北海道福祉のまちづくり条例

北海道福祉のまちづくり条例

北海道福祉のまちづくり条例 平成9年北海道条例第65号(平成9年10月23日公布)

前文
 私たち一人一人が地域社会を構成する一員として尊重され、安全で快適に生活できる社会をつくることが、私たち道民の共通した願いである。
 こうしたことを実現していく上で、すべての道民が等しく自由に行動し、様々な分野における社会参加の機会を有することができるよう公共的な施設や交通機関、情報、サービス等を円滑に利用できる地域社会づくりを総合的に進めていくことが重要である。
 とりわけ北海道は、急速に高齢化が進み本格的な高齢社会を迎えようとしており、また、積雪寒冷の地であることから、こうした取組を一層強めていく必要がある。
 このような考え方に立って、私たちは、それぞれの役割を自覚し、共に力を合わせ、一体となって福祉のまちづくりに取り組むことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、福祉のまちづくりに関し、道、事業者及び 道民の責務を明らかにするとともに、道の基本的施策について必要な事項を定めることにより、福祉のまちづくりを総合的に推進し、もって道民の福祉の増進に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1) 福祉のまちづくり 障害者、高齢者等をはじめすべての道民が、日常生活又は社会生活における様々な障壁が取り除かれることにより、等しく社会参加の機会を有することができるとともに、共に支え合い、自立した生活を送ることができる地域社会づくりをいう。
 (2) 障害者、高齢者等 障害者、高齢者、妊産婦その他の者で日常生活又は社会生活において行動上の制限を受けるものをいう。
 (3) 公共的施設 病院、百貨店、ホテル、飲食店、学校、共同住宅、道路、公園その他の不特定かつ多数の者の利用に供する施設で規則で定めるものをいう。
 (4) 公共的車両等 一般旅客の用に供する鉄道の車両、自動車、航空機等で規則で定めるものをいう。
 (5) 公共的工作物 信号機、バスの停留所その他の多数の者の利用に供する工作物で規則で定めるものをいう。
 (6) 公共的施設等 公共的施設、公共的車両等、公共的工作物及び住宅(共同住宅を除く。)をいう。

(道の責務)
第3条 道は、福祉のまちづくりに関する基本的かつ総合的な施策を策定 し、及び実施する責務を有する。
2 道は、福祉のまちづくりを推進する上で市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、市町村が福祉のまちづくりに関する施策を策定し、及び実施しようとする場合には、助言その他の必要な支援を行うものとする。
3 道は、自ら所有し、又は管理する公共的施設等について、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう整備を進めるものとする。
4 道は、道政に関する情報の提供を行うに当たっては、障害者、高齢者等が当該情報を円滑に利用できるよう、情報伝達手段の充実に努めるものとする。
5 道は、福祉のまちづくりの推進に当たっては、国、市町村及び関係機関との緊密な連携に努めるものとする。

第4条  (削除)

(事業者の責務)
第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、福祉のまちづくりの推進に自ら積極的に取り組むとともに、道又は市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力する責務を有する。

(道民の責務)
第6条 道民は、福祉のまちづくりについて理解を深め、自らこれに努めるとともに、道又は市町村が実施する福祉のまちづくりに関する施策に協力する責務を有する。


第2章 福祉のまちづくりに関する基本的施策

(施策の基本方針)
第7条 道は、次に掲げる基本方針に基づき、福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
 (1) すべての道民がその果たすべき役割を認識しつつ自主的かつ積極的に福祉のまちづくりに取り組む気運を醸成すること。
 (2) 道、市町村、事業者及び道民の有機的連携の下に福祉のまちづくりを推進すること。

(指針の策定)
第8条 道は、道、市町村、事業者及び道民がそれぞれの役割に応じて福祉のまちづくりに取り組むための指針を策定するものとする。
2 前項の指針を策定するに当たっては、あらかじめ、道民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。

(啓発活動)
第9条 道は、福祉のまちづくりに関する意識の高揚を図るため、広報、情報の提供その他の必要な啓発活動を行うものとする。

(学習機会の提供等)
第10条 道は、福祉のまちづくりに関する理解の深化を促進するため、学習機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(公共的施設の基準等)
第11条 道は、障害者、高齢者等が公共的施設を円滑に利用できるようにするための基準の策定その他の必要な措置を講ずるものとする。

(冬期の生活環境の整備)
第11条の2 道は、障害者、高齢者等の冬期の快適な生活に資するため、必要な生活環境の整備に努めるものとする。

(移動手段の確保の支援)
第11条の3 道は、障害者、高齢者等の外出時の円滑な移動に資するため、移動手段の確保の支援その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(情報の利用等)
第11条の4 道は、障害者、高齢者等が情報を円滑に利用し、及びその意思を表示することに資するため、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(相談体制の整備等)
第11条の5 道は、福祉のまちづくりを推進する上で必要なサービスの適切かつ総合的な提供に資するため、相談体制の整備その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(災害時の安全の確保のための措置)
第11条の6 道は、障害者、高齢者等の災害時の安全を確保するため、地域における支援体制及び避難誘導体制の充実その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(人材の育成等)
第11条の7 道は、福祉のまちづくりの推進に資するため、専門的知識を有する人材の育成その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 道は、福祉のまちづくりに関し、道民の自主的な活動を促進するため、研修機会の充実、情報提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(技術的な助言等)
第12条 道は、福祉のまちづくりに関する取組を支援するため、技術的な助言、助成その他の必要かつ適正な措置を講ずるよう努めるものとする。

(調査、研究等)
第13条 道は、福祉のまちづくりに関する施策を効果的に推進するため、公共的施設の整備、福祉サービスの提供、住宅の改修、福祉用具の開発等に関し、調査、研究その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(表彰等)
第14条 道は、福祉のまちづくりに関して優れた取組をしたものに対し、表彰その他の必要な措置を講ずるものとする。

(推進体制)
第15条 道は、国、道、市町村、事業者及び道民が一体となって福祉のまちづくりに取り組むため、必要な推進体制を整備するものとする。

(財政上の措置)
第16条 道は、福祉のまちづくりに関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。


第3章 公共的施設等に係る措置

第1節 公共的施設に係る措置

(整備基準)
第17条 知事は、公共的施設の出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場、歩道、園路その他の多数の者の利用に供する部分の構造及び設備に関し、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう整備するために必要な基準(以下「整備基準」という。)を定めるものとする。
2 前項の整備基準は、規則で定める。

(整備基準の遵守等)
第18条 公共的施設を所有し、又は管理する者(以下この条並びに第27条第1項及び第2項において「公共的施設の所有者等」という。)は、当該公共的施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない。
2 公共的施設の所有者等は、障害者、高齢者等が当該公共的施設を隣接する他の公共的施設等と一体的に利用することができるようにするため、当該公共的施設等を所有し、又は管理する者と連携し、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(公共的施設の新築等の届出)
第19条 公共的施設(規則で定める公共的施設を除く。以下この項、第21条及び第24条第1項において同じ。)の新築(用途を変更して公共的施設とする場合を含む。)若しくは新設又は整備基準に係る部分の増築、改築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替(以下「新築等」という。)をしようとする者は、当該工事に着手する前に、規則で定めるところにより、当該工事の内容を知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をした者は、当該届出の内容の変更(規則で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、当該変更に係る工事に着手する前に、規則で定めるところにより、当該工事の内容を知事に届け出なければならない。

(指導及び助言)
第20条 知事は、前条の規定による届出があった場合において、整備基準を勘案して必要があると認めるときは、当該届出をした者に対し、必要な指導及び助言をすることができる。

(指示)
第21条 知事は、公共的施設の新築等をしようとする者が第19条の規定による届出をせずに工事に着手したと認めるときは、当該届出をすべきことを指示することができる。

第22条及び第23条 (削除)

(既存の公共的施設の適合状況の報告等)
第24条 知事は、必要があると認めるときは、既存の公共的施設を所有し、又は管理する者に対し、当該公共的施設における障害者、高齢者等が円滑に利用できるようにするための措置の状況について報告を求めることができる。
2 知事は、前項の報告があったときは、当該報告をした者に対し、整備基準を勘案して、必要な指導及び助言をすることができる。

第25条 (削除)

(認定証の交付)
第26条 知事は、公共的施設が整備基準に適合していると認めるときは、規則で定めるところにより、整備基準に適合していることを認定する証票を交付するものとする。

(機能の維持等)
第27条 公共的施設の所有者等は、整備基準に適合している部分の機能を維持するよう努めなければならない。
2 公共的施設の所有者等は、障害者、高齢者等が当該公共的施設を円滑に利用できるよう介助等の体制の充実に努めなければならない。
3 何人も、障害者、高齢者等が円滑に利用できるよう整備された公共的施設の利用の妨げとなる行為をしてはならない。

(国等に関する特例)
第28条 国、地方公共団体その他規則で定める公共的団体(以下「国等」という。)については、第19条から第21条まで及び第24条第2項の規定は、適用しない。ただし、知事は、必要があると認めるときは、公共的施設の新築等をしようとする国等に対し、当該公共的施設の整備基準への適合状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2 知事は、第24条第1項又は前項の報告があったときは、当該報告をした国等に対し、必要な要請を行うことができる。


第2節 公共的車両等及び公共的工作物に係る措置

(公共的車両等に係る措置)
第29条 公共的車両等を所有し、又は管理する者(以下「公共交通事業者」という。)は、障害者、高齢者等が当該公共的車両等を円滑に利用できるようにするための措置を講ずるよう努めなければならない。
2 公共交通事業者は、自ら所有し、又は管理する公共的車両等について、障害者、高齢者等が他の公共的施設等との間を円滑に移動することができるようにするため、当該公共的施設等を所有し、又は管理する者と連携し、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(公共的工作物に係る措置)
第29条の2 公共的工作物を所有し、又は管理する者は、障害者、高齢者等が当該公共的工作物を円滑に利用できるようにするための措置を講ずるよう努めなければならない。


第3節 住宅及び住宅周辺の環境に係る措置

(住宅に係る措置)
第30条 住宅を供給する者は、障害者、高齢者等が円滑に利用できる住宅の供給に努めなければならない。

(住宅周辺の環境に係る措置)
第30条の2 道民は、障害者、高齢者等が住宅周辺を円滑に利用できる環境の確保に資するため、共に連携し、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第4章 雑則

(適用除外)
第31条 市町村が公共的施設に係る措置に関する条例を制定した場合であって、当該条例の内容がこの条例と同程度の効果が期待できるものであると知事が認めるときは、当該市町村の区域内における公共的施設の措置については、前章第1節(第26条を除く。)の規定は、適用しない。

(規則への委任)
第32条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則

附則
 この条例は、平成10年4月1日から施行する。
附則
 この条例は、平成12年4月1日から施行する。
附則
 この条例は、公布の日から施行する。
附則(抄)
 (施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第2条第2号の改正規定(同号を同条第3号とする部分を除く。)、第17条の改正規定、第18条の改正規定(同条中「者」の次に「(以下この条並びに第27条第1項及び第2項において「公共的施設の所有者等」という。)」を加える部分及び同条に1項を加える部分を除く。)、第19条から第26条までの改正規定、第27条第1項の改正規定(「を所有し、又は管理する者」を「の所有者等」に改める部分を除く。)並びに第28条及び第31条の改正規定並びに次項から附則第4項までの規定は、平成15年10月1日から施行する。
 (経過措置)
2 平成15年10月1日前にこの条例による改正前の北海道福祉のまちづくり条例(以下「改正前の条例」という。)第19条の規定による届出がされた、又は届出がされるべきであった公共的施設に係る措置については、この条例による改正後の北海道福祉のまちづくり条例の規定にかかわらず、なお従前の例による。この条例は、公布の日から施行する。

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