ワシ類の鉛中毒対策について

ワシ類の鉛中毒の発生

 オオワシやオジロワシは、国の天然記念物であり環境省のレッドデータブックでは「絶滅危惧種」に掲載されていますが、平成9年頃から鉛中毒により死亡する事例が発生し、これらの死亡個体からはエゾシカの体毛や鉛製銃弾の破片が検出されています。

 これらワシ類の鉛中毒の主な原因は、エゾシカ猟で猟場に放置されたエゾシカの残滓と一緒に銃弾の破片を食べてしまうことと考えられています。

 平成9年度の飛来期においては、死亡収容された26羽のうち18羽が鉛中毒と診断され、また平成10年度には、死亡収容された33羽のうち26羽が鉛中毒で死亡しています。このまま鉛製の銃弾でエゾシカ猟を続けると鉛中毒で死亡するオオワシやオジロワシが増え続ける恐れがありました。

 このため北海道では、平成11年度の狩猟期に、狩猟者の皆さんにエゾシカ猟をする際に鉛ライフル弾から毒性の低いライフル弾への切り替えを呼びかけ、北海道猟友会の鉛ライフル弾使用自粛のご協力もいただくことができ、平成11年度の飛来期に確認されたワシ類の鉛中毒数は14羽と平成10年度の飛来期と比べておよそ半分になりました。

エゾシカ猟における鉛弾の規制

平成12年度狩猟期間~平成15年度狩猟期間

 ワシ類の鉛中毒の発生防止を徹底するため、平成12年3月31日付け北海道告示第535号により、平成12年の11月1日からエゾシカ猟への鉛ライフル弾の使用を禁止し、さらに平成13年3月30日付け北海道告示第537号により、平成13年11月1日から、エゾシカ猟では散弾銃で使用される鉛弾も禁止としました。
 

 しかしながら、平成15年度の飛来期に確認されたワシ類の鉛中毒死数は10羽を数え、鉛中毒死の発生をゼロにするには至りませんでした。

鉛弾使用の新たな規制

平成16年度狩猟期間~ ヒグマも含めた大型獣捕獲用の全ての鉛弾を規制

 ワシ類の鉛中毒死の発生を根絶するために、北海道ではエゾシカ用に限らず、全ての狩猟において大型獣捕獲用の鉛ライフル弾及び鉛散弾の使用を禁止しました。
 

 このため、平成16年10月1日以降(渡島・桧山・後志支庁管内では平成17年10月1日以降)は、北海道内で行う狩猟において使用できる銃弾は、以下の基準のいずれかを満たしたものとなります。(平成16年8月20日付け北海道告示第754号告示。全ての狩猟鳥獣が対象です。)

  1. 鉛成分を含まない物質で作られているライフル弾 (純銅製弾頭、タングステンポリマー製弾頭 等)
  2. 鉛成分の重量比が全体の2分の1以下で、着弾したときに鉛が飛散しないように、鉛を含む部位が、同部位の先端から2分の1以上鋼鉄で覆われている構造になっているライフル弾 (フェイルセーフ弾頭)
  3. 鉛成分を含まない物質で作られている散弾 (純銅製スラグ弾、アルミ合金製スラグ弾、タングステンポリマー製スラグ弾、タングステンポリマー製バックショット弾 等)
  4. 鉛成分を含む物質で作られている粒径7mm未満の散弾

<鉛中毒死個体の収容・情報の流れ(イメージ図)>

図 (JPG 45.2KB)

※平成14年度飛来期以降については、環境省北海道地方環境事務所で情報の収集・整理を行っており、同事務所から死因判明の連絡が入り次第、情報を更新しています。

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