水産研究科(試験研究だより 「海藻のはなし1」)

●試験研究だより●

海藻のはなし1

○「海藻」の仲間・コンブやワカメ

 「かいそう」というと、普通はコンブ・ワカメ・ノリ・ヒジキといった食卓の常連さんが頭に浮かぶでしょう。海に詳しい人なら磯焼けの原因となるサンゴモなどの石灰藻や、流れ藻として魚やエビなどの大切な隠れ場所となる一方、時には船に絡みついて航行不能にしてしまうことさえあるというホンダワラ類などもイメージされるかも知れません。
 こうした仲間は大昔から海に生息している比較的原始的な特徴を持った植物で、漢字では「海藻」と書きます。花の咲く陸上の植物に見られるような根・茎・葉の区別がなく、例えばコンブでは「遊走子」と呼ばれる胞子のようなものを体の表面から直接水中に吐き出して繁殖します。コンブやワカメなど根や葉の区別があるように見えますが、例えば「コンブの根っこ」と呼ばれているのは実際には体の一部が岩に付着するために発達したもので、本当の根ではありません。

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まん中に見えるのが海草の一種・スガモの群落。スガモの葉は細長く、草むら状に密生します。(泊村・茅沼。水深3m)

○海藻と海草

 こうした海藻とは別に、海の草「海草」と漢字で書かれる植物の仲間がいます。コンブやワカメの仲間と区別するために「ウミクサ」という呼び名が使われることも多いのですが、これは本来陸上に生えていた植物が後から海の中での生活に適応したもので、体には根・茎・葉の区別があり、花を咲かせ、種を作って繁殖します。平らで細長い葉を草むらのように海底に茂らせているものが多く、ちょうどススキのような姿をしています。花は水中で咲かせるものと、海面まで花芽を延ばしてそこで花をつけるものとがあります。
 後志地方の沿岸で見かける主な海草にはアマモ・スガモ・オオアマモなどがありますが、アマモの実を製粉して小麦粉のように食用にしたり、細長くて強靱なスガモの葉を編んで敷き物にするといった利用はあったものの、大規模に利用されることがなかったため、あまり注目を集めることはありませんでした。

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まん中に見えるのが海草の一種・スガモの群落。スガモの葉は細長く、草むら状に密生します。(泊村・茅沼。水深3m)

○藻場は「海のゆりかご」

 ところが最近、こうした海草が海の中で果たしている重要な役割が明らかになってきました。海草の多くは水深10メートルくらいまでの浅い砂底に「藻場」と呼ばれる群落を作るのですが、こうした藻場には小魚の餌となる小さな甲殻類やゴカイの仲間が豊富で、また、大型の敵に襲われたときに逃げ込む隠れ場所としても適しているため、イカ類やカジカの仲間、ヒラメなどの魚介類にとって重要な産卵・成長の場となっています。また、ホッカイエビなど漁業上重要なエビ類も多く、その豊かな環境は「海のゆりかご」とも呼ばれています。(つづく)

(北海道原子力環境だよりVol.55 2000.6抜粋)

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