エキノコックスってなぁに?
エキノコックスは寄生虫の1種です。単包性と多包性の2種類があり、北海道のものは、多包性のエキノコックスです。成虫(親虫)と幼虫(子虫)がいますが、成虫は主としてキツネに、幼虫は野ネズミに寄生しています。
成虫はたまごをつくりますが、その卵が何らかの機会に人の口に入ると、腸で卵から幼虫となり、主に肝臓に寄生し、エキノコックス症という病気を引き起こします。正しい知識があれば感染を予防することができます。
○成虫
体調4ミリメートルほどの細長い白い虫です。
キツネの小腸に寄生して卵を作り、キツネのふんとともに卵を外に出します。
○卵
直径0.03ミリメートルの球形で、肉眼では見えません。
卵がついた木の実などを野ねずみが食べると肝臓で幼虫になります。
○幼虫
袋のような形で原頭節を作り出します。
原頭節は体内の別な場所に運ばれると、そこで幼虫となり、いわるゆ「飛び火」を起こします。
幼虫の寄生した野ねずみをキツネが食べるとキツネの腸の中で幼虫は成虫になります。
エキノコックスが寄生する動物は?
成虫と幼虫が寄生できる動物は、それぞれ決まっています。
ネズミ類や人、ブタの体内の幼虫は成虫になることはなく、卵を作ることもないので、これらの動物どうしでは、感染は起こりません。
■成虫が寄生する動物・・・キツネ・犬など
■幼虫が寄生する動物・・・野ネズミ・人・ブタなど
どのように人に感染するの?
エキノコックスの卵が口に入ってしまった場合に感染することがあります。
エキノコックスが寄生したキツネやそのふんに直接さわったり、ふんに汚染された山菜や沢水を口にすると感染の危険があります。
人から人や、ブタや野ネズミから人に直接感染することはありません。
【エキノコックスの寄生サイクル】
エキノコックスの幼虫が寄生したネズミを食べたイヌにも成虫が寄生することがあります。
エキノコックス症ってどんな病気?
エキノコックスが主に肝臓に寄生して起こる病気です。
世界の中では主に北半球(寒い地方)で発生しており、日本では北海道を中心として、見られる病気です。
感染率は他の病気に比べ高くありませんが、感染してから自覚症状が出るまで数年から10数年かかり、
気がつかないうちに悪化してしまうことが多い病気です。
早期発見・早期治療が大切
エキノコックス症は、放っておくとだんだん悪化して命に
かかわることもありますので早期に発見することが大切です。
少なくとも5年に一度は血清検査を受けて、感染してないことを確かめておくとよいでしょう。
感染 | 卵が体内で幼虫になり寄生。 |
第一期 (潜伏期) |
○数年から10数年位無症状の時期が続きます。 |
第二期 (進行期) |
○5年から10数年位経過 |
第三期 (完成期) |
●肝機能障害がおこります。 |
自覚症状はありますか?
エキノコックス症は、主に肝臓の病気です。
進行につれて肝機能障害に伴う疲れやすさ、上腕部・季肋部の不快感、
黄疸などの症状がでます。
自覚症状が出る頃には病気が悪化している可能性がありますので、
健康診断で早めに発見することが大切です。
【主な症状】
○疲れやすい、黄疸、上腕部・季肋部の不快感、腹水、浮腫、発熱、上腕部の膨満感
治療法は?検診はどこでやっている?
エキノコックス症の治療方法としては薬物治療もありますが、現在のところ、根治するためには、手術で切除するしかありません。エキノコックス症はなによりも早期に発見し、早期に治療を行うことが、大切で、そのことにより完全に治すことができます。 |
北海道内では、1次検診は市町村が行っています。対象は小学校3年生以上で5年以上検診を受けていない方です。対象地区は市町村が定めます。血清検査を行い、1次検診で感染の可能性があった場合(陽性又は擬陽性)は北海道が実施する2次検診を受けていただきます。 道内の方は、お住まいの市町村か、最寄りの保健所にお問い合わせください。 |
どうすれば予防できるの?
エキノコックスの卵が口に入らないようにすることが大切です。 人家の周囲にキツネを近づけないよう、生ゴミなどキツネのえさとなるものの管理に気をつけましょう。 井戸水にキツネのふんや汚染水が入らないように、ふたをするなど管理をしっかりしましょう。 |
【予防のために大切なこと】
・外から帰ったら必ず手を洗いましょう。
・野山の果実や山菜などを口にする場合は、良く洗うか十分熱を加えてから食べましょう。
・エキノコックスの卵はマイナス20度くらいの低温では死にませんが、熱には弱く、煮沸すれば確実にこの卵を殺すことができます。
(卵は100度で1分間の加熱で死滅します)
・生ごみなどキツネのえさになるものはきちんと保管し処分しましょう。
してはいけないことは?
・キツネのえさになる残飯や生ゴミを放置しないようにしましょう。
・可愛いからといってキツネを餌付けしたり、呼び寄せたり、手で触れることは絶対にやめましょう。
(キツネの体毛に卵がついていることがあります)
・沢水や小川などの生水は飲まないようにしましょう。
・イヌの放し飼いは絶対にやめましょう。