北海道環境宣言 ◆本文◆

北海道環境宣言 ◆本文◆


sengen_sengen.jpg

 北海道環境宣言・本文
-エコアイランド北海道をめざして-

知事メッセージ  前文  北海道環境スピリッツ「3つの心」  環境にやさしい8つの行動

エコアイランド北海道の実現をめざして   

知事メッセージ

 

一本の木が豊かな森になるように、
一人の行動が北海道の未来を育みます

 いま、みなさんのまわりには、どんな緑があるでしょうか?

 私たちの暮らす北海道は、日本全体の森林面積の4分の1を占める緑の王国。一人あたりにすると、1ヘクタールもの森をもっていることになります。しかし、この私たちの自然の森にもまさしく「地球高温化」の危機がせまっており、この原因となっている二酸化炭素の北海道での排出量は年々増加傾向にあり、一人あたりでは全国平均の1.3倍にもなっています。私たちは、この豊かな自然を大切にし、未来の子どもたちに胸をはって緑の大地を引き継いでいかなければなりません。

 

 2008年7月、人類にとって新たな未来の扉が開かれる、「北海道洞爺湖サミット」が開催されます。この記念すべき年を環境行動元年として、私たち道民一人ひとりができることをあらためて考え、家庭や職場そして地域で、行動に移していくことを北海道で暮らすみんなの決意として「環境宣言」に記したいと思います。みどりの森林づくりに参加することも、身近なごみをひとつ拾うことも、バイオマスや風力など環境にやさしいエネルギーに目を向けることも、すべて、未来の子どもたちにつながっているからです。

 

 一人ひとりができることは小さいと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。この北海道は豊かな自然とエネルギー資源に恵まれ、世界における環境保全の地域モデルになりうる素晴らしい大地です。最初は小さな一歩でも、着実にまっすぐとその歩みを止めないこと。その未来には、環境と調和する「エコアイランド北海道」が見えてくるはずです。この環境宣言のもと、道民の思いをひとつにし、世界に、未来に、私たちの決意と行動を発信していきましょう。

 

2008年4月21日

北海道知事 高橋 はるみ

 

前 文

 

 世界自然遺産に登録された知床に代表されるように、豊かな海や森林、そして湿原、河川、湖沼などが織りなす雄大な北海道の自然は、北国特有の様々な野生生物の生息の場であり、世界に誇れる、私たちの貴重な財産です。

 先人たちは、自然とともに生きるという知恵のもと、身の周りのあらゆるものを大切にする、環境と調和した暮らしを営んできました。そして、現在でも、こうした自然の恵みが、道民の安らぎのある暮らしと、農林水産業をはじめとする様々な産業の源泉となっています。


 しかしながら、地球温暖化をはじめとする地球環境への影響が確実に進行し、人類の生存や社会へ大きな脅威となることが懸念されています。これらの環境問題は、北海道やそこで暮らす私たちと密接な関わりをもっています。

 世界全体で1年間に排出される二酸化炭素など温室効果ガスの量は、森林などの自然により吸収される量の2.3倍以上となっており、将来に向けて化石燃料に依存しないゼロ炭素型の社会を目指していく必要があります。このため、私たちは、身の周りの生活や暮らしなどを環境にやさしいものに、できるものから今すぐ変えていかなければなりません。


 北海道は、さわやかな空気、清らかな水、広大な森林など豊かな自然の資源とともに、バイオマスや風力、雪氷など再生可能なエネルギー資源に恵まれ、環境と調和する持続可能な社会を築きあげていくための大きな可能性を秘めています。

 いま、私たちは、このかけがえのない北海道の環境をしっかりと守り、将来の世代に引き継いでいくために、家庭や職場、地域において、北海道らしい環境に配慮したライフスタイルを実践し、北海道の風土にふさわしい、うるおい、やすらぎ、ゆとりなど真の豊かさが感じられる、環境と調和する「エコアイランド北海道」づくりを道民総意のもとで取り組んでいくことを決意し、次のとおり宣言します。

 

北海道らしい環境に配慮したライフスタイルの実践に向けて

 

《北海道環境スピリッツ「3つの心」を大切にしよう。》

 

 私たち一人ひとりが、常に環境にやさしい行動をしていけるよう、次の3つの心すなわち「北海道環境スピリッツ」をもって、環境に配慮したライフスタイルを実践しましょう。

   

 私たちは「地球を守る心」を大切にします。地球温暖化など地球規模の環境問題に関心をもち、知恵と技術を活かし、地域で行動をします。

 バイオマスや風力、太陽光、雪氷など北海道に豊富に存在する再生可能なエネルギー資源を積極的に取り入れます。

 環境にやさしい製品を使用すること、さらには、二酸化炭素を吸収する森林やみどりづくりに取り組みます。

   

  私たちは、「もったいない心」を大切にします。ものが無駄になることを惜しみ、限りある資源を大切にし、省資源や省エネルギーに努めます。

 リデュース(ごみの減量)・リユース(再使用)・リサイクル(再生利用)といった3つのRの取り組みを心がけます。

 上記の3つのRに、リフューズ(ごみになるものを断る)・リペア(長期間使用するために修理する)・リニュ-アブル(環境にやさしい再生可能なものを使用する)といった新たな3つのRの視点を加え、廃棄物の排出を削減し、資源を有効利用することなどに取り組みます。

   

 私たちは、「自然と共生する心」を大切にします。自然や森林を守り育み、自然と調和した暮らしに心がけます。

 知床世界自然遺産をはじめとする原生的な自然から、身近にある森や川などまでしっかり守ります。

 自然のしくみをよく理解し、自然の恵みを賢く利用することに取り組みます。

 

《環境にやさしい「8つの行動」を実践しよう。》

 

  私たちは、「地球を守る」「もったいない」「自然と共生する」という3つの心をもって環境にやさしい「8つの行動」を、今の私たちと未来の世代のために、今日からその第1歩として始めましょう。こうした環境にやさしい行動は、家庭や企業、地域の経済や活性化にも役立ちます。

 

1 道民一人一日10%(1.1kg)の二酸化炭素を減らそう。

 私たちは一人一日あたり家庭から約11kgのCO2を排出しており、みんなで毎日欠かさず10%削減すると北海道地球温暖化防止計画の削減目標の約3割をカバーできます。

○暖房温度を1℃以上下げるなど電気・ガス・灯油などの使用量を減らす。
○自動車の利用を控えたり、駐車時のアイドリングストップなどエコドライブを行う。
○買い替え時には、低公害車や省エネルギー家電製品を選ぶ。など

 

2 オフィスや事業所の省エネルギーや省資源をすすめよう。

○ウォーム・ビズやクール・ビズなど控えめな冷暖房や節電を行う。
○省資源や省エネルギー型の環境にやさしい機器や商品などを購入する。
○製造工程での廃棄物の再生利用に努めるゼロエミッションを行う。など

 

3 道民一人30本植樹運動を実践しよう。

 私たちは、呼吸により生涯で6.4トンのCO2を排出しており、これをオフセット(相殺)するためには、一人30本の植樹が必要です。

○結婚や子ども誕生記念などさまざまな機会に植樹活動に参加する。
○自宅の庭や所有地に木を植えたり、植樹イベントを企画・開催する。など

 

4 道民一人一日10%(80g)のごみを減らそう。

 私たちは、一人一日あたり家庭から約800gのごみを出しており、みんなで毎日10%減らすと北海道廃棄物処理計画の削減目標が達成できます。

○家庭での食べ残しを少なくし、生ごみは自分で堆肥化するなど再利用に努める。
○買い物の際は過剰包装を断り、マイバッグを持参する。
○ごみの分別を徹底し、紙やプラスチックなどの資源リサイクルを実践する。など

 

5 資源を地域内で循環する地産地消をすすめよう。

○地域の産業や特色を活かすなど、地域ぐるみの資源循環の取組を行う。
○地域のバイオマスやエネルギー資源を利用したまちづくりを進める。など

 

6 北海道をきれいにする清掃活動に参加しよう。

○町内会、自治体、NPOなどで実施している清掃活動に参加する。
○空き缶やたばこなどごみのポイ捨てはしない。など

 

7 自然のすばらしさにふれ、身近な川や湖などを守る環境保全活動に参加しよう。

○自然観察会やバードウォッチングなど自然との親しみ・ふれあいをすすめる。
○高山植物を採らないなどルールやマナーを守って自然を楽しむ。
○住民参加型の環境モニタリングや水環境保全講習会に参加する。など

 

8 環境と調和した農林水産業や観光業をすすめよう。

○有機農業や農薬・化学肥料を必要最小限にとどめるクリーン農業に努める。
○伐採跡地への植林などの林業再生や在来魚介類の種苗放流などに取組む。
○ホテルや旅館における省エネルギーの取組やエコツーリズムなどを進める。など

 

「エコアイランド北海道」の実現に向けて

 

 3つの心と8つの行動による北海道らしい環境に配慮したライフスタイルを実践し、環境と調和する「エコアイランド北海道」の実現をめざして、北海道としては、道民との協働のもと、次の3つの施策を進めます。

   

 道民や事業者をはじめ市町村やNPOなどが連携して、環境にやさしい行動に取り組むことができるよう、この宣言の付属資料「道民・事業者のための環境行動の手引き」を踏まえ、総合的な取組指針となる「北海道環境行動計画」を策定します。

   

 森林づくりを通じて地球温暖化防止に積極的に貢献するとともに、水源の涵養をはじめ、野生生物の生息地や私たちの癒しの空間、さらには気候や洪水を調節するなど森林のもつ多様な機能を維持・増進するために、本道の森林をみんなで支えていく新たな森林環境政策を展開します。

   

 2008年7月に開催される「北海道洞爺湖サミット」を記念して、2008年を「環境行動元年」、毎年7月を「道民環境行動月間」に、さらに、5月、7月、10月、1月の第2日曜日を春夏秋冬の「道民環境の日」として、道民一人ひとりが四季折々の環境行動を楽しみながら実践できるよう全道的なキャンペーンを実施します。

 

 環境と調和する「エコアイランド北海道」づくりに向けた道民総意の着実な環境の取組が、北海道の将来のためばかりでなく、世界における環境保全の地域モデルの一つになることを期待して、この宣言を全世界に広く発信して、世界に、未来に、そして人類に貢献します。

     

 

カテゴリー

環境保全局環境政策課のカテゴリ

cc-by

page top