北の総合診療医 - その先の、地域医療へ(勤医協1)

勤医協中央病院

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2020.03.31 記事

プロフィール
1993年 札幌医科大学を卒業
札幌医科大学脳神経外科学講座、地域医療総合医学講座を経て、
勤医協中央病院に所属。
資格
日本内科学会認定教育施設指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会プライマリ・ケア認定医
日本プライマリ・ケア連合学会指導医
日本脳神経外科学会専門医

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超急性期の中の総合診療

札幌市東区の新道沿いに位置する勤医協中央病院は、「救急・急性期医療」「がん医療」「専門医療」の3つを病院機能の柱とし、特に札幌市北東部を中心とした地域の医療を担っています。

1975年の開院以来、「患者さん中心のチーム医療」を追求。プライマリケアから急性期医療、専門的医療まで幅広く、総合的な医療を展開しています。

総合診療科を束ねる臺野巧副院長をはじめ、総合診療センターの加藤聡一郎医師、同センターの看護師やケアワーカーに、大都市の急性期病院における総合診療の実状や課題等についてお話を伺いました。

「それでいいのか?」医師主導の他科連携に疑問

臺野副院長は、1993年に札幌医科大学を卒業した後、脳神経外科学講座に入局。関連病院などで数多くの手術を行ってきました。外来でも多くの患者さんを診療してきましたが、「脳神経外科という、ひとつの診療科の中だけでは患者さんのニーズに応えられない」と限界を感じ、パターン化された診療、昔ながらの医師主導による他科連携に「それでいいのだろうか?」と疑問を感じるようになったことがきっかけで、家庭医療を学ぶため、札幌医科大学の地域医療総合医学講座に入りました。

「当時は総合診療医という言葉が一般的ではなく、プライマリケア、総合医、総合診療などさまざまに表現されていました」。

地域医療総合医学講座では、1年間にわたって病歴のとりかた、身体診察、EBMについてなどの基礎を固め、学生と勉強会を行うこともあったといいます。その後、2004年に「もっと臨床で症例を積みたいと、勤医協中央病院で務めることになりました。

総合診療は
生活まで見据えた医療の要

勤医協中央病院は、2002年から総合診療科を開設しています。2013年の現在地移転後、救急患者さんの受け入れが急増し、救急車の受け入れは年間8,000台前後、ウォークイン患者は1万人近くであり、札幌市内救急医療で重要な役割を担っています。

「救命救急センターには、感染症に伴う多臓器不全などの患者さんのほか、高齢者も多く運ばれてきており、QOL、ADL落とすことなくケアしていくことが大切です」。

救命救急を中心とした急性期医療の中で、総合診療は入院から退院後の生活までも見据えた医療を提供するための要となっています。

「一部分の治療にこだわってしまうことでバランスが崩れ、結局、患者さんの状態が悪化してしまうこともあります。総合診療医に限らず、すべての医師が患者さんをトータルで診ていくことが重要です」。

それぞれの専門性を生かす
職種を越え話しやすい風土づくり

現在、総合診療科では一般病棟40床、救急病棟20床を受け持っており、臺野副院長は救急病棟を担当しています。さまざまな疾患を抱える患者さんの倫理的課題を検討するツールとして、臨床倫理4分割表(医学的適応・患者さんの意向・生活の質・周囲の状況)を用いたカンファレンスを多職種で行っています。多忙の中、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカー、ケアワーカーが参加しており、年間40回以上、開催しています。

 「多角的に患者さんを分析し対応を決めていくには、参加者それぞれの専門性を生かす必要があります。『情報・目標の共有・連携は必須』です。そのためには、医師だけが一方的に話すのではなく、参加者全員が積極的に意見を出し、話し合えることが重要であり、そのための風土づくりも総合診療医の役目の一つではないでしょうか」。

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総合診療目指す学生が増えており
「風向きが変わりつつある」

患者さんの高齢化、他疾患合併、高齢者の独居問題など、患者さんを疾患だけでなく生活も含めトータルでみる総合診療医のニーズが年々増加しており、将来に向けた育成が大きな課題です。勤医協中央病院は、早くから総合診療医の重要性に着目しており、いち早く総合診療科を設けたのも、総合診療医の育成が大きな目的の一つです。

臺野副院長は、現病院に着任した当時、初期研修医の診療能力の高さに驚いたといいます。「当院の初期研修は、見学ばかりの研修ではなく、熱意ある指導医やスタッフのサポートのもと、トータルで診る診療技術をしっかりと学ぶことができます」。

これまで、家庭医療後期研修プログラムを立ち上げ、プログラム統括責任者も担当しています。多くの学生と接してきた中で、総合診療医を目指す学生が徐々に増えており、「風向きが変わりつつある」と感じています。

学生と若手医師へのメッセージ

勤医協グループは、『月寒ファミリークリニック』のような大都市の中の診療所から、『黒松内町国保くろまつない ブナの森診療所』のように地方で地域密着医療を展開する医療施設そして『勤医協中央病院』のような急性期病院など、幅広く医療を展開しています。病院の機能や地域特性が異なれば、総合診療医に求められるものも違ってきます。

「その環境に合わせて役割を変えられるのが総合診療医であり、さまざまな環境・医療機関で活躍できるのが強みです。より多くの学生さんに総合診療医を目指してもらいたい。また、すでに研修中の医師には、いろいろな経験をしてもらい、地域医療を支える存在になってもらいたい」。

勤医協中央病院のほかの
医療スタッフのインタビューもご覧ください

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