなければならなかったものが9月に出てきたということで、約7カ月遅れていたことになります。提出に至った経緯と、今回7カ月遅れたことに道がなかなか気付いていなかったとみられるのですが、道の対応の不手際がなかったか、知事の見解を教えてください。
(知事)
これは森林法に基づく、いわゆる開発面積の話もありましたけれども、釧路市とわれわれとしてはしっかり確認しようということで、現地にお伺いする中で、さまざまな課題が明らかになったというところでありますので、そういった端緒、覚知に基づいて、関係する法律、各法において、これらの課題が明らかになったというのが経緯でありますので、ここはしっかり、覚知から対応まで迅速にやっていくことが重要だと思っています。
ただ、しかしながら結果として、これは工事前に出していただくというこういうことでありまして、そういった意味では、工事後に、そういった状況を覚知しているという状況がありますので、今、市町村の窓口が情報を把握する端緒になりうることが多いので、そこからしっかり情報の共有もいただきながら、迅速に対応できるように、より対策を講じていかなければならないと思っています。
市町村のご協力もいただきながら、しっかり対応をしていければと思っています。
(産経新聞)
関連でお伺いさせてください。この法律の関連なのですけれども、形質変更した場合の届け出が必要ということなのですが、これは今、他社さんからのお話にあった着工30日前のくくりのところで、これが行われなかった場合、罰則が適用されるという法律の建て付けになっていると理解しています。このあたり、今回の事案については罰則が該当するかどうかについて、まずお伺いしたいと思います。
(知事)
手続きの具体的な事務の取り扱いについては、補足していただけると。
(環境生活部環境保全局長)
罰則に関しましては、今ご質問ありましたように、期間までに届け出がないということになりますと、把握している分では3カ月以下の拘禁刑、あるいは罰金30万円以下ということで承知しております。実際に法的にどうするかということに関しましては、私どものほうの環境法令の扱いで言いますと、基本的には、一般的にその法に抵触します行為が確認された場合については、まずは環境法令と一緒に、覚知した時点で直ちにその行政指導により、是正させるという対応をすることになっておりますので、それを一義的にやるという形になっています。
(産経新聞)
シンプルにこれは土対法の法令違反に該当するという理解でよろしいですか。
(環境生活部環境保全局長)
着工の30日前に届け出をするという法律になっていますので、そういう点から見ますと、もう30日前にという手続きにはなっていないので、法令に抵触するという形になります。
(産経新聞)
法令違反ということでよろしいですね。法令違反だったという案件と理解していいですね。
(環境生活部環境保全局長)
はい。
(産経新聞)
知事にもう一点お伺いさせてください。知事は過去の会見で、今回の開発事業者において森林法違反、盛土規制法の手続き不備なんかを受けまして、適切に対応いただかなかったということに、厳正に対応していかなければならないと述べておられます。また、再エネに対する新しい考え方の策定に向けた説明の中では、再エネ事業を進めるに当たって、法令遵守は当然と、先ほどのお話もありました。あと、地域の皆さんとしっかりお話ししながら事業を進めることが重要で、さらに地域との共生が軽視されるようなことは望まないし、しっかり発信することが大事とおっしゃっています。
今回の土対法が、今、法律違反に該当するということがございました。知事は9月5日の会見の中で、法律を守らない開発行為自体は、許容できるものは当然ないとおっしゃっています。期間を超えて提出されたということについての話として、知事は、いわゆる再生可能エネルギーに対する思いの中で、良質な投資を促進させて環境と経済の好循環につなげるということもおっしゃっていますが、ちょっと考えていきますと、今回担当課に取材をする中では、法律では情報公開する規定はないのだということで、全くお話はありませんでした。今回の会見についても、事業者側の理解を得て、こういう公表というか、知事からの発表になったと承知しています。ということは、釧路市議からのSNSの発信等々、他社さんの記事ということがなければ、多分世の中にはオープンにならなかったものだと承知しています。その前提にあるのは、担当課の法律の解釈ということかなと思っているのですが、そうすると、今回SNSでの発信がなければ、世の中にはオープンにならなかったであろうという案件だと思います。これは道の担当課の法律解釈で、情報公開しないということが前提にあるわけです。そこのところを考えると、知事が発信されている、良質な投資ということと地域の経済の好循環ということについて、道民とか国民はどう受け止めたらいいのでしょうか、積極的に進めるということと、情報公開のあり方ということについての関係性を教えていただけますか。
(知事)
地域の皆さんのご理解を得る上では、どのような事業なのかということはもちろんですし、当然、法律に反してこの事業を進めるということは、許容できるものではないわけですので、むしろ地域にとっては、法律を守ることは当然として、地域として不安を感じることに対して、事業者として、法には規定はないけれども、こういった対応も含めて地域の理解を得るためにどう対応していくのですとか、そういったことへの期待があるのだろうと思っていますので、その前提となるのが、今ご質問にもありましたけれども、事業者としてどういうお考えがあるのかとか、そういった情報を共有した上で皆さんが理解いただけるかどうかという話だと思っています。さまざまな法律の中で、氏名などの公表について規定があるものもあれば、規定がないと、また、行政指導などに従わない場合についての当事者である事業者などの取り扱いについて、これは手続き上、かなり慎重に対応するという自治体の取り扱い上の難しさもあります。ただやはり、全国的に今、こういったメガソーラー並びにさまざまな開発行為に対する課題が出てきている中で、やはり、法律が今の状況のままでいいのかということを思っている方々、これは国民のみならず、自治体の知事や市町村長も思っていると思っています。ぜひ、そこは立法府においても、今、新たな(自由民主党)総裁もそういったことをおっしゃっていますけれども、やはり、しっかりこの国民的な課題に対しては議論していただく必要があると思います。その上で、道としてできることをしっかりやっていくということが重要だと思いますし、要は条例でフォローがしきれない、手続き上もなかなか事務の取り扱いが機能しない、そういうところは改善をする。また、GX、こういう再エネ関係の考え方も事業者に対して、しっかり開発行為を検討する以前に、そういうことをしっかり発信していったりだとか、さまざまな取り組みをしていかないと、今、ご質問のあったような課題には対応が難しいと思っています。
いずれにせよ、今、明確に法律にのっとって、手続きを進めていない事項が複数確認されていることを、事業者は極めて重く受け止めていただいた上で、われわれも行政指導を行っています。そのことに、真摯に向き合っていただかなければならないと強く申し上げたいと思います。
(産経新聞)
最後に短く質問させてください。盛土規制法の届け出の遅延が判明した際には、道の担当課が報道機関への説明が必要な案件ということで、ある意味柔軟に対応してくださいました。それは各社が報じて、道民ですとか国民が知るということにつながったわけですが、今回、土対法に関する法解釈については、実は道の文書課ですとか、環境省の担当課にも聞きました。それは、都道府県の判断でするものという見解がありました。道が公表事案としての取り扱いの判断ができるということで、今まで公表していなかったという過去の実績は分かるのですけれども、既にこの一つの事業、一つの開発行為だけで3件目ということになった場合の事態の重さもあるのですが、そのあたりをあらためて情報公開のあり方、法解釈というところの知事のお考えをお聞かせください。
(知事)
これは記者会見の場でも記者クラブとの共催で、各記者の皆さんも取材活動をされて、その先に道民、国民がいるということで、記事を書いていただいているというところですので、情報をしっかり皆さんと共有するというのは、私は大事だと思っています。ご質問の中にあったこの盛り土の関係も、やはり私のほうからしっかり記者の方にお話ししたほうがいいのではないかということで申し上げて、対応もしていただきました。今回の件も、要は法律上は公表規定がないので難しいのですけれども、であれば、やはり事業者にしっかり、これは話さざるを得ないということで、お話しさせていただいて、今日、このようにお話をさせていただきました。なので、そのことも踏まえて、もし、この後も、しっかり実務的に聞きたいことなどがあれば、対応するようにフォローさせたいと思います。
(産経新聞)
そうすると四つ目、五つ目、あってはならないと思いますが、万が一そういうことがあった時には、事業者側の了解を得て、その本来法律解釈で出せないものも了解を得られれば情報として、道として発信していくということでよろしいですか。
(知事)
今後何があるか分からない中で、一律というのはあるのですけれども、基本的には皆さん関心が高いものでありますので、法律の難しさだとか、いろいろなところはあるのですけれども、そこら辺もわれわれも当然法律を遵守しなければいけないということはありながら、どこまで皆さんのそういった情報提供に答えるのかという視点で、やはり考えていきたいと思っています。
(STV)
今のメガソーラーの関連でお伺いします。地域の理解が重要ということを再三、お話しされていますが、今回、法令に抵触するということが7カ月遅れて工事が進んでいたという現状がある中で、地域の理解が、この事実に対して得られるとはなかなか考えにくいのかなと正直思います。これまでの法令違反も含めて、道の監督だったり、届け出に対するチェック機能が働いていないような印象を、私自身持ってしまうのですけれども、その辺りの考えについて伺わせてください。
(知事)
これは事業者の届け出義務というか、届け出が必要だという状況の中で、例えば今回の法律にあっても、私が事務方に聞いたところ、例えば800件くらいの受付の中で、その申請が行われないというのは本当にほとんどないという状況であるとのことでした。ですから、基本的には事業者の方がしっかり申請をされるものなので、そういう意味での、ある種、性善説で成り立っているようなところがあって、ただ、今、こういう事態が起きているということを考えると、とにかくそういう情報が出たら、もうとにかくチェックしていくということをしていかないと、なかなか覚知することができない。要は常時、全ての土地に職員を24時間張り付けて、何があるのだと見張っていることはなかなか難しいわけです。ですので、どうしても開発行為とか行われる場合、その予兆とか、例えば町役場に行ったりとか、いろいろなそういう端緒があるので、とにかくそこをしっかり捉まえて、法律を遵守させることは当然として、地域としての理解を得ながら進めていかなければ駄目なのだということを、徹底していくと。これが大事だと思っていますので、ぜひ、体制上もしっかりやっていきたいと思っています。これは終わりのない世界だと思いますけれども、より実効性を上げていくということが大事だと思います。
(共同通信)
またメガソーラーに関係してなのですけれども、土壌汚染対策法違反の事案が発覚したときに、担当課の方にお話を聞いていたのですけれども、その後、また担当課のほうから電話がかかってきて、さっき話した内容は法令上、公表事案に当たらないのでと、実質なんか報道しないでくれみたいなことのお願いがあったのですけれども、それの後に事業者とお話をして、今回その公表に至ったということなのか、情報公開のあり方というか、姿勢というか、ちょっと先ほどの質問と被ってしまうかもしれないのですけれども、そこをあらためてお願いします。
(知事)
これは今、ご質問にあったとおりで、土壌汚染対策法では、届け出内容などに関する公表規定がないという状況なのです。ですから、個別案件については、今までも公表していないという状況が、現実としての対応であります。そういった状況の中で、今回、先ほどご質問がありましたけれども、やはり事業者の方にもお話もさせていただいた中で、今回、先ほどお話ししたとおり、ご説明をさせていただいたというところであります。当然のことながら、この法律に基づいてしっかり対応していただくことはもちろんとして、対マスコミの皆さまからご質問、お問い合わせなどいただいた時にも、しっかり対応できるように、担当部署において適切な対応を取れるように、これは担当しているところ以外にもしっかり私から指示して、共有させていただきました。なので、そのような対応を今後とっていきたいということも、申し添えたいと思います。
(共同通信)
今後、別の事業者で同じような事案があった時は、その都度そういう公表するかどうかを判断していくということになるのでしょうか。
(知事)
そうですね。これ以上の違反というのが、なかなか今、この部分でということがちょっと分からないところがあるのですけれども、やはり法律によってその公表規定があったりとかなかったりだとか、いろいろあるのです。今回の件というのは、特に複数の違反事例なども確認されているという状況、そして社会的な関心も高いという状況などもあって、記者の方も当然、そこに関心のある皆さんに正しい情報をお伝えしていくということで仕事されていますので、そこはわれわれも、あまりにも法律やルールを飛び越えて皆さんに情報をお届けするということについては、当然のことながら一定程度、慎重にならなければいけないけれども、そういった今の実情を踏まえた中で、どうやって情報の共有があり得るのかということは、これは正直、ケースバイケースで考えていくことになるのだろうと思います。今回の件はまさに、そういう中で、今日はお話ししたほうがいいのではないかと私としては判断して、今日お話しさせていただきました。今後も皆さんと、そういう意味では、しっかり対話する中でやっていく必要があるのかなと思います。
(NHK)
つい先ほどの事案で大変恐縮なのですけれど、先ほど自民と公明の両トップが会談し、公明党の斉藤代表から、連立離脱ということで自民党の高市新総裁に伝えたという出来事が国会の中でありました。これによって、経済対策などについても今後、国会の中で議論されるかと思いますけれども、その前の総理首班の指名選挙の見通しがちょっとなかなか立たなくなっている状況もありますが、一都道府県のトップとして、今回の公明の連立離脱についての受け止めが現時点でもしありましたら、ちょっとお聞かせいただければと思います。
(知事)
率直に驚いているところではありますが、いずれにしても、この長引く物価高騰ですとか、暮らしや経済に影響を及ぼしている中での待ったなしの経済対策などの必要性、これは国民総意として、皆さん、思っていると思います。そういった中では、国政の停滞は、決してあってはならないということが広く国民の願いとしてもあると思います。政党間のさまざまな政策協議だとか考え方、そういったところをしっかり議論して、答えを出していくことは大事なことだし、否定するものでは当然ないのですけれども、今、申し上げたように、待ったなしの経済対策を、とにかく早くやってほしいということに対して、この今回の件がどう影響を及ぼすかについて非常に懸念しているところです。例えば経済対策にしても、新総裁の中では交付金などを活用して、自治体に補助などを行って、国民の皆さんにその対策を届けるということも主張されていました。いずれにしても、都道府県と市町村がそういった流れの中で事務をやらなければならないということを考えると、本当に国民の皆さんが待ったなしという思いと、今の政治の情勢を見ると、やはり懸念を持つ方も多いのではないかと思います。いずれにしても、難しい国政の状況であることは理解する一方で、スピード感を持って対応いただきたいという願いを実現するということで、ぜひ、国政において対応いただきたいと、都道府県の知事としては思っています。
(建設新聞)
IRの件で質問させてください。先日、国が今月中にIRに関する意向調査を都道府県と政令指定都市にするという報道がありました。道として、どのような回答を考えているのかという点と、また、この意向調査に回答するに当たって、例えば先日、道も独自で調査を市町村にしましたが、その際に前向きな回答をした市町村に個別にヒアリングして、その上で、この国に答える内容を考えるとか、そういうことも考えているのかどうか、教えてください。
(知事)
報道があったのですけれども、これまでも報道があったりして、その都度、確認などもしているのですが、国に対してもいろいろ情報を教えてほしいということで、道としてもいろいろお話はお伺いしているのですけれども、現時点において、国からそういった今ご質問のあった意向調査を実施する考えが示されていないという状況でして、ある意味では報道が出ているということは承知しているのですけれど、われわれとしてそういう情報収集を行っている中では、そういう現時点での国からの回答が事実なので、まずはそこを申し上げたいと思います。いずれにしても、議会の中でも議論がありましたとおり、論点を整理して、「基本的な考え方」の改定に向けた骨子を次期定例会にお示ししたいと考えていますので、これをしっかり北海道らしいIRの検討という中で進めていくということに変わりはないというか、それをやっていきたいと思っています。
(毎日新聞)
戻るのですけれども、まずちょっと自民党の総裁選がこの前あって、高市氏が選ばれたということについて、受け止めと期待することを先にお伺いしたいです。
(知事)
高市新総裁については、私が夕張市長の時に総務大臣をやられていて、夕張の再生計画を抜本的に見直すということをやっていたのですけれども、その時に、総務大臣でまさにその見直しのはんこを押すというのが高市総務大臣だったので、そういう意味では、夕張市長の時から、いろいろな意見交換をさせていただいたことが思い出としてあります。その時も、「夕張市は本当に大変だけど、しっかり総務省としても応援していくよ」ということで、ねぎらいの言葉もかけていただいたことを記憶しています。また、沖縄・北方の担当大臣もされていたので、そういう意味では、北方領土問題についても、担当大臣として力を尽くして来られた方だと思っています。
いずれにしても、先ほど申し上げたのですけれども、新総裁も速やかに経済対策をやっていくということをお話しされていたので、やはりその発言のとおり、早く実行に移していただくということを多くの国民が期待をしていると思いますし、われわれ自治体側からも、そこは非常にスピード感をもって対応いただきたいと考えているところです。
(毎日新聞)
その経済対策についての遅れの懸念のお話があったのですけれども、北海道から国に対して求めていることとして、やはり最初のお話にもあったヒグマの対策であったりとか、あと違法開発の話であったりとか、国に要望していくと知事もおっしゃっているようなことがたくさんあると思うのですけれども、そういった部分の遅れについて、どういうふうに受け止めますか。
(知事)
先ほどから質問のあったメガソーラーの関係なども、やはり国がしっかり考えていかなければいけないということは、かなり強くお話しされておりましたので、われわれとしても国に対しては、法律でなかなか対応できない、今の法律でできないことは、対応いただけるようにということで、釧路市と要望などもさせていただいております。そこをしっかりやっていくというお話もされておりましたので、ぜひ実行に移していただけたら大変ありがたいなと思っています。
それと、私は育成就労の関係の有識者(国の「特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」の構成員)でもありまして、これから外国人の皆さんとの共生において、今、労働力が不足している中で、この育成就労制度というものを進めていくという中で、私は繰り返し申し上げているのは、労働者としてその制度を実行していくのだけれども、生活者と労働者というところが、なかなか切り分けられないじゃないですか。働いている時間だけではなくて、生活している時間もあるので、やはり育成就労制度をはじめとする外国人の皆さんを、どう今後受け入れていくかについて、国としての考え方がないことに対して、繰り返し、私は政府に考えをしっかり整理すべきだということを申し上げてきています。政府として、なかなかそれを受け止めていただけていない状況が続いているところがあります。労働力が足らないので、まずは育成就労を受け入れるのだ、私は例えば医療とか、また教育とか、仮に家族帯同で来られる方が増えれば、社会保障もそうだし、当然どのような形で、取り組んでいくのかという課題を、しっかり国として考えた上で、受け入れについて、話を進めていくべきだろうというのが私の考えです。ただ政府は、教育とか医療は、先送りする、もうとにかく労働力が足らないので、受け入れるのだということを繰り返し言っているように私は感じています。
その点、私はどう共生していくかという視点で、ある意味では、ルールというものをしっかり考えて、対応していくべきではないかという考えなのですが、高市新総裁については、そういった外国人の皆さんの受け入れに関しても、いろいろやはり考え方を整理していくべきだということも、訴えられていたので、そういったことをしっかり、どういう制度で、何をいつまでにやっていこうとされているのかということは、私としては関心があるし、今まで政府に何度申し上げても、なかなか箸にも棒にもかからない。私はこれを全国知事会でも言っています。同じことを全国知事会としても言っています。例えば占冠村とか、ニセコ町とか倶知安町とか、外国人の方の割合が2割とか3割とかになっているわけです。政府は2070年に人口全体の10パーセントが外国人の方だ、今、2025年だから2070年というのはだいぶ先でしょと、と言っているけれども、地域ごとに見ると、もう既に外国人の方がかなりの割合を占めて、いろいろな課題が生じている現実があるので、やはりそこはしっかり考えていただくこと。各国とも、外国人の方の受け入れにあって、いろいろ課題も生じている現実も各国ある中で、日本はどう対応していくべきなのか、そういうことをしっかり逃げずに、国としては議論する。このことが私は大事だと思います。その点、考え方を整理していく趣旨のお話もされていたので、そこはどういうお考えなのかということは、注視しているところです。
(毎日新聞)
そうなると、高市さんが考え方を整理していく、どんな考え方になるのか分からないけれども、その話について議論していくというところに関しては、期待しているということになるのでしょうか。
(知事)
個別の候補について申し上げることはあれですけれども、小泉候補が言っていた「年内に総理をトップとして、外国人との共生に係る各省横断的なものを作っていく」、これぐらいのスピード感でやらないと、私はいけないのではないかと思っていますけれども、それは自民党だけではなくて、各党でしっかり答えを出さなければならない話だと思いますが、いずれにしても、何も主体で考えがない国というのは、これは受け入れにあっても、課題は全部市町村とか都道府県任せになってしまっているのです。例えば、ニセコ町とか倶知安町もそうですが、外国人の方の教育を受ける機会を確保するために、独自に自分たちのお金で先生たちを加配して、対応していたりとか。国として対応が定まらない中で、目の前の人が困っている中で、結果として市町村とか都道府県が対応しているということがあります。さらにこれからその割合などが増えていく、増やしていこうということであれば、やはりしっかり国家として考え方を整理しないと、来るということを考えている方も不安になると思うのです。だからそこは、ぜひ私はやってほしいと思うし、私の立場でも、これからも政府の有識者の立場もあるので、そういうことを強力に話していきたいと思います。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)
