知事定例記者会見
・日時/平成25年6月7日(金)14:30~14:53
・場所/記者会見室
・記者数/27名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
1 農作物の生育状況などについて
2 プロスキーヤー・冒険家 三浦雄一郎さんの偉業について
記者からの質問
1 道職員の給与削減について
2 国の成長戦略について
3 北海道食品機能性表示制度について
4 オスプレイ(米軍新型輸送機MV-22)訓練について
5 ゼニガタアザラシの保護管理に関する国への要望について
6 北照高等学校の元教諭による体罰について
知事からの話題
農作物の生育状況などについて
私からは2件ご報告であります。
一つ目は、道内の農作物の生育状況などについてであります。ご承知のとおり、今年は天候不順、日照不足、低温がずっと続いてきたところであり、農作物への影響、作業の遅れなどずっと心配をしておりました。
私自身も今週の火曜日、空知管内の深川市のある農家の水田を見せていただきました。その農家の方からは、天候不順で苗の管理に大変苦労したと。しかし、田植えをした後は、順調に育ってきているというお話がありまして、私も大変うれしく思ったところです。
その直前の6月1日付けの道内の農作物の状況について、皆様方にもわれわれの調査結果を発表させていただいていたところですが、地域間のばらつきというのがありまして、オホーツクあるいは十勝管内、特にオホーツクが遅れているという状況で、そちらには副知事に行ってもらい状況を見てもらったところです。
5月の後半からは晴れの日も多くなりまして、全道的にも気温が平年を上回る状況も見られることから、遅れていた作業も少しずつ盛り返してきているというところであります。しかしながら、今でもやはりオホーツク管内は2週間近く遅れているということで、生育の確保に向けて技術指導が不可欠であるというふうに私どもは思っているところです。道では、農業改良普及センターを通じて、それぞれの地域ごとにきめ細やかな指導を行わなければならないと思っておりますし、また今月から8月にかけては、気温は平年並み、または高いという予報も出ておりますことから、関係の皆様方、関係の団体とも情報を共有しつつ、営農技術対策に万全を期してまいりたいと、遅れを取り戻してまいりたいと、このように考えているところであります。なんとしても、これは空知の深川市の(視察)現場でも、来ていただいた記者の方々に申し上げましたが、農業者の方々と気持ちを一つにして頑張って、今年も豊穣の秋を迎えたいと、このように考えております。
プロスキーヤー・冒険家 三浦雄一郎さんの偉業について
もう一つは、三浦雄一郎さん。ご承知のとおり5月23日、世界最高齢の80歳で、世界最高峰であるエベレストの登頂に成功された、北海道が生んだまさに英雄であると、このように思うわけであります。
70歳、それから75歳の時に続いて3回目の登頂成功ということ、このことも大変素晴らしい快挙でありまして、北海道民としてもとても誇らしく思っているところです。なんといっても、ご本人あるいは周りの方々の並々ならぬご努力のたまものであると思っているところであります。
私どもとしては、70歳で登頂を成功された際に、北海道功労賞をお贈りさせていただいた経緯がありますが、今回の世界的な快挙に対しましては、栄誉賞を贈呈し、私ども道民の感謝の気持ち、あるいは誇りの気持ち、そういったことをお伝えしたいと考えております。できる限り早い時期に、三浦さんとのご都合を合わせて、お会いして贈呈させていただきたいと思っております。
なお、三浦雄一郎さんには、去年の12月に北海道観光大使に就任いただいた時に、私も面会をさせていただいているところでありまして、今回の快挙を本当にうれしく思う次第であります。
私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
職員給与の削減の関連で2点お尋ねしたいんですけれども、先日の組合との交渉でですね、特別職の給与についても削減を検討するということを伝えられたということなんですけれども、当初の提案段階ではなかったこの特別職のですね、給与を削減すると、その理由をまずお尋ねしたいのが1点。それから2点目がですね、知事は以前の会見で特別職の給与に関しては他県の状況を見て考えるというようなことをおっしゃっていたと思うんですけれども、他県の状況を踏まえるとですね、削減率の幅がだいたいどれぐらいで検討されているのかということもお聞きしたいと思います。以上2点です。
(知事)
この件については、今いろいろ検討しております。
(朝日新聞)
安倍政権がですね、いわゆる3本の矢の最後の成長戦略というのを全部出されました。国民総所得ですか、これを1人当たりを150万円増にするとかですね、農家の所得倍増ですとか、お米にかかる生産コストを4割削減というようなことを並べておられますが、一方で道筋がはっきり示されていなくてまだ不透明だという批判もございます。知事はどうご覧になられましたか。
(知事)
安倍総理が内外情勢調査会の講演で、成長戦略の現時点での政権としての考え方についてプレゼンテーションをされたというのは、報道を通じて聞いておりますし、またその中身については事務的にも報告を受けているところであります。マスコミ各社は、大変辛口でいらっしゃったなというのも印象深く思っているわけですが、もとより一国民として、日本国全体の成長戦略というものももちろん関心はありますが、私はやはり道知事としての立場とすれば、今こうやって政府が展開しようとしているさまざまな成長戦略のメニューに、われらが北海道の潜在力を活かした形で、どういう形で乗っていくことができるのか。そしてそういったことの活用の中で、北海道の活性化というものをどういうふうに期していくことができるのか。そちらのほうがむしろ大きな関心事項でありまして、ご承知のとおり5月22日付けでわれわれとしての北海道の新たな産業群をわが国の成長戦略にどう活かしていくかという提案をさせていただいているところでありまして、これをあらためて今回、国というか今の段階ではまだ閣議決定しておられないので、総理から示されたものと照らし合わせて微修正が要るものは微修正をする形であらためて提案をしていきたいと、このように考えているところであります。
来週にでも、自民党の正式な委員会として位置付けられております、北海道総合振興特別委員会の場で、われわれの考え方をあらためてプレゼンテーションさせていただこうと思っております。
その中でいくつか、これは民間の方々と思いは一致しているわけでありますが、例のフード特区といっております、北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区。これは前政権である野田政権の時に、北海道として唯一食をキーワードとした特区指定を受けて、これを活用しながら北海道の食産業立国を今目指している、その一環として、ご承知のとおり北海道食品機能性表示制度もスタートしたところでありますが、このフード特区を今、安倍政権がやろうとしている国家戦略特区に格上げというのか、そちらに位置付けてもらって、税制上の優遇をはじめとする各種の優遇措置の拡充をぜひしていただきたいというのが一つの目玉かなと思っております。
それから健康医療の関係も重視ということを言っておられて、私どもも、既に文部科学省の助成措置の対象に位置付けていただいております、北大リサーチ&ビジネスパーク構想を中心とした健康科学・医療融合拠点の形成、これはまさに北海道の誇る食も活用しながら、健康な家庭づくり、それに最先端の医療技術などもマッチングするというもの。それと、もう一つは札幌医科大学の技術でして、私も詳しいことはよく分からないのですが、脳梗塞治療に大変役に立つ世界最先端の再生医療技術、その芽を持っておりますので、それを早期に実現するということを、これは国のためにもなるし、そういうことができれば道内の活性化にもなるということで、こういう健康医療分野でもわれわれの発信というものをしっかりやっていきたいと思っております。
それから観光の分野でももう既に、これは私どもから発信しておりますけれども、特定免税店制度、あるいは一定の投資促進策などの観光振興のための特例措置の創設ということもぜひ実現を加速化していただきたいと思います。それから新エネルギーですね。これも北海道は宝庫と言われております。ただ、北本連系(北海道・本州間連系設備)が60万(キロワット)というキャパシティしかない。これをどういうふうに拡充して、倍にもしていくべきだと思いますし、また道内の送電網についても、これは前から記者会見で出ておりますが、そういったこともわれわれも自助努力しますが、ぜひ国においてもさらなる拡充をしてほしいということなどを内容とする、われわれの戦略実現に向けた施策の提案ということをしっかりやっていきたいと、このように考えております。
(日本経済新聞)
今の質問に関連するんですけれども、今回成長戦略の中の規制緩和ということでですね、北海道の先ほどお話が出た機能性の表示と同じようにですね、健康食品に効能を表示できるようになるのではないかと。非常に結構なお話だとは思うんですけれども、北海道でですね、先行して機能性表示をやっていく中で結局全国でも同じような流れが出てきてしまうとですね、優位性というのがどうなのかなという指摘もあると思うんです。その点に関して知事は今どのようにお考えでしょうか。
(知事)
この話は道内で一歩先行して現に進んでいるという実態がありますので、われわれがどんどんとまずは実績を出していくということが何より重要だと思っていて、そういった北海道の先行事例がうまくいけば、それがまた全国に展開ということにもつながってくるでしょうし、もちろん地域間競争というのは重要なので、われわれで独占したいというような思いもないわけではないけれども、ただやはり規制緩和なり、いろいろな政策の恩恵というのは、できれば日本国全体に行き渡るということも重要だという認識も一国民としてはありますので、まずは他の事は気にせずに、われわれの制度は現にスタートしていますので、この中でしっかりとした実績を出していくということに努力を傾注していきたいと、こんなふうに思っております。
(北海道新聞)
昨日ですね、大阪の橋下徹日本維新の会共同代表、そして松井一郎大阪府知事がですね、安倍首相とか菅官房長官にオスプレイの大阪府内の八尾空港で一部訓練受け入れということで表明されております。これについて知事のお考えを、沖縄の負担軽減という観点でお願いいたします。もう一つ北海道で今後オスプレイの訓練、一部移転受け入れということを検討するお考えありますでしょうか。以上2点、お願いいたします。
(知事)
沖縄の基地の負担軽減、これは大変重要なことだと思っております。それが第一ですね。それから、今回の大阪市長と大阪府知事の提案というのは何かよく分からないなというふうに思っておりまして、八尾市長が反対と言っておられるかなと思ったら、新聞の報道だと反対は原則だけど、でも話は聞くようなことも言っておられるとか、よく分からない部分があります。事務的に調べさせたところ、八尾市のほうから(見れば)、大阪市長は域外(の自治体の長)ですからね。これはたぶん維新の会のトップとして言われた。だからたまたまその提案のエリアが彼の近くの八尾市だった、大阪府内だったというだけで。これは、例えば北海道を提案するということも場合によってはあったのかなと。そこもよく分からないのですけれども、さらによく分からないのは、松井知事は確かに日本維新の会という政党の幹部でいらっしゃるのかもしれませんが、一方で大阪府知事でいらっしゃるので、八尾市から大阪府にこれはどういうことなんだと見解を求めたところ、大阪府の事務方は、あれは知事は政党人としてやったので、府としては一切知りませんというふうな回答があったらしいのですね。とすると、あの提案というのは、どういう意味があるのかと。責任を持って自分の地域の中でみんな説き伏せてやりますからということでもない。たまたま近くの、あるいはたまたま自分が別の仕事でやっているそのエリアの中の一部について提案したけれども、それは別に自治体のトップとしての提案ではないということらしいので。よく分かりません。もう少し推移を見ていきたいと思います。
(共同通信)
昨日ですね、道の幹部の方が環境省を訪問されてですね、襟裳岬のアザラシについて捕殺調査を実施してほしいと要請されたんですが、環境省のほうから、現段階で個体数の調整はせずに別な方法を検討したいという回答が寄せられたということでした。知事のお考えをお伺いしたいのと、道としては襟裳岬のアザラシについて今後どのような対応をしていきたいと考えられていますか。
(知事)
なかなか難しい問題でありまして、もとより希少種の絶滅危惧種であれば、それを守らなければならないというのは、一般論としてよく分かるわけでありますけれども、昨日(環境省に)行きました(環境生活)部長からも報告を受けたのですが、そもそも本当に(ゼニガタアザラシは)絶滅危惧種なのか、数がどのくらいいるのか、そこの調査もあらためてやってもらう必要があるというようなことも国に要請をしているところでして、現に襟裳というか日高管内を中心に、結構大きな被害が出てきているという現実がある中で、漁業者の方々も大変苦慮しておられますし、その対処ということをどのようにやるのか。ここまではずっと国とわれわれと調整をしながら進めてきたのが、突然と言ったら環境省はまたそうではないとおっしゃるかもしれませんが、この度、環境省から、ゼニガタアザラシは絶滅危惧種であること、被害減少の確実性が低いということで、今おっしゃった捕殺調査はやるつもりがないという回答になりました。われわれがもうちょっと納得する説明を、数が本当に少ないのかどうかということも含めてやっていただかないと、われわれとしては漁業者の方々、現に目の前でいろいろな被害が出ている方々ときちんと向き合って話ができないなという思いを持っております。
別途、水産庁、農林水産省のほうにも、これは水産林務部を通じて、いろいろ働き掛けをしておりますので、いろいろな形でのわれわれの思い、漁業者の方々の思い、こういったものを踏まえて、われわれも活動していかなければならないなと、なかなかまだ決着点が見えない問題だと思っております。
(NHK)
小樽の北照高校で明らかになった体罰の案件について伺いたいのですが、道には特に処分権限はないですけれども、一応調査をされていたかと思います。その中で体罰はなかったといった報告があった中で、こういったことが明るみになったということに対して、まずどのように受け止めていらっしゃるかと、あと今後、道としてどのような対応をされるご予定でしょうか。そのあたり伺いたいのですが。
(知事)
まず、体罰というのは絶対にあってはならない。これはここまでいろいろな事案が世の中に出て、このことについて国民的な関心が高まっている中であらためて言うのも何ですが、あらためて申しますと、体罰というのはいかなる理由があっても絶対にあってはならないことであると、このように私自身も認識し、国民もそのように認識していると考えます。
そういった中で、今回の小樽の北照高校の事案というのは、虚偽報告と言うと何か意図して虚偽の報告をしたというふうなニュアンスもあるのであえてこの言葉を使いませんが、何回かにわたって、体罰はないという報告を私どもに上げてこられた中で、実は(体罰が)あったということが報道等を通じて出てきて、そのこと自体を高校当局も今認めておられるという現状だと認識しているところでして、大変遺憾なことであると、このように思う次第であります。
まずは、私どもから北照高校に要請をしておりますのは、事実を明らかにしてほしい。これまでの経緯、事実関係、そしてこれからどうするのかということを明らかにしてほしいということを求めている、報告を求めているところですので、その結果を待ちたいと思うわけでありますが、ここでやはり、今までの報告は誤っていて実際は体罰があったという報告になれば、それを踏まえての対応ということが必要になってくると思うのですが、体罰があることによって生徒さんなり保護者の方々、いろいろな面で精神的なダメージも受けられた方々も多いでしょうから、そういったことへのきめ細やかな対応というものを、しっかり考えていかなければならないと、そんなふうに思っております。
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