知事定例記者会見記録(平成22年2月17日)

知事定例記者会見

・日時/平成22年2月17日(水) 14:00~15:00  
・場所/記者会見室
・記者数/35名(テレビカメラ2台)

会見項目

 

知事からの話題

1 バンクーバーオリンピックでの長島選手の活躍について
2 日中韓三カ国環境大臣会合の道内開催の正式決定について
3 平成22年度当初予算・平成21年度補正予算について

記者からの質問

1 平成22年度予算について(政権交代の影響)
2 平成22年度予算について(財政規律で苦労した点)
3 平成22年度予算について(重点政策のポイント)
4 平成22年度予算について(基金の活用)
5 平成22年度予算について(削減した部分)
6 平成22年度予算について(道債残高の推移)
7 北海道新幹線について
8 北教組に対する札幌地検の捜査について
 

知事からの話題

 

バンクーバーオリンピックでの長島選手の活躍について

 今日は予算のご説明がメインでございますが、それに先だって2件、話題提供させていただきます。 
 その一つ目は、バンクーバーオリンピックにおける道産子スケーターの大活躍ということです。もう私から申し上げるまでもなく皆様方ご承知のとおり、スピードスケート500メートルで十勝の池田町出身の長島圭一郎選手が、日本選手団メダル第1号となる銀メダルを獲得されました。とても喜ばしいことであります。今回の長島選手のご活躍を一つのきっかけとして、さらに道産子選手そして日本選手団が大活躍してくれることを心から祈念しております。

日中韓三カ国環境大臣会合の道内開催の正式決定について

 それから二つ目は、日中韓三カ国環境大臣会合の道内における開催の正式決定についてであります。
 このことにつきましては、G8サミットの開催の後、国際会議を誘致したいということで、今年はAPEC(アジア太平洋経済協力)の貿易担当大臣会合が予定されていますが、加えて、今年開催予定の日中韓三カ国環境大臣会合の誘致をしてきたところであります。
 もう数カ月前でしょうか、東京にまいりまして環境大臣にもご要請申し上げた経緯がありますが、昨日、正式に道内開催を決定したという連絡をいただいたところでございます。今日午前中、私から環境大臣にお電話でお礼を申し上げたところでありますが、小沢大臣も北海道の環境の良さというのをよくご存知でございまして、行くのを楽しみにしているというお話をしておられました。
 具体的な開催地につきましては、函館、釧路をはじめとして道内いくつかの市が関心を示しておられるわけでありますが、外国から来られる方々のご意向もあり、新千歳空港の周辺のどこかでの開催とする方向になろうかと、今の段階では考えているところであります。

平成22年度当初予算・平成21年度補正予算について           

 そして予算のご説明でございます。
 予算の概要という資料と、いくつか配付資料をお手元にご用意申し上げているかと思います。まず昨日総務部長のほうから詳細についてはご説明申し上げたと思いますので、私はそれと重複を避ける形でご説明をし、もちろん、必要があればご質問を受けるという形にしたいと思っております。
 その意味では数字の並んでいる14ページまでのところは1ページずつ見ないでまいりますけれども、その前に補正予算ですね。
 これは1定(平成22年第1回北海道議会定例会)に冒頭先議でお願いするということでご提案を申し上げようと思っておりますが、雇用対策それから地域医療再生臨時特例基金、それから安心こども基金などの造成・積み増しのほか、緑の分権改革推進事業など補正予算の総額は400億円を提案させていただきます。
 さて、その上で、そこから切れ目のない形での来年度予算ということでございますが、
トータルの金額は2兆8,181億円ということでございます。そして今回大変辛かった
のは、道税収入が4,807億円と、5,000億円を割り込んだというのは、実に平成元年以来ということで、大変厳しい状況であるということをあらためて認識したところです。一生懸命、収支を合わせる努力をしましたが、結局のところは21年度と同様に、国直轄事業負担金を90億円計上留保する形で収支の均衡を図ったところでございます。
 以下、ご説明いたしますが、財政の厳しい中で、しかし現下の厳しい経済雇用に配慮しながら、メリハリのある財政計画、予算の計上に苦労したところでございます。
 それでは15ページからの予算の中身のほうに移ってまいりたいと思います。こちらも書いてあるとおりのところは極力省略をしてポイントだけ中心にまいりますが、三つの柱、「経済」「地域」「環境」、これを核として22年度の予算を考えていきたいということでありまして、これは今日というよりも、いつかの機会でもっと後にご説明をと思っております。
 鳩山総理にも以前お会いした時に申し上げたのですが、北海道は世界に誇る強みというものがあります。環境が良い、自然が素晴らしいなど、それから食料供給力などの強みがあるけれども、一方で、人口減少や少子高齢化など、大変厳しい、地域共通課題が典型的に発現されている地域でもあるという、この強みと弱みという北海道の特徴を地域づくりの中で活かした形で、いわば、我々としては北海道の特徴を活かした「北海道モデル」というような形で整理し、モデル的なプロジェクトの立ち上げについて今、庁内横断的に議論しておりまして、肉付けなどさらに行った上で、具体的な提言をそのうちに行っていきたいと考えているところであります。
 さて、16ページからは、雇用であります。
 これは、今日午前中に雇用対策本部(経済・雇用対策推進本部員会議)で関係部長それから支庁長も出席をしてもらって心を一つにするということをあらためて確認したわけでありますけれども、従来からの若年者雇用対策に加えまして、まさに働き盛りで家族も抱えておられる中高年の方々の再就職等の支援、それから季節労働者の方々の雇用支援などに力を入れていきたいと考えているところでございます。
 こういった支援に加えて、雇用の創出ということもしっかりやっていきたいと考えておりまして、こうした一連の雇用対策として、雇用交付金による基金事業も含め、総額250億円と前年度予算に比べ倍増したところでございます。
 それから18ページからは食のクラスターでありますが、別途配付資料の中に、参考資料5があると思います。これは例の北海道経済政策戦略会議で何回も練りに練って、皆様方のご提言を踏まえて、これから本格的に展開しようということでありますので、予算を含めて別資料を用意させたところであります。今までも、農商工連携であるとか、地域資源の開発であるとか、産業クラスターであるとか、いろいろな形でいろいろなことを民間の方々あるいは我々行政としてやってまいりました。
 いろいろな芽は出てきているのだけれども、なかなか全体として大きく拡大するという現状にはない中で、あらためて既存のさまざまな政策ツールであるとか民間の知恵であるとか、また加えて新しい政策ツールも導入することによって、あらためて食クラスターの本格展開をしていこうというのが私どもの思いであります。
 ここに書いてございますとおり、まずは、発展の可能性の高いような新商品・新技術をまずは開発しようということです。新しくスタートする道立総合研究機構は、丹保理事長のもと張り切っておられますので、ここにも大活躍をしてもらおうと、それから道内各地域の取組に共通する課題の解決に向けて、ノウハウ、情報の提供等を行っていこうと考えているところでございます。
 予算は22年度当初予算で、7億5,800万円程度を考えております。食クラスターの連携協議体というものを全体としてまず作ります。経済団体、農業団体、国の出先機関、そして当然総合研究機構等々で構成して、そしてそれを地域展開するために、まずは地域産業支援機関6地域にインキュベーションマネージャー(起業支援者)を配置して、そして14の総合振興局、振興局ごとにその管内で関係者が連携をする仕組みを作っていこうということを考えております。
 そういった仕組みの中で2ページ以下ございますが、協議体が活動することは当然でありますが、研究機構には、若干ではありますが自由に課題を決めて研究していただくというような予算措置も含めて、食を重点にしていただきたいと思っております。
 また次のページにございます、販路の拡大あるいは地産地消の拡大それから企業誘致については、これは今までの自動車あるいは加工組立型産業等の誘致に加えて食関係の企業誘致ということもしっかり核に据えていこうと考えているところでございます。
 予算の本体のほうに戻っていただきまして、20ページの食の安全・安心です。これはやはりおいしさと同時に食のブランド化、食クラスターと同時に大変重要であるのが安全安心でありまして、このことについてしっかりとさらに取組を続けてまいりたいと考えております。YES!clean表示制度(クリーン農産物の表示制度)、きらりっぷ(道産食品独自認証制度)等であります。それからさらに「米チェン」であるとか「麦チェン」であるとか、マルシェ(直売市)の継続的な展開であるとか、そういったこともやっていきたいと考えているところです。
 また21ページの健康産業、これはやはり私ども北海道の観光あるいは地域づくりという観点からも重要ですので、振興を図っていきます。
 それから、22ページは環境関連ビジネスの振興です。地球温暖化対策のところで別途触れますが、この環境問題への対処というのは、ともすれば企業活動に対する制約という報道も多いわけでありますが、私はやはり一つの考え方、パラダイム(支配的な物の考え方)というと大げさかもしれませんが、新しい世の中にステップアップするという意味において、そこに向けてのビジネスチャンスも広がってくると確信しているところでありまして、道内企業にそういったインセンティブ(動機づけ)を与えていくということも重要と考えているところであります。
 それから、23ページからは、国際的な発信ということが書いてあります。今年の秋、上海万博「北海道の日」、ここへ向けての情報発信の準備を今一生懸命やっているところでございます。また、当然APECに向けての発信もございます。
 そして25ページからは、観光のブランド化。観光産業も目の前は、いろいろな不況の影響もあって、あるいは円高の影響もあって、少し海外からの足が劣っているという感は否めないわけでありますが、海外客、国内客、道内客に分けてみますと、まず、海外戦略の重点は東アジア戦略だと思っております。もちろん、オール世界でどこからでも来ていただくのが良いのですが、重点は東アジア。今までは中国、韓国、台湾、香港そういったところを中核としておりましたが、加えてシンガポール等も含めて商品をしっかり売っていただく、といったことをやっていきたいと考えております。
 それから、国内向けの事業では、観光のブランド化の四つ目にあるブランディング事業です。国内の日本人のお客様向けに、エージェント(旅行代理店)さんに目標を立ててもらって、その中でも例えば地方空港、道内のローカル空港を使ってもらうとか、フェリーを使ってもらうとか、ひと味、少しいろいろ加えてもらって、国内誘客を支援していくというようなことであります。
 それから重要なのが、観光の地産地消。道内の方々に道内に行っていただくという道民運動をあらためて巻き起こしていこうと考えております。
 26ページからは、農林水産業の体質強化。ここも全て重要な政策でありますが、あえていくつかピックアップするとすれば、緊急農地排水対策事業費。ご案内のとおり国からの交付が少なくなる、半減くらいかもっと少なくなることも想定されている公共事業費の縮減に対応する形で、冷湿害に強い農業生産基盤づくりに向けての必要な道独自事業ということで位置付けているところでございます。
 また27ページには、それ以外の農業関係の重点、あるいは水産関係ではマツカワ(王蝶ガレイ)の資源造成など、道内の水産物の資源拡大あるいは消費拡大、こういった取り組みをしていきたいと思っております。
 また、林業分野では、森林・林業の再生を目指しての対応をやっていくということです。
 28ページは、産業人材の育成。人材の育成は常に永久の課題であります。このこともしっかりやっていきたいと思っております。
 さて、30ページからは、2番目の大きな柱でございます地域づくり。その中ではまずは医療であります。大変に厳しい状況は続いておりますが、そういった中で、苦労された方々の経験談であるとか、あるいは道民の方々の声であるとか、地域の医療現場の声などを踏まえて、いくつか重点的に来年度も政策を展開しようと思っております。
 例えば、総合内科医養成研修センター運営支援事業、これは、お医者様はともすれば専門化してしまうのですが、地域の現場で、診療所や病院で診ていただく先生は、何でも一通りはわかっていただくような総合内科医というものが重要であるということは、総論においては常に言われているわけであります。総合内科医の養成について、意欲を持ってこのことにチャレンジしたいと手を挙げていただく道内病院から選ばせていただいて、やっていこうと考えております。今のところ江別市、江別は市長はじめ、大変ご熱心でありますが、他に室蘭であるとか松前などからご関心が寄せられているところであります。
 また、指導医の派遣、これは研修医制度が変わって、研修医がなかなか病院に来てくれないという声をよく聞きます。
 指導してくれる先生がいることを期待をしてこられるお医者様の卵の方々により多く集まっていただくために、指導医を派遣するという事業であります。もちろん指導医は指導だけやっていただくのではなくて医療行為もやっていただくという形を想定をしております。
 さらに、緊急・臨時的医師派遣事業費、これは引き続きではありますが、地域から大変評価を受けておりまして、22年度からさらに充実し、強化していきたいと思っているところであります。
 もちろん抜本的には恒久的にお医者様の派遣が重要ですが、その間を繋ぐような形でのお医者様の派遣の緊急的な派遣事業もここで重視していきたいと考えております。
 それから、地域医療再生計画推進事業費。地域医療再生計画を策定していただく、北網、南檜山の2地域を対象として、重点的にIT化、あるいは周産期医療の充実をやっていきたいと思っております。
 またドクターヘリ整備事業、そして条例もつくっていただいた子供たちの歯の健康ためのフッ化物洗口の普及などを、やっていきたいと考えているところであります。
 32ページからは、高齢者、障がい者の方々に安心して暮らしていただくための地域づくりであります。高齢者の皆様方向けには、小規模福祉施設の設置、特別養護老人ホームの開設準備への支援など、従来どおりしっかりとやっていくのは当然であります。
 また、北海道障がい者条例(北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例)がこの4月から本格施行ということになっています。この条例は施設から地域に障がいのある方々が移っていただくための地域環境づくりという柱、そして障がいのある方々の権利保護という柱、そして就労支援という三つの柱をもつ総合的な条例としては、私は全国に誇れるものだと自信を持っているところでありまして、この条例に命を込めていくためにもさまざまな予算措置、あるいは知恵と工夫で、財政的に厳しい中ではありますが、この条例の施行に万全を期し、障がい者福祉の先進地を目指していきたいと考えているところであります。
 例えば、障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会、これは14ブロックごとにつくります。そして障がい者の方々に対する権利を擁護するなどの機能を果たす委員会という位置付けを考えているところでありまして、ここで当該地域における福祉サービス等のいろいろな苦情であるとかいろいろな問題提起、そういったこともご議論をいただく、そういった制度設計を今考えているところです。
 そして、その下、障がい者就労支援推進事業、これはまだどこということは決めておりませんが、全道で一つ非営利の法人を指定させていただいて、そこを核として総合的に就労支援をやっていきたいと考えているところであります。
 33ページからは子育て環境の充実、このことも引き続き、大変重要なことでありまして、ここにあるようなさまざまな政策を展開しながらしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 また、教育委員会委員長神谷先生と私との連名によりまして、子供たちの成長を支える応援メッセージを発信するところでありまして、これも参考資料に入っているかと思います。
 それから35ページからは、北海道らしい文化の振興ということで、まずはアイヌ施策でありますが、国のアイヌ政策推進会議の発足にも合わせる形で、環境生活部の中にアイヌ政策推進室を設置し体制の充実を図ってまいります。
 また、現在は開拓記念館となっております施設を北海道ミュージアムという形でアイヌ文化を含めた道内博物館の中核的な役割を担うものとして位置付けていきたいと考えているところでありまして、このことにも取り組んでまいりたいと考えております。
 そして、アイヌ民族の日を設けるなどの啓発事業の重要性については、私としても国のアイヌ政策推進会議において述べているところですが、国のほうでは例えばアイヌ民族の日の制定というのは22年度中はどうかなという話もありますので、このアイヌ民族の日を道が先行的に定めるという考え方もありますが、いずれにいたしましても、何か今年、アイヌの方々と共にフォーラムを行えないかと思っているところでございます。
 なお、アイヌ関係の予算につきましては、国の制度改正分というのは若干ありますが、そういったものの影響を除きますと、若干の増額ということになっておりまして、これは関係資料はないかと思いますが、ご関心の向きは環境生活部へお問い合わせをいただければと思う次第であります。
 36ページからは、消費生活相談体制の整備であります。消費者庁もできました。私どもとしても国と一体となってこのことにしっかりと取り組んでいきたいと思っております。また交通安全への対応、地域の生活に欠かせないバス路線の維持・運行対策などきめ細やかな対策を行ってまいりたいと考えております。
 それから37ページの下からでありますが、地域の創意と主体性を活かした地域づくり。このことについては参考資料3を見ていただければと思いますが、これも予算を含めて総合的にご説明をすれば、地域振興条例に基づく地域振興策を総合的に推進していくということでありまして、ここに3つ四角がございます。まずは総合振興局、振興局の機能強化、局長の権限の拡充、そして地域づくり相談支援機能の強化でございます。
 それから市町村等との連携、相互補完の強化と、市町村への職員派遣の充実であるとか、広域連携の在り方に関する検討等を行おうと考えているところであります。
 そして下の四角は地域づくり支援策の充実ということで、これは予算の冊子のほうにもございますが、地域づくり総合交付金の創設などこれまでの対策をさらに充実していきたいと思っているところでございます。
 その次に、道の夕張市への支援について。参考資料2という1枚紙があろうかと思います。これは今まで個々にはご説明をする機会はあったかと思います。
 一応まとめますと、道からは今のところ48億円強くらいの支援、そして国は今のところ94億円弱くらいのことを想定しておられるところであります。この結果、今現在、例の2次集計段階で実質返すのに30年かかると言われておりました夕張の再生計画期間が、国の支援分で4年分くらい、道の支援分で2年分くらい短縮して、あとは市当局の自助努力によって今18年の計画期間と考えられているところでありまして、私的にはもう一声もう二声いきたいなと思いますが、さらに国に要請していきたいと考えているところでございます。
 それから、39ページから環境であります。
 地球温暖化防止のための道の条例、これに基づく計画づくりというものを今一生懸命やっているところであります。「ガイア・NEXTプロジェクト」と環境生活部の職員がかっこいい名前を考えてくれたのですが、こういったキャッチフレーズでこれから北海道における地球温暖化対策をやっていこうと考えているところであります。
 予算も充実をしたいと考えております。もちろん、環境生活部の予算だけでは不十分でありますので、経済部の予算、水産林務部の予算、農政部の予算なども活用しながら、しっかりとこのことに全道一丸となって取り組んでいきたいと考えているところでございます。
 どれもこれも目玉の予算ばかりでありますが、カーボン・アクション支援事業費、これは国でもパートパートでは少しずつ言われておりますカーボン・オフセットの取組の今後の可能性を検討していこうということでありまして、NPOの方々、これは雇用の分野でもパートナーシップをこれからしっかり組んでいこうと思っておりますが、こういった皆様方の支援もお借りしながらやっていきたいと思っております。
 それから、北海道低炭素社会ビジョン検討事業費がございますが、これはバイオマス、新エネルギーなど、いろいろな北海道の可能性がございますので、長期的な視点に立ってそういったものにしっかり取り組んでいこうということでございます。
 41ページから省エネルギー、新エネルギーなど重要な政策が並んでおります。
 それから44ページから、いつも掲載をさせていただいております、特別な予算に頼らずに、職員の知恵と工夫で取り組む「赤レンガ・チャレンジ事業」。さらには、企業との「タイアップ事業」そして包括連携協定等の締結による民間企業との協働事業、こういったこともしっかり進めてまいろうと思っておりまして、赤レンガチャレンジ事業もこれは資料がありますので後からご覧いただければと思いますが、職員の知恵や経験を活かす事業が51本、道の施設を有効活用する事業が37本など、全体で昨年とほぼ同様の218本の事業に取り組もうと考えているところでございます。
 

記者からの質問

(読売新聞)
  国のほうの政権交代後、初めての道の予算ということになるのですけれども、今回の予算の内容で、知事が政権交代の影響というか色合いがよく出ているなと思われるような事業等がありましたらば教えていただきたいのと、あと、予算編成上で政権交代の影響をお感じになったとすれば、どういった点かというのを教えていただきたいと思います。

(知事)
 まず、金額的な予算の額、規模ということで言えば、一番大きな影響は開発予算の大幅減だと思います。
 昨日、部長からご説明したと思いますが、5,000億円を切るような開発予算になっておりまして、これは、道内に激震が走ったと言っても過言ではないと思っております。
 そして、それを埋めるべく、我々として一生懸命知恵と工夫で頑張っておりますが、それでもこの冊子に掲載している形で特別対策事業費等という1,007億円がいわゆる道単独事業のことであります。
 9ページの特別対策等の総額Bのところに、1,007億円というのがありまして、これに補正を含めるのはどうなのかと昨日議論があったというのは聞いておりますが、これは公共事業ですので、実際の事業実施は当然この4月からの年度でありまして、そういう意味でこの特別対策事業等で1,007億円を何とか工面したということであります。
 加えて申し上げれば、これ以外の投資的経費も、あらためて拾いますと、例えば道有施設等の施設建設費が98億円くらい計上されていますし、またそれ以外に、医療施設の耐震化であるとか、社会福祉施設の耐震化、それから森林整備の関係で間伐とか路網整備とか、こういうものもある意味投資的経費なので、私どもなりにあらためて計算をいたしますと、先ほどの1,007億円を含めて1,500億円くらいは、なんとか道が独自の投資的事業として計上できるかなと思っております。
 引き続き、国の他の交付金の確保も頑張っておりますので、何とかこれを発射台として、道の来年度予算の補正等々の上積みのなかで頑張っていきたいと思っておりますが、先ほどのご質問に戻れば、やはりこの国の公共事業予算の縮小が、道予算の規模なり数字のやりくりを考える際の最も大きな影響だったかなと思う次第であります。
 これはどちらかというとマイナスの影響かと思いますが、私はプラスの方も結構あったと思います。それの一つは、環境でありまして、元々北海道は自然環境も良いし、新エネルギーもあるし、環境には重点を置こうと思っていたわけでありますが、新政権になって環境重視で、90年比25パーセントと。これが達成できるかどうかというのは、またいろいろな議論が国ベースでもあるのかもしれませんが、今の政府は国会に法案も出して進めると言っておられるので、そういった国の方針に沿う形で、我々北海道でも、より比較優位を活かす形で、環境対策を重点的にやっていこうと考えております。
 また、その分野の企業にビジネスチャンスを持ってもらおうというような政策分野に財政資金を投入することについて、道民の方々のご理解を得られる環境になったというのは、私はプラスではないかなと思います。
 それから、コンクリートから人へというスローガン。北海道の場合には社会資本、公共事業費依存度が高いのでなかなか難しいところはありますが、ただ、人にやさしい政策、人にやさしい財政支出を充実すべしというのは、これはいわば真理でありまして、そのことをあらためて、政権の方向性として言っていただいたというのは、私どもとしては大変勇気をいただいたところでございます。
 そういう観点から先ほど障がい者対策のところは、胸を張ったわけでありますけれども、まだまだ不十分なところもありますが、こういった分野についてもしっかりチャレンジをしてやっていきたいと思っておりますので、政権交代の予算への影響というのは、多様だなと思っております。


(北海道新聞)
  財政規律のことについて、ちょっとお尋ねしたいのですけれども、今回の予算では、早期健全化団体になるならないという話も含めて、財政規律についても多々ご苦労されたのかなというのはあります。
 それでお伺いしたいのは、知事の冒頭のあいさつにもかぶりますけれども、税収が減る中で、一方で、景気雇用対策もしなければいけない。つまり財政出動もある程度やらなければならない中で、財政規律も守らなければいけないという、難しいかじ取りを迫られたんだと思うのですが、そのへんのご苦労、どういうところに非常に苦労されたのかという話を聞きたいのと、もう1点、知事にとっては2期目最後の政策予算になるのだと思うのですけれども、最もここが私のカラーだ、というか、ここに最も力を入れました、という点がどこなのかということを教えてください。

(知事)
 まずは、財政は綱渡りというのはおっしゃるとおりでありまして、税収は減る、景気は悪い、でも財政規律は守らなければならないということで、どうしようかと思ったわけでありますが、昨日、部長から説明があったと思うのですが、追加資料の別紙2がありますが、これがからくりと言ったら怒られますけれども、一つのポイントでありまして、国から3年間で使っていいという基金がありましたよね、あれは、結構ありまして、22年度当初予算額で636億円使おうとしております。
 そうすると来年、その次の年度が少なくなるからどうするのかはその時考えるということで、また来年の補正もあるでしょうから、そこは置いておいて、22年度について言うと、各種分野ごとに積んでいただいた国からの基金事業をそれなりに活用できるというのは、一つの大きなポイントかと思っております。
 しかしながら、それでも厳しい状況でございますので、何とか無駄を省くということを一生懸命やりながら、道職員の皆様方にも独自縮減について、ご理解が得られたかどうか、とにかく合意はさせていただいて、引き続きということになっておりますし、いろいろな皆様方のご協力の中で、来年度予算案については、何とかここまでもってきたということだと思っております。
 加えて、これも総務部長から説明があったと思いますが、この実質公債費比率の推移のグラフ。繰り返しはしませんが、いろいろな条件、改善に向けての努力であるとか、あと、金利が思ったより低めに推移するということが確実になったとか、それから、辛いのですが、こういった基金なども活用しながらできる限りの公共事業の投資的経費に伴う道債の新規発行を抑える努力をするとか、それからもう一つ、政府系資金の繰り上げ償還をちょっと頑張ってやったとか、そのようなことで何とかこの危機的な状況は乗り切れるのではないかといめどがたったわけでありますが、いずれにしろ、厳しい状況は変わっておりません。
 そのベースとなるところは、15年くらい前からの道債(借金)を、知恵と工夫で返していくか、少なくしていくかということなので、このグラフでもおわかりになるとおり、引き続きずっと先まで厳しい状況を見極めながらやっていかなければならないというのは、変わりない状況だと思っております。
 それから、力を入れた点は来年度予算で「経済」、「地域」、「環境」と言いましたが、この柱というのは、言葉は少しずつ差別化は図ってきておりますけれども、ここ7、8年なんら変わっていないと思っているところです。やはり経済、一次産業をベースとした北海道の経済をいかに発展させていくのか、また、雇用吸収力の多いものづくりの産業分野を、道内資本を育てながら、企業誘致をしながらどのようにやっていくか、こういったことは常に毎年、少しずつ表現は違っていたかと思いますが、私はそういった分野は重点だと申し上げてきたわけであります。
 それから、最近でいいますと医療の体制整備についての苦労。そして、その苦労を少しでも改善するための努力としての予算計上もあろうかと思います。今年度はドクターヘリ2機を投入しました。来年度また1機というお声は今のところありませんので、それは計上しておりませんが、そのドクターヘリ3機分の運用関連経費も必要であります。
 また、先ほどご説明で申しました総合内科医という、今までみんなわかっているのだけれども、医育大学の中では、ドクターはやはり先端分野を極めたいという、研究者、科学者としての思いもお強いわけであります。なかなか、きちっとした講座が充実することが今まで叶わなかった中で、道内の病院の方々にお願いをする形で、総合内科医の育成もあらためて図っていこうということ、あるいは研修医がなかなか集まらないことに対処するための指導医の派遣であるとか、そういった医療関係もあろうかと思います。
 それから、やはり障がい者条例の本格施行。これは私も全道のタウンミーティングにいくつか参加をさせていただきましたし、先般、滋賀で全国の知事さん方がこられた会合でもアピールさせていただきましたけれども、障がい者の皆様方が少しでも地域で生活をしたいという強い思いを持っておられる中で、それをいかに地域あげてサポートをしていくか。そしてその場合に当然出てくると思われる権利侵害というものをいかに擁護していくのか、あるいは地域生活の大前提となる就労をいかに支援していくのか。こういったことをしっかりやっていかなければならないと思っております。
 それから、環境です。今、環境生活部長を中心に計画をまとめつつありまして、この施行に向けて、道としても予算分野でも配慮をさせていただいたということ。
 あと観光です。全部になりますね。観光もやはりアピールが重要なので。それくらいにしておきます。


(朝日新聞)
 2点伺います。今のご質問にも少し関連しますが、一般施策事業費というのが基金活用もあって事業費ベースでは増えているんですが、裏を返せば国頼みというか自前の財源ではないということからすると、高橋道政2期目の最後の年の予算で独自の色というのを十分に出せたというふうに考えられるのかどうかというのがまず1点と、先ほど、メリハリを効かせた予算というご説明があって、ハリの部分は十分に一般の施策の説明をいただいたのですが、国の事業仕分けという話もある中で、メリの部分ですね、減らしてしまった部分というのはどういう部分なのか、それをご説明いただければと。

(知事)
 都道府県財政というのは、財源のところで当該地域内の自発的な経済活動が大変活発な、例えば今落ち込みが厳しいけれども愛知県内とか、首都圏、近畿圏もそうなのでしょうが、そういうごく一部の例外を除いて、地方交付税という財源に依存する地域が多いというのは偽らざる事実です。それから今、新政権になって少しでもひも付きで地方に資金的支援をするということはなしにしようという動きになりつつありますけれども、それでもやはり補助金であるとか交付金であるとか、いろいろな形のものに国からの関与があることは事実です。
 そういうものに縛られながら道政運営を行うのかというのがご質問の趣旨だと思うのですが。

(朝日新聞)
 基金の問題です。交付税ではなくて。国の経済対策の基金に頼っている部分というのがある中で。だから交付税とはちょっと意味合いが。

(知事) 
 基金をどのように使うかということについては、それぞれの地域の特性を出させていただけるということになっておりますので、もちろん国から移転したものですが、我々道独自のそれぞれの部局の判断で、それぞれの地域の特性を活かしながら事業を展開していくことになると思っておりますので、交付税の話とは別だとおっしゃいますけれども、国からのそういう移転的な資金なしに道財政を運営しなさいと言われても北海道の場合には直ちには無理だと思います。
 もちろん道内の潜在力は日本一だと思っておりますので、将来的には自立的に道税収入がどの収入項目よりも大きい形で歳出を支えるという時代になることを目指して、我々はいろいろな経済政策を行っているわけですけれども、今目の前で直ちにそれを実現しなさいと言われてもそれは無理だと思いまして、そのことと私の独自の政策展開ができるかどうかというのは少し別かと思います。
 それから、メリハリで削減した部分ですが、これはもちろん政策評価は行っておりますけれども、加えて各部一律の共通的な経費を少しずつ拠出させてもらっているということ、あるいは外郭団体に対するさまざまな助成を引き揚げつつあること、それから先ほど申しました人件費の独自縮減などいろいろな所からの歳出削減努力をしていると申し上げたいと思います。


(NHK)
 去年に引き続きの質問になって申し訳ないんですが、道債残高の推移なんですけれども、予想のつかない国の都合で増えてしまった道債に関しては別枠で勘定するという、去年からそういったことをされていまして、これでいくと目標数値26年度4.9兆円まで減らせるという形になっているんですけれども、一方で言うと、実際の道債残高というのは来年度でいくと5兆700億にのぼり、実際26年度で5.2兆円。実際の数字的に見ると目標を達成できないのではないかなというのがありまして、理論はわかるんですけれどもこういった形で道民に理解が得られると思っていらっしゃるかという部分を教えてください。

(知事)
 昨日の部長の説明とあまり変わらないことになるかと思うのですけれども、この差額の部分は国からの補てんでカバーできるものでありまして、逆に言えばそれを減らすということを道独自として努力をする対象ではないものだと思っておりますので、別枠の計上にさせていただいたところです。私どもの立場からすれば、この4.9兆円になるという今段階で予測しているものをさらに削減できるかどうかということは当然視野に入ってくるかと思います。
 13ページの表の上の方を見ていただきますと、投資的経費の減り方が相当なものになるのです。そういったこととの関係により、これ以上減らしていくことができるのかどうか。単に数字あわせで、それは予算だから勝手に組めば良いということになろうかと思いますが、そのことが道内経済を厳しい状況までおとしめるということになったら道の存在意義自身もなくなってくるわけでありますので、私はそこはバランスを取りながら道の財政再建、財政規律ということを念頭に常に置きつつ、その一方で、道内の経済には経済活性化に向けて最大限の目配りをしつつ、産業構造を公共事業に依存しない自立型のものに転換していくという努力をこれからも粘り強く続けていくという以外にないのではないかと考えているところです。


(STV)
 別件で二つほどお願いします。1点目が新幹線なんですが、現在、道商連(北海道商工会議所連合会)の高向会頭が東北地方に北海道新幹線のPRに出かけてまして、東北地方との連携ということで出かけているのですが、その一方で、今年ですか青森県の議会のほうで、負担金を在来線との関係で、場合によっては負担しないという意見書が出たり、そのへんちょっと新幹線を巡って東北特に青森なんですが、足並みに乱れが出ていますので今後新幹線を実現するために東北地方との連携というのが大事になると思うのですが、そのへん知事としてどうお考えかというのが1点と、先日なんですが北教組(北海道教職員組合)への札幌地検の強制捜査がありました。これについての知事の受け止めを伺えればと思います。

(知事)
 新幹線、先週でしたか東京にまいりまして、国交省、総務省、財務省それぞれ大臣政務官からなる整備新幹線問題調整会議のヒアリングを受けたわけであります。同席したのは青森県と岩手県の知事さんでございました。
 私からは札幌延伸の必要性、経済的な必然性、効果、いろいろなポイントからご説明を申し上げたわけですが、青森、岩手の両県知事からは並行在来線に係る負担の厳しさということの1点に絞っていろいろなお話があったという経緯でございます。
 今回、青森県議会が今のご質問のような趣旨の意見書の採択ということについて、知事としてどう受け止められるかということは当然あると思います。青森県の知事とは、常に情報交換をしながら連携を図っておりますので、ご理解を得られなければ札幌延伸どころか函館までも来ませんので、重要な連携だと思っておりますが、やはり並行在来線について大変ご不安があるという現状があるということは、私どもも認識を共有しなければならないと思っているところです。
 私どもとしては何としても札幌延伸を実現するということをしっかりやっていかなければならないと思っておりますが、そのためにも青森、岩手両県の知事さんが大変気にしておられます並行在来線についての国からの支援なり、これから赤字の並行在来線をどのように運営していくのかということについて、私どもからも国にしっかり要請していくことを考えていかなければならないと思っているところでございます。
 高向会頭が東北のほうに行っていただいて、経済界同士のお話をしていただくというのは大変心強いですし、私どもも常に知事会でお会いする際に、そういったお話もさせていただいているわけでありますけれども、加えて、今、議会でのお話ということなので、機会があれば私どもから道議会に、新幹線にご熱心な先生方、オール道議会皆様そうなので、皆様方に私どもからお願いを申し上げて、議会同士の意見交換、相互理解を深めていただくようなこともご要請を申し上げていくということも考えていきたいと思った次第です。 それから北教組への捜査。大変残念であります。とはいっても、これは検察の捜査が入っておりますので、その推移を見守っていくという以外ないわけです。
 一部報道にも出ておりましたが、会計担当責任者の方が元道職員でございまして、平成14年に退職された方ではございますが、そういった職員が一方の当事者に近い状況にいるということも含めて、私どもとしては見守っていかなければならないと思っております。
 


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