石狩湾新港発電所建設計画環境影響評価方法書に係る知事意見

○環境影響評価方法書に係る知事意見 (平成24年7月23日)

1 総括的事項

(1)準備書の作成に当たっては、事業区域及びその周辺地域の環境保全に最大限配慮して調査等を実施するとともに、事業計画の変更や調査結果によっては、必要に応じ環境影響評価の項目及び手法を見直すなど適切な対応を講ずること。

(2)準備書の作成に当たっては、方法書で記載している「周辺海域」の範囲を明確に定義し使用すること。

(3)準備書の作成に当たっては、入手可能な最新の文献を使用するなど知見の充実に努めること。

2 個別的事項

(1)大気環境

 石狩市・当別町での事業者による大気質の調査地点については、その選定理由を明確にするとともに、その選定に当たっては住環境を勘案して行うこと。

 方法書では、環境の保全について配慮が特に必要な施設(保全対象施設)の配置状況を示しているが、準備書で大気汚染物質の予測・評価を行う際には、最大着地濃度の場所を示し、その周辺にある保全対象施設を踏まえ評価を行うこと。

(2)騒音・振動

工事用車両の交通ルートを明らかにした上で、環境保全について配慮が必要な施設及び住宅の配置状況を考慮して、関係地域における調査地点及び予測地点を選定すること。

(3) 動物

北海道自然環境保全指針のすぐれた自然地域として抽出された石狩海岸の自然の要素では、陸域動物の注目すべき生息地として、エゾアカヤマアリ及びキタホウネンエビの生息地が確認されており、事業の実施に伴い、これらの生息地に影響を及ぼすおそれがある場合は、調査・予測・評価を行うこと。

(4)陸域生態系

石狩海岸は、北海道自然環境保全指針のすぐれた自然地域として抽出されており、事業の実施に伴う陸域生態系への影響について調査・予測・評価を行うこと。

(5)海洋生態系

石狩湾新港地域及びその周辺の沿岸部はサケの幼稚魚の重要な生育の場であり、かつ、ニシンの産卵場所にもなっていることから、専門家の意見を聴いた上で、事業の実施に伴う海洋生態系への影響について調査・予測・評価を行うこと。

(6)魚類の調査手法

魚類の調査手法として、卵・稚仔については「まるち型改良ネット」による採集となっているが、サケの幼稚魚の採集については、2艘表層曳き網、巻き網、火光利用敷網などを用いることにより適切に採集 すること。

(7)景観

 景観の予測地点では、札幌市域が入っておらず、札幌市民及び札幌市に来る観光客の不特定多数の者の視点場所に配慮し、景観調査地点として札幌市内における適切な地点を選定するよう検討すること。

 マクンベツ湿原(地名:矢臼場)については、北海道自然環境保全指針のすぐれた自然地域に抽出されており、準備書においては景観資源として追加すること。

(8)その他

 取放水設備の設置に伴い、海域の流向・流速への影響は少ないとしているが、準備書には流向・流速への影響の少ない理由を、この設備の規模を提示した上で記載すること。

 建設機械の稼働及び施設の稼働について、影響が及ぶ範囲には民家等が存在しないことから環境影響評価の項目として選定しないとしているが、事業予定地域周辺の工事で、過去に苦情の実例があったことから、環境影響評価の項目に含めることを検討すること。


 

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