定例記者会見(平成16年4月22日)

知事定例記者会見

・日時/平成16年4月22日(木) 11:30~12:25
・場所/記者会見室
・記者数/40名(その他テレビカメラ等2台)

会見項目

  

知事からの話題

1 就任1年に当たって
2 航空路線「札幌~ケアンズ線」再開要請について

記者からの質問

1   道警の捜査用報償費問題について
2 道州制について(1)
3 道州制について(2)
4 就任1年を振り返って(1)
5 就任1年を振り返って(2)
6 イラクの邦人拘束事件について(1)
7 イラクの邦人拘束事件について(2)
8 北海道の「食」について

知事からの話題

 

就任1年に当たって

  お手元に簡単な資料を配らせていただきました。おかげさまで今日で1年目になりました。全速力で駆け抜けた1年間だったと思っています。最後に療養というおまけまでついてしまいましたが、思い返すと、いろんなことがあった1年であるなと思うわけであります。2年目に入るわけでありますが、この1年間のいろんな努力、そして反省点を踏まえ1年前知事になった時の緊張感をもう一度改めて思い出しながら2年目の仕事を私なりにやっていきたいと考えております。
  課題は山積みであります。これは皆さんご承知のとおりです。こういった中で仕事をやっていくと、その中で、これからの自分の思いを込めた政策というもの、三つぐらいの柱を皆さま方にご説明を申し上げたいと思います。
  一つ目は、世界ブランドを目指す北海道ブランドということです。去年から、私、花のことを言ってまいりました。花大陸北海道、これは北海道は長い冬が終わって春になる5~6月にいろんな花が一斉に咲き乱れる北海道の春は、ちょっと遅い春ですが、この素晴らしい季節を実感できるのは北海道であります。北海道に来ていただく観光客の方々であると、花を1つの北海道観光のキーワードにできないかと、去年から申し上げてまいりましたが、今年もいろんなイベント等をやりながら、このことを引き続き進めていきたいと思っております。
  この世界ブランドをめざす北海道ブランドが1つ、それから二つ目は、未来を担う若者や子供たちへのメッセージという環境づくりですね。それから三つ目が地域主権をめざす地域づくりということであります。北海道ブランドをもうちょっと詳しく申し上げてまいりますと、産業担当の副知事が、この4月に交代をして新しく農業に特に造詣の深い方になっていただきましたので、副知事の特命事項、重要課題ということでこの北海道づくりを全庁的なプロジェクトとして是非やっていきたいと思っています。
  その1つが花大陸でありますが、また知床の世界遺産への登録の動きもこれからまた一歩一歩確実になってくると考えておりまして、こういったことを通じての観光振興が重要であろうと考えております。
  また、食の安全、安心づくり、これは私が療養中に特に個人としてもしみじみと実感したということも申し上げましたが、食の条例を今年つくるというのは去年から皆様方にお約束を申し上げていたところでございまして、いろんな取組みを既に立ち上げておりますが、例えば道独自の認証制度、ハムで始めたわけでありますが、これを今年はまた拡大しようと思っておりますし、食育ですね、食を通じた子供たちへの教育、こういったことも北海道らしい形でやっていきたいと思っております。
  またいろんな話題を提供させていただいた、遺伝子の組換え作物の栽培の取扱い、このようなことも含めて食の条例、これは今年きっちりやってまいりたいと考えております。
  産消協働についてですが、農産物、食べ物にかかわらず地産地消をやっていくと去年から皆様方にご説明申し上げているところでありますが、私も道職員も当然ひとりひとりそういったことに努力するといったことを、これは道庁の中でも言っているわけでありますが、食品に限らず、資源なり道産材、そういったものも道民の皆さんに使っていただく、特にこのことは大消費地が札幌にありますので、道庁と札幌市との連携、これは去年の暮れも札幌市長とも議論をさせていただいたんですが、こういったことで大きな需要の拡大にもなりますし、また道産材の振興にもなってくるのではないかと考えているところでありまして、こういったことを通じて一つ目の柱である世界に誇るような北海道ブランドを確立しようと思います。
  二つ目の、未来を担う若者あるいは子供たちへの環境整備ということにつきましては、まずはジョブカフェであります。若年層の失業が厳しい中で、その方々に対するワンストップサービスとしてのいろんな雇用の就職先の情報提供であるとか、カウンセリングであるとかそういったことが国との間で連携してやることが決まりましたので、これを是非今年度推進してまいりたい。それからデュアルシステム、これはちょっと聞き慣れないことばでありますが、現に北海道内も高校を卒業したけれども未就職の方々がおられます。この方々に職業訓練をしていただくと同時に、企業での実習もやっていただくというような取組みもやっていこうと考えているところであります。
  また子供たちの環境整備と子育てそして子供の未来が明るい、そうした北海道にするための様々な取組み、子育て支援条例を制定する、これも去年お約束して、いろんな報道、あるいは道議会、あるいは庁内、いろんな議論を踏まえて今年つくるというお約束をいたしました。これを全国に先駆けて制定をしたいと思っているところです。そしてその条例とも密接不可分でありますが、本年度着工する小児総合医療・療育センター、これも是非やってまいりたいということを申し上げたいと思います。
  それから三つ目に重点ということで申し上げたわけでありますが、地域主権を目指す地域づくり、国の方では地方分権という言葉を使われるわけでありますが、私どもはあえて今回この4月から立ち上げた新しい組織にも地域主権推進室という名前をつけたところです。道州制の先行実施につきましては、昨日も東京の方で、自民党の北海道開発委員会がございまして、私から今日における私どもの考え方の説明をした上で、いろいろと忌憚のないご意見をいろんな方々からちょうだいしたわけでありますが、このことをしっかりとやっていかなければならないと思っているところでございます。そしてこのことは、また後ほどご質問等出るかと思いますが、道州制の道州制たるところは国から地方へという権限、あるいは財源、そういったものの流れ、それは具体的には国の支分部局との統合等の形になるわけでありますが、このこと自身は道民の方々から見ますと、国の役人が仕事をやるのか道の役人が仕事をやるのか、あまり直接的にご関心があるとは思えません。むしろ私どもは昨日配布した資料、あるいはお持ちの方もおられると思いますがそういった道州制の道州制たる部分に加えて、道民の方々に分かりやすい形でメッセージを提示するための9分野における北海道経済あるいは北海道自身の活性化のメニューというのも提示をさせていただいたわけでありまして、これからも引き続き道民の方々に分かりやすい形でご説明をしていくことに努力をしながら、また市町村あるいは経済界のお話もお伺いしながらこれを進めてまいりたい、全力投球をしてまいりたいとこのように考えております。
  そしてこの道州制の議論の中で忘れてならないのは、国、道州、市町村とあるわけでありまして、この市町村が基礎的自治体として充実強化すること、実はこのことが道州制の大前提にもなってくるわけです。私も国から新しい道州への権限移譲、財源移譲を議論すると同時に新しい道州から市町村への権限移譲あるいは市町村との役割分担、こういったことにつきましてもこれからさらなる議論を展開していきたいと思っております。その基礎自治体の充実強化の一つのやり方として合併というものがあるわけであります。明日、私これから午後に函館の方にまいりますが函館市と周辺の4町の合併調印が行われることになっております。函館市が改めて30万都市になるということでありまして、一昨日でしたか函館市長さんがこちらの方にこられてお話をさせていただいたところでありますが、こういった地域の合併に向けての、あるいはそれ以外のいろんな形での住民サービス強化に向けての取組みに対しても私どもはしっかりと情報提供を含めて、そういった取組みの支援をやってまいりたいと考えているところです。
  こういったことを通じて、私どもはやはり経済雇用対策という今北海道の目の前で一番もがき苦しんでいるこのことに対する対応ということの位置づけもしていかなければならないと考えているところでございます。道外経済はいい方向になっているということが言われている中で北海道だけはこの前、日銀の支店長さんの話をお伺いしましたが、横ばいということで、なかなかこれがベクトルが上の方に向かない、これをどういうふうにするかということが今私どもに課せられた極めて大きな問題でありまして、私は年度初めも申し上げたと思いますが、10年後の北海道、今この北海道の持っている潜在力を考えた場合に今の産業構造を徐々に自立型の産業群も育ってくるということがうまくいくことによってどの地域、どの地域間競争にも勝ちうるすばらしい北海道になるということについては確信を持っているわけでありますが、そこへのプロセスで今もがき苦しんでいる経済雇用問題に苦しい北海道であります。こういったことを通じて今申し上げたようなことも通じて是非このことも解決に向けて進んで行きたいと考えております。
  そして何より忘れてならないのが、財政立て直しであります。今申し上げたいろんなことを私どもが自主的に展開をしていくためにも大変厳しい状況にある道財政の立て直しを不退転の決意でやっていかなければならない、このように考えているところでございまして冒頭申しましたように高橋が知事になって明日から2年目、課題は山積みであります。これを皆様方のご協力も経て全力投球でやってまいりたいと思いますので、ご支援をいただきたいと思う次第です。

航空路線「札幌~ケアンズ線」再開要請について

  それから、私からもう1点ご報告でありますが、先週の土曜日から、山本副知事をヘッドに豪州に派遣をいたしまして、札幌~ケアンズ線、これが人気路線だったんですが、98年3月に運休になったわけでありまして、これをなんとか再開できないかということでカンタス航空に要請に行ったわけでありますが、いろいろな議論、こちらでの需要予測あるいはそのいろいろな要素をもって向こう(豪州)に行ったわけですが、オーストラリア航空というこれはカンタスの子会社でありますが、このオーストラリア航空によって、冬季間の再開の可能性について十分に検討に値するという回答が先方からあったようです。
  冬季というのは(日本とは)季節が逆でありますので、南と北で、北海道からは夏を求めて向こうに行くと、一方オーストラリアからは冬のスキーを求めてこちらに来ていただく。だから行きも帰りもそれなりの需要が想定できるのではないか。また公立校の修学旅行の対象地域、今までは韓国ということであったんですが、これについても幅を広げるということも検討中でありまして、そんなことを含めてこういった方向になってきておりますので
私としましても再開に向けて大きな前向きな意向を示されたことをとても良かったなと思っているところでありまして、これを確実なものにしてまいりたい、このように考えております。私からは以上です。

記者からの質問

(uhb)
  宮城県の浅野知事が捜査用報償費の問題で捜査協力者の情報開示を県警に求めて、県警も前向きな方向で検討ということですが、今後、知事の特別監査を完全なものにするためにも道警に対して、捜査協力者の情報開示並びに事実確認のための接触ということに関して相当強い要請が必要だと思われますが、その点知事はどのようにお考えですか。
  
(知事)
  宮城県の事情と当方の事情とはちょっと違いますよね。北海道の場合は私から監査委員の方へ特別監査をお願いして、監査委員として道警に対して監査を行い、この監査の過程において捜査員への聴取、これはもう可能になっているわけで、加えてその捜査協力者の件をどうするかということですね。宮城県さんの場合は、背景に例の訴訟のこともあって、知事自らということは県庁自らが捜査員から聞き取りをしたりとかそういうことですよね。ちょっと事案は違うと思いますので、私自身は知事部局があるいは私自身が捜査員の方から直接事情聴取させていただく意向があるかどうかという問いであるとすれば、それはありません。それは監査委員に特別監査をお願いしているということです。では、特別監査の過程の中でどうかということについては、一つは繰り返しになりますが、捜査員に対する聴取というのはやれることになっているわけです。これも紆余曲折がありました。捜査協力者の開示の問題については、もう既に道警の方から12年の過去の部分については、これは不正があったと認めた上で開示をしたということです。これが第一歩だと思います。次に、不正があるかないか、そこはまだ中間的な報告の段階ですから、例えば弟子屈署で言うと13、14、15年のあたりはまだ中間的ですから、今のところはないということをおっしゃったけど、最終的なところは私はまだ出ていないと承知をしています。その過程で、捜査協力者の件をどうするかということで、私はそのことについては監査委員が特別監査を実施されるために、道警に対してはできる限りの協力をしていただきたいと、そのことは今までも言ってますし、これからも強く言ってまいりたいと考えています。 
  
(uhb)
  道警の内部調査の不完全な印象というのは、やはり捜査員からの聴取だけを丸飲みにして、捜査員がないと言えばないと、その捜査協力者がいるのかいないのかですとか、本当に渡っているのかだとか、そういったことが事実確認がないことが不完全だと思われるんですが、認識として確認したいのですが、捜査協力者の情報提示だとか、捜査協力者への事実確認というものがなかった場合、私は特別監査が骨抜きにされる結果になると思いますが、そのあたり知事はどのようにお考えですか。

(知事) 
  ですから、そのためにもできる限りの協力を要請するということに尽きるんだと思います。その上で最終的に監査は期限を決めてやっていますので、その後どういうふうなことになるかによってまたやり方はあると思いますが、いま段階で申し上げられるのは、もちろん前も議論しましたが、捜査上の秘密として組織犯罪とか凶悪犯罪が多いので一定の配慮が重要だ、これは私もそういう認識を持っているし、たぶん皆様方もそういう認識だと思いますので、その範囲内で協力してくれということをこれからも言い続けていくということに今は尽きると思います。その上で、結果が出た時にどういうふうにそれを評価するかということになってくると思います。
  
(uhb)
  やはり協力者への事実確認がなければ不完全だという認識でよろしいですか。 

(知事)
 不正と認めた場合にはそれ以上いらないわけです。ただ、不正かどうかということについて秘密保持のやり方の問題がありますが、必要な場合も当然出てくると思います。

(NHK)
  2点お伺いしたいと思います。
まず1点目ですが、昨日の自民党の開発委員会で、道の方から具体的にいくつかご提案があったと思うんですが、特に支分局の統合やいわゆる上書き権について、予算の一体的な執行及びそれに対する検証などについて、国として積極的に取組むという印象、手応えを得ることができたかどうか、まず昨日の会合の手応えについてお伺いしたいと思います。

(知事)
  昨日の開発委員会の位置付けというのが、自民党の開発委員会ということですので、政府関係者ということでは内閣府の政策統括官、局長級の方ですね、後は開発委員会の事務局である国土交通省北海道局の方々がおられたという中で、国の感触というよりはむしろ、与党の自民党の国会議員の認識がどうかということが分かったということです。
  一つ目の統合論につきましては、いろんな議論がありましたが、私からはまだまだ最終的な意見、考え方を道庁内で内閣府とも調整しながらとりまとめ中でありますので、そのことを前提とした上で、究極の組織統合はこれはもう当然のこととして、そこに至るプロセスとして二つか三つ申し上げました。一つは、事務事業の一元化ということです。これは開発予算の100億円の中でも、その芽出しということで提案をさせていただいていますが、防災情報の共有化ですとか、道路とか河川とかそういったものについての情報管理の一元化の問題、そういったことを含めた事務事業の一元化ということをまず現実に一歩一歩やっていくこと。
  もう一つは、例えば、社会資本整備の政策あるいは地域経済、あるいは雇用の分野の政策について、それぞれについて関係の国の出先機関と私ども道との間で委員会というか、意思の疎通を図るような仕組みを考える。そういったところで、例えば次年度の予算要求、あるいは基本的な政策のやり方について意思決定をしながら、まずは相場を作っていく。それと同時並行で国の機関にもスリム化していただくと、これはあまり道庁からいろいろ言う性格のものではなくて、実際に私どもから国に対して提言した後、国と一緒に検討する場ができたところで、国サイドとしてどういうアイディアでやっていくかということになると思います。道庁サイドもスリム化をするということで、15年度から私どもとしては職員が今、2万人強いるのを、15%を削減する職員の適性化計画を持っているということをご紹介しました。あるいは、人件費については19年度までに10%のカット、これは金額にすると相当大きいわけです。その10%の人件費のカットを含めて、歳出の(一般財源の)1割に当たる1,700億円、要するに道庁のスリム化ということも、鋭意やっているということも申し上げました。ですから、道庁のスリム化、合理化、それから国のサイドもスリム化をした後、意思の疎通を先ほど申しましたような形で、どう国の出先との間でいろいろやりながら、こういう形になるというようなことをご説明申し上げました。具体的にそれがいいではないかとか悪いじゃないかという話はなかったんですが、最後に町村代議士、あるいは武部代議士がまとめられる形で、総じて知事の提案というのは傾聴に値するというとりまとめをしていただいたと私は承知しています。
  それから、条例で政省令に「上書き」という言葉がありましたが、地域裁量の地域主権の範囲を広めるという件につきましては、山下代議士だったと思いますが、趣旨としてはよく分かると。しかしながら法律論としてはなかなか難しい部分があるのではないかというご議論がありました。場合によっては憲法論争にもなるような問題なので、そこは慎重に検討する必要があるというご意見がありました。ただ、これも実際そういうことを、全国知事会では既に議論しておられますので、私どもとしては提案をする、そして法技術的な、あるいは考え方の整理について国と私どもでアイディアを出しながらやっていくということの手続論、方法論の部分になるかなということで、趣旨において自民党の国会議員から「それはもうけしからん」という議論はなかったと、総じて賛成であるという理解をしたところです。
  それから、予算執行、実はここについては明確な議論、そこだけを特定した議論はありませんでしたが、先ほど冒頭申しましたとおり、何人かの国会議員から総じて、知事提案というのは自分達としても理解しうるものだというコメントはいただきました。実は、今のご質問にはありませんでしたが、何人かの先生、北村代議士、あるいは橋本議員、それから今津代議士も言っておられたと思いますが、やはり道州制により予算が少なくなることによって、公共事業予算が減るのではないかと。そのことは建設業界の方々も心配しておられるし、また北海道のインフラ整備の現状を考えた場合には、もっともっと公共事業を進める必要性があるので、そこは是非知事としても留意をしてほしいという意見が口々にありました。このことは私どもとしても重く受け止めたいと考えているところです。

(NHK)
  二つ目なんですが、総論的な話になりますが、1年ということで、この1年間で最も反省する政策判断は何かというところと、それで得た教訓は何かということをお願いします。 

(知事)
  難しいこと聞きますね。やはり、警察の問題について、私が去年の11月に道警本部長の道議会における何もありませんというご発言を踏まえて、それを重く受け止めると。あの時は、いろいろ関係の職員とも議論してそれ以外の答弁はあり得ないということで申し上げたわけですが、結果として、先を見通すことができなかった。これは大きな反省ですし、それからその直後に道民の方々から私どもの方にも多くのご批判のご意見をいただいたということは、いま段階でも私はとても反省をしていると率直に申し上げます。
  あの直後に道警本部長に来ていただいて、資料を見ないとされたので、それではあんまりではないかと思うので、見て受け取られたらどうでうすかと申し上げたことから始まって、説明をきっちり道警においてやっていただきたいというようなことも、去年暮れぐらいにはやってきました。今年になっていろんな展開があって、3月に不適正支出ということを明確に認められて、その後はご承知とおりですが、やはりあのことですかね。
  
(北海道新聞)
  道州制について何点か。まず特区をめぐる道の提案についてですが、当初の4月下旬の経済財政諮問会議への提案、ご説明を予定されていたかと思いますが、4月中は難しくなったと、この原因について知事はどのようにご認識されているのか。また提案が、おそらく5月中旬になるのかと思いますが、遅れたことによる影響は何かあるのか、その辺のご認識を伺います。

(知事)
 前々回くらいの記者会見で、確かに私、4月中にご提案できればということを申し上げた記憶があります。正式にまだ内閣府とセットをしていたわけではないのですが、経済財政諮問会議の日程というのは、毎日あるわけではないので、そこら辺のことを念頭に置きながら申し上げたわけです。いろいろと調整の部分がありまして、いま段階で具体的にどういった日程で提案をさせていただくかということは決まっておりません。
  そのことによる影響ですが、影響はないと思います。もともと、1月15日にこの場で手術のために緊急入院しますという記者会見を行いましたが、あの日東京から帰ってきて会見したわけです。そのときの出張の目的というのはいろいろあって、その目的の1つが内閣府の事務次官と意見交換をするということでありました。その際に私のほうから、人事の話などもしたんですが、12月に財政諮問会議において道の考え方の整理をご提示したわけですが、それを踏まえて更なる提案というものを、国に対して提示する場の設定を是非お願いするということを申し上げたところ、事務次官からは「では連休明けくらいに、例えば経済財政諮問会議にご報告いただくということがあり得ますかね」というような会話をした経緯があります。その後私自身が入院することとなりまして、いろいろな調整を副知事以下にお願いすることとなったわけですが、そんなことからしますと、ここで少し遅れるということについて影響ということはないと思います。私としては、経済財政諮問会議でのプレゼンテーション、これは諮問会議の議員へのプレゼンテーションになるわけですが、加えて総理に対しても、これは内閣を挙げてやっていただきたいという道としての提案になりますので、総理に対してご提案を申し上げる場も別途アポイントメントを取ってまいりたいと思います。

(北海道新聞)
  もう一つですが、調整が長引いている原因の一つとして、聞くところでは、内閣府が統合先の国の出先機関の具体的名を上げるように要請していると、昨年12月の小泉総理の発言を受けてそういう要請があるかと思います。一方で知事は昨日東京で記者団に先行統合については否定的な見解を述べたと聞いてますが、その辺の調整がつかなかったと聞いてますが、その事実認識がどうなのか。
  また、先日、中川経済産業大臣のジョーク発言を巡って、知事は記者会見でも小泉総理が経済財政諮問会議という公の場で発言されたことは重いことだと受け止めていると言われてますが、このことと先行統合はないという発言との整合性をご説明いただきたいんですが。

(知事)
  例示を入れる案は我々も提示しています。ただ例示を入れるということと、先行統合するかどうかということは、私は別の議論だと思っております。これは中川大臣と、4月の初めにお会いした後の記者会見でも申し上げたと思いますが、12月の経済財政諮問会議において小泉総理が確かに、開発局と、そして私の顔を見て、経済産業局とおっしゃいました。それはたぶん例示としておっしゃられたのであって、私が労働省の出身であれば、労働局とおっしゃられたでしょうし、旧運輸省であれば運輸局とおっしゃられたのではないかと、それは前回の会見で言いましたよね。そういう例示として総理大臣はおっしゃったと認識しております。しかし、私以前、こうも言いました。国民にも議事録を開示する経済財政諮問会議において、そういった例示を総理が出されたことは極めて重いことだと、そのように申しました。その前に中川大臣にお会いしたときも、その点は私の認識として中川大臣に申し上げ、その上で道としての提案をしていくと申し上げたわけです。そもそも先行実施うんぬんと、名前を挙げるということは、1対1対応はしていないというふうに、私は認識しております。

(北海道新聞)
  内閣府と道の事前調整が長引いているということの原因についての認識はどうでしょうか。

(知事)
  いろいろな分野で意見調整をさせていただいているということです。例示として入れたものは私どもから提示しております。例示を二つですか、開発局と経済産業局を入れたものを提示させていただいてます。そのように少なくとも私は報告を受けてます。

(北海道新聞)
  イラク関連ですが、人質になられていた高遠さんと今井さんが戻ってこられました。いま与野党で人質の自己責任論が随分と議論になっています。一方で海外メディアやアメリカのパウエル国務長官の発言などは、人道主義で活動された若者を誇りに思うべきだという海外からの声もあります。まず、知事として自己責任論についてどのように思うのか。 また、今回北海道東京事務所が随分と活躍されましたが、いろいろと経費がかかって、その計算もされたようですが、この費用について人質になられた方、あるいはご家族に負担を求める考えがあるのかどうか。この2点についてお伺いします。

(知事)
  まず自己責任論についてですが、どのように整理すればよろしいでしょうか。お三方それぞれですから、高遠さんについては、イラクの子供達のために何ができるのかと求めて、イラクへ行かれた。これはすばらしいことだと思います。このことは、たぶん自己責任論を言われる方々もこの点について否定する方はいないと思います。それから札幌市の今井紀明さんは、お若いながらに劣化ウラン弾の問題に関心をもって、そのことを世界に訴えるために、絵本を描きたいということでしたか、そのような目的でイラクに入ろうとされた。このことも私は18歳の若者としてすばらしい動機だと思います。そこについて議論というのは一切無いと思います。しかし一方で自己責任論をおっしゃる方々は、目的は目的として、しかし行く先の危険度について、やはり認識を十分に持つべきであったのではないかと、そこなんだと思います。
  私がどう思うかということですが、私はとにかくお三方があのような状況で人質になった段階で、とにかくあの3人をいかに不法な人質、誘拐から解放するかということがまず第一義的に重要であって、その後、いろんな反省点を踏まえてどうするのかということは次の議論である。これは途中段階の記者会見でも何回か申し上げた記憶がありますが、これはいまも変わっておりません。またこれも記者会見で申し上げましたが、いろんな高邁な目的をもってイラクに行きたいという道民の方々がたくさんおられるかもしれないけれども、やはり今は、命があってこその活動なのであって、私の立場、道民の方々の生命と財産を守るという知事の立場としては、いましばらく待っていただきたい。これは偽らざる私の気持ちであり、あの時もそうでしたし、いまも同じであります。責任がどうとか、そういうことではなくて、あのような事象があったことを、将来にどう反省として生かしていくのかということが、我々人間の知恵ではないかと思います。
  それから費用の問題であります。一部報道で380万円と出たらしいですが、これはどこから出た数字か分かりませんが、私ども道としては経費について現在精査中であります。細かくいうとキリがありませんが、電気代は月締めなのでいま分からないとか、いろいろとありまして、具体的な金額については、改めて、連休明けにでもお示ししたいと思います。
  そして経費負担についてどう考えるかというご質問でしたが、あの(解放されるまでの)1週間の間にも、記者会見でも申し上げましたが、経費についてはルールを決めておりまして、宿泊先のホテルの宿泊代、これは当たり前ですがご家族の負担ですし、それから弁当、たぶんコンビニなどで買ってきたんだと思いますが、これも実費を頂戴してます。それから電話も皆さん携帯電話をお使いになって、発信にお金がかかるわけですから、そこもそういうルールにしてましたし、また支援者の出入りも多かったんですが、最初のうちはどんどんお通ししていましたが、その後、ご家族を支援したいという方について、ご家族の意向を確認した上でお通ししました。セキュリティの問題もありましたので、そのようにしました。それからよく言われます、電話とFAX番号を(ご家族がマスコミに)提示されました。受信は電話はタダだけど、FAXは紙代がかかるじゃないかと、これは紙も現物で提供頂きました。そういったことで、ご家族との間では経費については一定のルールを決めてやってきたわけです。その上でさらなる経費負担を求めるかどうかは、慎重なる精査が必要だと思いますが、少なくとも私ども、2人の道民の方が人質になったことについて、道として連絡本部を立ち上げて、私どもの業務としてこのことに対処すると決めたわけでして、たとえばそのことに伴い、私どもの職員が残業が増えて、時間外手当ですとか、夜食代などもあります。それから一時期200人を超える報道陣が来られて、私も昨日、一昨日、東京事務所に行きまして、職員にねぎらいの言葉をかけまして、ここはどうなったのと聞きましたが、あの狭い道路に200人のマスコミの方が来て、それぞれ車を持って来られて、大変なことになって、これをさばくために、警視庁にも協力を要請したり、私どもも警備員を増強したり、こういった庁舎管理に要した経費もあるわけですが、こういったことは、連絡本部を立ち上げて、私どもの仕事としてやったわけですので、ご家族にご負担をいただく考えはありません。
  しかし、それを前提に、先に申しました弁当代ですとか、宿泊代とか、直接的にご家族にかかった経費については、もう少し精査をして、そこをどうするかということについては、私どもの考え方の整理の時間もありますので、いましばらく時間をいただきたいと思います。明確な形で、私どもから皆様方にこのことについて改めてご説明させていただきたいと思います。

(北海道新聞)
  基本的には実費をいただいているので、負担を求める考えはないということですね。

(知事)
  先程申しました、残業代とか、庁舎管理に係る費用についてはですね、ありません。

(uhb)
  先ほど知事就任1周年を振り返ってということで、駆け抜ける1年だったということでしたが、それに関して3点お聞きしたい。まず、初めての定例会見のときに、はるみカラーが出るか出ないかは、まだ意図的に出すところまでいっていないとお話をなさっていますが、1年経って、はるみカラーが出たのか、浸透したのかという部分をまず1点。
  また、顔の見える道政を目指すということでしたが、道民に顔が明確に見えるようになったとお考えになられているのかいうことが2点目です。3点目は、この1年をご自分で振り返られて、自己採点でいうならば何点となるか、その3点をお聞きしたい。

(知事)
  一つ目のはるみカラーですが、最初の会見のときにそのようなことを言ってましたかね。
  難しいけれども、ひとつはこの1年間を振り返った場合に、現場主義というのを自分なりに考えて徹底してきたかなと思っております。特に災害のときはそうでした。自分の目で確認をしたいということで、ヘリコプターにも乗りましたし、車を乗り継いで(現場に)行ったりしました。そして戻ってから、みんなと議論をしてどういう対応するかということを決めました。ですから、ひとつは現場主義ということです。
  現場主義のもうひとつの中身としては、「まちかど対話212」によりできるだけ地方にということを言っておりましたが、こちらは少しずつはやっておりますが、1年間を振り返って十分だったかということについては私自身反省があります。
  二つ目は、女性の視点、母親の視点です。これはできる限り、道民の半分は女性ですから、素直に主婦の方がどういう風に考えておられるのかな、それから働いている女性の方であればどういう風に考えておられるのかな、そんなことを心がけていろいろなことを考えてきたつもりです。ブックスタート制度を、これは知事の公約として言ってきたわけですが、子供、赤ちゃんに対する読み聞かせや小児医療の充実ですとか、もちろん財政が限られている中で、小児医療を充実するとほかにしわ寄せが来るなどといったご批判が出ていることは承知しておりますが、そういった母親、女性の視点です。
  それから、一般的な財政再建の問題などを考える場合でも、それぞれの家庭で財布を握っているのは女性ですから、そういう観点で、びしっと締めるべき所をどうやって締めるのかといったことを考えました。(高橋はるみカラーには)女性の視点、母親の視点ということもあるかなと思います。
  さらに、これは男女別はないのですが、私は以前おりました経済産業省のときもそういったマネジメントをしてきたのですが、いわゆるまずトップが発言をしてグイグイ引っ張っていくというリーダーもいると思いますが、私はそういうことよりもむしろ職員の方々は経験も豊富ですし、それなりにというと怒られますが、頭も良いわけだから、そういった方々と十分議論をした上で、方向性の選択肢がいろいろ出てくるわけです。その中でどれを選ぶかは責任を伴う知事がやる。これは当然です。上からトップダウンでやるというやり方ではなくて、ボトムアップといいますか、皆さん方と議論をした上で意思決定をしていく。自分自身そんな素晴らしい発想があるわけではないのでこれしかできないというのが本当のところですが、そんなことに心掛けてきたかなというように思います。
  それが高橋はるみカラーと言えるかどうか。これからさらに政治家として研鑽を積んでまいりたいと思います。
  二つ目の顔の見える行政ですが、これは評価自身は道民の方々にして頂くということだと思います。少なくとも週一回の記者会見をやるという公約で、実際上は1回以上やっています。街や家の近くのスーパーでも、ときどき声がかかります。「知事さん、またテレビで見ましたよ」、「毎日見ましたよ」とか、(私が)何を言っているのかはあまり聞かれていないかもしれませんが、そういった知事というものが身近だというように道民の方々から思っていただけるのかなというのを私自身、街の中を歩いていて思うところがあります。ただ、単に顔が見えるだけではだめなので、正しい情報を発信し、また道民の方々のためになることを知事なり道庁がやっているというような形での発信にきちんとなっているのかどうか、これは是非、御社の方で、札幌だけではなく、地方の道民の方々に是非聞いていただいて、こうだという厳しいご批判あるいは評価をお教えいただければと思います。
  三つ目の点数。これはよく質問を受けるのですが、私は自己採点しません。是非、そちらの方でしていただきたいと思います。先週、どこかの新聞社さんだったと思いますが平均点が60点だった。厳しいなと思うような点数がついたものがありましたが、やはり(評価は)本人がやるものではないのではないかと私は思います。

(朝日新聞)
  先ほどの北海道の東京事務所の件ですが、道東京事務所の使用に対して、随分批判が寄せられたようですが、その点について知事としてどのように受け止めていらっしゃるか。

(知事)
  ご家族の方々が、どこかのタイミングで励ましのお便りをということでしょうが、道事務所の電話番号とFAX番号を提示されました。そうしたら、昨日、一昨日も東京事務所の職員と話をしましたが、8,9割方は批判だったと。これは偽らざる事実のようです。一方で道庁の本庁にも、最初のころは、これは(イラク拘束事件の)途中のぶらさがり会見でも申し上げましたが、「なんでああいった、先ほど自己責任という言葉を使われましたけれども、勝手に行った人間に道民の血税で成り立っている道東京事務所を使わせるのか」というご批判もいただきました。正直言って辛かったですね。
  ただ、そうではあるけれども私は、緊急的に、応急的ではあるけれども、やはり困っている道民の、それも家族が前代未聞の、日本国で初めての、ああいった形での不当な監禁下にある、そうした人たちのご家族の気持ちを考えた場合に、特に東京に慣れておられる方々であればまだしも、やはりサポートしたいということをあえて申し上げた記者会見をさせていただいたわけです。
  その後、さきほど聞いたところでは、メールはさらに来ているんだそうですが、最近は、「道庁、けっこう良いことやったじゃないか」という応援メッセージも増えてきているということです。普通、こういったメッセージはご批判がほとんどですが、あなたのところを応援するとは普通言わないですよね。応援する人は静かに応援しますから。そういった中で、今回の道庁の対応、知事の対応を良かったというのが、批判の倍くらい来ている。それは、この数字だけではなく、この数字の裏にいろいろなお声があるのでしょうから判断はできないわけですが、これを見る限りにおいては、私どもの対応について、道民の方々から一定のご理解は頂戴しつつあるのかなと思っているところでございます。今後とも、この問題を含めて、私どもに対するご批判、ご要請に対しては真摯に対応してまいりたいと考えております。

(日本農業新聞)
  先ほど、知事就任2年目に取り組みたい三つの政策の中で、一番最初に、世界ブランドを目指す北海道ブランドということでお話をされました。これを聞いておりますと、食と農にかなり重点を置いているのかなと思いました。
  これは道の基幹産業である農業というのを活性化することが、道の経済の活性化につながるというようにお考えなのでしょうか。また、そこに女性知事としての視点で取り組みたいことなどあるのでしょうか。

(知事)
  おっしゃるとおり農業に限らず水産業もあるわけですが、北海道が全国、世界に誇る基幹産業であります。これをいかに売り込んでいくかということだと思います。
  その際に、私なりに、女性の視点ということをおっしゃられたのであえて申し上げれば、消費者の視点といいますか、もちろん産業としての農業、漁業、食産業というのは、生産者側あるいは流通者側から成り立っている。もちろん、そういった方々のご意見も十分に拝聴する必要があるわけですが、古く言えばBSEの問題などもきっかけとして、消費者に顔の見える生産者、流通、だからトレーサビリティーなども起こってきたわけです。そういった消費者に重点を置いた政策というものを今まで以上に強くやっていきたい。そのための今回の食の条例。遺伝子組換えの問題、これもいろいろな方面の方々からいろいろなご意見が出ているのは承知しておりますが、私どもとしては、消費者あっての北海道農業、北海道漁業、北海道食産業であると認識のもとに、この問題についてどのように基本的に対応するかといった視点も含めて取り組んでまいりたいと考えております。

 


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