定例記者会見(平成17年2月17日)

知事定例記者会見

・日時/平成17年2月17日(木) 15:02~16:18
・場所/記者会見室
・記者数/41名(その他テレビカメラ等6台)

会見項目

 

知事からの話題

1 術後1年の検診結果について
2 北方領土問題について
3 森町鷲ノ木5遺跡について
4 平成17年度当初予算及び重点政策の概要について

記者からの質問

1   道警捜査用報償費等について
2 当初予算への知事の思いの盛り込み度合い
3 当初予算への知事の決意と道民へのメッセージ
4 景気判断について
5 財政立て直しプランの見直しについて(1)
6 財政立て直しプランの見直しについて(2)
7 道設置基金の状況について
8 札幌夏季オリンピック誘致について
9 サミット誘致について
10  知床世界自然遺産について

知事からの話題

 

術後1年の検診結果について

 私から、予算パートとそれ以外のパートがありますが、まず予算以外の方からご説明申し上げたいと思います。まず冒頭は、私自身のことで恐縮でございますが、術後1年を経過して、ちょうど去年の今頃退院して、公邸の方で仕事をしていた頃だと思いますが、ご報告です。2月早々に術後1年の検診を受けました。胃カメラ、それから血液検査等々ありましたが、もちろん医学的に細かいところは私も先生から聞きましたが、分からないところがありますが、一言で言いますと「順調にきている」というお話がございました。そのことのご報告です。

北方領土問題について  

 それから二つ目は、北方領土問題についてですが、去る2月15日ですが、東京の外務省にお邪魔しまして、町村外務大臣に対しまして、北方領土問題の早期解決について要請を行ってまいりました。町村外務大臣とは札幌でも時々お会いすることもありますが、北方領土問題ということについて私として、外務大臣に要請をさせていただくというのはこれが初めてでございます。その背景としましては、ご案内のとおり、今年というのは日露通好条約締結から150年の節目、そして北方領土問題が発生してから60年の節目という年であると同時に、この年に外交日程としてロシアのプーチン大統領が来日されるということが去年決まり、それに先だってロシアの外務大臣も3月に日本に来られるというようなことも聞いておりまして、私どもといたしまして、道経連の南山会長、それから道商連の高向会頭と一緒に、オール北海道という形で北方領土返還についての要請をしてまいったところです。「四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」という基本的立場で、粘り強く解決を図ってまいりたいという話が外務大臣からあり、心強く思った次第です。3月下旬には、根室で行われます北方領土に関する行事に町村大臣も来られるそうでありまして、旧島民の皆様方との対話、あるいは講演、そういったことも予定されているそうです。私も万難を排して行こうと思っております。また、加えて5月には、北方四島へ私自身行ってまいりたいと申し上げたところです。

森町鷲ノ木5遺跡について

  それから、次の私からの話題は、森町鷲ノ木5遺跡の保存についてです。
  懸案だった鷲ノ木のストーンサークルの保存について、一定の方向性が出たところです。従来から、あれだけの遺跡であるので何とか保存をし、一方で高速道路の整備という地元住民の方々からの強いご要請がありますので、これを何とか両立をできないかということで、私ども道自身、それから道教委、道路公団と1年くらいかけていろいろ協議をさせていただいてきたところですが、一昨日2月15日に、知恵と工夫によりトンネル工法で高速道路の建設を進める、そしてその前提としては国の史跡指定を受けたこの文化財を守っていくというとこで、基本的な合意に立ったところです。後からお話はしますが、道も金がありませんのでいろいろと工面をいたしまして、追加的な負担はゼロということで何とかこれを乗り切ろうということでございまして、道路公団におかれましても、私どもの粘り強い要請にお応えいただいたというご努力に対して、心から敬意を表したいと思っているところです。

平成17年度当初予算及び重点政策の概要について

  次が予算でございまして、皆さん方のお手元に3種類の資料がいっていると思います。「予算の概要」という冊子と、「赤レンガ・チャレンジ事業」というコピーをしたものと「平成17年度地域重点戦略推進の基本的な考え方」の3種類です。
 私からのご説明は、昨日、数字については総務部長、知事政策部長からも説明があったと思いますので細かいところには触れませんが、17年度当初予算の規模は、一般会計で2兆9,307億円ということです。16年度規模との比較において4.8%の増となっております。ただ、これは結果でして、公債償還費が増えてきております。これがあるので、増やさざるを得ないわけでありまして、こういったものを除けば1.0%の減少という緊縮型は引き続き取っているということです。そして、そういった厳しい財政事情の中で、財政立て直しプランの初年度といたしまして、限られた予算の中で「選択と集中」の観点から重点的な政策を取りまとめたということです。一つ一つの金額はそれ程大きくないわけでありますが、私ども道職員が一丸となって道民の方々のご協力を得ながら、今年は「アクションの年」、「動の年」と申し上げたところでございますが、北海道の、ちょっと良くなりかけたかなと見られる部分をさらに伸ばしていく、そういった年に位置づけていきたいと思っているところです。

平成17年度重点政策の基本的考え方

 さて「予算の概要」の資料の37ページ以降を見ながら、話を聞いていただきたいと思います。まず、現状と課題、現状認識が37ページにありますが、経済・雇用情勢、総じてみれば雇用も少しずつ水準の改善は行われているのはご承知のとおりです。これは時系列で見れば明らかにその傾向は出ているわけでありますが、一方で全国比較をいたしますと、依然としてこの北海道は、他地域との比較において厳しい状況にあるというのが基本的な認識でして、その活性化をどのように図ってくかというのが第一の問題意識です。それから少子化の進行、環境問題、京都議定書の締結もなされたわけです。さらには地域主権の確立など。今日は、実は全国知事会の会合の大事な日ですが、私はやはり予算のご説明を優先させたわけです。全国知事会の方は、企画振興部長が代理出席しております。こういった少子化の進行、環境問題、地域主権の確立などの北海道の将来に大きな影響をもたらす課題が出てきている。これに対して将来を見据えて積極的に対応をしていかなければならない。そして三つ目は、切迫した道財政の状況です。限られた財源の効果的投入と、道庁のもつ人材、資源、機能のフル活用が求められているという認識です。この4月からの年度は、私の知事任期の折り返しに当たるわけでありまして、公約に掲げた施策にしっかり取り組んでいく「住んでいることを誇りに思える北海道、夢のある新生北海道づくり」という言葉を使わせていただいておりますが、それを加速させるための取り組みへの重点化を図ってまいりたいということです。この資料の中にもございますが「世界をめざす北海道ブランドの創出」、そして「北海道の未来づくり」、さらには「くらしと経済の安全・安心の確保」これを大きな柱にしているところです。去年の説明は、私の初年度予算だったにもかかわらず入院加療中で、当時の山口副知事が行ったわけですが、たぶん、説明の仕方が違うと思います。行財政も厳しい中でもこざいますので、私どもの3兆円弱の予算がベースではございますが、そういったことに加えて、いろいろな周辺のことも活用しながら、具体的には、例えば条例を制定する、それから組織機構の整備などを効率的に図っていく、さらには「赤レンガ・チャレンジ事業」という、これは予算を使わない、あえて言えば、人材のみを使って知恵と工夫でやっていこうという事業、こういうものも活用しようということです。それから、各支庁ごとの知恵を出して実施している地域政策推進事業をうまく活用していこうというようなこと。さらには言うまでもありませんが、国の様々な施策メニューを最大限、徹底的に活用していくということ。これは就任の時から申し上げているところでございますが、こういったことで我々の3兆円弱のお金、そのうち公債償還費という大切ではあるけれども我々の政策的裁量とはちょっと離れている部分の支出というのが大きくのしかかっている中で、知恵と工夫を出して、政策を展開していこうというのが私の基本的な考え方です。


世界をめざす北海道ブランドの創出

■「食」の北海道ブランドづくり

 さて、38ページから具体的な施策の展開についてご説明をしております。38ページ、「世界をめざす北海道ブランドの創出」の一つ目として、「『食』の北海道ブランドづくり」ということを38ページから41ページにかけて書いています。これは何回も言っておりますことですが、北海道は食材の宝庫です。海のもの、山のもの、それから農地のもの、どれを取っても素晴らしい素材ばかりです。こういった素材を引き出し・磨き上げ・発信することによって、より付加価値の高い商品へと仕立て上げていきたい。そして食文化の振興、あるいは食関連産業の発展につなげていくのがねらいです。それから、これもいつも言っておりますが、全国一の食料供給基地としての責務でもある「食」の安全・安心の確保の推進ということにつきましても、やっていかなければならない。さらには、食の北海道ブランドづくりのためのブランドの掘り起こし・磨き上げ・発信、こういったことに重点をおいていきたいという柱をかかげているところです。この資料の中身、構成は、昨日、知事政策部長から申し上げたと思いますが、私どもの予算の中の重点項目についてかかげている後段に、「赤レンガ・チャレンジ事業」、要するに特別の予算措置を伴わないようなものも41ページにあります。それから、地域における各支庁ごとの知恵を出した事業というのも掲げているという構成です。

  まず、「『食』の安全・安心の確保」に向けては、条例の提案を今検討しております。道議会第1回定例会でご提案を申し上げご審議いただいて、決定をいただければ、この17年度当初から施行を予定しているところです。また、道庁内組織といたしまして、農政部に食の安全推進室を設置し、部長級の参事監というポストをつくり、いわば部を離れて知事直轄で仕事をしていく体制にしようと考えているところです。「食」の安全・安心の具体的な予算事業は、39ページ以下に書いてありますが、例えば、消費者と生産者の相互理解ということで、予算事業としては「食の安全・安心条例推進費」ということですが、食のリスクコミュニケーションに関する意見交換会なども開催するなどの中身を掲げております。それから食育の推進、これも39ページで教育庁の予算で「食に関する教育推進事業費」に掲げております。それから「信頼性のある認証・表示制度の推進」ということで、適正な原産地表示が確認された道産加工食品の登録制度の創設をはじめ、ここに幾つかの事業を掲げさせていただいております。それから「『食』の北海道ブランドづくり」ということで、40ページですが、掘り起こし・磨き上げ・発信とそれぞれ書いてございます。ブランドアドバイザーを派遣しようというような事業も40ページの上の方にありますし、また、磨き上げのところでは「長いも」の輸出を盛んに言っておりますが、そういったものの磨き上げをしていかなければならないということ、それからブランドの発信ということでは、先日、上海へトップセールスに行ってまいりましたが、ああいった形で、どこも重要なマーケットですが、特に中国を一つターゲットにしたいということで予算計上しているのが「道産水産物輸出ステップアップ事業費」、こういったことを掲げています。それから、支庁の取り組み、「赤レンガ・チャレンジ事業」は41ページにありますが、檜山支庁で伝統食の発掘等による地域づくりというのをしておりますが、そういうことを含めていろいろ考えております。


■「観光」の北海道ブランドづくり

 それから、次の42ページからの「『観光』の北海道ブランドづくり」です。食と並んで観光も北海道の強みを活かしていける分野であると認識しております。その意味では食と同じように、掘り起こし・磨き上げ・発信ということをやっていかなければならないと思っているところです。これも、道庁内組織を作ります。経済部につくるわけですが、これも食の場合と一緒で、部長クラスの人にいてもらって、知事直轄で物事を決めていく。その意味では、意思決定のスピードアップ、あるいは、事業をスピーディーにやっていくというような工夫をしようと思っています。ブランドの掘り起こしのところにもいろいろありますが、体験型ツーリズム、花、グリーン・ツーリズムといった、本道の特色ある観光資源の発掘と事業化をかかげています。それから、先般、札幌市長とお約束を申し上げた、もちろん、民間の方々とも共催の形で食と観光の魅力を一体的にPRする「秋の北海道のイベント開催」というのが、仮称で「オータムフェスタ北海道2005」に入っています。それから、ブランドの磨き上げ、外国人を含めた観光客受け入れ体制の整備ということで、ホームページ・パンフレットの充実、外国語対応スタッフの配置等々のモデル的取り組みを実施していきたいと思っています。それから、ブランドの発信。愛知万博で、「9月1日北海道の日」ということで時間をちょうだいしております。それで観光プロモーションをやろうと思っております。まだ、いろいろ詳細を詰めているところですが、例えば、北海道が世界に誇る文化であるアイヌの方々の文化についての発信、それから、よさこいソーランですね。夏の暑い時ですから、雪まつりは持って行くわけにはいかないので、よさこいソーランの舞踊というものもやろうということで考えているところです。それから、(2005年は)日韓国交正常化40周年を記念した日韓友情年ということで、先般、総理にもご報告いたしましたが、韓国自治体との交流事業の実施ということも考えていることろです。支庁単位、あるいは、赤レンガ・チャレンジ事業というのも44ページに書いておりますが、赤レンガ・チャレンジのほうで、後志支庁、下から三つ目ですが、あそこはオーストラリア人等の外国人が増えてきていて、いろんなパンフレット、通訳等々に、ボランティアベースで、道立の高校の英語教員が協力するというようなこともやらせていただいているところです。


■「知的資源」の北海道ブランドづくり(新産業・新事業おこし)

  それから、45ページから「『知的資源』の北海道ブランドづくり」ということです。食、観光というのは、以前からある歴史と伝統のある北海道の強みの部分ですが、この知的財産、ハイテク分野と言ってもいいんですが、こういった分野は我々自身が育てあげて、これからの北海道の基幹産業の一角を担って欲しいと思っている分野でして、IT、バイオなどがこの中心ですが、今後さらに成長を見込んで、我々としても、産業集積をさらに盛り上げていきたいということです。バイオベンチャーは、集積数は東京に次ぎ二番目であるという全国的な評価もいただいているところでして、こういった動きをさらに加速させるために、産学官連携による事業シーズの発掘、民間の事業化の促進、それから新分野への進出、経営の多角化に果敢に挑戦する企業の取り組み支援というようなことを重点的にやっていきたいと思っています。具体的な政策は、今年度から新たにというものよりも、これまでもやっていて、それをさらに拡大するというものが多いわけですが、リサーチ&ビジネスパーク、これは北大北キャンパスは総合大学でもありますし、札幌の真ん中にあれだけ広大な土地があって、産学官の連携の集積が着々と進んでいるわけですが、私は公約でも、これをさらに、全道に広めたいと前から言ってきたところですが、なんとか17年度は、それを形にしていきたいという思いを持っておりまして、項目としては「リサーチ&ビジネスパーク構想推進費」で地方展開を図っていきたいと思います。この構想の推進は、先程、冒頭で申し上げました国の予算の最大限の徹底的な活用という最たる例かなと思っておりまして、文部科学省、経済産業省等々の大きい予算をにらみながら、こういったことを展開してまいりたいと思っています。それから、ここの分野で予算措置を伴わないものということでは、46ページに書いておりますが、去年、マイクロソフト社と業務提携をさせていただきました、道内ベンチャー企業支援、これは、私どもはあまり予算はいらなのですが、こういったこともやってまいります。それから、このITの関係で、この資料の中にあえてないんですが、付け加えて申し上げたいのは「ハープ(HARP)構想の推進」です。これはもう既に、道の予算計上という意味では、今年は継続で1,600万円くらいなので、この費目の中には無いわけですが、自治体が共同化してこの情報化に対応していくということでありまして、これは、札幌市もお付き合いいただくことになりまして、それ以外の自治体も予算計上していただいて、今年度から本格的に動き出します。道外ではとても評価の高い事業です。皆さん、各県とも、自治体の共同IT分野でやればいいじゃないか、と言うんですが、実際やっているのは他にないということで、北海道の道と市町村の連携にとても熱い関心が高まってきています。先日、日本IBMの社長がいらしたときに、そのことを言っておられましたが、是非、このことを軌道に乗せていきたいと思っております。

 

北海道の未来づくり

■ 子どもの未来づくり

次に「北海道の未来づくり」です。
  去年の10月に「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」を制定させていただいたところです。それを踏まえて、今年は、まさにアクションの年、具体的に事業をやらなくてはならない年であります。少子化は全国的問題であり、国に対してもこの分野で、提言していくべき点は多々あるかと思いますが、取りあえず、我々がやれるところからやっていくということです。やはり私自身も子どもを育てた経験からするとですね、二つ大きく問題を挙げるとして、一つはやはり子どもを持つとお金がかかるんですね。では女性が仕事をして家計を助けるとなると、今度は時間が無くなって、だれが子どもの世話をするかということになって、そこの部分に手当をしていかなくてはならないということであります。もちろん道財政が厳しい中で、そんなにお金は出せないわけでして、48ページの「安心して子育てができる環境づくり」の乳幼児医療給付事業費補助金がありますが、先般、医療費の見直しをやらせていただいた際に、この部分だけはむしろ拡充ということで、乳幼児の医療費の負担軽減を図ったところでして、このことによって、この分野では全国でトップクラスの対策を取ることになったところです。もちろんこれでも、まだまだ足りないわけでして、もっともっと抜本的な経済面での支援ということについては、国への提言もしていかなくてはならないと思っております。また、北海道は核家族化がとても進んでおりまして、地域ぐるみで育てていくということが重要だと、これは前から申し上げているところですが、47ページの「地域が一体となって子育てを支える仕組みづくり」の地域子育て力強化事業費補助金の中では、「せわずき・せわやき隊」の組織化といったこともやってまいりたいと思っているところです。それから「木育(もくいく)」ですね。「子どもが健やかに育つ環境づくり」ということで48ページの下にありますが、「げんきの森」を作ろうということを考えているところです。その他、ここにありますいろんな事業を、具体的に実施をしていく段階であるということで、展開していきたいと思います。


■ 恵まれた環境の未来への継承

 50ページ「恵まれた環境の未来への継承」です。
  知床の世界遺産指定に向けての動きについて、これは後ほど、ご質問があればお答えしたいと思いますが、新たなリクエストがIUCNからまいりました。それに対してきっちり答えていかなくてはならないわけですが、いずれにしましても、この知床が世界遺産に登録されるかどうかは別にしまして、この北海道には世界に誇る自然遺産が多々あることは、これは皆様方ご承知のとおりであります。こういった北海道の位置づけの上に立って、本道の環境政策をさらに推進していかなくてはならないと思っているところです。そういった中で、ここにもございますが「持続可能な循環型社会の形成」あるいは「人と自然の『共生』」と、こういったことを重点的に新年度やっていこうと思っているところです。「持続可能な循環型社会の形成」という中では、硫酸ピッチの問題に対する産業廃棄物不法投棄総合対策事業費ということで、全道的な監視・指導体制を整備していきたいという予算を始め、各種事業をここに計上しております。「地球温暖化防止に向けた取組」ということでは、木質ペレットを、これは間伐材の活用ということにもつながってくるわけですが、暖房エネルギーとして活用する取組の促進等々を計上しております。それから「人と自然の「共生」」の分野では、51ページにございます、エゾシカを食品などに有効活用するための仕組みの検討、個体を一定に管理しながら、その素材を地域おこしに使っていくとういことで、これも本格的に取り組んでいかなくてはならないと思っております。
  支庁の取組としては、52ページにございますが、空知支庁での氷雪エネルギーの活用ということも、是非やっていきたいと思います。いろいろございます。

 

くらしと経済の安全・安心の確保

■ 経済の基盤を支える地域産業力の向上

 53ページからは「くらしと経済の安全・安心の確保」ということです。
  「経済の基盤を支える地域産業力の向上」ということが重要なわけですが、本道の活性化をするためには、先程「食」、「観光」のブランド化ということを申し上げましたが、産業という観点から見れば、農林水産業や建設業といった地域の基幹産業の体質強化ということが重要になってくるわけです。特に建設業の分野につきましては、他分野への進出といういわゆるソフトランディングという視点も含めて、やはり北海道経済に占めるウエートの大きさに鑑みて、我々として対策を打っていこうということです。この考え方に沿いまして「地域の基幹産業の活性化」あるいは「建設業のソフトランディング対策」、さらに「地域経済活性化に向けた連携促進」という観点から、この部分をまとめております。「地域の基幹産業の強化」ということについては、いろいろ掲げておりますが、54ページに軽種馬産地構造改革推進モデル事業費がございます。北海道競馬は目標を達成しましたが、では達成したから赤字が無くなったかというと、赤字はしっかりと残ってまして、赤字を前提としたフローベースで目標を達成したということで、過去からのものはあるわけでして、引き続き道営競馬について厳しい判断が必要であると私は思っているわけです。そういった中で、日高を中心とした軽種馬農家の経営複合化・転換の促進ということをここでやっていこうということです。また54ページ「建設業のソフトランディング対策」の建設業経営体質強化対策事業費、あるいは建設業等ソフトランディング対策費、いずれにつきましてもいろいろな庁内議論を踏まえて、予算を新規に積み増したところです。「地域経済活性化に向けた連携促進」ということですが、6次産業というんですか、農業と他産業の一体となった体制づくりということで、これは民間サイドでも、商工業界、それから農業、そういった関係の経済界の皆様が協議会を作られたようですが、そういった動きと呼応しながら、我々としてもこのことをやっていかなくてはならないと思っております。それから赤レンガ・チャレンジ事業のほうでは、「北海道チャレンジパートナー特区」ということも始めようと思っております。


■ 中高年、若年者等の雇用対策

 56ページから「中高年、若年者等のの雇用対策」であります。
  昨年度も相当なことをやりはじめているところですが、さらに充実をしていこうということです。ジョブカフェも軌道に乗っておりまして、さらにやっていきますが、ここで新しいことを申し上げれば、例えば「中高年者の再就職支援」につきましては、56ページにございますが、中高年齢者等再就職支援事業費ということで、セミナー・カウンセリングの実施をしてまいります。「若年者の就職支援」ということでも、「技能ふるさと塾」の開設なども含めてやろうと思います。
  それから「一村一雇用おこし事業」は、これは私の公約に掲げて、これまでやってきたところですが、国の地域再生計画の中で、こうした地域の雇用おこしを国がバックアップする「一村一雇用おこし促進事業」の認定を受けましたので、この4月の年度からは国と連携しながら、より充実した形でやっていきたいと思っているところです。


■ 生活者にやさしい活力あふれる地域づくり

58ページからは「生活者にやさしい活力あふれる地域づくり」ということです。
  地域の医療・福祉、防災・防犯、地域文化の振興など「生活者」の視点にたった施策を推進していこうということ。厳しい財政状況ではありますが、将来にわたって質の高い行政サービスが提供できるように道庁の経営改革を推進していくということ。さらには、17年度の着工が決定した北海道新幹線について、これは終着ではなくて、スタートラインであるということを前から申し上げておりますが、新しい観光振興、あるいは企業立地促進の契機となるよう、地元の関係者と一体となって、受け入れの効果づくりに向けての取り組みを本格化させたいと思います。
  ここでは本当に幅広いことを書いておりますが、まず条例を提案させていただくということをご説明させていただきます。犯罪のない安心で安全な地域づくりを進める条例を提案させていただきたいと思います。予算的にも幅広いことを計上しておりますが、59ページ、ドクターヘリ導入促進事業費補助金、長年の懸案でありました広大な北海道におけるドクターヘリの導入にやっとめどがついたわけでして、できればこの4月1日からの運航スタートを目指して、今、事務的な準備をしているところです。それから59ページに「障害のある方の地域生活支援」ということを、いくつか書かせていただいております。これは例の道単独の医療費の見直しをする際に、患者団体の皆様ともお会いをして、フォローアップ関連事業を、財政は限られているけれども、できる限りやらせていただくということを申し上げた、その絵姿でございます。障害者の生活全般に関する総合的な相談支援拠点を、これは14支庁ごとに作ろうということで、障害者総合相談支援拠点整備事業費に計上しております。それから先般、1月早々に宮城県で福祉セミナーがありまして、私も相当勉強させていただきましたが、障害者の方々の円滑な地域生活移行のための諸課題を解決するための機会の確保ということで、アパートとか、地域にとけ込んで、施設を出て、地域生活を体験していただくというための予算も計上させていただいているところです。その他、60ページの「地域防災力の強化」について言えば、道内地域における自主防災組織づくり、結局何かあった時に頼りになるのは隣の皆さんですので、いわゆるコミュニティといっても良いんですが、そういったことをご支援申し上げていくということです。それから、広域防災対策を的確に推進するため、開発局など国の関係機関との間で防災情報を共有化するシステムの整備ということも掲げさせていただいております。また「安心で安全な地域づくり」ということで、条例を提案するということを申し上げましたが、関係の事業費として、警察官、交番相談員の増員も掲げさせていただいております。「行政サービスの向上」、これもやらなくてはならない課題で61ページにありますが、電子調達システムの整備、道庁版のBPR、つまり総務業務の集中化ということについてもやっていきたいと思います。「うるおいのある地域づくり」ですが、道内の様々な文化資源の発掘とアートツーリズムの展開に向けた取り組みの推進ということで、地域文化環境づくり事業費を計上させていただいております。

  以上、本当に駆け足で、それでも時間を相当使ってしまいましたが、ご説明させていただきました。もちろん、今、ご説明させていただいたのは、17年度の道予算の極々一部でございます。それ以外、本当に限られた予算の中で、いろいろ工夫しながら、既存の事業、公共事業等も含めて、最大限有効に活用して、新生北海道づくりの実現に必要な施策の予算化に努めたつもりであります。赤レンガ・チャレンジ、それから地域の取り組みも後から見ていただければと思いますが、そういったこと全体として、我々として事業を展開していこうと思う次第です。これらの事業についての道民の方々へのご紹介、もちろん私どもホームページ等でも行うわけですが、皆様方を通じて、是非、道民の皆様方へ広くお知らせいただくようお願い申し上げます。

  最後になりますが、昨日の総務部長からの記者レクチャーの中でも、ご質問があったと報告を受けておりますが、道財政は予想を超える厳しい収支不足額の拡大という事態に直面しております。17年度予算を組んだ後、18年度予算、19年度予算ということになってくるわけですが、赤字再建団体への転落という事態が目前に迫ってきたという危機的な認識を持っております。道庁自らがあらゆる手段を講じてこの危機を乗り越えて行かなくてはならないと、このように強く認識を持っているところです。財政立て直しプランの集中対策期間における歳出削減の前倒し実施も含め、徹底した行政のスリム化を図ると、要するに改革を前倒しをしてやっていかなくてはならないと考えております。そういった中で、これまで以上に、予算費目、例えば16ページをご覧いただいても分かるとおり、大きな費目は何かと言えば、人件費、そして道債償還費です。この道債償還費はご案内のとおり、過去、バブル崩壊以降、景気が悪くなった中で、国主導で公共事業積み増しによる景気浮揚対策をやろうということになったわけです。もちろん国だけの責任にするつもりはありません。私の前任者の方々も北海道のためによかれと思って、そういった事業をやってきたわけですが、そのツケが、今、出てきているということで、道債償還費というものが、今、大きく歳出項目にのし掛かっているわけです。景気浮揚対策効果が出ていれば、これが道税収入と見合いになって良いわけですが、そうはなっていない。これは総務部長からも昨日説明があったと思いますが、国が閣議決定をしている地方財政計画で見込んでいる都道府県の税収(伸び率)の半分くらいしか道庁はない。簡単に言えば、借金をして景気対策をした効果が出ていない。ツケだけが残った。では道債償還費を軽視していいかと言えば全くそうではなくて、この広い北海道で、道債を発行してでも、要するに将来の方々にツケを少し残しても十分に理解を得られるであろう社会資本の整備の分野ということは多々あるわけです。そのためにこれからも道債の発行というのは、今も必要ですし、これからも必要であるという認識です。マーケットは厳しい目で見ているわけで、何をおいてもこの道債償還ということをきっちりやっていくというメッセージは出していかなくてはならない。長くなりましたが、そういうことを前提に、我々のこの厳しい財政の中で、大きな費目を見ると、やはり人件費あたりに相当に手を付けて行かなくてはならないのではないかと、これもつらい判断ではありますが、私としてはそういう認識を持っております。それから良く言われております関与団体の見直し、こういった私ども自身、道庁の身内に厳しいことをまずやりながら、道民の皆様方の広いご理解をいただきながら、財政立て直しをさらなるスピードアップして、やっていかなくてはならないと思っております。
  今日は、17年度の予算、これから1年間こうやって仕事をやっていくということが中心のご説明ですが、別途、私どもとしましては、早急に財政の立て直しについてもめどを付けなくてはならないということで、週明けの21日を予定しておりますが、財政立て直し本部員会議を開催し、それまでに総務部、知事政策部を中心にどういった積み増し策があるのかを議論させているところですが、私どもとして決定しております、3カ年の集中対策期間における1,700億円の財政見直し、これをベースとして、それをどのようにローリングしていくかということについて21日にその方向性をさらに議論したいと思っております。
 長くなりましたが、道民の皆様の一層のご理解とご協力をお願いするということで、私からのご説明を終えさせていただきます。

記者からの質問

(uhb)
    道警の報償費の予算が削減されていると思うんですが、削減の理由と、削減幅の根拠を示してください。 

(知事)
  理由と根拠。数字のでしょうか。

(uhb)
  要するに、削減するということについての。

(知事)
  定性的なご説明は、まず、私がして、数字の細かいところは部長にお任せをしましょう。
  23%のカットということです。これは、数字の積み重ねについて申し上げれば、16年度の執行状況等々も踏まえてやったということです。やはり、570万道民の安全を守っていただいている道警の仕事という、その現場の様々な経費が必要であるということ、この認識は、私だけではなく、道民の多くの方々も共有をしていただいていると思っています。ただ、額のあり方について、あれだけ不正の問題が出ている中で、私どもとしては、これから再発防止をいかにやっていくのか、そして、この予算の適正執行をいかに担保していくか、というようなことと併せて、確実に道民のために、警察官の方々が働かれるためのお金に使われるということが担保されるということを前提に、16年度の執行の実績等も踏まえて、厳しく査定をさせていただいたということです。それが、私から定性的に申し上げられる理由かな思います。さらに、詳しい数字であれば、総務部長いいでしょうか。

(総務部長)
  今の知事からのお話がありましたように、16年度の執行実績に基づき、年間所要額を、推計を含めて積算をした上で、全体の経費の5%縮減かけていますから、その縮減をかけた結果が、6,480万円という数字になったということです。積算はそういうことです。

(uhb)
  基本的に、今年度の削減の幅の根拠と一緒ということですか。

(総務部長)
  基本的にこれまでもそうですが、実績に基づいていまして、過去は、例えば、3カ年の平均とかいろんな形でやっておりましたが、今年は不正な執行が認められていない16年度というものの単年度の実績をつかまえて計算をしているということです。

(共同通信)
  今の説明で分からなかったのですが、こういう不正な問題が起こっているので、そんなにたくさん報償費をつけるのは、やはりけしからんということで減らしたということではないんですか。
  
(知事)
  それはさっき、私が冒頭で定性的に申し上げたところですが、その後に申し上げましたとおり、適正に執行されているといことが担保されれば、570万道民の方々の安全を守るための経費として、必要最小限は計上しなければならない、これは当然だと思っておりれます。そういった考え方のもとに立って、今のような算定根拠で、最終的には私が判断させていただきました。

(共同通信)
  適正に執行されているということが担保されているというのは、報償費をきちんと使っているということが確信できるのならば、必要最低限の報償費はつけましょうということですね。

(知事)
  そうですね。適正執行はこれからでしょ、もちろん、17年度以降は。

(NHK)
  まず、来年度予算に関してなんですが、知事としてやりたいこと、考えていることというのは、十二分に盛り込めたというふうにお考えでしょうか。

(知事)
  それは、別の言い方で言えば、私の知事公約がどれくらい反映されたかということであれば、それは定量的にチェックはされていますが、概ね、盛り込まれていると思っております。もちろん、額の多寡については言えばきりがない部分はあります。そこで私が冒頭申し上げましたとおり、単に道費予算だけではなくて、国の予算も徹底的に活用する、また、ゼロ予算事業「赤レンガ・チャレンジ事業」という、要するに、道庁マンから提案を受けて(道庁の各部局が企画して、予算化以外の方法で)、いろいろ知恵と工夫でやっていこうということ、あるいは、地域の知恵を出してやってもらうこと、これは既存予算を活用してということです。そういったこと、全体として、今年の17年度の事業は私が思うようなことがある程度できる形になったのかなと思っております。 

(NHK)
  全体として、知事の理念とかはよく分かるんですが、知事が冒頭おっしゃったように、全体の項目が、額も小さいですし、どのくらいの効果が実際あるのかということが、非常に不透明、もしくは、疑問視される形のものもあると思います。

(知事)
  例えば。

(NHK)
  それを言い出すと切りがないんですけど。
  知事のお金がない中での苦渋の部分をもう少し具体的に聞きたいなと思うんですけど。
  
(知事)
  そうですね。例えば、少子化対策などについて言えば、もっとやはり、目に見える財政支援などもやりたいという思いを、私は強く、これは自分自身も子どもを育てて何が問題だったかという認識もある中で、思いはありました。
  それから、去年、同じ保健福祉関係で恐縮なんですが、道単独の医療費の見直しをしましたよね。あれ自身とても辛かったんですが、その代わりにということで、患者団体の皆様方にお約束申し上げた、フォローアップ事業の部分、もちろん集中から選択へということで、重点的にご支援をするということで14支庁への総合的な相談窓口の設定とか、あといろんな障害者の方々の、地域生活移行に向けての取り組みをサポートするとか、たぶん、今の17年度のメニューは、私は全国的に見て、トップクラスのメニューになったという自負はあります。ただ、やはり、去年のあの苦渋の選択との関係において、もっともっと心を込めたかったという部分はあります。
  一方で、長年の懸案であったドクターヘリ、もちろん全道区域ではなくて、まずは、道央圏ということで始まるわけですが、目途がついたといううれしいこともあります。それから、食の安全の条例、あるいは、それに向けての様々なブランドづくりの予算も計上できましたし、それなりに満足しているところと、もうちょっとやりたかったなというところと相半ばしているということかもしれません。

(NHK)
  あと1点すいません。赤字再建団体目前ということで、道庁改革を進めていかれるということなんですが、当然、広く道民にも負担なり、痛みというものが出てくると思うんですが、その部分の今後に向けた知事の覚悟、及び、道民へのメッセージといいますか、そういうものをいただければ。

(知事)
  財政立て直しプランの今までのものの中で、例えば、道立高校の授業料のアップも盛り込ませていただいておりますし、また、各種使用料のアップ、こういったことも道民の方々へのご負担ということで、残念でありますが計上させていただきました。
  さらなる、切り込みのところを、21日に向けてやる話ですが、先程の16、17ページを見ていただきますと、これは、総務部長から昨日あったかもしれないので重複になるかもしれませんが、例えば、項目3の目標達成の状況を見ますと、人件費がプラン170億円に対して、150億円しかいかなかったんですが、これは18年に上乗せをしておりますし、単年度で見て、17年度は横ばいになっているわけです。ここ(歳入歳出合計)の数字の410、400、500と、19年度分の500を、今度は下の項目4の「集中対策後の収支見通し」で、17年度は上手くいったわけですが、17年度の「プランの集中対策E」とある400に加えて「なお不足する額」というのが750あります。これを埋めるために、19年の500というのは、たぶん、前倒しをせざるを得ないと思います。その中で、今の記者さんのご質問にお答えするとすれば、道民の方々にもうちょっとご負担をお願いする部分が出てくるのではないかと思っております。それでも、読んでみていただければ分かるんですが、400で750足りないうち(500)を埋めたとしても、250あるわけです。だから、18年度は前倒しをしても、さらに250どうするのかという話があります。そこにも、ご負担があり得ると思います。あるいは、私ども、先程申しましたとおり、人件費に、さらに手をつけなければならないのではないかという意識を強く持っております。さらに言うと、19年は、18ページを見た方は分かると思いますが、だんだん細かい話になってしまうんですが、要するに、19年にさらに320必要になってくるわけでありまして、こういったことを考えると、やはり、道民の方々へのご負担というものをお願いする。別の言葉で言えば、そういったことを含めて、我々道庁自身の改革も前倒しでやっていかなければならないという思いを強く持っています。そこは、21日に具体的には議論したいと思っております。

(日本経済新聞)
  先程、道経済について、少し明るさがというようなことは、かねておっしゃっているんですが、昨日のGDPを見ても、全国的に見ても踊り場に来ているのではないかと言われて、北海道経済を見ても、12月、去年の年末くらいから、停滞感が出ているというふうにも言われてて、北海道財務局も景気判断を下げました。それで、景気判断について、そろそろ変えられなきゃいけない時期に来ているのではないかと。やはり、風邪と肺炎では、やはり処方箋も違ってくるわけで、その辺の前提が違ってくれば、政策も当然違ってくると思うんですが、その辺の考えについて、どういうふうに、修正する考えがあるのかどうかというのが1点。
  それから、もう一つは、財政立て直しプランなんですが、昨年夏に一応作られて、半年経ったところで、もう一回ローリングで、また、1,000億以上の見直しというふうになるわけですよね。2年間で1,070億ですか。 

(知事)
  いいえ、前倒しをすれば、そこまでいきませんが。

(日本経済新聞)
  前倒しでも500億ですか。 

(知事)
  それくらい、500、600ですね。

(日本経済新聞)
  そうすると、いわゆる、プラン自体への信頼性、ここまでやるから道民に我慢してくださいと言って、予算組んできて、対策とってきたと思いますが、計画自体への信頼性が出てくる思うんですが、その辺についてはどういうふうに思われますか。

(知事)
  一つ目の経済認識、これは変える必要はないと思っています。私は、常に厳しい厳しいと言っています。ただ、過去からの時系列で見れば、雇用指標などは明らかに改善しているので、そういう認識ですから、総じて良くはなってきているという事実はあるけれども、でも、クロスセッション、要するに全国との比較において、やはり厳しいと言っていますので、その認識自身を変える必要はないのではないかと、厳しさの認識は十分にあるつもりです。

(日本経済新聞)
  良くなったが、さらに後退しているという感じではないかと。

(知事)
  瞬間風速でみた場合ですか。

(日本経済新聞)
  瞬間かどうかわかりませんけど。

(知事)
  そこは、厳しいという認識を、さらに厳しいと見るのか、厳しさがそれほどないと見るのか、そこまで定量的に、私は政策を展開する時に、意識論についてやっているつもりもありませんので、その意味では、今まで申し上げた、総じて改善はしているけれども、全国との比較においては厳しいという認識を、今、変える必要はないと思っています。もちろん、景気というのは、私も長年それに携わる仕事をやってまいりましたのが、生き物でありますので、1,2カ月で判断をするのがいいのか、あるいは、政策的なこととの関係で言えば、半年ぐらいのタームで見るのが適当ではないかと思います。もちろん、月々状況を見ながら、例えば、雇用指標が改悪の方向になれば、それは大きな考え方の変更が必要だと思っておりますが、ここ1、2ヵ月ということで見ますと、生産活動などはそれなりに持ち直しの動きが続いている、そういう指標もあります。全国と比べて厳しいという見方、それをさらに厳しいというのか、そんなに厳しくないというのか、そこまで微妙に変える必要はないと思っています。
  それから、もう一つ、財政立て直しプランです。おっしゃるとおり、去年、決定をして、今、これから本格的にやろうとする段階での見直し必至ということですので、ご指摘のような点があるというのは、十分に承知をいたします。ただ、これは、昨日、総務部長からも申し上げたと思いますが、去年の段階では予測できなかったことというのが、多々ありました。一つは、それ自身、予測能力がないと言われればそれまでですが、例えば、一部、予算費目の中で、農水省の予算がなくなるはずだったのが、無くならなくて増えてしまったとか。総務部長、中山間のことは言わなかったんですか、例として。

(総務部長)
  それは、直接的には整理できていませんので、老人医療費とかですね。

(知事)
  老人医療費が思った以上に増えたとか、後は、先程、ちょっと申しました、地方財政計画の中で言われていた臨時財政対策債の伸びというのが、地方財政計画の中で県税の伸びとして見込まれていた半分くらいしか道はなかったので、その部分で臨時財政対策債部分がへこんでしまったわけです。2百数十億。それももちろん、そんなことも予測できないのかと言われればそれまでですが、去年の段階ではそれも見越せなかったということもあります。それから、教職員の共済の掛け率の変更というのは、国と連動して突然来てしまった話もありまして、そういうので少し差額が出てきたわけです。もちろん、いずれも全知全能の神であれば出来たんでしょうが、そこまでレベルの高くない高橋はできなかったということでありまして、その意味で、その部分をこれからローリングの中でどういうふうに見込んでいくかということになってくるかと思っています。ただ、私どもとしては、それでもこれは最低限ということを前から申し上げているところでありまして、今回それをさらにローリングしたとしても、それは最低限、これよりも悪くなることは十分にあり得るという言い方を、常に道民の方々には申し上げるつもりです。何とか、今の見直しを踏まえて、19年度までやれれば、その後は、このままでいけるようなそういう最善の予知した上で、いきたいと思っております。

(北海道新聞)
  減債基金などの基金を取り崩して、どうにか予算を編成されたと。取り崩せる基金は、ほぼすべて取り崩したそうですが、いわば家にあるいろいろな貯金箱を空けられるものすべて空けたと。もう来年からは使える余った貯金はないという状況だと、すっからかんだという状態だと理解して良いのか。知事はそう思っていらっしゃるのかどうか。そんな中での予算編成ですが、知事としては、ときに絶望的な気分になったりはしなかったのかどうか、その辺お聞かせください。

(知事)
  絶望的になったかどうか。
  基金の各項目についても、総務部長から説明をしたと聞いております。今は、(基金に関する資料を)持ってこなかったけれども、まだ、もちろん残っているものはあります。それはやれと言われたらできないものはないかもしれませんけれども、私はやるべきではないと思っております。やはり、ある程度、将来に向けて、基金として残していかなければならない部分というものがあるわけです。私は、今まで、それを取り崩していたというのは、緊急避難的だったというのと、どう違っていたのかと言われれば、それは辛い部分がありますけれども、今、残っている基金は、それは積み重ねれば、結構な額になります。減債基金の満活分を含めて残っているのは、3,000億強あります。当然。これは、やはり北海道の将来のために残しておくべきものであって、それを大前提として、徹底的にさらなる行革をしなければならないという認識を持っております。
  それから「絶望的になるのではないか」ということですか。確かに、さらなる歳出削減が必要だという話を総務部長、財政課長から聞きましたときには、大体、説明に来た部長、課長とも暗い顔をしていましたので、私も、もちろん暗い気持ちになりました。ただ、一方で、これは乗り切って行かざるを得ないんですよね。赤字再建団体になるわけにはいかないので。その強い決意を持って不肖高橋、がんばっていくという思いを持ちました。もちろん、一時期、暗い思いは持ちましたけれども、しかし、その先に見える北海道の将来の潜在力の大きさというものを確信したからこそ、知事になったわけでありまして、その意味では、今、辛い時期を何とか道民の皆さま方のご協力を得て、乗り切って、明るい将来のある北海道の基礎固めをしていきたいという思いを強く持ったところです。

(時事通信)
  財政立て直しプランの件で、一点。先程、これ以上の削減も、ローリングした上で、1,700億円を今回増やすということをした上で、これ以上の削減もありえますよと。今後の状況によっては、という話でしたけれども。今回のように、次の年に750億円も、最終的な収支不足額が出るような大きな見通しの甘さというのがあるのか、そこまで大きな変更というものをさせるつもりはありません、するつもりはありませんよ、そこら辺、これ以上の削減はあり得るという話ですけれども、どこら辺まで、次は1,000億足りないというのか、その辺りを伺いたいのですが。

(知事)
  分かりました。
  やはり注視していかなければならない項目というのがありまして、一番大きいのは国の動きでしょうね。昨年は、ご案内のとおり、地方六団体が団結をして、国に当たった結果、もちろん結果でいろいろと不満なところもありましたけれども、地財計画における地方交付税の前年並み確保というのは、一応できたわけです。それはマクロでもそうだし、ミクロベースでも交付金は、そういう形で道にも来ている。ただし、臨財債などは、また話が長くなりましたけれども、県税見込みの部分が行かなかったという話ですけれども、その意味では、今後に向けて要注視は、国の動きがまず第一だと思っております。
  それから、もう一つは、老人医療費を含めた社会福祉関係でないかと思います。このことは、今、これは国とも関係してきますが、三位一体改革の中で、国民健康保険の負担の主体に都道府県を巻き込むということの提案が来ております。今回はすべて、三位一体改革関係の財源は、プラスマイナス・ゼロになっておりますので、それはそれで良いのですが、今後の制度改革の中で、都道府県の役割がどのようになっていくのか。それと相絡んできて、そもそも道内の医療費というのは全国一高いと言われています。一方で、保険料の収納率というのは、なかなか悪い方に入っているという状況の中で、この医療費関係の動きをどのように見るかというのは、とても重要なことだと思っています。保健福祉部長には、この状況をどのように対応していくのかということについて、部を挙げて検討するように指示しておりまして、そういうところを注視しながら、少しでもゆとりが出るような形で、他で削減できるところをどんどん減らしていくということで、これから対処していくということではないかと思っております。

(時事通信)
  そういう変化が、もし仮にあったとして、次は750億円くらいの収支不足が次の年に生じてしまいますよね。そういうプランになりうるということでよろしいでしょうか。

(知事)
  今もぎりぎりのところでやってますので、これ以上、さらに収支不足が拡大することを前提にした固い固い見積もりで、さらなるカットを、これはやろうと思えば去年もできたと思いますが、そのことの道民の方々への影響を考えた場合に、我々は、その段階で予見できる最大限の情報を持ってプランを作ったわけでありまして、そういったスタンスというのは、今もそうだと思います。ただ万が一に、おっしゃられたような状況になった場合には、その段階で考えざるを得ない。これは常にそういうことではないかと思います。そうならないように、なけなしの予算ではありますけれども、道内の産業の状況を少しでも良いようにもっていきたいという努力の予算の中身は、先程、縷々ご説明申し上げたとおりです。

(朝日新聞)
  予算外の話です。
  この間、小泉首相と夕食を会食されたときに、オリンピックの話が出たのですが、小泉首相の発言について、知事はどのように受け止め、今後の知事の動き、方針を教えてください。それと、堀知事の時に、サミットを北海道でという誘致の動きがあったのですが、サミット誘致について、お考えがあればお聞かせ願えればと思います。

(知事)
  まず、オリンピックのことは、確かに、あの日の夜、話題に出ました。
  自民党の道連の方で、そういう要請活動をしていくという紹介があって、話題になったわけですが、小泉総理は、冬のオリンピックを行った札幌で、夏のオリンピックもできるとすれば、全世界でもそういう都市は珍しいだろうから、話題性はあるなーと、良いなーとはおっしゃいました。そこまでは事実です。私として、どう思ったかといえば、すぐに上田市長さんの顔が思い浮かびまして、ちょくちょく二人でいろいろなところで会ったときに、こんな話やサミットの話もしたりなんかしているのですが、これはやはり相当な地元負担なんですよね。国が全部をみてくれるということはありません。その意味では、さっぽろ雪まつりの真駒内会場でぶら下がり会見で出た質問にお答えした時と同じなのですが、確かに、冬のオリンピック、札幌オリンピックをひとつの契機として、札幌は大きく発展しましたし、また、それを一つのきっかけとして北海道も大いに活性化、大いに息づいたという事実はあります。その意味では、オリンピックを開催するという意義は多々あるとは思いますが、その誘致を実現するに向けては、考えていかなければならない、いろいろなポイントがありますので、それを一つ一つ、地元は地元同士、札幌市とも議論しながら、これだったらいけるな、ということになれば、我々としても誘致活動が今後あり得るかなと思いますが、今段階では、その意義は認めるものの、誘致については中立的なスタンスということでご説明せざるを得ないと思っています。
  サミットですが、サミットの場合には、これはオリンピックもそうかもしれませんが、まず、警備なんです。何といっても。警備をどのようにできるかという考え方の整理があって、それで、そのためにはどれほどのお金が必要なのかという流れになると思いますので、これも上田市長からお話があったときに申し上げたのは、道警察ときちんと議論しないと駄目ですねと。その上で、サミットの誘致活動をするかどうかについても議論しましょうということにいたしております。サミットにつきましても、堀道政時代にどれほど真剣に議論されたかは私は、聞いておりませんが、相当に詳細な我々の負担、我々の覚悟、そういったものを固めた上でなければ、なかなか動けない問題かと思っています。

(共同通信)
  知床については、IUCNから最後通牒のようなものが

(知事)
  新聞ではそうなってますね。

(共同通信)
  抜本的な改革、変更をするお考えなどはありませんか。

(知事)
  (IUCNからの指摘は)二つありますよね。
  海域管理計画の前倒し。5年、10年で策定するのではなく、もう少し早くつくったらどうかという点と、もう一つは、海域部分をもっと広げるべきではないかという二つだと理解しております。
  いずれも、私どもとして、真剣にご対応を考えなければならない厳しいご指摘だと思っています。ただ一方で、うれしく思いましたのは、今回の書簡を詳細に拝見しますと、知床が重要であるというご認識はいただいているということがあって、その上で、世界遺産登録に向けて、こういった点について、さらに考えてくれという構成になっております。そういう意味では、少し安心、でもやはり厳しく対処しなければならないという二つの思いを持っているところです。計画の前倒し、海域部分の拡大、1キロ、と我々は慣例によりそれ位だと思っていますが、その外については計画の中で、どういう形で盛り込んでいくかということになると思いますが、その意味では、計画をどのようにしていくかという議論に終着すると思います。2月15日に開催された科学委員会に検討をお願いしておりますし、またそこで、科学者の方からご指摘のある点を中心に、地元の漁協の方、町役場、環境省等々と連携を取りながら、回答期限までにまとめていかなければならない。我々が、道庁が中心となって、地元との関係をまとめていかなければならないという強い意識を持っているところです。

(共同通信)
  海域の拡大はあり得ると考えてよろしいでしょうか。

(知事)
  海域部分拡大を計画の中でどのように考えるかということだと思います。

(共同通信)
  知事はどのようにお考えですか。

(知事)
  あり得るとは思いますが、ただ、漁協の方々とのこれまでの話し合いの積み重ねもありますので、そこを調整をしていくということを今、申し上げたわけです。

 


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなど整理し、作成しています。

このページに関するお問い合わせ
総合政策部知事室広報広聴課報道グループ
〒060-8588 北海道札幌市中央区北3条西6丁目
 電話番号:011-204-5109
 FAX番号:011-232-3796
メールアドレス:sogo.koho2@pref.hokkaido.lg.jp

カテゴリー

知事室広報広聴課のカテゴリ

cc-by

page top