道北(夏)

 

 

道北(夏)


 

 

自然を楽しむための注意事項   詳しくはこちらへ looktop.gif
<自然を楽しむために>
 動植物を採取してはいけない場所などがある
<危険な動物や刺激毒を持った植物などに気を付けよう>
 野外には危険がいっぱいあることを認識することが重要です
  ・ヒグマに注意
  ・スズメバチに注意
  ・マムシに注意
  ・有毒を持った植物に注意
<動物を観察するために>
  ・エサを与えないで
  ・幼い野生動物は保護しないで
  ・ゴミは捨てないで
  ・エキノコックスに注意
<植物を観察するために>
 植物を観察するためであっても必要以上の採取は慎みましょう
<車の運転をするにあたって>
  ・スピードの出し過ぎに注意
  ・動物との衝突事故に注意
  ・夜間も注意 
注意 当ホームページに掲載されているあらゆる内容の無許可転載・転用を禁止します。
    全ての内容は日本の著作権法及び国際条約によって保護を受けています。
 
36 礼文島
 【高山植物 針葉樹林 森林の鳥 海鳥】
 所在地  礼文町
 問合せ先 礼文町 01638-6-1001
    
稚内からフェリーで2時間の礼文島は花の島とも呼ばれ、5月のミズバショウをかわきりに9月まで各種の花々が次から次へと咲きほこります。中でも桃岩のお花畑と、海をへだてて見える利尻島の組合わせは特に有名で、この島のハイライトです。離島の観光地としても、となりの利尻島とならんで大勢の観光客が訪れますが、駆け足で歩きまわりその良さを十分に堪能している状況にはありません。 36-3e.jpgレブンウスユキソウ
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 この島の良さを知るためには、じっくり歩いて見ることをおすすめいたします。島の各所に歩道が整備されており安心して散策を楽しむことができます。桃岩は一番手軽に花々を見ることができるところで、香深から沢筋の道を登っていくとトドマツの林からコマドリの声が聞こえ、お花畑ではオオカサモチなどのセリの仲間、チシマフウロ、カラフトハナシノブ、ヨツバシオガマ、チシマゲンゲや特産のレブンソウ、レブンキンバイソウなどを、岩場にはキリンソウやシコタンソウ、砂礫地にはキクバクワガタを見ることができます。礼文島では、どの地域でも、このような花畑を楽しむことができます。また、低標高からハイマツやダケカンバの林があるのも北の島ならではの風景です。時期によって咲く花が違うので、見たい花がある時は事前に情報を入手した方がよく、町の観光パンフレットには歩道や花ごよみが掲載されておりますので便利です。参考までに、レブンコザクラは5月上旬~6月下旬に桃岩、レブンアツモリは6月上旬に鉄府(てっぷ)、レブンウスユキソウは6月中旬~8月上旬に礼文林道、カラフトハナシノブは6月上旬~7月中旬に桃岩~元地燈台、ミヤマオダマキは5月中旬~6月下旬に礼文林道がよいでしょう。また、(財)日本自然保護協会から自然観察ガイドブック「利尻・礼文・サロベツの自然観察」が発行されていますので参考になります。桃岩から眼下にある岩場にはオオセグロカモメの集団繁殖地が見えます。草原にはノゴマ、シマセンニュウなどの鳥も多く見られます。稚内と礼文島を結ぶフェリーからは、ウトウやミズナギドリ類を見ることもできます。
  
 
37 利尻島鴛泊(おしどまり)
 【針葉樹林 森林の鳥 海鳥 海辺の植物】
 所在地  利尻富士町
 問合せ先 利尻富士町 01638-2-1111
  
  海中から富士山が出てきたような利尻島は、稚内からフェリーで1時間40分ほどのところにあります。船上からバードウォッチングが楽しめ、ウトウやミズナギドリ類、ウミネコなどのカモメ類、ウミガラス、ケイマフリなどが見られ、イルカを見かけることもあります。鴛泊港の近くのペシ岬では、オオセグロカモメやウミウが繁殖しています。断崖ではウミウやカモメ類を、海岸の草原ではノビタキやノゴマなどの草原性の夏鳥を見かけます。花ではオオカサモチやゼンテイカなどが道沿いに見られます。利尻北麓野営場近くに名水「甘露泉」(かんろせん)があり、さらにその
 
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名水「甘露泉」と登山者
037_038.jpg奥に気軽に登れるポン山があります。ウグイスやアオジ、センダイムシクイ、カラ類、キツツキ類、コマドリを見ることができ、ときおりクマゲラの声も聞こえ、シマリスも山の周辺に多く生息しています。
 姫沼は湖面に逆さ利尻山が映るところとして知られ、沼を一周する歩道もあり、コマドリの鳴き声を聞きながらゆっくり自然を満喫できます。
 
 
 
 38 利尻島沼浦湿原ほか海岸地域
 【湿原の植物 高山植物 草原の鳥】
 所在地  利尻富士町・利尻町
 問合せ先 利尻富士町 01638-2-1111 利尻町 01638-4-2345
 (位置は37の地図を参照)
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南浜湿原と利尻山
  オタドマリ沼、三日月沼を含む沼浦湿原は、爆裂火口の跡に泥炭が堆積してできたもので、まわりを取り囲む丘は噴火の際の火山砕屑物によるものです。歩道が整備されており、こじんまりとした湿原で、広大な釧路湿原などとはまた違った趣があるところです。ここではカキツバタやミズバショウ、ツルコケモモ、イソツツジ、ワタスゲなどの湿原植物を見ることができます。背後にそびえる利尻山の山頂部は、ノコギリ状の岩峰が連なっており、湖面に映る姿は一見の価値があります。オタドマリ沼では、ウミネコなどが水浴びをしているのを見ることができ、また、ノゴマなどの草原の鳥が生息しています。また、沼浦湿原に隣接して南浜湿原があり、木道が整備されており、湿原の中を巡ることができます。
  なお、両町の観光パンフレットには歩道などが記入されておりますので活用することをおすすめいたします。
 ▲周辺地
  利尻山への登山コースは鴛泊コースと沓形コースの2カ所があり、利尻島特産のリシリヒナゲシやリシリアザミを見ることができます。利尻富士町大磯には約3万羽の日本最大級のウミネコの繁殖地があり、島を一周できるサイクリングロード上から観察することができます。
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雲海に写る利尻山の山影に出た
ブロッケン現象
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ウミネココロニーとサイクリングロード
  利尻町仙法志には町立博物館が、利尻富士町鬼脇には利尻島郷土資料館があり各種の情報を入手できます。利尻町沓形岬園地では春にクロユリを見ることができます。また、沓形港からは海底探勝船(01638-4-2120)が出航しています。
  
 
39 メグマ沼
 【湿原の植物 草原の鳥 コモチカナヘビ】
 所在地  稚内市
 問合せ先 稚内市 0162-23-6161
 
  稚内空港近くにある高層湿原に囲まれた沼で、湿原には木道が整備されており、ゼンテイカやワタスゲ、ツルコケモモ、イソツツジなどが見られます。木道の上には国内では道北地方のみで生息が確認されている卵胎性のは虫類で氷河期の遺存種といわれているコモチカナヘビが生息しており、木道の上で日光浴をしている姿を見つけることもあります。鳥類では北方系のツメナガセキレイがハンノキや杭の先に止まっているのが見られ、ノゴマなどの草原の鳥も多く見られます。渡りの時期にはコハクチョウが沼に羽を休め、早春には近くの木にオジロワシが40羽前後止まっているのを見ることもあります。海岸近くの砂丘上にはミズナラ林が形成され風衡樹形となっており、次第に樹高を増していくのが観察できます。
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湿原とメグマ沼
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 ▲周辺地
  日本北端の地、宗谷岬の背後の丸いなだらかな地形は周氷河地形と呼ばれているもので、宗谷岬から宗谷岬灯台の高台を経由して丸山に至る道路と、稚内市宗谷から丸山に至る道路沿いから雄大な地形を望見できます。また、冬季、宗谷岬近くの珊内沖合にある弁天島にトドが上陸していることもあります。メグマ沼の近くにある大沼にも水鳥の飛来があり、4月中頃からしばらくの間コハクチョウが羽を休めています。ここは、人力で氷を切り開いて開氷面を作ったことによりコハクチョウが集まってきたものです。コハクチョウが飛び去った5月下旬ころ湖岸ではわずかながらダイゼンなどのシギ・チドリの仲間を見ることができます。稚内港では冬季、コオリガモやシノリガモ、クロガモ、ウミスズメ類、ウミガラス、ヒメウなどが多く見られ、アザラシが氷の上で休んでいることもあります。日本海側にある抜海港では、ゴマフアザラシがテトラポットなどに上って休んでいるのが見られます(12月~3月)。宗谷湾の沿岸ではオジロワシ、オオワシも見られ、海岸の草原ではユキホオジロが群れていることもあります。
   
 
40 サロベツ原野
 【湿原の植物・砂丘林・草原の鳥・水辺の鳥・イトウ・蜃気楼(しんきろう)】
 所在地  幌延町・豊富町・天塩町・稚内市
 問合せ先 ビジターセンター (豊富町)0162-82-3232・(幌延町)01632-5-2077
 
 サロベツ原野はサロベツ川流域に広がり、東西5~8km、南北27km、面積は約2万ha、その内70%が泥炭地となっています。釧路湿原に次ぐ広大な湿原で、釧路湿原はヨシが主体の低層湿原ですが、ここはミズゴケが主体の高層湿原となっているのが大きな特徴です。湿原内を自由に歩くことはできませんが、豊富と幌延にある各ビジターセンター前や幌延町パンケ沼などに作られた木道をたどれば、その一端を知ることができます。湿原を散策する前にビジターセンターで湿原に対する知識を得ることをおすすめします。湿原内の植物は養分が少ないため大きく成長できず、花が咲いても目立たないため、木道周辺を注意深く見てください。ヒメシャクナゲやトキソウ、ツルコケモモ、モウセンゴケ、コバイケソウなどの花を見ることができます。また、年によっては、6月中旬頃からゼンテイカが一面に咲くこともあります。ペンケ沼、パンケ沼や砂丘の間のたくさんの沼にはアカエリカイツブリやマガモ、ヨシガモが繁殖しています。
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砂丘林内湿原
 オジロワシが通年見られ、周辺の木の上にとまっている姿を見ることができます。渡りの時期にはヒシクイやハクチョウ、そしてカモ類も多く羽を休め、冬季には時に猛禽類のシロハヤブサやケアシノスリが雪原を飛翔することもあります。湿原にはコモチカナヘビが生息しており、木道で日光浴をしている姿を見つけることができます。また、世界最小の哺乳類といわれているチビトガリネズミ(トウキョウトガリネズミ)も生息しています。湿原の中を流れる川には、幻の魚といわれるイトウが生息しています。4月下旬頃から6月下旬頃までは、豊富町西豊富(湿原センター)からサロベツ自然再生施設(原生花園跡地)に至る道道沿いから東南の方向に林が浮いて見えたり、豊富市街の住宅の屋根が下の方にも見えることがあります。
 これは下位の蜃気楼と言われるもので、湿原から発生する陽炎(かげろう)による大気中の密度差からくる光の異常屈折現象です。原理は舗装道路で見られる「逃げ水」現象と同じですが、自然状態の陸上で見られるのは日本ではここだけかも知れません。蜃気楼と言えば富山湾のものが有名ですが、同じ蜃気楼でも富山湾のものは上位の蜃気楼と言い、大気の逆転現象(地上に近いところが冷たい大気でその上に暖かい大気が重なっている状態、無風・微風状態でないと起きない現象)によるものです。9月ころから10月中旬ころの夕方近くにはペンケ沼やその周辺にいたヒシクイ(ガン)が、西豊富(円山)から落合に至る農道の周辺に舞い下り採餌しているのが見られます。 40-6e.jpg
蜃気楼
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コモチカナヘビ
 ▲周辺地
  天塩川河口から稚内まで海岸線に沿って道路が整備されており、右手にはトドマツやミズナラが生育する小高い山が続いていますが、これはサロベツ原野を形成した砂丘に樹林が形成されたもので砂丘林と呼ばれ、この砂丘林の間には大小の沼があり、ミコアイサ(カモ)が繁殖しています。砂丘林内には林内歩道がありますが、迷いやすいので注意が必要です。左手の海に続く海岸草原にはエゾスカシユリやエゾノシシウド、ハマナスなどの花が見られ、夕焼けの中に浮かぶ利尻島の風景は絶品です。稚咲内には駐車場と園路が整備され、休息をとりながら花々を楽しむことができます。また、浜勇知付近には砂丘上にハマナスの群落があり、砂丘内湿地の沼ではネムロコウホネなどの水生植物が、その周辺では、エゾミソハギなど湿地の草花も楽しめます。湿原やその周辺地にオオジシギやノゴマ、ノビタキ、シマアオジ、コヨシキリ、カッコウなどの夏鳥も多く、また、猛禽類のチュウヒが低く飛ぶこともあります。
 
 
41 猿払川流域湿原と周辺湖沼群
 【湿原の植物 草原の鳥 イトウ】
 所在地  猿払村
 問合せ先 猿払村 01635-2-3131
 
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  猿払川上流は蛇行を繰り返す自然河川がそのまま残されている貴重な川で、その流域には湿原とアカエゾマツ林が続きます。川には自然環境がよくなければ生息しないイトウが棲んでおります。中流域にはカムイト沼などいくつもの沼が形成されており、その周辺はツルコケモモやワタスゲなどが見られる高層湿原となっています。高層湿原の中には背の低いアカエゾマツ林があり独特の風景を作っています。特に浅茅野市街から浜頓別寄りには、モケウニ沼の裏側を通る農道があり、見事な湿原を見ることができます。モケウニ沼やカムイト沼には木道が整備されており、湿原の中を歩いて沼まで行くことができます。ここではベニマシコやモズ、ノゴマ、ノビタキなどの夏鳥が多く見られます。サケのシーズンには猿払川などで遡上が見られます。冬季に鬼志別沖の岩礁にトドが群れることもありますが、流氷が接岸すると見られなくなります。海岸線ではオジロワシなどが飛んでいたり、ノスリやコミミズクが電柱などに止まっていることもあります。
 ▲周辺地
  猿払村のポロ沼には渡りの時期、多数のコハクチョウが羽を休めます。浜猿払からベニヤ原生花園まで海岸沿いに道があり、ハマナスやガンコウラン、コケモモなどが見られ、海岸ではシギ・チドリ類が飛んでいるのを見かけ、訪れる人も少なくのんびりとした時間を過ごすことができます。この海岸草原をエサヌカ原生花園と呼んでいます。
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モケウニ沼
 
 
42 ベニヤ原生花園
 【湿原の植物 砂丘の植物 草原の鳥】
 所在地  浜頓別町
 問合せ先 浜頓別町 01634-2-2345
 
  ベニヤ原生花園は、浜頓別町市街地から猿払方向にある海岸近の砂丘列間湿原と海岸草原からなり、木道や駐車場、展望台が整備されています。砂丘列間湿地ではノハナショウブやタチギボウシ、ミツガシワ、クガイソウなどが、沼ではクロバナロウゲが見られます。海岸草原ではハマボウフウやシロヨモギ、ハマエンドウ、ハマナス、エゾノシシウド、オオカサモチなどが見られます。夏鳥はシマアオジやノビタキ、シマセンニュウ、ベニマシコ、コヨシキリ、カッコウなどが多く、これらの鳥が花の草原に止まる姿はいかにも北海道らしい海岸風景です。 
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センダイハギが咲き乱れるベニヤ原生花園
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 ▲周辺地
 浜頓別町山軽地区の牛乳工場近くから浜猿払に至る採草地の中をまっすぐに走る広域農道があり、北海道の広さを感じることができます。
   
 
43 クッチャロ湖
 【コハクチョウ 水辺の鳥 湿原の植物】
 所在地  浜頓別町
 問合せ先 浜頓別町 01634-2-2345
 地図は42ベニヤ原生花園と同じ
 
  クッチャロ湖はラムサール条約登録湿地で、コハクチョウの一大集結地です。10月ころからコハクチョウの飛来があり冬期になると本州方向へ南下しますが、3月頃から北帰行のために再びここに集結し、5月連休頃に北上します。ピーク時には1万~2万羽近くになり、とてもにぎやかです。渡りの時期にはホオジロガモやスズガモ、キンクロハジロ、マガモ、コガモ、ヨシガモ、オナガガモなどのカモ類も多く、ツルシギやアオアシシギ、ミユビシギなどのシギ類もみられることがあります。春、湖面の氷が解けるころにはオジロワシやオオワシが氷上に見られます。
コハクチョウの群
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  夏には周辺の藪や草原にツメナガセキレイやエゾセンニュウなどが多く、希少なサンカノゴイ(サギ)も繁殖しています。湖畔には短い歩道があり、ヤナギトラノオやクガイソウなどの花を見ることができます。ポン沼はクッチャロ湖の北側にあり、一周する遊歩道が整備され、コウホネ(葉は空中に突出)、ネムロコウホネ(葉は水面に浮かび、花の中心が黄色)、オゼコウホネ(葉は水面に浮かび、花の中心が赤色)の3種類を見ることができます。
 
 
44 神威岬
 【海辺の植物 針葉樹林 草原の鳥 ワシ類】
 所在地  浜頓別町・枝幸町
 問合せ先 浜頓別町 01634-2-2345 枝幸町 01636-2-1234
  
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神威岬
  砂浜が多いオホーツク海にあって、浜頓別町と枝幸町の境に位置する神威岬は、固い岩石で形作られた荒々しい地形で、襟裳岬に始まる日高帯の基盤がオホーツク海に没しているところです。斜面には背の低いトドマツが生育しており、強い海風で片側に枝を伸ばす姿(風衝林)になっています。海岸までせまるトドマツ林は、長いオホーツク海の海岸線では珍しく、ミヤマハンノキ林があるのも北国の海岸線らしい景観です。岩場ではリンネソウやガンコウラン、エゾツツジ、コケモモなどの高山植物が、海に近いところではハマナスや エゾノシシウドなどの海浜植物が見られます。
  鳥はノゴマなどの夏鳥のほか、冬季、流氷が接岸するころにはオオワシやオジロワシが姿を見せます。現在国道は、岬の基部をトンネルで通過していますが、岬を回る旧国道が残されています。岬の先端部で旧国道から分かれ、旧国鉄興浜北線(こうひんほくせん)の跡を横切って、1962年(昭和37年)12月に完成した高さ約18mの白と黒のツートンカラーの灯台前を通る草道の旧旧道があり、これを歩いて自然を感じてみるのも面白いでしょう。
 ▲周辺地
  神威岬の北にある浜頓別町豊牛(旧国鉄豊牛駅周辺)には、砂丘上に発達したミズナラ林が見られ、ミズナラ林の中を突き出したトドマツが点在しています。枝幸町にも同様に砂丘のミズナラ林があります。枝幸町のウスタイベ千畳敷の岩場にはゼンテイカなどが見られ、小さな塩湿地もありエゾツルキンバイなどが見られます。神威岬から南の海岸線で岩礁になっているところではアオバトが海水を飲んでいるのを見ることもあります。浜頓別町の頓別川の楓橋からはサケの遡上が見られます。
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45 松山湿原
 【針葉樹林 湿原の植物 森林の鳥】
 所在地  美深町
 問合せ先 美深町 01656-2-1611、北海道上川総合振興局北部森林室 01656-2-1726
  
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 ▲周辺地
  美深町市街からこの地域一帯にかけては、針葉樹林や針広混交林の森が美しく、北海道らしい森林の一面を見ることができます。特に、仁宇布原生保存林(道道沿いに案内標識有)は、エゾマツやトドマツ、ミズナラなどの大木があり、歩道が整備され、凍裂(とうれつ;寒さで樹木が裂ける現象)の被害を受けたトドマツも見られま す。
  松山湿原は、美深町仁宇布から十五線川の上流の標高約800mに位置する約25haの高層湿原です。登山口周辺はエゾマツやトドマツ、ダケカンバからなる森林で、近くには風穴が見られ、クマゲラの声を聞くこともあります。湿原へは駐車場から約900mで至ることができ、湿原には約1.2kmの木道が整備されています。湿原内にはチングルマやツルコケモモ、ヒメシャクナゲ、タチギボウシなどのほか、ホロムイソウの目立たない花もあります。また、アカエゾマツが貧栄養の環境で盆栽状になって独特の風景を作っています。
 こちらのページにも情報があります。
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46 天売島(てうりとう)
  【ウミガラス 海鳥】
 所在地  羽幌町
 問合せ先 羽幌町天売支所 01648-3-5131  北海道留萌振興局 0164-42-1511(2981)
 
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島のシンボルである赤岩ではケイマフリやカモメ類を見ることができます。このほか、観察舎からはウミネコやケイマフリ、ウミガラスなどの繁殖も観察できます。海岸の草原ではノゴマなどの夏鳥も多く、最近では日本海上の渡りの休息地として、ヤツガシラやツメナガセキレイなどのめずらしい鳥も記録されています。北西側の断崖を回る観光船が出ており、船上からも岩壁や海上で餌を採っている鳥を観察することができます。春には羽幌と天売を結ぶフェリーから、アカエリヒレアシシギの大群やミズナギドリ類、初夏にはケイマフリやウミウ、カモメ類を見ることができます。
 
  天売島はウミガラス(通称:オロロン鳥)やウトウ、ケイマフリなどが繁殖し、数多くの海鳥が見られることから海鳥の楽園として有名な島です。近年、繁殖するウミガラスが激減しており、その対策が講じられていますが良好な状況になるまでは至っておりません。島の北西側は断崖の続く風光明媚な海岸線となっています。西側の赤岩灯台の斜面はウトウの繁殖地となっており、地面にたくさんの巣穴が見られ、夕方にはヒナに餌を与えるためにオオナゴなどをくわえて戻ってくる親鳥の姿が見られます。また、このエサを横取りしようとするウミネコとの戦いも見られます。
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観音岬展望台
 
 
47 焼尻島(やぎしりとう)
 【イチイ(オンコ)の自然林】
 所在地  羽幌町
 問合せ先 羽幌町焼尻支所 01648-2-3131   北海道留萌振興局 0164-42-1511(2981)
  
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 島の東、街の背後にあるミズナラやイタヤカエデの多い林の下に、枝を広げたイチイがたくさん生育しています。特に、海の見える丘のイチイ「オンコの荘」は高さは2m、枝張り10mにも達し、大きな盆栽のような姿は見事です。
  天売島の隣りの島が焼尻島で、こちらには海鳥類の繁殖地はありませんが、島の草原や藪にはノビタキなどの夏鳥が多く見られます。
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イチイ林
 
 
48 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター森林圏ステーション天塩研究林(旧北海道大学天塩演習林)     
 【針葉樹林 森林の動物】
 所在地  幌延町・天塩町・中川町
 問合せ先 森林圏ステーション 01632-6-5211
 
  中川町を中心に広がる北海道大学の試験研究林で、深い森にヒグマやクマゲラ、エゾリス、キツネ、エゾクロテン、モモンガなどが生息しています。また、蛇紋岩地帯で、テシオコザクラやテシオソウなどの特殊な植物が見られ、アカエゾマツ林や高層湿原などもあり、知られざる自然の宝庫です。研修などの目的で許可を得て入林することができます。幌延町問寒別(といかんべつ)から中頓別町知駒(しりこま)へ抜ける道路からはこの森を遠くに望むことができ、知駒山にはハイマツもあります。 048.jpg
  
 
49 鬼鹿漁港~羽幌港
 【海鳥 サケの遡上 蜃気楼】
 所在地  小平町・羽幌町
 問合せ先 小平町 01645-6-2111
  
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これは、下位の蜃気楼で海面からの陽炎が鏡のような働きによるものです。(蜃気楼:40サロベツの項参照)
▲周辺地
  苫前町三豊はひなびた漁村の趣があり、海岸からは天売島・焼尻島が眉毛のように水平線に浮かんで見えます。
  鬼鹿漁港から羽幌港にかけての海岸の草原ではノビタキやベニマシコ、モズなどが、ササ原ではウグイスが多く見られます。日本海に流れ込む川にはサケが遡上し、河口近くの橋の上からサケを見ることができます。また、川口周辺の砂浜で渡りの時期にシギやチドリが時おり羽を休めることがあり、カモメ類も多く見られます。小平町の望洋台では海岸のカシワ林を散策でき、海岸の旧道では海岸の草花を楽しむことができます。冬季は港でクロガモやウミアイサ、コオリガモ、シノリガモなどをよく見かけます。5月から6月にかけて苫前町古丹別川河口付近から天売島、焼尻島を眺めると、島の下方に幻の島が現れます。
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苫前海岸
 
 
  50 朱鞠内湖(しゅまりないこ)
 【モモジロコウモリ イトウ 森林の鳥】
 所在地  幌加内町
 問合せ先 ふれあいの家「まどか」 01653-8-2266  幌加内町 01653-5-2121
  
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朱鞠内湖は森林に囲まれた大きな人造湖で、湖内には多数の島が浮かび道立自然公園に指定されています。湖にはイトウやサクラマス、アメマス、ワカサギが生息し、内水面漁業が行われています。湖水にはカモ類が多く、周囲の森にはクマゲラやオオアカゲラ、オオルリ、アカショウビン、アオバトなどが見られます。朱鞠内地区から約1kmほど湖畔側にあるトンネルにはモモジロコウモリが多数生息し、観察できるのももここならではのものです。コウモリを間近に見ることができる道内でも珍しい場所です。また、朱鞠内地区には元小学校校舎を改築した自然や農業を体験できる宿泊研修施設ふれあいの家「まどか」があります。ここでは笹紙作りや手打ちそば作り、木工クラフト作り、バター作りなどの体験メニューが用意されており別な形で自然の恵みを感じてみてはいかがでしょうか。
   
 
51 ウエンシリ岳
 【針葉樹林 森林の鳥】
 所在地  西興部村(にしおこっぺむら) 下川町
 問合せ先 西興部村 01588-7-2111
 
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  ▲周辺地
  名寄市と下川町の境にあるピヤシリ山には登山道が整備されており、山頂ではハイマツが見られます。
  ウエンシリ岳の入り口付近には、夏に山麓の沢に残った雪で作られる氷のトンネルがあります。夏に見る雪の物珍しさで大勢の方が訪れ、涼を楽しみますが、落雪で事故が発生することもあるので注意が必要です。山麓はミズナラやイタヤカエデ、トドマツなどの針広混交林が、沢沿いにはカツラやハルニレなどの渓畔林などが比較的よく残された森があります。エゾマツやトドマツの針葉樹林は山の中腹にも見られ、クマゲラなど森林性の鳥が多く見られます。山頂付近はハイマツに覆われ、コイワカガミやエゾツツジ、シナノキンバイソウ、ナガバキタアザミなどの高山植物が見られます。山頂からは利尻島や大雪山などを望むことができます。この周辺はヒグマの多い地域ですので、十分な注意が必要です。
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エゾツツジ
   
 
52 紋別山
 【広葉樹林 森林の鳥】
 所在地  紋別市
 問合せ先 紋別市 01582-4-2111
 
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エゾライチョウ
  ▲周辺地
  冬季は、流氷砕氷観光船のガリンコ号に乗って流氷上の動物たちを観察することをおすすめします。年により流氷の動きが違いますので、流氷情報の入手が必要です。紋別港には、流氷を海中から展望できる施設「オホーツクタワー」があり、流氷についての様々な情報を提供しています。
  紋別市の背後にあるイタヤカエデやシナノキ、ミズナラなどからなる山(通称:大山)で、手軽なハイキングコースが整備されております。北海道の森林性の鳥は一通り見られ、エゾライチョウも期待できます。エゾリスやシマリスもよく見かけ、山頂には展望塔(オホーツクスカイタワー)があり、オホーツク海岸を眼下に望み、遠く知床半島や大雪山連峰も眺望できます。
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53 オムサロ原生花園~沢木海岸
 【海岸の植物 草原の鳥】
 所在地  紋別市 興部町(おこっぺちょう)・雄武町(おうむちょう)
 問合せ先 紋別市 01582-4-2111
 
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冬季には海岸や河口にオジロワシが見られ、間近に流氷を眺望することができます。紋別市から北の海岸はあまり注目されない場所で、訪れる人も少なく心ゆくまでのんびりと自然を堪能することができます。
  紋別市の渚骨(しょこつ)川河口に広がるオムサロ原生花園は、オホーツク海に面した海岸線約1kmの砂丘地帯にあり、夏はハマナスやゼンテイカ、ツリガネニンジンなどの花が咲き誇り、草原性の夏鳥が多く見られます。オムサロ原生花園には休憩施設「オムサロ・ネイチャー・ビュー・ハウス」があります。沢木付近まで海岸にミズナラ林があるのも特徴です。
53e.jpg ノビタキ
 
 
54 コムケ湖・シブノツナイ湖
 【シギ・チドリ類 水辺の鳥 草原の鳥】
 所在地  紋別市  
 問合せ先 紋別市 01582-4-2111
  
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  コムケ湖やシブノツナイ湖は海跡湖で、海岸には原生花園が広がり、ノゴマやノビタキ、オオジシギ、シマアオジ、カッコウなどの草原の鳥たち、岸辺のヨシ原からはコヨシキリの声も聞かれ、アオサギやカモの姿も見られます。渡りシーズンにはカモ類、コハクチョウやオオハクチョウが飛来してしばらく滞在するほか、道内でも有数のシギ・チドリ類の渡来地として知られており、春、秋にはチュウシャクシギやアオアシシギ、ダイゼン、メダイチドリなど多くの種類が見られます。
  秋になるとコムケ湖の湖岸では、アッケシソウ(通称:サンゴ草)があかく色づきます。冬季は海岸にオジロワシが飛来し、流氷の上に止まるのを見ることもあります。ユキホオジロやベニヒワが草原に群れていることもあります。
 ▲周辺地
  オホーツク海沿いに発達した砂丘では、海浜植物から内陸に高山植物が続いて生育している状況を観察することができます。また、この海岸線一帯や湖はバードウォッチングに最適な場所になっています。
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マガン
   
 
55 浮島湿原
 【針葉樹林 湿原の植物 森林の鳥】
 所在地  上川町・滝上町(たきのうえちょう)
 問合せ先 上川町 01658-2-1211 滝上町 01582-9-2111
 
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鳥は湿原までの道でキビタキやウグイス、ツツドリなどが見られ、湿原ではビンズイが多く、アカエゾマツの先で鳴くのを見ることができます。
  浮島湿原は標高約860mの平坦地に広がる約22haの高層湿原です。国道273号の浮島トンネルの上川町側の入り口手前を旧国道に入り、エゾマツやダケカンバを見ながら登山道の入り口に到着します。駐車場から針葉樹林やササ原の中を歩き、約20分で湿原の入り口に至ることができます。湿原はアカエゾマツ林に囲まれており、中には湿原内に生えているものもあります。湿原には木道が整備されており安全に自然を堪能できます。湿原ではチングルマやツルコケモモ、ヒメシャクナゲ、ホロムイツツジ、ワタスゲ、タチギボウシなどたくさんの花を見ることができます。湿原の中には大小さまざまな沼(池塘)があり、沼に浮島が浮かんでいるのもあります。
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浮島湿原
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