令和7年度畑地かんがい試験研究会

概要

令和7年(2025年)年7月10日(木)~11日(金)、畑地かんがい試験研究会を開催しました。
 本研究会は、畑地かんがい推進モデルほ場設置事業(以下、「モデル事業」という)により行われる畑地かんがいに関する試験・調査を効果的に推進し、これに関する情報を関係者間で共有することで畑地かんがいによる水利用技術の確立とその普及を図っていくことを目的としています。

 1日目は、上川総合振興局講堂(旭川市)で試験研究会を開催し、2日目は、同管内美瑛町で現地検討会を開催しました。
当日は、地方独立行政法人北海道総合研究機構各農業試験場の研究員をはじめ、北海道開発局、関係開発建設部、関係(総合)振興局、関係農業改良普及センター、北海道農政部のほか、一般財団法人北海道農業近代化技術研究センターから総勢約120名が参加し、調査結果報告及び意見交換を行いました。

【主な内容】

(1)各地区報告

「芽室びせい地区(芽室町)」の取組(十勝総合振興局南部耕地出張所)
(概要)
 芽室町の農業は、畑作4品(小麦・バレイショ・テンサイ・豆類)と加工用スイートコーンを中心とした大規模畑作経営に、ナガイモ・ゴボウ・ダイコン等の根菜類、えだまめ、キャベツ等の高収益作物を導入しながら、土地利用型農業の確立と所得向上を目指している。特に大規模経営では、さらに経営規模拡大意向が強く、より省力化が求められ、中小規模経営では根菜・そ菜等の高収益作物による所得の安定・向上が重要となる。今後、大規模経営における基幹作物の高位平準化、中小規模経営における根菜・そ菜等の高収益作物による所得の安定化、向上を目指すうえでは、末端散水施設の導入が重要である。特に、根菜・そ菜等の高収益作物では、計画的生産と収穫量の安定化が求められるため、より末端散水施設整備の必要性は高い。
 また、地域営農に合致した省力的な末端散水計画を検討し、かん水効果を確実に発揮するためには、地域の土壌条件、気象条件、栽培作物・栽培技術、区画規模に即した畑地かんがい技術の早期確立とその普及が重要となる。
 事業実施期間中(令和4年度~令和6年度)において、秋まき小麦・キャベツ・ブロッコリー・テンサイほ場では、生育調査の結果、かん水による生育促進効果が確認され、秋まき小麦は平均収量(令和4年度~令和6年度)で10%アップ、キャベツは平均収量(令和5年度~令和6年度)で22%アップ、ブロッコリーは平均収量(令和5年度~令和6年度)で15%アップの効果が見られた。キャベツについては、かん水区では8玉企画の割合が高く、品質向上効果も確認された。テンサイについては、収量調査(10aあたりの糖量)では、かん水区で7%の増収となったが、生育初期におけるかん水は苗の活着促進や、直播栽培における発芽率の向上に有効であるものの、生育期間が長いため、かん水効果が明確に表れない年(令和5年、令和6年)もあった。
 また、令和4年は、4月上旬からの少雨傾向で、土壌の乾燥が著しく進み、風食が発生しやすい状況となっていたが、同年4月27日(19.3m/s)、4月28日(17.9m/s)にの強風発生時において、風食防止を目的としたかん水を実施したところ、無かん水区と比較し、土壌の飛散が見られなかったことから、風食防止効果も確認された。

 上記地区のほか、道内4地区(美瑛、上磯、南幕別、赤井川)でも地域農業に適合した水利用技術の確立とその普及を目的にモデル事業を実施しており、その調査結果の報告について意見交換を行いました。
 今後とも、本研究会を通じて、畑地かんがいの技術を普及していくこととしています。

芽室びせい地区_手引書_表紙 (JPG 34.2KB)

<研究会の様子(旭川会場)>

会場写真 (JPG 406KB)

(2)現地検討会

 2日目は、畑地かんがいモデルほ場設置事業 美瑛地区の試験ほ場を見学し、かん水による作物の生育状況について確認しました。

現地検討会 (JPG 570KB)

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