再評価調書(「道民の森」民間活力導入事業)

平成10年4月17日

1.対象施策の概要

(1)施策の目的・内容(背景・契機)

 平成元年に「道民の森基本計画」を策定し、道の施設整備と併せて、道民の森地区及び町営牧野などの周辺地域に一体的に民間施設を導入し民間企業の多様なプログラムによる全体の施設水準の向上を図り、「道民の森」の一層の利用拡大及び通年利用化を進めることとした。

 この考え方に沿って、民間事業者において、スキー場、ゴルフ場などの総合スポーツ・レクリエーション施設を整備することとした。

 

(2) 経過(事業実績)

 昭和61年に「道民の森構想計画」を策定し、昭和62年、当別町、月形町内の道有林において施設整備に着手した。

 平成元年に「道民の森基本計画」を策定し、民間活力を導入して全体の施設水準の向上を図ることとした。同計画に基づき、道では企業説明会や個別企業への働きかけを行い、結果的に株式会社前川製作所が「カムイ・ジャンボリー高原開発事業」として正式に参入することとなった。

 また道は、民活事業を円滑、適正に進めるために「道民の森民活導入推進委員会」を平成元年、2年に設置し、開発手法のあり方などについて検討を行い、事業者に対して事業内容や事務手続などについて必要な指導助言を行った。

 

(3) 停滞要因及び将来の見通し(問題点)

 事業者においては、事業計画着手に当たり必要となる手続きを進めており、このうち道環境影響評価条例に基づく手続き及び附帯意見として述べられた当別ダムの利水者との協議等は終了したが、自然環境や生活環境に対する道民意識が高まる中で、事業計画地が水道水源上流部に位置することから、水質悪化や生活の安全性などについての不安が提起され、今後、事業の停滞が懸念される状況となっている。

 

2.検討の基本的視点

 事業計画地が水源涵養保安林であることと、森林の環境資源としての重要性や水道水源としてのダム計画との関連から様々な議論があり、本事業の今後の進め方について総合的な検討を行った。

 

3.道としての対応方針

 先に提出された所管部局の検討結果を踏まえ、道としては次のような方針で対応することとする。

 

(1)事業の取扱い

 「道民の森」の施設水準の向上を図る観点から、民間事業者の役割に対する期待は大きいが、近年の自然環境や生活環境に対する道民の意識が格段に高まる中にあって、事業計画地が水道水源上流部に位置するという条件にあるゴルフ場、スキー場は、「道民の森」の施設としてはそぐわなくなっているものと判断し、本事業を取り止めるよう申し入れる。

 

(2)今後の取組み

 この場合、この事業に期待されていた「道民の森」施設の高度利用や当別町の地域振興などの役割を考慮し、必要な対策を検討するものとする。

 その方策の一つとして、この事業の予定地を、「道民の森」の事業区域に編入し、拡張事業を展開するとともに、現在、構想の検討作業を進めている「環境の村」の一部として、自然を生かした環境学習等のフィールド活用などについても検討を進めるものとする。

 なお、事業者に対しては、これまでの道としての取組みの経緯を踏まえ、真摯に対応するものとする。

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