北海道アスベストQ&A 2 健康に関すること

Q4 アスベストが原因で発症する病気にはどのようなものがありますか?
 
アスベストとの関連が明らかな疾患としては、次の5つがあります。このうち、石綿肺、中皮腫はアスベストとの関係が特に高い疾患とされています。
 ○石綿(アスベスト)肺
 ○肺がん
 ○中皮腫(ちゅうひしゅ)
 ○良性石綿胸膜水
 ○びまん性胸膜肥厚(環境再生保全機構のホームページ「石綿(アスベスト)による関連疾患」)
 アスベストによる疾患は、アスベストを吸入してから数十年という長い潜伏期間の後、発症することが多いとされています。
 仕事でアスベストを扱っていた方は、その作業方法にもよりますが、アスベストを吸入していた機会が多いことになりますので定期的に健康診断を受けるなどの注意が必要です。仕事でアスベストを扱っていた方は、こちらの環境省のホームページもご覧ください。

Q5 どの程度の量のアスベストを吸い込んだら発病しますか?
 
吸い込んだアスベストの量と中皮腫や肺がんなどの発症との間に相関関係が認められていますが、どの程度以上のアスベストを、どのくらいの期間吸入すると発症するかは明らかではありません。なお、クリソタイル(白石綿)と比べ、クロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)は、発症の危険性が高いと言われています。

Q6 以前アスベストを吸い込んでいた可能性がある場合どこに検査に行けばよいですか?
 
アスベストを吸い込んだ可能性のある方や呼吸困難、咳、胸痛などの症状がある方、その他、特にご心配な方は、近隣の労災病院等の医療機関に相談されることをお勧めします。
 また、最寄りの保健所でも健康相談を受け付けています。医療機関、保健所のリストは、こちらの保健福祉部のホームページをご覧ください。

Q7 アスベストを吸い込んだ疑いがある場合、健康被害がおきているかどうかは、どのような検査でわかりますか?
 
アスベストに関する健康診断は、問診や胸部エックス線検査を行い、必要に応じ胸部CT検査、気管支鏡検査等を行います。なお、アスベストを吸い込んだ方全てに、胸部エックス線写真等によるアスベストを吸い込んだ可能性を示唆する所見があるとは限りません。

Q8 吸い込んだアスベストは除去できますか?
 
吸い込んだアスベストの一部は異物として痰の中に混ざり体外に排出されますが、排出されないアスベストは肺の組織内に滞留します。肺内に滞留したアスベスト繊維を白血球の一種であるマクロファージが排除しようとしますが、繊維が細くて長いものほど排除されにくく、肺内に長く滞留することになります。

Q9 アスベストが原因で発症する疾患に特有の症状はありますか?
 
早期発見・治療には、アスベストによる疾患に伴う自覚症状があるか、チェックすることが大切です。アスベストを吸い込んだ可能性のある方で次の症状がある方は、医療機関に相談することをお勧めします。
 ・ 息切れがひどくなった。
 ・ せきや痰が以前に比べ増えた、痰の色が変わった。
 ・ 痰に血液が混ざっている。
 ・ 胸や背中の痛みが持続する。
 ・ 顔色が悪い、爪の色が紫色に見える。
 ・ 顔が腫れぼったい、手足がむくむ。
 ・ 激しい動悸がする。
 ・ 風邪をひいて、なかなか治らない。
 ・ 微熱が続く、高熱が出る。
 ・ 横になると息が苦しい。
 ・ 食欲がなくなった、急にやせた。
 ・ やたらに眠い。

Q10 中皮腫や肺がんの発病を予防するためにはどうすればよいですか?
 
アスベストを吸い込んだ方のすべてが発症するわけではありませんが、喫煙により肺がんになる危険性が増大しますので禁煙することをお勧めします。

Q11 健康被害の認定と補償をうけることは可能ですか?
 仕事でアスベストを吸入し、アスベストによる疾患にかかったり、亡くなられた場合に、業務上の災害として労働基準監督署の認定を受ければ、労災保険の給付を受けられます。
 労災保険で受けられる給付の内容や手続きについては、こちらの北海道労働局のホームページをご覧ください。
 また、アスベストを扱う作業に従事していたか不明で心配な方は、こちらの環境省のホームページもご覧ください。

Q12 労働者以外の方で中皮腫になった場合に補償等を受けることは可能ですか?
 
労災補償等の対象とならない方に対し、迅速な救済を図ることを目的として、「石綿による健康被害救済に関する法律」に基づく救済制度が創設されました。
 この制度は、アスベストを吸入することにより中皮腫や肺がんになった方や、この法律の施行前にこれらの疾患が原因で死亡した方のご遺族に対して、医療費等の給付をするものです。
 給付の内容や手続きについては、こちらの環境再生保全機構のホームページをご覧ください。

Q13 現在、工場の周りに住んでいますが、大丈夫ですか?
 
現在は、作業場からのアスベストの飛散防止が労働安全衛生法で、工場の敷地境界におけるアスベスト濃度の基準の遵守が大気汚染防止法で義務づけられているため、工場からのアスベストの飛散の心配はないものと考えられます。
 また、平成18年9月1日には化学プラントの配管接合部分に使用されるシール材など一部の製品を除き、アスベスト製品の製造は禁止されています。

Q14 普通の生活をしていて、アスベストを吸い込むことはありますか?
 
アスベストは天然の鉱物です。アスベストを含む蛇紋岩などの岩石は全国にあり、その風化等によってもアスベストは大気中に飛散するため、一般の大気中にも微量ながらアスベスト繊維は浮遊していますが、この程度の濃度では健康への影響を心配することはないと言われています。
 アスベストに接触することを「曝露」と言いますが、アスベストによる疾患は、通常、職業性曝露を受けた労働者に発症します。職業性曝露とは、石綿鉱山や石綿製品製造工場などでアスベストを取り扱ったり、アスベストを取り扱う現場で作業をすることにより曝露を受けるものです。
 また、石綿工場で働く夫の作業衣を洗濯したり、日曜大工で石綿含有製品を切断したことによる家庭内曝露、石綿鉱山や石綿工場の近隣住民の近隣曝露があり、職業性曝露以外の発症が報告されています。

Q15 水道管にアスベストが使われているそうですが、大丈夫ですか?
 
厚生労働省は、水道水質基準を検討する際、アスベストの毒性を評価しましたが、呼吸による吸入と比べ経口摂取に伴う毒性はきわめて小さく、また、水道水中のアスベストの存在量は問題となるレベルにないとして、アスベストの水質基準の設定を行いませんでした。
 また、世界保健機構(WHO)は、飲料水ガイドラインにおいて、飲料水中から摂取されたアスベストが健康に有害であるという確証はなく、健康影響の視点からガイドライン値を定める必要はないと結論づけています。

Q16 現在、アスベストを取り扱う作業をしています。健康診断を受けることはできますか?
 
石綿障害予防規則により、事業主は、アスベストを取り扱う業務に従事させる労働者又は従事させていた労働者に6ヵ月以内ごとに1回、定期健康診断を行わなければなりません。事業場で行われる健康診断を受診してください。

Q17 以前、アスベストを取り扱う作業をしていました。すでに退職していますが、会社の費用で健康診断を受けることはできますか?
 
事業主は、アスベストを取り扱う業務に従事させていた労働者に対して、その業務から離れた後も、事業場に在籍している間は健康診断を行う義務がありますが、退職者についての健康診断は義務づけられていません。
 厚生労働省では、緊急的な対策として、アスベスト取扱作業等を行っていた事業場に対して、アスベストを取り扱う業務に従事していた退職者を把握し、健康診断の実施に努めるよう要請していますので、健康診断の連絡があった場合は、積極的に利用してください。

Q18 無料で健康診断が受けられる健康管理手帳制度があると聞きました。その内容を教えてください。
 
アスベストによる健康管理手帳が交付されるのは、アスベストを製造し、又は取り扱う業務に従事していた方で、健康診断の結果、両肺野にアスベストによる不整形陰影がある又はアスベストによる胸膜肥厚が認められた場合です。健康管理手帳が交付されると、年に2回、無料で健康診断を指定された医療機関で受けられるようになります。
 健康管理手帳の交付を受けるには、都道府県労働局長に申請します。詳しくは、北海道労働局労働基準部労働衛生課(011-709-2311)にお問い合わせください。

Q19 退職後時間が経っていますが、いまからでも健康管理手帳の交付を申請できますか?
 
健康管理手帳が交付されるのは、退職前にアスベストを製造し、又は取り扱う業務に従事していた方で、両肺野にアスベストによる不整形陰影がある又はアスベストによる胸膜肥厚が認められた場合です。以上の要件を満たす方は、いつでも健康管理手帳の交付を申請できます。 

Q20 夫は建設会社に勤務していました。中皮腫と診断され4年前に亡くなりました。工事現場でアスベストを吸った可能性がありますが、労災補償は受けられますか?
 仕事でアスベストを吸入し、アスベストによる疾患で亡くなられた場合に、業務上の災害として労働基準監督署の認定を受ければ、労災保険の給付を受けられます。労災保険給付を受ける権利は退職しても変更されませんので、退職後でも労災認定を受けられます。
 ご質問の場合の労災保険給付は遺族補償給付となりますが、遺族補償給付は死亡後5年で時効となります。まもなく時効となりますので、早い時期に最寄りの労働基準監督署にご相談ください。
 なお、石綿による健康被害の救済に関する法律により、この法律の施行日の前日(平成18年3月26日)までに亡くなられた労働者の遺族で、労災保険の遺族補償給付の支給を受ける権利が時効により消滅した方に対して、特別遺族年金・特別遺族一時金が支給されます。特別遺族年金・特別遺族一時金の請求期限は、平成24年3月27日まで、特別遺族年金の支給は、請求があった日の属する月の翌月分からの支給となりますので、速やかに請求されることをお勧めします。詳しくは、北海道労働局労働基準部労災補償課(011-709-2311)にお問い合わせください。

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