第3回検討委員会・会議議事録(環境・エネルギー室)

 

 

第3回検討委員会・会議議事録(環境・エネルギー室)


 

 

 

第3回検討委員会・会議議事録

 

 

第3回深地層研究所計画検討委員会・会議議事録

1 日 時 平成11年3月19日(金)10:00~12:10

2 場 所 道庁別館12F 北方圏センター会議室

3 出席者 山口委員長代理、伊東委員、吉田委員、麻田委員、近藤委員
  科学技術庁 千原廃棄物政策課長補佐、玉井事務官
  核燃料サイクル開発機構 中神副理事長、圓山立地推進部長、鶴巻札幌連絡所長、
                   青木研究主幹
  (事務局等) 経済部資源エネルギー課 村井、板谷、村本
           水産林務部企画調整課 武内 
           留萌支庁 橋本、中嶋 宗谷支庁 大谷、上川支庁 今村

4 開 会
 ○事務局
  ・ 本日は、委員長の真田副知事、道立地下資源調査所長、水産林務部企画調整課長が所用のため欠席
   となっております。
  ・ 本日のために科学技術庁及び核燃料サイクル開発機構から来ていただいております。ご紹介いたします。
  科学技術庁原子力局廃棄物政策課の千原課長補佐です。玉井事務官です。核燃料サイクル開発機構の
  中神副理事長です。圓山立地推進部長です。青木研究主幹です。鶴巻札幌連絡所長です。

5 議 事
(1)高レベル放射性廃棄物の処分に関する各国の諸制度等について
 ○委員長代理
  ・ 議事に入らせていただきますが、最初は、高レベル放射性廃棄物の処分に関する各国の諸制度等につ
  いてであります。これについて、科学技術庁からご説明いただきます。
 ○科技庁
   (資料1に基づき説明)
  ・ 前回、第2回の検討委員会が2月10日に開催され、その時の説明及び質疑の内容を踏まえ、本日は高
  レベル放射性廃棄物処分に関する諸制度の概要と取組状況等について、我が国及び各国の事例を中心
  に説明します。 
  ・ 最初に、我が国における放射性廃棄物処分に係る諸制度の概要と取組状況について、資料の1~6頁
  を参考に説明します。
  ・ まず、1頁ですが、放射性廃棄物は、放射能レベルの高低、含まれる放射性物質の種類等により多種多
  様であり、この多様性を踏まえた適切な区分管理と、区分に応じた合理的な処理処分を行うことが基本的な
  考え方です。放射性廃棄物の処分に係る検討については、この表にありますように、まず原子力委員会に
  おいて処分方策の基本的考え方の調査審議が行われます。そして、この処分方策を踏まえて、原子力安
  全委員会において、安全規制の基本的考え方や具体的な基準の検討が行われ、行政庁は、これらの結
  果に基づき関係法令の整備に向けて検討を進めています。
  ・ 現在、処分に係る具体的な基準が検討され、関係法令が整備されているものは、原子炉施設から発生
  する放射性廃棄物のうち、放射能レベルの比較的低いもの及び放射能レベルの極めて低いものであり、具
  体的な事例としては、日本原燃が六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて埋設処分を実施し
  ており、また、日本原子力研究所が、動力試験炉解体時に発生したコンクリート廃棄物等の埋設実地試験
  を実施しています。
  ・ 次に2頁ですが、我が国における原子力の研究、開発及び利用は、昭和31年1月に制定された「原子
  力基本法」に基づき、「平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを
  行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資すること」を基本方針として進められています。原子
  力委員会と原子力安全委員会は、原子力開発利用に関する重要事項について、企画、審議及び決定す
  る機関であり、このうち安全の確保のための規制に関するものは原子力安全委員会が所掌しています。
  ・ 現在、放射性廃棄物の処理処分に係る法令は、主として安全の確保の観点から、「核原料物質、核燃料
  物質及び原子炉の規制に関する法律」、以後、原子炉等規制法と略しますが、と「放射性同位元素等によ
  る放射線障害の防止に関する法律」、以後、放射線障害防止法と略しますが、を柱に順次整備が進められ
  ています。4頁を見ていただきますと、例えば、原子炉等規制法においては、廃棄の事業を行おうとする者
  は、内閣総理大臣の許可を得る必要があり、その際、行政庁は、事業者の経理的基礎や計画的遂行に係
  る部分については原子力委員会、技術的能力や災害防止に係る部分については原子力安全委員会の意
  見を聴き、これを十分に尊重して可否を判断することになっています。  ・ このような制度的枠組の中で、
  放射性廃棄物の廃棄の業を行おうとする者に対し許可を与えるためには、まず、原子力の開発利用の計画
  的な遂行に支障を及ぼすおそれのないこと、事業者が技術的能力や経理的基礎を十分に備えていること、
  施設の位置、構造及び設備が放射性廃棄物による災害防止上支障がないことについて、国として、それら
  を判断する基準を持ち合わせておかなければなりません。また、事業者をはじめ一般にそれが示されてい
  なければ、計画を具体化することは難しいし、国民とりわけ立地地域の理解と信頼を得ていくことも難しいと
  考えられます。そのためにも、必要な検討や研究開発を推進し、処分に関する技術的要件を確立、体系的
  に整備するとともに、それらを社会に伝達していくことが重要になります。
  ・ 高レベル放射性廃棄物の処分についても、同様の考え方の下で現在まで進められてきています。資料6
  頁に示しているように、廃棄物を処分するために、所要の研究開発を鋭意進めながら、その処分方策がどう
  あるべきかの検討を行い、それらの成果について、技術的側面、経済的側面から事業者が備えるべき要件
  や安全基準等に反映していくことが重要です。また、社会的受容性の観点からは、研究開発の目的と成果
  を目に見える形でわかりやすく示すとともに、情報公開と透明性を確保し、国民とりわけ立地地域の理解と
  信頼を得るための仕組みを整備することが重要です。
  ・ 前回の委員会においても説明したとおり、我が国では、高レベル放射性廃棄物の地層処分を基本方針と
  しており、また、国際的にも、地層処分は最も好ましい方策とされ、所要の研究開発が各国において実施さ
  れています。我が国では、これまでの研究開発の成果、原子力委員会における調査審議等を踏まえ、技
  術的側面については、サイクル機構を中核的推進機関として進められている研究開発の成果が、本年末
  までに国際レビューを経て、「第2次取りまとめ」として公表されます。他方、制度的側面については、通産
  大臣の諮問機関であります総合エネルギー調査会原子力部会において、処分事業の制度化のあり方とし
  て、まず、実施主体のあり方と事業資金の安定的確保に関する検討が鋭意進められています。また、原子
  力安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部会において、安全規制の基本的考え方の策定に向けた検
  討がなされているところです。
  ・ 処分事業の中でも処分地の選定は特に重要です。事務局より配布されております昨年5月に取りまとめ
  られた原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会報告書においては、処分地の選定プロセスにつ
  いて、2000年を目途に設立される実施主体が、処分候補地の選定、処分予定地の選定、といった各段階
  を踏んで所要の調査を実施し、最終的に処分地を選定することとされていますが、国民及び立地地域の理
  解と信頼を得るために、長期間にわたる処分事業が今後どのように行われていくのかについての見通しを示
  しておく必要があります。また、報告書の第4章、28頁から31頁に記述がありますが、資金、実施主体に関
  連する制度に加えて、処分地選定のプロセスや関係機関の役割を法律などによって明確化しておくこと、
  選定の各段階において情報公開や透明性を確保するとともに、関係自治体や関係住民の意見の反映に
  努め、立地地域の理解と信頼を得ることが重要とされています。
  ・ なお、16頁に記述のあるとおり、処分懇談会報告書の取りまとめに当たり、国民の方々から深地層の研
  究施設の重要性が指摘される一方で、研究施設に廃棄物を持ち込むのではないか、研究施設あるいは
  その周辺が処分地になるのではないかといった不安や懸念が出されました。報告書においては、科学的
  な研究施設といえども地域住民に不安や懸念を惹きおこした状況では施設の建設や研究の推進は困難
  であるとしたうえで、サイクル機構の深地層の研究施設の計画は、実施主体が行う処分場の計画など処分
  地の選定プロセスとは明確に区別して進められるべきであるとされています。
  ・ 前回の委員会において、各国の処分に関する諸制度、とくに処分に関する法令の概要や、処分場と深
  地層の研究施設の関係について質疑がありました。
  ・ 前回同様、アメリカ、カナダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、フランスの6か国を事例として、資料の7~8
  頁に整理しております。この表は、本年1月に取りまとめられた総合エネルギー調査会原子力部会の中間
  報告(案)の資料編に掲載されているもので、前回ご説明した資料に加えて、各国の候補岩種、研究開発
  の方針と現状、スケジュール、法制面の根拠法についてまとめられています。
  ・ まずはアメリカですが、国の責任で使用済燃料を高レベル放射性廃棄物として直接処分するという基本
  方針に基づいて、1982年に、その政策、規制、責任体制、計画などを明確にするため「放射性廃棄物政策
  法」が制定され、連邦エネルギー省による2つの最終処分場のサイト選定、建設及び運転のスケジュールの
  プロセスや、深地層処分に関する技術を実証するための試験・評価施設を建設すること等が規定されまし
  た。この法律に基づき、連邦エネルギー省は1985年にミッションプランを策定し、処分場の候補地として3か
  所を選定、さらには1987年の「放射性廃棄物政策修正法」により、候補地は当面ネバダ州ユッカマウンテン、
  岩種は凝灰岩、の1か所とされ、連邦エネルギー省は処分の実施主体として、現在、同サイトの特性調査を
  実施しています。なお、サイト特性調査にあたっては、放射性廃棄物政策法により放射性物質の利用が禁
  止されています。
  ・ 高レベル放射性廃棄物の管理体系の中での各機関の役割としては、主に3機関に分担されており、処分
  に関しては、実施主体として連邦エネルギー省が研究開発の推進、処分場の開発の建設・運転を行うのに
  対し、規制主体として、原子力規制委員会が処分場の建設・運転の許認可及び安全規制を、環境保護庁
  が環境保護面の行政・監督の基準策定及び処分場の環境規制を行うこととされています。また、放射性廃
  棄物政策法においては、「処分場の計画及び開発に州及び公衆が参加することは、高レベル放射性廃棄
  物及び使用済燃料の処分の安全性について公衆の信頼性を得るために必要不可欠である」と規定されて
  おり、連邦エネルギー省では、施設の見学と現場研究者による解説、中高生や教師を対象とした教育プロ
  グラム、説明会、インフォメーションセンターの設置等が行われています。アメリカでは、今後、2000年の環
  境影響評価書の取りまとめ、2002年の建設許可申請に向けての研究開発を進めていくことになっています。
  ・ 次にカナダにおいては、連邦政府とオンタリオ州政府との間の政府間協定が締結され、両政府及び関
  係機関が共同して核燃料廃棄物の最終処分に取り組むこととされています。1978年に連邦政府とオンタリ
  オ州政府が締結した協定においては、「カナダ楯状地の花崗岩層の深い地層中に永久処分することが、
  放射性廃棄物の処分方法として、安全かつ安定的で、しかも望ましいということを検証する」とその目的が
  明記されています。これらの協定に基づき、連邦政府は1981年に核燃料廃棄物として使用済燃料を深い
  地層に直接処分するための研究開発を定めた10か年計画、いわゆる「核燃料廃棄物管理計画」を承認し、
  地層処分に係る所要の研究開発がカナダ原子力公社により1983年から本格的に始められています。
  ・ さらに、1981年の協定により、核燃料廃棄物管理計画の研究開発結果に係るレビュープロセスが定めら
  れています。核燃料廃棄物管理計画は1993年に終了していますが、その成果から、カナダ原子力公社は
  サイトを特定せずに一般的な形で処分概念を構築することとしています。なお、カナダ原子力公社が地下
  研究施設を設置するに当たり、地下研究施設に放射性廃棄物が持ち込まれたり、処分サイトになるのでは
  ないかとの懸念が地元にあったようですが、連邦政府エネルギー相が地元のラック・デュ・ボネ村議会あて
  に、そのような問題は起こらないとの見解を示したことにより、事態の鎮静化が図られ、建設と研究が開始さ
  れたという経緯があります。また、1992年に成立した「カナダ環境評価法」に基づき、カナダ原子力公社は、
  一般的な処分概念について、1994年に環境影響評価報告書を公表しました。これについては、専門家に
  よるレビューと公聴会が行われ、昨年3月に、処分概念については技術的に安全であるとの見解が示され
  たところです。今後、社会的受容性の観点も踏まえ、地下研究施設での研究開発を引き続き推進するとと
  もに、具体的な処分地の選定作業に着手することになると考えられます。
  ・ 次に、スイスにおける原子力法規の中心は、1959年の「原子力法」とその関連法令です。特に処分場開
  発に関しては、1978年の原子力法に係る連邦決議において、放射性廃棄物処分の発生者責任と継続的
  で安全な放射性廃棄物の管理と最終処分の保証を求めています。廃棄物発生者に該当する連邦政府と
  原子力発電所の運転及び計画をしている電力会社により、1972年に共同で設立されたスイス放射性廃棄
  物管理共同組合は、現在の規定では処分地の選定及び所要の研究開発を行うこととされており、1978年
  に公表した「放射性廃棄物管理計画」及び1992年の同計画の改訂に基づき研究開発を進め、1985年に
  処分概念の有効性を確認するための安全評価を連邦政府に提出しています。連邦政府はこの評価結果
  について、1986年に、地層処分の安全性が実証されたこと、適切な立地サイトを確定するという観点から
  地層調査を実施すべきこと、この調査には、結晶岩層に加え堆積岩層も含むこととしています。
  ・ スイスでは、処分地選定に必要とされる技術開発、計画策定や実施における経験の蓄積のため、1983
  年からグリムゼル地下研究所を建設し、花崗岩層を対象とした研究を進めています。なお、この研究所では
  最終処分も、実廃棄物を用いた試験の実施も予定されていません。さらに堆積岩層については、1996年か
  らモンテリの粘土層を対象として研究を開始しており、スイス放射性廃棄物管理共同組合では、2000年に
  堆積岩層の評価も含め総合安全評価書を取りまとめる予定です。
  ・ 続きまして、スウェーデンでは、2010年を期限とした原子力発電所の段階的廃止という1980年の国民投
  票を踏まえ、使用済燃料は約40年間の長期中間貯蔵後、高レベル放射性廃棄物として直接処分するとい
  う基本政策がとられています。1984年に「原子力活動法」が制定され、原子力発電所の許認可取得者は、
  放射性廃棄物の安全な管理と最終処分に関する包括的な研究開発プログラムを作成し、これを3年ごとに
  更新することが義務づけられるようになっています。このため、原子力発電会社は、スウェーデン原子燃料
  廃棄物管理会社を1985年に創設し、この活動は主に原子力活動法、放射線防護法、財源法で規定され
  ています。他方、規制機関としてスウェーデン放射性廃棄物国家評議会をはじめ3機関が活動指針を与え
  ており、このスウェーデン放射性廃棄物国家評議会は、専門家からなる科学委員会で、スウェーデン環境・
  天然資源省の直轄となっています。また、国土開発計画や環境保護等の観点から、1987年に制定された
  「天然資源法」など、原子力活動分野に限定されない複数の一般法についても、許認可等の手続きに関
  与する制度になっています。
  ・ スウェーデン原子燃料廃棄物管理会社では、深地層処分場の設計・サイト選定及びサイト特性調査に
  おいては、科学的調査が不可欠であるとして、1986年の研究開発プログラム作成の際に、深地層研究所
  の設置を決定し、調査を開始するとともに、1990年からハードロック研究所の建設及び研究が進められて
  います。なお、地元とは、同研究所をそのまま処分場とはしないことが合意されています。さらに、スウェー
  デンでは、1993年から予備的サイト特性調査が開始されています。
  ・ 次にドイツでは、現在、「原子力法」において、放射性廃棄物は発生後長期にわたる管理が必要である
  ため、これを深地層中へ安全に処分することは連邦政府の責任であると規定され、1989年に新設された
  連邦放射線防護庁が、事業及び研究開発の主体とされています。放射性廃棄物処分への取組について
  は、適切な深部母岩層として岩塩層が選定され、西側ドイツ北部の200か所以上の岩塩ドームが検討され
  た結果、高レベル放射性廃棄物を含む全ての放射性廃棄物の最終処分場としてニーダーザクセン州ゴア
  レーベンの岩塩ドームを調査、開発することになりました。この最終処分場開発計画は、当初、1974年に
  連邦政府が「原子燃料サイクルを閉じるための包括的計画」の一環として発表され、これは原子燃料サイク
  ル・バックエンド施設を1か所に集中するという構想であり、その立地地点としてゴアレーベンに照準が合わ
  されたものであり、1977年にゴアレーベンは処分候補地として選定されました。
  ・ しかしながら、この構想全体については、反原子力団体による反対が激化したことなどから政治論争に
  発展し、ニーダーザクセン州首相が受入れ拒否を決定したことにより修正を余儀なくされ、1979年に、各施
  設は必ずしも1か所に集中する必要はなく、ゴアレーベンにおいては当面、最終処分場の建設のための調
  査のみを続けることなどで、連邦と州との間で合意がなされています。地上からの調査結果報告を受けて、
  1983年に地下調査の閣議決定がなされ、1986年に地下研究施設の建設が開始されています。現在のと
  ころ、2012年に処分場の操業を開始することとされていますが、このためには、原子力法、行政手続法に
  基づく計画確定手続きが必要となります。この手続きでは、関係市町村での計画の一定期間の提示や関
  係者からの異議申し立て等による聴聞手続きを経て計画を確定することなどが定められており、住民等の
  意見が計画に十分反映されるよう制度として配慮されていると考えられます。また、放射線防護令や原子
  炉安全委員会の最終処分に関する安全基準など、必要とされる安全規制への対応も今後求められること
  になります。
  ・ 最後にフランスですが、従来、わが国の原子力基本法にあたるような法律は存在せず、原子力発電所や
  核燃料サイクル施設の立地は、全て政令によって行われてきましたが、高レベル放射性廃棄物処分に関し
  ては、1991年の「放射性廃棄物管理研究法」により、15年間の廃棄物管理研究開発の主要オプションとし
  て、地下研究所の建設を中心とした深地層における処分の実現性可能性研究が位置づけられています。
  この地下研究所の建設については、15年間の研究開発の結果、深地層処分が他の代替案より比較優位
  と証明されれば、第3者レビューを行う機関である国家評価委員会の総合評価を経て、立法措置により実
  処分場の建設へ移行されることとされています。また、同法には、深地層研究のための地下研究所の設置
  及び運転の条件に関し、計画に係る地元との協議の場、申請者の技術的、資金的能力、研究区域内の土
  地保有者の補償、地下研究所内における放射性廃棄物の中間貯蔵及び処分の禁止等について盛り込ま
  れています。さらに、1979年にフランス原子力庁の下部機関として設立された放射性廃棄物管理機関が、
  同法により、処分及び研究開発の実施主体として分離・独立し、政令により、1992年に廃棄物交渉官を設
  置、1993年に地下研究所の設置要件が定められました。また、1994年当時候補地に挙げられていた4県
  において、地域情報監視委員会が設置され、国、地元、放射性廃棄物管理機関の三者間の情報伝達、
  地元意見の聴取・調整が行われています。
  ・ このような取組を経て、1995年に地下研究所の候補地が3か所に絞り込まれ、1996年から地下研究所候
  補地における建設許可申請及び公聴会等が順次実施され、昨年12月に、そのうちの1カ所であるムーズ県
  に粘土層を対象とした地下研究所の設置が決定されたところです。
  ・ 以上、わが国の状況並びに各国の事例について、諸制度の枠組、特に深地層の研究施設と処分地の
  関係、それぞれの選定プロセス等の概要について説明しました。高レベル放射性廃棄物処分に係る各国
  の諸制度の枠組については、それぞれの事情に応じた取組がなされていると考えられますが、いずれに
  おいても、所要の研究開発を推進し、国民とりわけ立地地域の理解と信頼を得て進められるよう、関係機関
  が取り組んでいます。わが国においては、各国の処分への取組状況や事例についても勘案し、昨年5月に
  処分懇談会の報告書を取りまとめ、この報告書の趣旨を踏まえ、今後の制度化の在り方を鋭意検討してい
  るところです。北海道におかれましても、今般の深地層研究所計画の検討に当たり、各国の研究施設を実
  際に訪問し、調査、意見交換等を実施することも大変有意義と考えられますので、この席をお借りしてお薦
  めし、説明を終わらせていただきます。
 ○委員長代理
  ・ それでは時間の関係もありますので、議題2の深地層研究所計画についてサイクル機構から説明をいた
  だいた後、一括して委員の皆様から意見をいただきたいと思います。
 ○サイクル機構
  ・ 道庁におかれては、当機構が昨年12月18日に申し入れさせていただきました幌延町における深地層
  の研究について、真田副知事を委員長とする検討委員会を道庁内に設置していただき本年初めから早
  速検討スタートしていただいておりますことを厚く御礼申し上げます。我が国の高レベル放射性廃棄物の
  処理処分に係る研究開発は、原子力政策上きわめて重要な課題でありまして、当機構の進める研究開発
  の中でとりわけ深地層の研究施設は、技術的、社会的にも重要な施設として早期実現が望まれております。
  申し入れさせていただいております深地層研究所計画での研究は、地表調査の開始から予測結果の検
  証までに10年あるいはそれ以上の期間が必要と考えられることから、早期に、遅くても2000年には、地表
  からの調査、試験研究に着手したいと考えております。また、研究所計画においては、先の申し入れ時に
  お答えさせていただいておりますように、研究期間中はもとより終了後においても放射性廃棄物は持ち込
  むことはありません。放射性物質を用いた試験については、私どもサイクル機構の中の東海事業所の試験
  設備で実施する予定であります。さらに、当該区域を将来とも放射性廃棄物の処分場にすることはない旨
  明確にさせていただいております。幌延及び東濃における深地層の研究成果と茨城県東海における研究
  や国際共同研究等成果を組み合わせて高レベル放射性廃棄物の処分技術の確立を図って参ります。当
  機構といたしましては、今後とも、本計画に対する道民の方々のご理解がより一層得られるよう誠心誠意努
  力して参る所存ですので、北海道におかれましても前向きかつ早急な検討が行われることをお願いいたし
  ましてご挨拶に代えさせていただきます。それでは、引き続きまして幌延町における深地層の研究につい
  て説明させていただきます。
   (資料2に基づき説明)
  ・ 地層処分の研究開発についてですが、この図は前回にも説明させて頂きましたように、サイクル機構が
  実施する高レベル放射性廃棄物の処分に係る研究開発を示したものです。この研究開発のねらいは、我
  が国で地層処分が安全にできることを科学的、技術的に明らかにすることです。すなわち、地層処分を行
  う際に重要な地質環境条件は何かということを整理したり、あるいは、工学的に処分場が実際に建設可能
  かどうか、さらにまた、安全上問題にならないかどうかというようなことを科学的、技術的に明らかにすること
  です。このため研究開発を、地質環境条件の調査研究、処分技術の研究開発、性能評価研究の3つの
  分野から行っています。
  ・ また、これらの研究開発の前提として、我が国の地下深部の地層がどうなっているのか、なぜ、そうなって
  いるのか、今後どのようになっていくのかを知ることは、信頼性の高い成果を得る上で欠かせないことであり、
  このための科学的な研究として地層科学研究を行っています。この地層科学研究は、地層処分の場である
  地層、つまり、地下深部の地質環境についての科学的研究であり、地層処分に対する信頼性を得る上で
  不可欠のものであります。
  ・ 次に深地層研究所の位置付けについてご説明いたします。地層処分研究開発は、我が国における地層
  処分の実現可能性を示すことを目標としていますが、研究開発を進めるに際して、対象とする地域や岩石
  の種類を特定することなく幅広く進めることとしております。
  ・ このため、我が国の岩石や地層についてその水理学的特徴と岩盤工学的特徴の観点から、代表的な地
  質として割れ目系媒体で硬い結晶質岩系と多孔質媒体で軟かい堆積岩系を対象として、深地層の研究施
  設では研究開発を進めていきます。それぞれについて深地層の研究施設を設けて、第2次取りまとめによっ
  て示される地層処分技術の信頼性や実施主体が行う処分地選定のための技術的拠り所を実際の深地層
  での試験を通じて検証していくことを目的とします。
  ・ ここで得られた成果は処分の事業と国が行う安全規制の双方に適宜反映させていくことになりますが、
  当面のマイルストーンを実施主体が行う処分候補地での予備的調査及び処分予定地でのサイト特性調査
  の開始に置きます。これらの時期を目途に、それぞれに必要とされる深地層に関する科学的知見や調査
  技術を段階的に整備していきます。
  ・ 次に、総合的な研究の場についてですが、深地層研究所では主に、地層科学研究と地層処分研究開
  発を行うだけでなく、地震研究や地下空間を利用する研究等、地下深部の環境を活用した種々な研究を
  行うための場として、この施設を学会や産業界に提供したいと考えております。
  ・ また、深地層研究所の施設については、研究者のみならず、一般の人々が実際に深地層の環境を体験
  し、研究者との直接的な対話を通じて深地層への理解を深めていただく場として整備していきます。
  ・ 次に、深地層研究所における主な研究である地層科学研究と地層処分研究開発の2つについて、それ
  ぞれの目的についてご説明いたします。
  ・ まず、地層科学研究の目的については、一つは深部地質環境特性の把握であり、そしてもう一つは、調
  査技術の開発とそれに使用する機器の開発であります。深部地質環境特性の把握については先程も説明
  しましたように、地下はどうなっているのか、なぜそうなっているのか、将来はどうなるのかということを地下の
  岩石や地下水について明らかにすることであります。調査技術開発と関連機器の開発は、これまで個別に
  開発・改良してきた技術を系統的に組み合わせ、総合的な調査手法についての有効性を確認することで
  す。
  ・ もう一つの地層処分研究開発の目的は、堆積岩における処分システムの設計・施工に関する技術の開
  発と安全評価手法の信頼性の確認であります。堆積岩における処分システムの設計・施工に関する技術
  の開発については、実際の深い地下で工学的に可能かどうかということを確認することであります。これは
  処分技術の研究開発の主要な研究テーマです。安全評価手法の信頼性確認については、評価に使用
  する各種モデルの信頼性を確認することで、これは性能評価研究の主要な研究テーマです。なお、この
  信頼性確認には、地質環境条件の調査研究で整備された知見やデータが用いられます。
  ・ 次にこの図は、深地層研究所で行う研究や研究所の地上及び地下の施設の全体のイメージを示した図
  であり、その内容について、具体的に説明いたします。
  ・ 最初に、地層科学研究についてですが、物理探査は地表から行う調査であり、ヘリコプター等を使用し
  ての空中からの物理探査や地表からの物理探査、そしてボーリングを利用して地表から地下の地質や構
  造そして地下水の分布などについて推定します。
  ・ ボーリング調査も地表からのものですが、先ほどの物理探査のものよりも更に詳細な調査をボーリング孔
  で行い地下の構造を詳細に調べるとともに、先ほど述べました空中や地表からの探査の精度に関する評
  価も実施します。
  ・ 岩盤の透水試験と地下水の採水については地表からと地下坑道からの双方で行う調査であり、岩盤の
  透水試験はボーリング孔を使用して地下水がどのように流れているのか調べます。そして地下水の採水
  は、地下水の水質を調べるため地下深部から地下水を採取して調査します。
  ・ 坑道における調査試験研究と坑道掘削影響試験については、空洞を掘削しながら行うもので、主に地
  下で行う試験研究であります。坑道における調査試験研究は、比較的狭い範囲の地下水の挙動や岩盤の
  状況を詳細に調べるために、坑道から何本も掘削したボーリング孔を利用して、地下水の化学的性質の研
  究、地下水やそれに溶け込む化学成分がどのように動くのかという研究、さらには、坑道を掘削したらどの
  程度岩盤にダメージがあるのか、その範囲はどのくらいかという研究を実施します。
  ・ 坑道掘削影響試験は先ほど述べました、坑道を掘削したらどの程度岩盤にダメージがあるのか、その範
  囲はどのくらいかということを調べるための研究の一環であります。この研究は、計測坑道を先に掘りまして、
  あらかじめ計測機器をセットしておいて、それに平行した新しい試験坑道を掘ることによって岩盤がどのよう
  に変化するかを測定する試験の例です。
  ・ 次に、この地層科学研究をどのように進めるのか、その研究の進め方について説明いたします。深地層
  研究所計画においては、地下の岩盤や地下水の特徴を効率的かつ的確に調べる手法を整備するため、
  「調査試験によるデータの取得」、「取得データによる解析評価と予測」、「新規データによる予測結果の
  検証」というステップを繰り返しながら、「地表からの調査研究」、「坑道を掘削しながら行う調査研究」、「坑
  道を利用して行う調査研究」へと段階的に研究を進展させていきます。
  ・ 調査研究の進展に応じて取得されてくるより詳細なデータに基づき、深地層の地質環境への理解を深め
  ていくとともに、その過程で「調査-予測-検証」のステップを何度も繰り返すことを通して、調査手法や解
  析手法の改良および妥当性の確認を行っていきます。
  ・ これにより、第2次取りまとめで示される予定の地層処分に係わる適切な地質環境の要件に関し、実施
  主体が行う処分地の選定に求められるデータの種類や精度、また、国による安全基準や評価指針の策定
  に資することになります。
  ・ この図は、前回にも説明しました我が国の地層処分の安全確保の概念を示したものであります。安定な
  地質環境に人工バリアを含めます多重バリアシステムを構築して将来にわたって放射性廃棄物の影響が
  人間の生活環境に及ばないようにすることであります。ここで示しておりますいわゆる人工バリア等につきま
  して、これから説明します地層処分研究開発の研究の具体的な中身について触れますのであらかじめ念
  頭においていただきたいと思います。
  ・ それでは、地層処分研究開発について説明いたします。掘削法の適用試験では、掘削方法について
  の技術開発を行います。図ではトンネルボーリングマシンが描かれておりますが、幌延地域は堆積軟岩、
  非常に軟らかい岩質であり、この手法も含めいろいろな方法をまず文献や過去の事例を研究して最適な
  技術を開発いたします。次に人工バリアの試験では、熱源としてヒーターを用いた廃棄物の模擬体を使
  用して、埋設技術の開発を行います。本研究では、模擬の廃棄体容器を横に置いて周囲をベントナイト
  という水で膨らむ粘土で締め固めます。また、実際のオーバーパックの表面温度は100℃近くになると考
  えられるので、粘土が水を吸って膨らむ圧力と廃棄体の温度によって、熱の伝わり方や岩盤の伸び縮み、
  地下水の動きについて研究いたします。坑道のシーリング試験では、坑道を密閉する技術開発を行いま
  す。実際の処分場では最終的に処分場の坑道を閉鎖して処分を終了することとなるため、一般的にはグ
  ラウトと呼ばれる坑道周囲の割れ目の密閉技術や、プラグと呼ばれる掘削した坑道を密閉する技術開発
  を行います。
  ・ これら3つの試験研究で得られた試験結果を、人工バリアおよび処分システムの設計・施工に反映し、
  構築技術に関する検証やこれを踏まえた設計に関する研究開発を行います。また、人工バリアを含め、
  多重バリアシステムの性能評価モデルを開発します。
  ・ また、地上施設の試験室では、実際の地下水を使って人工バリア材の腐食などの化学的耐久性に関
  するデ-タを取得し、安全評価手法の信頼性を確認します。
  ・ 次に、深地層の研究を何故、幌延町で行うのか、その理由について説明いたします。大きく2つの理由
  に分かれます。まず、第一の理由は、本研究を行うにあたっての要件として、2つの点が挙げられることで
  す。一つは、地層処分研究開発のために深地層の研究サイトに求められる要件であります。それは、深
  地層の研究以前に過度のボーリング孔掘削や坑道掘削等により研究の場が乱されていないことと、試験
  の対象となる堆積岩が3次元的に十分な広がりをもって分布しているということ、かつ地下水が存在してい
  ることです。二つ目は、我が国において原子力政策を進めるにあたっては、地元の理解と協力が不可欠
  であり、幌延町におかれては、長年にわたり原子力の研究開発利用にご理解をいただいている点であり
  ます。
  ・ 次に第二の理由は、既存資料や文献調査等により、幌延町における地質環境の特徴として、次の諸
  点があげられることです。一つ目は、塩水系地下水が存在し、また、地下水の研究においては、塩水と
  淡水の境界部分の性質が研究できます。二つ目は、地震、活断層、隆起・沈降など最近 200万年位の
  地殻変動に関する研究ができることです。三つ目は、坑道の掘削段階における地下水と溶存ガスの地
  層中での動きに関する研究ができることです。四つ目は、断層及びその周辺の地質構造や断層運動の
  影響に関する研究ができることです。以上のような点などからも、幌延町は研究の場として適していると考
  えています。
  ・ もう一度まとめて説明いたしますと、幌延町には、深地層の研究の実施に必要な地質条件が整っている
  ことと、地元の理解をいただいていること、さらに、幌延町の地質の特徴に着目して、地層処分研究開発
  や地層科学研究の上からも重要な研究課題を多く実施できるということなど、これらの諸点から、幌延町
  で深地層の研究を行うこととしております。
  ・ 本研究においては、既にお約束させていただいていますように、ガラス固化体をはじめ、放射性廃棄
  物及び放射性物質を用いた試験は行わないことになっていますが、何故、そういうものを用いないで試験
  が行えるのかという点について、説明しておきたいと思います。
  ・ その理由としては、分析技術の進歩により、地下水や岩石中の極微量の元素分析が可能となってきて
  おり、トレーサーとして放射性同位体を用いなくても、非放射性の安定同位体を用いた試験が可能であり、
  深地層研究所では放射性物質を用いた試験は行う必要がないということです。
  ・ なお、放射性物質を用いた試験は、東海事業所の地層処分放射化学研究施設(QUALITY)で実施
  する予定です。この施設は、室内試験施設であり、深地層の研究施設で得られる具体的な地質環境条
  件を設定した試験のみならず、温度、圧力等のパラメーターを自由に変えた試験が可能です。
  ・ また、地層処分システムが及ぼす長期間にわたる人間環境への影響については、OECD/NEAが示し
  ているとおり、適切なモデルとデータの組み合わせによる現在の安全評価手法を用いて評価できるとの意
  見集約が国際的に得られている点です。なお、地質調査や土木工事で一般的に使われている密封され
  た放射性線源が組み込まれた測定器は使用いたします。
  ・ 次に合意をいただいた場合の本研究所計画のスケジュールについて、ご説明いたします。本研究所の
  研究の実施工程は、1年次から「地表からの調査研究」、「坑道を掘削しながら行う研究」、「坑道を利用し
  て行う研究」を順次段階毎に進めていきます。
  ・ 研究所の設置等、研究実施区域につきましては、幌延町と考えておりますが、その具体的な位置につ
  いては、最初の段階で行われる地表からの調査研究等で得られる知見により、決めていくこととしておりま
  すが、町をはじめとする関係者の方々とも相談した上で最終的には研究実施区域の場所について、決め
  させていただきたいと考えております。
  ・ 研究に必要な施設については、1年次から6年次頃までに地上施設の設計・建設、地下施設の設計を
  終了させ、14年次頃までに地下施設の建設を終了させる予定としております。
  ・ また、調査研究の内容は三つに分かれており、全期間にわたって行う地層科学研究と7年次ぐらいから
  予定しております地層処分研究開発、さらに外部の研究機関や自治体、企業などへ試験研究の場を提
  供する予定の地下空洞を利用する研究から構成されます。
  ・ 次に研究成果の反映先についてですが、前回も説明しましたが、この図は、深地層研究所計画のスケ
  ジュールと成果の反映先を、地層処分の研究の取組との関連で整理したものであり、深地層研究所での
  研究成果がどう反映されるかを示したものです。
  ・ 深地層研究所での研究は、20年間程度を予定しておりますが、そこで得られる成果は、東濃地科学セ
  ンターの超深地層研究所や東海のENTRY(地層処分基盤研究施設)やQUALITY(地層処分放射化学
  研究施設)で実施している研究、あるいは国際共同研究等の成果と合わせて、2000年を目途に設立され
  る処分の実施主体において2010年頃に開始すると見込まれる処分予定地でのサイト特性調査に必要と
  なる地表からの体系的な調査技術・手法を、提供する予定です。また、実施主体が2030年代から遅くと
  も2040年代半ばまでに処分事業を開始するために2020年頃までには必要とされる処分技術の実証のた
  めに必要な技術を、提供したいと考えています。さらに、国が進める安全基準や指針の策定にもこの成果
  を反映させていきたいと考えています。
  ・ 先程の深地層研究所のイメージ図にも示されていましたが、深地層研究所は、地上施設と地下施設か
  ら構成されます。まず、地上施設の概要について説明いたします。地上施設は、研究施設と付帯施設の
  二つに分けられます。研究施設については、研究者の居室、計算機室、実験室や支援管理部門の居室、
  会議室を含めた総合的な研究試験棟と、地質環境を調査するための先端的な機器の保守管理と改良な
  どを行うための機器整備倉庫(ワークショプ棟)、そして、ボーリング孔から採取される岩石試料などを良好な
  状態で保存し、迅速に取り出すことのできる岩芯(コア)倉庫などを建設する予定であります。
  ・ また、付帯施設としては、地元の方々に対して本計画のより一層の理解と協力を得ていく観点から、本
  計画の目的や実施内容、また原子力全般や地球科学等、科学全般への理解促進を図る展示館や、深
  地層の研究に係わる国内外の研究者の招聘等を積極的に進め、国際的な研究拠点を目指す上での国
  際交流施設、それから従業員の社宅等の厚生施設などを計画しています。
  ・ この図は、岐阜県の東濃で予定しております超深地層研究所の地上施設の外観イメージ図を示したも
  のでありますが、先ほど説明しました研究施設に関連する建物としては、だいたい同じような建物を幌延に
  おいても建設していきたいと考えています。
  ・ 次に、地下施設について説明いたします。地下の施設は500メートル以深を目処に展開する試験坑道を
  主とし、これと地表を結ぶアクセス坑道及び通気立坑より構成されます。ここでは、地下施設として考えら
  れる三つのイメージ図を示しました。また、海外での事例についても示しております。なお、パンフレット等
  には、らせん坑道いわゆるスパイラル方式のイメージ図を載せておりますが、具体的なレイアウトについて
  は、地表から行う調査研究段階において得られるデータに基づき、幅広く検討したいと考えております。
  ・ 次に深地層研究所計画の人員と予算について説明いたします。なお、これら人員及び予算について
  は、おおよその数字を示していますが、今後の研究計画を具体化する時点で詰めていくこととしておりま
  す。人員の方は、各調査段階で構成が異なりますが、本計画では、地質学、水理地質学、地球化学、岩
  盤力学、物質移行、土木工学技術等の研究者が配置されます。具体的には、これらの要員につきまして
  は、サイクル機構の内外から、深地層の研究に従事する研究者及び研究施設の建設や維持管理に必要
  な技術者を合わせて、100名程度の配置を見込んでいます。この他に、施設運営に必要な人員として、管
  理部門要員と、警備や清掃を含めた施設構内保安要員、それぞれ30名程度の配置を見込んでいます。
  これらの要員のうち、必要に応じて地元雇用を優先していきたいと考えています。本計画に必要な予算に
  ついては、施設の建設費として地上施設が約 110億円、地下施設が約 200億円、そして展示館や国際
  交流施設、厚生施設等の付帯施設に約30億円を見込んでいます。さらに、毎年実施していく調査研究に
  係る予算を約35億円と見込んでいます。合わせて、必要な用地を確保していきます。
  ・ 本研究計画の運営にあたっては、開かれた研究を目指して、ここに挙げております四つの点に留意して
  取り組んで参りたいと考えております。まず、1点目の国際的研究拠点の形成についてですが、地下深部
  を対象とした研究は、世界的に例が少なく、極めて学術的な研究テーマであり、国内はもとより海外の研
  究機関や専門家にも広く参加していただき、国際共同研究の実施や研究者の招聘等を積極的に進め、
  国際的に中核となり得る総合研究センターを目指していく考えでおります。2点目の学術的研究の展開に
  ついては、地下深部の環境や、この地域の地質学的な特徴を活用した様々な学術的研究の場として、
  施設を学会や産業界に提供していきます。また、3点目の透明性を確保するために、深地層の研究に係
  る研究内容やその成果等の情報は、情報ネットワーク等を使って幅広く公開していきます。また、一般の
  方々が実際に深地層の環境を体験し、深地層の研究への理解を深めていただく場として開放するととも
  に、地域の方々との意見交換などを行っていきます。4点目の地域との共生につきましては、地元雇用を
  優先するなど、地元地域の振興に協力しながら、地域との共生を積極的に進めていきたいと考えており
  ます。
  ・ 最後にサイクル機構としては、昨年12月の申入れ時に申し上げたとおり、幌延町における深地層の研
  究では、研究実施区域に、研究期間中はもとより終了後においても、放射性廃棄物は持ち込まないし、
  使用することはありません。また、当該区域を将来とも放射性廃棄物の処分場にすることはありませんと、
  明確に約束させていただいております。
  ・ 以上で、ご説明を終わりますが、今後とも本計画に対するご理解が得られますよう誠心誠意努力してま
  いる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。
(質疑)
 ○委員長代理
 ・ ただ今、科学技術庁、核燃料サイクル開発機構からご説明がありました。
 ・ ご質問あるいはご意見をいただきたいと思います。
 ○委員
 ・ 例えばダイオキシンに関する報道での風評被害的なものがありまして、風評被害に対し農業関係、地域
  の人たちは非常に敏感に感じてます。結局、誤った報道、誤ったデマで風評被害が出るのではないか。
  そういうことでその施設についてPRをきちんと行うことは大切なのですが、100パーセント風評被害を防げ
  るのかということとは、別だと思います。深地層の研究施設の設置・運営に伴って各国で風評被害に関す
  ることを何か考えられているのか、その対策を検討されているのか、あればお話いただきたいと思います。
 ○科技庁
 ・ 風評被害について調べてみたのですが、結果としては、風評被害が現にあり対策がなされているという
  情報は得られておりませんし、承知しておりません。
  ・ 深地層の研究施設に関し、放射性廃棄物を持ち込まないし、また放射性物質も使わないので、放射性
  物質に起因した風評被害がおこることは考えられないのではないかと考えております。ご指摘がありました
  ように、地元の方々が心配されるところではありますが、研究の当事者であるサイクル機構、また科学技術
  庁としても、しっかりと情報公開をし、説明もし、そういった不安があれば、真剣に誠心誠意取り除いていく
  ことが大事であると考えております。
 ○委員
 ・ 放射性廃棄物の法規制の体系を説明いただいたのですが、資料1の1頁と4頁との関係について、確認
  させていただきたい。1頁の高レベル放射性廃棄物について、安全基準などがまだ未制定なので検討す
  る。一番最後の列に関係法令の整備状況について今後整備と記載されていますが、高レベル放射性廃
  棄物については4頁の法的仕組が適用にならないという意味なのか、それとも法規制の仕組が適用になる
  のだけれども、安全基準を定める必要があるので、今後整備するということなのか。そこのところを確認した
  いのですが。
 ○科技庁
 ・ まず4頁については、現在既に整備されています低レベル放射性廃棄物の規制体系の例であります。
  高レベルについては、今指摘がありましたように、まず考え方として原子力委員会で基本方針は地層処分
  ということであり、今後の制度整備等について処分懇談会の報告がまとまりました。これを踏まえ、昨年の6
  月から安全規制の基本的な考え方について、1頁の真ん中あたりの斜線のようになっているところですが、
  検討中となっております。そこを考えてから順次、高レベルの廃棄、埋設の時の事業の安全規制を組み立
  てていくことになっていきます。先ほど説明したとおり、基本的な考え方として、原子力委員会の検討を踏
  まえ、それから安全委員会が基本的な考え方等を検討し、それを踏まえて関係法令の整備に至るという
  考え方は低レベル時と同じように考えていくわけですが、現状としては、高レベルについてはまだ安全規
  制の基本的な考え方が検討されている最中でありますので、関係法令も整備されていないという状況です。
  ・ 4頁については、例として、低レベル放射性廃棄物のうち、現在、具体的基準まで整備されているものの
  規制体系であり、最初の設計、建設段階から実際の操業中、それから最終的な廃棄に至るまでそれぞれ
  の段階で規制が行われているという一例を参考として示しております。また、建設前段階において原子力
  委員会には計画的な遂行、経理的基礎について、原子力安全委員会には技術的能力と災害防止という
  観点で、内閣総理大臣が諮問して、実際の行政庁は科学技術庁でありますが、それを受けて許可の可否
  を判断します。その後各段階において規制がなされるという枠組については、原則こういう流れでいくであ
  ろうと考えております。
 ○委員
 ・ 機構の方に聞きたいのですが、今回の幌延の選定に関連して、もともとここについては貯蔵工学センター
  の計画がありました。今回、放射性廃棄物を持ち込まない施設としての深地層研究所になったわけですが、
  選定理由については貯蔵工学センター計画の深地層試験場の場合と今回の場合とは同じなのか、変わ
  ったのか、教えていただきたい。
 ○サイクル機構                              
  ・ 深地層の研究施設については、基本的には変わっておりません。貯蔵工学センター計画にあった深地
  層試験場と今回の深地層研究所については、研究の場としての選定に係る基本的要件は変わっておりま
  せん。
 ○委員
 ・ 先ほどの説明の中で、ここでの成果を処分地の選定から実際の処分まで活かして、という話でしたが、例
  えば地下水などの問題は、どちらかといえばその場所固有の特性、特徴という感じがするのですけれども、
  ここでの研究は汎用性のあるものなのか、ないものなのか、教えていただきたい。
 ○サイクル機構
 ・ 汎用性のあるものをまとめていきたいというのが研究の目的の一つです。今お話があったように個々固有
  のデータと見られるものもあるでしょうが、調査手法、解析方法、評価手法については、堆積岩について一
  般性がある、そういうようなものを目指してやっていくわけです。
 ○科技庁
 ・ 付け加えさせていただいてよろしいですか。私の言葉で例えますと、先ほどサイクル機構からも説明が
  ありましたように処分候補地、処分予定地そして最終的に処分地というように絞り込んでいくわけですが、
  当然、最初は全国の中からどこがいいかということを調査しなければならない。調査に当たっては、当然
  いろいろな影響がでないように、地下の岩盤が乱されないように行うことがやはり一つあるわけです。岩盤
  は天然バリアとして放射性核種が出てくることを防ぐものですから、そうするとできるだけ地下の環境を乱さ
  ないように、例えば地上から電磁波で地下を調べるとか、空中からの物理探査で、地下の状況をできるだ
  け最小限の手法で最大限地下の構造がわかるという技術を確立しなければならない。そうだとすると、まず
  勉強しなければならなくて、深地層の研究が必要であって、例えばある深地層のサイトスペシフィックにそ
  こだけで通用するやり方をしたのでは他に適用性がないわけです。花崗岩のときはどうか、堆積岩のときは
  どうか、日本のメインな地層であります二つについて、ちゃんとそういったことを日本のどこでも行えるといい
  ますか、ジェネリックな意味で一般的に適用できる、そういったことを研究開発をするということが重要と理解
  しております。
 ○委員
 ・ 深地層の研究所の施設はそのまま処分施設にも転用ができるものだと考えていいのか、それとも研究施
  設は処分施設の性格や内容からいって全く別のものと考えていいのか。
 ○サイクル機構
  ・ ここではお約束させていただいておりますように、放射性廃棄物を持ち込んだり、使用することはしない
  し、処分場にはしません。
 ○委員
  ・ それはわかっております。それは再三、説明いただいていることだし、はっきりしていることだと思います。
  ただ、施設の性格として考えた場合、どうなのかということです。
 ○サイクル機構
 ・ 施設の性格という意味がわからないのですが、技術的な観点から説明するならば、実際の処分予定地
  で実施主体が行うサイト特性調査とか、それから処分技術について、例えば坑道の堀り方ですとか、人工
  バリアの設置の方法等に役立つように深地層の研究を行っていくわけですから、当然実際の処分に際し
  ては、これまで学んだこと、あるいは確認したこと、検証したことが使われるということです。ご質問の性格と
  いうことについて、説明願いたいのですが。
 ○委員
 ・ 深地層の研究施設は、処分施設に使えるものなのか。それとも、処分施設にするとすれば構造はこうい
  うふうにしなければならないし、坑道の堀り方はこうでなければならない。そういった異なったものなのか。
  物理的な面でどうかということなんです。
 ○サイクル機構
 ・ 例えば、アメリカのエネルギー省が行っているユッカマウンテンプロジェクトでは、研究したところをその
  まま処分場にするわけではないのです。調査研究の結果、そこは穴が多くあいていますから好ましくない
  ということです。
 ○委員
 ・ そういったことを確認したかったのです。実際上無理だということですね。
 ○サイクル機構
  ・ 深地層の研究ではまだ位置決めはしておりません、どこを研究区域にするかをこれから検討するわけで
  すが、そこでいろいろボーリングを行っていくわけです。そうすると研究によって地層が乱されていきます。
  処分場の場合はできるだけ人工的な負荷がかからないようなところを考えているという観点からすると、研
  究エリアが技術的に本当に処分場に適するかどうかという問題になると思いますが、その場が乱されている
  という点からすると好ましくないということです。
 ○委員
  ・ 幌延の選定の時にも話があった幌延の地層について非常に研究に適性があるという話でしたが、そうい
  う地層は全国的に見て他にもあると考えてよろしいのですか。 
 ○サイクル機構
  ・ これが堆積岩の中でも第三紀の堆積岩が分布している分布図です。このあたりが幌延になるわけです
  が、堆積岩そのものは日本の表面の6割ぐらいに分布しており、そのうちの4分の1ぐらいが新第三紀です。
  それがここになるわけです。幌延の堆積岩は全体の中でも若干柔らかい、岩石強度からいいますと多少
  柔らかい方の部類に入りますが、一般的な第三紀の堆積岩の中に入っているということです。後は活断層
  の研究ができるということについてですが、この図で線で引いているところが活断層です。幌延のところは
  この図にはのっていないですが、活断層の可能性がある大曲断層というものが分布しておりますので、そ
  の大曲断層で調査研究手法を確立し、日本各地に2000本ぐらいある活断層の研究手法として手順、や
  り方、評価方法、調査手法に適用できるようなものをめざします。また、すでにあるものを精度をあげて確実
  にするという研究もできると思います。したがいまして、先ほど幌延の地質の特徴に着目した研究課題とし
  て四つほど説明しましたうち、活断層の研究ができるとか、隆起・沈降の研究ができるとか、それぞれの研
  究分野において、他地点で適用できるような調査手法を開発します。ただし、適用できるといっても、幌延
  で行ったものをそのまま適用するということではなく、それぞれの地点の固有の個性みたいなものがあります
  から、多少変更しなければなりません。基本的なところを確立しておき、場所場所の個性に合わせて若干
  の手直しで対応していくという技術的な確信を得るということが、深地層の研究でできるということです。 
 ○委員
  ・ 地層的にいえば同種のものは他にもある。技術的な条件としては、他を選定してもいいということですね。
 ○サイクル機構 
 ・ そうです。 
 ○委員
 ・ 幌延についての決め手というのは、地元の理解が得られるということが他と比べて優位性があったと考え
  ていいですか。
 ○サイクル機構
  ・ 地元の理解を得られるという点でいえばそうなんですが、1か所でなるべく多くの重要な研究ができるとい
  うことです。例えば、ある所では活断層の研究はできますが、隆起・沈降の研究にはむかない。そういうとこ
  ろもあるわけです。したがって、先ほどお示ししたいろいろな研究が幌延ではできるということです。 
 ○委員
  ・ そういう性格からすると、幌延というのは研究施設としては非常に適している。処分施設としては地層的
  に必ずしも適しているというわけではないと考えていいですか。 
 ○サイクル機構
  ・ 処分地としてどのような地質環境が適当かどうかは評価されてないわけですからわかりません。 
  ・ 参考までに非常にいい図面がありますので、紹介させていただきたいのですが、この図は科学技術庁
  の振興調整費で5年間にわたって行われた日本海東縁部の地震発生機構に関する研究成果です。代
  表者は東大海洋研究所の平朝彦教授です。日本海東縁部では新潟地震、日本海中部地震、それから
  奥尻島で津波もありました。このあたりにプレート境界があるのではないかと言われており、それについて
  研究されたもので、5年間の研究成果の発表が先月に行われました。非常に重要なことは、奥尻島の津
  波被害があったところ、ここに地質学的なひずみ集中帯という新しい概念が提起されたわけですが、この
  一帯にひずみ集中帯があるという推定なのです。ということは何を意味しているかというと、やはり津波被害
  ですとか地震被害というものの可能性があるということなのです。したがって、地域住民の生命と財産を守る
  という観点から、このあたりの研究が非常に必要と考えられるわけです。地震観測網は、阪神淡路大震災
  以前は幌延付近にはほとんどなく、当時の動燃の地震計が一台あって、あとはほとんどなかったと思いま
  す。確か平成7年度の補正予算で若干補強されまして、また、現在北海道大学の先生の指導のもとに観
  測網が一部補強されていますが、まだ足りないのです。ここはもともと地震が起こってないところというか、
  実際に、本当に地震が起こらない地域なのか、あるいは地震空白域、すなわち、ひずみがたまっていて、
  そのうち大きな地震が起こる可能性がある地域なのか、どちらなのかまだはっきりしてないのです。そこで、
  ここは隆起・沈降等の研究も含めて行う必要があるという提言がされているわけです。したがって、サイクル
  機構が原子力の関係で行う研究以外に、こういう研究の対象となる場所でもあると考えているわけです。で
  すから、総合的な研究施設と申し上げているのは、地震研究、地震防災、津波防災の観点からも非常に
  重要な地域だということが明らかになってきているということについてもご理解いただきたいと思います。その
  ために、深地層研究所は大学の先生方にとっても非常にメリットがあるし、直接すぐに防災には繋がらない
  かもしれませんが、非常に重要なことではないかと思います。 
 ○委員 
  ・ 道議会の中でも、なぜ幌延なのかということについて、問題点が二つある、どのような考え方で、あるいは
  どのような理由で幌延を選んだかということと、どのような手続きで選んだかという、二つの問題があると思う
  のです。前者についてはサイクル機構の資料のとおりだと思いますが、どのようなプロセスで地下研究所と
  して幌延を選定したのかということについて、考え方を聞きたいと思います。エネ庁の資料によるとフランス
  の場合は公募方式で4か所、もう一方特徴的なものとしてスウェーデンのように、全国一斉に地質等の調査
  を行って、数か所に絞り込んでいくと、この二つのやり方があると思いますが、日本の場合はどういう考え方
  で絞り込んだのか聞きたいと思います。
 ○サイクル機構
  ・ 今のご質問はどのような考え方かということと、どのような手続きかというご質問だったかと思います。 
 ○委員 
  ・ 考え方は資料に書いてあります。 
 ○サイクル機構  
  ・ 手続きについては全国的に絞りこんでいくという手続きではありません。私どもは幌延というところが研究
  にふさわしいかどうかという検討をしました。 
 ○委員 
  ・ 誘致の表明があったから、幌延を選んだということでよろしいですか。
 ○サイクル機構 
  ・ 先ほど説明したように、技術的な要件と地元の理解というのが基本的な二つの要件だということです。幌
  延町におかれては、これまで原子力関連施設に関して理解をいただいてきております。 
 ○委員 
  ・ 他の地域で誘致といいますか、深地層研究所を地元にという地域はなかったのですか。 
 ○サイクル機構 
  ・ ございませんでした。繰り返しになりますが、処分地選定プロセスにあるような公募方式とか申入れ方式
  とか、そういう点で、この研究所を考えているわけではありません。あくまでも技術的な面と地元の理解、こ
  の両面から幌延にお願いしたいということです。
 ○委員 
  ・ 深地層研究所の計画スケジュールについてですが、これを見ると深地層研究と処分事業スケジュール
  について、深地層研究を実施している最中に処分予定地の選定に入るとも読みとれるわけです。原子力
  長期計画によれば処分場の計画と深地層研究計画とは明確に区別すると言われておりますので、本来
  であれば研究が終了し研究成果の上に立って放射性廃棄物の処分方法を選択する、地層処分が選択
  されたら、その次に処分予定地の選定を行うのが普通の流れではないかと私としては考えるわけです。
  それで端的にお尋ねしたいと思いますが、処分事業の実施主体が設立された後に、幌延の深地層研究
  の成果をサイト特性調査としてみなすことはないかということが一点と、それともう一点、幌延で深地層研
  究をやっている最中に、処分事業の実施主体がその近傍、周辺地域、周辺市町村を含めてですが、そ
  の地域で併行して深地層の研究とサイト特性調査を行うことはないのか、この二点について伺います。
 ○科技庁 
  ・ 最初にご指摘されたお考えについてですが、深地層研究が終了してから、段階的に候補地、予定地、
  処分地の選定に進むべきではないかというご意見かと思います。これについてはサイクル機構からの説明
  にもありましたように、それぞれのフェーズ、候補地、予定地選定のために調査が必要で、その次にはサイ
  ト特性調査が必要なのですが、そのような調査を行うのに足る十分な研究開発をおこなったうえで、使える
  ものを順次反映していくということですので、そのフェーズ、フェーズまでに必要なものを研究成果として、
  きちんとした知見に基づいて整備していくという考え方でございます。 
  ・ それから質問にありました深地層研究がサイト特性調査にみなされてしまうのではないかという観点につ
  いては処分懇の報告書を見ていただければと思います。実施主体が行うサイト特性調査はまさに処分地
  にするかどうかの判断をする調査で、そういう意味では処分地選定プロセスの一環であります。そのことを
  念頭に入れつつ、処分懇の報告書の16頁3の地域住民の理解というところについて、2行目あたりから
  読ませていただきますが、国民の方々から、このような深地層の研究施設の重要性を指摘する意見の一方
  で、研究施設に廃棄物を持ち込むのではないか、研究施設あるいはその周辺が処分地になるのではない
  かといった不安や懸念が出された。処分懇としては、それに応えまして、科学的な研究施設といえども地
  域住民に不安や懸念を惹きおこした状況では施設の建設や研究の推進は困難である。動燃事業団さら
  にこれを改組した新たな法人が行う深地層の研究施設の計画は、実施主体が行う処分場の計画など処
  分地の選定プロセスとは明確に区別して進められるべきであると示しており、これがバイブルといいますか、
  大原則だと考えております。したがって、機構が行う深地層の研究がサイト特性調査として位置付けられる
  ことはない。これは先ほど機構からの説明にもありましたように、深地層の研究施設の研究というのは、研究
  開発の位置づけの中で、ジェネリックな視点での調査をするということです。他方、サイト特性調査は処分
  地選定の手続きの中で、処分候補地から予定地に進んだ段階の後に、サイト特性調査により、その場所が
  本当に処分地として適しているのかどうかを決めるわけですから、目的が全く異なりますので、深地層の研
  究の結果がサイト特性調査に結びつくことはない。また、付け加えになりますが、知事へ長官名でお出し
  した文書にもありますように、北海道知事をはじめとする地元が放射性廃棄物の処分場を受け入れない意
  思を表明されているもとでは、当然、高レベル放射性廃棄物の処分場になることはないということであります。
 ○委員 
  ・ この場合は処分予定地の選定についても同じような考え方ということでよろしいのでしょうか。処分予定地、
  あるいは処分候補地の選定について地元が了承していないという状況のもとでは当然ならないということ
  ですか。
 ○科技庁 
  ・ 北海道知事宛に大臣名でお返しした文書に明確に北海道知事をはじめとする地元が、これには中間
  貯蔵のことも入っていましたが、放射性廃棄物の処分場を受け入れない意思を表明しているもとでは、北
  海道内が高レベル放射性廃棄物の処分場の立地場所になることはないということを約束しており、ここの
  ところは処分地の選定プロセスの趣旨を踏まえた大臣からの文書、国の見解だと理解していただきたい。
  ・ また、処分懇の報告書には、深地層の研究施設の計画について、処分場の計画など処分地の選定プ
  ロセスとは明確に区別するとされていまして、これを踏まえて行政庁としては諸施策を行ってまいります。
 ○委員 
  ・ 研究所についての法律的な位置付けがはっきりしていない中では、やっぱり放射性廃棄物が持ち込ま
  れるのではないかという懸念がある。そこでいろいろな議論の中には地域の側で持ち込まないような仕組
  みが考えられないのかという議論が出ている。原子力発電、あるいは核廃棄物の処分などについての国
  の権限と地方公共団体の役割の関係をどう考えたらいいのか。それとの関連で、岡山県湯原町の条例で
  持ち込みを拒否するという条例を作っていますが、これについてどのように評価されているのか、お聞きし
  たい。 
 ○科技庁 
  ・ 最初の国と地方との役割についてですが、国は例えば原子炉等規制法によって規制をするとか、また
  電気事業法によって設置の許認可も行っているものでありまして、国の権限でもって設置が安全なのかどう
  かなどを見てます。商業用発電炉を設置する時には、例えば公開ヒアリングを行って地元の方々のご意見
  をいただくというプロセスが行われているわけでして、いずれにせよ、原子力施設は地元のご理解、ご協力
  なしには前には進めない、ご理解、ご協力が不可欠であり、意見をいただきながら、反映しながら判断して
  いくものと考えております。 
  ・ 条例の話ですが、条例を定めることについては憲法及び地方自治法で地方公共団体に与えられている
  権能であります。ご指摘の件については、国の方が何かいう立場にはないと思っており、放射性廃棄物の
  持ち込み禁止に関する条例はできておりますが、これは持ち込みを禁止するという市の姿勢、意思を明確
  にされたものと受け止めております。 
 ○委員 
  ・ 先ほどの話の関連で言えば、条例も地域の意思表示であり、そういう意思表示があるもとでは先ほどの文
  書の考え方からいうと地層処分場になることは考えられないということになるのですか。
 ○科技庁 
  ・ はい。 
 ○委員  
  ・ 研究スケジュールの関係で仮に事業を実施するということになれば、かなりの量の土砂が発生します。
  それをどこかに置いておくことと、地下水が恒久的に発生するということが考えられますが、自然環境等に
  対する環境に与える環境調査といいますか、アセスメントについては当然実施をするという考え方でよろし
  いですか。
 ○サイクル機構  
  ・ 関係法令や条例に照らし、具体的に進めて参りたいと思っており、当然北海道をはじめ自治体とも相談
  させていただきたいと思っております。特に環境調査については私どもも自主的にやらなければならない
  部分も含めて今後検討していきたいと考えております。
 ○委員 
  ・ 研究施設あるいは付帯施設の設置のために必要な面積、想定されている面積はどれぐらいですか。 
 ○サイクル機構 
  ・ 地下施設については、坑道を掘るまでに町内でどこにするかということをまず決めなくてはならないわけ
  です。さらにご質問のあった、どれぐらいの範囲なのかということでいいますと、町内から出ることはありませ
  ん。地下施設の縦と横からいいますと数キロメートル以上になることはありません。レイアウトについては、
  6年間程度予定しております地表からの調査結果を見て、具体的なレイアウトを決めていきたいということ
  です。 
 ○委員  
  ・ 地下の部分はいろいろあるでしようが、地表上の用地取得の面積はどれぐらい想定されているのかとい
  うことです。 
 ○サイクル機構 
  ・ 1辺の長さで最大でも1~2キロメートル程度ではないかと考えております。 
 ○委員長代理 
  ・ 処分に関する法整備について、資料1の6頁にあるように実施主体が2000年以降に処分地を選定する
  わけですが、このプロセスについても法の中で明確にされるのか、ある意味ではそこをしっかりとさせること
  が地域住民に安心感を与えることになると思います。
 ○科技庁 
 ・ これについては、前回、少し説明させていただいたと思いますが、処分懇が我々の基本になるわけでし
  て、処分懇の報告書の28頁から29頁に処分地選定プロセスが示されております。例えば28頁(1)の選
  定プロセスの明確化のところで、国と電気事業者など関係する機関が必要な役割を果たしていくにあたり、
  処分地選定のプロセスと役割を法律などによって明確化しておく、また29頁(4)の関係自治体や関係住
  民の意見の反映のところで、情報公開や透明性を確保するとともに、処分地の選定を行っていくうえで、関
  係自治体や関係住民の意見の反映に努め、立地地域の理解と信頼を得ることが重要という指摘がされて
  いるところです。したがって、こういったことも踏まえて制度化がこれからされていく状況ですが、当然、これ
  を念頭に置いて慎重に検討していく課題であると考えております。  
 ○委員 
  ・ 先ほどからいろいろな説明の中で処分地にしないという話がありました。道民が不安に思っているのは北
  海道の中に原発があるわけですから、確実に廃棄物をどこかで処分しなくてはならない。それは日本全国
  どこでもそうだと思いますが、みんな処分地にしないと言ったところで、じゃあどうするのですかということにな
  ります。だから、処分地にしないとは言っても、そのうちに結局処分地にしてしまうのではないかと、疑心暗
  鬼になってしまいます。だからそういうことに対してどのように答えていくのか、海洋投棄は国際的にできな
  いでしょうから無人島にでもするのか。現実問題として、いやだと言っても責任において処分しなくてはなら
  ないですから、反対している人たちもそのことが頭にあるがゆえに、いくら持ち込まないといったところで最
  後は持ち込まれるのではないかと。どこかで処分しなくてはならないわけですから、そういうように言われた
  場合にどう答えたらいいのですか。
 ○科技庁 
  ・ 最終処分場は本当に一番難しい問題です。どうしたらいいのか本当に難しい問題だということでご指摘
  のようなお話があるかと思います。
  ・ とにかくそもそも自分たちの世代が出したゴミだということについて、なかなか周知、理解されていない、
  我が事として捉えられていない状況ですので、まずそういうことについてどうするのかということを国民の方々
  に意識をもっていただくことが、まずは第1歩であると考えております。その上で本当に我々世代が後世代
  に負担を残さないためにいったい何かできるのかということをみんなで考えていかなければならないことが
  総論的な話だと思います。一方で北海道知事に対する大臣からの文書があってもご懸念があるということで
  すが、原子力開発利用の基本的な政策に責任を持つ役所として大臣名で出しました文書でありますから、
  これは有効性に何ら疑いはありません。また、ご理解とご協力をいただく大前提は信頼関係だと思います
  ので、信頼関係をこれから築かなければならないと思いますし、信じていただけるようにこちらも鋭意努力
  していかなくてはいけないと考えております。
 ○事務局  
  ・ 欠席の委員から質問を頼まれております。深地層研究所を建設するにあたって事前に地下地質構造等
  を把握することが必要であると思われますが、具体的な手法について説明いただけるかどうか。例として、
  物理探査、構造ボーリングの深度と本数、岩石試料試験法、地下地質構造モデルを作成するのか、もし
  決まっておれば教えていただきたい。
 ○サイクル機構 
  ・ 何をどういう手順で行うかということで、地下の地質構造を把握するのに物理探査等を行うのかどうかとい
  う質問だと思います。地表から行う調査のうち反射法といわれるものがありまして、人工地震波を起こすと地
  下の物性に違いがありますので、その境界がわかるというものです。それ以外にボーリング孔を使ったもので、
  例えば孔間弾性波探査というものがあります。これは、二つボーリング孔があって一方の発信装置で地震
  波を起こして、もう一方に受信機を置いて、地下の構造を知る方法です。地下の構造というのは簡単にいい
  ますと、地層がどう繋がっているのかということですので、この地層が途中に断層みたいな切れ目があるのか
  どうかということを調べることができるわけです。こういうことを行いますが、これらの手順については、文献調
  査を行い、ヘリコプターを使った地表からの調査、それから地表を歩いて実際に確認する、また、今申し上
  げた反射法地震探査を行いまして、試錐をどこにするかを決めます。第三紀の堆積岩、特に泥岩が深度
  500メートル付近に十分な厚さをもって分布していることをこれらの方法で推定するわけです。それでこの
  あたりにしたら確認できるだろうということで、ボーリングを町内の何か所かで行います。また、地下の圧力が
  高くなっておりますので、圧力を保持したまま、空気に触れることなく、千メートルまでの水をとってくるという
  採水器を当時の動燃が開発しており、そういう水を取ってきて分析をすること、その他に円柱状の岩石の試
  料、コアをとること、あるいは検層という方法で塩水系の地下水がどこに存在するのか、それから岩盤強度
  が問題ないのかということを調べます。このように町内で広域調査を行いまして、坑道を掘る場所を決めるわ
  けです。その地域でさらに十数本のボーリングを掘り地下を予測することになります。ここでもまた同様に町
  内で場所を絞り込んだうえで、地下のどこにどういう岩石が分布していてどこに割れ目が多いかを予測しま
  す。そのうえで、地下の坑道を掘っていくことによって、確認するという調査になるわけです。ですから、この
  段階で坑口位置の最終的な決定や立坑にするのかスパイラルにするのか、あるいは深度をどれぐらいまで
  考えるのかというレイアウトを決定することになるので、地表からの調査研究、だいたい6年のうちの前半3
  年間ぐらいを広域調査にあて、町内の中でどこにするかということを決め、それから決めた場所で地下を予
  測するために、さらに詳細な調査を約3年かけて行うことを予定しております。
 ○委員長代理 
  ・ 他にないようでしたら、終わりたいと思いますが、今日の説明について、帰られた後で質問等がありました
  ら、私どもの方に寄せていただければ、科学技術庁やサイクル機構の考え方を伺っていきたいと思います。
  ・ その他ですが、事務局で何かありますか。
 ○事務局 
  ・ 2月20日に幌延問題道民懇談会が主催した道との意見交換会に出席しました。この時に検討会の設置
  の経過等の説明を求められましたので、設置の背景、委員会の構成、主な検討項目、深地層研究所計画
  への対応の大まかな手順について説明を行いました。この意見交換会の中で、委員会のあり方や道民合
  意等についていろいろな意見があり、時間をかけて検討すべきと、検討会の委員に伝えて欲しいということ
  でした。委員会に寄せられた意見等は後ほど各委員にお配りしたいと思います。 
  ・ 次回については放射性廃棄物を持ち込まない措置について検討したいと考えております。時期につい
  ては4月中旬頃を予定しております。具体的には個別に調整させていただきます。 
 ○委員長代理 
  ・ 今報告がありましたが、一つは2月20日に開催された道民懇談会の席上で端的に言うとこの委員会は
  時間をかけて検討すべきだという意見があるということです。もう一つは次回は放射性廃棄物を持ち込ませ
  ない措置をテーマとして、4月中旬ということですが具体的な日程については調整させていただきたいとい
  うことです。 
  ・ よろしければ本日はこれで終わります。

(この内容については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったもの等を整理のうえ、作成して
 います。)                                   

※ 資料1高レベル放射性廃棄物の処分に関するわが国及び各国の諸制度と取組状況について、資料2
 深地層研究所(仮称)計画の概要及び追加説明資料は、図を含むため割愛しておりますが、北海道行政
 情報センター(道庁別館3F)をはじめ、関係支庁(留萌、宗谷、上川)の行政情報コーナーに備え置いて
 おり、また、周辺市町村(幌延町、天塩町、豊富町、稚内市、猿払村、中頓別町、浜頓別町、中川町)にも
 備え置いているので、ご利用下さい。

 

 


 

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