地域循環共生圏とは?
私たちの暮らしは、本来、森里川海からもたらされる自然の恵み(生態系サービス)に支えられています。かつて、私たちは、自然から得られる資源とエネルギーが地域の衣・食・住を支え、地域資源は循環して利用されてきました。そして、地域の暮らしが持続可能であるために、自然を利用しながら管理する知恵や技術が受け継がれ、自然と共生する暮らしが営まれてきました。
しかし、エネルギー革命が起こり、工業化の急速な進展や、流通のグローバル化により、私たちの暮らしは物質的な豊かさと便利さを手に入れ、生活水準が向上した一方で、自然の恵みに頼る必要性が無い暮らしに変化していく中で、人口の都市部への集中、開発、環境汚染、里地里山の管理不足による自然の荒廃、海洋プラスチックごみ、気候変動問題等の形で持続可能性を失ってしまいました。さらに、海外への投資依存や急速な都市化の進展、人口減少・高齢化等によって、人と自然、人と人とのつながりが希薄化し、従来のコミュニティが希薄化しつつあります。
国全体で持続可能な社会を構築するためには、各々の地域が持続可能であることが必要です。各地域において、その鍵となる地域循環共生圏の実装を進め、経済社会システム、ライフスタイル、技術といったあらゆる観点からのイノベーションを創出しつつ、新たな成長を実現していきます。
私たちの消費行動を含むライフスタイルやワークスタイルにおいても、価格重視ではなく、環境価値の適切な評価を通じ、相対的に環境負荷が低い製品やサービスの積極的な選択や、より環境に配慮した製品・サービスの創出を促進し、新たな需要を生む好循環を形成することが重要です。また、限られた資源を有効活用することで、天然資源の利用及び加工による環境負荷の削減を実現し、大量生産・大量消費・大量廃棄型の生産や消費に代わる持続可能で健康的なライフスタイルやウェルビーイングの在り方を示すことも重要です。
「地域循環共生圏」とは、地域資源を活用して環境・経済・社会を良くしていく事業(ローカルSDGs)を生み出し続けることで地域課題を解決し続け、自立した地域をつくるとともに、地域の個性を活かして地域同士が支え合うネットワークを形成する「自立・分散型社会」を示す考え方です。
その際に、私たちの暮らしは、森・里・川・海のつながりからもたらされる自然資源が活用できる範疇でのみ成立するため、それらを持続可能な形で活用していくとともに、自然環境を維持・回復していくことが前提となります。
地域資源の種類は主に3つに分類され、道内では特徴ある地域資源を活かした取組が始まっています。
「自立した地域」とは、自ら課題解決を続け、地域づくりを持続している地域のことです。課題解決の手段は、環境・社会・経済の課題を同時解決する「ローカルSDGs事業」を地域で数多く生み出していくことです。
また、そのような事業を生み出すことを目的に、地域の中と外の異分野・異業種の人たちと協働するための「地域プラットフォーム」をつくることで地域づくりは加速し、地域同士の支えあいのネットワークにもつながります。
道内における取組事例
タイプ別 | 国の補助による取組等 | 道の取組等 |
(1) 地域の再エネを活用する取組 |
【風力・太陽光・水力等】 【脱炭素先行地域】 |
【エネルギー地産地消事業化モデル支援事業(R3まで)】 |
(2) 地域の循環資源を活用する取組 |
【バイオマス(家畜ふん尿、木質)】 |
【エネルギー地産地消事業化モデル支援事業(R3まで)】 【北の住まいるタウン モデル市町村】 |
(3) 地域の自然資源を活用する取組 |
【雪冷熱】 【野鳥】 【温泉熱】 |
【エネルギー地産地消事業化モデル支援事業(R3まで)】 |
※主に令和元年度以降に取り組みされているものを示している。
国の補助事業
(1)-1 脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業(令和元~5年度(予定)) (地域の再エネ自給率向上やレジリエンス強化を図る自立・分散型地域エネルギーシステム構築支援事業) |
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【概要】 地方公共団体と民間事業者との共同により地域の再エネ・蓄電池・自営線等を活用した、地産地消の自立・分散型エネルギーシステム構築のための計画策定や設備等導入に対して支援を行う。 |
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R4募 集 | R4.4.28~R4.6.8(詳細) | 採 択 | 詳細) | R4.7.20(
R4二次募集 | R4.9.29~R4.10.28(詳細) | 採 択 | R4.12.7(詳細) |
(温泉熱等利活用による経済好循環・地域活性化促進事業) (温泉供給設備高効率化改修による省CO2促進事業) |
(1)-2 脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業(令和元~5年度(予定))|||
【概要】 地域固有の熱源である温泉熱等を利活用して地域単位で発電や熱利用を行い、脱炭素型温泉地の形成を支援することで地域の経済好循環と活性化を図るとともに、温泉供給設備更新時の省エネ設備導入の支援を行う。 |
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R4募 集 | R4.4.28~R4.6.8(詳細) | 採 択 | R4.7.20(詳細) |
R4二次募集 | R4.9.29~R4.10.28(詳細) | 採 択 | R4.12.7(詳細) |
R5募 集 | R5.5.8~R5.5.26(詳細) | 採 択 | R5.7.4(詳細) |
(2) 環境で地域を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業(令和5年度) | |||
【概要】 地域循環共生圏の創造に向けて取り組む地域・自治体の人材の育成、地域の核となるステークホルダーの組織化や事業計画策定に向けた構想の具体化などの環境整備を推進する。 |
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R4募 集 | R5.1.17~R5.2.17(詳細) | 採 択 | R5.4.3(詳細) |
北海道の補助事業
地域循環共生圏の構築に活用可能な道の補助事業を紹介します。
(より詳細な情報は、経済部ゼロカーボン産業課のHPをご覧ください。)
補助事業 | 概 要 | 対象 | 補助率等 |
新エネルギー設備導入支援事業 |
地域主導のエネルギー地産地消の取組を加速し、「ゼロカーボン北海道」の実現につなげていくため、地域のエネルギーと経済の地域循環により、持続可能な地域づくりに資する新エネルギー設備導入や、新エネルギーの導入効果を増大する省エネルギー設備の導入に対して補助。 |
・市町村 |
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ゼロカーボン・モビリティ導入支援事業 |
地域主導のエネルギー地産地消の取組を加速し、「ゼロカーボン北海道」の実現を促進するため、新エネルギー発電設備と電気自動車や定置型蓄電池を組み合わせて、余剰電力の蓄電や蓄電池からの電力供給を行うエネルギー自立型施設(V2X)の構築に対して補助。 |
・市町村 |
補助率:1/2以内 |
ゼロカーボン・ビレッジ構築支援事業 |
新エネルギーの活用を促進するため、地域の特性に応じた多様なエネルギー資源と地域の需要家が有する新エネルギー発電設備や蓄電池などの分散型エネルギーリソースを効率的に組み合わせて、街区単位や複数の公共施設・民間企業等で活用する地域マイクログリッドや熱の面的利用など、需要と供給が一体となった取組に対して補助。(計画等作成または構築事業) |
・市町村 |
補助率:1/2以内 上限: (設計)500万円 (導入)7,500万円~ 1億5,000万円 |
ゼロカーボン・イノベーション導入支援事業 |
エネルギー地産地消を促進するため、新エネルギー資源を活用した実用化目前の先端技術等を地域の特性に合わせて仕様や能力を最適化し、新エネルギーの製造から貯蔵・輸送・利活用までのサプライチェーンを構築するなどの取組に対して支援。 | ・市町村、大学などの研究機関等、法人などによるコンソーシアム |
補助率:2/3以内 |
新エネルギーコーディネート支援事業 |
地域への新エネルギー導入検討について助言する専門人材(コーディネーター)の派遣や、市町村と法人事業者のマッチング、エネルギー地産地消の展開を図るセミナーを道内各地で実施。 | ・市町村 | 無料 (意向調査あり) |
地域新エネルギー導入加速化調査支援事業 (経済部ゼロカーボン産業課) |
地域における新エネルギーの導入促進を図るため、市町村が策定している新エネルギー導入拡大のための計画等に基づいた具体的な導入可能性調査(Feasibility Study(FS調査))等を支援。 | ・市町村 ・市町村コンソーシアム |
補助率:1/2以内 上限:300万円 |
セミナー等のお知らせ
地域循環共生圏に関係するセミナー情報をお知らせします。
日 時 | 主 催 | 名 称 | 備 考 |
2024年6月28日(金) |
環境省北海道環境 (EPO北海道) |
【連続企画】 ・EPO北海道HP(申し込み) |
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2024年5月24日(金) |
環境省北海道環境 (EPO北海道) |
【連続企画】 ・EPO北海道HP(申し込み) |
終了しました |
2024年1月25日(木) |
環境省 |
地域をつよく。地域指標分析セミナー |
終了しました |
2023年11月7日(火) | 環境省 | 地域循環共生圏フォーラム2023 | 終了しました |
[1回目] [2回目] [3回目] [4回目] |
環境省 | 終了しました | |
2023年 3月16日(木) |
(一社)環境情報科学センター |
第153回環境サロン |
終了しました |
2023年 3月28日(火) |
(一社)環境情報科学センター | 第154回環境サロン 「地域循環共生圏」トークセッション (再生可能エネルギーと地域循環共生圏) |
終了しました |
2023年 3月6日(月) |
環境省 (株)価値総合研究所 |
地域を強く。地域経済の分析セミナーVol.3 ~地域政策がもたら効果の検討~ |
終了しました |
2023年 3月2日(木) |
環境省 (株)価値総合研究所 |
地域を強く。地域経済の分析セミナーVol.2 ~地域経済のこれからを考える~ |
終了しました |
2022年 |
環境省 | 地域循環共生圏フォーラム2022 | 終了しました |
地域循環共生圏構築に有用な分析ツール・情報など
地域循環共生圏の構築に向けた検討に有用な分析ツールや各種情報を整理しました。
分析ツール・情報など | 概 要 |
(1) 地域経済循環分析 |
地域経済の長所と短所を分析し、地域のお金(所得)の流れを生産、分配、支出(消費、投資等)の三面から「見える化」、地域経済の全体像や、所得の流出入(お金を稼ぐ力・流出額)、地域内の産業間取引(循環構造)を把握できます。 |
(2) 地域指標分析 |
全市町村ごとの統一的に入手可能な客観的指標(地域のストック・地域の成果)を整備。これらの指標を活用することで、地域の強み、弱み、課題を定量的に把握し、環境・社会・経済の統合的向上に向けた効果的な政策立案につなげることが可能です。 |
(3) REPOS(再生可能エネルギー情報提供システム) |
カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーの導入促進に役立つ情報等を提供。再エネ種別のポテンシャルや自治体別集計マップのほか、自治体の「再生可能エネルギー促進区域」の検討支援ツールなども掲載。 |
(4) EADAS(環境アセスメントデータベース) |
環境アセスメントにおいて地域特性を把握するために必要となる自然環境や社会環境の情報を、地図上で閲覧できる地理情報システム(GIS)で提供しています。 |
(5) RESAS(地域経済分析システム) |
地方創生の様々な取組を情報面から支援するため、各自治体の産業構造や人口動態、人の流れなどについて官民のビッグデータを活用した可視化システムです。 |
(6) 自治体排出量カルテ |
自治体の温暖化対策実行計画(区域施策編)における対策・施策を検討するための参考ツール。環境省による計画の策定マニュアルの標準的手法に基づいた、各市町村の部門別CO2排出量の推計結果や、対策施策の重点的分野を洗い出すために必要な情報を提供。 |
※地域経済循環分析」を活用して道でも独自の分析を行いました。