相談事例9(教材過量販売)

消費生活相談事例9

 

●学力テストを受けたら - 9年分の学習教材の販売

 

[相談内容]

 自宅に「(小学1年生の)息子さんに、学力テストを受けさせませんか」と学習教材の事業者から、電話勧誘があり、息子も受けてみたいというので了承し、学力テストの答案を事業者に送付した。
 その後、事業者から「テスト結果を持って行きたい」との連絡があったので、これを了承したところ、その日に訪問があり、「テストの結果が非常に悪い」「このままでは、中学に入ったら間違いなく落ちこぼれる。」などと言われ、午後6時から午後11時まで、学習教材の勧誘を受けた。勧誘の途中で、「主人とは離婚し、養育費しか収入がないので契約できない。」と断ったが、「生活保護を受けている人もやっている」「子どもの将来のためには、この教材を使用しなければ、絶対に落ちこぼれる。」などと強引に勧誘を受け、根負けして契約をした。
 契約の内容は、「中学分を含めて系統立ててやらないと小学校の勉強が無駄になる。」などと言われ、小学校6年分のほかに中学3年分も含めた9年間分の教材を購入することなり、クレジット契約を行ったが、その際、無職であるにも関わらず「飲食店勤務」と書くように言われ、そのとおり記入した。

 

アドバイス  

 訪問販売を規制する特定商取引法では、「勧誘に先立ち、販売目的を告げなければならない」こととなっています。また、北海道消費生活条例でも、販売目的を告げることが必要です。
 この事例のように「テストを受けないか」、「子どもの教育に関し興味がないか」などと商品の販売を告げずに消費者に接近することは、法や条例に違反する行為となります。
 勧誘トークの問題点として、小学1年生の子どもに対し「中学に行ったら落ちこぼれる。」「この教材を使用しなければ、絶対に落ちこぼれる。」などと告げることは、特定商取引法で禁止されている不実告知(嘘を言うこと)の疑いがあるほか、消費生活条例で禁止されている心理的不安を与える行為に該当する可能性もあります。
 勧誘方法についても、来訪そのものを承諾したとしても、長時間勧誘や夜間など不当な時間帯の勧誘や、直接「帰ってください。」と言わなくても、「お金がない」や「主人に聞いてから考えたい」などと言っているにも関わらず勧誘を続ける行為は、特定商取引法や消費生活条例に違反する可能性が高いものです。
 契約内容についても、クレジット会社に対する書類へ「飲食店勤務」などと虚偽の記載をさせる行為は、法の禁止行為に該当するほか、9年分の教材の購入についても、条例に規定する過量販売の可能性が高いほか、契約金額によっては、消費者の財産状況から不適当と認められる勧誘に該当する場合があると考えられます。
 教材の訪問販売では、契約を急がせたり、大量の教材を契約させる事業者には注意し、契約するかどうかについて家族の人に相談するなど、時間を置いて冷静に判断することが大切です。

■重要
 
 訪問販売の場合、契約書面を受け取った日を含めて8日間は、クーリング・オフをすることができます。
 また、この期間を経過したとしても勧誘方法に問題がある場合には、クーリング・オフの期間が延びたり、特定商取引法や消費者契約法による契約の取消しをできる可能性があるほか、家庭教師の契約では中途解約をすることができますので、被害にあったときには、お住まいの市町村の消費生活相談窓口や消費生活センターに相談してください。
 

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