資格審査を必要とする場合
労働者は、労働組合を自由に作ることができます。したがって、労働組合を作っても、どこへも届け出る必要はありません。
しかし、労働組合が労働組合法の定める手続に加わったり、救済を受けるためには、一定の資格要件を備えていなければならないことになっています。この資格の有無を審査することを「労働組合の資格審査」といい、次の場合には、その都度資格審査を受ける必要があります。
- 不当労働行為の救済申立てをするとき
- 労働委員会の労働者委員候補者を推薦するとき
- 法人登記をするために、資格証明書の交付を受けるとき
- 労働協約の拡張適用の申立てをするとき
- 職業安定法で決められている無料の労働者供給事業許可申請を行うとき
資格審査の基準
資格審査は、組合が次の要件を備えているかどうかについて行われます。
自主的な労働組合であるかどうか(労働組合法第2条)
- 労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上を図ることを目的として作られた組合であること
- 労働組合に使用者の利益を代表する者が加入していないこと
- 労働組合の運営のために使用者から金銭や物品などの援助を受けていないこと
- 共済事業や福利事業のみを目的としたり、主として、政治運動又は社会運動を目的とするものでないこと
民主的な労働組合として労働組合の規約に、次の事項が含まれているかどうか(労働組合法第5条第2項)
- 組合の名称
- 組合の主な事務所の所在地
- 組合員は、その労働組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱いを受ける権利を持つこと
- だれでも、どんな場合でも、人種、宗教、性別、門地又は身分によって組合員としての資格を奪われないこと
- 単位組合の役員は、組合員の直接無記名投票によって選挙されること
- 連合団体である労働組合にあっては、単位組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票によって選挙された代議員の直接無記名投票によって選挙されること
- 総会は、少なくとも毎年1回開催すること
- すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示した会計報告は、組合員によって委嘱された職業的な資格のある会計監査人の正確であることの証明書とともに、少なくとも年1回組合員に公表されること
- 同盟罷業は、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による賛成がなければ開始しないこと
- 単位労働組合の場合、規約改正に当たっては、組合員が直接無記名投票をして、全組合員の過半数の賛成を得ること。連合団体の場合は単位労働組合の組合員又はその組合員の直接無記名投票によって選挙された代議員の直接無記名投票による過半数の支持を得なければ改正しないこと
資格審査の手続き
労働組合が資格審査を申請するときは、資格審査申請書と立証資料を提出する必要があります。
資格審査は、公益委員会議において、提出された立証資料の審査をするほか、必要があれば事実調査も行います。
調査の結果、法の定める要件に適合しないと判断される箇所がある場合には、一定の期間を決めて補正を勧告します。組合が補正し、法に適合すると認められれば、資格決定書の写し又は資格証明書を交付します。
なお、労働委員会から資格を認められないとの決定を受けた組合が、その処分に不服の場合には、資格審査の目的が救済申立てに伴う場合を除き、その決定書の写しの交付を受けた日から15日以内に、中央労働委員会に再審査を申し立てることができます。