知事定例記者会見(平成15年5月30日)

知事定例記者会見

・日時/平成15年5月30日(金) 15:00~15:30
・場所/記者会見室
・記者数/24名(その他カメラマン等3名)

会見項目

  

知事からの話題

1 太田原高昭氏の顧問就任について
2 SARS患者の搬送訓練について
3 道立噴火湾パノラマパークビジターセンター
4 「知床」の世界自然遺産登録に向けて
5 「キックイン」について

記者からの質問

1  北海道住宅供給公社について(1)
2 北海道住宅供給公社について(2)
3 札幌市長再選挙について
4 日高横断道路について
5 経済産業省との人事交流について
6 道職員の再就職について
7 住基ネットについて
8 太田原高昭氏の顧問就任について

 

知事からの話題

 

太田原高昭氏の顧問就任について

 ひさしぶりにこの場で座っての会見です。私の方からは4つ5つお話させていただきます。
  1つ目はこの場でも何度か話の出ておりました、道の農業関係の問題についていろいろご意見を頂戴する顧問につきましてですが、北海学園大学経済学部教授でいらっしゃいます太田原高昭さんに6月1日付けで顧問就任をお願いし、ご快諾を得ているところです。太田原先生と私は、「根圏」といいまして、「根」に、成層圏の「圏」ですが、この根の周りは素晴らしいいろんなことが行われているという研究をやっておられるグループがあるんですが、そんなことを通じて相当前から存じ上げていた先生です。1次産業の問題とりわけ農業についてご見識が深いということで、専門的な立場からご助言をいただきたいとお願い申し上げたところ、ご快諾をいただきました。

SARS患者の搬送訓練について

 2つ目は、SARS(重症急性呼吸器症候群)の患者の搬送訓練を今日午前中、千歳保健所を含め関係機関のご協力を得て、実施いたしました。観光立県北海道といたしまして、特にこのSARSの問題についての観光業界や道民の方々の関心は高く、道庁のホームページを通じて、多くの一般の道民の方々からもご意見あるいはご質問が寄せられています。 このような状況の中で、この問題についてきっちりと対応して行かなくてはならないと考えています。昨日付けで国に対しても知事名でいろんな申し入れをさせていただいたところですが、併せて、今日8時45分から患者の移送用のカプセル。いわゆるトランジットアイソレーターというものですが、それを使用し、実際に患者の発生を想定して、訓練をしたところです。今回の訓練を通して得られたいろんな結果や反省点等々もあるわけですが、その評価を加えながら、今後さらに、もちろんあってはならないわけですが、あった場合には迅速に対応できる体制を整えていきたい。プライバシーの問題など、いろいろやらなくてはならないことが多いわけですが、準備を万全にしてまいりたいということでやったところです。

道立噴火湾パノラマパークビジターセンター

 次にPFI※のことです。やはり財政が厳しい中で、少しでも民間活力をということは、選挙戦中の時から申し上げていたことです。PFI事業は、道庁としてははじめてになりますが、道立の噴火湾のパノラマパークビジターセンター等整備事業につきまして、この手法を導入するということを今日最終的に決定し、公表したところです。
  道庁のプロジェクトとしては初めてなんですが、道内では札幌市などに続いて3件目ということで承知をしています。これからもどんどんこういった民間活力導入を進めたいという気持ちと、一方で、まだまだ新しい手法でありまして、もちろん財政支出の削減には資するのですが、こういったプロジェクトに道内の地場の企業が参加いただけるかどうかを見極めていく必要があるかと思います。慎重にしながらも、民間の活力や能力の活用という観点で見ていきたいと考えています。

注※PFI(Private Finance Initiative)とは、公共施設等の「設計」、「建設」、「維持管理」 及び「運営」に民間の資金やノウハウを活用すること(国や地方公共団体等(以下「公 共」という。)が実施主体で民間事業者が事業主体)により、効率的で質の高い公共サービスの提供を図る事業手法です。

「知床」の世界自然遺産登録に向けて

 それから世界自然遺産の候補地につきましては、5月26日に国の方で行われました検討会で、知床が選定されたということはご承知のとおりです。昨日、いろんな案件で上京しました際に、若干時間を作り、環境省にも参りました。鈴木大臣をはじめ、関係の局長、審議官などに、まずは検討会で選定していただいたお礼と、それからその検討会で自然保全をどうやっていくかという課題を頂戴しているところです。そういったことに対して、地元と道庁が挙げて対応していくので、次なるステップアップである暫定リストへのご配慮をお願いしてきたところです。もうここまで来ると、これはひとえに私ども地元の努力に掛かってきておりますので、先ほども庁内の幹部会議の中でも、担当部だけの問題ではなくて、いろんな調整が掛かってくるわけですので、道庁の関係部が協力をして対応するようにと指示したところです。

「キックイン」について

 最後になりますが、明日コンサドーレ札幌の試合に、恥ずかしながら、キックイン、始球式に行ってまいります。明日午後からですので、昼にでも息子と、ボールをお借りしてますので、最後の練習をして試合に臨みたいと思います。
  私からは以上です。

記者からの質問

(北海道新聞)
 2問お聞きします。まず、住宅公社です。今、北海道住宅公社の理事会が開かれておりまして、ここで660億円の債務超過という昨年度の決算が承認される見通しと聞いています。これについて、今後、監督する立場の道としての対応が当然求めらてくるかと思いますが、今後、いつどのように対応されようと考えていらっしゃるのか、まずお聞きします。
   
(知事)
  今、ちょうど理事会が開かれており、そこでの議論を経て、道庁には今日いっぱいにはご報告があると承知をしています。公社としては、これまでの多額の債務超過という状況もありまして、道としては早急にこの処理、債務処理のスキームを確定しなければならないと考えているところです。夕方以降いただく14年度の決算内容を十分精査したうえで、今、具体的にどこを、どのタイミングで、どういうことをということを申し上げるのは、やはり、関係機関との調整をある程度経たうえで、きっちりとした形で発表させていただきたいと考えております。現時点では、関係の金融機関との協議をつめていきたいという答えをさせていただきます。

(北海道新聞)
  もう1問です。札幌市長再選挙についてお聞きします。知事は告示日に立候補者の石崎岳さんにお会いになりました。その後、戦況もかなり激戦というような話もあります。聞くところによりますと、一部ではやはり激戦ということで知事がまた終盤で石崎さんの応援にいかれるんではないかなという話も聞こえてきております。そのへんのことがどうなのかということと、それから、前回応援に行かれたことについて、やはりその政党との関係で、どうなのかというような意見も聞こえています。そのへんについてはどうお考えでしょうか。 

(知事)
  昨日も東京出張いたしましたが、東京でも多くの方々が札幌市長選について関心をしめしておられます。全国的な関心のもとで行われている選挙なんだなという意識を持ったわけですが、石崎 岳さんとは私はもう相当前からいろんな場でお会いすることがありました。これは前におりました経済産業局長時代ということですが、これから北海道をどうしていくのかと議論した仲です。あ、この話はしましたね、利尻礼文でも。そういう間柄でございます。あの方も縁あって今回の選挙に出られて、個人的な関係の中で、是非応援をしてほしいという話を受けて、スケジュールが合えばということを思っておりまして、1週間くらい前でしたか、(応援に)いかせていただいた経緯があります。
  これからどうするかってことについて、まだ正式に何も話がございません。私のスケジュールも土日を含めて、めいっぱい詰まっております。そこの調整にかかってくるかなと思っているところです。
  これも以前、申し上げたと思いますが、こういった選挙応援云々ということはあくまでも、個々のケース、応援依頼をしてこられた方との、個人的な私の思い、つながりということをまず第一義的に判断し、その上でもちろんスケジュールという、私は公務が優先です。私が道政を執行するにあたって、道民の方々の視点で、道民政府という言葉、あるいは道民党という言葉、いろいろ使わせていただいておりますが、そういった道政運営における基本視点について、なんら変わりがないことは当然であります。  

(NHK)
  日高横断道路について、国のほうも、政策評価の段階に入りました。この国の政策評価の議論がどのように進んでいって、どう対応されているか、また、引き続き道として、どのような方針でこの問題に取り組まれているか教えていただきたいんですが。

(知事)
  道としての判断につきましては、私の前任者であります堀知事の時代に、道の政策評価の条例に基づき、評価をした結果を踏まえて、当面、新規の事業は行わないという判断がされたと承知をしています。私は行政の継続性の観点からも、前知事の判断というものを尊重するということを、あるいは前にも申し上げたかと思うんですが、そういう立場でございます。
  そして、国におかれては、今、最終的な様々な議論、検討をしておられると聞いておりまして、その結果が出てから、また次の道としての判断になるかと思っております。

(北海道新聞)
  6月1日の道の人事異動に伴って、知事室に新たに参事(組織)が設けられます。国の経済産業省から来られる方が就任されると聞いていますが、庁内には北海道庁にも優位な人材がたくさんいるだろうと、なぜ経済産業省から来るのかというような見方もあります。知事としてどのようなお考えから、経済産業省からお招きすることになったのかご説明ください。

(知事)
  6月1日の人事は、この参事の件も含めて、数千人のオーダーで人事異動があります。それ自身、適材適所でですね、厳しい環境の中で、道政をいかに円滑に進めていくか、という観点から人事を行ったというその一言に尽きるわけです。そういった中で、その一環として、この参事ポストを設けたということです。
  いろんな人材、どういう方があり得るかということをですね、庁内の人事関係の方々とのいろんな議論をしました。1つの可能性として、経済産業省に人材があるかということを聞きましたところ、これは双方に意向が合わないと成立しない話でありまして、先方サイドとしても、適当な人間がいるということで、私も実際会いましたら、きっちり仕事をするような人でありました。そんなことで今回の人事になったということです。
  代わりに私どもの道庁の方から、経済産業省に人を送り込んで、交流人事というかたちで、相互にそれぞれの役所で仕事をし、相互にそれぞれの現場で貢献をし、また戻って、それぞれの経験を踏まえて、また親元で貢献をしようという、交流人事をさせていただいたところです。

(読売新聞)
  道職員の天下り、再就職先のことでお聞きします。昨日、道の情報公開審査会が道農政部の談合事件の関連資料に対する道の情報公開が不十分というような内容の答申を知事に提出しました。この中で意見がついていまして、国の各省庁が、昨年度から、道庁の本庁課長相当職に当たる企画官相当職にまで、再就職の状況を退職者の氏名、退職時の役職名、再就職社名まで具体的に公表している状況を指摘した上で、道でも早急に公表を検討したらどうだという意見だったんですが、知事はどのようにお考えですか。
   
(知事)
  新聞記事を拝見して、これはもう絶対にそうすべきだと個人的には思ったんですが、今日、いろいろ調べましたところ、実は国家公務員の制度と、地方公務員の制度は微妙に違うんですね。どちらがより規制がきつい、あるいはより再就職について公表しているかということは、一概にどちらがより進んでいるということは言えない。国なり道庁がそれぞれどこまで公表しているかっていうことはお示しできるのですが、そういうことのようです。ただ一方で、だからと言って今回の話について、道庁として出さないということではないと思ってます。審議会の答申を最大限尊重して、その方向で、公表の方向で検討したいと考えております。
  
(HBC)
  住基ネットについて伺いたい。長野県で、先日つなぐべきでないという答申を審議会がしたと聞いてますが、知事が、住基ネットについてどのようなお考えをお持ちになっているのか、お聞かせいただきたい。

(知事)
  いろんな議論が全国であるのは承知してまして、いまだに参加しておられない自治体があることも私も理解してます。ただこういうIT社会の中で、こういったネットワークというのは、大前提としての個人情報の保護の体制がきっちり出来ているという、この大前提が満たされている限りにおいてですが、やはり私は必要なことだろうという基本認識を持っています。
  今回の長野のケースは、精査をしているわけではないんですが、私が申し上げた意味での前提条件の個人情報保護の体制が不備なようなので、当面遠慮した方がいいのではないかという審議会の答申ということのようでして、それぞれの県の事情ですから、あまり外から言うことではないですが、そうであるとすれば個人情報保護体制の整備をきっちりとする方に努力を傾注すべきであって、その上でそのことがどうしても目途がつかないということにおいてそういう判断がある。たぶん道庁でそういう議論になれば、私はそういうことを知事としていうのかなと思います。
  ちなみに道庁の場合には、去年9月、住民基本台帳ネットワークと庁内LANの接続状況等の調査を行いまして、改善が必要な市町村には対応していただいているということで、私どもとしては、いまある情報の範囲内で、最大限の個人情報保護の体制ができているという認識の元に、住基ネットワークへの参加は妥当であるというふうに考えているところです。

(毎日新聞)
  最初に話題をいただいた農業顧問の太田原先生ですが、顧問という制度は、危機管理的な要素があって道庁の不正経理の時とか、大きなプロジェクトの時に置かれているんですが、要するに太田原先生に何をしていただきたいのか。それから、これまでの道庁農政部では何か足りなかったところがあるのか。つまり、改めて太田原先生に来ていただくということは、道庁農政にこれまで何か足りない部分があったのかどうなのか、そこの点についてお伺いしたい。

(知事)
  私が、庁内の人事担当に聞きましたところ、今回、6月1日付けで太田原先生にお願いをしようと思っていおります非常勤の特別職というのは、地方公務員法に基づく職務なわけであります。過去においては、平成7年に予算の執行等に係る不祥事の再発防止の方策に関し、専門的立場から助言を受けることを目的に3名の方をお願いして、委嘱をしたという経緯が1回あるだけです。
  職務については、別に危機管理と決まったわけではなくて、いろんな道政上の諸課題について、専門的立場からご助言をいただくというふうに規定されておりますので、私どもとしては今回、こういった制度にそって、太田原先生にお願いしたいということを考えたところです。
  何をお願いするか、あるいは今のご質問で農政部に何か不備があるのかということですが、私はそういう意識は一切ありません。現在、やはり北海道はいろんな意味で時代の岐路に立たされています。あるいは、厳しい状況にあるということをいろんな所で申し上げているんですが、農政を含めて1次産業全体につきましても、WTOの問題もありますし、
また、こめ政策の方向性について、現在、大転換が言われている時期でもございます。
  こういう専門的立場の方に大所高所の形でアドバイスをいただかなければならない案件が増えてきたのかなという意識のもとに、こういった農業の問題についての顧問ということをお願いすることに思いが至ったところです。
  農政部は、今までも、これからも一生懸命仕事をやってくれると確信をしております。

 (毎日新聞)
 具体的な何か道政上の諸課題に対して雇用したわけではないんですか。

(知事)
  個別具体的な案件を、これということであるわけではございません。農政全般に、これから節目、節目でいろんな問題が出てくると思います。そういった時に、大所高所の専門的なお立場のご意見をぜひ、頂戴したいということでお願いをしておりまして、先生からのご意見を具体的にこれからどういうふうにお願いしていくかというのは、先生のお時間の制約もあるでしょうから、関係部局と私ももちろん入る形で先生のご意向確認をやっていきたいと考えております。

(日本経済新聞)
  北海道住宅供給公社のことにちょっと戻らしていただきたいんですが、先ほどスキームを早急に確定するというふうにお話しがありました。現行のスキームでは、2004年度末に改めて抜本的な再建策を検討するとなってると思うのですが、2004年度末という区切りを前倒しするということも可能性としては考えてらっしゃいますか。

(知事)
  今のスキームは、堀知事の時期にいろんな当時の現状を踏まえて、こういうことでこのタイミングまでにというふうに決定をされたことと承知をしております。今日、まだ最終的にはご報告を受けていないわけでございますが、どうも、当時の現状認識よりもより厳しい結果が出てくるということが想定されます。
  やはり、それに基づいて新たに仕切り直しで検討する必要があるのではないかと考えているところです。

 

 

 


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