知事定例記者会見
- 日時/令和7年7月25日(金)16:06~16:58
- 場所/記者会見室
- 記者数/13名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 熱中症の予防について
- 北方領土返還要求運動強調月間(8月)の取組について
- 若年層の犯罪被害等防止について
- ヒグマ対策について
記者からの質問
- 猛暑による一次産業への影響について
- 米国の関税措置に関する日米合意について(1)
- 参議院議員通常選挙の結果について(1)
- 参議院議員通常選挙の結果について(2)
- 参議院議員通常選挙の結果について(3)
- 農業施策について
- 米国の関税措置に関する日米合意について(2)
- 泊発電所について
知事からの話題
熱中症の予防について
私から四点お話しさせていただきます。
まず一点目ですけれども、熱中症の予防についてであります。全国的に猛烈な暑さが続く中、今週に入り道内では、一昨日は9地点、昨日は北見市で39度ということで、16の地点で観測史上最高気温が更新されているという状況にあります。こうした中、熱中症への警戒が特に必要となる場合、発表となります熱中症警戒アラートが、本日も石狩・空知・後志、網走・北見・紋別地方の2地区に発表されているところであります。
今年度の道内における熱中症警戒アラートでありますが、15回発表されております。これは令和3年に制度が運用されて以降、同時期との比較で最多となっています。また、今年の熱中症による救急搬送は、5月1日から7月20日までの間で、1234件と、昨年同時期の約1.9倍となっています。道内では、これから子どもたちが夏休みに入ります。また、各地でさまざまなイベントが開かれるシーズンとなります。今後も暑い日が続くことが予想されています。本日、北海道では庁内に設置いたしました熱中症対策連絡会議を開催し、道が主催するイベントなどにつきまして、クーリングスポットなどの休憩所や給水所の確保など熱中症対策に万全を期すよう、あらためて確認したところでございます。
道民の皆さまにおかれましても、こまめな水分・塩分の補給、扇風機や冷房設備の使用、外出時の日傘や帽子の活用などに十分心がけていただくようお願いいたします。特に暑さや水分不足に気付きにくいご高齢者の方、大人に比べて体温の調節能力がまだ十分に発達していないお子さんは、熱中症のリスクが高くなりやすいので、気配りをお願いいたします。
道では、熱中症予防に関する情報につきましてSNSなどを通じてお知らせしておりますほか、ホームページの「熱中症予防サイト」において、道内の熱中症警戒アラートの発表状況、市町村が指定する、冷房設備を有するいわゆる「クーリングシェルター」の一覧を掲載するなど、熱中症予防対策の情報を発信させていただいております。また、道内の熱中症による救急搬送状況を踏まえ、今月16日から地域別・振興局別の搬送状況を日報として公表し、注意喚起を行っているところでございます。道民の皆さま、こうした情報について、細かにご覧いただき、熱中症につきましては、十分ご注意し過ごしていただきたいと思います。
北方領土返還要求運動強調月間(8月)の取組について
次に、北方領土返還要求運動の強調月間についてでございます。
昭和20年8月、旧ソ連軍が北方四島の占拠を開始したことから、毎年8月を北方領土返還要求運動の強調月間とし、全国で返還要求運動を積極的に展開することとしております。
日ロ関係は依然として厳しい状況が続いている中、戦後80年の節目の年に、多くの方々に北方領土問題について関心を持っていただいて、さらに応援していただけるように、北海道は市町村や関係団体などと連携して、幅広い啓発活動を集中的に行ってまいります。主な行事といたしましては、8月29日、「北方領土返還要求北海道・東北国民大会」を開催いたします。大会の開催に先立ち、道庁からは札幌時計台まで、領土返還をアピールする街頭行進も行わせていただきます。また、北方領土問題は国民全体の問題であります。決して北海道だけの問題ではございません。領土の返還を求める世論を醸成するためには、国民の皆さま、道民一人一人が署名を通じて返還要求に参加していただくことが重要であります。このため、強調月間において、本庁庁舎・各振興局はもとより、今回については、道内全ての市町村で署名コーナーを設置いたします。また、先日開催されました全国知事会におきまして、私から全国各知事の皆さまに対し、全国の都府県において、署名コーナーを設置していただきたいということをお願い申し上げ、全国知事会(会長)の村井宮城県知事からは、協力していくというお話と呼びかけをいただきました。現在、多くの都府県においてこの思いに共感いただいて、署名コーナーの設置についてご協力いただけることとなりました。詳細については後ほど、おそらく全ての都道府県で(署名コーナーの設置が)できるのではないかと思っているところであります。初めてになるのかなと思いますけれども。ただ一方で、これはちょっと皆さんに残念な報告になりますけれども、国は、その先頭に立ってやらなければいけないにもかかわらず、国自身も各省に署名台を設置するように文書を発出しているにもかかわらず、協力いただける省庁が、ちょっと私からどこが協力してくれるかというのは差し控えますけれども、極めて限定的にとどまっているということでありまして、これは、国が先頭に立って本来やらなければいけない。北海道だけの問題ではないです。北海道は戦後80年ということで、全ての市町村でやります。そして、都道府県についても、先般の知事会で、これは重要だと、北海道だけの問題ではない、協力するよということで、多くの都道府県でできる。一方で国は、協力してくださいということで各省庁にお願いをしたにもかかわらず、国がですね。政府が。 でも、これおかしいですよ、協力しないというのは。これは、各省に今まで置いていないということすら、私はおかしいと思いますよ。ですから、マスコミの皆さんも、こういう大事なことを記事にしていただいて、やはり国が先頭に立って、北海道だけの問題でなはないのですから。何でやらないのですか国は。これ私おかしいと思いますよ。何で北海道だけなのですか。都府県も協力してくれるのですから、これはぜひ、マスコミの皆さんにも力を貸していただきたいと思います。これは国が、総理が、墓参を最優先で取り組むと言った中で今回墓参が叶わず、洋上から慰霊するのです。せめて、外交交渉が進まない中で、署名コーナーを置いてくれと言っているだけです。そんなに場所を取らせませんから。これは、私は残念ですね。8月1日からですので、まだ時間がありますから、ぜひやってほしいということで、これ以上申し上げませんけれども、もし関心がある方は、担当の部に聞いてもらいたいと思いますが、そういうことであります。協力いただける多くの都府県がありますので、署名コーナーについては全国統一のデザインで、どこに行っても同じようなデザインでやったほうが、全国的な機運醸成になるということで、やっていきたいと思っています。
お配りしました資料のとおり、期間中はさまざまな取り組みをいたします。戦後80年、この領土問題は解決していません。ぜひ、マスコミの皆さまにも、本当に日常的にご協力いただいていますけれども、ぜひご協力をお願いするものでございます。これが二点目です。
若年層の犯罪被害等防止について
三点目でございます。若年層の犯罪被害防止です。
今週から、道内の多くの児童・生徒は夏休みとなります。夏休みに入るのですけれども、道内の刑法犯認知件数は夏場増加するということでありまして、青少年に関わる犯罪も同様の傾向ということであります。夏休み期間中の若者は、やはり開放感などもあって、インターネットの利用も多くなる時期でもありますし、例えば、お小遣いを稼ぐ感覚で、いわゆる闇バイトというものがありますけれども、こういったものに応募してしまったりだとか、違法性を認識しないままにオンラインカジノに手を出してしまう。また、友達に誘われて遊び感覚で大麻などの違法薬物に手を出してしまう。そういった事案も懸念されます。このため道では、こうした犯罪などから若者を守っていく、そして加担することのないように、関係機関と連携して、児童・生徒の夏休み期間における啓発活動を強化することといたしました。
来週7月28日から、札幌市内の歓楽街において、北海道、道警察、防犯ボランティアの皆さまと合同で啓発パトロールを実施させていただいて、若者への声かけ、SNSの安全利用などの呼びかけを行いますとともに、トラブルに万が一あったときには、相談窓口がありますので、ぜひ相談してほしいということを周知していきます。また、今年度新たに、若い世代が集まるエスコンフィールド北海道においても、7月27日にブースを出展させていただいて、被害防止の呼びかけをさせていただきます。そして多くの方々が往来いたします、札幌市内のJR、地下鉄の駅でも啓発を行わせていただいて、パネル展、SNSも活用して情報発信の強化を行っていきます。各振興局においても、さまざまなイベント会場での啓発活動を展開して、地域でも取り組みを徹底してやっていきたいと思っています。そして、保護者の皆さまにもお願いがございまして、お子さまとネットの使い方について話し合っていただいたりだとか、SNS等の利用状況に目を配っていただいたり、お子さまの様子がちょっといつもと違うなというときには、何か不安に思うことがあれば、小さな予兆も見逃さずに声をかけていただくなど、あるいは、悩んだら相談窓口がありますので、相談窓口にぜひ相談してほしいということであります。ぜひお願い申し上げます。
相談窓口ですけれども、代表的なものが三カ所ございますので、マスコミの皆さまに資料でお配りさせていただきました。ぜひ参考にしていただけたらと思います。これらは児童・生徒、そして保護者の皆さまを対象としておりまして、相談につきましては、当然ですけれども匿名で相談することができますので、悩みましたらぜひ相談をお願いしたいと思います。
このほかにも、若者を対象としたさまざまな相談窓口がございますので、北海道としても、SNSなども活用しながら、あらためて夏休みが始まりますので、相談窓口を周知させていただいて、若者やご家族に対するサポートをしっかりと行っていきたいと思っています。学校においても、夏休みも始まりますので、その前に児童・生徒に対してこのような窓口のお知らせをさせていただいていることも申し添えたいと思います。
これから夏本番を迎えます。関係機関が連携してしっかり対応していきたいと思いますので、特に窓口周知にあっては、皆さまにもご協力いただけたら大変ありがたいと思います。これが三点目です。
ヒグマ対策について
最後四点目になります。ヒグマの関係です。
7月12日の未明になります。福島町において、新聞配達中の男性がヒグマに襲われて亡くなられた事故が発生いたしました。あらためて哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆さまに心からお悔やみ申し上げます。
今回の人身事故の加害個体につきましては、7月18日に捕獲されました。令和3年に福島町内で発生いたしました、人身事故の加害個体とも同一であるということが判明いたしました。まずは、福島町においては、役場職員の皆さん、警察、消防、さまざまな皆さまが24時間態勢でパトロールを行っていただきました。このほか、ハンターの皆さまは、昼夜を問わず探索を続けていただきました。このことに本当に感謝申し上げたいと思います。また道総研(北海道立総合研究機構)などの専門家の皆さまにも痕跡調査を実施していただいて、こういった多大なるご協力があって、二次被害の防止、そして加害個体の捕獲につながったということでございます。皆さまにあらためて深く感謝を申し上げるところでございます。
一方で、地元ではヒグマの目撃情報が続いているという状況もございますので、福島町とも協議させていただいて、8月11日まではヒグマ注意報を発出しようということで、対応させていただいています。道としては、町とともに、電気柵の設置、自動撮影カメラによる監視を継続していきます。そして町や道警察、捕獲に従事された方々とも引き続き、連携を密にしながら、住民の皆さまの安全確保に全力を挙げてまいりたいと考えております。そして今回、ヒグマ警報を初めて発出いたしました。あらためて道内市町村に対してヒグマ警報、注意報などの制度、発出基準について周知させていただきました。制度の運用についてのご意見などもお伺いしています。不断の見直しを行って、注意報や警報の効果的な発出を通じて、ヒグマによる人身被害の防止に努力していきたいと思います。本当にマスコミの皆さまにもご協力いただいたことを感謝申し上げます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
そして福島町や砂川市のほか、新たに昨日、上ノ国町でもヒグマ注意報が発出されているところでございますので、全道において、出没が相次いでおります。地元市町村、警察などが公表している、地域での情報のご確認を引き続きしていただきたいと思いますし、ヒグマが出没する地域、早朝・夕方・夜間、外出する際ご注意をお願いいたします。そして、食べ物、ゴミを放置しないでいただいて、持ち帰っていただく。フンや足跡などヒグマの痕跡を見たら、引き返していただくなど、ヒグマに出遭わないための基本的なルールについて、どうか、皆さまご協力をお願い申し上げます。そして万が一、人里周辺などでヒグマを目撃したという場合は、どうか、市町村や警察にご連絡いただくようお願い申し上げます。その際は、十分な警戒をお願いいたします。
今回のように人身事故の防止のために、適正に行われた捕獲については、地域の皆さまの安全生活を守るため必要なことであります。これは、毎回そうなのですけれども、申し上げたいと思うのですが、ヒグマ対策室のほうには、道内外から大変多くのご連絡、お電話を頂戴しております。特に、ヒグマを殺すのはかわいそうだからやめてほしいということで、多数のご連絡をいただいておりまして、2時間以上、長時間に及んで、ご連絡を多数いただいておりまして、職員が対応に大変な時間を拘束されている状況であります。繰り返し申し上げますけれども、今回の捕獲につきましては、人が亡くなっておりまして、またその加害個体は、市街地で人身被害を起こしているヒグマであります。そういう有害捕獲について、ハンターの皆さんも命をかけて、捕獲に従事していただいておりまして、そのことについては、特に道外の方からものすごくご連絡いただいているということでありまして、クマと対峙する機会という想像がなかなかできないのかもしれませんけれども、本当に人が亡くなっております。そういった加害個体に対して、命の危険を持ちながらも、ハンターの方が捕獲していただいている、このことをどうか、理解していただきたい。そして2時間も何時間もご連絡いただくということでありまして、これはもう仕事になりません。ですから、このことは十分ご理解いただいた上で、ご協力をお願いしたい。これは国も言ってほしいと思います。北海道民から電話が来るというよりは、むしろ道外の方からじゃんじゃん電話がきて、しかも1時間、2時間と、来るわけでありました。日常的にわれわれは市街地出没なども含めて、非常に危険を感じながら、ハンターの皆さんも先ほどから繰り返しているとおり、命の危険も感じながら向き合っていただいているのです。ですから、そのこともやはりご理解いただいて、電話をするという前に、それをしっかり考えていただきたい。このことは強く申し上げたいと思います。また、どうしてもわれわれ道民に対して、いろいろなお話をしますけれども、私が行って、46都府県に、回ってお願いするわけにはいきませんので、これは国が、しっかりそういう必要性について話していただいて、国民理解を深めるということをやっていただきたい。私は当時の(環境)大臣と話して、国がしっかりやっていくよということで言ってくれたように記憶していますから。ぜひ、これはやってほしいと思っています。私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
最初に出た熱中症関連でお聞きしたいことがあったのですけれども、今、暑い日が続いていると思うのですけれども、一次産業への影響があるのかどうか。あと、今後の対策として考えていることがあれば教えていただきたいと思っています。
(知事)
これは報道等でもございますけれども、7月15日現在の農作物の生育として、全般的に平年より早く進んでいるという状況です。牧草の1番草の収穫は、平年より5日早く終了するということ。また、秋まきの小麦、玉ねぎの収穫作業も例年より早く始まっているというところです。そして直近の状況は普及センターで、農業者などに確認をさせていただいておりますけれども、最近の高温少雨の影響によって、一部ほ場において小麦の品質、玉ねぎの大きさに懸念があるという情報をいただいております。このほか、農作業に当たられている多くの方々、熱中症への危惧がございます。
道としては、このことなどを受けまして気象台の高温予報を受けて、7月22日に高温に伴う営農技術対策を発出させていただきました。
全道の農業改良普及センターを通じて、農家の皆さまに対し、畑地かんがいの利用、農作業のハウスの積極的な換気などのほか、農作業時における水分や塩分補給につきまして、注意喚起を行わせていただいておりますほか、特に高温が見込まれる場合などは、普及センターから臨時の営農技術情報で、熱中症対策を促すということで、現在、非常に高温になっていますので、こういった特段の対応を行っているところであります。
また、漁業につきましても、全道の水産技術普及指導所を通じて情報収集を行っているところですけれども、現時点において具体的な意味での被害等が確認されているという状況にはないわけですが、引き続き、海水温などのモニタリングを継続していくということと、漁業者の皆さまに対して、研究機関、漁業関係団体などと連携いたしまして、水温など海洋環境に関する情報を発信していくということと、熱中症警戒アラートが発出されていますので、このことを踏まえて、7月23日に全道の漁業協同組合に対して、屋外での作業が多い漁業現場における熱中症の未然防止等の注意喚起を行わせていただいております。
それぞれ一次産業に対するこれらの取り組みを行っているところでありますけれども、今後、さらに状況を注視していかなければいけないと思っていますし、適時適切な情報の発信、情報が寄せられる場合もありますし、こちらから取りに行くプッシュ型、また、状況に応じて訪問することも行いながら、技術指導など努めていきたいと考えています。
今までにない状況がありますので、こういった対応をとりながら対策を講じていきたいと思います。
(NHK)
大きく二点あります。まず一点目、今週に入ってから急きょアメリカとの関税交渉の中で日米合意がなされました。この件についての道の受け止め、そして今後の対応などについて何かお考えがありましたらお聞かせください。
(知事)
これは厳しい交渉があったと思います。まずは赤澤大臣をはじめとして、関係する方々、こういった厳しい交渉の中で対応されてきたことに、敬意を表したいと思います。23日に発表された合意でありますけれども、相互関税、自動車や部品の税率は15パーセントということであります。そして、コメについては、既存制度、すなわちミニマムアクセス米の制度の枠内で、わが国のコメの需給状況なども勘案しながら、必要なコメの調達を確保していくといった内容ということでありまして、先行きの不透明感は一定程度、そういった意味では緩和されるのではないかと思うわけでありますが、一方で、政府が当初述べておりましたのが関税の撤廃で、これには至っていないということでありまして、また鉄鋼等への50パーセントの税率は、合意の対象外とされてもいます。道内はもとより、全国的にも大きな影響が懸念されています。
北海道からの米国向けの輸出については、トランプ政権発足以降、5月分まで前年比で増加していた自動車部品や水産物が6月分では減少に転じています。影響の顕在化が懸念されるというところであります。こうした中で、本日の午前、政府の対策本部が開催されました。合意内容などの最新の状況が共有され、石破総理から関税措置の影響分析、中小・零細企業の資金繰り支援など影響の緩和、合意の履行状況の開示が指示され、総合対策タスクフォースの機能を強化する考えが示されました。
本道は、わが国の食料供給地域でございます。特に、食料安全保障の観点も踏まえた万全の国境措置を確保するよう、繰り返し要望してきたところでございます。先ほど申し上げましたけれども、コメについては無関税の輸入米が増えるということではなく、77万トンの現行の枠は維持されるとの国の説明、このとおり取り扱ってほしいということです。そして、北海道が主産地である大豆、トウモロコシなどが明示されています農産品については、コメのような考え方が示されていないわけでありますが、本道の農業者の皆さまの不安を解消するよう、農業を犠牲にするようなことは一切含まれていないとの総理の発言があるわけです。ただ一方で詳細が示されていませんから。この総理の発言がそうであるならば、その詳細を示していただきたい。大豆、トウモロコシは北海道が主産地ですから。このことを申し上げたい。
そして、半導体についても、これは他の分野別関税が課される場合も、日本を他国に劣後する形で扱わないとされているわけでありますけれども、ラピダス社との日頃のやり取りの中でも、今後十分に情報を集めて対応したいと伺っております。このラピダスプロジェクトへの影響が生じないように、政府には、引き続き、合意内容の具体化をしていくプロセスにおいては、米国に対して毅然とした対応をとっていただきたいと思います。
事業者の皆さまの不安を緩和するためには、日米合意をはじめとした米国による関税措置の内容を各窓口において分かりやすく説明することが重要です。総理から指示があったということですけれども、品目別の関税率の説明などについて、どの地域においても同じ内容を説明できるようにするためには、一刻も早く政府においてマニュアルの整備などを行っていただく必要があります。この全国千カ所の相談窓口からは、以前発表した時は(これらの相談窓口が)相談する先がないという苦言が呈されました。また、説明する内容が分からないのに政府から説明しろと言われても、説明ができないという厳しいご指摘もありました。
今申し上げたような発表された内容では、懸念が逆に払拭されない中で説明に応じざるを得ないということがありますので、一刻も早くマニュアルを整備などしていただいて、相談に応じる皆さんにそれを配っていただいて、必要以上の懸念の声が上がらないよう、迅速に対応していただくことを求めたいと思います。
昨日の全国知事会において、取りまとめもしたところでございますけれども、政府においては、4月に決定した緊急対応パッケージに加えて、資金繰り支援や需要喚起などの影響を最小限に抑えるような、必要な追加対策をちゅうちょなく速やかに講じ、米国関税措置は、本道からの輸出のみならず影響があらゆる分野に波及し、長期に渡る恐れがあることから、政府においては、交渉経過、交渉結果の詳細について、明らかにしていただきたいというところであります。この知事会提言もしっかり踏まえていただきたいと思います。合意後も、現状は、難局であるということに変わりはないと思います。オール北海道で対応が必要であると考えております。まず、必要な情報について、本日開催された国の対策本部の情報を、速やかに北海道米国関税対策連絡会議の事務局である北海道経済産業局から構成団体に共有していただきました。各団体において必要な情報共有を行ってまいります。また、週明けの28日になりますが、米国関税対策会議を開催するということでございます。今回の日米合意による道内への影響について、あらためて事業者の皆さまの実情を把握することを確認したいと思います。引き続き、情報収集・提供、相談対応など事業者と道民の皆さまの不安をできるだけ解消することに、迅速かつ、きめ細かに対応していきたいと考えてございます。
(NHK)
もう一点ちょっと話が変わりまして、この日曜日に行われました参議院選挙の結果についてなのですけれども、衆参ともに少数与党という結果になりました。今後の国会運営の見通しなどが難しくなる中で、秋には、来年度予算への要望など道としては控えておりますが、今回の結果の影響について、道としてどのように受け止めているか、また、ちょっと話がまた変わるのですけれど、今回の選挙結果を受けて、自民党内では石破総理の進退について、さまざまな動きが出てきています。こと道においては、その石破政権が掲げる地方創生2.0という動きなどと連動して、政策を前に進めようというような動きもありますけれども、現時点で、知事として石破総理の進退などについて、どうお考えか、何かお考えがありましたらあわせてお伺いできればと思います。
(知事)
まず今回の選挙は、衆議院、参議院ともに、与野党が拮抗している、与党の過半数が割れたという状況で、国民の皆さんが選挙で選んだということの結果だと思いますので、私なりにこれを受け止めると、それぞれの政党には、やはりいろいろな考えがある、与野党が拮抗する中で、多様な意見がある中で、しっかりベストな政策方向というのを熟議して、前に進めてほしいということだと思います。国民は、決して政治の停滞を許すということではなくて、多様な意見がある中で、しっかり国会が議論して、ベストなものを、迅速に、特に物価高をはじめとする生活環境も含めて大変厳しい中で、停滞することは望んでいないと思います。しっかり答えを出してほしいということだと思いますので、そのように進めていただきたいと思います。
総理の出処進退は、これは政治家たるもの、自らの出処進退というのは、自らがしっかり判断するということでありまして、周りが良いとか悪いだとか、そういったことももちろんあるのでしょうが、自身がこの結果をしっかり受け止めた中で判断することに尽きるのだと思います。これは総理であろうが、誰であろうが、政治家として民意を受けて仕事をする、そういう立場にあればそういうことだと思いますし、その判断の重要な要素として、選挙の結果ということなのだと思いますから。そこを十分受け止めた中で、自らがしっかり判断していうことだと。これ以上でも、これ以下でもないのかなと思っています。
地方創生の話がありましたけれども、今回の選挙で、私はある意味、議論のテーマになって良かったと思ったのは、食料安全保障、お米の問題もそうですけれども、これはおそらくほとんどの政党が、全ての政党と言ってもいいかもしれない。皆さんが、やはり今のままでいいのだろうかと、食料安全保障、また、食の問題をしっかり考えていかなければいけないのではないか、そういった議論が結構な時間を割いて行われたと。お米の問題もそうですけれども、ニュース報道もそうですけれども、なかなか作柄とか、そういう時はニュースになったりしましたけれども、こういう根本的な議論というのが今まで少なかったのかなと思いますので、北海道はその中でも、主要穀物などの主産地として明確に位置付けられた中で、これからの5年間をどうしていくのかという状況の中で、より役割を果たすということに変わりはないのかなと思っています。これは政権がどうなるのか、全ての政党が主張していましたから、大事なことかと思いますし、地方創生ひいては人口減少や、地域の問題をいかにして解消していくのかについても、やり方の違いはあるのかもしれませんが、重要な問題であり、放置できない課題だということで議論が行われたと思いますので、冒頭お話ししましたけれども、やはりあらゆる考え方があるのです。ただ、その中でこれはベストだということを、国会は議論して唯一法律も作ることができる、予算を作って議決していく、そういうところですから。いろいろな意見が出て拮抗したわけですから、その中で最もこれがいいね、ベストだねと国民が思うような熟議をした上で、前に進める、停滞は許されませんよ、今の情勢で考えれば。だから、そういう方向で進めていただけたらいいなと思います。それを求めたいですね。全国知事会でもいろいろな話がありました。いろいろな課題が、もう待ったなしですから、そこはみんな一緒なのかなと思っています。
(HTB)
関連して、参院選につきましては、北海道選挙区では知事が支援された候補2人も含めて3人が当選したわけですけれども、今回の北海道選挙区の結果の受け止めと、あと北海道選出議員に望むことということでお伺いできればと思います。
(知事)
そこは道民の皆さまが、北海道選挙区においては投票率も、上昇する中で、民意を託した結果として、そういう状況になったということだと思っています。
いずれにしても、これは北海道だけの局所的な視点で見るのではなくて、全体としては、先ほど申し上げたような新たな政党が躍進するなど、さまざまな意見がある中で、答えを出していかなければいけない状況になっているということだと思いますので、停滞することなく熟議して、日本の課題が山積する中で、答えを出していく政治というものを、みんなが、これは道内の皆さんも望んでいるのではないかと私は思っています。
(毎日新聞)
今の質問に関連してですけれども、参院選ですね、こちら北海道選挙区の立候補されていた参政党の田中義人さんの主張についてお伺いしたいのですけれども、かなり知事であったりとか、道庁に対する批判が多い主張を、繰り返し展開されていましたけれども、この中身は、街頭とかSNSとかで聞かれたりはしているでしょうか。
(知事)
そこは詳細は承知していないですけれども、いろいろな意見が、選挙だけではなくてありますから、私は知事として仕事させていただいているわけですから、あらゆるさまざまな声というのを真摯に受け止めた中で、自分としてでき得ることを全力で取り組んでいくということに、日々、向き合っていくしかないと思っています。
(毎日新聞)
具体的なことをお伺いしたいのですけれど、倶知安町の違法開発問題について、彼が最初に情報発信したということで選挙期間中も言及されていましたけれども、外国資本だから道の対応がずさんになったのではないか、ということの主張をしていました。具体的に言いますと、7月9日、かなり大通公園で数百人ぐらい集まられた時に言われていましたけれども、日本の会社だったら、建設業の許可を取り消されたり、行政がすぐに飛んでくるけども、ああいった工事を止めるはずなのに何で1年間もあんな形で工事ができたのかと、北海道の鈴木知事、弱腰すぎませんかというようなことを言われて、数百人がそうだというふうな感じで熱狂していました。また、田中さんは32万票以上取られていて、多くの方が彼の主張を事実と受け止めているのではないかなという可能性もあると思うのですけれども、知事として、そこの発言に対して、内容に対して訂正であったりとか、正しい情報を求めるという発信するようなことという考えはないでしょうか。
(知事)
この記者会見の場で、記者の皆さんと、真摯な質問に対する、われわれとして対策を講じてきたこと、あとは事実関係、時系列的に説明もしてきているので、いろいろな主張ということに、コメントすることは控えたいと思いますし、ここは公的な記者会見の場ですから、特定候補、特定の主張に対して、私が知事として、全ての発言にコメントするというのは適切ではないのではないかなと思います。
(毎日新聞)
もう一点、田中さんがすごくよく言われていたのが、知事が道外出身だから北海道に対する愛のない政治をしているのだ、というふうなことの主張を何度も言われていまして、これにも多くの聴衆が熱狂していました。どう受け止められていますか。
(知事)
私も選挙があって、一定の皆さんが私の名前を書いていただいて、26歳で北海道に来てから、もう間もなく、20年近く住んで、暮らして、働いて、仕事もさせていただいています。私も北海道に生まれ育って、過ごせたらよかったなと思うことはあるけれど、生まれる場所は子どもは選べないし、ただ、北海道に対して人生を賭して仕事をさせていただきたいということで、何人か私に投票していただいて、今の立場をいただいていますから、そういう声も謙虚に受け止めながら、仕事でしっかり、皆さんに少しでも貢献しながら、頑張っていきたいなと思っています。
(毎日新聞)
本当におっしゃるとおりだとは思うのですけれど、田中さんだけではなくて、外国人という特性だったりとか、そういう今のお話のどこの県出身かという、出自で敵視するような政治的主張というのが、かなり今回の参院選でまかり通っていたかなと思うのです。多くの共感を集めていたと思いますけれど、そういう風潮について、知事はどう思われますか。
(知事)
さまざまお話しする、主張する自由というのがありますから。ただ、やはり事実は一つであったり、また、発言によって心を痛める方がいるなど、そういうことも想像もしながら、政治に携わる人間は、今、目の前にはいないけれども、その先にいる人のことも、思いを巡らせながら、言葉を紡いで発言していく、そういうことも、何て言うのですかね、爽快さが足らないようなところも出てくるのですけれど、ただやはり、傷つく人、悲しい思いをされる方、そういう人がいるということも想像もしながら、いろいろなことを言葉を選んで話をしていく。そういうことも大切なことでもあるのかなと、私自身は、思ってもいます。政治家はいろいろなキャラがいますし、いろいろな人たちがいるので、そういう中で選挙で選ばれる人もいるし、選ばれなかった方もいるし、そういう結果の中で民主主義というのが機能していくものだと思いますので、私はそう受け止めています。
(日本農業新聞)
参院選を受けて、今政局が見えづらい中で、国の概算要求だったり新たな基本計画の実践など、農政の停滞は許されないと思います。そこで、農政であらためて、与野党に求めることを教えてください。
(知事)
先ほど言いましたけれども、やはり、与野党を問わず、食料安全保障だとか、農政が、そういったテーマになった。ある意味、みんな待っていたことです。政治として、そこに選挙で向き合ってもらって、多くの国民の皆さんに考えていただけたということだと思いますので、与野党を問わず、この農業分野が重要だ、食料安全保障上、自給率も向上させていかなければいけない。今、その基本計画の中でも、そういった方向性も位置付けられていて、今後5年間、特にこのより重要な予算措置が必要だと、別枠でやっていこうということで言っているわけですよね。そういう意味での大きな方向性の違いというのは、あまりないのかなと思うので、さっき言ったように、どうやって食料安全保障を実現していくのか、自給率も上げていくのか、そうなったら必然的に、やはり北海道の役割は、私は大きくなると確信していますから、その中で、より良い方向性に向かっていく。このことを期待しますし、関係団体とか皆さんとも、そこはもう繰り返し訴えていきたいと思っています。
(日本農業新聞)
もう一点、他社さんの質問とちょっと重複すると思うのですけれど、日米関税交渉の合意内容について、農業分野での現時点の評価という部分教えてください。
(知事)
コメの話については、小泉大臣が別会見されて、ミニマムアクセスの部分の説明もしながら、現行枠を維持するということで説明してくれたので、これは絶対必要だったなと思います。その発言がなかったら、皆さん非常に不安だったと思います。
ただ一方で、主産地である大豆、トウモロコシの点の詳細がないので、総理はさっき言ったように、守るのだということで言ってくれているのですよ。犠牲にするようなことは一切含まれていないのだと。言うのだったら、ちょっとその中身を言ってくれという話です。
コメは言っているけれど、大豆、トウモロコシは言っていませんという状態なので。セットで言ってほしいじゃないですか。それは何でなのかなと。小泉大臣もそれを聞かれて、何か分からないみたいなこと言っていましたよね。ただ、それはちょっと政府として困りますよと。なんでコメは分かって、逆にそっちは分からないのですか、ということだと思うので、多分みんな同じ思いだと思うのですけれど、そこはしっかり対応してほしいなと思っています。
今の時点でも不安な方がいると思うので、とにかく早く正確な詳細な内容をお伝えいただいて、ぜひ紙面で書いていただくことが、安心につながると思うので、そこもちゃんと求めていきたいと思っています。
(日経新聞)
泊原発に関連してお伺いします。原子力規制委員会は、泊原発3号機の再稼働に向けた審査を正式合格とする見通しとなりました。今後、再稼働などについて、どのようなプロセスで同意の可否を判断されるのか、分かる範囲で教えていただければと思います。
(知事)
これは一部報道で、正式合格が出る見込みという趣旨の報道があったというのは承知していまして、原子力規制庁に確認したところ、現時点で決まったものはないということでありました。ですので、現在審査が最終段階に入ったと受け止めているのですけれども、審査は継続中でありまして、予断をもって申し上げる状況にはないというところであります。国から、理解要請が行われた場合には、先行県における住民の皆さまを対象とした説明会の開催や、関係自治体の方々からの意見聴取などといった対応事例も参考にしながら、道議会でのご議論などを踏まえて適切に対応していきたいと考えています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)