北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の事業費に関する鉄道・運輸機構の報告に対する知事コメント

 

 本日、鉄道・運輸機構においては、北海道新幹線の事業費に関し、想定を上回る工事資材価格等の上昇や地質不良等の予期せぬ自然条件への対応のために必要な工事の追加及びこれに伴う工程の長期化等を要因として、現時点において最大1.2兆円の事業費が増加するおそれがあることが国土交通省に報告されました。
 国土交通大臣からは、国及び鉄道・運輸機構に対し、有識者会議における事業費の精査のほか、沿線自治体等の関係者に対する丁寧な説明を行うよう指示がなされたところです。

 これに先立ち、本年3月に、北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備に関する有識者会議が取りまとめた報告書において、道民の悲願であった2030年度末の完成・開業が大きく遅延することが公表されたばかりであり、この間、地元の総意として求めてきた新たな開業時期は、未だ示されておりません。
 今なお、道内に広がる失望と先の見えない懸念の中、また、札幌延伸に係る事業費については、既に6,445億円の増額に同意している中、事業費が増加する可能性が示されたこと、これにより財政状況の厳しい道及び駅設置市町においても更なる地方負担が増額となる可能性が生じていることは、誠に遺憾であります。

 北海道は、日本最大の食料供給地域であり、また我が国有数の観光資源を抱えており、一次産業も含めた食産業や観光産業が、基幹産業として本道の発展を支えてきました。
 最近では、豊富な再生可能エネルギーや冷涼な気候など、北海道のポテンシャルを活かし、新たな基幹産業としてGXやAI-DX産業の集積が進んできており、政府が掲げる日本の経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障などの分野において、北海道はこれまで以上に重要な役割を担うことが期待されております。
 こうした中で、北海道への新たな産業集積は、観光面に加え、産業面での人的交流の増加も見込まれます。我が国の成長戦略において大きな役割を果たしていくためにも、本道と本州を結ぶ輸送の主軸となる北海道新幹線の整備が必要不可欠です。

 道としては、こうした価値をさらに高めるため、国や鉄道・運輸機構に対し、引き続き、事業を着実に進捗させることを求めるとともに、この度の判断に至った理由等について、地元関係者への丁寧かつ分かりやすい説明を速やかに行うよう求めることに加え、国に対し、事業費の速やかな精査や縮減をはじめ、事業の進捗に影響が出ることのないよう、まずは令和8年度において必要な予算の確実な確保をすること、さらには、現在、国において検討されている貸付料の更なる確保等により建設財源を十分確保し、何より地元負担の可能な限りの軽減を図るといった地域の切実な実情に寄り添った対応を強く求めるなど、引き続き、沿線自治体など地元関係者と連携しながら、一日も早い完成・開業に向けて取り組んでまいります。

令和7年12月19日

北海道知事 鈴木 直道

 

 

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