定例記者会見(平成17年6月3日)

知事定例記者会見

・日時/平成17年6月3日(金) 14:00~14:49
・場所/ 記者会見室
・記者数/42名(その他テレビカメラ等7台)

会見項目

 

知事からの話題

1 北方領土問題について
2 知床世界自然遺産登録について
3 道警の報償費問題について

記者からの質問

1   道州制について
2 厚岸産カキの貝毒の発生について
3 北海道新幹線について
4 市町村合併について

知事からの話題

 

北方領土問題について

    私からは3点ご説明させていただきます。
  一つ目は、北方領土訪問についてですが、今週の月曜日から昨日木曜日まで3泊4日で国後島、択捉島を訪問してまいりました。ビザなし訪問団63名の一員としての参加でした。それぞれの島で博物館、教育施設、それから日本人墓地などの施設を訪問し、ホームビジットなども行ってきたところです。島の印象は、昨日の根室での記者会見でも申し上げたところですが、道路は舗装しているところは私どもが見た限りでは皆無でしたことを含めて、インフラ整備はほとんどが進んでいないという状況で、経済状況も国後よりも択捉の方が少しいいという話を聞いておりましたが、大手水産加工会社の工場の火災等もあり、私が事前に聞いていたよりも厳しさを感じたところです。そういった中で、両島サイドからは、非常に心温まる丁寧な対応をしていただき、うれしく感じたところです。これまで13年間のビザなし交流の成果というものが、ここであったのかなということです。中心となるイベントは、対話集会であったわけであります。島民の方々からは、返還について反対であるという率直なご意見、ただそういった中でビザなし交流、人道支援というものは、本当にありがたいということが口々に出てまいりました。そして共住というテーマについても、多民族国家のロシアの我々を難民にしないでくれというような切実な話もございました。いろいろなご意見、とても私自身も勉強になったところです。これからは、若い世代の交流の拡大など、いろいろ工夫しながら領土問題解決への一層の環境づくりに努めてまいりたいと思ったところです。

知床世界自然遺産登録について

  それから二つ目は、知床世界自然遺産登録に向けてということです。5月31日に国後島滞在中に、IUCNの勧告の連絡をこちらの方(札幌)から受けました。直感的には大変うれしいと思ったわけですが、いろいろな条件、調査団のさらなる派遣、様々な条件が出てきている訳わけでございまして、そういったことに真摯に答えていかなければならないということと、その先に実際指定になったとしても、単に喜ぶだけのことではなくて、まさに私どもに大きな課題が突き付けられたということになるかと思うわけでありまして、それは、世界的に保護すべき遺産であるというお墨付きをいただくわけですので、環境保全を今まで以上に一層どのようにしていくかということと、そのことを一つの観光の目玉として観光振興をどのようにやっていくかという、その二つのことの両立を考えていかなければならないということも、遠く離れた国後島で思っていたところです。私、来週、高速道路の関係で会合があって東京に行きます。その際に日程調整がうまくできれば、外務大臣、および北方担当であり環境大臣である小池大臣にも時間をちょうだいして、小池大臣とは先程、電話でもとりあえずのお話をさせていただきましたが、お願いをして、北方領土訪問のご報告と、さらなる領土返還に向けてのご努力の要請、それから知床についての今後のさらなる協力要請等、やっていきたいと思っています。

道警の報償費問題について

  三つ目ですが、道警の報償費等の問題における返還額等の判断について、私の判断をいたしましたので、そのことについてお話をしたいと思います。5月27日金曜日に、道警察の特別調査結果などを対象として行われておりました、確認的監査の結果報告を監査委員からご報告をいただきました。その後、私個人としては、金曜日から土日にかけて、報告内容を熟読をさせていただきました。その上で四島に出発する前に、知事政策部にいろいろな指示をし、監査委員事務局と確認をしてほしいというようなことも指示していったわけでありまして、その結果、昨日戻った後、そして、今日の午前中に事務方と打ち合わせをした結果、本日、道が被った損害について、私としての結論を出したところです。今回の確認的監査は、道警察が特別調査結果等において、返還額等を特定した場合には、その妥当性の確認が必要と判断し、監査委員に対して、特別監査の中で道警の特別調査結果等を対象とする確認的監査の実施を要請したものに対応するものです。要請は去年の6月であったわけであります。道警察においては、昨年の12月、自ら行った特別調査結果に基づき、北海道に与えた損害額を202,703,289円として、既に返還を行っているわけですが、今回いただきました確認的監査結果報告では、道警察の特別調査結果において報告された使途及びその金額並びに北海道が被った損害額の妥当性について検証した結果、北海道が被った損害額は、住民訴訟の対象になっております平成12年度の弟子屈署における捜査用報償費の執行に係るものを除いて、合計240,455,079円と認められたということでした。これは皆様方ご承知のとおりです。監査委員におかれましては、昨年3月に私がお願いした特別監査、すなわち平成10年度から15年度の6年間の捜査用報償費をはじめとする4科目について、道警察の全部署を対象とする、これは27日のときにも申し上げたと思うのですが、全国的にも前例のない極めて大規模な特別監査の実施をお願いして以来、昨年12月に報告をいただいた予算執行事務監査においては、4人の監査委員は64部局に臨場し、知事部局から派遣した職員を含む事務局職員の方々は、延べ2,623日間の実地監査を行っていただいたところです。今回の確認的監査におきましても、4名の監査委員は道警察本部、方面本部等に延べ32日間出向かれ、延べ4,519人の事務局職員が監査に当たられたと伺っているところであり、まさに代表監査委員がおっしゃっておられた、一分のやり残しもなく、きっちりやりたいと言われたとおり、監査委員および事務局職員の皆様方が一丸となって、万全の対応をしていただいたと考えております。この間、私といたしましても、監査委員の方々からの求めに応じまして、知事部局職員の派遣や道警察への協力要請を重ねて行うなど、できることを最大限やってきたと思うところでございます。このような監査において出された結果は、極めて重いものであり、私といたしましても、北海道の被った損害額を240,455,079円と判断し、本日、公安委員会及び道警察に対して、同額を道の被った損害額として、必要な措置を講じるよう文書で要請をしたところです。道警察の多くの部署で不適正な予算執行が長年に渡って組織的、慣行的に行われ、結果として、このような異例の特別監査の実施に至ったこと、そして、確認的監査結果において、多くの金額が執行の確証が得られないものなどとして、北海道に与えた損害と認定されたことは、公金の取り扱いとして大きな問題があったと言わざるを得ません。私といたしましては、このことについて改めて、大変遺憾なことであると考え、道民の皆様に対しても申し訳なく思う次第です。結果として、道庁不正経理の経験が活かされていなかったことが、とても残念です。3泊4日の船の旅に参加された方々は、道民の方でございますので、こういった道警報償費の問題についてもお話をする機会がありましたが、まさに多くの方が船の上でもこのことを強く言っておられました。私もそのように考えるところです。道警察においては、速やかに必要な措置を講じるととともに、引き続き、現場の声を十分に聞きながら、予算執行に関する改善方策の徹底に取り組み、このような事態が二度と生じることがないよう、適正な予算執行に万全を期していただきたいと考えます。そして、道民の信頼回復に努め、本来の業務である道民の安全安心の向上のため、これはもう現場の警察職員の方、あるいは幹部の方々もそのことを一に考えることは当然だと思っておりますが、道民の治安の維持向上に努めていただきたいと思います。
  私自身もこれから機会を見つけて、現場で苦労しておられる警察官の皆様との対話ということも、是非、やってみたいと考えているところです。
  私からは、以上です。

記者からの質問

(北海道新聞)
  何点かお聞きします。確認監査の結果で、使途不明金が3億9,000万円ございますが、これは確認監査をやってもこういう結果だったとうことで、これはこのままということなんでしょうか。今回の確認監査結果それから知事の判断で、道民は納得されると思われますでしょうか。それから、知事として、これでやるべきことは全てやったという認識でおられるのか、まずこの辺をお聞きしたいと思います。
   
(知事)
  確認的監査で使途不明金、これは国費、道費合わせて3億9,000万とこのように報告書の中でも明確に書かれております。このことについてこのままか、要するにその中で先程申し上げた返還額に絞った理由ということですか。去年の12月の特別監査が出た段階で、私が考えておりましたのは、去年の特別監査の中で道警察において十分に調査を行い、この結果においても、なお、執行の事実が確認できないものについては、執行の事実がなかったものとして取り扱うことも考えるべきと、これは当時としては、一つの考え方としての監査委員の皆さん方の考えが提示されたわけです。私はこれを見た時に、まさにこの通りであると思いました。言葉がややこしいので分かりやすく言えば、私といたしましては、要するに執行の事実が確認できなかったもの、いわゆる灰色といいますか、△、○、×の方が分かりやすいかな、△という形で確認的監査でも金額の提示があれば、それは×と、すなわち執行の事実がなかったもの、返還対象にするという考え方を自分の中で整理をしたところでした。結果として、確認的監査の中では、その使途不明金、国費、道費合わせた中で、監査委員自身、あるいは事務局職員も実際の道警の職員の聴取を含めて様々な調査をされて、結果として、先程申しました金額以外の部分については、監査委員として心証が得られた、すなわち監査委員として確証が得られたという判断で返還の必要なしというふうにおっしゃっておられますので、確認的監査の中では○として出てきたということですので、その部分については、返還対象と私も判断しなかったということです。
  それから2番目、道民の方々が納得すると思うかどうか。それはこれからのまさにいろんな展開も出てくるのかなということは思っています。もちろん、私から、これは27日も申し上げたと思いますが、現行の法体系の中で、最も調査権限の強い監査委員、ご存じのとおり第三者機関である監査委員の方々に、監査という要求を私はお願いをしたということです。そして、その方々が他の県の監査委員のことをあまり悪く言うのは趣旨ではありませんが、どの監査、どの監査と言いましても特別監査をやっているのは2県だけですから、愛媛なり宮城との比較においてもできる限りのことを強い意志を持ってやっていただいたと理解いたしております。そういった特別監査、あるいは確認的監査という私の要請に対して報告をいただいたものについて、私が今、こうやって判断をしたということは、一つの区切りではあると思います。ただ、一方で、私が北方領土に行っている間でありましたが、一部立件の動きが出ているということ。それから、まさにどういった改善策を現場の声も十分に踏まえてやっていただくかということもあるでしょうし、それから何をおいても議会での議論が来週の月曜日、それから再来週からの2定議会での議論もあります。そういった流れの中で、道民の方々がどのようにご判断されるかということではないかと思います。
  それから、三つ目、知事として全てやったかということですが、今、お答えしたこととやや重複するかと思いますが、現行の法体系と私が有しております情報の範囲内では、私はできることはやったと思っているところです。しかしながら、我々道庁も、警察本部と協力をしながら改善策にさらに取り組んで、先程のコメントでも申しましたが、今後一切、このような事態が二度と生じることがないよう適正な予算執行に万全を期していくということについては、道庁、私ども自身も責任を持っていますので、そういった意味でまだ残っている部分は当然あると考えております。
  
(北海道新聞)
  今の補足というか関連で、議会のお話が出ましたが、百条委員会ですね、また、野党側が設置決議を提出するという動きですが、これについていかがお考えでしょうか。
  それと、今のお話の中で、私としてはできることはやったと。確かに法体系の話もありましたし、行政のトップとしての権能で言えば確かにそうかなと思う部分もあるんですが、一方で政治家としてのこの発言、言動、振る舞いということからすると、例えば、百条委に対する意見を表明するですとか、あるいは一部では、告発というのはどうかという話もありますし、もう少し政治家としての側面でいえば幅があるのかなと思うんですが、その辺できることは、政治家としてもできることはやったというお考えでしょうか。

(知事)
  百条委については、前から申し上げているとおり、知事の私がとやかく言うことではなくて、議会において様々な議論を踏まえてご判断をされることと、これは前から変わっておりません。それから、告発、もちろん私は政治家でありますが、ただ政治家であると同時に、知事という行政のトップでもありますので、その知事という立場として何ができるかということだと思います。告発については、これは私的流用との関係があるかと思うんですが、今回の確認的監査において「提出された関係書類及び関係者に対する事情聴取などにより検証した結果においては、組織の立場を離れ、個人的な利得を目的として使用していたものについては、確認されなかった」という監査結果が出たわけでありまして、これを踏まえて私が判断するということが当然ですので、現時点で告発ということは考えておりません。

(uhb)
  裏金の問題なんですが、適正な予算執行というお話でしたが、宮城県の浅野知事がまさにこの報償費の問題で7月に出される予算を、今、停止しようかという検討をされているんですが、この考え方に対しどう評価されるかということと、それから、道の場合こういう結果が出ましたが、不正が間違いなくあったと、予算執行停止という手段も考えられるのかどうか。

(知事)
  このことは、27日に民主党さんが申し入れに来られた時に、同じようなご指摘が三津道議からありました。その時に申し上げたことと一緒になってしまって恐縮ですが、ちょうどゴールデンウィーク明けくらいに、東京で知事会の有志の飲み会をやったんです。麻生会長、増田知事が、酒を飲むことに意義がある会合だったんですが、いろんな方々にもお声をかけて、宮城の浅野さんもおられました。たまたま、増田さんは私の目の前におられたので、もちろん知事会としての今後の三位一体改革等の議論もしたんですが、浅野さんの方からも、この県警費の不正使用についてもいろんなご苦労話がありました。その時も感じたのですが、宮城県の状況と北海道の状況は全然違うんですね。まず、警察本部が不適正執行について、全く認めていないですね。それに対して道警の方は認めた上で、陳謝、それから返還、それから処分を実施した。それが不十分だという話は当然ありますが、そこが違います。それからより大きいのは、浅野知事も北海道はいいなとおっしゃられていたのは監査です。知事の要求監査に対する宮城県の方は違法、不当な行為があったと判断するに足りる事実を認めるには至らなかったという結果を、去年の中頃のタイミングで出しておられます。いろんな事情があったんでしょうが、そういうことです。それに対して、北海道の方の監査委員の結果は、今、縷々ご説明したとおりですので、その意味では全然状況が違う。その言い方が失礼にあたるかどうかは別として、私はやはり浅野知事が孤軍奮闘しておられるなという印象を受けたところです。ですから、その意味では予算の執行停止というのは、その時もそういうことをやるかもしれないと浅野さんは言っておられたんですが、私は今段階で事務方から聞いておりますのは、予算の配分停止、同じことでしょうか、やるかやらないかをいろいろ検討しているということです。私は、それはそれですごく浅野知事がご苦労をされた中での一つのご判断としてそういうことを検討しておられるということは、そういうことだと思いますが、北海道の中で今、そういうことをやる状況にはないと認識しています。

(uhb)
  加えてもう一つよろしいでしょうか。告発は考えていないと、要するに私的流用は確認されなかったということですが、確かに北海道の監査は優れているとは思いますが、一方で私的流用について、あるいは使途が不明だということは、監査そのものの限界を示したことでもあると思います。さらに、先をいって、知事の力で何かその真相究明に取り組もうというお考えはありますか。

(知事)
  それは、先程、道新の記者さんの方から政治家として、知事としてという話にちょっと加えて申し上げるとすれば、できることがあればやりたいという思いはもちろんあります。ただ、先程来申し上げておりますとおり、現行の法体系の中で監査を超える権限を有する調査というのはあり得ないんですね。それは私自身がやると言えばそれは格好いいかもしれませんが、監査委員のこれまでのこの延べ4,000人を超えるといいましたか、そういったものを超えるだけの規模と権限を持ってやるというのは不可能ですので、私は自ら現時点で調査をするという考えはありません。しかしながら、例えば、4費目以外について、まだまだあるのではないかという噂があるということは承知しております。この分野について、もし何かそういった確たる事実のような、例えば実名による証言のような今回4費目について、監査を私が要請をしたに足ると同じような事態になれば、それはその段階で考えるということです。

(毎日新聞)
  監査委員が黒と言った部分を、はい、じゃあそれを黒とします、というのはこれは判断といいますか、誰でも出来ることですので、知事は冒頭部分でもおっしゃっていましたが、どのように精査をして、誰に何を聞き、どのようなところを重点的に考えたのか、その知事の判断の形成過程とその根拠というのをもう一度詳しく教えていただけますか。

(知事)
  先程はちょっと言葉が足りなかったかもしれませんが、去年の12月の段階で特別監査が出た時に、執行が確認できなかったものは返還対象とすべきではないかというような考え方が出た段階で、私はこれでいこうと決めておりました。ただ、確認的監査がどういう形で出るか分からないし、世の中どうなるか分からないということで、その段階ではそのように申し上げませんでした。ですから、今回例えば、確認的監査の中で、確証が得られず、これは道に損害を与えたとまでは言えないという形の表現で金額が提示されれば、それは当然、私が黒と判断して返還対象に含めるということになったと思います。ですから、結果として、私自身の判断、気持ちの中で決めておりました判断基準と、確認的監査の中で監査委員がお示しになられた判断が一致したとご理解いただきたいと思います。精査ということについて言えば、先程申しましたとおり、いろんなポイントについて、先週の土日かけていろいろ私なりに報告書を読ませていただいた上で事務方に指示をして、それを今週前半をかけて事務局と私どもの知事政策部で打ち合わせをしてもらったということです。その結果を踏まえて判断をしたというふうにご理解をいただきたいと思います。例えば、その中の一つは、これは報道でも一部ありましたが、道庁の不正経理の時と違う基準でいいのかいうのがあったかと思います。これも監査委員とも精査をさせました。その結果、要するに一言で言えば、判断基準において変わりはありません。道庁不正経理の時も、20億の当初の部分と、その後どんどん出てきて50数億、トータル70億強という金額だったんですが、ご案内のとおり、返還をしたのは前段部分の20数億です。その20数億という返還部分というのは、これは監査が入る前の段階で、道庁自身の内部調査を行って、これは物証があるかどうか関係なく不適切な予算執行であると理解したものは全部返したんですね。ですから、今回の道警の問題で言うと、去年12月の自主返還よりさらに前くらいの段階で、旭川で道警の幹部の方が一部返したことがありました。比較をすれば、あれくらいの段階で、道庁として返還するということを決めたわけです。その後、またいろんな新事実が、内部告発等々で出てきてどんどん膨らんでいったわけです。道の不正はもっとあったのではないかと。それで50数億出てきて、当時の知事さんが監査を要請をして、その50数億の判断の際には、まさに今回と同じようなことだそうであります。物証云々があるかどうかは別として、様々な複数の多くの関係者の証言であるとか、当時の周辺の資料とかいろんなことを重ね合わせて、今の言葉でいう心証を形成して、これは大丈夫だということで返還に至らなかったということをしたようです。ですから、そういった道庁の時の案件とどう違うのか違わないのか、そういうことを含めて事務局どうしでの精査をさせました。他にもありますが。
  そこで、一つちょっと、質問にはないんですが、心証という言葉について申し上げると、心証というとフィーリングだろうと、感じただけでいいのかという議論は当然あると思います。この心証という言葉については、道議会でも議論があったような記憶がありますが、今回、心証が得られたという表現を使われながら、監査委員が示された判断というのは、私は相当慎重に検討されたことではないかなと思いました。ですから、確証という言葉は記者会見の時におっしゃったかもしれませんが、ある意味、監査委員合議の中で確証を得て、これは道に損害を与えたとは言えないと明確に判断されたと理解をしております。その一つの根拠は、監査過程における多くの捜査員からの聴取結果です。これは単一の署ではなくて複数の職員から当然聞いているわけです。それから、平成13年度以降、使い道について改善がされました。それから、現に12年度までも検挙実績が上がっていたという、要するに出口のところのパフォーマンスがあったわけでして、そういった様々なポイント、要素というものを4人の監査委員がどのように取り扱うかということを協議を重ねられた結果、客観的にみてこういった金は捜査活動に使われていたと判断されたのではないかと私は考えます。ですから、先程の繰り返しになりますが、こういった監査委員あるいは、監査委員事務局の方々の権限に基づく真摯な取り組みということに対して、そのご努力に対する敬意というのはこれは何回言っても足りないくらいあるんですが、かつ、その結果というものを私としては重くみたいと考えたところです。

(朝日新聞)
  この度の道警不正経理問題では、実名告発なさった方が、知事に会って話しをしたいんだけれどもという話をしていたのですが、結局、会わずじまいで知事は判断なさったと思うのですが、なぜ、会って話を聞いた上で、政治家として判断なさらなかったのか、その辺の理由をお聞かせください。

(知事)
  これもゴールデンウィーク明けに浅野知事と会ったときに、彼の方から、原田さんに来てもらっていろいろとお話を聞いたんだよというお話がありまして、そうですかということをお話申し上げたところです。私的に申し上げれば、原田さん、斎藤さんともに監査委員に対しては、いろいろなお話をしておられるということはお伺いしているところです。その意味では、私は、先程の話の繰り返しになって恐縮ですが、もっとも現行法令の中で強い権限を有しておられる監査委員の方々が、そういった実名告発をされた方々の話も十分に聞かれた上で、判断をされたということは、とても重いことであると思う次第です。なぜ、知事が直接会わなかったのかということについては、監査委員がお会いになっていただくので十分であったのではないかなと、私は思っているところですが、ただ確かに朝日新聞さんに書かれていましたが、斎藤さんが公の場で知事にだったら会いたいというお気持ちを持っておられたという、お気持ちは分かるなと思っております。

(北海道新聞)
  4点ばかり質問したいのですが、一問一答方式でお願いします。まず1点目ですが、今日、文書で速やかに必要な措置を講ずるよう要請したとのことですが、具体的にはどのような要請だったのでしょうか。

(知事)
  内容的には、先程、私が申し上げたことを紙にしたところです。読み上げましょうか。

(北海道新聞)
  はい。

(知事)
  差し上げては駄目なの。

(知事政策部長)
  私ども、6日に議会の委員会に報告することになっております。

(知事)
  では、読み上げましょう。
  「確認的監査の結果を受けた返還額の補正等について。標記については、平成16年12月13日付け知政第493号で「北海道が被った損害の返還に当たっては、監査委員が実施する確認的監査を経て返還額を確定すべきものと考えており、確認的監査の結果、その補正を行っていただく必要が生じる場合もある」旨、申し添えたところですが、この度、平成17年5月27日付け監委第364号により、確認的監査についての結果報告があり、240,455,079円が北海道の被った損害と認定されました。貴職においては、北海道公安委員会の監察の指示に基づく特別調査を実施し、その結果に基づいて北海道に与えた損害額202,703,289円として既に返還しているところですが、上記監査結果報告に基づき、弟子屈署における平成12年度捜査用報償費の執行に係るものを除く北海道が被った損害額を240,455,079円と判断したので、必要な措置を講じるよう要請します。多くの部署で不適正な予算執行が長年に渡って組織的、慣行的に行われ、確認的監査結果において、多くの金額が「執行の確証が得られないもの」などとして、北海道が被った損害と認定されたことは誠に遺憾であり、貴職においては、引き続き予算執行に関する改善方策の徹底に取り組み、このような事態が二度と生じることがないよう適正な予算執行に万全を期していただきたい。」
  よろしいでしょうか。

(北海道新聞)
  今の文言ででも、ちょっと具体的に分からなかった部分が「必要な措置を講ずるよう要請する」という部分なんですが。これは、差額を道に返還しなさいという要求ということなんでしょうか。

(知事)
  そうですね。

(北海道新聞)
  そのとおりでよろしいんですね。
  それで、実は、ご存じだと思いますが、高橋はるみ知事を相手取った住民訴訟が2件起こされています。その中で、高橋はるみ知事が出された答弁書準備書面というのは、高橋はるみ知事自身が目を通されて決裁なされているでしょうか。

(知事)
  決裁をしております。説明を受けた記憶もあります。

(北海道新聞)
  その中で、幾度にも渡って、原文そのままではありませんが、有体に言えばこういうことが書かれています。財務会計規則などによれば、道警についての財務会計上の権限は、道警本部長または方面本部長などに委任していると。したがって、知事は当事者ではないと。こう主張しているんですよ。つまり、この訴訟は、知事にこれこれの金額を返還するよう求めるという訴えですが、今、知事は、道警本部に対して、差額の3,800万円を戻せという要求をすると。有体に言えばですね。この話と訴訟上の主張とが矛盾してくると思うのですが、これについていかがでしょうか。

(知事)
  矛盾していますか。

(知事政策部長)
  矛盾していないと思いますが。
  知事が読み上げたとおり、道が被ったのはこれだけの損害ですと。既に返してますねと。それで、予算執行者である道警察本部において、きちんと精査するなり判断して、適切にということで、いくら返しなさいとは言っていないはずです。

(北海道新聞)
  ですから、先程事前に、要請とは何かということを確認したんですよ。差額を返還してくださいということだという話だったわけです。その辺で言うと、知事が直接請求されているようにも聞こえたわけですが。

(知事)
  それはちょっと誤解がありますね。後から、事務的に聞いていただけますか。

(北海道新聞)
  はい。
  それで、もうこれで知事としてできることは、この道警裏金疑惑についてすべてしたと・・・。

(知事)
  それは先程お答えしたとおりですから、重複はしません。良いですか。

(北海道新聞)
  分かりました。

(北海道新聞)
  先程、知事がほかの費目の調査についての疑惑というか噂という言葉を使っていたと思いますが、その中で、一定の条件があれば、今後、調査などをまた考えるという趣旨のお答えをしたと思いますが、その中で出てきたときには、内部告発、実名告発などがあればと、一つの具体的なことをおっしゃられましたが、愛媛県警で仙波さんという巡査部長の方が、現職で実名告発されて、彼はその後に、処遇的には、県警側は人事的な報復とは言っていませんが、彼が今置かれている状況は、鉄道警察隊から通信司令室のある机の中に置かれて、何も仕事をしないで一日置かれているような状態です。仮に、道警でそういう状態を、ま、そういう状態でなければ、いわゆる実名告発がなければ、何もしないというならば、仮にそれをお望みであるならば、実名告発を現職の方がしたら、知事としてどういうそういう人たちに対する保護策というか、ガードしていくのか。そういう内部告発者を保護する考えというのは、具体的にどういうものをお考えでしょうか。

(知事)
  一つは今回の4費目の調査に至ったことについては、OBの方々でしたね。実名告発があったと。ですから必ずしも現職である必要はないと思います。それが一つ。また、今年度から、公益通報者の保護に関する制度を知事部局について整備しました。加えて、内部告発者保護の法律もできます。そういった中で、これは前から言っておりますが、知事部局では整備したわけですが、このことについて、教育庁なり、道警本部にも働きかけをいたしておりますので、そういったことを通じて、現職の警察官の方々の保護について、私の立場からできることはやってまいりたいと思っております。ただ、意思決定権限はないので、要請を強くしていくということに留まっておりますが、それは今までもやっているところです。なお、法律では、道警察も対象になります。

(北海道新聞)
  そういう制度があることは存じていますが、ある意味では、警察官人生をかけて、そういう不正ですとか、そういうものを訴えていくということであれば、ある程度の覚悟と、組織からの制裁を覚悟の上で、彼らはそういう場に立つと思うんですね。そうでなければ、匿名でずっとやっていくわけですが、そういう人たちに対して、本当にこの問題について、知事が本当にほかの費目についてやりたいと思うのであれば、きちんとした形で、そういう人たち、見えない内部告発に対して何かメッセージはありませんでしょうか。

(知事)
  お答えになるか分かりませんが、原田さんなり、斎藤さんという実名で告発された方々もOBとはいえ同じような覚悟をした上での告発だったと思います。その意味では、あの方々のご努力というのは、とても想像できないほどの覚悟を持ってやられたと思います。ですから、そういう勇気を持っておられる方々がおられたということで、今回の様々な監査や、それから道警自身が不正を認めての謝罪ということになっておりますので、そういった大きな流れというのは世の中に出てきたのかなと思います。

 


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなど整理し、作成しています。

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