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 車いすは、見るまに、子どもコーナーをぬけ、高い本だなが森のように立ちならぶ部屋に入りました。むずかしそうな本がたくさんです。ここも本だなと本だなの間の、はばが広くなっています。
 ずっと奥のつきあたりにも、部屋があるようです。
 「図書館探検だ!」
 たっくんが車いすを押しました。本だなの横の机に近づいてみました。イスがありません。車いすのままでちょうどよい高さの机だったのです。
 「なんか、とってもいい感じだなあ」
 「私もよ」
 つきあたりの部屋に着きました。たくさんの資料でいっぱいです。ちょっと高さのちがうはばの広い机がありました。車いすのマークです。人が少なかったので、二人はくるくるっと資料室の中を回ってみました。資料だなの下のほうに、シールの付いた段がありました。点字のシールでした。
 資料室を出ると、左手にエレベーターがありました。
 「これに乗って、二階へ行ってみましょうよ」
ちいちゃんが言いました。エレベーターのかべには、ちいちゃんの手のとどくところにボタンが付いていたのでした。エレベーターの中のボタンも、ちいちゃんの手がとどく位置です。点字のシールもはってありました。
 エレベーターに乗って、たっくんははっとしました。降りることを考えていなかったのです。車いすの向きを変えるスペースは、エレベーターの中にはありません。
 「ちいちゃん、どうやって降りたらいいの?」
 「だいじょうぶ、このままの方向で、たっくんから先に後ろ向きになって出ればいいの。ほら、エレベーターの正面のかべには、鏡が付いているでしょう。それを見ながら、後ずさりすればいいのよ」
 たっくんはほっとしました。
 二階に着いた二人は、通路を進みました。つきあたりは階段で、一階に下りれるようになっています。階段の少し手前に、点字ブロックがありました。点字ブロックの上に乗ると、足にぼつぼつした感じが伝わってきます。ここから階段だよ、という合図です。かべには手すりもついています。手すりをつたって階段を上り下りし、階段の始めや終わりは、点字ブロックで確かめるのです。通路を歩くときにも、手すりがあれば安心です。二人はエレベーターのところまでもどりました。

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