定例記者会見(平成18年2月17日)

知事定例記者会見

・日時/平成18年2月17日(金) 14:01~15:00
・場所/記者会見室
・記者数/42名(その他テレビカメラ等8台)

会見項目

 

知事からの話題

1 平成18年度当初予算について

記者からの質問

1 予算編成を終えての感想とこだわった部分について
2 道警捜査用報償費について
3 当初予算の自己採点
4 当初予算の満足度
5 構造改革の視点からの評価
6 道民へのメッセージ
7 児童生徒の安全対策について
8 道民の痛みと負担について

知事からの話題

 

平成18年度当初予算について

  今日は18年度当初予算について、皆様方にご説明を申し上げたいと思います。昨日、総務部長と知事政策部長から話があったかと思います。お手元に4種類の資料が行っているかと思います。一つは予算の概要の資料、それから資料1「たんぽぽ資金」、資料2「赤レンガチャレンジ事業」、資料3「平成18年度地域重点戦略推進の基本的な考え方」、以上4種類がお手元にあるかと思います。それを適宜見ながら説明を聞いていただければと思います。
  まず、18年度当初予算の規模についてですが、一般会計で2兆7,604億円、これは平成6年度当初並ということで、この概要の資料の最初にあるグラフにもあったと思いますが、17年度の予算規模に対して5.8%の減ということで、大きな縮減規模となったと認識しています。
  こうした予算にいたしましたのは、将来にわたって持続可能な行財政構造を構築していくためということで、行革の取り組みということを既に2月7日に決定したところでございますが、そのときにも申し上げましたところと一部重複しますが、職員人件費の月額ベースの10%縮減をはじめとする、いわゆる人件費の独自縮減措置、それから職員数の適正化について、10年間で30%ということを含めて、相当規模の適正化の前倒しをやっていくことなど、徹底した行政コストの削減ということをやったということです。それから、二つ目としては、様々な補助金の見直し。これは、道民の方々への痛みということに重なってくるわけですが、例えば、各種団体への助成金もカットさせていただきましたし、何よりも公共事業については大幅なカットをさせていただきました。直接的な痛みということで分かりやすい例である使用料・手数料は、今年度は改正の時期に当たりませんので、大きなものはないのですが、例えば、女満別空港の駐車場の有料化の部分ではご負担増をお願いする部分もあるわけですが、今申しました公共事業費、それから各種補助金などの歳出削減ということもできる限りのことをやったところです。公共事業の抑制ということなどについては、将来に向かっての歳出の抑制という意味もあるわけです。現に道債の新規発行を10%以上削減をしたということになっております。
  こういった様々な努力をした上で、18年度の予算編成を行ったわけですが、正直言って、ぎりぎりの予算編成であると認識いたしておりますが、道財政の立て直しに向けての予算編成がなんとかスタートできたというのが、私の偽らざる思いです。これも総務部長から説明があったと思いますが、5年間で880億円の行政改革に伴う財政効果というようなことですが、このうち18年、19年の2年間の独自縮減措置をはじめとして、1,800億円の縮減ということを申し上げているわけですが、そのうちの行革効果というのは半分以上と我々は考えているところでして、先程の繰り返しになりますが、我々自身の行政改革、そして一部、道民の方々にもご負担をお願いしながら、なんとかぎりぎりの財政改革元年としての予算のスタートを切ろうとしているところです。


平成18年度重点政策の基本的考え方

 以下は、18年度重点政策ということで、この冊子では23ページ以降になりますが、こちらの方のご説明をしてまいりたいと思います。
  まずは、基本的な考え方ですが、これは行革の取り組みの冊子の中でも、前提認識のところで書いたかと思いますが、例えば雇用指標を一つとっても、ここ2,3年は確実に改善が進んできております。また、その他の景気の項目についても、公共事業は政策的に減らしておりますので、これは増えるはずはないわけですが、その他、個人消費、設備投資などの項目について、緩やかながらもようやく回復の動きが見られる道内の経済状況かなと思っています。一方で、一昨年から始めてきております地産地消あるいは産消協働の道民運動が浸透しつつある、それから、繰り返しになりますが、30年以上の長きにわたって私どもが要請を続けておりました北海道新幹線の着工が決まったとか、いくつか道内各地で新生北海道に向けての芽が育ちつつあるのではないかと考えているところです。こういった中で、厳しい財政状況ではありますが、私どもとしては、北海道新生プラン、これは私の知事公約のことですが、その総仕上げの年でもありますので、少しずつ良くなったこの経済状況をさらに本格化をさせる、また、道内でいろいろ芽が出てきたものをさらに育てていくというような位置づけで、施策を展開していこうと考えているところです。
  先程、3兆円弱の予算規模と申し上げたわけですが、歳出の構造は昨日ご説明申し上げたとおりでして、相当硬直的と申しましょうか、歳出がもう決まっている部分が多々ございます。その意味では、総仕上げと申しましたが、実際に私が新規拡充施策に使えた予算は、徹底した政策評価などによる見直しをした233億円というのがあるのですが、収支不足の対象に充当する部分に、200億円も充てましたので、30億円くらいが新しい政策に充てたということになっているところです。
  23ページの下に「三つの柱」というところがありますが、今申しました話の流れの中に立って、「経済の再建」。めざす方向としては、「力強い産業構造の確立と地域経済の活性化」というところです。二つ目の柱「未来を担うひとづくり」は、「世界へ、未来へはばたく創造性豊かなひとづくり」をやっていくということです。三つ目の柱として「安らぎと個性ある地域づくり」は「心豊かで安心して暮らせる包容力のある地域づくり」ということを目指していきます。予算的には30億円くらいということを申し上げましたが、これらに加えまして、庁内資源、いわゆる赤レンガ・チャレンジ事業、あるいは民間ノウハウの積極的な活用、産消協働の視点のさらなる充実など、道民の方々と連携をしながら、多様な資源を活用し、厳しい財政状況の下で、しっかりと政策を展開していきたいと考えているところです。


経済の再建

  さて、24ページ目からは、まず「経済の再建」についてです。昨年に引き続き「食」「観光」「知的資源」を通じた北海道ブランド力の強化ということを掲げているところです。「食の北海道ブランドづくり」ということについては、24から26ページあたりですが、自給率、これは概算値ですが200%になっているところです。まさに北海道は全国一の食料自給基地です。この「食の宝庫・北海道」のメリットを最大限に活かして、本道の活性化に結びつけていくということをやっていくために、食の大切さ、あるいは理解、道産食材を愛する人を育む「食の応援団づくり」ということ、あるいは、台湾や東アジアにターゲットを絞った販路拡大を戦略的にさらに展開する。それから、北海道米についてはやったわけですが、これに昆布やその他道産の食材にこだわった、さらなる戦略的な道内消費拡大に向けてのキャンペーンの展開などもやってまいりたいと考えています。エゾシカ肉の有効活用についても、総合的な取り組みを展開したいと思っています。
  27、28ページは、観光の北海道ブランドづくりです。食、観光とも昨年度から新しい組織をつくって展開をいたしているところです。観光については、一つは「元気が出るツーリズム」です、癒しと健康、体験型、花観光などといったこと。それから、「おもてなしの心づくり」、「旬な情報提供」、「未来へつなぐ知床プロジェクト」、こういったことを一所懸命やってまいりたいと考えているところです。前から申し上げていますとおり、札幌市とお話し合いを進めた結果、札幌駅に市と連携による食と観光の魅力を発信する総合情報拠点の整備を考えておりまして、これは札幌という北海道のゲートウェイにおいて、北海道観光、北海道全体のPRを道外の方々にするという観点とともに、180万都市札幌の市民の方々に、もっと道内に行っていただく、これですね(観光CMのポーズ)、「出掛けよう、私たちの北海道へ」。これを札幌市民の方々にもっとやっていこうということです。知床については、前から申し上げております地域と連携したエコツーリズムというものをさらに進めていく。知床ルールについては、着々と準備中です。
 29、30ページは、知的資源の活用等による新産業・新事業おこしです。これも昨年度、あるいはさらに言えばこれも知事公約でしたので、ずっとやっているわけですが、さらに充実をしていくということです。全道にリサーチ&ビジネスパーク構想の展開をするための推進費というものを、予算金額は少ないわけですが計上しております。また、食品分野、医療医薬分野におけるバイオ産業のビジネスモデル構築の支援など、そういったことも盛り込んでいるところです。
  31ページは、本道経済をリードする企業群の育成ということです。このことについては「ものづくり産業」の振興。これは道外からの誘致、道内地場企業のさらなる振興を総合的にやっていくということです。道外景気は道内よりもずっと良い状況の中で、北海道にもアイシン精機の進出をはじめとして、これからもいろいろとやっていきたいと思っていますが、ものづくりの設備投資が活発化しつつありますし、それをさらに促進していかなければならないと思っているところです。引き続きトップセールスもしっかりやってまいりたいと考えているところです。なお、来週の火曜日、愛知県まで経済界のトップの方々と一緒にお礼に行ってまいりたいと思っています。
  32ページは経済再建に向けた新たな金融支援制度の創設。新生ほっかいどう資金は「たんぽぽ資金」という名前を付けてみました。あったかいイメージで、この制度が道内各地域に明日への活力につながる「新しい種」を運び、そして北の大地にしっかりと根をおろし「たくましい芽」を育んでいくということを期待しての命名です。融資規模は、18年度1,000億円、19年度1,000億円、トータル2,000億円を考えております。特長は、いくつかありますが、三つにまとめて申し上げますと、一つは、中小企業支援に対する前向き支援です。これは先程申し上げましたちょっと明るい芽の見えてきた北海道経済をさらに本格的にするための前向き支援ということで、中小企業に対する無担保クイック融資ということです。中小企業の方々を対象に、担保あるいは第3者保証人なしで、迅速に事業資金を供給できることを考えておりまして、いろいろなビジネスチャンスが今生まれつつある中で、それを的確に捉えた資金繰りが可能になることを願ったものです。二つ目のこの制度の特長、セールスポイントとしては、地域経済活性化ワイド融資ということです。多様な主体に融資をしていくと申し上げてもよいかと思いますが、ただ今申しました中小企業に加えてNPO法人あるいは社会福祉法人などに対して、円滑な資金供給を行っていく。これは後からの大きなテーマにもなる道内におけるやさしい地域づくりというのでしょうか、子育て支援であるとか保健福祉分野のさらなる支援といった中で、こういった社会福祉法人がつなぎ資金需要なども出てきますので、そういったことにも対応できるものにしたいという思いです。それから、三つ目のポイントとしては、それぞれの融資メニューの中に、地域パートナーシップ枠というものを設けて、市町村の方々が、道とともにリスクを分担して独自の支援メニューを追加することも可能な仕組みとしたことが、一つのセールスポイントかと思っているところです。これが新たな金融支援措置です。
  33、34ページは、地域を支える基幹産業の振興ということです。食、観光、バイオなどの成長産業の基礎となる農林水産業、こういったことをさらに支えていくことは当然ですが、北海道経済の中でウェートの高い建設業の方々のサポート、活性化も不可欠であると考えているところです。このため、18年度においては、環境との調和、安定した経営、担い手の育成・確保ということを「農」、「水」、「林」の共通テーマとして施策を重点化しました。さらに、産消協働の取り組みによる地域資源の域内循環の向上、あるいは6次産業化、これは1次産業、2次産業、3次産業の方々の連携の加速、それから企業間連携による建設業の体質強化などに努めてまいりたいと考えているところです。
  35ページは雇用の創出です。冒頭申しましたとおり、雇用環境は3年前と比べると確実に改善は進んできているところです。しかしながら、その現状は、全国との比較においては、未だ厳しい状況でして、引き続き雇用の創出というのは経済の再建を進める上で、欠かせない課題であると考えております。平成18年度におきましては、17年に策定した「雇用創出基本計画」、これは議員立法の条例に基づく計画です。それに基づく四つのプログラム、すなわち雇用の受け皿づくり、雇用のミスマッチ解消、雇用の維持・安定、雇用創出に向けた基盤整備、これを着実に推進し、回復基調にある本道の雇用情勢をより確実なものにしてまいりたいと思っているところです。これとの関連で言えば、今、最終的に関係者の協議会で議論しているところですが、季節労働者の対策について、国の制度はもう少しで終わってしまうわけですが、その「後(あと)政策」に向けての私どもの考え方を整理し、オール北海道で国に対して要請することも念頭に置きつつ、季節労働者対策も支援をしてまいりたいと考えております。


未来を担うひとづくり

 36ページから38ページは、大きな二つ目の柱である「未来を担うひとづくり」です。少子化対策は、私が知事になりましてから取り組んでいる課題です。全国初の子育て支援条例、子どもの未来づくり条例も制定いたしました。それに基づいて、今、具体的なアクション、事業を展開しようという段階になっているところです。いくつかの柱について申し上げれば、全道規模の子育て応援組織の「北海道世話好き・世話やき隊」「北海道すきやき隊」の組織化というものを考えております。それから、パートタイムなどの多様な勤労形態に合わせた保育メニューを創設する。これも是非やってまいりたいと考えているところです。4月に、猪口少子化担当大臣が北海道にもいらっしゃるようでして、いろいろな意見交換をさせていただきたいと思っているところです。それから、37、38ページは「健やかで創造性豊かな子どもを育む環境づくり」ということですが、これは教育の面でのいくつかの施策を書いてありますが、「食や観光を実践テーマとした地域との連携によるキャリア教育の推進」です。今年はじめの道政広報誌の収録のために、去年活躍した高校生との座談会をやったのですが、とっても私は意を強くいたしました。北海道の中で、子どもはいろいろ問題があるとかなんとかいう話もありますが、しっかりとした考え方を持って、これからの北海道をどうすれば良いかということを考えている高校生はたくさんいるわけでして、そういった方々に対する地域の連携によるキャリア教育を推進したい。また、「木育」をさらに進めるということをやっていきたいと思っております。木育市場の開設など、地域における木育活動のネットワークの拡大ということも考えているところです。
  38ページは、「世界の人たちとの交流の推進」ということで、来年早々にノルディックスキー大会があります。それから今年度、少年野球を夏に開催します。王貞治会長さんからのご依頼のあった件ですし、また、バスケットボール大会もございます。限られた財源の中ですが、子どもたちが豊かな国際感覚を身につけるためにボーダレス化の中におけるこういった交流事業を節約をしながらも、やっていきたいと考えております。


安らぎと個性ある地域づくり

 39ページに、三つ目の大きな柱である「安らぎと個性ある地域づくり」です。その一つ目が「暮らしの安心の確保」。このことについては、暮らしの安心は多方面で、昨年来、問題になっておりましたアスベスト問題というような環境問題もございます。一方で、子どもに対する重大な犯罪、栃木県あるいは広島県での事件などもありました。それから、医療・福祉の分野で、我々北海道自身が北海道を安心や暮らしの面でレベルアップしていくための確保。こういったいろいろな意味での暮らしの安心の確保ということを、私はやってまいりたいと思っているところです。いろいろ言いましたが、18年度におきましては、まずは子どもの安全を含めて地域全体で自分たちの安全を守っていく。 このことについては、安全・安心条例に基づく推進会議の中に専門部会を設けることも、今週行いましたし、地域社会の安全を脅かす諸問題への対応を、道民運動として展開してまいりたいというのが一つ目の柱です。それから、この中における二つ目の柱としては、地域医療の確保です。地域において精度の高い効果的な乳がん検診が受けられる基盤を整備し、検診率を倍増したいと思っています。これは前にもご説明申しましたが、国民健康保険の安定的な運営に向けた市町村の重点的取り組みに対する支援。こういったことも是非やってまいりたいと考えているところです。この暮らしの安心の確保の三つ目の柱としては、高齢者の方々、あるいは障害者の方々に対する自立支援ということでございます。1月の中頃でしたか、宮城県浅野前知事主催の福祉協議会に呼ばれまして、福祉セミナーに行ってきたわけですが、そういったときにも発言させていただきました障害者の就業・生活支援センターの取り組み、こういったものは北海道は全国トップクラスです。こういった活動も支援しながら、障害者の方々の就業生活における自立化の支援も、しっかりとやってまいりたいと考えております。
  41ページからは「個性豊かな地域づくり」ということです。ここも多様な中身があるわけですが、地域固有の文化、あるいはアイヌ文化の伝承と育み、これはしっかりとやってまいりたいと考えております。中心市街地などの魅力の再生というようなこともございます。居住環境の磨き上げと発信による移住の促進。こういったことも地域と一体となって進めてまいりたいと考えているところです。
  42ページ、43ページが「環境にやさしい北海道づくり」ということです。昨年、念願でした知床の世界自然遺産への登録、そして12月にはこれも懸案でした循環税の根拠条例の制定ということで、環境政策を充実してやっていく節目の年であったと思っています。私としては、18年度後半から実施を準備中だったこの循環税の制定に当たって、多くの方面からご要望のありました対策の前倒し実施、このことを18年度当初からしっかりとやっていかなければならない、北海道を循環型社会を形成する地域として位置づけて、我々が旗を振る形で民間の方々との協働の中で、しっかりとやっていきたいと考えているところです。


多様な資源の活用による効果的な政策展開

知事定例記者会見 以上、本当に駆け足でしたが、44ページ以降は、多様な資源の活用による効果的な政策展開ということです。最初の方で申しましたとおり、3兆円もの予算規模がありながら、こういう政策的に柔軟に使える予算というのは30億円くらいということを申しました。道予算だけで仕事をやるという、そういう時代ではありません。これも前から言っておりますが、人件費というのは、最大の事業費であると。我々道庁の歳出規模の中で、最も大きなウェートを占めております人件費というのは、一人一人の職員が仕事をするという意味での事業費であるわけですので、そういった職員の頑張り、知恵と工夫をいかに出していくかということが、多様な資源の活用の大きな一つの柱かと思っています。
  それから、これも前から申し上げておりますが、国の予算というのを徹底的に活用していくということは当然でして、特に、経済政策の面では経産省、文科省の予算、それから雇用対策の面では厚生労働省の予算の活用など、いろんな形でいろんなことを活用しながら、これからも的確な政策運営をやっていきたいと思っています。
  そういった中で、いくつかひろうとすると、「女性医師バンク」というのが45ページの一番下にあります。これは、民間等々のネットワーク機能の活用ということでやろうとしております赤チャレ事業です。それから、知事公館について言いますと、これも45ページの一番上に「夏休み知事公館公開事業」というのがあります。赤れんが庁舎のように、土日も人を張り付けて解放するということもあるんですが、それだと予算がいりますので、知事公館の夏休み中の土日解放というのは、我々職員が手分けをして対応していこうかと思っているところです。
  それから47ページからは、民間資源・ノウハウの道庁業務への活用、これは行財政構造改革の中の説明とも重複する部分も出てくると思いますが、事務・事業の見直し、あるいは民間開放の推進といった事項を掲げてやっていきます。単なるコスト削減だけではなくて、民間の方々のビジネスチャンス、あるいは雇用創出の機会を生み出していくということ。さらには、民間の方々の協働という視点から、ここに様々なことを掲げさせていただきました。
  それから、49ページが「産消協働」の視点に立った取り組みということです。例えば、道が発注する工事における道産資材の活用促進に向けた仕組みづくりなども、前に本部員会議を開いてやりましたし、それから、新商品トライアル制度、新商品を開発した道内企業を認定して、その新商品を道が購入・使用・評価するということも始めようと考えているところです。まだまだご説明を申し上げたい点も多々ありますが、一応、私からのご説明はこれぐらいにいたします。冒頭にも申しました、極めて厳しい財政状況の中ではございますが、加速連携事業プロジェクトといった新しい政策の枠組みも導入しながら、メリハリのある政策づくりに努めてきたところです。18年度におきましても、何とかこういった道民の方々のご協力も得るような形で政策展開をしてまいりたいと思っておりますので、道民の皆様がたのご理解、ご協力を心からお願いをしたいと思います。
  皆様方に配付した資料はそのようなところですが、もう一つ、資料3は「平成18年度地域重点戦略推進の基本的な考え方」で、支庁独自事業ということですので、是非、ご参照いただければと思います。以上です。

記者からの質問

(NHK)
  財政の健全化を目指しながら、経済の再建に取り組むという難しい予算編成になったかと思いますが、非常に知事も苦労されたと思います。その辺の率直なご感想と、実際個別の事業を見てみますと、額的には比較的小規模なものながら、項目的には広範囲に及ぶ印象を受けたのですが、財政状況が厳しい中、知事が特にこだわった部分といいますか、その2点を伺わせてください。

(知事)
  財政健全化と経済再建の両立は難しいというのは、まさにおっしゃるとおりです。ただ、幸いなことに、私が知事になりましてから、これまで進めてまいりました様々な取り組み、それから当然、前任知事がご苦労された様々な取り組みのいろんな効果が、ここ2、3年、じわじわと出てきておりまして、冒頭の説明とやや重複いたしますが、新幹線着工などの明るい話題に加えまして、雇用状況は緩やかながらも改善しております。また、道内景気の各種項目につきましても、少しずつ明るさも見えかけているという状況にあります。こういった状況を一つの追い風、追い風とまでは言えないのですが、背景としながら財政再建にしっかりと取り組むと同時に、経済再建の今の動きを限られた財源の中で、道民の方々の協働という視点を導入しながら、しっかりとサポートをしていこうという思いを込めた、今回の予算編成であったかと思っているところです。
  私のこだわりですが、これは前も記者会見で申し上げたと思いますが、私ども道の仕事というのは、事柄の性格上、総花的であります。どの政策分野がどの政策分野よりも重要でないとか重要であるということはあり得ません。その意味では、全ての分野について、目配りをしながらやっていかなければならないということは当然だと思っています。そういった中で、あえて私のこだわりを申し上げれば、一つは、明るさが見えた経済再建に向けて、食、観光、知的資源という3点セットの北海道ブランドのさらなる構築、これは去年までもやってきましたから、さらにやりたいという思いはありました。
  加えて、ものづくりです。トップセールスをやってきたということもありますが、それだけではだめなんです。道外トップセールスに行きますと、口のきついトップの方々が何を言うかというと、「北海道へ進出するときは、高橋さん、人も土地も安くていいんだけども、取引先を含めて全部持っていかないと何も出来ないんだよね」ということをおっしゃる方もおられて、やはり道内にしっかりとした取引先の受け皿を設けなければならない、そのことが誘致促進にもつながるし、また、道内のさらなる活性化にもつながる。だから、両睨みでのものづくり促進ということも、私のこだわりだったかと思います。
  それから、去年と今年と2年続けて、宮城県の浅野さんから声がかかって福祉セミナーに行って、福祉とか医療とか保健も含めて、それから人づくりとか子育て支援とか、こういう分野の政策というのは、母親の視点に立って、道政の中で重点的に取り組まなければならない分野であろうと、このような思いはあります。そういった中で、お医者さま、看護士の方、いろんな方々と昼食を食べながら意見交換をやっている中で、気付いたことを一つ一つやってきているということ。それから福祉の分野では、難病対策などで後退もいたしましたが、ただこういった分野でも、全国の中で他の都府県との比較において遜色のない形で政策展開をしていることを確認しながら、こういう削減もやり、また、障害者福祉の分野では、先程、センター機能については申しましたが、全国トップクラスの様々な取り組みもやらせていただいております。それから、子育て支援の中でも、就学前児童の医療費助成というのは、都道府県の中でもトップクラスのことをやらせていただいております。一つ一つは地味かもしれませんが、この分野についても、母親知事としてのこだわりを持って、政策を展開してほしいということを事務方に指示をした経緯はございます。
  あとはやはり、環境です。去年、知床世界自然遺産でダーバンにも行ってまいりました。循環税も前任の堀さんからの引き継ぎもございまして、大変苦労されたこと、よくよく分かっておりましたので、入念に根回し等々をして導入が決まりました。こういった意味で、やはり環境対策へのこだわり、北海道はこれだけ素晴らしい自然環境がありながら、実はゴミの排出量などについては、必ずしもパフォーマンスが良くないというのは、道民の方々は知っておられるかどうか、事実であります。やはり、こういった中で、今ある素晴らしい自然環境を将来の道民の方々に引き継いでいくためにも、循環型社会の構築ということの第一歩を18年度は進めなければならないだろうと、これもこだわりがあったところです。
  もう一つくらいあげるとすると、北海道は人口減少社会に突入しつつあります。そういった中で、この現状認識を持ちながら、もちろん他方、子育て支援であるとか、定住促進とかはやるんですが、それでもやはり、人口減少という前提認識を持って、これは1、2年で出来る話ではありませんので、中長期の北海道の地域づくりをやっていなかければならない、そのような思いを持って新年度予算に向けてのスタートを切ったと考えているところです。
  
(北海道新聞)
  報償費の話なんですが、全体の予算削減の中で報償費が6,400万円から8,500万円と増えた理由というのをお聞かせ願いたいのですが。

(知事)
  増えたというのは、これは結果なんです。私の考え方というのは、もともと道警からは、1億円を超える要求を来年度に向けてはちょうだいしておりました。それをどこまで切り込むかということを考えてきたわけですが、一つは、予算編成までの間の毎月毎月の実績見込みがあります。それをどのように伸ばして考えるかということがあります。そういった中で、今年度の限られた予算の中で、ちゃんと道警が仕事をやっておられるかどうかということを見ますと、今日の朝日新聞で書いてありましたが、検挙率は確実に上がってきております。それから、犯罪件数も確実に減ってきております。こういったご努力をしていただいている。そういった中で、来年度の予算のところでも申しましたが、子どもをめぐるいろんな事案が発生している。あるいは、地域の安心、安全を脅かすようないろいろな治安上の問題に対して、当然、道民挙げて地域ネットワークを組んで対処していなかければならないのは当然ですが、そういった中で、やはり道警の役割も大きいであろうということを判断をさせていただきました。そういったことを総合的に勘案した中で、この1億円強の道警からの要求枠に対しまして、昨年の査定率が道警要求に対して、8.7%だったわけですが、今回15%の削減率というものをかけたところです。ただ一方で、制度的に私が判断をして、これは認めようというものがございます。それは、前渡分というものです。最終的には、不要になって戻ってくるような性格のものですが、金額的には500万円強くらいだったと思います。道議会の議論はありますが、認めようと思っております。それを認めようと思った私の気持ちの背景は、一つは、道警が財務アドバイザー制度を導入しておられます。この方々と私も話をいたしましたし、また、そういった方々からの意見具申のような形でも出てきているのですが、この前渡分という公金がこれまでなくて、要するに私金という形で、道警職員が私費払いで立て替えていたんです。それがきちっと公金が入ってきた時にそれを戻すということをやっていたわけですが、そういう公金とプライベートのお金の区別を不明確にしてきた私費での立て替え払いが、道警の不適正経理の一つの要因ではないかというようなお話も財務アドバイザーからございました。それからもう一つは、去年の10月に白石署へ行ってまいりました。その時に、現場最前線の職員の方々といろいろざっくばらんにお話をして、その中でも、前渡分ということではないのですが、やはり自分たちで立て替え払いをするというのは、最終的には支出されるのでお金が戻ってくるということなんですが、なかなか厳しい部分もあるので、知事さん何とかしてほしいというお話が、白石署の職員の方々からも出ておりました。そういったいろんなことの中で、道警から今回、前渡分を認めてほしいという要求があり、それは制度的に認めようという判断をさせていただいたところです。

 (北海道新聞)
  1998年から2003年度分の特別監査と確認監査をやった中で、単純に捜査に使った分と適正に使われていた分とされている分を割ると、1年でだいたい7,000万円の分を使っているという状況だったんですが、今回、8,500万円だと、知事のおっしゃられた500万円をプラスをした以上の額になっていると思いますが、この予算の算定ベースというのは、どういう数字を使われたのでしょうか。

(知事)
  先程、申し上げたとおりですので、詳しくは総務部長から聞いていただけますか。

(北海道新聞)
  現場の人から、予算を使えと言われて、使いみちでは本来あり得ないはずの、立ち入り調査に入った先に菓子折を持っていったり、目撃者の調書を取る時にお金を報償費ですと渡された時に断っても、それを規則ですからと言って渡すというようなことが行われているんですが、こういう実態は把握していらっしゃるのでしょうか。 

(知事)
  支出の詳細の部分はいろんな議論があるかと思います。まだ、私自身は詳細については存じておりませんが、支出のやり方については、まずは、道警において、いろんな検討をしていただき、必要であれば、我々の出納、総務と議論をして、正すべきは正していく、そういうことではないでしょうか。

(TVh)
 今回の予算案にあえて点数をつけるとすれば、何点くらいでしょうか。それとその理由を教えてください。

(知事)
  私は自己採点はいたしません。どうぞ、御社の方でつけてください。そして理由も教えてください。

(TVh)
  では、満足度は。知事が考えておられた思いも含めて、この予算案の満足度はどうでしょうか。

(知事)
  満足度というのは、難しいのですが、私が政策的に展開をしようと思うような項目については、先程、NHKの方からのご質問にも答えましたが、私の思いはある程度反映されていると思っています。

(読売新聞)
  今回の予算案ですが、構造改革ということの点について、知事ご自身はどう評価されていますか。

(知事)
  構造改革という点からの評価ですか。冒頭申し上げたこととちょっと重複しますが、構造改革に向けてのいろんな努力の結果というのを2月7日にまとめました。これから、10年間こういう形でやっていこうというスタートライ知事定例記者会見ンに立ったと認識しています。初年度、我々として盛り込める歳出削減というのは盛り込んでスタートしようということも事実です。道債新規発行分も減らしましたし、歳出の人件費の独自縮減も含めて相当削減もいたしました。そういった意味では、努力をした元年であるという認識はありますが、そういった意味でこれで万全なのかなと言われれば、ぎりぎりそういった努力の上に立って今年度予算を組むことが出来た、ぎりぎりセーフでスタート出来る新年度予算ということではないでしょうか。ですから、我々はまさにスタートラインに立ったばかりですので、これから18年度予算を執行する過程で、不断の見直しもしていかなければならないと思いますし、また、加えて19年度、20年度とさらなる行政改革努力、歳出の見直し、こういった不断の努力をやっていかなければならない。その意味で、これは質問にはないのですが、行革の取り組みの中でご説明があったかと思いますが、これから、今お願いをしております財政再建のアドバイザーの方々に、若干、何人かさらに加わっていただくような形も想定しながら、道民の方々と幅広くご議論しながら、さらに道庁の行財政構造改革を進めていかなければならない、そういう決意を新たにしたところです。 

 (北海道新聞)
  小さな政府に向けて第一歩と、スタートラインに立ったということで、大幅な、緊縮型の予算を組んだわけですが、一方、それだけ削減するということは、道民一人一人に対する負担がかなり増していくことにつながっていくのかなと、今後もいろいろと歳出見直しをやると今おっしゃったばかりですが、道民一人一人に対する、この予算を理解してもらうための、道民に対するメッセージみたいなものがあればお聞かせ願いたいなと思うんですが。

(知事)
  これも、今まで申し上げていることの繰り返しになると思いますが、今現状、道財政は危機に直面している、これは事実です。私どもは、何とかこの危機にひんしている道財政を将来の道民の方々のためにも、北海道の発展基盤として持続可能なもの、健全なものにしていくという責務を持っていると、これが我々現役世代の役割だと思っています。そして、そのために、私ども道庁自身襟を正して、先程、申しましたとおり、2年間の集中改革期間の1,800億円の中で、行革努力の部分は半分以上考えておりますが、加えてやはり、道民の方々にも一定のご負担、例えば、先程申しました女満別空港の駐車料の問題とか、各種補助金の見直しとか、公共事業の縮減を通じた間接的なご負担とか、そういうことが出てくるわけです。そこは、誠に申しわけないのですが、道民の方々も私と同じ道民の現役世代として、将来の道民の方々への責務として、是非、ご理解をいただきたいと、このように申し上げたいと思います。

(朝日新聞)
  知事は今回の予算で、子どもの安全を守る施策を実施するということで、先程、こちらの冊子の39ページから説明されております。今日、滋賀県の方で、子どもが殺されるという痛ましい事件が起きましたが、39ページから40ページに書いてある子どもの生活を守る施策で、特に知事が力を入れている施策はありますでしょうか。

 (知事)
  お答えになるかどうか分かりませんが、一つ一つの施策へのこだわりというよりも、それらを総合して、やはり警察本部にも一定の役割を果たしていただく、また、私ども道庁部局も役割を果たす、そして何よりも重要なのは、道民の方々お一人お一人がそういう意識を持って地域ネットワークを組んで、道民運動として、地域の安全、子どもの安全を守っていく。そういった形に、18年度の道内の流れを持っていかなければならないのではないかと、そのことが結果として、子どもに関する犯罪というのはどこで起こるか分かりませんので、地域全体、北海道全体として子どもを守るということになってくるのではないかと思っております。

(日本経済新聞)
  中期見通し、18,19ページを見ますと、投資的経費というのは、18年度以降はほとんど横ばい、その他の歳出も横ばいと見てまして、そうすると、道民への負担というのは、ずっと続けるような形になるように見えるのですが、その辺はどういうふうに考えていいのか。職員の給与カットは2年で止めますと宣言されて、一方、道民への負担は続けますというふうに、この試算からだと見えますが、その辺はどのように考えたらよろしいでしょうか。

 (知事)
  道庁自身の痛みの部分は、いわゆる独自縮減は2年で終えますが、それ以外の職員適正化、あるいは組織機構の見直しは、これからまさに本格的にやってまいりますので、そういったことが、やはり道庁の行革としては、これからじわっと効果が出てくると思っております。そういったこととあわせて、他の政策費目については、もちろん見通せない部分はありますが、例えば、今おっしゃった投資的経費の部分につきましては、やはり集中と選択、優先順位をつける形で、道内のインフラ整備をやっていかなければならないし、また、維持補修などもやっていかなければならない、ということではないかと思っております。一方で、義務的経費とか、医療費の関係というのは当然にどんどん増えてまいりますので、こういったこととの比較、絡みにおいて、道民の方々への痛みをどれぐらいどのようにするかというのは、ここにも書いてありますとおりローリングを進めてまいりますので、そういった中でメリハリをつけながら考えていかなければならないのではないかと考えております。

 

 


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