新たな北海道グローバル戦略
(素案)
令和7年(2025年)11月
北 海 道
目次
第1章 本戦略の基本的な考え方...1
1 策定の趣旨...1
2 位置づけ...1
3 推進期間...1
4 持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献...2
第2章 前北海道グローバル戦略の振り返り...3
第3章 北海道を取り巻く国際情勢と現状...7
1 北海道を取り巻く国際情勢...7
(1)人口・市場の見通し...7
(2)国際関係...9
(3)世界的な潮流...10
2 北海道の現状と課題...11
(1)人口・生活...11
(2)産業...14
(3)国際交流を担う人材育成、支える基盤...18
第4章 展開方向...21
1 北海道のめざす姿...21
2 展開方向と推進に当たっての視点...21
3 展開方向...23
展開方向1 外国人を引きつけ、共生する地域づくり...23
(1)外国人材の確保...23
(2)地域における外国人との共生...24
(3)インバウンド...25
展開方向2 優位性を生かした投資・産業の呼び込みと世界目線の産業振興...28
(1)産業振興...28
(2)海外展開...30
展開方向3 国際交流・協力による地域間のつながりの拡大...32
(1)多彩な交流...32
(2)人・地域のつながり...33
(3)グローバル人材...34
4 北海道と世界各地域との交流の方向性...37
5 道内各地域における国際施策の展開...51
(1)地域における特徴的な取組事例...51
(2)総合振興局及び振興局と地域との連携の取組...63
第5章 戦略の推進...69
1 推進体制...69
2 推進管理...69
3 北海道総合計画の関連指標...70
4 モニタリング数値...71
5 戦略に関する情報発信...72
第1章 本戦略の基本的な考え方
1 策定の趣旨
世界では、人、物、資本や情報などの国際的な移動が活発化するとともに、国際的なサプライチェーンやSNSを通じた文化面を含む異なる価値観への接触機会の拡大など、世界全体で相互に依存、影響を与え合う、いわゆるグローバル化の流れがDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展などにより加速しています。
グローバル化は、私たちの視野を世界へと広げ、貿易・誘客などの市場拡大、人材交流の活発化といったメリットが挙げられる一方で、言語や文化・習慣の違いなどから生じる問題や経済・食料安全保障へのリスク、国際情勢等がエネルギーや物価など私たちの生活に直接・間接に及ぼす影響など留意すべき点があることも顕在化してきました。
道では、こうしたグローバル化の流れを見極め、的確かつ迅速に対応することが重要であることから、海外との交流の展開方向など、今後、北海道がめざす姿を道民の皆様と共有する指針として、2017年(平成29年)12月、「北海道グローバル戦略」を策定しました。
本戦略に基づき、幅広い分野における施策を展開してきましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う社会経済情勢の変化や、ロシアによるウクライナ侵略など、刻一刻と変化する国際情勢に機動的に対応するため、2021年(令和3年)12月及び2023年(令和5年)9月に本戦略を改訂しました。
現下では、米国による一連の関税措置をはじめとした自国第一主義や長期化するロシアによるウクライナ侵略、中東やアジアにおける動きなど、北海道を取り巻く国際情勢はめまぐるしく変化しており、多様なグローバル・リスクが顕在化する一方で、経済・食料安全保障などの分野で本道が果たす役割への期待が高まっています。
こうした中、関係法令を遵守し、地域のルールを尊重するなど地域と世界の調和を前提としながら、世界の中の北海道として、本道のめざす姿とその実現に向けた展開方向を道民の皆様と共有することはますます重要となることから、新たな北海道グローバル戦略を策定し、道民や市町村をはじめ多様な主体と連携して、国際関連施策を総合的に推進します。
経済・食料安全保障と地域が直面するリスクへの考え方
経済・食料安全保障の確保を踏まえて国際施策を展開するとともに、交流の活発化に関連する様々なリスクを念頭に、安全・安心の確保や道内産業の持続的な発展など地域の成長につなげていくことを前提として各種施策を推進します。
2 位置づけ
本戦略は、北海道総合計画が示す政策の基本的な方向に沿って策定する特定分野別計画であり、本道がめざす姿とその実現に向けた展開方向を道民の皆様と共有し、国際関連施策を総合的に推進するための指針です。
3 推進期間
国際情勢が大きく変わりうる中、推進期間は2026年度(令和8年度)から2030年度(令和12年度)までの5年間とし、めまぐるしく変化する情勢を踏まえて、期間中も機動的に見直しを行います。
4 持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」とは、2015年(平成27年)9月、国連で採択された、先進国を含む2030年(令和12年)までの国際社会全体の開発目標で、17のゴール(目標)とその下位目標である169のターゲットから構成されています。
2018年(平成30年)12月、道は「北海道SDGs推進ビジョン」を策定し、当該ビジョンに沿って、多様な主体と連携しながら、北海道全体でSDGsの推進を図ることとしています。
本戦略では、気候変動問題などへの対応を通じた国際貢献の取組など、SDGsの理念と合致する各施策の推進を通じ、世界共通の課題解決への貢献を図ることとしており、本戦略とSDGsの達成を見据えた政策展開との関連性を可視化するため、「第4章展開方向」において、関連するSDGsの17のゴール(目標)を示しています。
なお、2024年(令和6年)9月に開催された国連未来サミットで採択された「未来のための協定」において、2027年(令和9年)から次期目標に向けた議論を開始することとされており、今後その動向を注視していくことも必要です。
第2章 前北海道グローバル戦略の振り返り
前戦略では「世界をより身近に、世界を舞台に活躍」をめざす姿として、また、「北海道の魅力が評価を受け、北海道ブランドが世界に浸透」、「人と人とのグローバルな絆の広がり」、「グローバルな視点を有して活躍する足腰の強い産業の育成」といった将来の北海道のイメージを示し、その実現に向け、「北海道の魅力や強みを活かした海外展開」、「世界と北海道をつなぐ環境づくり」、「世界情勢の変化への機動的で柔軟な対応」の3つを展開方向として、グローバル化に対応する取組を推進してきました。
推進期間中には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やそれに伴うデジタル経済の拡大、国際的なサプライチェーンの再編、ロシアによるウクライナ侵略など、これまでの想定を超える大きな国際情勢の変化を踏まえて2度の改訂を重ねるなど、大きな情勢変化に機動的に対応しながら国際施策を展開しました。
本戦略の効果的な展開に向けては、有識者会議を常設化し、幅広い分野の有識者から意見を聴取しました。会議を通じて、国際情勢の変化による影響や課題について道が専門的な知見を得るとともに、道と関係団体が現状認識や各々の施策の方向性を共有しながら有機的に取組を展開しました。
2017年(平成29年)の策定以降、輸出やインバウンドは拡大傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やウクライナ情勢、中国による日本産水産物の輸入停止などの社会経済情勢の大きな変化による影響を受け、一時的に大きく落ち込みました。その後、リスク対応力の強化や多角化といった取組も進め、その水準を回復し、又は上回りつつあります。
世界を俯瞰すると、北海道の旅行先としての認知度は、東・東南アジアでは高い一方、米国や欧州、インド等では未だ低位に留まっており、本道の持続的な発展に向けては、今後は新たな市場においても北海道の認知度向上を図り、世界から産業、人、投資などを呼び込むことが必要です。在留外国人は2017年(平成29年)の3万人から2024年(令和6年)には6万人へと倍増し、国際航空路線も便数が過去最多を更新するなど、戦略に掲げためざす姿に沿った変化が見られましたが、地域における担い手の不足は深刻化しており、外国人材の定着には課題があるため、2027年(令和9年)から開始される育成就労制度に向けても、外国人材を受け入れる環境整備が必要です。
道内輸出関連企業・団体においてリスク分散に向けた輸出先の多角化が進展したほか、経済・食料安全保障に関わる国の政策において本道の位置づけや求められる役割が明確化されるとともに、一層グローバル・リスクへの対応力を強化することが求められており、本道の優位性を生かした海外の成長力の取り込みが重要となっております。
本戦略において実施した主な取組は次のとおりです。
展開方向Ⅰ:北海道の魅力や強みを活かした海外展開
(1)北海道ブランドの確立と戦略的活用
・分野横断的に本道の魅力を発信
欧米やアジアにおける現地プロモーションの実施など
(事例)米国(2025.1)、ベトナム・シンガポール(2023.11)など現地での北海道プロモーションの実施
・北海道ブランドの展開を推進
食・観光の展示会出展や国別の取組など
(事例)HOKKAIDO LOVE!を合言葉に海外旅行博等でPR(2021年度~)、北海道どさんこプラザでの道産食品のPR、道産食品輸出塾(2019年度~)
・道内への投資促進に向けた取組を展開
セミナーの開催や視察支援など
(事例)台湾での半導体展示会出展や投資促進セミナーの実施(2024.9)、国際会議での投資環境のPR(2024.10)、国とJETRO(日本貿易振興機構)事業を活用した投資の誘致(2019.6)
・国際イベント開催を促進
市町村の誘致活動や開催経費支援など
(事例)G20観光大臣会合(2019.10)、G7札幌気候・エネルギー・環境大臣会合(2023.4)、アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(2023.9)などの開催
(2)グローバル・ネットワークの強化
・デジタル技術を活用した交流を推進
SNSによる情報発信やオンライン会議活用など
(事例)海外事務所のホームページやSNS等を通じた地域の魅力発信
・道内企業等の現地活動を支援
友好提携地域との周年事業や海外事務所の運営など
展開方向Ⅱ:世界と北海道をつなぐ環境づくり
(1)多文化共生社会の形成
・住民同士の相互理解を促進
日本人と外国人の交流イベントの開催、地域日本語教育の体制整備など
(事例)日本語教育等による多文化共生推進事業(2023.7~)、日本語教育関係者を参集した北海道日本語教育推進会議を開催(2024年度:4回)、6市町で日本語学習支援者養成講座を開催(2024年度)
・外国人にも暮らしやすい地域づくりを推進
外国人相談センターの設置運営など
(事例)外国人相談センターでの多言語による相談対応・情報発信(2019.8~)、JICA(国際協力機構)との包括連携協定による多文化共生の推進などの連携した取組の推進(2022.2締結)
(2)人材・技術を活用した交流・協力の促進
・外国人材の受入れ環境づくりを支援
外国人材確保に向けたセミナー開催など
(事例)外国人材採用・定着セミナーや座談会、合同企業面談会の実施(2024.10)、北海道で働き暮らす魅力のPR動画配信(2020.10~)
・グローバル人材の育成を推進
道内の若者や高校生の海外留学の支援など
(事例)「ほっかいどう未来チャレンジ基金」を活用した海外留学支援
(3)国際交通網の拡大・物流機能の強化
・国際航空路線等の拡大を促進
航空会社やクルーズ会社へのプロモーションなど
(事例)航空会社へのトップセールスの実施(2024.12)、SNSを活用した利用促進PR(2024.3)
展開方向Ⅲ:世界情勢の変化への機動的で柔軟な対応
(1)世界を視野に入れた力強い地域経済の確立
・本道の自然・文化等の魅力を発信
欧州、北米、豪州における観光レップの活用、アドベンチャートラベルの推進や縄文・アイヌ文化等の本道の魅力の発信など
(事例)ATWS北海道・日本の開催(2023.9)、海外インフルエンサーを活用したアイヌ文化の魅力発信(2024年度)
・GX(グリーン・トランスフォーメーション)とAI-DX関連産業の呼び込み、社会情勢の変化への対応に向けた取組を推進
企業招へいや米国などとの新たな関係づくり、企業の生産拠点の移転やスマート技術の導入支援 など
(事例)欧州(2024.10)や米国(2025.1)など現地での投資プロモーションの実施、州政府等とのMOU締結(2024.8)、環境配慮型データセンターの誘致活動の実施(2021~2023年度)、企業立地促進に向けた助成(2023年度:19社、26件)
(2)海外展開・交流におけるリスクマネジメント
・道内企業のグローバル・リスクへの対応力強化を促進
輸出先の多角化やECの活用支援など
(事例)香港、台湾、ASEAN、欧州を対象にリスクマネジメントや商談スキル向上のためのセミナーを開催(2023年度)
・リスクに対する官民連携の対応
(事例)道内の宿泊施設等の協力によるホタテ消費キャンペーンの実施(2022年)
・迅速な情報共有の仕組みを構築
有識者会議の常設化や知的財産に係るセミナー開催など
(事例)有識者会議の常設化(2023.10)、JETRO北海道との連携連絡会議の開催(2021年度~)
○北海道グローバル戦略では、上位計画である北海道総合計画の指標を本戦略の関連指標として参考掲載しています。前戦略に掲載した前の北海道総合計画(2025年度を目標の設定年次として目標値を設定)の指標について、最新の数値の状況は、次のとおりとなっています。
指標名 基準値 数値 年(度) 現状値 数値 年(度) 目標値 数値 年(度)
道産食品輸出額 663億円 2014年 1,507億円 2023年 1,500億円以上 2025年
輸出額 4,787億円 2014年 3,557億円 2023年 7,250億円 2025年
国際会議等の開催状況 107件 2014年 48件 2023年 140件 2025年
観光入込客数(うち外国人) 244万人 2014年度 283万人 2024年度 - -
国際理解教育を行っている公立高校の割合 71.0% 2014年度 100% 2024年度 100%を維持 2025年度
外国人留学生数 2,588人 2014年度 4,753人 2023年度 3,700人 2025年度
外国人居住者数 23,534人 2014年 67,484人 2024年 51,000人以上 2025年
道内空港の国際線利用者数 205万人 2014年度 409万人 2024年度 380万人以上2025年度
※観光入込客数(うち外国人)の目標値は、総合計画改訂当時、新型コロナウイルス感染症の影響により当面設定が困難であることから、目標値を設定することができる状況となり次第、設定することとしていた。
○有識者の意見
(評価する点)
・国際情勢に応じた改訂や、輸出やインバウンド誘客の多角化、GX・DXや人材における呼び込みへの着手、有識者会議の常設化など変化を捉えた戦略推進を図ってきた。
・社会経済情勢の変化に応じて2度改訂するなど柔軟に対応。
・有識者会議の常設化により国際関連業界同士のネットワーク形成につながった。
(改善点)
・多文化共生などを進めていく上で、振興局や市町村との連携強化は重要。
・北海道の成長推進の観点から、半導体や宇宙、GX・DXをはじめ、重点分野の明確化。
・外国人材などの分野について有識者を追加。
(戦略の必要性)
・本道経済の発展には世界を意識することは不可欠であり、グローバル戦略を道標として示すことは重要。
・国際施策は多分野にわたるため、道の方針を全体的に俯瞰できる戦略は必要。
(推進期間について)
・国際情勢に適切に対応するためには、8年では長く、5年程度が適切。
・特別な事情があれば、また大きな見直しをしてもよい。
・半導体や宇宙、GX・DXなど特に変化が早いなど機動的に対応すべき分野を踏まえて期間を検討。
第3章 北海道を取り巻く国際情勢と現状
1 北海道を取り巻く国際情勢
(1)人口・市場の見通し
我が国の人口は、2008年(平成20年)以降減少し、高齢者が3割に迫る勢いとなっており、市場の縮小が懸念されています。
一方、世界全体では、2080年代半ばに向けて人口は増加を続け、約103億人に達するものと予測されており、特に、インドが2023年(令和5年)に中国を抜いて世界1位となるとともに、アフリカが2050年(令和32年)に世界人口の4分の1に達するといわれるなど、グローバル・サウスと呼ばれる開発途上国・新興国が存在感を強めています。
市場の動向については、直近では保護主義の動きも見られますが、これまでの傾向としては、各国・地域間の自由貿易協定や経済連携協定などにより世界全体の経済規模が拡大しており、道内企業のビジネスチャンスの拡大につながっています。
こうした中、過去20年の世界のGDPに占める先進国、新興国の割合を比較すると、米国が世界の4分の1を占め一貫して世界経済の中心にありますが、G7の占める割合は約6割から4割に減少する一方で、中国は約5%から15%を超えるまでに成長しており、インドは我が国を抜いて世界4位の経済大国になると言われるなど新興国の比重は高まっています。
■地域別の世界人口
(グラフ)
出典:国立社会保障・人口問題研究所「国連世界人口推計World Population Prospects2024年版について」
■北海道の人口規模
(表)
出典:各国の人口 総務省「世界の統計2025」、北海道の人口 住民基本台帳人口(平成27年1月1日現在、令和5年1月1日現在)
■自由貿易・経済統合の進展
(図)
出典:外務省「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組」
■世界の名目GDPに占めるG7の割合の推移
(グラフ)
出典:世界銀行「World Development Indicators」2025年10月時点
■IMFによる実質GDP成長率の国・地域予測
(表)
出典:IMF「2025年7月国際経済見通し改訂版」を元に北海道が作成
(2)国際関係
近年、各国・地域間の自由貿易協定や経済連携協定の締結が進んでおり、我が国においても、2008年(平成20年)の日・ASEAN包括的経済連携協定や2021年(令和3年)の日英包括的経済連携協定、2022年(令和4年)の地域的な包括的経済連携(RCEP)協定などにより多角的な貿易体制が強化されてきました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵略は、グローバル・サプライチェーンやエネルギーの安定供給、経済・食料の安全保障に関する意識の高まりなど、様々な面で世界的に大きな影響を及ぼしました。ウクライナ情勢や中東情勢、東アジアの安全保障環境など、現在、国際情勢は厳しい状況にあります。また、米国と中国の関係が世界経済に与える影響が懸念されているほか、EUやロシア、グローバル・サウスなど世界の多極化が進展し、米国の相次ぐ政策転換により国や個人など様々なレベルで対応を余儀なくされるなど、社会経済情勢の先行きに対する不透明感が高まっており、情勢の的確な把握と柔軟な対応が重要となっています。
(3)世界的な潮流
国際的なビジネス環境の大きな変化としては、1999年(平成11年)に提唱された「国連グローバル・コンパクト」、2015年(平成27年)に国連総会で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」を通じ、企業はサプライチェーンも含め、人権尊重や環境等に関する責任ある行動が求められるようになっています。
暮らしや産業、行政など様々な分野でAIやクラウド等の新たなデジタル技術を活用し、社会の仕組みや在り方を変革するDXの進展により、利便性が向上し、国境を越えたコミュニケーションが容易になった一方で、情報流通量が拡大し、これを支えるデジタル基盤の需要も高まっています。
世界各地で異常気象による災害が発生するなど気候変動の影響が顕在化し、パリ協定の採択以降、国内外で脱炭素化を目指すGXの動きが加速しています。
このような時流を踏まえ、的確に対応しながら、成長のエネルギーに変えていくことが重要となっています。
■国内のデータ通信量
(グラフ)
出典:経済産業省・総務省「デジタルインフラ(DC等)整備に関する有識者会合(第1回事務局説明資料)」
2 北海道の現状と課題
(1)人口・生活
2050年(令和32年)の本道の人口は約382万人、2070年(令和52年)には約281万人に減少する一方で、高齢者人口比率は、2020年(令和2年)現在の32.1%からそれぞれ42.6%、43.0%に上昇するものと見込まれています。このように人口減少・超高齢化が進行すると、生産・消費など経済活動の深刻な停滞、税収減による公共部門のサービス・投資余力の著しい低下など、地域の社会経済を支える重要な機能が危機的な状況に陥る恐れがあります。同時に、生産年齢人口も2020年(令和2年)の約299万人から2050年(令和32年)には約187万人と、2020年(令和2年)と比較して100万人以上、4割弱減少することが見込まれています。既に、多くの業種で人手不足が深刻化し、地域の産業と生活に与える影響が懸念されています。
さらに、道内では、小規模市町村で人口減少の進行度合いが強いことから、今後、そうした市町村では更に人口減少が進行することが見込まれ、人口の偏在や、市町村間の格差の拡大、経済規模の縮小や地域活力の低下が懸念されています。
我が国では1993年(平成5年)に導入された技能実習制度に加え、2019年(令和元年)には、深刻化する人手不足に対応するため特定技能制度が導入されたことも背景に、本道では2017年(平成29年)から2024年(令和6年)までの8年間に在留外国人が約2倍に増加し、在留者数が千人以上となる国・地域の数が6か国・地域から13か国・地域へと増加しました。在留資格も、国籍や滞在地域によって特色が見られ、一様ではありません。地域によっては、外国人住民が人口の3割を超える状況も見られます。さらに、技能実習制度に代わり、我が国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設され、2027年(令和9年)に予定される制度移行に向け、その具体的な制度設計の検討が進められているところです。
地域では貴重な担い手を確保するため、自治体や企業による外国人の受入れ・定着に向けた取組が進められています。一方、言語・文化・習慣の違いによる地域のルールなどへの理解不足や、住民同士のコミュニケーション不足が顕在化しており、外国人の受入れ・定着に向けては、お互いが地域社会の構成員であるという認識のもと、受け入れる側が、共生社会の実現について理解し協力するとともに、受け入れられる側も、共生の理念と日本の風土・文化や日本語、そして、日本や地域のルールや制度を理解し、責任ある行動をとることが必要となっています。このため、ルールなどの周知・徹底や住民間の交流の促進、さらには、外国人住民の国籍・地域の多様化も相まって、行政サービスの多言語化や支援体制の充実などが求められることから、ITなどを活用した効率的な対応が重要となります。
■北海道の総人口推計
(グラフ)
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(2023 年推計)」及びその推計方法に準拠して北海道が推計
■道内の在留外国人
(グラフ)
出典:法務省「在留外国人統計」
※各年12月末現在の人数
■外国人労働者数(在留資格別、産業別、国籍別(R6のみ)
(グラフ)
出典:厚生労働省北海道労働局「レイバーレター(令和6年度版)」
(グラフ)
出典:厚生労働省北海道労働局「外国人雇用状況の届出状況(令和6年10月末時点)」
■道内外国人留学生
(グラフ)
出典:(独)日本学生支援機構からの聞き取りを元に北海道が作成
※留学生数=高等教育機関及び日本語教育機関の在籍者数
(2)産業
多様な業種の道内企業が広く世界各地で海外ビジネスを展開しています。
一方、外資系企業による日本国内のビジネス拠点は首都圏に集中する傾向が強く見られます。
2020年(令和2年)、国は、農林水産事業者の利益の拡大を図るとともに、輸出の拡大を実現するため、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」を策定しました。本道は我が国の食料等の供給地域として多くの農産物や水産物、木材で全国一の生産量を誇っており、生産者や事業者、支援機関等が連携しながら輸出拡大に向け取り組んできた結果、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国等による日本産水産物の輸入停止を経験しつつも、道産食品の輸出額は2023年(令和5年)に1,507億円に達したほか、海外展開も視野に入れた道産木材製品のブランド化が進んでいます。2024年(令和6年)、国は「食料・農業・農村基本法」の改正に当たり、海外への輸出を図ることにより食料の供給能力を維持することを明記しました。
世界全体の観光客数は経済規模の拡大に合わせ堅調に拡大しています。訪日外国人旅行者数は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を契機とした各国の対応により大きく減少したものの、2024年(令和6年)に3,687万人となり過去最高を記録しました。2025年(令和7年)には20年ぶりの日本開催となる大阪・関西万博が開催されました。本道は知床世界自然遺産や、2024年(令和6年)に新たに国立公園に指定された日高山脈襟裳十勝国立公園、世界文化遺産の「北海道・北東北の縄文遺跡群」など、自然・歴史・文化・食といった豊かな観光資源に恵まれており、2023年(令和5年)にはアジアで初めてアドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)が実地開催されました。観光地としての魅力がさらに高まり、国内外から多くの観光客を引きつけるようになった一方、宿泊施設における人材確保が課題となっているほか、一部地域においては、混雑やマナー違反による地域住民の生活や自然環境への影響などが生じている状況への対応が必要となっています。
本道は広大な土地と冷涼な気候が特徴であり、風力・太陽光・中小水力などの再生可能エネルギーが豊富に賦存しており、道内には国が指定する洋上風力発電の整備に向けた促進区域が2か所、有望区域が3か所、準備区域が2か所設定されています。次世代半導体の製造拠点が立地し、量産開始に向けてプロジェクトが進められています。また、2023年(令和5年)5月、国は、北海道を東京圏や大阪圏を補完・代替するデジタルインフラの中核拠点に位置づけました。さらに、2024年(令和6年)1月には、北海道と札幌市が共同で「北海道・札幌『GX金融・資産運用特区』」を提案し、6月、北海道・札幌市が全国4か所の金融・資産運用特区の一つとして決定され、併せて、北海道全域が国家戦略特別区域に指定されました。加えて、道内では、札幌市において海外企業誘致の推進に向けて同年10月に海外企業受入ワンストップ窓口が開設されました。また、民間に開かれたロケット射場である北海道スペースポートの整備が大樹町において進められており、ロケットをはじめとした宇宙機器産業や衛星データを活用したサービスなど宇宙産業への参入機運が高まっています。
今後、再生可能エネルギー電源開発や再生可能エネルギーを活用したデータセンターの立地、国際的な光海底通信ケーブルの陸揚げ計画、北海道スペースポートにおける民間ロケットの打上げなど、関連産業の集積促進が期待されています。
一方、建設工事による騒音や交通渋滞、特有の生態系が形成されている自然環境や良好な景観への影響、誘致先が撤退した際の空洞化のリスク、インフラ整備等に伴う財政負担の増加が懸念されています。
■北海道の経済規模(名目GDP)
(グラフ)
出典:IMF 「World Economic Outlook」2015年度及び2021年度 道民経済計算
※表は2015年度及び2022年度のデータ
※北海道の名目GDPは各年の平均レートで換算し算出
■外資系企業の本社所在地
(表・グラフ)
出典:JETRO「2024年度外資系企業ビジネス実態調査」
■食品輸出額
(グラフ)
出典:道「北海道食の輸出拡大戦略推進状況報告」
■訪日外国人来道者数
(グラフ)
出典:道「北海道観光入込客数調査報告書」訪日外国人来道者(実人数)
■訪日外国人来道者数(国・地域別)
(グラフ)
出典:道「北海道観光入込客数調査報告書」訪日外国人来道者(実人数)をもとに作成
■道内企業の海外進出拠点数
(グラフ)
出典:JETRO北海道「道内企業の海外事業活動実態調査」(2024年調査)
※自社拠点及び自社拠点以外で海外展開を行っている企業の合計
(3)国際交流を担う人材育成、支える基盤
道内の各地域で、また、日常的に海外との関わりが感じられるようになっており、こうしたグローバル社会に的確に対応し、北海道の地域活性化に貢献する人材の育成が重要となっています。
一方、道内における旅券発行数、出国者数や海外に留学する道内の学生数は増加傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止措置の影響を受け減少するなど、社会情勢に左右されやすく、海外の多様な文化や価値観に触れる機会の確保が課題となっています。
道や道内自治体が外国自治体との間で取り組む姉妹関係に基づく友好交流や、道内に立地する総領事館、国の地方支分部局、JICAやJETRO、HIECC(北海道国際交流・協力総合センター)等の関係機関、官民が設置する海外事務所などは道民や企業・団体の交流基盤となっています。
■道内の年別旅券発行数と出国者数の推移
(グラフ)
出典: 旅券発行数 外務省「旅券統計」、
出国者数 法務省「出入国管理統計」
■都道府県別旅券保有率
(表)
旅券保有率(外務省「旅券統計」)及び総務省人口推計「総人口(各年10/1現在)を基に北海道まとめ
■海外留学する道内学生
(グラフ)
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(人) |
出典:(独)日本学生支援機構からの聞き取りを元に北海道が作成
第4章 展開方向
1 北海道のめざす姿
国際情勢の変化に対応し、道内各地域、そして北海道が持続的に発展していくため、将来の方向性を「めざす姿」として定め、道民や市町村をはじめ多様な主体と共有します。
めざす姿 「地域と世界が調和しながらともに発展し、世界で輝く北海道」
めざす姿の考え方
本道が人口減少の進行と地域社会の縮小に直面する中、地域と調和しながら、世界の活力を呼び込み、地域と世界の持続的な発展・成長につなげていくことが必要となっています。
また、国際情勢がめまぐるしく変化し、多様なグローバル・リスクが顕在化する中、北海道には、豊かな自然、多彩な食や観光の資源、再生可能エネルギーといった世界に誇るポテンシャルがあり、経済・食料安全保障など本道が果たす役割への期待が高まっています。
広域分散や積雪寒冷といった地域特性から、広大な土地や冷涼な気候などの優位性を見いだしつつ、本道の各地域と世界が調和しながら、グローバル化の進展を力として、誰もが安心して暮らし、世界の中の北海道として活躍していくことをめざします。
2 展開方向と推進に当たっての視点
本戦略では、「めざす姿」の実現に向けて、取り組むべき施策とその位置づけを明らかにするため、3つの展開方向を設定し、関連する施策を体系的に示します。
展開方向1 外国人を引きつけ、共生する地域づくり
外国人の方々が北海道を訪れたいと思うとともに、外国人が地域を理解し、日本人と外国人双方にとって働き暮らしやすい環境づくりを進め、外国人の方々の訪問や活躍を本道の地域の持続的な発展につなげます。
展開方向2 優位性を生かした投資・産業の呼び込みと世界目線の産業振興
広大な大地や豊かな海に抱かれた本道の特性や食、観光、再生可能エネルギーなどのポテンシャルを発揮することで、地域づくりと調和のとれた良質な投資など海外の活力の呼び込み、北海道ブランドの海外への広がりと活用などにより経済交流を推進し、本道経済の活性化や世界の課題対応への貢献につなげます。
展開方向3 国際交流・協力による地域間のつながりの拡大
国際交流の基盤となるネットワークづくりやグローバル人材の育成を進め、外国人材の確保や多文化共生、経済交流の推進はもとより、本道の特性やこれまで培ってきた技術・ノウハウを活用した国際協力や、多様な主体による海外との多彩な交流の創出・活性化につなげます。
また、戦略の推進に当たっては、次の3つの横断的な視点に基づき施策を展開します。
視点1 経済・食料安全保障や地域の安全・安心を確保しながら、海外の活力を地域の成長につなげる
本道が我が国の経済・食料安全保障に寄与していくことや安全・安心を確保しながら、地域固有の特性や多彩な地域資源を活用し、海外との交流を地域の成長につなげる視点を持ちます。
視点2 リスクマネジメントの強化、リスクをチャンスととらえる
グローバル・リスクに対し的確な分析・評価を行うなどリスクマネジメントを強化しながら、本道の発展にもつなげる視点を持ちます。
視点3 ターゲットやニーズの明確化と相乗効果の創出
ターゲットやニーズを明確化するとともに、分野や政策、国や地域などを俯瞰し、多様な主体と有機的に連携して施策を展開し、相乗効果を得る視点を持ちます。
3 展開方向
展開方向1 外国人を引きつけ、共生する地域づくり
(1)外国人材の確保
現状・対応方向
北海道の在留外国人数は、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に減少したものの、2024年(令和6年)12月には67,484人と過去最高となり、道内で就労する外国人も増加しています。
一方で、全国を上回るスピードで進行する人口減少と少子高齢化に伴い、道内の生産年齢人口(15~64歳)は減少し、農林漁業をはじめ、建設や運送、介護や観光などのサービスといった道民の暮らしや地域を支える様々な分野で人手不足が深刻化し、令和元年に運用が開始された特定技能制度などにより多くの業種で外国人材が担い手となっていますが、制度の運用等における課題なども見られます。
本道の持続的発展に向けては、2027年(令和9年)に予定される育成就労制度の開始を見据え、地域のルールを尊重した上で、日本人と外国人が共に安心して働き、暮らすことができる環境づくりを地域と共に進め、賃金の比較だけでは得ることのできない、北海道で働き、暮らすことの魅力や価値を発信し、一次産業や製造業、医療・介護など労働者の確保が課題となっている分野や、デジタル関連産業や教育・研究機関など世界的に高度人材の確保が課題となっている分野において、外国人材を受け入れていくことが、今後ますます重要になります。
重点国・地域
外国人材の確保先としてのこれまでの実績、人口や現地政府による人材送出の積極的な取組など今後のポテンシャルが大きい国を選定
・アジア
・ベトナム(高度人材、技能系人材)
・インド(高度人材、技能系人材)
・インドネシア(技能系人材)
・ネパール(技能系人材) 等
※その他の国・地域についても、国際情勢や国の政策の状況等を踏まえながら、関連する計画等と連動した取組を展開します。
施策の方向性
・外国人材の円滑な受入れに向けた、行政や関係機関等との連携による連絡会議の開催等、関係者による課題の把握や情報の共有
・外国人材の雇用を希望する食品製造等多様な分野の団体や企業に対する相談対応等の支援
・外国人材の雇用を希望する企業と道内での就職を希望している留学生等との交流会や企業見学会等による外国人材とのマッチングの支援
・外国人による日本の法令の遵守、地域のルールやマナーについての情報発信
・外国人材の採用・定着に向けた在留資格などの諸制度や受入れ環境づくりに関する道内企業・団体等の理解促進
②北海道で働き暮らす魅力の発信
・重点国の関係機関等との関係構築に取り組むとともに、外国人材の受入れが多い国の関係機関に向け、北海道での実習・就労に関心のある外国人に対する就業環境や生活環境の情報発信
・ベトナムをはじめ、外国人材の受入れが多い国と北海道とのネットワークを生かした、現地関係機関と道内企業との交流機会の創出
・育成就労制度を見据えた増加する国内の外国人に対する北海道の魅力のPR
各主体の役割
行政:外国人材に関する制度周知、外国人材に対する就業環境・生活環境の情報発信、企業と外国人材のマッチング支援など
企業・団体・教育:適正な労働条件・雇用管理の確保、就業環境の適正化、外国人材の受入れ、住宅確保や日常生活への支援、同僚となる日本人への啓発と外国人材との円滑なコミュニケーションの確保、外国人材が地域と関わる機会の確保
道民:同僚となる日本人・外国人の文化・習慣への理解と尊重
(2)地域における外国人との共生
現状・対応方向
深刻な人手不足を背景として、道内の外国人住民は増加傾向にあり、多国籍化も進んでいます。特に過疎が進む地方部では、外国人比率が3割を超える地域もあります。
本道の持続的な発展に向けては、安全・安心の確保や道内産業の持続的な発展など、地域の成長につなげていくことを前提に、外国人材の円滑な受入れと定着を促進していくことが重要になっており、人材としての外国人の適正な雇用管理や在留管理はもとより、「技術・人文知識・国際業務」や「家族滞在」など、就労や生活の支援を義務付けられた団体を持たない在留資格の外国人が増えてきていることから、多様な言語や文化、習慣を持つ外国人を地域の大切な一員として受け入れ、地域のルールやマナーを守りながら、共に暮らしていくための受入れ環境の整備が求められています。
また、北海道人権施策推進基本方針に基づく、差別的言動は許されないものとの認識の下での啓発や、外国人は広大な北海道の各地域に居住していることから、それぞれの生活圏において、外国人が安心して働き、暮らしていくための環境の整備が必要となっています。
施策の方向性
①地域日本語教育の推進
・道内に居住し、日本語学習に意欲がある外国人への日本語学習機会の提供
・日本語教育の体制づくりや人材育成研修などによる日本語教育に携わる人材の確保・育成
・ホームページや広報誌、生活の手引などを用いた「やさしい日本語」の普及啓発
・地域の国際交流団体等が実施している日本語教室などの情報を収集し、市町村等に情報提供を実施
②安全・安心な共生の環境づくり
・外国語ややさしい日本語を用いた外国人住民向けの生活情報の提供と地域のルールやマナーの理解促進
・外国人に寄り添ったよりきめ細かな対応が行えるよう自動翻訳システムなども活用した多言語での情報発信や相談体制の充実、市町村・道立学校への携帯型通訳デバイスの貸出
・接遇・語学等に関する総合的な研修会の開催などによる医療等関係者の外国人対応力の向上を支援
・外国人を受け入れる賃貸住宅の情報提供や公営住宅への入居など住宅確保の支援
・外国人児童生徒を受け入れている市町村や学校の実態を把握し、学校等への相談支援を行うなど指導体制を整備
・関係団体等を通じた外国人コミュニティ情報の収集や地域における外国人ネットワークの形成促進などを通じた相互理解の推進
・災害時の支援体制整備
③多文化共生の必要性と理解促進
・道のホームページ等による先進事例集の周知や地域社会に外国人を受け入れる環境整備の必要性等に関する講演会による普及・啓発
・海外からの研修生等と地域住民との交流活動を行っているJICAとの連携などによる地域で共に暮らす日本人と外国人の交流促進
・国等が開催する研修への積極的な参加やHIECCとの連携を強化し、地域における多文化共生の担い手となる人材の育成
各主体の役割
行政:日本語の学習機会の提供、やさしい日本語・多言語による行政情報・生活情報の提供、外国人住民への行政サービス提供に係る支援、外国人住民の相談体制整備、多文化共生社会の実現に向けた普及啓発の取組推進、日本人住民と外国人住民との交流促進
企業・団体・教育:外国人の生活支援、多文化共生社会の実現に向けた取組への積極的な参加、日本人と外国人との交流推進、外国人の児童・生徒等の学習支援
道民:外国人住民による日本語習得、多文化共生社会の実現に向けた取組や日本人と外国人との交流の取組への積極的な参加、多様な文化・習慣への理解と尊重
(3)インバウンド ※今後、次期北海道観光のくにづくり行動計画の検討状況を踏まえて整合
現状・対応方向
訪日外国人来道者数は、2018年度(平成30年度)に312万人の過去最高を更新した後、自然災害や新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、長期間にわたり甚大な影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染症水際対策の終了や海外との直行便再開などにより回復基調にあります。
一方、観光需要の季節偏在や地域偏在、広域移動手段の脆弱さなどの課題も顕在化し、さらには、SDGsや脱炭素化といった新たな社会的要請への対応など、本道観光を取り巻く状況は大きく変化してきています。
北海道観光のポテンシャルを最大限発揮していくため、魅力ある観光地づくりとプロモーションの一体的・戦略的な展開による観光の高付加価値化を進め、宿泊や交通など観光関連産業における人材の確保・育成、観光DXの推進、観光客の移動の利便性向上など、受入れ体制の充実を図っていくことが重要です。
重点国・地域
・東アジア(四季を通じた地域の多様な魅力を活かしたリピーター獲得に向けた誘客活動の展開と地方空港や鉄道など交通事業者と連携した全道各地への送客促進)
・東南アジア(四季の変化といった北海道ならではの魅力発信の強化など経済成長に合わせた新規来訪者の獲得や本道への直行便の運行と併せた誘客活動の展開)
・欧米豪(アドベンチャートラベルをはじめ自然・食・文化など北海道の特性を活かした長期滞在及び周遊観光の促進)
・その他の国(インドなど新規成長市場への北海道ブランドの認知度拡大による需要の創出)
施策の方向性
①観光マーケティングの強化や高付加価値化の追求
・北海道全体のデータ分析・解析体制の整備、自治体やDMOによる地域ごとの観光戦略策定などの取組の支援
・自然や食、歴史・文化など道内の多様な資源を生かした観光コンテンツの磨き上げ
・アウトドアなどをテーマとする多様なツーリズムの展開や国際水準のガイド人材の育成・確保などアドベンチャートラベルの推進、広域滞在エリアの形成
②DXの推進や受入れ環境の整備
・観光産業における省力化による生産性と顧客満足度の向上の両立に向けたAIによる案内や保守点検など観光施設等におけるDXの推進
・多様な食習慣、文化的習慣等を有する外国人観光客への対応環境の整備促進などユニバーサル対応の推進や旅行者がストレスなく過ごせる受入れ環境の充実など快適な観光地づくりの推進
③人材の育成・確保や移動利便性の向上
・観光地経営を担う人材、現場を支える人材の安定的な育成・確保や、若者が地域への理解と関心を深められる環境を整備するなど将来の観光を担う人材の養成
・空港機能の強化と地方航空路線の充実や鉄道など広域移動と二次交通の充実、シームレス交通の全道展開による観光回遊性の向上、新たな観光客の取込方策の検討
④災害時の体制整備や危機対応力の強化、顕在化している諸課題への対応
・多言語で迅速かつ正確に情報を発信する体制の整備などによる観光地としての魅力と安心感の向上
・自然災害などの状況に迅速かつ機動的に対応することによる、北海道観光のレジリエンスの強化
・季節や時間帯、訪問先の分散促進や、観光地でのルール・マナーについての多言語による啓発
⑤戦略的プロモーションや効果的な情報発信
・国や地域ごとの市場特性や旅行嗜好等を総合的に分析し、ターゲットを明確に絞り込んだプロモーションの展開
・多言語対応やアクセシビリティの向上などによるターゲット層のニーズに即した情報発信
各主体の役割
行政:インバウンド獲得に向けた観光地づくりとプロモーションの推進、人材育成・確保支援
企業・団体・教育:多言語による魅力発信、受入れ体制整備、人材育成・確保
道民:本道の良さや魅力の発信、おもてなしの態度で対応
展開方向2 優位性を生かした投資・産業の呼び込みと世界目線の産業振興
(1)産業振興
現状・対応方向
人口減少が進み、国内市場の拡大が見込まれない中、本道の持続的な発展に向けては、安全・安心の確保や道内産業の持続的な発展など、地域の成長につなげていく必要があります。
国においても、「対日直接投資促進戦略」の中で、対日直接投資は、海外から高度な人材・技術・豊富な資金を呼び込むことでイノベーション創出や海外経済の活力の地方への取り込みにつながり、地域経済の活性化に貢献するものであると、その意義を指摘し、対日直接投資を地方に波及させ、地域経済の活性化に結び付けていくことが今後の課題であるとし、2024年(令和6年)末時点で53.3兆円の対日直接投資残高について、2030年(令和12年)に120兆円、2030年代前半のできるだけ早期に150兆円とすることを目標に掲げるとともに、地方への投資を促進することとしました。
本道においても、こうした国の動きも念頭に置き、本道の優位性が生かせる産業や成長分野をターゲットとして、地域づくりと調和のとれた良質な投資を道内へ呼び込むことが重要となっています。
世界に目を移すと、近年、世界各地で異常気象による災害が発生するなど、地球温暖化が主な要因とされる気候変動の影響が顕在化しており、気候変動問題への対応として国内外で脱炭素化を目指すGXの動きが加速しています。また、人工知能の普及などデジタル化の進展により、データ流通量やエネルギー需要の急速な増加が見込まれています。さらに、開発途上国を中心とした世界人口の急増による食料需要の増加や気候変動による異常気象の頻発化、地政学的リスクの高まりなどにより、世界の食料需給は不安定化しており、我が国においても食料安全保障の確保が大きな課題となっています。
こうした世界的な潮流にあって、再生可能エネルギーが豊富に賦存する本道は、風力・太陽光・中小水力などの導入ポテンシャルが全国1位となっています。さらに、広大な土地や冷涼な気候などの優位性も生かしながら、データセンターの整備が進められています。また、次世代半導体の製造拠点が立地し、量産開始に向けてプロジェクトが進められています。食料自給率が200%を超え、我が国の食料供給地域である本道が果たしていく役割は、ますます大きくなっています。
本道に求められる役割を果たし、ポテンシャルを発揮していくことは、経済・食料の安全保障の観点から、日本、世界に貢献していくことにつながります。
重点国・地域(成長分野)
GX、AI-DXなどの成長分野における産業や投資企業等の集積地であり、現地産業団体や企業間のつながりなどを活用して取組を進める国・地域
※個別企業の誘致等に当たっては重点国・地域に関わらず取組を進める
・北米(米国(半導体、GX))
・欧州(フィンランド(DC(データセンター)))
・アジア(シンガポール(DC)、台湾(DX))等
※その他の国・地域についても、国際情勢や国の政策の状況等を踏まえながら、関連する計画等と連動した取組を展開します。
施策の方向性
①投資・産業の呼び込み
・海外の企業や投資家を対象としたセミナー・商談会開催、展示会出展、企業訪問等によるプロモーション展開を通じた企業立地など投資の誘致
・GX推進税制や企業立地補助金、人材確保等に向けた相談・サポート等による進出企業に対する立ち上がり支援
・地域ごとに異なる強みや潜在力のきめ細やかな情報発信による道内各地域への投資誘致の推進
・宇宙関連ビジネスの創出に向けて、産学官の連携体制構築や宇宙関連の実証試験等の実施を支援し、宇宙関連産業の集積を促進
②GX関連産業の集積
・GX金融・資産運用特区への決定を推進力として、GX推進税制や企業立地補助金などを最大限活用するとともに、チーム札幌・北海道の構成機関と連携し、再生可能エネルギー関連産業に加え、持続可能な航空燃料であるSAFや、水素、洋上風力関連産業、蓄電池、海底直流送電、電気及び水素運搬船、次世代半導体、データセンターを8つのGXプロジェクトとして、新技術・新事業に係る研究開発、部品・付帯設備、維持メンテナンス等を含めたサプライチェーンを構築し、地域との共生を前提に、全道域でのGX関連産業の集積を促進
・国内外を問わず、全ての事業者に対し、関係法令や国のガイドラインなどの遵守を求めるなど、経済と環境が好循環する持続可能な地域社会の構築
③デジタル関連産業の集積
・セミナーや商談会開催、企業訪問などを通じた、本道の優位性のアピール、事業者のニーズに対応したきめ細やかな提案、情報提供を行うことによるデータセンターやデジタル関連企業、国際的な光海底通信ケーブル等の誘致
・AIスタートアップ等の関連企業が保有する技術シーズと地域課題のマッチングなどによる実証試験の実施
・道内企業の参入促進・取引拡大や、環境負荷の軽減を図りつつ、インフラ及び制度面の受入れ環境の整備や、国内外の半導体関連企業の誘致による半導体関連産業の集積
・半導体関連の研究拠点誘致など研究体制の整備や、産学官連携による製品・技術開発に向けた共同研究の促進、ベンチャー企業やスタートアップの育成などによるイノベーションの創出
・半導体分野の認知度向上や教育内容の充実、即戦力人材の育成、国内外の高度な知識・技術を有する人材の誘致などによる人材の安定供給
・産業や暮らしのスマート化を通じたデジタル技術活用の好循環の全道展開や、道内の投資や雇用、関係人口の拡大を契機とした新たな需要の取り込みを通じた地域の付加価値向上による地域経済の活性化
⑤食料安全保障の確保
・優良農地の確保や農業生産基盤の整備・保全、多様な担い手の育成・確保、地域課題に対応した品種・技術の開発・普及、需要に応じた農産物の生産などによる食料の安定的な供給
・環境と調和のとれた農業の推進や、地域農業を支える多様な人材の活躍、地域資源を生かした新たな価値の創出、安心して暮らせる農村づくりによる持続可能な農業・農村の確立
⑥地域との調和 ※今後、関連の考え方などの検討状況を踏まえ整合
・投資誘致段階からの事業者に対する関連法令等の継続的な周知や環境アセスメント制度の適切な運用
・地域環境に対する適切な配慮と地域住民の方々の理解の下で適切に事業が実施されるよう事業者に求める
各主体の役割
行政:産業・投資の誘致、優位性を生かした産業振興
企業・団体・教育:外国企業との連携推進、海外資本を活用した事業発展、産業振興を通じた本道発展への寄与、経済・食料の安全保障による日本・世界への貢献
(2)海外展開
現状・対応方向
本道の輸出額は、2008年(平成20年)以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により2,295億円まで落ち込んだ2020年(令和2年)を除けば、年間3千~4千億円台で推移してきました。
貿易は為替や相手国の景気、通商政策に左右される面があり、ALPS処理水の海洋放出に伴う中国等による日本産水産物の輸入停止措置により、本道では主要輸出品目であるホタテガイの販売先の変更を余儀なくされるといった影響を受けたほか、2025年(令和7年)には米国の関税措置により先行きへの不安や懸念が広がりました。また、輸出品の国際取引価格、輸送用燃料としての原油価格の変動の影響を受けやすいほか、近年では新型コロナウイルス感染症の感染拡大やロシアによるウクライナ侵略など、これまでの想定を超える大きな国際情勢の変化に伴いサプライチェーンに多大な影響が生じ、いわゆるウッドショックでは、道内の林業・木材産業も世界的な市況の影響を受けました。
道内企業の海外展開は、個別企業の市場開拓に留まらず、本道にゆかりのある多様な事業者が各国に商品・サービスを展開し、また、拠点を設けて活動することにより、北海道ブランドの発信に寄与することも期待されます。
日本国内は人口減少に伴う市場の縮小が懸念されている中、増加する道内へのインバウンドや外国人住民の方々から、本道の魅力を世界に広めていただくことが期待されます。これを踏まえて、本道の持続的発展に向けては、様々なリスクに備えつつ、北海道どさんこプラザ等を活用した国内でのプロモーションや、国境を越えて商品を売買するEC(電子商取引)など、本道の豊かな自然や独自の文化など多様な魅力を知っていただきながら、新たな市場や需要の開拓等を促進して、アジア地域のみならず、欧米など広く海外の成長力を取り込むことが一層重要となっています。
重点国・地域
北海道食の輸出拡大戦略において設定
中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、米国、ロシア、欧州(英国、フランス、ドイツ、イタリア等)、大洋州(オーストラリア、ニュージーランド等)
※ロシアついては情勢を踏まえ対応
※その他の国・地域についても、国際情勢や国の政策の状況等を踏まえながら、関連する計画等と連動した取組を展開します。
施策の方向性
①市場の拡大とリスク分散
・道内関係企業等と連携したプレゼンテーションや試飲・試食などを通じた具体的で多様な魅力を発信するプロモーションによる輸出拡大や販路開拓の支援
・オンラインを含む商談会開催や、展示会出展などによる商談機会の創出や海外事業者の招へいによるマッチング支援
・海外拠点を通じた情報収集やECサイトの活用を含む現地試験販売などによる市場ニーズや規制等の把握と道内企業等との情報共有
・海外における知的財産の保護に向けた対応策等の関係機関との情報共有
②高付加価値化の推進
・ターゲットの明確化・重点化による北海道ブランドの発信・浸透
・対象国・地域の市場ニーズや規制等に対応した商品・サービス開発や磨き上げの支援
・食品の製造・加工段階におけるHACCPに沿った衛生管理の導入など、フードチェーン全般にわたる輸出先の基準を満たす自主衛生管理の推進
③海外展開の裾野拡大
・マーケティングや海外市場、輸出実務等に関する研修や輸出・販売の実践支援による海外展開に対応した人材の育成
④輸出とインバウンド消費との相乗効果の発揮
・北海道どさんこプラザなどを活用した国内でのインバウンド向けプロモーション
・越境ECを活用した道産品販売の促進
・宿泊施設をはじめ観光関連施設と連携した道産食品のPR
各主体の役割
行政:北海道ブランドの効果的な発信、企業による海外展開のサポートなど
企業・団体・教育:北海道ブランドを生かした海外展開、北海道の魅力の発信、公的機関が実施するプロモーション等の海外展開支援事業の活用、本業を含めた多様な取組を通じたSDGs達成への貢献など
道民:北海道の魅力の発信、海外展開に対する意識の向上
展開方向3 国際交流・協力による地域間のつながりの拡大
(1)多彩な交流
現状・対応方向
道では、1980年(昭和55年)のカナダ・アルバータ州との提携以降、これまで、6か国10地域との姉妹友好提携を締結し、高校生の交換留学や英語教員の派遣などの教育分野をはじめ、カーリングなどのスポーツ交流、さらには、経済や医療、福祉といった幅広い分野にわたり、市町村や地域の国際交流団体などと連携しながら、それぞれの地域の特徴やニーズに応じた交流を実施してきました。
経済や社会のグローバル化が進展する中、国際理解の促進や、海外の成長力の取り込みを進める上で、それぞれの強みを生かした分野における多彩な交流を途切れることなく進めることが重要となっています。
また、交流に当たっては、世界全体を俯瞰し、2023年(令和5年)に中国を抜き世界最大の人口となったインドや2050年(令和32年)には世界の4分の1を占めるまで人口の増加が見込まれるアフリカなどのグローバル・サウスをはじめ、広大な太平洋の島嶼国という共通点を有する大洋州、積雪寒冷な気候など類似性を有する中央アジアといった地域も幅広く見つめていくことも必要です。
また、国際社会では、かけがえのない地球環境を守り、多様性と包摂性のある社会の実現に向けて、SDGsの達成に向けた取組が広がっています。世界の中で北海道の存在感を高め、世界とともに歩む持続可能な地域づくりを進めていくために、SDGsの達成に向けて、本道の特性やこれまで培ってきた技術やノウハウを生かした国際貢献などの取組を推進することが重要となっています
重点国・地域(友好交流、技術交流)
道が姉妹友好提携等を締結するなどこれまで友好交流等を積み重ねてきた地域との交流を引き続き促進していく。
・カナダ(アルバータ州)
・中国(黒竜江省)
・米国(マサチューセッツ州、ハワイ州)
・ロシア(サハリン州)
・韓国(ソウル特別市、釜山広域市、済州特別自治道、慶尚南道)
・タイ(チェンマイ県)
・ブラジル、パラグアイ(海外移住者支援)
・大洋州(ニュージーランド、パラオ)等
※ロシアついては情勢を踏まえ対応
施策の方向性
①多彩な交流の創出
・友好提携地域との間で進めてきた教育や文化、スポーツなど、様々な分野の交流に、観光や脱炭素、一次産業などお互いにメリットが得られる新たな交流を加えた多彩で発展的な交流の推進
・政府機関等との関係構築や北海道の知名度向上などを通じ、今後本道との交流拡大が期待されるその他地域との戦略的な地域間交流の展開
②国際協力の促進
・JICAと連携した海外からの研修員の受入れ支援等、北海道の地域特性に根ざした国際協力の促進
・JICAとの包括連携協定に基づく海外協力隊の広報や、技術協力支援事業の募集への協力などによる道民の国際協力への参加促進
各主体の役割
行政:北海道と世界をつなぐ多彩な交流の推進、友好交流の推進、国際協力の促進
企業・団体・教育:地域間交流への参加・協力、身近な国際交流・協力の実践、担い手の育成、国際交流団体等が実施する活動への参加・協力
道民:国際交流・協力の取組への積極的な参加
(2)人・地域のつながり
現状・対応方向
道内には米国、韓国、ロシア、中国の総領事館とカナダ政府通商事務所、JICAやJETRO、HIECCなど海外との交流を促進する機関が設置されており、海外4か国(シンガポール、中国、韓国、ロシア)に道の海外事務所を設置し、現地政府、自治体や企業・団体等との関係を構築しています。さらに、道内金融機関の海外事務所、NGO等の有する独自のつながりなど、多様な交流基盤があります。
旺盛なインバウンド需要に後押しされ、国際航空路、航路も拡大傾向にあります。
こうした様々なネットワークは多彩な交流の基盤となるものであり、交流の促進に向けて、効果的に活用するとともに、一層強化・充実させることが求められています。
施策の方向性
①人的ネットワークの構築
・金融機関等との連携を含め、現地関係機関との連絡調整、経済、友好交流に係る調査、道側関係団体・企業等への支援、現地情報の収集や北海道の情報発信などの役割を担い多彩な交流を支援する海外拠点機能の充実
・関係機関や道内企業、北海道にゆかりのある方々と連携した、現地の情勢に関する情報収集
②国際航空路・航路の拡大
・航空路線の誘致及び新千歳空港の国際拠点空港化や地方空港の機能強化、道内7空港の一括民間委託を通じた航空ネットワークの充実・強化
・道民の国際航空路線の利用促進など路線拡大に向けた双方向の需要創出
・国際航空路及び航路拡大、国際拠点港湾や国際バルク戦略港湾をはじめとした本道港湾の物流機能の強化等、国際航空路線や港湾を活用した国際貨物の拡大
・道内各港の規模や特色、地域の魅力を生かした誘致、港湾施設の整備、受入れ体制の充実、寄港地の魅力の情報発信によるクルーズ船の道内港への寄港促進
各主体の役割
行政:海外拠点や交通網等の交流基盤整備
企業・団体・教育:交流基盤の積極的な活用、人的ネットワーク充実への協力
道民:母国や自身とつながりのある国・地域と北海道との結びつきへの貢献
(3)グローバル人材
現状・対応方向
グローバル化が急速に進展する中で、言語や文化が異なり、多様な価値観を持つ人々ともコミュニケーションを図りながら柔軟に対応していく能力を身につけた人材は、これまでのように一部の業種や職種だけでなく、様々な場面で必要とされることが想定されます。
地域の国際化をけん引する人材の育成に向け、道民の海外渡航の促進はもとより、未来を担う若者に関し、文化や考え方の多様性を理解し、多様な人々と協働していく力や、外国語によるコミュニケーション能力を向上させることが重要です。
施策の方向性
①国際理解の醸成
・ALTや道内大学の留学生、地域の外国人住民等との交流や、JICA「ほっかいどう地球ひろば」や「森の交流館・十勝」などの国際交流施設の活用による他国の文化や考え方を理解する機会の創出
・積極的なICTの活用による本道の児童生徒と海外の子どもたちとのオンライン交流の推進
②外国語教育の充実
・小学校段階からの系統的な英語教育による、日常的なコミュニケーションができる程度の英語力の育成に向けた指導体制の充実
・英語以外の外国語の学習支援
③若者の留学支援
・海外の教育行政機関との教育分野における提携の推進や交換留学プログラムの提供、留学事例の周知による留学機運の醸成
・ほっかいどう未来チャレンジ基金を活用した北海道に貢献する意欲のある若者の海外における自らの資質向上に向けた挑戦への支援
④道民の海外渡航(アウトバウンド)の促進
・道民向けの海外への旅行や現地での活動の魅力発信、旅券取得促進などによる海外渡航の気運の醸成
・道民の国際航空路線の利用促進など路線拡大に向けた双方向の需要創出
各主体の役割
行政:地域や児童・生徒の国際理解醸成に向けた機会の提供や海外渡航気運の醸成
企業・団体・教育:留学生の受入れ・派遣の促進、外国人留学生と日本人との交流促進、国際化に対応する人材の育成、海外渡航の気運醸成や機会の提供
道民:国際情勢に関する理解増進、海外渡航や国際交流に対する意識の向上、国際交流の機会への積極的な参加
関連する主な計画等
北海道総合計画
北海道創生総合戦略
北海道強靱化計画
北海道Society5.0推進計画
ゼロカーボン北海道推進計画
展開方向1 外国人を引きつけ、共生する地域づくり
(1)外国人材の確保
・北海道雇用・人材対策基本計画
・北海道職業能力開発計画
・外国人材の受入れ拡大・共生に向けた対応方向
(2)地域における外国人との共生
・北海道人権施策推進基本方針
・北海道交通安全計画
・北海道住生活基本計画
・北海道総合教育大綱
・北海道教育推進計画
・北海道地域防災計画
・北海道国民保護計画
・外国人材の受入れ拡大・共生に向けた対応方向(再掲)
(3)インバウンド
・北海道観光のくにづくり行動計画
・重要文化財北海道庁舎旧本庁舎(赤れんが庁舎)保存活用計画
・北海道自転車利活用推進計画
・北海道アイヌ政策推進方策
展開方向2 優位性を生かした投資・産業の呼び込みと世界目線の産業振興
(1)産業振興
・北海道省エネルギー・新エネルギー促進行動計画
・北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン
・北海道農業・農村振興推進計画
・北海道食の輸出拡大戦略
・北海道職業能力開発計画(再掲)
(2)海外展開
・北海道食の輸出拡大戦略(再掲)
・北海道農業・農村振興推進計画(再掲)
・北海道食の安全・安心基本計画
・北海道水産業・漁村振興推進計画
・北海道森林づくり基本計画
・北海道科学技術振興基本計画
・北海道・ロシア地域間交流推進方針
展開方向3 国際交流・協力による地域間のつながりの拡大
(1)多彩な交流
・北海道アイヌ政策推進方策(再掲)
・北海道文化振興指針
・北海道スポーツ推進計画
・北海道環境基本計画
・北海道科学技術振興基本計画(再掲)
・北海道・ロシア地域間交流推進方針(再掲)
(2)人・地域のつながり
・北海道交通政策総合指針
(3)グローバル人材
・北海道人権施策推進基本方針(再掲)
・北海道総合教育大綱(再掲)
・北海道教育推進計画(再掲)
・北海道交通政策総合指針(再掲)
・北海道におけるグローバル人材の育成に向けて
4 北海道と世界各地域との交流の方向性
本戦略ではここまで、めざす姿の実現に向けて取り組む施策について3つの展開方向として整理し、重点的に取り組む分野においてターゲットとなる重点国・地域についてお示ししてきました。
これらの取組についてその効果の最大化を図っていくためには、各国・地域における取組を連携させ、相乗効果を発揮していくことが重要となることから、重点国・地域別に重点分野や対応方向を整理し、現地での取組を効率的かつ効果的に展開していきます。
なお、各国・地域の展開内容及び分野別の重点等については、国際情勢や国の政策の状況、関連する計画などを踏まえ、適宜、見直しを行います。
■重点的に取り組む分野と国・地域など
※その他の国・地域についても、国際情勢や国の政策の状況等を踏まえながら、関連する計画等と連動した取組を展開します。
①外国人材の確保
・アジア
・ベトナム(高度人材、技能系人材)
・インド(高度人材、技能系人材)
・インドネシア(技能系人材)
・ネパール(技能系人材) 等
②成長分野における経済交流
・北米(米国(半導体、GX)
・欧州(フィンランド(DC(データセンター))
・アジア(シンガポール(DC)、台湾(DX)等
③食の輸出拡大
中国、香港、台湾、ベトナム、タイ、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、米国、ロシア、欧州(英国、フランス、ドイツ、イタリア等)、大洋州(オーストラリア、ニュージーランド等)
④インバウンド
・東アジア(四季を通じた地域の多様な魅力を活かしたリピーター獲得に向けた誘客活動の展開と地方空港や鉄道など交通事業者と連携した全道各地への送客促進)
・東南アジア(四季の変化といった北海道ならではの魅力発信の強化など経済成長に合わせた新規来訪者の獲得や本道への直行便の運行と併せた誘客活動の展開)
・欧米豪(アドベンチャートラベルをはじめ自然・食・文化など北海道の特性を活かした長期滞在及び周遊観光の促進)
・その他の国(インドなど新規成長市場への北海道ブランドの認知度拡大による需要の創出)
⑤友好交流、技術交流
・カナダ(アルバータ州)
・中国(黒竜江省)
・米国(マサチューセッツ州、ハワイ州)
・ロシア(サハリン州)
・韓国(ソウル特別市、釜山広域市、済州特別自治道、慶尚南道)
・タイ(チェンマイ県)
・ブラジル、パラグアイ(海外移住者支援)
・大洋州(ニュージーランド、パラオ)等
⑥将来を見据えた注目エリア
寒冷地技術での協力など本道との共通性や将来的な人口増加を見据えた市場として動向を注視していく。
・中央アジア
・モンゴル
・中東
・アフリカ
■道の海外拠点
・海外事務所
北海道ASEAN事務所(2016年開設。以下、「道ASEAN事務所」という。))
日中経済協会上海事務所北海道経済交流室(2011年開設。以下「道上海事務所」という。)
北東北三県・北海道ソウル事務所(2002年開設。以下「道ソウル事務所」という。)
北海道サハリン事務所(2001年開設。2022年~道職員駐在休止中。)
・北海道どさんこプラザ(シンガポール、タイ)
■各国・地域の対応方向
(東アジア)
〇中国
<基本情報>
・人口: 14億828万人
・一人当たりGDP:13,313米ドル(2024年)
・道内在留者数:10,306人(2024年12月)
・輸出額:64,402百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:460,300人(2024年度)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・黒竜江省との友好提携
・東北3省との経済交流の覚書
・香港貿易発展局との経済交流の覚書
・道上海事務所の設置
・在札幌中国総領事館の立地
・黒竜江省人民代表大会との議会交流の覚書
・日中友好北海道議会議員協議会による交流
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
・友好交流
<対応方向>
・水産物輸出再開への対応、食の輸出に向けた市場開拓
・黒竜江省との友好提携40周年記念事業(2026年)やハルビン商談会への出展
・道上海事務所を活用した誘客、ビジネス展開の支援
〇韓国
<基本情報>
・人口:5,181万人
・一人当たりGDP:36,129米ドル(2024年)
・道内在留者数:4,601人(2024年12月)
・輸出額:46,771百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:839,500人(2024年度)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・ソウル特別市、釜山広域市、済州特別自治道、慶尚南道との友好提携
・道ソウル事務所の設置
・スポーツ交流(マラソン)
・在札幌韓国総領事館の立地
・日韓友好北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
・友好交流
<対応方向>
・食の輸出に向けた市場開拓
・友好周年事業(2025、26年)を契機とした経済交流促進
・道ソウル事務所を活用した誘客、ビジネス展開の支援
〇台湾
<基本情報>
・人口:2,340万人
・一人当たりGDP:33,437米ドル(2024年)
・道内在留者数:2,021人(2024年12月)
・輸出額:15,593百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:604,800人(2024年度)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・デジタル関連産業団体等との交流
・台北駐日経済文化代表処札幌分処の立地
・北海道議会日台親善議員会による交流
<重点分野>
・成長分野における経済交流(DX)
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・誘客や食の輸出拡大の推進
・DX関連展示会等を活用したプロモーション
・現地産業団体と連携したビジネスマッチングの促進
・道産木材製品の販路拡大
(東南アジア)
〇シンガポール
<基本情報>
・人口:603万人
・一人当たりGDP:90,674米ドル(2024年)
・道内在留者数:98人(2024年12月)
・輸出額:3,990百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:57,800人(2024年度)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・道ASEAN事務所の設置
・北海道どさんこプラザの設置
・道貿易物産振興会とシンガポール食品製造者協会との協定
<重点分野>
・成長分野における経済交流(DC)
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・道ASEAN事務所を活用した誘客、ビジネス展開の支援
・北海道どさんこプラザなどを活用した食の輸出拡大
・DC関連産業の誘致推進
〇タイ
<基本情報>
・人口:6,595万人
・一人当たりGDP:7,492米ドル(2024年)
・道内在留者数:1,550人(2024年12月)
・輸出額:24,408百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:121,500人(2024年度)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・チェンマイ県との友好提携
・道ASEAN事務所
・タイ国政府観光庁との趣意書
・北海道どさんこプラザの設置(バンコク都)
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・北海道どさんこプラザなどを活用した食の輸出拡大
・友好周年事業(2028年)を契機とした経済交流促進
・道ASEAN事務所や覚書を活用した誘客促進
〇ベトナム
<基本情報>
・人口:1億134万人
・一人当たりGDP:4,536米ドル(2024年)
・道内在留者数:13,794人(2024年12月)
・輸出額:36,624百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年度)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・政府機関との覚書(①経済交流、②人材交流、③観光振興、④人材育成)
・道ASEAN事務所
・知事のクアンニン省訪問(2023年)
・ベトナムフェスティバルの道内開催
・北海道ベトナム交流協会など民間交流
・日越友好北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・外国人材の確保(高度人材、技能系人材)
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
・航空路線誘致
<対応方向>
・外国人材確保に向けた取組の推進
人材育成・交流のMOUを活用した関係強化
現地での人材獲得に向けたプロモーション
・要人来道対応による関係の強化
ベトナムフェスティバル等を活用した関係強化
・経済交流分野の市場の開拓
道、北海道エアポート及びベトナム航空との覚書を生かした定期便就航に向けたプロモーション
現地プロモーションや覚書、道ASEAN事務所の活用などによる食の輸出や誘客促進
〇フィリピン
<基本情報>
・人口:1億903万人
・一人当たりGDP:4,079米ドル(2024年)
・道内在留者数:3,546人(2024年12月)
・輸出額:4,341百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:32,600人(2024年度)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・道ASEAN事務所
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・現地プロモーションや道ASEAN事務所の活用などによる食の輸出や誘客促進
〇マレーシア
<基本情報>
・人口:3,406万人
・一人当たりGDP:12,541米ドル(2024年)
・道内在留者数:352人(2024年12月)
・輸出額:5,856百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:66,500人(2024年)
・定期直行便:有
<主な交流基盤>
・道ASEAN事務所
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・現地プロモーションや道ASEAN事務所の活用などによる食の輸出や誘客促進
〇インドネシア
<基本情報>
・人口:2億8,444万人
・一人当たりGDP:4,960米ドル(2024年)
・道内在留者数:8,711人(2024年12月)
・輸出額:11,023百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・道ASEAN事務所
・道内在留者の急増
<重点分野>
・外国人材の確保(技能系人材)
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・技能系人材獲得に向けた現地プロモーション
・現地プロモーションや道ASEAN事務所の活用などによる食の輸出や誘客促進
(南アジア)
〇インド
<基本情報>
・人口: 14億3,651万人
・一人当たりGDP:2,485米ドル(2024年)
・道内在留者数:1,602人(2024年12月)
・輸出額:9,079百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年度)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・駐日インド大使館との連携事業の実施
・北海道大学とインド工科大学などの協力関係
・競走馬関連での道内在留者の増加
・日印友好北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・外国人材の確保(高度人材、技能系人材)
・北海道の認知度向上
<対応方向>
・外国人材確保に向けた取組の推進
北海道大学と現地大学との提携を足掛かりとした現地での人材獲得に向けたプロモーション
・将来の市場開拓に向けた北海道の認知度向上
道内撮影映画公開の機運を捉えた観光や食分野でのプロモーション
・駐日インド大使館との連携
大使館と連携した取組による交流の促進
〇ネパール
<基本情報>
・人口:2,969万人
・一人当たりGDP:1,337米ドル(2024年)
・道内在留者数:2,688人(2024年12月)
・輸出額:-百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・駐日大使の知事表敬
<重点分野>
・外国人材の確保(技能系人材)
<対応方向>
・技能系人材獲得に向けたPR
(北米)
〇米国
<基本情報>
・人口:3億4,011万人
・一人当たりGDP:81,632米ドル(2024年)
・道内在留者数:1,605人(2024年12月)
・輸出額:89,244百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:136,800人(2024年度)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・マサチューセッツ州との姉妹提携
・ハワイ州との友好提携、姉妹都市サミット(2026年)
・ニューヨーク州経済開発公社(ESD)及びニューヨーク・クリエイツとの半導体関連の覚書締結(2024年)
・知事のニューヨーク州訪問(2024年)
・国際的な光海底通信ケーブルの苫小牧陸揚げ計画
・在札幌米国総領事館の立地
・ハワイ州議会との議会交流の覚書
・日米友好促進北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・成長分野における経済交流(半導体、GX)
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
・友好交流
・航空路線誘致
<対応方向>
・関税措置など自国第一主義の政策の動き注視
・投資、食・観光など総合的な経済交流の加速
ESD及びニューヨーク・クリエイツとの半導体関連の覚書に基づく関係強化
GX分野における投資呼び込み
食の輸出拡大、インバウンド、航空路線の誘致
ジャパン・ソサエティーとの関係強化による情報発信
道内行事対応など在札幌総領事館との関係強化
・マサチューセッツ州との姉妹提携40周年(2030年)に向けた友好・経済交流の拡大
・ハワイ州との友好周年事業(2027年)を契機とした友好・経済交流の拡大
〇カナダ
<基本情報>
・人口:4,169万人
・一人当たりGDP:53,548米ドル(2024年)
・道内在留者数:551人(2024年12月)
・輸出額:1,468百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:38,400人(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・アルバータ州との姉妹提携
・教育、スポーツ、博物館交流
・道内25市町村交流
・カナダ政府札幌通商事務所の立地
・アルバータ州議会との議会交流の覚書
・日加友好北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・インバウンドの推進
・友好交流
・航空路線誘致
<対応方向>
・アルバータ州との姉妹提携50周年(2030年)に向けた友好・経済交流の拡大
・カナダ・アルバータ州在日事務所との関係強化
・航空路線の誘致
(南米)
〇ブラジル、パラグアイ
<基本情報>
・人口:2億1,258万人 (ブラジル)、684万人(パラグアイ)
・一人当たりGDP:10,247米ドル(2024年)(同)、6,260米ドル(2024年)(同)
・道内在留者数:201人(2024年12月)(同)、19人(2024年12月)(同)
・輸出額:15,293百万円(2024年)(同)、-百万円(2024年)(同)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・移住周年事業による訪問
・現地道人会の活動
・駐日パラグアイ大使の知事表敬(2025年)
・日伯友好北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・友好交流
<対応方向>
・移住周年事業や移住者等支援の取組の実施
・周年事業を契機とした経済交流の可能性検討
・在外道人会の活動促進や移住者子弟による本道への留学・研修の受入れ
(欧州)
〇フィンランド
<基本情報>
・人口:556万人
・一人当たりGDP:54,008米ドル(2024年)
・道内在留者数:43人(2024年12月)
・輸出額:108百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・副知事による訪問
・北極海海底通信ケーブル計画
・駐日大使の知事表敬
<重点分野>
・成長分野における経済交流(DC)
・食の輸出拡大
・航空路線誘致
<対応方向>
・欧州のゲートウェイとして交流を推進
・DC関連産業の誘致
・直行便再開に向けたフィンエアーへのプロモーション
・食の輸出に向けた市場開拓
〇英国
<基本情報>
・人口:6,827万人
・一人当たりGDP:52,648米ドル(2024年)
・道内在留者数:1,439人(2024年12月)
・輸出額:926百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:27,100人(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・北海道日英協会
・欧州最大の道人会
・駐日大使の知事表敬
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・欧州第二の市場への北海道ブランドの浸透
・現地プロモーションなど誘客の促進
・食の輸出に向けた市場開拓
〇フランス
<基本情報>
・人口:6,860万人
・一人当たりGDP:46,001米ドル(2024年)
・道内在留者数:359人(2024年12月)
・輸出額:2,388百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・ワイナリーの道内立地
・札幌日仏協会
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・欧州第三の市場への北海道ブランドの浸透
・現地プロモーションなど誘客の促進
・食の輸出に向けた市場開拓
〇ドイツ
<基本情報>
・人口:8,475万人
・一人当たりGDP:52,727米ドル(2024年)
・道内在留者数:249人(2024年12月)
・輸出額:6,398百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・道内企業が現地製造拠点設置を予定
・駐日大使の表敬
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
<対応方向>
・欧州最大の市場への北海道ブランドの浸透
・現地プロモーションなど誘客の促進
・食の輸出に向けた市場開拓
○イタリア
<基本情報>
・人口:5,893万人
・一人当たりGDP:40,224米ドル(2024年)
・道内在留者数:101人(2024年12月)
・輸出額:1,002百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・駐日大使の表敬
<重点分野>
・食の輸出拡大
<対応方向>
・北海道ブランドの浸透
・食の輸出に向けた市場開拓
(大洋州)
〇オーストラリア
<基本情報>
・人口:2,740万人
・一人当たりGDP:66,248米ドル(2024年)
・道内在留者数:1,499人(2024年12月)
・輸出額:2,471百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:92,300人(2024年)
・定期直行便:なし(2025年12月再開予定)
<主な交流基盤>
・タスマニア州との教育分野の覚書
・駐日大使の知事表敬
・日豪友好北海道議会議員連盟による交流
<重点分野>
・インバウンドの推進
・食の輸出拡大
・航空路線誘致
<対応方向>
・現地プロモーションなど誘客の促進
・食の輸出に向けた市場開拓
・航空路線の再開を契機としたプロモーションの実施
〇ニュージーランド
<基本情報>
・人口:533万人
・一人当たりGDP:48,342米ドル(2024年)
・道内在留者数:369人(2024年12月)
・輸出額:60百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・駐日大使館との覚書
・教育分野の協力の覚書
<重点分野>
・食の輸出拡大
・友好交流、技術交流
<対応方向>
・酪農技術や教育等の交流
・スポーツや先住民族交流
・食の輸出に向けた市場開拓
〇パラオ
<基本情報>
・人口:17,727人
・一人当たりGDP:15,899米ドル(2024年)
・道内在留者数:-人(2024年12月)
・輸出額:-百万円(2024年)
・訪日外国人来道者数:少数等のため国別公表なし(2024年)
・定期直行便:なし
<主な交流基盤>
・札幌医大との人材交流
・日本パラオ北海道議会議員懇話会による交流
<重点分野>
・友好交流、技術交流
<対応方向>
・JICA等を通じた技術交流
・太平洋島嶼国日本地方自治体ネットワーク会議を通じた交流
(注目エリア)
〇中央アジア、モンゴル
<ポイント>
・寒冷地技術の普及先としての本道との共通性
・ロシアビジネス企業の展開先としての可能性
<対応方向>
・地政学的なリスクを注視しながら、本道の優位性を生かした寒冷地技術交流やロシアビジネス企業支援などによる交流を模索
〇中東
<ポイント>
・一人当たりGDPが先進国並みである豊富な購買力
<対応方向>
・地政学的なリスクを注視しながら、豊富な購買力を誇る国が存在する巨大市場との経済交流等の可能性を模索
〇アフリカ
<ポイント>
・3~4割に達する高い若年層人口割合と2050年に世界の4分の1と予想される人口の増加トレンド ※先進国は1割台
<対応方向>
・国際協力の取組を通じた保健・医療・農業などの現地社会課題への貢献等や国内行事などを活用した情報収集などを行いながら、今後の交流の可能性を探求
5 道内各地域における国際施策の展開
道内では、市町村や企業・団体など多様な主体が創意工夫しながら取組を進めており、こうした取組が道内各地に広がっていくことは、地域におけるグローバル化への対応に向けて重要であると考えています。
そのため、本戦略では、こうした取組の新たな地域での横展開に向け、他地域の参考となる身近で特徴的な取組事例についてヒアリングを実施し、本戦略の展開方向ごとに、その概要や背景、取組のポイントについて紹介し、地域での取組の広がりと本戦略の一層の推進につなげていきます。
また、道政の地域の窓口である総合振興局及び振興局が、地域と連携して取り組む国際関連の取組もあわせて紹介します。
(1)地域における特徴的な取組事例
「展開方向1 外国人を引きつけ、共生する地域づくり」関係
事例1:GX分野における外国人材の受入(合同会社WOOD-SMILE(網走市))
【取組の概要】
・同社は、北海道産の木質チップを燃料とするバイオマス発電所2基を運営。
・約10年前から外国人材の採用を始め、現在は5か国から10人が発電所の運営に従事。
・職責に応じた昇給により自立的な向上心を引き出し、やりがいの創出と定着につなげている。
【背景】
・業務の性質上基礎知識のある人材が必要であり、地元だけでは人材確保が難しいため、道外・海外を問わず幅広く人材確保に取り組んでいる。
・GX分野の事業については、海外の関心も高い。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・採用に当たっては、特定の国に集中させない方が日本語のスキルアップにつながると考えているため、基本方針としては、1か国3名以下としている。
・また、ハラル対応食品が地域では手に入りづらいので、採用に当たっては食事面での対応に留意している。
・自主性を重視し、責任ある仕事に従事できるようにし、資格の取得など会社に貢献度合いを昇給に結び付け、やりがいを創出している。電気主任技術者やエネルギー管理士の資格取得者が出てきた。
・技術者の育成には時間を有することから、海外人材は、技術ビザ対象者のみを採用している。
事例2:農業分野における外国人材の受入(新おたる農業協同組合(仁木町))
【取組の概要】
・繁忙期が異なる新おたる農業協同組合のミニトマト生産・収穫作業(春から秋)と JA全農ふくれん(福岡県)のイチゴ出荷作業(冬から春)で外国人材を有効的に活用する産地間リレー雇用を実施。
・産地と外国人材の双方にメリットのあるスキームを構築。
・毎年約50人の特定技能外国人が産地間を移動。
【背景】
・期間限定で人材を確保したい「農業経営者」と、通年で仕事を得たい「働き手」の雇用に関するギャップが存在。
・他の地域と人手を融通できる仕組みが必要。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・JA主導でスキーム構築を進め、両地域の登録支援機関等がリレー雇用の具体的な調整を担う仕組み。
・JA新おたるでは4~10月の間、農家が外国人材を直接雇用し、福岡側では11~翌3月の間、JA全農ふくれんが外国人材を雇用。
・外国人材の生活支援などは、それぞれの地域で登録支援機関等が対応。
・同一人材の長期の雇用が可能となり、採用の都度、作業を教える農家の負担が大幅に軽減。
事例3:競馬産業における外国人材の受入(日高軽種馬共同育成公社(新冠町))
【取組の概要】
・施設全体で約300頭の競走馬を飼育。
・従業員の半数を外国人材が担っており、そのうちの半数を競馬が盛んなインド出身者が占める。
・良い人材を得るには事業所の評判が重要と考え、外国人職員の寮や社宅の家賃、光熱水費は原則公社で負担する。役場での手続きには日本人職員が同行する。
【背景】
・飼育する馬の頭数に対して、人手不足が顕著になっていた。
・こうした中、10年ほど前から外国人材の採用を始めた。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・競馬が盛んで豊富な人材を有するインドからの採用を中心に行っている。
・新たな採用に当たっては、今いる外国人材の繋がりを通じて採用しており、定着にもつながっている。
・始業時間が早いため、従業員は施設内の寮や社宅に居住。家族を帯同し集落の近くで暮らす従業員もいるが、日本人と近所づきあいをするなど、地域に溶け込んでいる。
・競走馬は国ごとに様々な育成方法があり、日本と外国の良い部分を掛け合わせたりするなど育成技術の向上にもつながっている。
事例4:官民連携による外国人材の受入(根室商工会議所(根室市))
【取組の概要】
・商工会議所として道内で唯一となる監理団体許可と登録支援機関届出をし、根室市などと連携しながら外国人材の受入れに取り組む。
【背景】
・ベトナムへのサンマ輸出をきっかけに、ベトナム人技能実習生の受入れが始まり、現在も技能実習生及び特定技能外国人住民の半数以上はベトナムの方で、水産加工、漁船員、介護、建設、酪農などに従事。
・現在はベトナムのみ対応しているが、会員企業から他国の人材の受入れ支援を求める声が寄せられている。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・商工会議所が監理団体及び登録支援機関を務めるのは道内では唯一となっており、全国でも数例しかない取組として、根室市と連携して外国人材の受入れを行っている。
・根室市と連携し防災講習を実施している。
・市内在住の外国人が毎年お祭り等に多数参加している。
・会員企業の要望を踏まえ、他国からの受入れに向け検討を進めている。
・根室市では、外国人住民の増加を踏まえ、釧路・根室管内では初となる「多文化共生推進プラン」を2025年度(令和7年度中)に策定を予定。また、官民連携の根室市国際交流安全対策協議会では、「日本語ベトナム語ガイドブック」を独自に作成し、市内で広く配布するなど、オール根室での取組が進められている。
事例5:日本語学校による外国人材の確保・育成(岩谷学園ひがし北海道日本語学校(中標津町))
【取組の概要】
・2021年(令和3年)に日本語学校、2024年(令和6年)にIT専門学校を開校。留学生が日本語を学んだ後、専門学校や大学に進学し、日本人と共に地元の主要産業で活躍できる専門スキルを身につけるスキームを構築。
・日本語学校には8か国から88名の留学生が在籍(2025年(令和7年)4月現在)。
・町が生活費を支援するなど、地域を挙げて留学生の確保に向けた取組を実施。
【背景】
・根室管内には高等教育機関がなく、若者の定着が課題となっていたことから、学校誘致
のための官民組織を設立し、日本語学校と専門学校の両方を運営している岩谷学園(横浜市)を誘致。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・日本語学校は学生確保のため、14か国の送出機関や現地日本語教育機関などと連携。
・町は、岩谷学園に旧小学校施設を無償譲渡。現地での学生募集や、専門学校建設地の一定期間無償貸付のほか、留学生全員に対する修学支援金(寮費及び食費相当額)を支給するなど支援。
・学校を運営する学校法人岩谷学園が、根室振興局、根室教育局と根室地域活性化に向けた協働事業に取り組むことなどを目的とした包括連携協定を締結。
・留学生は学業の傍ら町内でのアルバイトや、地域の行事への参加や児童・生徒との交流を通じて、相互理解、異文化交流に貢献。
・今後は、人材定着のため、卒業生の雇用の場の確保が課題。
事例6:留学生の確保と介護福祉人材の育成(東川町)
【取組の概要】
・全国初となる公立日本語学校を2015年(平成27年)10月に開学。
・民間の専門学校の日本語学科と介護福祉学科合わせ350名程度の留学生が滞在。
・他地域と連携して留学生を招致し、町内の専門学校で介護福祉士を養成。
【背景】
・地元専門学校の学生数の減少をきっかけに、2009年(平成21年)に留学生短期受入れ事業をスタート。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・留学生の確保に向け、台湾、中国、タイ、韓国、ベトナム、インドネシアなどにおいて、現地企業や元学生に誘致活動を委託。
・町が毎月、地域通貨(HUCポイント)を留学生に付与し、生活を支援。
・道内で就職を希望する留学生への丁寧なサポートやJETRO高度外国人材活躍推進コーディネーターと連携した就職支援なども実施。
・学校では、日本文化や日本人との交流機会を多数設け、多くの日本人とふれあうことで日本語の使い方、日本人の考え方を学ぶ機会を創出。
事例7:CIR、地域おこし協力隊による交流促進(浜頓別町)
【取組の概要】
・国際交流員(CIR)として3名(ミャンマー、ベトナム、タイ出身者、各1名)を配置。
・CIRによる様々な交流イベントや外国人向けの防災研修など多文化共生の取組を展開。
・特定技能の資格を持つミャンマー人3名の地域おこし協力隊が国保病院の給食センターの調理員として活躍。
【背景】
・町内の外国人住民の6割がベトナムの方、次いでタイ、ミャンマーなど。
・言葉の壁が大きく、また、文化の違いや生活習慣の違いからの苦情もあり、CIRを採用。採用に当たっては、他自治体とは課題が異なるため、浜頓別町独自の視点で検討。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・YouTubeで町の魅力やCIRとしての活動を日本語と母国語で発信。
・外国人住民が母国語で相談・支援を受けられる体制を構築。病院を受診する際のサポートなど、感謝されている。
・CIRによる外国人住民の生活支援のほか、母国のお菓子作りや文化体験など各国の文化を伝える「交流カフェ」や、町内で働く外国人住民と日本人住民が交流する「おしゃべり会」などを町事業として開催。
・町が関われない事案が多く、早い段階での北海道や国の機関との情報共有が必要。
事例8:官民一体の交流促進(留萌市国際交流協会(留萌市))
【取組の概要】
・2007年(平成19年)に3つの国際交流団体を統合し、市役所が事務局となり、外国人が就業している事業者の大半が加盟し、官民一体となった交流を促進。
・地域のお祭りへの参加や、日本人と外国人の住民同士の交流を深める各種レクリエーション、交流会などのイベントを開催。
【背景】
・外国人材は、基幹産業の水産関係が半数以上であるが、福祉や介護、建設業等の幅広い分野に従事。
・外国人に留萌市に愛着を持ってもらい、定着はもとより、母国での認知度向上に向けた取組を推進。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・行政から民間主導による国際交流に移行するため協会を設立。
・年間を通じて切れ目ない交流を促進するため、新年会やお祭りへの参加、バーベキューなど様々な交流事業を実施。
・市内で外国人材を雇用する事業者の大半が協会に参画し、運営支援などに協力しており、各イベントには20~100人程度の外国人住民が参加しているが、より多くの市民に参加してもらうことが課題。
事例9:総合的な指針の策定(苫小牧市)
【取組の概要】
・2025年(令和7年)3月、誰もが安心して暮らすことのできる多文化共生社会の実現を目指し、「苫小牧市多文化共生指針」を策定した。
・本指針は、10年先を見据えた「苫小牧市多文化共生ビジョン」を礎として、ビジョンを具体化して実現するものと位置づけた。
【背景】
・市内の外国人住民は、この10年間で3倍以上に増加し、今後も増加が見込まれる。こうした状況を踏まえ、多文化共生社会の実現に向けた市の考え方を明確にし、市民と共有する必要があった。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の助成を活用し、市内関係者や専門家等で構成する指針策定準備会議と策定会議を設置し、意見を基に策定した。
・人口規模や外国人住民の構成などが類似する道外自治体の先進事例を参考に、少し先の将来像を具体的に描いた。
・外国人も地域社会の一員として共生し、活躍できる社会の実現を目指す。
・指針の実現に向けて、具体的なアクションプランを定め、KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)を設定し、取組の進捗管理を行う。
・今後は、指針の内容を市民や地域関係者に広く周知し、理解と参画を促すことで、多文化共生の取組を着実に推進していく。
事例10:国際交流の拠点を活用した外国人材の受入(紋別市)
【取組の概要】
・市として外国人材の雇用を推進するため、会計年度職員を配置。企業や外国人からの相談対応や、日常生活を多言語で説明する生活便利帳を配布するなどサポートを実施。
・2021年(令和3年)11月、外国人住民との共生社会の実現を推進する拠点として、「もんべつ国際交流ステーション」を整備。
【背景】
・市内の外国人住民はこの10年間で2.5倍以上に増加。
・前市長の時代から、技能実習生を受け入れ、紋別の良さを知ってもらい、その後も選ばれる地域になることを目指して、外国人材の受入れに力を入れてきた。
・外国人の定着は、事業者が絶え間ない努力を行ってきたことがある。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・国際交流ステーションを整備し、中国、ベトナム、タイのスタッフが対応できるようになったため、技能実習生等の活動範囲が広がり好評。
・技能実習生等の余暇の充実のため、文化体験や日本語教室の実施により外国人同士や日本人との交流が促進されている。
・生活支援の一つとして、技能実習生や特定技能の方を対象に市内100円で乗車できるバス乗車証を発行。
・商工会議所と連携し、外国人材の雇用促進に向けた会議を設置。外国人材を雇用している事業所(約90か所)に向けてアンケートを実施し、定着促進策を検討。
事例11:多様な主体が連携した多文化共生の取組(十勝インターナショナル協会(帯広市))
【取組の概要】
・管内市町村などの会員が行う国際化施策の支援や十勝に住む外国人への情報提供、国際交流事業の企画・実施・支援及び普及啓発などに取り組む。
【背景】
・十勝管内における市町村と国際交流関係団体等のネットワークを形成しながら、地域の国際化推進を図るため、十勝管内の市町村等で組織する「十勝国際むら形成推進協議会」が呼びかけを行い、1996年(平成8年)に任意団体として設立。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・通訳やイベント支援など国際交流事業をサポートするボランティアの登録制度を運用、現在は約800人が登録し、月2回程度、トーク形式の日本語レッスンを実施。
・やさしい日本語教室や通訳ボランティア育成セミナーの開催や、会員自治体や学校などが実施する外国人との交流会などの取組を講師の派遣などで支援し、管内市町村の多文化共生の取組の底上げを行っている。
・研修事業や開発教育支援、国際協力広報に係る業務なども受託している。
事例12:地域・学校・行政が連携した共生の取組(当別町)
【取組の概要】
・地域住民や学校、行政が連携し、外国人に向けたマナーの周知や外国人住民との交流を実施。
【背景】
・地域では経営・管理、技術・人文知識・国際業務の区分で在留するパキスタンの方が多く、それに伴い日本語でのコミュニケーションが難しい家族の滞在も多数。
・その他、主にインドネシアやベトナムの方が介護施設の介護職や、食品業者など製造業に従事している。
・地域住民からは、ゴミ出しルールなどの生活マナーを守ってほしいとの声がある。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・ライフサポートカードを作成し、外国語対応のホームページの紹介を行うほか、英語・ウルドゥー語のゴミ分別ガイドブックを作成し、生活に必要な情報提供を強化。
・パキスタン人の生徒を集めて交通安全教室を実施。
・地域のPTAや、地域の代表者等で運営する学校支援の組織であるコミュニティスクールで、地域住民とパキスタン人住民との交流を実施。
・ウルドゥー語のゴミ分別ガイドブックを介して、町内会の方が外国人住民へゴミ出しルールを伝えることによりコミュニケーションのきっかけとなっている。
事例13:市民によるおもてなし(釧路国際交流の会(釧路市))
【取組の概要】
・高校生から80代まで幅広い年齢層の市民約100名のメンバーで活動。
・HIECCの構成団体に所属しており、国際交流事業に協力実施している。
・通訳ガイドや釧路を訪れた外国人に楽しんでもらうための取組を実施。
・外国人住民と日本人住民が交流する各種イベントや日本語学習支援、技能実習生向けの着物着付け体験など、日本文化に触れる機会や多文化共生の取組を実施。
【背景】
・釧路市で「ラムサール条約締約国会議」が開催された際に通訳や視察のボランティアを務めた市民有志が中心となって、やがて訪れる国際化時代にもスムーズに対処できるよう、1995年(平成7年)に結成。
・市内に約1,300人いる外国人住民の大半は水産や酪農の技能実習生だが、市民との交流がほとんどない。言葉や移動手段の問題があり、イベント参加が少ない。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・クルーズ船入港時には、市の委託事業として外国語による案内や通訳を実施するほか、事業に向けた初歩的な英会話の講習会を開催。
・毎年11月~12月に開催している「冬迎祭」は、日本語の披露の場として司会を外国人が務めるほか、和服体験やライブステージなど、手作りの交流イベント。
・JICAとも連携し、釧路で開催されるイベント「JICAfe」や、「くしろ国際交流フェスタ」などに協力。
・活動の担い手確保に向け、一定の役割を担う方は有償とすることが望ましい。
事例14:観光地域づくり法人の誘客の取組(一般社団法人大雪カムイミンタラDMO(旭川市))
【取組の概要】
・2017年(平成29年)に大雪山国立公園を核とする圏域(1市8町)の地域連携DMOとして設立。8年目を迎え、戦略的な取組強化のため、「旭川大雪デスティネーションマーケティングプラン(簡易施行版)」を作成。
・冬季の誘客促進に向け、富良野やトマムと広域連携の取組を実施。
【背景】
・旭川市を中心とする1市8町で構成される「旭川大雪連携中枢都市圏」が連携する中、2017年(平成29年)、DMOが誕生、2023年(令和5年)に現在の体制が確立。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・日本版持続可能なガイドライン(JSTS-D)に基づいた観光地マネジメントや持続可能な観光に取り組んでいることを明示するロゴマークの使用承諾を受け、ブランド力を強化。
・都市型スノーリゾートとして圏域内のスキー場の連携を図ることにより冬季周遊を促進し、カムイスキーリンクスにおいては早朝時間帯のゲレンデ貸切など特別感を演出した高額ツアー商品を開発・販売。
・広域連携の取組として、北海道パウダーベルト(カムイスキーリンクス、富良野スキー場、星野リゾート・トマム)の共通リフト券を販売し、周遊型の観光を促進。
・地域の魅力である自然、食、文化を融合し顧客満足度の向上と地域周遊を目的とした「温泉ガストロノミーアドベンチャーツーリズム」を開発。
・来訪客が地域や環境に配慮した行動をとることにより、環境保全と観光活性化の両立につながる責任ある観光「ツーリストシップ」を推進。
「展開方向2 優位性を生かした投資・産業の呼び込みと世界目線の産業振興」関係
事例15:農産物のブランディングと販路拡大(株式会社芦別RICE(芦別市))
【取組の概要】
・2010年(平成22年)、農家の有志3人が米の輸出に向けた法人を設立し、輸出企業と連携した現地ニーズの把握などを実施。
・国の登録検査機関や戦略的輸出基地指定を受け、参加農家の輸出へのハードルを下げる取組を実施。
・2024年(令和6年)のコメ取扱量2,413トンのうち、輸出用が1,287トンと過半数を占める。
【背景】
・国内の米の消費量が減少するなか、海外展開に挑戦する必要があった。
・輸出に向けては、地域農家の意識の改革や生産性向上が必要となる。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・農林水産省の戦略的輸出基地指定(道内は4団体のみ)を受け、地域農家へ参加を呼びかけることで輸出に取り組む農家を増やし、輸出量が拡大。参加農家数は当初の3人から24人に、輸出用農地は1haから228haに拡大。
・初めての輸出は2015年(平成27年)に香港、その後、シンガポール、米国、欧州(フィンランドなど)へ販路を拡大している。
・JETROの支援事業や農林水産省の輸出プロジェクトGFPの補助金などを活用し、社員の欧州研修や欧州向け輸出に向けた認証取得などを実施。
・参加希望の農家には、生産調整による輸出取組への支援、効率化対策等の技術支援を行い、輸出参加のハードルを下げている。
事例16:水産物のブランディングと販路拡大(ひやま漁業協同組合乙部支部ナマコ協議会(乙部町))
【取組の概要】
・「北海道産」ではなく「檜山産」として海外市場で差別化される高度化製品の加工と販売。
・漁業者自らが加工、営業、販売まで行い、販路を確立。
・2017年(平成29年)から輸出の取組を開始。
【背景】
・2010年(平成22年)に全組合員を会員とするナマコ協議会を設立し、稚ナマコの種苗生産を開始して以降、ナマコを中心に加工・販売とブランド化に取り組む。
・シンガポールの中華料理店との継続的な取引が実現したことを契機に、輸出の取組を開始。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・ナマコを手採りし、加工にも細かなルールを作るなど品質管理を徹底することで、ブランド化に成功。
・主に中国・香港の富裕層や高級中華料理店で高評価を受け、国内主要空港でも販売。
・2019年(令和元年)に「檜山海参(ハイシェン)」として商標登録、2020年(令和2年)には、農水省の地理的表示保護制度(GI)に登録。
事例17:木製品のブランディングと販路拡大(滝澤ベニヤ株式会社(芦別市))
【取組の概要】
・オリジナルの合板「ペーパーウッド」(単板の間にカラー再生紙を挟み断面にカラフルなストライプ模様が現れることが特徴)を製造。
・ペーパーウッドを使用したクラフト製品を海外のミュージアムショップなどに輸出。
【背景】
・会社の売り上げが伸び悩む中、インパクトのある自社製品の開発を検討。
・デザインスタジオと連携し、高いデザイン性と独創性を有する「ペーパーウッド」を開発。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・国の支援を活用したパリのインテリア展示会出展を契機に、ニューヨーク近代美術館など欧米やアジアの海外の著名ミュージアムショップでの販売につなげ、製品の認知度や信用力を高めている。
・海外勤務経験のある専任社員を採用し、積極的な海外向け営業を展開。
・クラフト製品の製造は、地元家具メーカーやクラフト工芸メーカーと連携するなど、地域の木材加工産業全体の活性化、高付加価値化にも寄与。
・道産木材製品販路拡大協議会に参画し、HOKKAIDO WOODの販路拡大に向け、台湾の展示会にも出展。
事例18:販路拡大に向けた現地商談会等の積極的活用(株式会社北辰フーズ(江別市))
【取組の概要】
・北海道の優れた素材等を原材料にしたゼリーの輸出に積極的に取り組むため、2006年度(平成18年度)から、台湾や香港をはじめとする東アジア市場をメインに輸出を開始。
・行政やJETRO等が支援する現地商談会等を積極的に活用し、実際に現地を視察し「顔の見える」関係を構築するなど差別化を図り、着実に販路を拡大。
・ベトナムやインドなど国内大手企業との競合が少ない市場での新たな販路開拓を目指す。
【背景】
・少子化や人口減、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で売上高が減少。
・主力商品であるゼリー製品は、東アジア市場においても国内大手メーカーとの競合が激しいため、差別化などの販路拡大に向けた独自の取組が必要。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・道やJETROの支援を活用し、シンガポール、台湾、香港でのテストマーケティングや商談等を実施し、現地パートナーを獲得。
・ベトナムでの商談会や在日インド大使館での北海道プロモーションに出品するなど新規市場開拓に向けて自社商品をPR。
・「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」に基づく輸出事業計画の認定を受け、設備の改修による品質向上や輸出に向けた国際規格「JFS-C」を取得するなど差別化に取り組む。
事例19:高度外国人材を活用した販路拡大(国稀酒造株式会社(増毛町))
【取組の概要】
・約10年前から輸出事業を開始、現在はベトナム、台湾、米国など約10か国に製品を輸出。
・海外への販路拡大に向け2020年(令和2年)より外国人材を採用。現在は2名の台湾出身のスタッフが輸出業務や多言語(中国語、英語)による情報発信、直売店での外国人客への対応、催事出展等に従事。
【背景】
・日本酒の国内需要が減少する中、海外市場の開拓が必要と考えた。
・海外への販路拡大に伴い、輸出手続きや海外向けの情報発信を担うことのできる外国人材を採用。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・JETROの外国人材活用支援パッケージ(注)を活用し、道内の日本語学校卒業者を採用。
・3か国語に対応する外国人材により、SNSによる情報発信の強化や輸出業務の効率アップが図られている。
・定着に向けWi-Fi環境の整備やエアコンの設置など、社員住宅の環境改善を進めている。
・外国人スタッフの雇用により、多言語による情報発信の実施や、イベント出展時の外部通訳の省略が可能となり、より積極的な輸出事業展開が可能となった。
(注)海外展開をめざす中堅・中小企業の高度外国人材の活用(準備、採用、受入れ、定着)をコーディネーターが伴走し支援
事例20:ワインのブランディングと販路拡大(北海道ワイン株式会社(小樽市))
【取組の概要】
・道産をはじめ国産ブドウを100%原料に使用したワインを醸造し、特に道内農家の経営安定に寄与。
・行政やJETRO等の支援を活用し、徐々に販路を拡大。中国、香港、台湾、シンガポールへ輸出。
【背景】
・将来の国内消費減少に備え、新たな販路開拓に向け、2002年(平成14年)から輸出開始。
・2008年(平成20年)に香港でプロモーションを行ったことを契機に海外展開を本格化。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・国、JETRO、JFOODO、自治体の支援を得つつ、現地試飲会、展示会等に積極的に参加し、徐々に販路を拡大。
・国税庁の地理的表示保護制度(GI)を活用し、行政のお墨付きとして「安全安心」をPR。300超の銘柄でGI北海道認証を取得。
・環境配慮の取組が国際的なブランディングに寄与すると考え、カーボンニュートラルやゼロエミッションに向けた、減農薬に資するPIWIブドウ品種の育成、スマート農業、有機栽培、廃棄物ゼロへの挑戦、自家太陽光発電、地中冷熱の活用、また植樹と管理栽培によるCO2の吸収など、様々な環境配慮の取組を展開。
・シンガポールとタイの市場調査のため、シンガポールは2019年(令和元年)から、バンコクは2023年(令和5年)から現地の北海道どさんこプラザに出品。
「展開方向3 国際交流・協力による地域間のつながりの拡大」関係
事例21:姉妹都市交流を活用した高校の活性化(鹿追町)
【取組の概要】
・1987年度(昭和62年度)から中・高校生を対象とした留学制度が設けられ、1996年度(平成8年度)からは、原則として毎年お互いの町から派遣し合い、一般の町民の派遣も活発に実施するなどし、多くの町民が交流に参加。
・1996年度(平成8年度)からは鹿追高校の新入学生全員(現在は2年生全員)がストニィプレイン町で約2週間のホームステイを実施し、日本文化の紹介や交流を図り、国際理解教育を推進。
【背景】
・1982年(昭和57年)、町の視察研修団が気候・風土の似たカナダ・アルバータ州を訪問した際、州からストニィプレイン町を紹介され、その後、同町長からの提案を受け、1985年(昭和60年)8月に姉妹提携を締結。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・2024年度(令和6年度)の鹿追高校生短期留学派遣事業は、高校2年生49名全員が参加。
・2003年度(平成15年度)から15年間にわたる文部科学省研究開発指定を受けて、小中高一貫のカナダ学(週1時間、学年に応じて英語やカナダ文化を学習)など特色を持った英語・国際理解教育をカリキュラム化。
・ストニィプレイン町民の来町を支援するため、道の地域づくり総合交付金を活用して専用の滞在施設を整備し、2015年度(平成27年度)からは訪問費用の助成などを実施。
・かつて廃校の危機もあった鹿追高校は、全国から留学事業への参加や英語学習を希望する生徒が集まるようになり、複数タイプの寮を整備するなどし、2025年度(令和7年度)は道外から10名、十勝管外から10名が入学。
事例22:スポーツ国際交流員を活用した交流促進(白糠町)
【取組の概要】
・JETプログラムを活用し、バドミントン強豪国であるインドネシアから2名の指導者を招聘。
・SEAが町内の少年団や中学、高校の部活動で指導するほか、インドネシアから中高生選手を招き、スポーツ国際交流事業を実施。
【背景】
・町技としてバドミントンに取り組む中、人口減少に伴うスポーツ団体の減少と合わせて、指導者の高齢化やなり手不足が課題となっていた。
・競技スポーツを強くするだけでなく、外国の先生と触れ合うことで子ども達のグローバルな視点も育てたいと考えている。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・インドネシアの代表選手としての経験もあるSEAが2019年(令和元年)に着任、さらにSEAの推薦により、2022年(令和4年)に新たなアスリート発掘を目的にインドネシアからもう1名を招聘。
・SEAの指導により、小学生の男子選手が全国優勝を果たす。競技指導の他、町立こども園での未就学児とバドミントンを通じてふれあう事業などにも取り組む。
・2023年(令和5年)から、インドネシアから中高生バドミントン選手を招き、町内外の小中学生、高校生と交流する練習会を開催。2024年(令和6年)8月にはインドネシアから選手4名を招待、町内外の小中学生、高校生約50人が参加。インドネシアの子どもたちとのスポーツ交流を通じて文化理解を促進した。
事例23:大学が主体となった地域貢献とグローバル人材の育成(北海道教育大学函館校(函館市))
【取組の概要】
・協定校との間で交換留学生の派遣・受入れ。
・国際協働グループでは国際的環境で活躍できる人材を育成。
【背景】
・国際レベルから地域レベルに至るまで「グローバル人材」のニーズが急速に高まりつつある。
・2014年(平成26年)の組織改編で函館校が国際地域学科となった際、地域協働専攻・国際協働グループを開設。
・大学全体として14か国・地域の36大学との間で学生の相互派遣などに関する協定を締結。
【ポイント(工夫、課題、成果等)】
・留学体験者による報告会や経済的な支援の充実など、交換留学の学生派遣を促進。
・交換留学の受入れは毎年約20名。派遣元は中国、韓国、米国、英国、ノルウェー、ベトナムなど。極力様々な地域から来てもらえるように調整。
・地域プロジェクトの中で、産官学で協力して技能実習生などを支援するほか、外国にルーツを持つ児童・生徒に対する日本語学習支援活動を実施。
・海外体験型授業として、クルーズ船内での異文化交流を実施。函館市の観光振興施策の一環として協働することで外部資金獲得にもつながる。
・卒業生は留学経験もあり、語学力も高いことから、就職に強い。
(2)総合振興局及び振興局と地域との連携の取組
道では、国際関連部局における取組に加え、道政の地域の窓口である総合振興局及び振興局においても、地域と連携して、グローバル化に対応していくための地域における国際関連の取組を進めています。
①外国人材関係
事例1:地域の状況にあわせた人材確保の取組(胆振総合振興局)
【取組の概要】
・管内の外国人材受入れの先行事例を管内事業者に広く発信するセミナーを開催。
【背景】
・成長産業や製造業、一次産業など幅広い産業が集積する胆振管内においては、あらゆる産業で人手不足が深刻な課題となっており、海外から多様な人材を呼び込む必要がある。
・管内では外国人材を積極的に受け入れている企業がある一方、制度の複雑さ、相談先に関する情報不足、言葉の壁などの課題から、受入れに向け踏み出せない事業者が多い。
【ポイント】
・ロールモデルとなる事業者等を調査し、事例として把握・見える化を行う。
・外国人材の雇用に関心のある企業を対象に、西胆振及び東胆振の2か所でセミナー開催し、身近な具体の活用事例を広め、心理的なハードルを下げる取組を実施。
・管内4市と連携し管内事業者へのイベント周知について広報紙・公式LINEに掲載するなど取り組みを行う。
事例2:広域連携によるニーズの掘り起こしの取組(檜山振興局)
【取組の概要】
・檜山・渡島管内の事業者などを対象に外国人受入れや多文化共生に係るセミナーを開催。
【背景】
・檜山地域は、全道で最も早く人口減少や高齢化が進行し、幅広い業種における人手不足が深刻化。
・地域における多文化共生の推進など外国人材の受入れ環境づくりの取組が不足。
【ポイント】
・渡島・檜山管内の事業者や自治体など広域連携による課題等の共有を実施。
・外国人を雇用する管内事業者や監理団体、地域の多文化共生を担う大学准教授などから実体験に基づくエピソードを話してもらい、道南における外国人雇用現場の実態をイメージしやすい内容とした。
事例3:官民連携の職場環境づくりに向けた取組(上川総合振興局)
【取組の概要】
・業界や企業関係者で構成される「上川地域人材確保地域連携会議」と連携した官民一体となった外国人材の採用と定着に向けた職場環境づくりのセミナーを実施。
【背景】
・「上川地域人材確保地域連携会議」において、業界・行政が連携して地域における人材確保に向けた活動を促進していく方向性を打ち出し。
【ポイント】
・企業のニーズに基づく、職場環境整備をテーマに設定し、経営者と人事担当者向けに的を絞った実践的な内容とした。
・開催地である旭川市と共催し、連携会議参加企業のほか、市内事業者に広く周知するとともに、市の連携協定を活用し、利便性の高い駅前の商業施設にて開催。
事例4:農業分野の外国人材受入れに向けた取組(留萌振興局)
【取組の概要】
・管内農業者、各市町村、農業委員会、JAを対象に、外国人技能実習生の受入れ及び派遣の先進事例に係る勉強会を開催。
【背景】
・農業者の高齢化等により担い手不足や労働力不足が課題。
・管内では農業分野における外国人技能実習制度の活用が進んでいなかったため、制度についての関心が高まっていた。
【ポイント】
・農業関係への技能実習生派遣に経験豊富な道内の監理団体から講師を招き、制度概要から農業者の受入れ体制整備・管理のポイントなど把握。
・各市町村、企業と連携して事業周知し、広く管内農業者(個人・法人)に参加呼びかけ。
②多文化共生関係
事例5:外国人住民と地域が一体となった防災の取組(宗谷総合振興局)
【取組の概要】
・宗谷地域の自然災害の特徴や避難行動、避難所運営等について、外国人住民と市町村職員等の日本人住民がともにコミュニケーションを図りながら、講義と体験型プログラムを通じて学ぶ防災研修を実施。
【背景】
・外国人住民が増加する中、災害発生時の外国人対応が課題。
・言葉や文化の違い、防災知識・経験の不足から生じる様々なリスクを想定した外国人住民と市町村職員等の災害対応力の向上が必要。
【ポイント】
・市町村からは参加者募集及び会場提供、通訳(CIR)派遣等の協力。講師は自治体国際化協会の地域国際化推進アドバイザー派遣制度を活用し、HIECCから職員を派遣。
・宗谷地域の自然災害の特徴や災害発生時の避難行動、防災への備えの必要性を共有し、外国人が暮らしやすい環境づくりにつなげた。
事例6:管内関係機関における情報共有の枠組みの構築(オホーツク総合振興局)
【取組の概要】
・外国人住民に対する受入れ体制の整備等に関する管内における情報共有の枠組みを設置。
【背景】
・オホーツク管内では技能実習生を中心に在留外国人が増加。
・外国人に対する行政サービスの向上をはじめ、効果的な受入れ体制の整備に向けて、取組事例や支援策の情報共有が必要。
【ポイント】
・JICA北海道北見デスクと共催し、JICAのネットワークを活用した知見の共有が図られるとともに、道警北見警察署等から管内特有の多文化共生に関する取組事例が共有された。
・枠組みの設置を契機に、市町村間での情報共有が活発化し、オホーツク地域全体での取組の底上げにつなげていく。
事例7:在住外国人向けの生活支援情報リーフレットの作成(十勝総合振興局)
【取組の概要】
・JICA北海道センター(帯広)、管内市町村・国際交流団体等で組織する十勝インターナショナル協会と連携したオール十勝による具体的な取組として実施。
・管内に住む外国人が安心して生活できるよう、生活に必要となる情報の問合せ先を掲載したリーフレット「つながり ひろがる 多文化共生inとかち」を多言語で作成・配付。
【背景】
・管内における外国人住民の数は増加傾向にあり、外国人の方々が安心して生活するためには、生活支援を提供する必要性が高まっている。
【ポイント】
・JICA北海道センターが立地する環境を生かし、同センターと管内全体の取組として実施。
・リーフレットには、十勝管内の外国人の方々が、暮らしに関することで困ったときや知りたいことがあるときの相談窓口等を掲載。
・3か国語(日本語、英語、ベトナム語)バージョンで作成し、日本語版には、多文化共生に関する取組も掲載。
③インバウンド関係
事例8:インバウンド誘客に向けたFAMトリップ(空知総合振興局)
【取組の概要】
・SNS等による情報発信を促すことによりインバウンドの誘客促進を図るため、道内在住の外国人インフルエンサー等を招へいし、管内観光コンテンツを体験及び視察いただくFAMトリップを実施。
【背景】
・管内にはサイクリング、カフェ、花、キャンプ場、ワイナリー、果物狩り体験など様々な魅力ある観光資源が存在するが、その魅力を相乗的に発信することができていないため、観光地としての認知度は低い。
・2023年(令和5年)に北海道でATWSが開催され、ATに注目が集まる中、空知管内はATコンテンツを多く有していることを効果的に情報発信していく必要性がある。
【ポイント】
・ツアー後、中国、台湾、韓国、タイ、英国出身の参加者がSNS等を通じ、それぞれ母国語で管内の魅力を情報発信。
・体験メニューの選定や調整、ツアー対応など、関係自治体や事業者の協力により実施。
事例9:動画制作・発信による海外への魅力発信(石狩振興局)
【取組の概要】
・管内の多様な魅力を詰め込んだ観光プロモーション動画を日本語と英語の2言語で制作。
・フィリピン等で観光PR動画広告をWeb掲出。
【背景】
・石狩管内の観光入込客数(延べ人数)は全道の約2割を占めており、外国人宿泊客数に至っては約4割を占める等、道内でも多くの観光客が訪れる地域。
・一方で、インバウンドは季節・地域に偏りが生じており、管内が持つ地域特性や魅力を生かして域内周遊、長期滞在を促進する必要がある。
・近年、宿泊施設や商業施設を併設した野球場や都市型の水族館、菓子工場併設の観光施設など新たな観光スポットが開設。
【ポイント】
・SNSでの情報発信に加え、プロモーション活動などで活用しやすいよう、動画は長尺(10分)と短尺(5分)を制作。
・インバウンドは冬季に偏る傾向があるため、石狩の観光情報に関心の高いフィリピン、インドネシア、台湾を対象に、グリーンシーズンの魅力を発信する動画広告をWeb掲載。
・動画の内容は管内市町村等からの意見を取り入れて作成。
事例10:音声ARを活用した観光コンテンツの多言語化(日高振興局)
【取組の概要】
・インバウンド誘客に向けた受入れ環境づくりの一環として、日高管内の観光スポットを来訪する外国人観光客向けの音声ガイドを制作。
・ガイドを活用したオール日高による海外プロモーションの実施。
【背景】
・日高山脈襟裳十勝国立公園の誕生や日高自動車道新冠ICの開通により道内外からの観光客の増加が期待。
・一方で、管内にはインバウンドに対応する観光看板やガイドが不足しており、来訪者に対し地域の情報を提供し管内周遊を促すコンテンツ造成が課題。
【ポイント】
・アイヌ文化や豊かな自然、馬産地としての歴史文化などの魅力を発信する日本語コンテンツ「音声ガイド・ひだかdeおさんぽ」を英語・繁体字で多言語化。
・音声ガイドの認知度向上、利用普及に向け、日高管内7町や各観光協会及び関係事業者と連携し、海外プロモーションや物産展等のイベントで周知。
事例11:観光事業者のインバウンド対応の支援(渡島総合振興局)
【取組の概要】
・渡島管内の観光関連事業者等を対象に、インバウンド特有の課題への対応や受入れ環境整備強化に向けたアドバイザーを派遣。
【背景】
・インバウンドが回復する中、外国人観光客の獲得や滞在期間の長期化に向けては、外国人の利便性、満足度の向上につながる多言語対応可能な観光施設の増加など受入れ環境の整備が必要。
【ポイント】
・専門家の指導・助言を希望する観光関連事業者や自治体等に対し、振興局が委嘱するアドバイザーを派遣。
・アドバイザーを活用し、事業者向けに実用的な英会話レッスンや英語表記などの指導を実施したほか、外国人向けに温泉の入浴マナーのパンフレットを作成。
事例12:広域プロモーション団体と連携した誘客(釧路総合振興局)
【取組の概要】
・管内の広域連携観光プロモーション団体と連携し、海外プロモーション事業を実施。
【背景】
・くしろ地域は、豊富なアクティビティ、野鳥、独特の食文化などAT素材の宝庫。
・回復するインバウンド需要を取り込むため、地域全体の強みを生かした誘客促進の取組が必要。
【ポイント】
・摩周・標茶・鶴居プロモーションボード協議会と連携し、台湾最大の旅行博への出展や現地旅行会社を訪問。
・訪問先の旅行会社は、広域プロモーション団体の繋がりを生かし、効果的に選定。
④グローバル人材育成関係
事例13:国際リゾート企業等と連携したグローカル人材育成(後志総合振興局)
【取組の概要】
・道内外の協定大学をはじめ、全国の若者から希望者を募り、国際リゾート関連企業等での就業体験や研修、地域住民との交流等を行うインターンシップ・プログラムを実施。
・プログラムを通して、世界規模の視点を持ち、地域に貢献する「グローカル人材」を育成。
【背景】
・国際的なスノーリゾートとして発展し、外国人観光客や住民が多いという地域特性を生かし、2016年度(平成28年度)から取組を開始。
【ポイント】
・毎年、夏と冬の2回実施、これまでに400名を超える若者が参加し、インターンシップ先の企業に就職した事例も創出。
・振興局が道内外の9大学との間で「グローバル人材育成に係る連携・協力に関する協定」を締結し、取組の裾野を拡大。
・地域の外国籍住民向け日本語教室や国際交流員、地域おこし協力隊と連携し、研修プログラムを運営。
事例14:外国人住民との交流を通じたグローバル人材育成(根室振興局)
【取組の概要】
・高校生が外国人住民との触れ合いを通じて相互理解を深める国際交流教室を地域の日本語学校と連携して実施。
【背景】
・在留外国人が増加し、管内に日本語学校が開設されるなど相互理解の重要性が高まる中、将来を担う高校生を対象に外国の文化等への関心を喚起する取組が必要。
【ポイント】
・中標津高校3年生の授業の一環として実施。
・根室振興局と包括連携協定を締結している岩谷学園ひがし北海道日本語学校と連携し、日本語学校の1年生13名が来校、日本語学校学生から高校生へ母国を紹介し、高校生が考案した「運動会」で交流。
・家庭科では、根室振興局と中標津町の共催とし、同町のベトナム出身の国際交流員から高校生へ母国を紹介し、高校生と一緒に「ベトナム料理の調理実習」を開催。
・取組を通して若者同士の交流の輪の広がりにつながっている。
第5章 戦略の推進
道では、本戦略に基づき、以下のとおり国際関連施策の総合的な推進を図ります。
なお、本戦略は、本道における戦略的・効果的な国際関連施策の展開方向を示す基本的な指針であり、各分野における具体的な施策の推進管理については、個別に策定している特定分野別計画等と連携して実施することとします。
1 推進体制
戦略の推進に当たっては、国や市町村、企業・団体、関係機関など多様な主体との連携を強めながら施策の展開を図ります。
また、庁内においては多数の部局が国際関連の取組を実施していることから、関係部局間で施策の取組状況や課題、対応の方向性を共有しつつ、有識者会議の意見も伺い、関係部局相互の連携を図りながら、道の海外とのネットワークを活用し、効果的かつ効率的に施策を推進します。
グローバル・リスクへの初動対応
本戦略では、本戦略の推進に係る横断的な視点において、「リスクマネジメントの強化」を掲げ、リスク分散の取組などの施策を推進することとしています。
また、国際情勢の急変により、新たなグローバル・リスクが顕在化し、本道への大きな影響が懸念される状況が生じた場合の初動対応の重要性も高まっています。
そのため、道では、庁内関係部局や道内関係機関などと連携の下、速やかに情報収集・影響把握し共有するなど、道民の皆様の不安に寄り添った正確な情報発信や相談対応などの初動対応を機動的に行い、その後の状況に応じた必要な対策の検討につなげていきます。
2 推進管理
戦略の推進に当たっては、毎年度の政策評価を活用するとともに、北海道総合計画に掲げる指標のうち本戦略に関連する指標及び有識者会議の意見等を踏まえて施策等の改善を図り、道の国際関連施策を総合的に推進します。
なお、本戦略は、本道における国際関連施策を総合的に推進するための指針であり、各分野における具体的な施策の推進管理については、個別に策定している特定分野別計画等と連携して実施します。
また、毎年度の国際関連施策や国際関係データを本戦略の資料編として取りまとめ、道のホームページ等により公開します。
対応方向毎に施策を整理
・対応方向毎に、重点テーマやねらい、当該年度における国際関連施策を整理
・当該年度の施策の実施内容・方法・スケジュールを整理
各施策を実施
進捗・課題の整理・検証
・定期的に進捗状況とその背景を整理(順調、やや遅れ、遅れ)
・進捗の背景が国際情勢に起因するものについては、施策間で連携すべき点、実施方法の見直しを要する施策がないか検証
施策間の連携や実施方法の見直し
・すぐに反映できるものは年度途中でも適時施策の実施方法に反映
・施策自体に見直すべき点が生じた場合は、次年度に向けた方向性として整理
(有識者の意見 機動的に情報収集して検証や見直しに反映)
3 北海道総合計画の関連指標
本戦略に関連する北海道総合計画の指標を参考掲載。
展開方向・項目 指標名 総合計画策定時現状値 直近値 目標値
1
外国人居住者数(人) (2022年) 45,491 (2024年) 67,484 (2032年) 68,491
1(3)
観光入込客数(万人)・外国人 (2022年) 69 (2024年) 283 (2032年) 244以上
1人当たり観光消費額(円)・外国人 (2022年) - (2024年) 171,954 (2032年) 210,000以上
国際会議等の開催件数(件) (2022年) 23 (2023年) 48 (2032年) 155
2(1)
食料自給率(カロリーベース)(%) (2021年) 223 (2023年) 213 (2030年) 268
温室効果ガス実質排出量(万t-CO2) (2020年) 5,176 (2022年) 4,859 (2030年) 3,788
再生可能エネルギー導入量(設備容量)(万kW) (2022年) 417.1 (2023年) 463.2 (2032年) 865.7
再生可能エネルギー導入量(発電電力量)(百万kWh) (2021年) 11,120 (2022年) 11,907 (2031年) 21,516
デジタル関連企業の立地件数[2023年以降累計](件) (2022年) 28 (2023年) 27 (2023~32年累計) 260
半導体関連企業の出荷額(億円) (2021年) 2,108 (2022年) 2,706 (2033年) 13,162
半導体関連企業による道内総生産への影響額(億円) - - (2033年) 10,259
2(2)
道産農産物・農産加工品の輸出額(億円) (2021年) 124 (2023年) 155 - (※1)
道産水産物・水産加工品の輸出額(億円) (2021年) 1,005 (2023年) 1,105 - (※1)
道産食品輸出額(億円) (2021年) 1,298 (2023年) 1,507 - (※1)
輸出額(億円) (2022年) 4,295 (2023年) 3,557 (2032年) 6,495
3(2)
道内空港の利用者数(万人)・国際線 (2022年) 93 (2024年) 409 (2032年) 410以上
国際航空貨物取扱量(トン) (2022年) 6,298 (2024年) 7,858 (2032年) 24,000
3(3)
日常的なコミュニケーションができる英語能力を有する生徒の割合(%) (2022年) 48.4 (2024年) 50.7 (2032年) 60.0
※1 総合計画策定時点では、ALPS処理水の海洋放出に伴う輸入規制強化の影響緩和に向け、国や道、関係団体等が一体となって輸出先の多角化や国内外の市場開拓等に取り組んでいるところであり、これらの対策の効果を国や関係団体等と共有しながら引き続き検討することとし未設定。
※2 目標値は、総合計画と一体的に推進する特定分野別計画等の改定などを踏まえ、修正する場合がある。
※3 なお、1人当たり観光消費額に加え、道内全体の観光消費額の指標については、「北海道観光のくにづくり行動計画」に掲載されている。
指標項目 現状値 目標値
観光消費額(億円)うち外国人客 (2024年) 4,866 (2030年) 10,000
4 モニタリング数値
本道がグローバル化に的確に対応していくためには、上記3の関連指標による戦略の推進管理に加え、外国人住民の動向などを的確に把握し、多様な主体における取組の継続的な改善につなげていくことが重要です。
そのため、本戦略において、こうした動きをモニタリング数値として見える化し、関係機関の施策に生かせるよう共有していきます。
(1)在留外国人の国・地域、在留資格別の状況
多文化共生社会の実現に向けては、外国人の方々の多様な状況を的確に把握していくことが重要であり、その動向についてモニタリングします。
(2)日本語教室の設置など外国人住民への取組状況
上記の外国人の状況とあわせて、市町村における日本語学習支援や相談体制、外国語による情報発信、交流行事といった取組状況について、その動向をモニタリングします。
(3)道の施策により創出する海外からの投資件数
海外から道内への企業進出件数や対日投資額など海外からの投資の全体像を把握できる統計がないため、道で把握可能な投資件数や内容、誘致に係る地域の課題などをモニタリングします。
5 戦略に関する情報発信
戦略のめざす姿を実現していくためには、道民や市町村、国際交流団体はもとより、道内外の企業や外国人の方々など多様な主体が、それぞれの立場・役割に応じ、創意と工夫を発揮しながら取組を進めていくことが重要となります。
このため、多くの方々に理解と共感をいただけるよう、多様な主体と連携しセミナーやイベントを開催するなど、効果的で分かりやすい情報発信を行っていきます。
用語集
