択捉島~日本最北端の岬がある、日本で一番大きな島~

基本情報
位置
東経 146度51分~148度45分
北緯 44度25分~45度34分
面積
3,167.8㎢
※令和7年全国都道府県市区町村別面積調(1月1日時点)参照
北海道本島からの距離
144.5km
1945年当時の人口
3,608人
概要
択捉島の北端にある「カモイワッカ岬」は日本の最北端(北緯45度33分)であり、北海道本島、本州、四国、九州を除くと日本で一番大きな島です。
国後島と同じく火山島で、標高1,000m~1,600m級の山々がそびえ、一段の滝としては落差日本一(140m以上)の「ラッキベツの滝」や、切り立った白い崖が続く「ビラ海岸」など、豊かな自然が織りなす見どころに溢れた島です。
択捉島には、留別村(るべつむら)、紗那村(しゃなむら)、蘂取村(しべとろむら)の3つの村があり、戦前はそれぞれの役場を中心に市街地が形成され、行政や経済の中心地になっていました。
また、漁業が盛んで、中でもサケ・マスの水揚げは、四島随一でした。
郡・村
択捉郡留別村
1945年当時の人口は2,258人、世帯数は424世帯です。
東部の海岸線沿いは断崖状でしたが、西部は段丘や緩傾斜地に富み、岬もあり、随所に湖や沼沢もあり別飛川流域には、広大な泥炭地が見られます。
紗那郡紗那村
1945年当時の人口は1,001人、世帯数は226世帯です。
中央にあたる紗那は行政上の中心地となり、諸官庁がそろっていました。
蘂取郡蘂取村
1945年当時の人口は349人、世帯数は89世帯です。
鉱業は昭和3年開業した茂世路が知られています。
自然
火山
一番高い山散布山(1,587m)や西単冠山(1,566m)をはじめ、1,000m級の休火山、活火山が数多くそびえている火山島でもあります。
島内には、火山も含め標高500m以上の山が30以上もあります。
河川・湖沼
河川は、長さ28kmの蘂取川をはじめ、留別川(25.7km)、紗那川(21.3km)など比較的長いものもありますが、多くの山岳型の河川で急勾配の峡谷の深いところを流れ、長さも短く、急流なのが特徴です。
内保川、老門川、ラウス川、ポン川、比良糸川なども知られていますが、名もない川も数多く点在しています。
また、湖沼も多く、最大の湖は得茂別湖で、面積は5.81㎢、深さは48mです。
ここは昔、ベニマスが遡上してくる唯一の湖としても知られていたことから、ベニマスの養殖孵化場があり養殖が行われていました。
このほか、マリモが数多く生息していた内保沼、年萌湖、トウロ湖、蘂取湖などの湖沼や湿原が点在しています。
植物
トドマツ、グイマツ、ミヤマハイビャクシン、エトロフヤナギ、オクエゾシラカンバ、ミヤマザクラ、カラフトバラ、エゾシャクナゲ、エゾニワトコなど
産業
農業
紗那村、留別村の農事試作の結果によると、適作物は大体国後島と同じであるが、気象的自然条件に強く左右される面が多かった。
地形は一般に丘陵地で放牧経営に適する地帯が多く、草生の状況などから見て、飼料作物の栽培に期待をかけられていた。
畜産業
島民のほとんどが水産業者であり、牛馬飼養方法は各島と同じであった。
年中放牧が主であるが、放牧馬の集合用として必要箇所に追込木柵を設備し、また人家付近の農耕地には放牧牛馬の侵入を防止するため、簡易な柵を設ける程度で何の施設もなく、その増殖についても自然繁殖に委ねていたが、放牧適地が豊富なため、管理面の改善により馬産経営は有望視されていた。
また、畜牛の飼養についても極めて粗放であったが、肉牛、搾乳を目的とする牝牛の導入も計画され、合理的経営により充分な収益を挙げることが出来るものと期待されていた。
なお、クリル諸島の中部全域で行われていた養狐事業も択捉島でも有望な副業として行う者が増加していた。
林業
樹種は、針葉樹のトドマツ、チツカラマツ、広葉樹では、ガンビ、ナラ、ハンノキ、シラカバ、イタヤ、ナナカマド、シウリなどが主なもので、一般に針広樹とも海岸や風当たりの強い地域を除き、内部内保方面は生長形質とも比較的良好で、用材として利用価値の高いものが多く、一町歩あたり140k㎥に達する状況にあり、北進するに従い樹種、蓄積量が減少、形質生長とも不良となり、中部留別付近においては用材として利用されるものはわずかで、大部分は薪炭材に充てられていた。北部蘂取地区では薪材としての利用価値にも乏しい状態であった。
漁業
サケ、マスなどの主要漁業はもっぱら会社企業で、函館、根室、東北地方などからの出稼者によって漁業や処理がされていたが、タラ、コンブその他の雑漁は零細土着漁民の経営であった。
景勝地
ラッキベツの滝
落差140m以上ある直瀑の滝で、「一段の滝」としては日本一です
ビラ海岸
切り立った花崗岩の白い断崖が10kmも連なる荒々しい景観が特徴です
ライオン岩
萌消島は、通称「ライオン岩」と呼ばれ、絶滅危惧種の鳥「エトピリカ」の一大繁殖地です。
