第2回検討委員会・会議議事録(環境・エネルギー室)

 

 

第2回検討委員会・会議議事録(環境・エネルギー室)


 

 

 

第2回検討委員会・会議議事録

 

 

第2回深地層研究所計画検討委員会・会議議事録

1 日 時 平成11年2月10日(水)10:00~11:55

2 場 所 道庁別館12F 北方圏センター会議室

3 出席者 山口委員長代理、伊東委員、吉田委員、和氣委員、甲斐委員、近藤委員
  科学技術庁 青山廃棄物政策課長、玉井事務官
  核燃料サイクル開発機構 圓山立地推進部長、鶴巻札幌連絡所長、青木研究主幹
   (事務局等) 経済部資源エネルギー課 村井、板谷、村本
            農政部農政課 児玉
            留萌支庁 橋本、宗谷支庁 稲村、上川支庁 中西

4 開 会
 ○事務局
  ・ 本日は、委員長の真田副知事、農政部農政課長が所用のため欠席となっております。
  ・ 本日のために科学技術庁及び核燃料サイクル開発機構から来ていただいております。ご紹介いたします。
  科学技術庁原子力局廃棄物政策課の青山課長です。玉井事務官です。核燃料サイクル開発機構立地推
  進部、圓山部長です。鶴巻札幌連絡所長です。青木研究主幹です。

5 議 事
(1)深地層研究に対する主な意見について 
 ○委員長代理
  ・ 議事に入ります前に、前回の委員会でお話のあった深地層研究所計画などに係わる道民の意見の資料
   を配布しておりますので、それについて事務局から説明します。
 ○事務局
  ・ 深地層研究に対する主な意見について、資料1に基づき説明
 ○委員長代理
  ・ 資料1については、これからの検討の参考にしていただきたいと思います。
(2)各国における高レベル放射性廃棄物の処分の取組状況・我が国の地層処分の考え方などについて 
 ○委員長代理
  ・ 今日の議事の主なものは、各国における高レベル放射性廃棄物の処分の取組状況・我が国の地層処
  分の考え方などについてであります。本日は、科学技術庁、核燃料サイクル開発機構からお話を伺ったう
  えで、委員から質問などをしていただきたいと思います。
  ・ そういうことで、はじめさせていただきたいと思います。科学技術庁の方からよろしくお願いします。
 ○科学技術庁
  (資料2に基づき説明)
  ・ 原子力発電を行っている欧米の国々では、高レベル放射性廃棄物の地層処分を実施するためにかねて
  より準備が進められています。深地層研究のための地下研究施設が整備、運用されてきているだけではな
  く、廃棄物処分を行うための実施主体が設立され、事業資金の確保の取組がなされてきています。
  ・ アメリカ、カナダ、スイス、スウェーデン、ドイツ、フランスの6カ国のうち、カナダを除く5カ国では既に実施
  主体が設立されています。事業資金の確保は6カ国ともに1970年代後半から1980年代初頭にかけて開始
  されています。これに対し日本では、2000年を目途に実施主体を設立することにしており、現在、総合エネ
  ルギー調査会原子力部会において、実施主体のあり方や事業資金の安定的確保等処分事業の制度化の
  あり方に関する検討が進められています。また、深地層の研究についても、各国において地下研究施設の
  建設やこれを用いた研究が1980年代半ばから順次進められています。その研究施設や研究成果を公開し、
  一般の人々の理解を得るように努めています。我が国においても、研究開発を進めるとともに国民の理解と
  信頼を得ていくためには、このような施設を早急に実現し、その施設や研究成果を広く公開していくことが必
  要です。各国においては、事業化への取組み、研究開発の進展により、早いところではアメリカの2010年、
  ドイツの2012年等21世紀の初めから処分を開始することが予定されています。これに対し、我が国では、
  2030年代から遅くとも2040年代半ばを目処に処分を開始することになっています。なお、国により、ガラス固
  化体ないし使用済燃料を地層処分の際の廃棄物として選定していますが、再処理をするしないにかかわら
  ず、原子炉で一度使った燃料は高レベル放射性廃棄物として処分が必要で、それを深地層で処分すると
  いうことです。いずれにおいても深地層の研究を実施し、実施主体を設立し、事業資金の確保を行うなど類
  似の制度と体制の整備が進められています。
  ・ 以上のことをさらに理解していただくために原子力と放射線、放射性廃棄物について簡単に紹介します。
  我が国の商用原子力発電は、1965年に始まりました。北海道電力の泊原子力発電所1号機の運転開始よ
  り24年前、今から34年前のことです。現在、原子力発電は我が国の総発電量の約35%を占めています。
  エネルギー供給の柱の一つです。
  ・ 発電以外でも、原子力や放射線は様々な分野で利用されています。例えば、医療ではX線診断やがん
  治療、工業では非破壊検査や材料の改質、医療用具の滅菌、農業では品種改良や害虫の不妊化、ジャ
  ガイモの発芽防止などで、我々の生活に役立っています。研究の分野では、大型放射光施設(SPring-8)
  をはじめ最新の施設が整備、活用されています。
  ・ このような原子力や放射線の利用に伴い、当然のことながら廃棄物が発生します。使用された、あるいは
  利用により発生した放射性物質については、再利用もしくは処分する必要が生じます。我が国における放
  射性廃棄物の発生について大まかに分類すると、原子力発電に伴うものとそれ以外のものになります。後者
  は、放射性同位元素の利用や大学、研究所等における研究活動に伴うものです。
  ・ 一般に放射性物質については、放射線が目に見えないことや被ばくによる人体への影響等の観点から、
  ことのほか不安に思われがちです。放射線は自然界にも存在します。例えば、地上における1年間の自然
  放射線量の世界平均は、2.4mSv(ミリシーベルト)です。Svとは、放射線の人体に及ぼす影響の単位です。
  ブラジルでは、年間10mSvという地域もあります。原子力発電所周辺の線量の目標値は、一年で0.05mSv、
  現在、浅い地中に埋設処分されている低レベル放射性廃棄物の処分場の管理期間終了後の線量は、一
  年で0.01mSvを超えないことが目安とされています。
  ・ 放射性廃棄物の処分に際しては、放射線の影響を防がなければなりません。そのためには、放射性廃
  棄物を人間から遠ざける、放射線を遮る、さらには、放射性物質から発生する放射線が時間とともに減少す
  るという性質に着目して影響がなくなるまで時間の経過を待つ、ということです。
  ・ 放射性廃棄物処分の基本的考え方は、廃棄物に含まれる放射性物質の量が、時間の経過に伴い減少
  して、安全上問題がなくなるまでの間、生活環境から安全に隔離することです。そこで、人間が放射性廃棄
  物に接触することを防ぐという考え方と、放射性廃棄物が生活環境に出てきて影響を及ぼすことを防ぐという
  考え方の両面から対策を講じることとしています。その際、廃棄物の性状、特に、含まれる放射性物質の種
  類、濃度などに応じて、隔離の方法や期間などを設定していくことになります。
  ・ 放射性廃棄物の処理処分について、「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」においては、
  放射性廃棄物の多様性を十分踏まえた適切な区分管理と、区分に応じた合理的な処理処分を行うとともに、
  資源の有効利用の観点から再利用についての検討も進めることとされています。このような観点から、現在、
  原子力委員会をはじめとして放射性廃棄物の処分方策の検討が進められるとともに、廃棄物の発生者とな
  る事業者や研究機関等における処分に向けた体制づくりや研究開発も進められてきています。昨年には、
  高レベル放射性廃棄物、RI・研究所等廃棄物、現行の政令濃度上限値を超える低レベル放射性廃棄物
  について、原子力委員会における検討結果がとりまとめられました。現在、安全規制や事業化に向けた諸
  制度について検討が進められています。
  ・ 我が国では、原子力発電所で使用された燃料、使用済燃料を再処理して、限られたウラン資源を有効に
  再利用することとしています。使用済燃料には、ウラン、プルトニウム、その他の核分裂生成物等が含まれて
  おり、再利用できるウランとプルトニウムを取り出します。その際の残りが高レベル放射性廃棄物です。再利
  用の工程で分離された高レベル放射性廃液は、ガラス原料と混ぜて高温で溶かし、キャニスターと呼ばれ
  るステンレス製の容器に流し込み、固め、安定な形態にされます。これをガラス固化といいます。こうしてで
  きたガラス固化体を、冷却のため30年から50年間程度貯蔵した後、地下数百から千メートルの安定した地
  層中の岩盤に埋設し処分します。これが、我が国の高レベル放射性廃棄物処分の基本的な方針です。
  ・ 高レベル放射性廃棄物の発生量については、昨年9月末現在でガラス固化体に換算して約12,600本
  分が発生しています。これは、すでにガラス固化されている190本(日本原燃分128本、サイクル機構分62
  本)に加え、廃液で保管されているもの、海外で再処理されていたり、発電所内のプールに保管されている
  使用済燃料、原子炉内に装填されている燃料集合体も含んでいる数字です。例えば、100万kwの原子力
  発電所1基を1年間運転すると約30本のガラス固化体に相当する高レベル放射性廃棄物が発生する計算
  になり、今後2030年までの原子力発電による発電量では、すでに存在するものとあわせてガラス固化体換
  算で約7万本相当が発生する想定されます。
  ・ 高レベル放射性廃棄物は、当初は非常に放射能が高いのですが、その放射能は数百年間で急激に減
  少します。一方、一部の放射性物質は、放射能は低いものの寿命が長いため、長期にわたって放射能が
  存在します。
  ・ このような特徴を有する高レベル放射性廃棄物の処分方法については、各国、国際機関において様々
  な可能性が検討されてきました。人間環境から隔離するため、宇宙空間への処分、海洋底又は海洋底の
  堆積物中への処分、南極大陸などの氷床への処分、地層への処分、あるいは地表において廃棄物を超
  長期にわたって管理するといった考え方が検討されてきました。宇宙空間への処分では、事故が起きた場
  合のリスクが大きい、海洋底又は海洋底の堆積物中への処分については廃棄物その他のものの投棄によ
  る海洋汚染の防止に関する条約(ロンドン条約)によって禁止されております。南極の氷床への処分につい
  ては、南極条約によって禁止されていることから適当ではありません。一方、地表における管理は、将来の
  世代にまでも廃棄物を監視し続ける義務を課し、また、将来も社会が安定で制度が維持できるという仮定に
  立ったもので、戦争や革命などの人間による災害にも脆弱であると考えられています。このような検討を経て、
  地層処分以外の方法については実現に当たっての問題が多いことから、現在、我が国を含めて国際的に
  最も好ましい方策として、地層処分が共通の考えになっています。また、廃棄物の資源化と処分に伴う環境
  への負荷の低減の観点から、核種分離・消滅処理の基礎的な研究も、我が国をはじめ、いくつかの国で行
  われていますが、核種の一部の低減はできるものの、地層処分の必要性を変えるものではないと考えられ
  ています。
  ・ 地層処分については、各国の検討状況を踏まえ、国際的な集約意見が得られています。経済協力開発
  機構(OECD)/原子力機関(NEA)放射性廃棄物管理委員会(RWMC)が1995年にとりまとめた「地層処
  分における環境と倫理の基準」についての意見集約があります。「放射性廃棄物の長期管理方策の社会的
  受容に関する評価に当たっては、世代間及び世代内の公平の原則が考慮されることが必要である。」「世代
  間及び世代内の公平の観点から、将来世代に関する現世代の責任は、貯蔵よりも最終処分によって適切
  に果たされる。貯蔵は監視を必要とし、長期にわたる管理の責任を将来世代に残す。さらに、社会構造が
  安定しているとは限らない将来社会によって、やがては貯蔵が軽視される可能性がある。」「他のオプション
  も検討した結果、地層処分は生物圏から廃棄物を隔離するためには、現在最も好ましい方策である。」「長
  寿命放射性廃棄物の地層処分対策は、一つは現在と同じリスク基準を将来も適用し、さらに将来世代への
  負担を制限することで、世代間の公平の問題を考慮できる。二つ目は、科学的進展を考慮しつつ、数十年
  にわたる段階的な実行を提案することで、世代内の公平の問題を考慮できる。その結果全ての段階で公衆
  を含む利害関係者との協議が可能となる。」「地層処分の概念は、廃棄物の再取りだしは必要とされていな
  いが、たとえ地層処分の後でも、廃棄物の回収は不可能ではない。」とされています。
  ・ 我が国においても、原子力発電の開始以来、高レベル放射性廃棄物の処分方法については、前述の方
  法について検討がなされてきました。原子力委員会は1976年に地層処分に重点を置く旨の目標と所要の
  研究開発方針を示しました。以来、当時の動燃事業団などの機関がこの方針に沿って研究開発を進め、
  1987年に改訂された「原子力開発利用長期計画」において、高レベル放射性廃棄物対策の基本方針とし
  て地層処分が明確に位置付けられました。動燃事業団をはじめとする機関による研究開発の成果は、1992
  年9月に、第1次とりまとめとして国による評価を受け、我が国における地層処分の技術的可能性が明示さ
  れました。また、処分の事業化については、1993年に設立された高レベル事業推進準備会において、実
  施主体のあり方についての検討やその設立に向けた準備が進められています。
  ・ また、原子力委員会は、高レベル放射性廃棄物処分への取組について、1995年9月に、技術的側面、
  社会・経済的側面の双方から調査審議を進めるため、原子力バックエンド対策専門部会及び高レベル放
  射性廃棄物処分懇談会を設けました。1997年4月には技術的側面からの報告書をとりまとめ、さらに1998
  年5月には社会的・経済的側面からの報告書をとりまとめました。高レベル放射性廃棄物処分への取組に
  ついては、処分事業、研究開発、安全規制の観点から、次のように展開されることになっています。
  ・ まず、処分事業については、2000年を目途に実施主体を設立します。実施主体は、処分地について所
  要の選定プロセスを経て選定し、2030年代から遅くても2040年代半ばには実際の処分について操業を開
  始する予定です。
  ・ 研究開発は、地層処分に向けた取組を今後円滑に実施していくために必要です。技術的な安全は言う
  に及ばず、社会的な安心が得られることが重要です。研究開発の成果については、社会に広く伝達し、理
  解が得られるように努めていかなければなりません。現在、サイクル機構を中核的推進機関として進めてい
  る研究開発の成果は、本年中に国際レビューを経て「第2次取りまとめ」として公表されます。第2次取りま
  とめでは、地層処分の技術的信頼性と処分事業を進める上での処分予定地の選定・安全基準の策定に
  資する技術的拠り所が示され、国による評価を受けます。第1ドラフトが昨年9月に公開され、春の第2ドラ
  フト公表に向けて作業が進められています。さらに、2000年以降は、地層処分の信頼性の検証、安全評
  価手法の確立を図るとともに、地下坑道を用いた体系的調査とそのための調査技術の確立を目指した研
  究開発に取り組んでいきます。この研究開発を進めるに当たり、深地層の研究施設は重要な研究施設とし
  て位置付けられています。
  ・ さらに、安全規制については、平成10年6月より、原子力安全委員会放射性廃棄物安全規制専門部
  会において、安全確保の基本的考え方の策定に向けた検討が始まっています。
  ・ 幌延町における深地層の研究では、堆積岩を対象とした深部地質環境の科学的研究と処分システムの
  設計・施工に関する技術開発を柱とした研究を実施する予定です。また、深地層の研究における技術的な
  研究開発はもちろんのこと、実際の深地層の体験により、その研究開発の目的と成果をわかりやすく社会に
  伝達するとともに、一般の人々が深地層の環境について科学的な理解を深めることも重要です。
  ・ 深地層の研究施設は、我が国おける地下深部についての学術的研究に寄与できる開かれた研究の場
  として整備し、広く内外から研究者の参画を得て総合的に研究を進めていきます。また、我が国の地質の
  特性等を考慮して複数の設置が望まれており、このための代表的な地質として堆積岩系及び結晶質岩系
  の双方を対象に研究を進める予定です。結晶質岩系の研究施設については、岐阜県瑞浪市において超
  深地層研究所計画が、平成7年12月の協定に基づき、関係自治体の理解と協力の下、進められており、
  堆積岩系の研究施設の設置について、今般、北海道及び幌延町にサイクル機構から申し入れたところで
  す。なお、深地層の研究施設には、放射性廃棄物を持ち込むことはありませんし、この計画は、実施主体
  が行う処分地選定プロセスなど処分場の計画とは明確に区別して進めていきます。
  ・ 深地層の研究施設における研究成果は、実施主体が行う処分事業及び国による安全規制に反映され
  ます。実施主体による処分地の選定は、処分候補地、処分予定地、処分地といった選定段階を踏むこと
  になっていますが、実施主体が処分候補地における地表からの予備調査や、処分予定地に地下施設を
  設置して行うサイト特性調査等に、深地層に関する知見や調査手法・技術を反映させることが深地層の
  研究を行う上での課題です。また、実際の処分場の設計・建設に係る国の安全評価に当たり、安全基準
  や評価指針の策定に係る技術的な要件を体系的に整備することも重要な課題です。
  ・ 高レベル放射性廃棄物処分に向けた我が国の取組は、すでに具体的な施策が開始されている諸外国
  に比べて10年ないし20年余り遅れていると言わざる得ません。今後の原子力政策がどのような方向に進め
  られるにせよ、原子力発電による便益を享受してきた現世代の我々が発生させた廃棄物については、我々
  の世代がその処分に関する制度を確立することが必要です。後世代に影響を及ぼす可能性のある廃棄物
  の処分について、後世代に負担を残さないことが我々の責務です。そのためにも、我々は、今できることに
  ついて、早急に着手しなければなりません。廃棄物処分の安全性の確保と責任体制の明確化、透明性の
  ある制度の確立、国民の理解と信頼を得るための環境の整備が必要です。特に、事業資金の確保、実施
  主体の設立、安全確保の基本的考え方の策定、深地層の研究施設の実現について、施策の具体化の
  方針を示し早急に進めることが求められています。
  ・ 原子力委員会は、昨年6月に高レベル放射性廃棄物処分の推進について委員会決定を行い、この中
  において、岐阜県及び新たに提案された北海道における深地層の研究施設の計画を地元の理解を得て
  推進するとしています。深地層の研究施設は、高レベル放射性廃棄物処分への取組を進める上で、技術
  的にも、社会的にも重要な施設です。科学技術庁としては、幌延町における深地層の研究について、地
  元及び北海道の理解と信頼を得て推進することとしておりますので、北海道におかれても、早急な検討が
  行われることを強く希望します。
 ○委員長代理
  ・ ありがとうございました。引き続きサイクル機構の方からお願いします。
 ○核燃料サイクル開発機構
  ・ 2月1日に、道庁及び道内関係機関との連絡調整や道民からのお問い合わせ等の対応のための窓口を
  札幌市内に開設しましたところであり、この場をお借りしてご報告させていただきます。
 (資料3に基づき説明)
  ・ 我が国の地層処分の概念についてですが、高レベル放射性廃棄物の性質から、地層処分の方法が選
  ばれております。我が国における地層処分の安全確保の概念は、安定な地質環境を選んだ上で、そこに
  多重バリアからなる適切な地層処分システムを構築することにより、将来にわたって、放射性廃棄物による
  影響が人間の生活環境におよぼさないようにすることであります。
  ・ そのための対策としては、廃棄物を囲む多重の容器や防護壁、これを人工バリアと言います。一方、地
  層が本来的に持つ、物質を隔離、保存する力、これを天然バリアといいます。これを組み合わせて放射性
  物質の動きを抑える方法が考えられます。これを多重バリアと言います。  
  ・ 現在、地層処分の具体的な方法として、高レベル放射性廃液をステンレス容器中に安定なガラスとして
  溶かして固め、オーバーパックという厚さは20cm位の金属容器と、ベントナイトという粘土で覆い、地下数
  百メートル以深に埋設する方法が考えられます。
  ・ 地層処分の研究開発は、原子力長期計画において、国の重要なプロジェクトとしてサイクル機構を中核
  的機関として進めることとなっています。この地層処分研究開発のねらいは、実際の放射性廃棄物を埋め
  て処分の安全性を確かめていくのではなく、信頼性の高いデータや計算モデルを使い、その処分に先立
  って、科学的・技術的に将来にわたっての安全性を明らかにすることです。このため、研究開発を3つに分
  けて行っています。まず、地質環境条件の調査研究は、地下深部の地層や地下水の性質と、その長期に
  わたる安定性等に関する情報を整備しています。次の処分技術の研究開発は、地層処分が技術的にで
  きることを示すために、人工バリアや処分場の設計・施工に必要な技術を研究、開発しています。また、性
  能評価研究は、多重バリアによって放射性物質を地下深部の地層中に閉じこめられ、人間に影響のない
  ことを実験や計算によって確かめる研究を行っています。
  ・ これらの研究開発の前提として、我が国の地下深部の地層がどうなっているのか。さらに、なぜそうなった
  のか。今後どのようになっていくのか。こういうことを知ることは、信頼性の高い成果を得る上で欠かせないこ
  とであり、このための科学的な研究を行っています。これを地層科学研究といいます。
  ・ この地層科学研究は、地層処分の研究開発を今後仕上げていくための共通の情報や知見の基盤となる
  科学的な研究と考えています。また、地層科学研究の成果は、地球科学分野などの発展に寄与することが
  期待できます。
  ・ サイクル機構における深地層の研究についてでありますが、まず岩種については、我が国の地質の特性
  を考慮して、堆積岩系と結晶質岩系の2つに大きく分けて実施しています。これは、地層処分研究で重要
  な地下水の流れの性質や岩盤の物質的な性質が異なるためです。また、研究の場所については、既存の
  坑道等を利用する場合と深地層の研究施設とに分かれます。既存坑道等の利用については、坑道が縦横
  に存在するため、地下水の流動系などの地質環境、つまり地表から地下までの岩石と地下水の存在する
  場をいいますが、これが乱されており、初期条件を知ることやこの乱されている程度を評価することが難しい
  という欠点があります。 
  ・ これに対して、深地層の研究施設は、初期条件を把握した上で、その後の変化も把握することができると
  いう利点があります。したがって、これまで坑道を利用して個別の技術の開発改良を行ってきましたが、幌延
  の深地層研究所計画では、これらの研究開発してきた技術を総合的に適用し、体系的な調査技術の確立
  を行うものです。
  ・ 次のこの図は、サイクル機構の地層処分に関する研究施設を示したものです。茨城県の東海事業所には
  4つの室内試験施設があります。そこで、温度、圧力、酸化還元条件など地下資源の地質条件を模擬でき
  る施設や放射性物質を用いた試験研究をこの4つの施設を使って行っています。具体的には、地層処分の
  基盤研究施設では、放射性物質を用いないで、地下深い地層中で得られる環境条件を様々に変化させた
  試験ができます。また、コンピュター解析設備などを備えている施設です。次の高レベル放射性物質研究
  施設では、実際のガラス固化体の基礎的物性を研究する試験を行っております。地層処分放射化学研究
  施設ですが、これは現在建設中です。ここでは、低酸素の環境で放射性物質を用いて各種の化学的特性
  等を実験室レベルでデータを取得するためのホットの研究を行う施設であります。
  ・ 一方、岐阜県の東濃地科学センターの東濃鉱山では、地質・地質構造の研究、岩盤の研究、地下水の
  流れの研究、地下水の水質の研究など、様々な試験研究を行っています。また、東濃鉱山に隣接する瑞
  浪市では結晶質岩を対象とした超深地層研究所を現在計画実施中です。
  ・ さらに、釜石鉱山では、既存の鉱山坑道を利用しまして、原位置試験というのは、一般の建屋の中で行う
  室内の試験に対して、地下深部で生じる現象を観察・調査するために実際に地下で行う試験研究を原位置
  試験と言っています。これを昭和63年から平成10年の3月まで通算10年間この地で実施しました。ここでは、
  外部発表129件にみられますように、多大な成果を得まして昨年3月に終了しています。
  ・ このほかに、火山、地震断層、隆起沈降の研究のため、各地で事例研究等を進めています。また、海外6
  カ国、10機関との共同研究を進めています。
  ・ 岐阜県瑞浪市の超深地層研究所と、幌延町で計画している深地層研究所の2つの深地層の研究施設の
  違いを比較してみますと、これまでの知見から、地理的条件としては、瑞浪市が内陸盆地であるのに対して、
  幌延町は沿岸平地となっています。また、地質的には、瑞浪市は花崗岩であるのに対して、幌延町は砂岩
  や泥岩であるという違いがあります。また、地下水の流れ方は、花崗岩は地下水が割れ目を伝わっていく亀
  裂媒体、堆積岩は地下水が地層に浸透していく多孔質媒体と区別されます。岩石の硬さは、瑞浪市の花
  崗岩の方が、幌延町の堆積岩より10倍から20倍ほど硬い性質をもっています。地下水については、瑞浪市
  が淡水であるのに対して、幌延町では深いところには塩水が存在しています。このように、2か所の地質環境
  は、異なる性質をもっており、我が国の地質の特性を考慮した研究を行うのに適しています。
  ・ 研究成果の取りまとめについては、平成4年に「高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発の技術報告
  書」、いわゆる第1次取りまとめを国に報告しました。国は、この報告に関し、我が国における地層処分の安
  全確保を図る上での技術的可能性が明らかになったと評価し、その後の研究開発の進め方を示しました。
  現在、その後の研究開発を踏まえて、第2次取りまとめを行っておりますが、その取りまとめの目標は、我が
  国における地層処分の技術的信頼性を示すことであり、3つの主要な研究分野である、「地質環境条件の
  調査研究」、「処分技術の研究開発」、「性能評価研究」のそれぞれについて取りまとめを行っています。
  第2次取りまとめについては、平成10年9月に第1ドラフトを公表し、現在、専門家のレビューを受けており、
  本年4月頃には、第2ドラフトを公表する予定です。
  ・ 深地層研究所の目的は、第2次取りまとめで示す技術的信頼性を実際の深地層での試験を通じて検証
  することです。
  ・ この図は、先ほどの科学技術庁からの御説明にもございましたが、地層処分の研究の取組との関連で整
  理したものであり、深地層研究所での成果がどう反映されるかを示したものです。深地層研究所での研究は、
  20年間程度を予定しておりますが、そこで得られる成果は、東濃地科学センターの超深地層研究所や東
  海事業所のENTRY、QUALITYで実施している研究や今後予定している研究、さらに海外との国際共同研
  究等の成果と合わせて、2000年を目途に設立される予定の処分の実施主体が行います2010年頃に開始
  予定の 処分予定地でのサイト特性調査に必要となる体系的な調査技術・手法を提供していくことです。さ
  らに、2020年頃までには処分技術の実証のために必要な技術を提供します。また、国が進める安全基準
  や指針の策定にも反映されます。
 ・ 深地層研究所での研究は、地表調査の開始から、予測結果の検証までに、少なくとも10年程度の期間が
  必要と考えられることから、早期に、遅くても2000年に地表からの調査試験研究に着手致したいと考えてお
  ります。
 ・ サイクル機構としては、今後とも本計画に対するご理解が得られますよう誠心誠意努力して参る所存でござ
  いますので、北海道におかれましても、前向きかつ早急な検討が行われますことを希望して説明を終わります。
(質疑)
 ○委員長代理
 ・ ただ今、科学技術庁、核燃料サイクル開発機構から、それぞれのお立場でご説明がありました。
 ・ ご質問あるいはご意見をいただきたいと思います。
 ○委員
 ・ 最初に外国の状況を教えていただきたいと思いますが、今回いろいろな話の中で法律の問題がよくでて
  きます。特に、処分施設の設置、場所の選定についての手続きについて、どんな形で法的な面での整備
  がされているのか。
 ・ もう一つ。諸外国の試験施設と処分施設との関係、試験施設はその後処分の施設につながるということを
  前提にして試験研究を行われているのかどうか。
 ・ それから諸外国で地層処分が主だというお話がありましたが、それ以外の処分方法について研究がされ
  ていないのかどうか。私の方から以上の三点をお聞きします。
 ○科技庁
 ・ お手元に配付してある資料の例でいいますと、まずアメリカですが、処分はユッカマウンテンサイトで処分
  ができるかどうかということで、今、地下の研究施設を作って研究を進めています。
 ・ 候補地や候補岩種が決まって、その深地層の研究をしているというのはアメリカとベルギーの例に見られ
  ますが、ただそこで実際にできるかを検討しておりますので、処分地としては決まってはおりません。一応、
  候補地や候補岩種としてあって、その中で研究をしている、研究の結果が良くて社会的にも認められれば、
  処分場が建設されるであろうというところです。その点では処分場が確定しているというところはないというこ
  とです。
 ・ ほとんどの国では処分場と研究所は切り離されております。資料には入っておりませんが、ベルギーでは
  今、モルという所で地下研究施設を作って進めております。実際の深地層の研究自体は研究所群の中で
  やっているようですが、深地層の研究所を作って、それをそのまま処分場に転用するということは当然ないよ
  うです。
 ・ 法律については各国にございます、スイス、スウェーデン、フランス、米国、ドイツなどそれぞれ根拠の法
  律があります。自治体をはじめ地元の合意形成、合意手続きも決まっているところも一部あると思いますが、
  手元に正確な資料をもっておりませんので、後ほど対応させていただきます。
 ・ 地層処分以外の検討状況については、核種分離・消滅処理等の方法、あるいは地表、浅地中で長期
  間管理してできないかなど、また実際に最終的な処分を実施するか、しないかということが決まらない中で、
  例えば、フランスなどでは全てのオプションを検討するということを研究開発に義務づけて進めております。
  ただ、現状では消滅処理、いわゆる放射性核種をなくしていこうという研究についてはまだ基礎的な段階で
  あり、地層処分の必要性を変えるものではないと考えられております。私どもでも消滅処理を含めて検討は
  しておりますが、地層処分を基本としており、また、貯蔵管理を続けるということについては考えていません。
 ・ 実際に処分したときに社会的な安心が得られるために、現在、技術的な面、そして制度的な面でどういう
  ことができるのかを勉強をしております。
 ○委員
 ・ 後世代に負担を残さないという観点から貯蔵よりも処分をするという説明がありましたが、地層処分は今の
  段階では一つの概念だと思うのです。深地層試験を行い、検証するということになると思いますが、その概
  念が実際に安全でなければ逆に後世代に負担になる可能性はあると思います。そうならないためには情報
  公開のもとに具体的な研究データ、科学的な知見に基づいて、安全性が確保されるかということが十分に
  判断されなければならない、深地層の研究はそのような研究の一環であると思っております。経済性の観
  点もあると思いますが、何よりも安全性の確保が重視されるべきであると考えております。またそれ以外の方
  法についても、深地層処分しかないということではなくて、十分な科学的な知見のもとに高レベル放射性廃
  棄物の管理の方法というものが選択されるべきではないかとも思っておりまして、フランスでは、消滅処理と
  地上あるいは浅地層での長期の貯蔵が、深地層の研究と並行的に進める考え方がとられており、深地層
  研究を基本とするのは十分わかるのですが、フランスのような考え方も重要ではないかと、他のオプションに
  ついても柔軟な考え方をもって対応する必要があるのではないかと、思いますが、この点についてはどうで
  すか。
 ○科技庁
 ・ 廃棄物処分が安全でなければならないことはもちろんのことであり、そういう意味では処分が技術的にき
  ちんとできるということが示されないのであれば、当然ながら実際の処分はできない。ただ、少なくとも現世
  代で、今考え得る限りの対応をしておかなければならないということです。
 ・ 消滅処理あるいは他の技術についても考えられるかもしれないが、将来的にかなりの確度でできるように
  なる、実際に試してできるという確信が得られれば、そちらの方向にも進むと思われます。その点でとにかく
  地層処分をしなければならないというふうに考えているのではなく、地層処分が最も好ましい方法という形で
  表現していて、その他の方法の可能性についても視野に入れながら取り組んでいます。ただ、現在の我々
  の技術レベルや知識で進めるとして、この地層処分が適切であり、少なくとも日本でもできるというところでの
  可能性がわかっております。その信頼性について今年中にまとめられます第2次取りまとめの中で技術面に
  ついては明らかにしていくということで、実際に的確な研究開発ができたか、取りまとまっているかということに
  ついてのレビューも含めて進めていくところです。
 ・ 浅地層の管理が続けられるものならその方法もあり得るわけですが、廃棄物について、人の手を放しても
  大丈夫な状態なのか、それとも、常に見えていなければならない状態なのか、という点から考えると、後世
  代に対し負担がきついと考えております。
 ・ また、処分をする量を減らせるかということも含めて、消滅処理の検討はしております 。実際に消滅処理
  の研究でも放射性物質、核種をある程度減らしていくということは可能であろうということで、研究開発を進め
  ているわけです。少し核種を除いて、放射能を低くした形で廃棄物を処分する、あるいは資源として利用し
  ていく方策、どの程度できるか、いつ頃できるか、ということの問題について、レビューを始めているところで
  す。ただし、大変残念ながら基礎的な研究段階であって、大学、原研、サイクル機構、電力中央研究所等、
  関係の機関の方々が鋭意進められているところですが、実用化の実証に向けてのプラントを作っていくとい
  う段階には達していないようです。これについても、今検討していますので、1年後ぐらいに、これについて
  の技術的な答えもできるかと思います。
 ○委員長代理 
 ・ サイクル機構の地層処分研究開発の説明の中で、幌延で想定している研究というのはどの部分に当たる
  のか、地質環境条件の調査研究、処分技術の研究開発、性能評価研究の三つがあって、体系図の下に
  地層科学研究がありますが、どの部分に当たるのか教えていただきたい。
 ○サイクル機構
 ・ 基盤研究となっている地層科学研究を中心に、地質環境条件の調査研究、処分技術の研究開発、性能
  評価研究の全部を行いますが、一部できないものも多少あります。地質環境条件の調査研究の中には、地
  震断層、隆起沈降、火山の大きく三つがありますが、その中の火山については、幌延では対象が無いので
  できないというふうに考えており、それ以外のものについては、全部行う予定にしております。なお、性能評
  価研究というのは、現場の試験も実施しますが、室内での実験やデータを入力して計算するのが主なもの
  です。それから何度も申しあげておりますが、放射性廃棄物を使うような試験研究は一切幌延では実施せ
  ず、これについては、東海の施設で、実際の固化体とか核種を使った試験を行っており、そちらで対応しま
  す。
 ○委員
 ・ 深地層のモデルとして、結晶質岩の代表が岐阜県で、堆積岩系の代表のモデルとして幌延というように
  受け取れるのですが、決められた経緯がよく分からない。地質的に、例えば結晶質岩は日本での代表的
  なのが花崗岩であり、東濃地区ですよと、あるいは堆積岩系では幌延が代表的な日本地質ですよというよ
  うなモデルと考えてよろしいですか。
 ・ 地下水の関連で、幌延の場合塩水系というふうに書かれていますが、この地域は石油天然ガス鉱床の
  可能性のある地域で、むしろ塩水系と言っても石油天然ガスに関連するような塩水ではないかと思われま
  す。石油天然ガスについて、ある程度言及しておくべきではないかと感じますが如何でしようか。
 ○サイクル機構
 ・ 二つの質問のうち、地下水の方からお答えします。幌延の水質については、ヘキサダイアグラムで示すと、
  SO42ー、HCO3ー、塩素、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの量とその成分の割合、また、現
  在の平均海水の量と割合のパターンは図に示すとおりです。
 ・ 幌延については、声問層、勇知層、更別層、各層の分析値がここに載っております。このデータによりま
  すとナトリウムと塩素、つまりNaCl、食塩についてですが、深いところほど多くなっていますが、これは現在
  の海水よりも若干少ない、多いとはいってもまだ海水よりも少ないという水質分析のデータです。浅いところ
  では、NaClが少ないですから陸水と思われる普通の河川水の性質を示しております。ご質問の石油油田
  関係の鹹水については、鹹水の定義がNaClが多いということであれば、多いので深いところでは鹹水の性
  質を示していると言えます。
 ・ しかし、鹹水の定義が油田ガス田よりも塩類濃度が大きいとの定義も地下水ハンドブックなどでは、書い
  てありまして、そういう観点から言いますと海水よりも少ないですので、油田ガス田の鹹水の定義から言いま
  すとちょっとはずれている状況なんです。
 ・ したがって、まとめて言うと深いところにはNaClに富む水があり、NaClが多いという意味では鹹水であるが、
  油田ガス田と比べると若干少ないということです。サイクル機構としては、その起源については言及してお
  りません、データが少ないため起源についてはまだ同定できておりません。また、地下水の年代についても
  同定出来ておりません。NaClが多いという意味で塩水系という言葉を使っている状況です。
 ・ 第一の質問については、研究の対象としては主に地下水の流れの観点から大きく堆積岩系と結晶質岩
  系に分けております。結晶質岩には花崗岩のほかに玄武岩などいろいろありますが、そのうち一番代表的
  なものとして花崗岩を選んでおります。花崗岩は全国各地にあります。年代と地質構造等でそれぞれ若干
  の違いはありますが、代表的な白亜紀の花崗岩を選んでおります。堆積岩については、中古世代の堆積
  岩もありますし、時代的にもいくつかの堆積岩があります。その中で第三紀の堆積岩の分布が広いということ
  で、第三紀の堆積岩が一番代表的なものと言えるだろうということで、第三紀を選んでおります。なぜ幌延な
  のかということについては、次回以降に説明する機会があると思いますが、研究の場所として複数の研究施
  設の設置が望ましいとされておりますが、5、6か所もできない。せいぜい2か所ぐらいだろうと考えております。
  そうすると、いろいろな条件で研究ができる、いろいろな条件をチェックできることが望ましいという意味で先
  ほど比較がありましたように淡水、塩水の違いなどいうこともありまして、第三紀の堆積岩、塩水系であることと、
  断層の研究もできることを考えて、幌延では、いろいろな研究ができるということを考えております。もう少し詳
  しい説明については、次回以降に説明したいと思いますが、基本的には今のような考え方です。
 ○委員
 ・ 地層ということでは、時代は第三紀、堆積岩系はターシャリー以前、結晶質岩系については白亜紀ぐら
  いのものを考えているということでいいですか。
 ○サイクル機構
 ・ そうです。第三紀を選んでおります。
 ○委員
 ・ 先ほどの説明の資料の中にRWMC(放射性廃棄物管理委員会)ですか、OECD(経済協力開発機構)の
  委員会の意見集約中に世代間及び世代内の公平の原則ということがありました。ここでいう世代内の公平の
  原則というのは、今回議論になっているのは研究施設ですから、直接これが当たるわけではないのかもしれ
  ないが、科学技術庁の考えとしては、研究施設の場所を選定するに当たってもこの公平の原則は生きてい
  ると考えてよいですか。その意味で仮に幌延という地を選定したことは世代内の公平の原則を十分考慮した
  うえで地層地質に着目をして、全国的なところから選定なさったものと考えてよいですか。
 ○科技庁
 ・ そもそも研究ができる場所、適地としてどこか、という点を第一に考えております。そういう点では世代内の
  公平について、どういうふうに理解されるかという問題もあるかと思いますが、研究の場所として問題はないと
  いうように考えていただければ是非進めたいということです。研究ができるところがあるか、ないかという点に
  ついてはもちろん生活状態や経済状態などの観点から、検討しなくてはいけない部分があろうかと思います
  が、まず研究するに値する場所なのかどうかということが一番大きな判断の要素になっております。
 ○委員長代理
 ・ OECDの考え方としてまとまったものは処分の仕方について世代内あるいは世代間の公平を図るということ
  だと思うのです。その途中の研究開発については特に言及していないのではと思うのです。今問題になって
  いる幌延については試験研究ですから、世代内、世代間の公平の原則で研究の場所を選ぶということはな
  いのではないかと思うのですがいかがですか。
 ○科技庁
 ・ 少なくとも2000年を目途に実施主体を作り、2030年代から遅くとも2040年代半ばに処分を開始したいとい
  うこと、既に原子力利用が始まって30数年経ってきて、その放射性廃棄物について、再処理しようが、ワンス
  スルーであろうが、使用済燃料やガラス固化体は出ているわけですから、それは何とかしなくてはいけない
  ということです。ガラス固化体でいいますと30年から50年、冷却という期間がありますから、それから処分して
  いくことに間に合わせることを含んで検討したスケジュールとして2030年代から遅くとも40年代半ばには、処
  分を開始したいということを含めて、そのために技術的データとして必要なものは何か、という点も含めて研
  究を考えております。もし仮に、人工バリア、いわゆるオーバーパックとベントナイトで100%問題ないと、そ
  れに人間も近づきませんということでありましたら、処分したことになるわけですが、実際に長期間、安全に
  人間が触らない状態になっているか、まさに処分したと言えるのか、手を放したと言えるのか、というところを
  考えるとやはり地質、深部の地下の研究についても十分なデータが無いと、安全にできていますということを
  主張することができないという点で深地層の研究施設というのは非常に重要であるということです。
 ・ サイクル機構でも、ヨーロッパ、アメリカの先進的に進んでいる機関と協力していろいろと実験しているとこ
  ろです。基本的に廃棄物の処分を国内で行うのは当然であり、そのため国内でのデータが必要だということ
  で2か所で行うことにしているわけです。日本の場合、ここに処分場を作るからそのためにデータを取ります
  というアプローチではなく、日本のどこかに適地があり、その適地の中でここにしますという形での手続きを
  進めていくうえで、技術的に安全に地層処分が出来るということを、安心して受け入れていただけるような
  データも含めて整備する必要があるという観点から行いたいというのが、科学技術庁の考えです。
 ○委員
 ・ 事務局の方から資料1で深地層研究に対する主な意見の説明があった中で、1984年の原子力委員会
  の中間報告によって深地層試験場は処分予定地の選定の一環として位置付けられ、その後この方針は
  撤回されていないという意見があります。私としては、この考え方については平成6年の原子力長計で深
  地層の研究施設の計画と処分場の計画とは明確に区別して進めていくということで、修正されたと受け止
  めておりますが、中間報告の考え方が今残っているのかどうか、現時点で生きているのかどうなのか、はっ
  きりしないわけです。区別して進めていくという以上は59年の中間報告については廃止をすると言った方
  がわかりやすいのではないかと思うのですが、その点についてどのような考えをお持ちなのか。
 ○科技庁
 ・ 貯蔵工学センター計画が白紙になったか、ならないかという議論の過程の中でも原子力委員会における
  貯蔵工学センター計画の取扱いがどうなったかという質問もあり、原子力委員会で答えています。
 ・ 計画が最新の知見、それから新たな社会情勢を踏まえて、新たなものができているという観点からいいま
  すと、現在の計画は長計に記述されているところに変わっておりますので、ご指摘の部分について中間報
  告の考え方は今ありません。ただ、例えば中間報告を撤回するとか、廃止するとか、そういう形で進めている
  ものではなく、新たに計画を策定、あるいは決定を行って進めるというやり方をとっておりますので、そのへん
  がご理解いただけない向きがあるのかもしれないですが、委員ご指摘のように今この考え方をしておりません。
 ○委員
  ・ 原子力政策そのものについて、いろいろな不信、不安があり、わかりにくいという部分がその一因になって
  いるのではないかと思うのです。そういう意味では原子力委員会には政策決定をするという重要な役割があ
  り、一方では、その決定した政策について国民に対してわかりやすく説明するという、アカウンタビリティ、説
  明責任をもっと果たすべきではないかと思うのです。この59年の報告の取り扱いについても、もっと明確に委
  員会の中できちんとすることはやっていいのではないかと思うのです。
 ○科技庁 
  ・ 原子力委員会においては、平成4年に、高レベル放射性廃棄物対策についての報告がまとめられてお
  り、その中でこの問題についての反省をしております。高レベル放射性廃棄物の処分方策について、有効
  な地層の選定の成果を踏まえ、処分予定地の選定、処分予定地における処分技術の実証、処分施設の建
  設・操業・閉鎖の4段階の手順で進めることとされており、この第2段階としての処分予定地の選定の進め方
  については、地層処分技術の確立を目指した研究開発等を実施し、最終目標たる処分予定地の選定を行
  う云々となっているわけですが、この進め方が必ずしも国民の間に周知されていなかったため、あたかも研
  究開発の結果が、処分予定地の選定プロセスに直接的に結びつくという印象を与えるということで、本来は
  処分予定地の選定プロセスとは直接的な関連性のない研究開発を阻害する一因となっていたということは
  否めないということを言及しております。
 ・ 処分対策全体の手順、スケジュール、関係各機関の責任・役割を明確にすることで、処分対策全般の透
  明性を図り、情報公開をきちんと行い、国民の理解と協力を得る、ということに言及し、その結果としてまとめ
  たものがその後の計画や委員会の決定になっております。撤回したのかしないのかという議論については、
  そもそも研究開発の進捗や時代の進捗、社会設備の変化などに応じて計画を見直し、新たな決定をして
  いくという進め方をしております。その点においては確かによくわからない部分が出てくるかもしれないが、そ
  こはきちんと説明していかなければならない問題であり、我々も機会を捉えて対応していくことにしております。
 ・ 具体例の一つとして、社会的、経済的な側面から高レベル放射性廃棄物の処分について検討した高レ
  ベル放射性廃棄物処分懇談会においては、まず報告書案をとりまとめ、公表し、一昨年秋から各地でご意
  見を伺い、また個別に伺った意見も集約して、報告書をとりまとめたわけです。私どもは、この報告をうけて、
  さらに国民の理解、信頼を得なくてはいけないという努力の一つの方策として、放射性廃棄物シンポジウム
  を昨年12月から始めており、1回目は静岡、2回目は京都、3回目は3月24日に福島で行う予定であります。
  こういう活動を通じて、私どもが、どういうことを考え、どのように進めようとしているのかを説明し、いろいろご意
  見をいただいてまいります。また、ここに参考として平成6年の原子力長期計画があげられてますが、この長
  期計画の改訂もこれからしなくてはいけないということで、今予備的な検討が始まったところです。その中で
  も国民にわかりやすく説明するということに取り組んでいくことが必要になると考えています。
 ・ 原子力政策一般について申し上げれば通称新円卓会議と言ってますが、原子力委員会が事務局をする
  のではなくて、外で事務局をもった形で、いろいろなご意見をいただいて、政策の立案あるいは実際の計画
  の推進に役立てていこうという努力をしているところです。原子力といいますと、国策プロジエクトのように上
  から押しつけるみたいな印象をもたれがちですが、決してそういうことは考えておりません。専門の方々のご
  意見をいただき、お諮りをし、それについて広くご意見を賜りながら、より良いものを、よりわかりやすいものを
  目指していこうと努力をしているところです。それが遅々としているように受け止められているかもしれません
  が、正確を期するということも一方で要請されているという問題との取り合いもありますので、どうしても正確な
  話を申し上げるとなるとなかなか難しい言い振りとなってしまう部分もあろうかと思います。科学技術庁も説明
  者責任を果たしていないのではないかという話や疑問については、きちんと行っておりますし、これからも、
  処分事業を当面できるかということについて、広く関係機関、国の行政機関はもちろんですが、実際に研究
  開発をしている核燃料サイクル開発機構、実際に発電事業を行っている電力会社などともよく協力して、理
  解していただけるようなものをつくっていく考えで、努力していますし、責任をもって取り組んでいるところです。
 ○委員
 ・ 高レベル放射性廃棄物の処分場の設置に係る法律の整備について、鋭意検討がなされていると思いま
  すが、その法律の中に処分場の立地のプロセス、選定あるいは決定の手順が盛り込まれるべきと思います
  が、はたで見ている限りではどうもその点については、非常に慎重であるとの印象をうけており、この点につ
  いてはどうですか。
 ○科技庁
 ・ 極めて慎重に取り組んでいます。今の行政の基本的な姿勢の中でどういうことを法律に盛り込むか、どう
  いうものをまとめていくか、少なくとも処分事業については非常に長期にわたる事業ですからきちんと安全、
  円滑に進められなければいけない。このための法律として備えるべきものは何か、というところを今集中的に
  勉強しいるところです。これから具体的に安全の確保の考え方も含めて全体像を明らかにしつつ、進めてい
  かなくてはいけないということです。国民に理解していただけるものは、制度や法律の枠組としてどういうもの
  か、何を規定するのか、というところについては慎重に検討すべき問題であると考えています。
 ○委員
 ・ 処分場の立地のプロセスがきちんと明示された法律がないということが、深地層の研究についても処分場
  につながるのではないかという懸念の一因になっていると思うのです。そういう意味では、立地のプロセスを
  きちんと明示すべきではないかと私は考えています。
 ○科技庁
 ・ 法律体系の中で、先ほど申し上げた法律の一部として的確なのかどうかという判断も含めて検討していか
  なければならない、非常に重要な問題です。一方地元のご理解をいただけるようなものがどういうものかとい
  う点で、地元が受け入れられるような処分事業がどういうものかということを検討するということですので、まだ
  ちょっと時間がかかるかもしれません。
 ・ 科学技術庁としては、昨年2月に貯蔵工学センター計画を取り止めて深地層の研究を進めさせていただ
  きたいという申入れをしたところであり、さらに昨年末の回答の中にも、立地のプロセスについては、地元が
  受け入れない意思を表明されているもとでは云々という表現をしており、提案したものについて十分ご理解
  をいただいて仕事が進められるようにしていきたいと思っております。
 ○委員
 ・ 何を先にするかというところでいろいろ議論になっているところがあります。今、立地プロセスあるいは事業
  の合意、手続きといったものを法的に整備する必要性について、大切な問題と言われたわけですが、なぜ
  先にそれがないのか。研究施設ではありますが、幌延という具体的な場所を選定して、研究施設が次に処
  分場につながるのではないかという疑問があるということであり、何を先にするかということでは、先に法整備
  があっていいのではないかという素朴な疑問がたくさん出ているようです。最初に聞きました他の国の実態
  はどうなのかということも、そのことの関係で知りたかった。
 ・ 後先の関係で言うともう一つ、近く第2次とりまとめが行われ、そこで技術的信頼性が明らかになる。普通、
  我々が議論、物を考える時には、地層処分について、こういうことでいろいろ検討した結果明らかになりまし
  た、信頼性は非常に高いです、だから、地層処分を中心として我が国としては高レベル放射性廃棄物の
  処分を考えていきます、そこでそのための具体的な研究をやるための施設をつくります、そこでクリアされた
  から処分をしていきます。こういうのが、ごくごくわかりやすい常識的な取組だと思います。
 ・ ところが一方でこれからはっきりさせなければならないことが残されているのに、一方で具体的な場所の
  選定といった作業が進められている。それは地層処分の問題もそうだし、法律の手続きの問題も、そうした
  ことが先ほど資料1で出されていた不安、懸念につながっている。十分必要性や重要性はおわかりになっ
  ていると思いますが、わかりやすくするためには順番をちょっと変えてみることはできないものですか。
 ○科技庁
 ・ なかなか難しい点があろうかと思います。というのは、こういうことで処分して大丈夫、したがって処分の事業
  はこういうことです。こういう計画でこういう、スケジュールで進めていきますということが提示できないで、法律
  的な枠組を先にするという進め方をこれまでとってはいない。中身が本当にできるか、我々にとっては大きな
  問題であり、安全に処分できるということを十分にお示しし、理解していただかなければいけない。手順の問
  題として法律の枠組があって、処分のプロセスがあって、だからこうやりますよということが後が先か難しい点
  を含んでいると思いますが、私どもとしては、少なくともきちんとでき、確からしさを十分に詰めながら、対応し
  なくてはいけないことと思ってます。そうしなければ、本当に処分ができるのかという一番の根源の問題に戻
  ってしまいます。
 ・ いずれにしても、お話のあったことは非常に重要な問題でありますので、引き続き十分に検討したいと思っ
  てます。
 ○委員
 ・ 大変重要な問題でありますので確認させていただきたいと思います。高レベル放射性廃棄物の処分場、
  埋設、施設の設置の手続きについて、現行では一切そういうものがないという理解でよろしいですか。
 ○科技庁
 ・ 法律で定められ、しかも濃度が定められている低レベル放射性廃棄物については埋設はできますけれど
  も、それ以外のものはできませんので、今はきちんと保管をしております。
 ○委員
 ・ 核燃料規制に関する法律では、廃棄物の処分場について全部は適用できないと聞いたのですが、法律
  は基本的にはあるが、不十分だという理解なのか。そもそもこの種のものについて、一切法律的な枠組はな
  いと考えた方が良いのか。
 ○科技庁
 ・ 安全性の確保の観点からこういう基準を充たして埋設なり処分をしなさい、処分することができます、という
  形での枠組となっております。
 ○委員
 ・ 一応は枠組はあるのだが、具体的な行動基準が定められていないという理解で良いのですか。
 ○科技庁
 ・ 先ほど言いました六ヶ所村で低レベル放射性廃棄物の一部については処分されているのですが、それ以
  外のものについて安全の確保の考え方、それから基準というものをこれから作っていかなければならない。
  そのためにも、例えば高レベル放射性廃棄物については、深地層の研究の成果を入れて、インプットとして
  与えてそれから定めていかなければならない。
 ○委員
 ・ 大きな法的枠組としては、核燃料規制に関する法律はあるのだが、プロセスとか具体的な選定の基準や
  構造の基準とか、詳細なものが定められていないという意味で不十分だという理解でよろしいですか。
 ○科技庁
 ・ 不十分とかではなくて、処分事業を行うに当たり、これからきちんと整備していかなければならないというこ
  とです。
 ○委員 
 ・ それからもう一点、研究施設の設置主体はどこなのかということと具体的な研究内容についてどこが責任を
  もって判断するのかということについてはどうですか。
 ○科技庁
 ・ 核燃料サイクル開発機構が深地層研究施設の設置者です。
 ・ 核燃料サイクル開発機構については、原子力委員会の長計やその他の計画に基づいて、その中でサイ
  クル機構がこういうふうに進めたいというお話をされ、それが認められているという形になりますが、それにつ
  いては当然ながら責任をもって進めていかなければならない。核燃料サイクル開発機構が動燃と変わった
  ところは大きな責任と裁量権に基づき、責任をもって進めていくというところ。活動が理解してもらえるかが、
  一番の問題であり、あるいはいろいろな言われ方をされ失墜した信頼、あるいは信用をどう回復、確保する
  かという課題を含めて取り組むものであり、その点について科学技術庁として責任も果たしていきたいと思っ
  ております。
 ○委員
 ・ 諸外国で研究している時に、こういう研究施設を作る時に、住民などにどのような説明をされていますか。
 ○科技庁
 ・ 十分に承知しているわけではありませんが、少なくとも何をします、例えば放射性廃棄物を持ち込まないこ
  となどについて地元に説明なさって進められているのが殆どだと理解しています。特に問題になるような点
  については、地場の産業との繋がりのことなどをいろいろ伺っています。深地層の研究に関する、特に自治
  体への説明については十分かどうかはわかりませんが、深地層の研究を進めて、実際に処分できるか、とい
  う問題になった時には、理解をいただかなくてならないということを指摘されている国はあります。
 ○サイクル機構
 ・ 今の質問は地下の研究施設を外国で作るときに、地元の方々にどういう説明をしているのか、あるいはどう
  いうやり方をしているのかという質問ですか。
 ○委員
 ・ どういう反応をしているのかということです。
 ○サイクル機構
 ・ 一例を申し上げますと、スウェーデンのエスポ島というところに、地下研究施設があります。地元の方々に
  説明した時に動植物の生息地なので、問題があるという指摘があったのです。それで、坑道を掘る場所を
  変えています。それは、地元の方々に説明している過程の中で、そういう指摘があって、研究の中身といい
  ましょうか、そういうものを変更している実例であります。
 ○委員
 ・ 廃棄物を地層処分したら回収する必要はないのですが、回収することも不可能ではないという説明があっ
  たので、この部分は研究されるのですか。
 ○サイクル機構
 ・ 現時点では再取り出しの技術項目の研究はありませんし、幌延において研究する計画もありません。
 ○委員
 ・ 科技庁と通産省の関係についてですが、道の照会に対して科技庁からお答えが来ていますが、これから
  省庁再編もあるし、そもそも今、科技庁と通産省の間で分担してやっているなかで、今後どうなるかわからな
  いときに、科学技術庁の答えでは安心できないという話もあります。不安、不信といいましょうか、それを解消
  していくためにはそのことをしっかりとしていく必要があるのではないかと思うのですが、この問題に関して国
  あるいは機構がどういう責任分担をされているのかということについて、ご説明していただきたいと思います。
 ○科技庁
 ・ 科学技術庁は、原子力の基本的な政策に係わる企画、立案及び推進について責任をもっております。実
  際の電気事業となりますと、通産省がもっております。高レベル放射性廃棄物の処分の枠組については、
  科学技術庁が責任をもっておりますが、個別具体的な事業という観点からは、実施主体のあり方等について
  は、通産大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会原子力部会で検討されています。これからの省庁
  再編については今、作業が進められている段階でありますので、何事も予断をもってお話をできるものでは
  ありませんが、行政の責任として対応させていただいきたいと思っております。少なくとも、やらなくてもいい
  事業につきましては、どんどん廃止する中でこの事業については責任をもって進められるようにいたします。
 ○委員
 ・ 将来にわたって、科学技術庁、あるいは今度の省庁再編に伴う新しいところが責任をもって取り組むことに
  なるというふうに考えてよろしいのですか。
 ○科技庁
 ・ そのとおりです。
 ○委員
 ・ 実施主体につきましては、2000年を目途という話でしたが、機構と実施主体との関係はどのようなもので
  すか。
 ○科技庁
 ・ サイクル機構はあくまでも研究開発です。
 ○委員
 ・ それが処分の主体になることはありますか。
 ○科技庁
 ・ ありません。
 ○委員
 ・ 処分地の選定についてはサイクル機構が現時点で、どうこういう立場にはないというふうに理解してよろし
  いでしょうか。
 ○科技庁
 ・ どうこういう立場にはありません。
 ○委員
 ・ そこは科学技術庁、行政として判断する立場であるということですね。機構の方はやらないということだけが
  はっきりとしているという理解でよろしいですか。
 ○科技庁
  ・ そのとおりです。先ほど紹介しました平成4年8月の原子力委員会専門部会の報告以前は、処分を進める
  主体と研究開発を行うところが明確に役割分担として、きちんと明示されていなかった。平成4年のレポート
  で処分の事業、研究開発の役割分担が明確に示され、平成6年の現行の長期計画に反映されて当時の動
  燃事業団は研究開発を中核的に進めるということになっています。
 ・ また、昨年9月、内閣総理大臣決定で、核燃料サイクル開発機構への改組に当たり基本方針が示され、
  明確に法律にも定められているとおり、高レベル放射性廃棄物の処理処分技術の確立に向けた研究開発
  を進めることが示されております。また、その一環として深地層の研究計画を地元の理解と信頼を得て推進
  するということが入っております。明確にサイクル機構については研究開発を推進していくものであり、さらに
  先ほど来説明しているとおり、処分予定地が実際にこれから決まっていった場合に、処分予定地で実施主
  体が地下の施設を設置して、その場所で実際に処分ができるかということを実証していくことになります。
 ・ 深地層の研究施設で得られた技術的な知見、深地層の知見を活かして、実際の処分の候補地、予定地
  になったところで本当にできるかということを実証していくというところは、実施主体の役割です。
 ○委員長代理
 ・ 今日の会議でいろいろとこれまでの経過の報告がありましたが、例えば処分懇の報告、あるいはバックエ
  ンド対策専門部会の報告については、後ほど事務局の方から委員の皆さんにお配りしたいと思っておりま
  す。そうしますと、議論がかみ合い、国が考えていることの理解が進むかと思います。
 ○科技庁
 ・ 今日せっかくこのような機会を設けていただきましたので、先ほど来、ご指摘のありますようにわかりづらいし、
  このほうが理解しやすいのではないかといういろいろな意見をいただきましたので、その点で1回説明すれば
  理解をいただけているというふうには考えておりませんので、必要に応じご説明申し上げます。
 ○委員長代理
 ・ そろそろ時間になりますので閉めたいと思いますが、特に事務局から何かありますか。
 ○事務局
 ・ 次回の検討委員会についてですが、核燃料サイクル開発機構から幌延町における深地層の研究につい
  て説明をうけたいと考えております。時期につきましては、1定議会後の3月中旬頃と考えておりますが、如
  何なものでしようか。
 ○委員長代理
 ・ 3回目を3月中旬とのことでありますが、幌延の研究についてが中心となると思います。サイクル機構、ある
  いは科技庁の日程もあると思いますから、3月中旬頃ということで日程調整をさせていただきたいと思います。
  本日の委員会を終了させていただきたいと思います。東京からわざわざ来ていただきましてありがとうござい
  ました。

 (この内容については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったもの等を整理のうえ、作成してい
  ます。) 

 

資料1

                  深地層研究に対する主な意見

1 原子力政策について

 ○ まず、地層処分ありきの考えが問題である。原子力研究開発利用長期計画を前提とした原発の増設、
  使用済み燃料の再処理といった考えから問い直す議論が、まずなされるべきである。
   地下で回収可能な状態で貯蔵するなどの考え方が各国にある。

 ○ 高レベル放射性廃棄物の処理・処分方策のめどもなく原発推進、プルトニウム循環方式を軸とする原子
  力政策を根本的に見直すべき。

 ○ 過去の再処理で生産された高レベル放射性廃棄物の処分については、発生者責任で目の届くところ
  で管理を行うこと。

 

2 研究施設と処分場の関係について

 ○ 現在の法制度及びこれまでの原子力委員会の一連の政策決定のもとにおいては、科学技術庁・核燃
  料サイクル開発機構の約束は効力がなく、変更可能なものである。
   いったん深地層試験場を受け入れてしまえば核の持ち込み、処分にまで行きつく。

 ○ 原子力委員会の「中間報告」(1984年)によって、深地層試験場は「処分予定地選定」の一環と位置
  付けられ、その後、この方針は撤回されていない。

 ○ 幌延町における先の「貯蔵工学センター」計画には「深地層試験場」も含まれていた。今回のあらたな
  提案は「幌延ありき」のなにものでもない。

 ○ 深地層試験の受け入れが、将来、周辺地域への処分場の立地に結びつく。

 ○ 処分場が未定の状況下では、研究施設が最終的に処分場となる可能性が極めて大きい。

 ○ 高い費用をかけて行う深地層研究は研究だけに終わらずに、処分場につながるおそれがある。

 

3 放射性廃棄物を持ち込ませない措置について

 ○ 「核抜き協定書」等は、放射性廃棄物の処分に関する法律がなく「担保」にならない。

 ○ 放射性廃棄物の処理・貯蔵・処分及びその安全規制や責任の問題に関して、情報公開・住民参加・
  環境アセスメントを保障した法制度を整備されてから貯蔵工学センター(深地層研究を含む)を検討す
  べきである。

 ○ 「幌延町には将来とも中間貯蔵施設の立地はない」という科学技術庁の見解は現時点での政策判
  断にすぎない。

 

 

                                                          参 考

 

昭和59年「中間報告書」と平成6年「原子力長期計画」

○放射性廃棄物処理処分方策について(中間報告) 

                            (昭和59年8月7日、放射性廃棄物対策専門部会)

 第2段階においては、第1段階における天然バリア及び人工バリアに関する研究、地層処分システム研究
を発展的に継続する。併せて複数地点において、物理探査等の地表踏査を中心とする広域調査を行い、順
次候補地点を選定し精密調査を行うとともに、深地層試験場を設け深地層での天然バリア及び人工バリアの
試験を行い処分予定地の選定に資する。

 

○原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画

                            (平成6年6月24日、原子力委員会)

 深地層の研究施設は、深地層の環境条件として考慮されるべき特性等の正確な把握や地層処分を行うシ
ステムの性能を評価するモデルの信頼性向上等地層処分研究に共通の研究基盤となる施設であり、我が国
における深地層についての学術的研究にも寄与できる総合的な研究の場として整備していくことが重要です。
また、このような施設は、我が国の地質の特性等を考慮して複数の設置が望まれます。さらに深地層の研究
施設の計画は、研究開発の成果、特に深部地質環境の科学的研究の成果を基盤として進めることが重要で
あり、その計画は処分場の計画とは明確に区別して進めていきます。

 

 

※ 資料2高レベル放射性廃棄物への取組みと深地層の研究施設について、資料3地層処分研究開発と
 深地層研究所(仮称)計画は、図を含むため割愛しておりますが、北海道行政情報センター(道庁別館3
 F)をはじめ、関係支庁(留萌、宗谷、上川)の行政情報コーナーに備え置いており、また、周辺市町村
 (幌延町、天塩町、豊富町、稚内市、猿払村、中頓別町、浜頓別町、中川町)にも備え置いているので、
 ご利用下さい。

 

 


 

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