知事定例記者会見記録(平成21年6月12日)

知事定例記者会見

・日時/平成21年6月12日(金) 14:00~14:27  
・場所/記者会見室
・記者数/29名(テレビカメラ2台)

会見項目

 

知事からの話題

1 道内における新型インフルエンザ患者の発生について

記者からの質問

1 新型インフルエンザ対策について
2 宮川建設の民事再生法手続き開始申立について
3 聴覚障害の身体障害者手帳不正取得に係る医師等の逮捕について
4 地球温暖化対策について
5 直轄事業負担金について
6 支庁制度改革についての観光振興の施策について

知事からの話題

 

道内における新型インフルエンザ患者の発生について

 新型インフルエンザの現状と対策ということでございます。皆様方ご承知のとおり、昨日夕方、札幌市在住の20代の男性の方お一人が、新型インフルエンザに感染しているということが判明いたしました。道内では初の感染の確認ということになりました。
 この方は現在、市内の感染症指定医療機関で入院加療中でございますが、幸いなことに症状は軽いとお伺いをしております。1日も早く治っていただきたいとこのように思っております。
 札幌市からの情報によりますと、この方は、ハワイで感染されたそうでありまして、現時点で把握している帰国後のご本人の行動からは、直ちに感染が拡大する恐れも少ないということでございました。
 こういったことを踏まえて、道としてはご案内のとおり、今日の午前中に対策本部会議(北海道新型インフルエンザ対策本部会議)を開催して、一つ、学校、幼稚園、福祉施設等の休校等の要請については現時点では行わないこと、二つ、公立施設等の休業、イベント・行事等の自粛等の要請についても同様に現時点では行わないこと、こういったことを決定をいたしたところでございます。
 これからも、地域の実情に応じた柔軟な対応を求める国の「基本的な対処方針」などによりながら関係市と歩調を合わせて、まん延防止対策を進めていく考えであります。
 また、一方で世界保健機関においては、世界74ヵ国の地域に拡散し、感染者が2万7千人に達する状況を受けまして、いわゆる「パンデミック」、世界的大流行を意味する「フェーズ6」に引き上げたところでございます。しかしながら、国においては国内の状況が変わったわけではなく、またこれまでの感染拡大防止対策を継続していくことにしているところでありますので、道としてもこれまでどおりの対策を進めていくことを考えているところでございます。
 今回の新型インフルエンザにつきましては、総じて見れば毒性はそれほど高くないということで、必要以上の過剰な対応は不要であると同時に、妊婦さんをはじめとして、ケアをしっかりと考えていかなければならない方々もおられるわけでありまして、細心の注意はやはり必要であります。
 また、これから夏にはいるわけですが、冬もすぐに迫ってまいります。今の南半球の状況など考えるにつけても、やはり、北海道の場合、冬に向けての準備ということも不可欠でありますので、こういった準備も今からしっかりやっていくことも必要であろうと、こういったことも今日の午前中の対策本部会議で、私から関係部局へ指示したところでございます。
 以上の中で、道民の皆様方には、国や道、市町村からの情報に十分に注意をしていただくと同時に、冷静な対応をしていただきたいと思います。
 そして、何より重要な予防である手洗い、うがいを励行すること。そして、咳エチケット。もうこの言葉はこの場でも何回も使いましたので、もう皆様方にご説明しなくてもおわかりいただけるかと思いますが、咳をする時にエチケットを。ちょっと咳き込むような時にはマスクをするというようなことを心がけていただきたい。
 それから、急な発熱、あるいはのどの痛みなど、体調に異常を感じた時には、保健所等の発熱相談センターに早くご連絡をいただくということを、あらためてお願いを申し上げたいと思います。

記者からの質問

(uhb)
 新型インフルの関係ですけれども、対応は変えられず継続して行うということですけれども、今後、仮に感染がもう少し、感染者数が増えるとかそういう事態も可能性としてはなくはないと思われるのですけれども、どういった場合に道として対応を変えていくのかというのがもし決まっていましたら教えてください。

(知事)
 一般論としてはマニュアルがあるわけですけれども、ただ、個別の事情に即応した対応ということではないかと思うわけであります。
 今回の札幌市における20代の男性の方のケースについては、あまり立ち入ってご説明するのもプライバシーに関わりますが、総合的な判断として、その方の帰国後の行動の範囲とか、ご家族構成などいろいろ勘案した上で、先ほど申しましたような2つの判断をしたわけであります。
 また別の形での患者の発生の場合には、その状況に応じての判断というのはあろうかと思いますので、今後注意深く状況を見極めた上で、対応していくということだと思っております。

(uhb)
 もう1点、別の話なんですけれども、昨日報道等でもご存じだと思いますけれども、マンション建設分譲業者の宮川建設さんが破綻されました。非常に、マンション不況等もあり、背景としていろいろあったと思うのですけれども、この破綻についてのご認識とそれからいろいろ道としても対策されていると、昨日もリリースもありましたけれども、今後の対策などについてご説明お願いいたします。

(知事)
 去年後半以降のこの不況の中で、丸井今井さんや、檜山のナルミさんなど、これまでもいくつかの大きな破綻がある中で、今回宮川建設さんが、民事再生の申立をされたことにつきましては、大変残念であります。
 もちろん一般的な意味で不況が急激に進行したという背景もあり、そういった中でまた個別のご事情もおありになるのだと思いますが、大変残念な状況であり、我々としてやるべきは、やはり、来週の2定議会(北海道議会第2回定例会)にも提案するわけでありますが、なんとしてもさまざまな対策を打ちながら、今日の北海道の不況を脱するための行政としての最大限の努力をしていく、底上げをやっていく以外にないと思っております。
 個別に宮川建設さん絡みで申し上げれば、まず雇用への影響への対処、それから関連取引先への対処など、この破綻が北海道の地域経済に与える影響を最小限にするためのさまざまな政策を金融機関の皆様方とも連携をしながらやっていかなければならないと、このように思っております。 


(NHK)
 昨日コメントをされたと思うのですが、聴覚障害の関係、道も告発する立場にあったと思うのですが、詐欺罪で逮捕ということに至ったことについてと、あと医療費の助成の関係で対応は道として今後どうしていかれる方針なのかというのをあらためてお願いします。

(知事)
 この聴覚障害の身体障害者手帳の不正取得に係る事案につきましては、問題発覚後、道におけるさまざまな調査結果なども踏まえまして、去年の9月、道警本部に対して前田医師を告発をいたし、当局のさまざまな捜査に協力をいたしてきたところでございます。
 昨日、前田医師ほかの逮捕者が出たというように聞いているところでございます。これから被疑者の身柄の拘束の中でさらなる調査、捜査が進んでいくということになろうかと思いますので、真相のさらなる解明に期待するわけであります。
 一方で私どもとしては、この不正受給を受けた障害者手帳を持っておられた方々に対する、さまざまな返還要請というようなことを窓口である市町村とも連携をしながら進めていくということだと思っております。
 以前からも申し上げておりますとおり、こういった聴覚障害のような社会的に弱い立場の方々を守るための制度というのは、大多数の障害のある方々は、まさに正当にこういった制度を利用しておられるわけであります。
 そういった方々を守っていくためにも、この制度自身を守っていく必要があるわけでありまして、そのためにも不正なことをやった方々に対しては、厳正な対応をしていくという行政の基本方針の下に対処をしてまいりたいと考えております。


(共同)
 せんだって麻生首相が、温室効果ガスの削減中期目標を15%と定める発表をされまして、その会見の中ではサミットの話も出たようですけれども、環境サミットが2度行われた北海道の知事として、この15%という数字はどのように評価されますでしょうか。

(知事)
 太平洋・島サミットが5月下旬に北海道でございまして、その際のメインとなる首脳会談の中でも、この地球温暖化の問題が話題になったと伺っております。
 それが終わった後の、私ども地元と首脳との交流プログラムの中でも、それぞれグループごとに分かれまして、首脳と子どもたちがいろいろな議論を交わし、そして環境問題を中心としてそれぞれの願いというものを短冊に書いてもらって、それをクリーンラーチの木に付けてもらうという、そういった交流も行いました。私もそうでありますが、地元の子どもたちも含めて、こういった島国、遠く離れているけれども地球温暖化問題で国土自身がなくなってしまうかもしれないという危機的な状況に直面をしている国々の苦境というものを理解をし、その首脳の方々と議論をして、本当に地球温暖化問題ということを身近な問題として感じた一番の地域であろうと、このように思うわけであります。
 それはそれといたしまして、この地球温暖化問題の中期目標の設定に向けて、私自身も温暖化問題の懇談会の委員として、議論をずっとフォローさせていただきました。
 他の学者さんとか個人委員と違って、例えば1案から6案までの提示があった中で、地域全体を代表しての意見というのはなかなか難しいわけでありまして、どの案を個人として支持するかという発言は、なかなかしづらかったのでありますが、そういった中で私が申し上げたのは、一つはこれだけ日本国の経済が苦境に陥っている中で、もちろん高い志を目指すことは重要であるけれども、国民負担ということも現実問題として考えなければならないのではないかということ。
 そういった中で、地域間のアンバランスというものも私は問題提起をいたしました。すなわち目標の設定の仕方によっては地域によって産業集積あるいは生活習慣、さまざまな違いの中でアンバランスが出てくるのですね。
 これは検討委員会の議論の過程における一つの試算として、地域ごとの産業連関表を使って一定のCO2削減努力を用意ドンで同じように課した時に、影響がどうなるかというのを出した場合、中部とか関東とか、ものづくり、あるいはサービス業の集積が多いようなところへの影響よりも、北海道とかそれから私の記憶では四国とか中国とか、どちらかというと産業構造としては素材系が多いようなところでは、後者への影響というのはより多く出るのですよね。
 これは考えてみたらよくわかることなんですが、そういったことが北海道は特にそうですけれども、今の厳しい地域の現状をさらに厳しくするということは、やはりそこは少し考えていただかなければならないのではないかというような意見も申しました。
 一方で、全く違う要素として、今申し上げたようなPALM5あるいは世界の中で地球温暖化問題に苦しんでいる地域が多いということ、そういったような要素など、さまざまな観点を私の立場から意見として申し上げたわけであります。
 そういった中で今回の政府としての中期目標設定の議論の過程では、不況の中、日本国全体として経済が大変厳しいこともあって、経済界であるとか、あるいは労働界であるとかからは経済への負担増というものを懸念する意見というのが多く出されていたというように私自身理解をいたしております。
 それからもう一つはパブリックコメントを政府として実施しておられますし、また札幌を含めて全国で地方意見交換会ということもされておられます。
 札幌の結果については私は議事録も拝見しましたし、全国の結果については総括的な報告も受けたわけでありますけれども、その大半が経済界、労働界と同様に経済への必要以上の負担増となるような目標設定について大変慎重な意見が多かったという現状にあったと理解をいたしております。
 また一方で、内閣府が世論調査をされまして、その結果というのは第3案すなわち2005年比で14%の削減という目標だったと思いますが、負担を明記した上で半分ぐらいの国民がそれに賛同したというような結果も踏まえ、どちらかというと目標設定に向けて慎重な世論の声というものが大きい中で、総理というか内閣としてさまざまな検討の結果、今回の05年対比で15%の削減目標という設定になったというように理解をいたしております。
 それからもう一つ私も懇談会でいつも言っておりましたのは、アメリカは当然でありますけれども、中国、インドなど主要排出国の参加ということを前提とした枠組みを考えていかなければならないと。
 そのためには、これは北海道に限らないわけでありますが、日本国の有する省エネルギーであるとか、あるいはさまざまなCO2対応のための技術力というものをいかに経済協力という形でしていくのかと、それがキーポイントになってくるのではないかというようなお話もさせていただいたところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の政府としての中期目標の設定のご判断というのは、議論のスタートでしかないと思っております。
 まず我々国民が議論しなければならないのは、この15%という目標であっても1家計あたりの負担というのは7万6千円ですね。大きいですよ、これは。北海道はもっと大きいかもしれません。
 北海道民一人あたりの温室効果ガスの排出量というのは全国平均の1.2倍という現状はご案内のとおりございまして、これをどういうふうに対処していくのか。2020年というのは目の前でありますので、産業界の負担が増えれば、当然それは価格転嫁等を通じて我々国民の負担に跳ね返ってまいります。
 そういった議論もこの15%を議論のスタートとしてもっともっと深めていかなければならないのではないかというように思うところであります。
 そして、道としては、我々独自の問題として、この一人あたりのCO2の排出量が全国平均を超える現状をいかに削減をしていくのか。
 昨年、4月にG8サミットの開催を一つの契機として北海道環境宣言というものを発出させていただき、道民の環境に対する意識は高まっているとは思っているわけでありますが、より具体的なアクションというものをとっていかなければならないというように思っております。これは結構きついことだと思っております。
 加えて北海道は全国の森林面積の4分の1を占める森林王国であります。今回の国の補正に対応し、来週から始まる道議会に提案する補正予算の中でも、これから3年以上の複数年度にかけて森林整備をするための予算を計上いたします。
 また、加えて今休止をいたしております森林環境税の議論。これは一時期、導入に向けてさまざまな議論をしたのでありますが、今の不景気の中で道民の負担増につながるこの森林環境税については少し待とうというような議論で、今ちょっと様子見中でありますが、こういった議論も含めて我々の日本国全体のCO2削減問題に貢献をし得る森林の整備ということについて、道民レベルの議論を深めていかなければならないとこのように思っております。


(STV)
 直轄事業負担金のお話ですが、明細の資料をご覧になられて、あらためて知事の見解をお伺いしたいのと、資料は20年度の資料ですが、今年度につきましては20年度の基準でいきますと負担するのかしないのかという、そのへんの見解も併せてお伺いできればと思います。

(知事)
 知事会からの要請に添う形で5月いっぱいに、平成20年度分の内訳調書というものを国交省さんから、北海道である場合はその出先である開発局さんからご提示をいただきました。そのご努力は大変にありがたいものと思っております。
 私自身もその内容を拝見しましたが、ぱっと見ただけではわからない部分もありまして、担当部局のほうで詳細に分析をしてもらって、その結果につきましては今週の月曜日に、皆様方に詳細にご説明を申し上げたところでございます。
 やはりよく見ますと、以前から見れば改善はしていますが、事務費の取扱など特に人件費、退職金の扱いなどでしたか、いくつか改善に向けて検討を要する部分があるというのが私どもの考え方であります。
 特に前から申し上げておりますとおり、国から助成をいただいて行います補助事業との比較におきまして、ややどうかなと思う部分もあるわけでありまして、そういった部分も中心にどういった取扱にするのかということについて、我々の意見を全国知事会に提出をいたしたところでございます。
 20年度までの部分は、もう既に実績としてお支払いしたものでありますから、その返還まで求めるかどうかというものは、ここは全国知事会でも議論にはなっていないと私は理解しております。
 むしろ21年度これからの話しとして、我々は道議会ですが、それぞれ都道府県議会にもきちっとご説明ができるような形での透明性の高い資料をいただいた上で、一定のルールを設けた上でこれから支払いをしていくというような形にもっていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
 もちろん我々は道州制特区の枠組みを使いながら、維持管理費については廃止ということを明確に申し上げているわけでありまして、こういったさまざまな課題を抱えながら全国知事会と連携をしながら対応を進めていこうと、このように思っております。


(TVh)
 今日、一部報道でも出てましたけれども、支庁再編の素案を各関係者にご提示などをしているのかどうかということを確認したいのですけれども。

(知事)
 来週の道議会の前日委員会にご提示を申し上げるべく今資料を最終的に調整中でございます。もちろん道議会ばかりではなくて、各地域のご意見も重要でありますので、そういった調整を今進めているところであります。
 山本局長、それでいいですか。

(地域主権局長)
 正式には今日、市町村にはあらかじめ、ご配布をするという形で今進めております。

(知事)
 ということでございます。来週には皆様方にもご報告できると思います。

 


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなどを整理し、作成しています。

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