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最終更新日:2018年10月09日(火)

     

既存建築物の耐震化のために

(4)既存建築物の耐震補強工法

1.鉄筋コンクリート造建築物の耐震補強工法

■強度の向上

(1) 壁の増設・補強
 次のような方法で耐震壁を増設または補強することにより、構造体の強度が増します。

・純ラーメンの部分に壁を増設する。または既存壁を打ち増して、壁厚を厚くする。・既存柱に袖壁を付ける。

・架構内の有開口壁の開口部を塞ぐ。または小さくする。

 これらの工法は、いずれも既存柱梁および既存壁と増設壁を一体化させることが重要です。一般には、既存部分にあと施工アンカーを用い、コンクリートは圧入工法により一体化させます。
 壁の増設による重量増加を避けたい場合には、鋼板による耐震壁で補強する方法が有効です。
 なお、耐震壁を増設することにより崩壊形が変わる場合がありますから、増設壁周辺の柱梁フレームの破壊や、連層壁となる場合の基礎の浮き上がりに対して安全であることを確認する必要があります。

(2) 鉄骨ブレースによる補強
 ラーメン架構内に鉄骨ブレースを設置することにより、強度と粘り強さの両方が増します。鉄骨枠付きのブレースを架構内に挿入し、鉄骨枠に取り付けたスタットボルトと架構に打ち込んだあと施工アンカーの間に、モルタルまたはコンクリートを充填することにより間接接合します。既存の柱梁と鉄骨枠の間には、無収縮性のモルタルまたはコンクリートを圧入します。


▲ 壁の増設による補強


▲ 鉄骨ブレースによる補強


▲ 鉄骨ブレースによる補強(K型ブレース)

■粘り強さの向上

(1) 柱の補強

 次のような方法で既存柱を外側から拘束することにより、強度と粘り強さが増します。

○既存柱の外側に溶接金物または帯筋を巻き、コンクリートを増し打ちする。

○既存柱の外側に鉄板または帯板を巻き、既存柱との間にモルタルまたはコンクリートを充填する。
○既存柱の外側に炭素繊維を接着剤を用いて巻き付ける。

(2) 構造スリットによる極脆性柱の解消

 せん断破壊しやすい短柱については、短柱と腰壁及び垂壁との間に構造スリットを設けることにより、変形性能が向上します。

●  柱の補強


▲ コンクリートの打ち増し


▲ 鋼板による補強


▲ アングルと帯板による補強


▲ 炭素繊維による補強

▲腰壁

▲柱、壁断面

▲腰壁と柱の間の構造スリット

2.鉄骨造建築物の耐震補強工法

■ 強度の向上

(1) 部材断面の増加

 梁や柱に添え板を溶接し、断面を増加させることで、部材の降伏耐力が増加します。

(2) 鉄骨ブレースの増設

 ブレースは軽量な割に耐震上効率良く働きます。ブレース構造の建築物では、ブレースを大断面のものに交換したり、増設することで強度が増します。なお、ブレース端部の接合は、母材より先に破断しない「保有耐力接合」としなければなりません。

 ブレースは、既存柱梁に直接取り付ける方法と、ブレースを内蔵したフレームを取り付ける方法があります。

(3) 中間柱の設置

 ラーメン構造の建築物では、既存梁の中間に柱を増設し、地震時の降伏ヒンジの数を増やすことにより、構造体のエネルギー吸収能力を大きくし、水平力に対する耐力を向上させる方法があります。この場合、梁に加わるせん断力が増しますからこれに対する検討が必要です。


●鉄骨ブレースの増設

▲ 枠付きブレースによる補強外観


▲ 既存のフレームに直接取り付ける場合(K型ブレース)


▲中間柱の設置

▲ 枠付のブレースを取り付ける場合(X型ブレース)

■粘り強さの向上

(1) 接合部の補強

 接合部の強度が柱梁、筋かいなどの母材強度に比べて不足している場合には、接合部で脆性的な破壊を生じますから、母材強度を十分に発揮させるように接合部を補強する必要があります。

 また、完全溶け込み溶接とすべきところが隅肉溶接となっている場合、接合部の耐力が著しく低下しますから、適切な形に溶接し直さなければなりません。梁端溶接部のスカラップやエンドタブがないものは、隅肉溶接となっている可能性がありますから要注意です。

(2) 座屈防止

 主要な部材が圧縮力により座屈すると、軸組全体の耐力が急激に低下します。ねばり強い軸組とするためには、座屈を防止する必要があります。

 座屈には、部材が部分的にゆがむ局部座屈と、部材全体が弱軸方向にゆがむ横座屈があります。(局部座屈の防止)

・トラスやラチスのような非充腹型の部材では、圧縮応力の大きい位置に鋼板等を溶接する。

・H型鋼のような充腹型の部材では、添え板によりフランジ断面を増やすか、ウェブ部にスチフナーを溶接する。(横座屈の防止)

・横座屈はスパンの大きな梁で生じやすく、梁スパンの中央部に横方向への動きを拘束する小梁を取り付ける。

■ 非構造部材の耐震性向上

 一般的に鉄骨造は変形が大きくなるため、内外装材やサッシが構造体の変形にある程度追従できなければなりません。特に外壁面については、仕上げのボードやパネルは完全に軸組が変形してもガラスが割れないようにしなければなりません。

 最近の地震では、ホールや体育館などの大空間のシステム天井の落下が目立ちます。十分な数の吊り金具が付いていることを確認した方が良いでしょう。

 高架水槽やボイラーなどの設備機器についても、固定が不十分なものについては転倒防止の補強をする必要があります。また、機器に接続する配管はフレキシブル管とし、振動を吸収できるものに交換してください。

●接合部の補強 


▲隅肉溶接の補強


▲ボルト接合の補強

3.免震改修

 最下階の柱下または中間階柱に免震装置を取り付ける「免震構造」とすることにより、上部構造体へ入力する地震力を大幅に減少させることができます。構造体に生じる応力が小さくなるので、大抵の場合は上部構造の構造補強は必要なく、内部の使い勝手に与える影響を最小限にとどめることができます。また、地震時の建物の揺れが大幅に抑えられるので、内部の設備機器の転倒や損傷を防ぐことができ、地震後も建物の機能を維持することができます。

 免震装置には、積層ゴム支承や滑り支承などがありますが、定期的な点検が義務づけられています。

 歴史的建築物のように、上部構造の意匠をできるだけ変更したくない場合に加え、公共施設、病院施設など種々の施設に適用されてきています。

▲ 中間免震方式(柱を切断し免震装置を取り付ける)
● 免震改修



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