知事定例記者会見(令和2年8月21日)

知事定例記者会見

  • 日時/令和2年8月21日(金) 14:30~15:24
  • 場所/記者会見室
  • 記者数/28名(テレビカメラ1台)

記者会見風景

知事顔写真

会見項目

知事からの話題

  1. 新型コロナウイルス感染症対応について
  2. 「第5回北のまんが大賞」および「第1回北の絵コンテ大賞」の作品募集について

記者からの質問

  1. イベントの開催制限について
  2. 寿都町の文献調査への応募検討について(1)
  3. 寿都町の文献調査への応募検討について(2)
  4. 寿都町の文献調査への応募検討について(3)
  5. 寿都町の文献調査への応募検討について(4)
  6. 寿都町の文献調査への応募検討について(5)
  7. 寿都町の文献調査への応募検討について(6)
  8. 寿都町の文献調査への応募検討について(7)
  9. 寿都町の文献調査への応募検討について(8)

知事からの話題

新型コロナウイルス感染症対応について

 私から2点お話をさせていただきたいと思います。1点目でございますが、新型コロナウイルス感染症対応について、まず(感染症の)動向についてお話ししたいと思います。1週間の平均値については昨日時点の状況ですが、こちら(モニター)にありますとおりでございます。新規感染者数11.1名、リンクなし、感染経路が不明という方の新規感染者数は5.1名、入院患者数については90名、うち重症の方は3名という状況でございます。
 入院患者と宿泊療養者についてでありますが、入院患者数については8月に入ってから増加していたわけでございますが、現在は横ばいという状況です。緊急事態宣言の解除後の6月1日と比較いたしましても、低い水準にあります。受け入れ可能な病床に対する実際の入院患者数の割合については、昨日時点でありますけれども、13パーセントとなっているところであります。また比較的軽症である方の宿泊療養について、こちらも昨日時点でございますが、21名、19パーセントとなっておりまして、人数および割合も6月より多い状況は変わっておりません。
 次に、新規感染者の年代別の割合についてです。年齢を公表されている方の年代別割合でございますが、30歳代までの感染者は51パーセントとなっています。新規感染者は、若い世代の割合が多い状況が続いているわけでありますが、2週間前と比較いたしますと、世代の広がりが見られるということについて注意が必要です。若い方々に対しては、昨日でありますが、あらためて学内外での感染防止対策の徹底、学生に対する注意喚起についてご協力いただくよう、道内の大学等に対しまして通知を発出したところであります。
 なお、8月18日に小樽市立病院の職員1名に感染が確認された後、20日までに入院患者や職員など17名の感染が確認されたところでございます。道では小樽市からの要請を受けまして、直ちに医師や保健師などを小樽市保健所に派遣いたしまして、感染拡大防止対策や患者の入院調整などについての人的支援のほか、衛生研究所においてPCR検査に係るバックアップ、こちらを行っております。今後も状況を注視しながら、必要な支援を行ってまいります。
 こうした集団感染の発生を除きますと、本道の感染状況について、感染が広がる他の都府県と比べますと、一定程度抑えられていると言えるのではないかと思っています。例えば、8月10日から16日の1週間における人口10万人当たりの新規感染者数、こちらについては、北海道は1.49人であります。新規感染者がなかったのは2県あるわけですが、そちらを除きますと、45の県の中で位置付けとしては27番目、全国平均の6.06人と比べるとおよそ4分の1の状況ということです。また、8月12日時点の重症者用の病床の占有率、こちらを見ますと、北海道は3パーセントでありまして、重症者がいない県が20県あることを除きますと、重症者がいる27の県の中では25番目に位置するという状況でありまして、全国平均の6.8パーセントと比べると、だいたい半分以下という状況です。
 しかしながら、最近ではリンクなし、感染経路が分からないという方の新規感染の割合が高くなっているということ、各世代に広がりつつある、そういったことなど注意しなければならない兆候もあります。道として、高い警戒感を持って対応を進めていく必要があると考えております。引き続き道民の皆さまにおかれましては、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けまして「新北海道スタイル」の実践を徹底するなど、ご協力をお願いしたいと思います。
 本道が大きな感染拡大に至っていない背景には、お盆の時期を含めまして、医療・福祉等関係者の皆さまの昼夜を問わないご尽力のおかげであるということが言えます。まだ新型コロナウイルスとの戦いは続いているわけでありますが、ここであらためて医療機関や介護・障がい福祉施設等の従事者の皆さまに心から感謝を申し上げたいと思います。そしてこうした強い使命感を持って対応されております医療・福祉等関係者の皆さまに対し、国において慰労金制度が創設されたことから、道では一日も早く慰労金がお手元に届くよう準備を進めてまいりました。慰労金はお一人当たり最大で20万円となっております。第1回目といたしまして、7月の申請受け付け分を今月28日に支給することとなりましたので、お知らせいたします。慰労金は、医療施設、福祉施設等を経由いたしまして申請することとなっておりますので、関係者の皆さまにおかれましては、早めに手続きをお願いいたします。
 次に、今後の医療提供体制についてでございます。道ではこれまで、道内各医療機関の病床確保をお願いいたしまして、700床確保してきたところでございます。今後は患者数の増加に応じて3段階のフェーズを設定いたしまして、各フェーズにおける確保病床数を明らかにすることといたしました。フェーズ1は、地域での散発事例発生時に速やかに対応できる病床数を、フェーズ2では比較的大規模なクラスター発生時、地域での感染拡大時に受け入れ可能な病床数、フェーズ3ではピーク時に地域で最大限受け入れ可能な病床数ということで確保する考えであります。
 次に、この3段階のフェーズごとの病床数の考え方について説明いたします。(モニター画面の)病床数のうち、かっこの中は重症患者の病床数です。道ではこれまで先ほど申し上げたとおり700床確保してきたわけでございますが、一般の医療にも大きな影響が出るということがあることから、感染が比較的落ち着いている状況では一般の医療を十分に確保していく視点が必要でありまして、医療関係者の皆さまのご協力をいただきながら、そうした感染状況に応じて確保すべき病床数を取りまとめたというものであります。その観点から、現在の感染状況を踏まえ、すぐに対応できる病床といたしまして628床を確保し感染が拡大する状況にあっては、一般の病床への影響を抑えながら、段階的に980床に増加させていく。また、ピーク時にもしっかりと医療を提供できるよう備えることが重要でありまして、関係者の皆さまのご尽力の下で、ピーク時には現時点で最大1767床を確保できる見込みとなりました。
 また、宿泊療養施設についてですけれども、アパホテル670室に加えまして最大500室の確保を予定しておりまして、病床の利用状況や疫学調査結果などを含め総合的に勘案し、運用開始時期については決定いたします。道といたしましては、引き続き感染症以外の医療にも配慮しながら感染拡大防止策に万全を期すとともに、今後は3次医療圏単位で適切な医療確保を図ってまいります。なお、今回は全道分ということで説明させていただきましたけれども、3次医療圏別の病床につきましても同様の考え方でまとめさせていただいていまして、記者の皆さまに配付させていただいているところでございます。今後、道のホームページにも掲載する予定でありますので、そちらをご覧いただきたいと思います。
 最後でございますけれども、こうした医療提供体制の整備に加えまして、国の(新型コロナウイルス感染症対策)分科会によります提言を受けまして、新しい警戒ステージの検討を進めているところでございます。道といたしましては、感染拡大の防止と社会経済活動の両立を基本として、さまざまな対策に取り組んでいるところであります。こうした取り組みをさらに進めながら今後の感染拡大に対応できるようできるだけ早期に新しい警戒ステージ、こちらを決定してまいりたいと思います。
 これが1点目です。

「第5回北のまんが大賞」および「第1回北の絵コンテ大賞」の作品募集について

 2点目でございます。本日より「北のまんが大賞」と「北の絵コンテ大賞」の募集を開始いたしましたので、お知らせをさせていただきます。(演台前のポスターを指し)こちらにポスターがございます。北海道の魅力アップにつながる漫画作品のほか、近年話題となっております「恐竜」をテーマとしたイラストを募集いたします。このコンテストで受賞された方には、これまで道政のポスターですとかパンフレットなど、道としても活動の機会を提供させていただいているところでございます。過去に受賞された方の中には、漫画雑誌での長期連載が行われている方もいるところでありまして、受賞後のスキルアップ支援も含めて、応募者にとって魅力あるコンテストにしていきたいと考えております。
 次に「北の絵コンテ大賞」、これは今年度初めて実施するコンテストということであります。アイヌ文化の魅力を発信する絵コンテの作品を募集いたします。大賞に選ばれた絵コンテ作品をもとに最終的にアニメーションを作成いたしまして、道立施設などさまざまな場面で発信していく予定でございます。ホームページやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のほか、市町村教育委員会を通じまして各学校などに広く周知を行わせていただきますけれども、マスコミの皆さまにも作品募集について、積極的なPRについてお願いいたします。
 私からの話題2点は以上でございます。 

記者からの質問

(北海道新聞)
 新型コロナ(ウイルス対策)に関してなのですけれども、感染拡大に伴うイベント開催の制限について、政府のほうは当初8月末まで延期した制限を、さらに9月以降も制限を続ける方針を固めたというふうにされています。道としては、この政府の方針に合わせて8月末までとしている制限を続けるのか、あるいは道独自に制限を緩和するのか、今後の見通しを教えてください。

(知事)
 今ご質問のあった点について、9月1日以降、開催制限の取り扱いについて議論されている。しかしながら、まだ政府として決定しているという状況にはないと思っておりますので、この点についてはイベント開催事業者の皆さまなどにも影響があることから、政府としても早急に方針を示していただきたいと考えておりますが、道としても、やはり9月からの話でございますから、来週早々にはその取り扱いについて決定していきたいと思っております。

(北海道新聞)
 寿都町の核のごみの受け入れ施設、文献調査の応募検討について伺います。昨日の3町村長との会談でですね、知事は文献調査の後の概要調査を前にした意見表明の手続きに言及されまして、しっかり対応するというふうにおっしゃっておりました。知事意見の表明の場ではですね、今どのような意見を提示したいというふうにお考えなのか、お聞かせください。

(知事)
 最終処分法(特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律)では、文献調査の段階で知事が意見を述べるという機会はないわけですけれども、次のプロセスである概要調査へ移行しようという場合については、意見を述べることができるという状況があります。寿都町が文献調査に正式に応募し、さらに概要調査に移行しようとする場合については、手続きに従って反対の意見を述べていきたいと考えています。

(北海道新聞)
 手続きを進めるべきではないという意見を表明されたいということですね。

(知事)
 反対の意見を述べてまいりたいと考えております。

(北海道新聞)
 概要調査に入るのは2年以上かかるものだと思いますけれども、この時期にご意見をお話になる狙いとですね、今寿都町で議論が始まろうとしているときに、この大きな影響が知事の発言であると思いますけれども、その点についてお伺いさせてください。

(知事)
 これは知事として、文献調査時においては先ほど申し上げたようにそういった意見を述べる機会がないわけでございますけれども、議論が行われるに当たって、概要調査に移行する場合について、現時点でどのような考えがあるのかについて明らかにすることが、議論の上でも必要なのではないかという考えから、反対の意見を述べたいということを明らかにする必要があるのではないかと考えて、今お話をさせていただいたところです。

(北海道新聞)
 反対の理由なのですけれども、これまでもおっしゃっておりますけれども条例の存在、それから地域としてのいろんな影響をおっしゃっていますけれども、あらためて反対される理由をお願いいたします。

(知事)
 昨日、隣接の三つの自治体、島牧村、黒松内町、蘭越町の町村長がいらっしゃって、お話をされていました。近隣の自治体への情報提供ですとか、慎重な判断を求めていきたいというお話も伺いまして、私自身も同じ思いであるということも申し上げました。
 特定放射性廃棄物の処分は、これは非常に重要な課題であると思っています。道では現在、幌延町において全国で唯一、深地層研究、こちらを受け入れており、国の原子力行政に協力しているわけであります。この受け入れにあって、道では道民の皆さまの中に不安や懸念があるという中で研究を進める担保措置として、(北海道における)特定放射性廃棄物に関する条例を制定し、条例の中で持ち込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いということを宣言しているところです。この条例は、平成12年に道議会においてもさまざまな議論があったわけでありまして、それを踏まえて将来とも道内に処分場を受け入れる意思がないという考えに立つものであります。寿都町を含め、全ての市町村においても、条例を順守していただきたいと考えております。
 それと、施設建設地の選定までには、先ほど申し上げたとおり数段階のプロセスがあるわけですけれども、その最初の段階であります文献調査への応募ですね。放射能が下がるまで10万年かかるともされています。全国の廃棄物を北海道、後志地域、寿都町が受け入れるという将来の入り口に立つ可能性があるという問題であると受け止めています。10万年先の将来を、わずか1カ月という検討で町として結論を出すというのは、私は拙速だと思いますし、時間をかけ慎重に検討すべき課題だと思います。当然今後も寿都町と対話を重ねる中で、そういったこともしっかり伝えていきたいと思います。

(北海道新聞)
 最後にしますけれども、知事が概要調査に進まないように反対の意思を示せばですね、国は最終処分場の手続きは進めないというような立場をすでに手続き上示していると思います。文献調査、寿都町が進めようとして文献調査の意義が知事の判断によって大幅に低下すると思うのですけれども、国は一方で、この文献調査に着手できれば20億円を寿都町に払うというふうに言っています。道もいろいろ情報収集はしていらっしゃると思いますけれども、知事のこの判断を今されることの交付金等への影響についてですね、どのように把握し、また知事はどうあるべきだというふうに考えていらっしゃいますか。

(知事)
 この交付金の話ですけれども、国でもこの最終処分事業というのは長期にわたる事業だということで、安定的かつ着実に進めていくためには地域住民との共生関係を築き、併せて地域の自立的な発展等につながることが重要だと言っているわけですね。文献調査の段階から調査地区等に交付金を交付するという立て付けになっています。現在の国の進め方に関してですけれども、今、これは寿都町長もおっしゃっていますけれども、新型コロナウイルスの感染拡大で非常に厳しい状況がある。私も市長経験者として、そもそも財政事情が厳しいところの市長をやっていましたけれども、新型コロナウイルスの感染拡大を受けまして財政の見通しが厳しい状況になるであろうと感じていらっしゃる、そういった首長の方はやはり多いと思っています。そういう状況の中で、巨額の交付金ということを前面に出してその不安を抱く方々が多くいるわけですけれども、そういった地域の住民の皆さまも含めて合意形成を図ろうという印象が私はあるのではないかと思っていまして、やはりそういった点で、私は今の仕組みについて疑問があると思っていますし、また、なぜ今なのか。新型コロナウイルスの感染拡大で、その厳しい状況を何とかしなければならない。100年に一度のそういった厳しい状況であると国自身が言っていると私は認識していますし、そういったタイミングで、1カ月、1カ月で決断していく、重要な問題ですから、やはり慎重に検討するということが必要なのではないかと思います。

(朝日新聞)
 今の関連で、まず確認をしたい点が一つあります。これは私の意見というよりはプロセスの中での考え方の問題だと思うのですけれども、今知事はもう今回反対の意見を述べるというのを2年前、仮に応募したとしてですね、2年前の時点で反対を表明している形になります。一方でプロセス自身は、文献調査の結果を受けて知事なりに報告をして、それに対して意見を言うというプロセスなのですが、調査の結果が出る前に今表明することの行政上の妥当性というのはどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 今現時点でどのような考えを持っているかについて、こういった記者会見の場もそうですし、道民の皆さま、そしてさまざまな関係する方々にお話をするというのは、一般的な行政の取り組みの中でも、それはあり得ることだと思いますし、また先ほど申し上げたような判断に至った経緯なども丁寧に国などにもお伝えしていくということが必要だろうと思いますので、それは私の判断としてしっかり皆さんにこういう考えがあるということをお伝えすることが必要だと判断しました。

(朝日新聞)
 あとその関連なのですが、繰り返しになって恐縮ですが、2年あるわけですよね。この2年間の間にその考えが変わることというのは、現時点での話にはなりますが、ないというふうにお考えという理解でよろしいでしょうか。

(知事)
 仮定の話に仮定を重ねているような状況でありますけれども、寿都町は今文献調査に手続きをするかどうかを検討している状況だということですので、まずはそういったわれわれの考え方というのをしっかりとお伝えしていくということに尽きるのではないかと思います。

(朝日新聞)
 先日、その視察の折にですね、知事はお金で頬をたたくというような表現を使われました。確かに今回の交付金を巡っては、いろんなあまり知られていなかった部分が出てきた部分があると思います。その表現はともかくとして、この制度設計自体について今回知事が最も関心を持たれている、もしくはその懸念されている制度上の部分というのは何かございますでしょうか。

(知事)
 私もこの問題というのは、非常に重要な問題だと思っているわけです。また幌延町の深地層研究においても、やはりそういった研究を進めていくことの重要性の中で必要な成果を上げていくことが必要だという観点から、その研究期間の延長についても決断し、また皆さんにご説明を申し上げてきた。ですから、この問題自体を軽視しているつもりはございません。ただ先ほど申し上げたように、国の進め方として新型コロナウイルスの感染拡大で、やはり非常に財政が不安になるそういった状況の中で、巨額の交付金を前面に出してそういった合意形成を図ろうとするという印象を私は持っています。しかもそれを1カ月でその方向性を決めていこうというのは、私は拙速ではないかと思っています。それとやはり、非常に重要な問題ですから、この地盤が安定しているとか、輸送に適しているだとか、そういった適切な候補地というのは、これはやはりそれぞれの地域が検討するというよりは、やはり国がそういった観点などから選定して、都道府県や周辺自治体はもちろんですけれども、広く住民の皆さまにも説明して理解を得るということなど、国が主体となって責任を持って検討していく。そして、そういった理解を得る取り組みも、何かクローズの中でやるのではなくて、こういうことで国としては考えているのだ、いやそれは地元としてはどうなのだということを、広くみんなが可視化される中で議論が行われていくというのが、やはり通常の決定プロセスなのではないかと思うのですね。まあそういう意味では、今の状況というのは少しそことは違うのではないかとは思っています。

(朝日新聞)
 最後に今おっしゃった点なのですけれども、そうすると国が主体的に調べるということはトップダウンである地点を選んでしまって、それであなたのところは適地ですよというふうに言ってしまう可能性もあるわけですよね。その辺りちょっと言葉を補足していただければと思います。

(知事)
 トップダウンで選ぶというか、いきなりそれがどういう形で出てくるかということについても、今どういう形で示されるかというのが分からない中でのこの質問のやりとりになっていますけれども、例えば文献調査の対象となり得る地域が自治体箇所数で言うと1500カ所あるということかと思いますけれども、ではそこの中でどういったところが今言ったような国として地盤だとか輸送だとかそういった観点から適切であるのかということが見えない中で地域からの手挙げ制という形でやっています。これは、税金の使い道の中でもしかしたら適切ではない地域が手を挙げて、多くの所が文献調査でその先に進まないような状況になるというときに、例えば最大交付額20億円というのが、誰かのポケットマネーではなくて国民の税金として予算措置されていくという状況について、それは事業の進め方としてもどうなのだというのもあると思いますし、また寿都町に私も直接お話をお伺いできていないのですけれども、やはり1カ月という期間で決めるということでおっしゃっているわけですが、そういう状況が今の中で生まれたとしても、近隣もそうですし、われわれも意見などを述べることが手続き上できないわけですね。ですからやはりそういったしっかりとした透明性の高い中で議論が行われるということが、私は適切なのではないかと思います。

(北海道新聞)
 前お二人の方の最初のほうの質問とかぶるのですが、概要調査の前に反対の意見、反対するということを今のうちから言うことで、法律の立て付けとして知事の権限がそこであるので、それを今のうちに言っておくことで知事の態度をお示しになっているということだろうと思うのですけれども、そもそもその法律の権限、法的な根拠がなくてもですね、知事が例えば明日、寿都町長にですね、文献調査自体、応募をやめてくれと、直接言うことは無いのか、あるいは札束で頬をたたくと、以前は高知県の橋本知事(当時)もおっしゃったことですけれども、橋本知事(当時)なんかは経済産業省に受け付けないようにというような話もしているわけですよね。そういうことを今の時点で、調査反対というのは意思表明としてありだと思うのですけれど、文献調査自体を受けないように求めるというお考えはないですか。

(知事)
 まず、先ほど言ったようなプロセス上、概要調査に移行するに当たって知事として意見表明できるという中での私の考え方について、また、条例を順守していただきたいなどのお話をまずはしっかりと寿都町に対して、あらゆるレベルでお伝えしていくことが必要だろうと思いますし、また昨日3町村長の皆さんと面談した時も、多くの隣接地域などの皆さんの声を受けて、やはり広域自治体の長として国にも伝えてほしいというお話もありました。ですから、これは適切な時期に国に対しても、その声をしっかり届けていくと、われわれの考え方も伝えていくということもやっていきたいと思います。

(北海道新聞)
 ちょっと条例を順守してほしいという発言が、今までも高橋はるみさんの時からずっとかなり曖昧なところがあってですね、条例順守するけれども、やむを得ず、でも、やはり受けざるを得ないよねというような話で受けることを認めるのかとかですね、だからもっとすっきりとですね、文献調査応募しないでくれというふうには言わないのか、今後、他の自治体で出たときも、文献調査に関してはあえて明確には止めないということなのか、その辺りもう少しクリアにお話しいただいて良いですか。

(知事)
 まずは文献調査にあって、今、寿都町の中でも議会や団体や町民の皆さんにその考え方、文献調査にいくかどうかについて検討するに当たって、説明されているという状況であると聞いています。その中で、われわれとしては、あらゆるレベルで今、われわれの考え方というものを伝えていく、またその状況が多分動いていくのではないかと思いますので、そういった状況の中でまたメッセージとして、いろんな形でそれはお話をしていくことになるのだろうと思いますが、現時点においては、先ほど申し上げたような対応をしていきたいと思います。

(北海道新聞)
 どうしても文献調査が入ってしまうとですね、その後ずるずるいってしまうという恐れがあるのと、その知事が2年後に、最短で2年後に反対意見を表明すると今おっしゃっていても、それが4年、5年後になった場合に、鈴木知事が知事でいらっしゃるかどうかも分からないということで、あまりその担保にならないというかですね、かつ他にも文献調査も自治体がいっぱい出てきたときに、今知事がその寿都町の2年後の概要調査反対だと言ってもそれはあまり効力がないのではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。

(知事)
 ですから先ほど申し上げたように、法律上は文献調査にあって、そもそも都道府県知事が意見を申し述べるということがプロセス上ではないのですね。ですからそういった中で、何ができるかという状況の中で今取り組みを進めていると。また寿都町の中でも(8月)13日に報道に出て、いろんな説明とかの日程もその後出てきて、これからそれを今日も多分、議会などに説明しているのだと思うのですが、そういう状況ですから、私の考え方というのは皆さんにまずはお話をさせていただいた中で、段階に応じて適切に対応していくということで考えています。

(北海道新聞)
 ということは、今後橋本元(高知県)知事のように国とかに要請することもあり得るということですね、可能性としては。

(知事)
 先ほど言ったように、適切に地域の声を届けてほしいという話もありますから、国に対して伝えていくということは行いたいと思います。

(時事通信)
 2問、核のごみの関係なのですけれども、寿都町長と直接会談して、今回の件についてやりとりするお考えはあるのでしょうか。

(知事)
 そうですね、町長が寿都町のほうにお伺いすれば会っても良いですよという趣旨のご発言もされていると聞いていますので、さまざまなレベルで対話をしていきたいと思います。

(時事通信)
 それは直接寿都町に伺って、知事自ら会談を行う用意があるということで。

(知事)
 寿都町のほうに来てくれれば会っても良いよと言ってくださっているとお伺いしていますので、私から行くというのが筋なのではないでしょうか。

(時事通信)
 それは、地元としては(8月)26日にまず町議(会議員)との意見交換会を予定しているみたいなのですけれども、知事のタイミングとしてはいつごろをめどに考えていらっしゃるのでしょうか。

(知事)
 それはまだ決めていません。今、さまざまなレベルでそういったまた対話ということを重ねさせていただきたいと考えていますので。

(時事通信)
 分かりました。あと、寿都町に対して、今日午前中、後志地方と石狩地方の漁協、9漁協が検討撤回を求める抗議文を提出したのですけれども、この件についてどうご覧になっているでしょうか。

(知事)
 昨日も、3町村長(との面談の中で)蘭越の町長からは、先代からブランド米を作ってきた中での風評被害への懸念というお話もございました。本日、漁業協同組合長会の皆さんも、福島第一原子力発電所の事故に伴うそういった風評被害などを経験してきた観点から、申し入れを行ったということかと思いますので、そういったさまざまな声を受け止めていただいた中で、慎重に検討していただきたいと考えています。

(北海道新聞)
 またこの関連なのですけれども、先ほど概要調査での反対の方針を示されましたが、その理由としてですね、核抜き条例、これの存在を挙げられました。一方で、道内にはですね、その核のごみを出す北電泊原発、これがあるわけなのですけれども、この再稼働について、さまざまな議論があるわけですけれども、知事自身、これまでの繰り返しかもしれませんけれども、どのように受け止められているかお聞かせください。

(知事)
 これまでの繰り返しですね。今、(原子力)規制委員会での、最新の知見を反映した厳格な基準に基づく厳正な審査、確認を行うことが重要だという中で、その審査継続中ですから、予断を持って申し上げる状況にはないということです。

(北海道新聞)
 すみません。その態度を明確にされていないということだと思うのですけれども、こういった原発の存在を否定されずに、その核のごみの受け入れだけ拒否されるということについて、矛盾しているのではないかというような指摘が道議会(議員)の一部の方からございます。こういった指摘に対する受け止めをあらためてお聞かせください。

(知事)
 先ほど話したことともつながるのですけれども、最終処分のあり方について、私は発電所ごとに最終処分を採用するというのは現実的ではないのではないかと思います。発電所があるごとに、そういった処分施設を造っていくということは現実的ではないのではないかなと思いますし、先ほど言ったように、やはり国がそういった候補地を選定して、都道府県ですとか、その周辺の自治体、住民の皆さん、そういったところに丁寧に説明して理解を得るということがやはり必要ですから、国が主体となって、責任を持って検討していくものだと思いますので、先ほど言ったような、いわゆる交付金で説得していく。それをこのコロナ禍で行っていくという状況については、私はそのような見方がされかねない状況なのではないかとも思いますし、そういった考え方であります。

(北海道新聞)
 今おっしゃった確認なのですけれども、発電所ごとに対応するというのは現実的ではないという言葉の意味なのですが、ある意味、道としては一定のこの問題に対する役割を果たしているのだと。泊、そして幌延というそういった核に関する施設がある中で、最終処分場、これ以上受け入れるとかという議論にはもう応じる必要がないと、そういう意味も含んでのご発言というふうに理解してよろしいでしょうか。

(知事)
 道議会での平成12年の議論、条例制定の趣旨なども踏まえると、受け入れ難いという考え方についての議会議論の整理などもあるわけですから、基本的にはその条例での考え方というのを順守すべきであろうと思いますし、先ほども申し上げましたけれども、そういった幌延の深地層研究、最終処分のそういった研究をしていくことは、やはり重要だという観点から、全国で唯一受け入れをして、原子力政策にわれわれは役割を果たしているということも、これは全国の皆さんに、やはりしっかり理解していただかなければならない話ですし、重要な問題であるという認識を持っているからこそ、そういった取り組みをしているということについても理解していただきたいと思っています。

(北海道新聞)
 今の質問に関連してなのですけれども、ちょっと北海道新聞、うちの読者などからもですね、泊原発がありながら、原発、核のごみのもとを出す原発を持ちながら、核のごみは拒否しますと。出す側でありながら、受け入れられないというのはおかしいのではないかという投書なども来るわけですよね。先ほど知事が幌延で一定の役割を、一定の貢献をしているのだということもよく分かる気がするのですけれども、どうしても原発がありながら、受け入れられないというのはおかしいのではないかという意見が。原発のない沖縄県とかが核のごみ拒否条例を作るというのは、それはそれで納得できるのでしょうけれども、元々(原発が)あるではないかという意見があります。その一方で、これ以上核のごみの問題に振り回されたくないので、泊原発を一日も早く止めてほしいとか、せめてこれ以上再稼働せずに、これ以上核のごみを増やさないでほしいというご意見も結構聞きます。その辺りについて、知事のお考えを伺いたいのですけれども。

(知事)
 私が先ほどお話ししたとおりですね。泊原発についての考え方は先ほども述べましたけれども、発電所ごとに処分場を造るということは、私は現実的ではないのではないかという考えに立っていますし、また先ほど言ったような役割も一定程度を果たし、また道の条例がある。そういったことなども総合的に考えた中で、今回の文献調査への向き合い方について整理しておりますので、そういったご質問というか投稿されている方が、北海道に地域ごとに処分場を造ることが必要ではないかという発想なのかもしれませんが、私はそういった考え方にはないということです。

(北海道新聞)
 地域ごとにというよりも、原発を持っているのにごみはうちでは処分しませんということに対する。

(知事)
 処分するべきだということですね、地元で。

(北海道新聞)
 せめて議論はすべきだというような意見もあると思うのですけれども、そこはいかがですか。最初から原発(は核のごみ)を出す発生源でありながら、ごみは全く受け入れませんと言い切れるのかどうか。そこはどうお考えですか。

(知事)
 先ほど申し上げたとおりですよね。いわゆる原子力行政に協力している。また、これも先ほど申し上げましたけれども、そういったさまざまな条件の下で、国がここが適地だろうということを決定した中で、真摯(しんし)に透明な中でそういった議論を行うというのが私は必要ではないかと思っていまして、これはいろんな考え方があると思いますけれど、今みたいな形で交付金をある意味では呼び水にしながら取り組んでいくということについては、ちょっと疑問があるということです。

(北海道新聞)
 もう一歩踏み込んでなのですけれども、道の脱原発の視点に立つという省エネ・新エネ促進条例(北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例)というのを下に、この際、その核のごみのこういう問題が出るのだから、もう泊原発止めてください、やめてくださいというようなお考えにはならないですか。

(知事)
 そういったお声もあるのでしょうが、私は先ほど申し上げたとおり、さまざまなご意見はあるかと思いますけれども、今、規制委員会においてそういった審査、確認を行うということが重要だという観点から考えておりますので、その再稼働については、予断を持って申し上げるという状況にはないということです。

(共同通信)
 核のごみの関連について、先ほど知事が国に対して周辺自治体の意向と道の思いを伝えていくというお話をされたと思うのですけれど、具体的にどのような内容をいつごろまでに国に伝えようとお考えかお聞かせください。

(知事)
 先ほど同じような質問にお答えしましたけれども、われわれの考え方、条例の順守に対するそういった考え方ですとか、先ほど文献調査から概要調査に移行するに当たってのわれわれの考え方ですとか、また近隣の皆さんから伝えていただきたいという内容なども踏まえて、適切な時期に国に対してお伝えをしていきたいと思っています。明確に何日の何時に行くとかそういったことはまだ申し上げることはできないわけですが、適切な時期に行いたいと思います。

(朝日新聞)
 繰り返しになってしまうかもしれないのですけれども、知事はこの寿都町の核のごみ受け入れ問題について、文献調査については9月中に1カ月で判断を出すことについては拙速だというふうに申し上げて、ただ今、概要調査に進むに当たっては、反対の見解を表明されるというふうにおっしゃいましたけれども、北海道に、この高レベル放射性廃棄物の最終処分場を造る、受け入れるという、そのことそのものについては、知事としてはご見解、賛成か反対かと言われれば、反対であるという理解でよろしいでしょうか。

(知事)
 「受け入れ難い」という宣言は、将来にわたっても、そういった処分場が造られるということに対して(条例が)係っているという議会での議論がしっかりあるわけですから、そこは住民の代表である道議会や当時の知事も含めて議論があって、その考え方が積み重なって20年たって、積み重ねられたということについて尊重する。このことは、私は大事ではないかと思います。

(朝日新聞)
 そうしますと、その北海道にはいわゆる核抜き条例というものが存在するので、それを尊重しなければならないということだと思うのですけれども、仮にその条例がなかったとしても、政治家として、ご自身のご見解として、この核のごみ処分場を北海道に造らせるということについては、どういったご見解なのでしょうか。

(知事)
 先ほど言ったとおり、結局、そういう地域ごとに、何カ所も何カ所もそういった施設を造るということ自体がどうなのだというのもありますし、今の交付金のあり方だとか、いろんなことについてこの場で考え方を申し上げてきましたけれども、それがまさに私としての考え方です。この問題自体、簡単なものではないし、重要な問題だと受け止めていますけれども、だからこそ、やはり慎重に検討すべきものであろうと思いますし、今のプロセスにも問題がないのかと言ったら、そうではないのではないかと思いますし、ただ一方で法律にのっとって、行政というのはさまざまな意見の申し入れだとかそういったことをやっていくというところもある中で、このような対応を取るというのが私の考え方です。


この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)

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