介護保険制度は、わが国の急速な高齢化に伴い、介護の問題が老後の最大の不安要因となっていることから、介護を社会全体で支えるとともに、利用者の希望を尊重した総合的なサービスが安心して受けられる制度です。
1.制度の概要
(1) 保険者
市町村が保険者となります。
(2) 被保険者
介護保険に加入される方は、65歳以上の方(第1号被保険者)と40歳以上65歳未満の医療保険に加入している方(第2号被保険者)です。
(3) 介護サービスの給付手続等
ア、介護サービスの給付対象者
給付対象となるのは、第1号被保険者については、寝たきりや認知症などで常に介護が必要な状態となったり、家事などの日常生活に支援が必要な状態となった場合です。
第2号被保険者については、初老期における認知症や脳血管疾患などの加齢に伴う疾病により介護が必要な状態となった場合です。
イ、要介護認定の手続き
介護サービスの給付を受けようとするときは、市町村に申請を行います。
市町村では、申請者の心身の状態を調査し、要介護認定を行います。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | |
---|---|---|
対象者 | 65歳以上の人 | 40歳以上65歳未満の医療保険に加入している人 |
給付の対象者 | ○寝たきり・認知症などで入浴、排せつ、食事などの日常の生活動作について常に介護が必要な人 ○家事や身じたく等の日常生活に支援が必要な人 | 初老期における認知症や脳血管疾患など、老化にともなう疾病によって介護等が必要となった人 |
保険料 | 各市町村が所得段階別(一般的には9段階)の保険料を設定 | 各医療保険者が医療保険の算定方法に基づいて設定 |
保険料の支払方法 | ○老齢・退職等の年金で年金額が年額18万円以上の人は、年金から天引き ○それ以外の人は市町村に個別に支払い | 医療保険料と一括して支払い |
ウ、介護給付
介護が必要とされた方は、在宅サービス・施設サービスが受けられますが、在宅サービスの場合は介護の必要度(要介護度)に応じて給付額の限度額が設定され、施設サービスの場合は介護の必要度(要介護度)に応じて給付額が設定される仕組みです。
なお、給付は、福祉用具購入費と住宅改修は償還払い、それ以外は現物給付とされています。(償還払いの場合でも、市町村によっては、利用者の委任を得て事業者が代理受領を行う、現物給付の方式を採用することで、利用者の一時的な負担が軽減されているところもあります。)
要介護状態区分 | 利用できるサービス |
---|---|
要支援1、2 | 介護予防サービス 地域密着型介護予防サービス |
要介護1~5 | 居宅サービス、施設サービス 地域密着型サービス |
要介護状態区分 | 支給限度額(1月間) |
---|---|
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
・福祉用具購入費:1年間100,000円
・住宅改修費:原則1回200,000円
エ、介護サービスの内容
介護が必要と認定された場合には、その程度に応じて、次のサービスが受けられます。
予防給付におけるサービス | 介護給付におけるサービス | |
---|---|---|
道が指定・監督を行うサービス (所在地が札幌市、旭川市、函館市内にある事業については、それぞれの市が指定、監督を行う。) | ◎介護予防サービス 【訪問サービス】 ○介護予防訪問入浴介護 ○介護予防訪問看護 ○介護予防訪問リハビリテーション ○介護予防居宅療養管理指導 【通所サービス】 ○介護予防通所リハビリテーション 【短期入所サービス】 ○介護予防短期入所生活介護 ○介護予防短期入所療養介護 ○介護予防特定施設入居者生活介護 ○介護予防福祉用具貸与 ○特定介護予防福祉用具販売 | ◎居宅サービス 【訪問サービス】 ○訪問介護 ○訪問入浴介護 ○訪問看護 ○訪問リハビリテーション ○居宅療養管理指導 【通所サービス】 ○通所介護 ○通所リハビリテーション 【短期入所サービス】 ○短期入所生活介護 ○短期入所療養介護 ○特定施設入居者生活介護 ○福祉用具貸与 ○特定福祉用具販売 ◎施設サービス ○介護老人福祉施設 ○介護老人保健施設 ○介護療養型医療施設 〇介護医療院 |
市町村が指定・監督を行うサービス | ◎介護予防・生活支援サービス(地域支援事業) ◎地域密着型介護予防サービス ○介護予防小規模多機能型居宅介護 ○介護予防認知症対応型通所介護 ○介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | ◎地域密着型サービス ○小規模多機能型居宅介護 ○夜間対応型訪問介護 ○認知症対応型通所介護 ○認知症対応型共同生活介護(グループホーム) ○地域密着型特定施設入居者生活介護 ○地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 ○定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ○複合型サービス (看護小規模多機能型居宅介護) ○地域密着型通所介護 ◎居宅介護支援 |
その他 | ○住宅改修 | ○住宅改修 |
オ、介護サービス計画、介護予防サービス計画
介護サービス計画(ケアプラン)は、利用者の心身の状況に合わせて、サービスの種類と回数、
その組合せを考えることです。
利用者自ら作成することもできますが、個別ニーズに対応するため、要介護者に対する総合的な
介護サービス計画づくりは、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が担当します。
また、要支援者に対する介護予防サービス計画については、地域包括支援センターにおいて作成されます。
(4) 保険料
保険料は、第1号被保険者については、市町村ごとに所得段階別に定められ、年額18万円以上の老齢・退職等の年金を受給している方は年金から天引きされます。それ以外の方は市町村へ個別に支払います。
第2号被保険者の保険料は、加入する医療保険制度に応じて設定され、医療保険料と一括して支払います。
なお、災害などの特別な事情がないのに保険料を滞納した場合、第1号被保険者に対しては給付の償還払い化、一時差止、差止額から滞納保険料の控除といった措置や未納期間に応じた給付減額などが、第2号被保険者に対しては給付の償還払い化や一時差止の措置が講じられることになります。
(5) 利用者負担
介護サービスを利用した場合、利用者はかかった費用の1割(一定以上の所得のある方は2割)を負担します。
また、平成30年8月から、現役並みの高い所得のある方の負担割合は、3割になっています。
なお、この利用者負担が高額になる場合、自己負担の上限が設定されています。(高額介護サービス費)。
また、そのほかに、介護保険施設の利用者は居住費と食費、ショートステイの利用者は滞在費と食費、デイサービス、デイケアの利用者は食費について、利用者負担があります。
さらに、市町村が生活困窮と認めた低所得者には、高額介護サービス費や居住費・食費負担について、低い額が設定されています。
(6) 低所得者の利用者負担の軽減
社会福祉法人等が「特に生計が困難な人」へホームヘルプサービス等に対する利用者負担の減免を行えるよう、公費(国・北海道・市町村)により補助が行われます。
※上記の軽減措置の具体的な取扱いは、市町村によって異なる場合があります。
【問い合わせ先】
詳しくは、市(区)役所・町村役場介護保険担当窓口、各総合振興局(振興局)保健環境部社会福祉課、又は道高齢者保健福祉課までお問い合わせください。