定例記者会見(平成18年2月3日)

知事定例記者会見

・日時/平成18年2月3日(金) 14:01~14:35
・場所/ 記者会見室
・記者数/28名(その他テレビカメラ等2台)

会見項目

 

知事からの話題

1 アイシン精機(株)の生産拠点の本道への立地について
2 櫻田副大臣との意見交換について
3 「市町村国民健康保険運営安定化支援計画」の策定について

記者からの質問

1 北海道道州制特区推進法案について
2 アイシン精機(株)について(1)
3 アイシン精機(株)について(2)
4 出納長の廃止について
5 道議会による議員報酬減額の検討について

知事からの話題

 

アイシン精機(株)の生産拠点の本道への立地について

  私から冒頭に三つお話をさせていただ記者会見の様子1きたいと思います。
  一つ目は、アイシン精機株式会社の生産拠点の本道への立地についてのご報告です。本日午前中に、アイシン精機の川田副社長が私のところへ、新たに生産新会社を設立し、苫小牧市の土地に設置をするということをご報告に来られました。アイシン精機さんには、既に、豊頃町にテストコースがございまして、私もおじゃましたこともありますし、また、愛知県の本社にも、トップセールスというんでしょうか、売り込みもいたしましたり、いろんな形で今までもアプローチをさせていただいたところですが、経済界のトップの方々とも連携しながら、オール北海道として誘致活動をやってきたところです。そういった中で、トヨタグループの有力企業であるアイシン精機さんが進出を決定していただいたということは、これまでの私どもの熱意が先方にも通じたということで、とてもうれしく思っているところです。この種の大型立地案件といいうのは、平成12年の千歳におけるセイコーエプソン以来です。豊田会長はじめ、関係者の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。アイシン精機さんの今回のご進出を一つの契機といたしまして、地域における加工組立型をはじめとした、いわゆるものづくりの企業の集積立地が進むことの一つのきっかけとなればという思いを強く持っております。もう一つは、企業誘致も一生懸命やるわけですが、それをしっかりと受け止めて取り引きを拡大してくれるような北海道の地元企業の技術レベルアップ、体力アップも道として、一生懸命やっていかなければならないと思っているところです。

櫻田副大臣との意見交換について

   二つ目ですが、明後日、東京で内閣府の櫻田副大臣とお会いをして、意見交換をさせていただくということのご報告です。ご案内のとおり、一昨日、2月1日、自民党の道州制推進議員連盟の総会が行われまして、北海道道州制特区推進法の試案が、イメージと書いてありましたが、決定されたところです。この案は、私どもにも少し前に、議連のある有力議員さんの試案であるという形で、櫻田副大臣サイドからもたらされていたものであります。考えてみますと、この場でも何回もご報告しているとおり、一昨年も2回にわたって詳細な中身を提案をさせていただいております。権限移譲の中身、今やるべきこと、10年後にやるべきこと、様々行ってきたわけですが、この議連でおまとめいただいた試案というのが、これまで北海道が行ってまいりました提案の中身を踏まえた形で提示されたものであり、また、北海道特例などにも配慮するということを明記しておられるなど、評価できるものと考えています。また、事後にお伺いしたところによれば、同日、行われました北海道代議士会でも、議連のメンバーの方々のこういったご努力に対しては大変ありがたいという声が出ていたと聞いているところです。また、私自身も、全国知事会の会合はありませんでしたので、ファックスなり電話のやりとりで、何人かの同志の方々とは議論をしながらこの問題を考えているわけです。道内経済界、道議会、あるいは町村会の皆様方などとも議論をさせていただいているところです。こうした中で、5日に内閣府と櫻田副大臣と私の間で、この推進法案について意見交換を行うというのが、とても良い機会だと思っておりますので、是非、有意義な意見交換の場にしたいと位置づけているところです。まだ、最終的にどういうスタンスで臨むかというのは、企画振興部の地域主権推進室と最終的な詰めをするまでには至っておりませんが、今の私の思いとしては、議連で決められたイメージに沿って申し上げますと、まず、目的のところで、やはり地方分権の推進のためにやるのだと、当たり前のことなのですが、そのことをもっと前面に出していただくということを言っていかなければならない。これは知事会の人たちも皆さん同じ気持ちです。二つ目は財源の確保ということです。権限等の移譲が行われるということと、それに伴う財源が必要かつ十分にもたらされていることとは、極めて重要ですのでそのことを強く主張してまいりたいと考えています。三つ目は、前から言っていることの延長線上にあるのですが、北海道開発の枠組み、広大な面積で、まだまだ、道路等のインフラ整備が十分ではない北海道において、やはり国の財源と責任において、このことを進めていくという北海道開発の枠組みを当分の間維持するということが、私どもの主張です。このことはしっかりと主張しなければならないと思っています。四つ目に申し上げたいのは、法令面の地域主権の推進ということです。すなわち、法令上一律に基準が定められていることについて、条例の適用範囲の拡大と言ってもいいでしょうか、こういったことは2年前の主張の継続線上で私はきっちり主張していきたいと思っております。また、加えて、道内分権の推進のためにいろいろと障害となるような法令面の手当も主張していく。要するに、今まで言ってきたことを全部主張するということですが、最後に、この特区を推進するための体制整備です。このことをしっかりと盛り込むことという点を櫻田副大臣との会合で私の考えとして、主張していかなければならないと思っているところです。本当に政府提案で物事を進めていくとすれば、私も霞ヶ関通産省におりました時に、何本か法律を手がけたことはありますが、本当ぎりぎりのデッドラインにきているということもありますので、日曜日の櫻田副大臣との、いわば政治家同士の会合ということになるんでしょうか、この場が有意義なものになればと思っているところです。

「市町村国民健康保険運営安定化支援計画」の策定について

   三つ目は、お手元に資料があると思いますが、市町村国民健康保険運営安定化支援計画の策定ということです。北海道は国民健康保険の運用では大変苦戦をしているという都道府県であるというのは、皆さんご承知のとおりです。赤字も大変厳しい状況にあります。例えば、数字で申しますと、国保の一人当たり医療費というのは、全国1位。全国平均の36万円との比較において46万円ですから、10万円以上、上回っている現状にあります。その中で特に老人医療費の分が全体の6割を占めているわけですが、この部分では福岡県が全国1位で、北海道が2位ですが、それでも全国の75万円という平均からすると、北海道は92万円ですから、極めて高い状況にあります。必然的に赤字の状況は極めて厳しく230億円弱の赤字となっています。他方、収納率を見ますと、全国の中では41番目という低い状況になっている、とりわけ都市部でこの傾向が顕著であるわけです。このような現状の中で、私の立場としては、北海道民の健康を守る必要がある。そして、北海道の医療レベルを守っていく必要もあります。そのためには何としても国民健康保険運営の安定化、国保の安定化というものを全国に先駆けて率先して、やっていかなければならないのではないかという思いに至りまして、こういった安定化支援計画を全国に先駆け自主的に作るということを決めました。狙いは、今申し上げたことと相通じるわけですが、医療費の適正化と保険料収納率の向上が柱になるわけです。ここで、誤解を受けないようにあえて丁寧にご説明をいたしますが、医療費の適正化というのは、私は医療費を下げればいいというつもりで申し上げていることではありません。各地各地、市町村ごとの住民の方々、とりわけご老人の方々の健康レベルを維持、あるいは向上させながら、その努力の過程で医療費の適正化も同時に目指していくというのが私の思いです。この資料の1枚目の上の方にそのようなことが書いてあるわけですが、国保医療費の中で6割を占めている老人医療費の適正化を特に重点的にやっていくということです。目標は、一人当たりの医療費及び保険料収納率を全国水準にもっていくということを目標とし、10年間計画として、集中対策期間を18、19年の2年間実施する。その間、最重点施策あるいはモデル事業を実施するということを考えています。安定化支援計画と言っておりますのは、あくまで国保の運営主体は市町村ですので、市町村の皆様方が主体的に取り組んでいくことを我々道としてサポートしていこうという考え方に基づいているものです。以下、資料にいろいろとやっていく重点の中身を書かせていただいていますが、詳細については保健福祉部に聞いていただければと思います。私的に、いくつかポイントを申しますと、例えば、「保健事業の充実」「介護予防対策の強化」ということを掲げております。道民が、特にご老人の方々が病気にならないようにするために重要なのは、保健事業の部分です。このことにつきましては、私も去年になりますが、看護士の方々と意見交換をさせていただいた時にも、こういったお話が出ていたのを鮮明に記憶しています。この保健事業の充実のために、あるいは長期入院者の家庭復帰ということのためにも専任の保健師等の配置を支援するという項目を掲げているところです。これは、例の財政調整交付金なども活用しながら、保健事業の充実等を是非やっていきたいという要望に、重点を置くような事業をやってまいりたいと考えているところです。また、(2)の方で、「保険料(税)収納率向上対策の強化」と書いております。先程ちょっと触れましたが、全国の中における収納率は41番目です。相当下位に位置しておりますが、よく見ますと、道内町村部はむしろ全国平均以上というところが多々ございます。問題は、札幌市をはじめとする大都会、都市部でして、ここの収納率が特に全国との比較において低い。この背景としては、いろんなことが言われておりますが、若年者の方々の理解が必ずしも十分でないようでして、私たちは啓発のための様々な取り組みをやっておりますが、例えば、この資料の下にあります「コンビニ収納の実施」など納付をしやすいような環境整備についても、知恵と工夫でやってまいりたいと思っているところです。現在、各支庁ごとに、市町村へのご説明をしているところでして、北海道におけるこの国保運営の安定化を通じて、道民の方々の健康や医療を守るための一歩になればと思っているところです。私からは以上です。

記者からの質問

(北海道新聞)
   知事から説明のありました自民党の議連の試案の話ですが、あの中には河川だとか道路の権限移譲を含めた、かなり大規模な移譲が含まれてまして、今、開発局で人員削減、公務員削減の話もありまして、その存続問題とも絡んで開発局自体が危機感というか不安感を持っているところもあると思うのですが、この道州制特区がどこまで進むか分かりませんが、その実現の可否は別として、今後、開発局とのあつれきみたいなものが、進めていくうちにあるかと思いますが、その辺、知事はどのようにお考えかということを改めてお聞かせください。

(知事)
  開発局の皆様方とも十分な連絡をとりながらやっていきたいと思います。ただ、このことは開発局と私ども北海道との関係のみということではなくて、他の省庁、他の出先機関との権限移譲等の問題もありますし、また、政府の中でも内閣府、総理官邸、内閣官房、また各省庁と、いろんな関係の中で進んでまいりますので、その意味では、私どももいろんなところと出来る限りの意思の疎通を図りながら、円滑にやっていくということに留意しながら進めていきたいと思っております。

(北海道新聞)
  アイシン精機についてお伺いしたいのですが、川田副社長が午前中の会見で知事の熱意に感動したという趣旨のことをおっしゃっていたのですが、それに関連して、今回誘致にこぎつけた、ちょっと重複するのですが、率直なご感想をまず聞きたいというのが一点と、知事の様々な仕事の中でこういった誘致活動をどう位置づけて、なおかつ今回の成果をどのように評価しているのかということをお願いします。

(知事)
  北海道の経済をいかに活性化していくかということは、私が知事になりましたときの知事公約の中でも最重点に位置づけをいたしました。そのための様々な施策メニューを、知事公約の中で、私が基本的に自分で考えたものや、民間の方々といろいろと議論しながら考えたものを提示し、それを一歩一歩実現すると同時に、道庁職員とも様々な議論をし、一つ一つ必要であろうという手を打ってきたわけであります。そういった中の一つが、やはり道外企業の誘致、特にものづくりを中心とした企業の誘致。加えてそういったものづくりの道外企業と十分に取り引きが出来る道内ものづくり企業の育成、振興という点があったわけです。産学官での研究会等も立ち上げておりますし、また、経済界トップの方々にもお話をし、市町村トップの方々とも連携をしながらこういった活動を始めてまいりました経緯があります記者会見の様子4。そういった中で、アイシンさんが英断をもって進出を決めていただいたということは、本当にうれしく思う次第です。私の熱意にうたれたとおっしゃっていたということですが、リップサービスもあるかと思いますが、そのように企業サイドに思っていただいてた経緯があったとすれば、とても嬉しく思います。実は北海道は、例えば自動車メーカーとの関係でいえば、寒冷地テストのために全社がテストコースを持っておられるわけです。例えばそういうルートをたどっての様々な誘致活動も心がけておりますし、また、私が古巣でおりました経済産業省のよく知っている人たちが、多くの民間企業に全国散っておられますので、そういった縁をたどっての誘致活動とか、考えられる限りのことはやってきております。それらが全て芽が出るわけではありませんが、一つ一つのそういった私自身の努力、それに共鳴していただく経済界のトップの方々のご努力、さらにもっとも重要なのはトップである私を支えてくれる経済部を中心とした道職員のアフターケアの努力。こういったことが相まって行けば、これからまたいくつか芽が出てくればいいなと、このように思っております。それから誘致活動の私の仕事の中における位置付けについて、これもまた難しい質問なんですが、私、道庁の全ての仕事の中で、どれがどれより重要だという意識はなく、満遍なく仕事をやらせていただいてるつもりです。その中で何で経済再建かと言われれば、経済を再建して道税収入が伸びれば、それが一般財源として全ての政策にゆとりが出てくるからということでして、その意味では直前にご説明を申し上げました医療福祉分野の政策も極めて重要でございますし、また社会資本整備の分野、農業の分野、ありとあらゆる政策分野を全力を込めてこれまでもやってまいりましたし、これからもやっていきたいと思っております。それから今回の評価は、北海道の産業構造上薄いといわれておりました製造業のウェイトというものを高めるということの一つのきっかけになればという思いを持っております。やはり産業構造、経済構造というのは、何かのみに偏っているというのはよくないと思います。その分野が常にいいとは限りませんので、やはりバランスのいい形で産業構造を持っていくということが、私は重要だと思っております。その意味では今、北海道で弱いといわれております製造業の分野での新規大型立地が決まったということは、私どもの産業構造のさらなる高度化の面でもいいきっかけになれればとこのように思っております。

(TVh)
  アイシン精機の関係でお伺いします。これから、北海道に誘致を是非したいと思ってアプローチをしている企業、もしくはアプローチを考えている企業はありますでしょうか。それともう一点、川田副社長との懇談の中で、経済界、地元を挙げて支援したいと知事はおっしゃってましたが、具体的にどういった支援を考えておられるのか、この二点についてお教えください。

(知事)
  どういうところを誘致対象とするか。それは先程の繰り返しになりますので申しませんが、個別企業ということではなく、できる限り多くの加工組立型を中心とした企業さんに立地していただければということをこれからも粘り強くやっていきたいということに尽きるかと思います。あえて一つ言うとすれば、北海道は車社会と言われ、広大な面積の中で道民が生活をしているわけですが、しかしながら、その車が海外、国内含めてすべて道外から来るんですね。だから、できれば、これだけ車社会と言われている北海道で、道内で自動車のアセンブリー工場もあったらいいなという思いはありますが、あまり高望みをしてもいけないので、来ていただける企業があるという情報があれば、すぐに飛びついていくということで、これからも前向きにやっていきたいと思っています。
  それから、進出企業に対する具体的な私どもの支援ですが、いろいろなことがあり得ると思います。先程、川田さんに申し上げたのは、産学官でいろいろな支援をしますというようなことを申しました。例えば、2週間くらい前ですか、豊田アイシン精機会長以下が北海道に来られたときに、電力面における特別契約等のアレンジメントについて、ちょっとサポートしてくれというようなお話しもありました。また、これも先程の繰り返しになりますが、道内で優良な技術提携先、あるいは部材の購入等の取引先などそういったところをより多く私どもがサポートできていれば、それは遠いところからいろいろなものを持ってきてアセンブルするよりも、アイシン精機さんにとってもコスト削減になり、良いはずなわけですので、そんな面でのサポートもあるでしょうし、アカデミック・サークル(学界)からの様々なサポートもあるでしょうし、そういったいろいろなことを含めて、我々行政が窓口になる形でサポートしていきたいと考えています。

(共同通信)
  昨年末から知事がおっしゃっている出納長の件ですが、来年度から廃止したいと度々おっしゃっていますが、現行の地方自治法では都道府県に出納長を置くということが定められています。そういった部分を具体的にどのようにクリアされて、まだ検討中かもしれませんが、出納長をどうやって置かないようにするか、廃止の方向に持っていくかということについて、法律との兼ね合いの部分で具体的にはどういったことがあるのかを教えていただきたいのですが。

(知事)
  これはまだ担当部局にどういう知恵があるかということを検討するように指示した後、私はまだ聞き取りしておりませんので、検討中ということでご理解いただければと思います。

(HTB)
  今、道議会の議会改革委員会で議員の歳費の削減が検討されているようですが、知事としてはこの危急な財政状況の中で、道議会ももちろん削減してくれれば、財政の好転への一助になると思うのですが、どんな方向の結末を望んでいらっしゃるか。議会が決めることですけれども、ご希望はあるのではないかと思いまして。

(知事)
  一部報道で見たのですが、そういう各会派代表の方々の検討する枠組みができていることは承知しておりますが、具体的にどういう議論が進んでいるか詳細には承知しておりません。しかしながら、一方で、やはり道財政が厳しい中で、我々もギリギリの歳出削減努力をしておりますし、職員団体の皆様方ともああいった形での決着という経緯もありますので、もし、道議会でもご協力をいただければ、それはとてもありがたいと申し上げたいと思います。

 


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