北海道飲用井戸等衛生対策要領

北海道飲用井戸等衛生対策要領

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平成 元年 5月 1日 施 行

平成 3年 2月15日一部改正

平成 5年12月 1日一部改正

平成14年 7月 5日一部改正

平成16年 3月30日一部改正

平成17年 3月29日一部改正

平成21年 3月31日一部改正

平成22年 8月25日一部改正

平成25年 4月 1日一部改正

平成26年 4月 4日一部改正

第1 目的

この要領は、飲用に供する井戸等及び水道法等で規制を受けない水道並びに小規模な貯水槽水道の適正管理、水質に関する定期的な検査、有害物質や病原性微生物等による汚染時における措置並びに汚染防止のための対策を定めることにより、北海道におけるこれら飲用井戸等について、総合的な衛生の確保を図ることを目的とする。

第2 実施主体

この要領に基づく対策は、北海道及び町村が協力して行なうものとする。

第3 対象施設

この要領において対象とする施設は、道内町村の区域に所在する次の1から4に掲げる施設であって、水道法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律の適用を受けないもの及び5に掲げる施設(以下「飲用井戸等」という。)とする。

1 地下水、河川水(伏流水を含む。(以下同じ。))・湖沼水、湧水を水源とし、個人住宅に居住する者に対して飲用水を供給する施設(以下「個人飲用井戸等」という。)

2 地下水、河川水・湖沼水、湧水を水源とし、寄宿舎、社宅、共同住宅等(以下「共同用」という。)に居住する者に対して飲用水を供給する施設(以下「共同飲用井戸等」という。)

3 地下水、河川水・湖沼水、湧水を水源とし、官公庁、学校、病院、店舗、工場その他の事業所等(以下「業務用」という。)に対して飲用水を供給する施設(以下「業務用飲用井戸等」という。)

4 水道事業の用に供する水道又は専用水道(以下「水道事業等」という。)から供給を受けた水と地下水、河川水・湖沼水、湧水を混合した水を水源とし、飲用水を供給する水槽を有する施設(以下「混合受水槽水道」という。)

5 水道法第14条第2項第5号に規定する貯水槽水道のうち、貯水槽の容量が10m3以下のもの(以下「小規模貯水槽水道」という。)

第4 衛生確保対策

1 実態の把握

(1)道は、町村の協力を得て、飲用井戸等の衛生確保を図るため、飲用井戸等の設置場所、設置数、水質の状況等に関する情報を収集整理し、飲用井戸等を設置しようとする者、飲用井戸等の設置者及び管理者並びに使用者に対する啓発のため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(2)道及び町村は、飲用井戸等の管理の適正を確保するために、飲用井戸等を設置しようとする者又は設置者若しくは管理者(以下「設置者等」という。)の協力を求め、飲用井戸等の管理状況等について適宜必要な報告を受けるものとする。

(3)業務用飲用井戸等、混合受水槽水道、小規模貯水槽水道のうち、公共性の高いものとして、別に定める「自主管理マニュアル」に記載された施設の設置者等は、当該マニュアルにしたがって、飲用井戸等の管理を実施し、定期的に管理状況を所轄の保健所長あてに報告するものとする。

2 衛生管理等

設置者等は、飲用井戸等の衛生を確保するため、次により管理等を行なうものとする。

(1)衛生対策

ア 飲用井戸等及びその周辺にみだりに人畜が立ち入り、動物を飼育し、又は動物のふん尿等汚染源となる物質を搬入しないよう清潔保持に努めること。

イ 飲用井戸等は、汚染排水施設(排水溝、排水管、汚水貯留槽等)又は汚物貯留槽(便槽、浄化槽等)等から水平距離で5メートル以上離し、かつそれらが汚染源とならないように、管理状況の把握に努めること。

ウ 農薬、油類、各種薬品等飲用水を汚染するおそれのあるものを飲用井戸等の周囲に散布・放置等しないよう努めること。

エ 飲用井戸等の構造(井筒、ケーシング、ポンプ、吸入管、弁類、管類、井戸のふた、水槽、取水ぜき、湧出口周辺の囲い等)について、定期的に点検を行い、汚染の防止に努めること。

(2)施設の構造

ア 地下水を水源とする飲用井戸等の設置者等は、汚染を防止するため、井戸を深井戸とすることが望ましい。

イ 個人飲用井戸等、共同飲用井戸等及び業務用飲用井戸等で地下水を水源とするものにあっては、原則、ケーシングを地表面又は床面から30センチメートル以上立ち上げ、井筒の周囲に汚染防止壁等を設けるか、井戸を建物内(井戸小屋を含む。)に設けること。

ウ 個人飲用井戸等、共同飲用井戸等及び業務用飲用井戸等であって湧水を水源とするものにあっては、湧出口に囲いを設け、雨水等が混入しないよう汚染防止に努めること。

エ 共同飲用井戸等、業務用飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水があるもの。)にあっては、塩素滅菌機を整備し、飲用水の消毒に努めること。

オ 個人飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水があるものを除く。)にあっては、塩素滅菌機を整備し、飲用水の消毒に努めることが望ましい。

(3)維持管理

ア 混合受水槽水道、小規模貯水槽水道並びにこれら以外の施設であって受水槽又は高置水槽を設けている施設の設置者等は、簡易専用水道の管理基準に準じて管理することを基本とし、小規模貯水槽水道にあっては、給水を受ける水道事業等の供給規定に従い適切に管理すること。

イ 前記アに基づく管理のうち、水槽の清掃については、建築物飲料水貯水槽清掃業の知事登録業者に依頼することが望ましい。

ウ  業務用飲用井戸等及び混合受水槽水道(業務用への給水があるもの。)については、それらの構造及び維持管理に関する必要な帳簿等を備え、常に整理しておくこと。

3 定期及び臨時の水質検査等

設置者等は飲用井戸等の衛生を確保するため次の水質検査等を行うこと。

(1)飲用水の色、濁り、臭い及び味について1日に1回以上自ら確認し、異常を認めたときは、必要に応じて保健所の指導を受けるとともに、必要な項目に関する臨時の水質検査を行うこと。

(2)設置者等は、本要領別表-1に示す定期の水質検査を行うこと。

(3)設置者等が水質検査を依頼するにあたっては、水道法第20条第3項に規定する地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者に対して行うことを原則とする。

   ただし、検査項目のうち可能なものについては、建築物飲料水水質検査業の知事登録業者に依頼しても差し支えないこと。

(4)設置者等が小規模貯水槽水道の管理状況について、簡易専用水道の検査を依頼する場合には、水道法第34条の2第2項に規定する地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者に対して行うこと。

(5)新たに飲用井戸等を設置する場合には、給水開始前に、本要領別表ー3に示す水質項目に関する検査を実施し、検査項目が水質基準に適合していることを確認すること。

   ただし、小規模貯水槽水道を除く。

4 汚染防止対策

飲用井戸等の汚染を防止するため、設置者等及び道は、次により必要な措置を講ずることとする。

(1)設置者等が講ずる措置

設置者等は、飲用井戸等の水源の種類等に応じて、次により有害物質及び病原生物の汚染対策を行うこと。

ア 有害物質による汚染対策

(ア)共同飲用井戸等、業務用飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水があるもの。)の設置者等は、トリクロロエチレン等、亜硝酸態窒素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素などの有害物質による汚染を防止するため、水源の水質に応じて、有害物質を適切に除去する浄化装置を設置するなど必要な対策を講ずること。

(イ)個人飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水のあるものを除く。)の設置者等は、有害物質による汚染を防止するため、水源の水質に応じて、有害物質を適切に除去する浄化装置を設置するなど必要な対策を講ずることが望ましい。

(ウ)共同飲用井戸等、業務用飲用井戸等及び混合受水槽水道(業務用への給水があるもの。)に有害物質を除去する浄化装置を設置している設置者等は、自ら装置の管理を行うか、又は取扱い責任者を定めて適正管理に努めること。

イ 病原生物による汚染対策

(ア)共同飲用井戸等、業務用飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水があるもの。)の設置者等は、エキノコックス虫卵及びクリプトスポリジウム等の病原生物による汚染を防止するため、水源の種類に応じて、病原生物を適切に除去する装置、ろ過設備を設置するなど必要な対策を講ずること。

(イ)個人飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水のあるものを除く。)の設置者等は、病原生物の汚染を防止するため、水源の種類に応じて、病原生物を適切に除去する装置、ろ過設備を設置するなど必要な対策を講ずることが望ましい。

(ウ)共同飲用井戸等、業務用飲用井戸等及び混合受水槽水道(共同用、業務用への給水があるもの。)に病原生物を除去する装置、ろ過設備を設置している設置者等は、自ら装置の管理を行うか、又は取扱い責任者を定めて適正管理に努めること。

(2)道が講ずる措置

道は、町村の協力を得て、有害物質及び病原生物による汚染を防止するため必要に応じて、水質検査並びに次の措置を講ずること。なお、必要に応じて市とも連携して対応をとることとする。

ア 保健所は、必要に応じて、業務用井戸等の立入調査を行い施設、水質検査等の改善指導を行うこと。

イ 保健所は、関係部局と地下水汚染に関する情報交換を行い、飲用井戸等が汚染されるおそれがある場合には、設置者等に飲用指導を行うこと。

ウ 道は、地下水の汚染実態の把握を行い、汚染対策を効果的に進める調査研究に努め、市町村に必要な情報を提供すること。

5 汚染が判明した場合の措置

(1)設置者等は、その供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知ったときは、直ちに給水を停止し、利用者にその旨を周知するとともに、保健所に報告し指示を受けること。

(2)設置者は、水質検査の結果、水道法に基づく水質基準を超える汚染が判明したとき、又はクリプトスポリジウム指標菌が検出されたときは保健所に報告し指示を受けること。

(3)保健所は、飲用井戸等の汚染を発見したとき、又は前記(1)若しくは(2)の報告を受けて、飲用井戸等に汚染のおそれがあると判断したときは、町村に対し情報提供するとともに、町村区域における施設を立入調査し、設置者等に対し、次の飲用指導を行い、その改善状況を確認すること。また、必要に応じて市とも連携して対応をとることとする。

ア 水道給水区域内においては、水道水に切替えること。

イ 水道給水区域外においては、汚染されていない水源への切替え、又は汚染原因を除去する措置を講じて飲用に供すること。

ウ 前記ア若しくはイの措置を講ずるまでの間は、飲用には他の安全な水を供すること。

(4)保健所は、前記(3)の立入調査等から、汚染経路の把握に努め、飲用井戸が広い範囲で汚染されていると判断したときは、直ちに環境推進課に報告し、汚染のおそれのある飲用井戸の利用者に広報、飲用指導を行うこと。

(5)道は、水源が広い範囲で汚染され、多くの飲用井戸等利用者に健康影響のおそれがあると判断したときは、本要領に定めるほか、緊急の対策を講ずること。

6 水道の普及等

(1)道は、所管する水道事業者に、日ごろから、管下の水道の布設及び普及を行い、水道未普及地域の解消に努めることを指導すること。

(2)道は、町村に、水道普及地域において、汚染され、又は汚染のおそれがある飲用井戸等(小規模貯水槽水道及び混合受水槽水道を除く。)の設置者等に対する水道加入の指導について協力を求めること。

(3)道は、水道事業者に、小規模貯水槽水道に関し、供給規定に水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任を適正かつ明確に定めることと、当該貯水槽水道の適正な維持管理の促進を図ることを指導する。

附則

 この要領は、平成22年8月25日から適用する。

附則

 この要領は、平成25年4月 1日から適用する。

附則

 この要領は、平成26年4月 4日から適用する。

別表-1 定期の水質検査

(注) ・ 「一般用」とは第3-1の個人住宅に飲用水を供給する施設を示し、「共同用」とは第3-2の寄宿舎、社宅、共同住宅等
    に飲用水を供給する施設を示し、「業務用」とは第3-3の事業所に飲用水を供給する施設を示す。
   ・ 「地下水施設」とは飲用井戸等、混合受水槽水道のうち、地下水を水源又は受水槽に混合する施設を示し、「他の施設」
    とは地下水以外を水源又は受水槽に混合する施設を示す。


※上記の検査は以下のとおりとする。
トリクロロエチレン等水質検査 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)の表の上欄に掲げる事項のうち、本要領別表-2の2欄に掲げる項目及びその他水質基準項目のうち周辺の水質検査結果 から判断して検査が必要な項目に関する水質調査
一般水質検査 水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)の表の上欄に掲げる事項のうち、本要領別表-2の1欄に掲げる項目及びその他水質基準項目のうち周辺の水質検査結果 から判断して検査が必要な項目に関する水質調査
クリプトスポリジウム指標菌検査 「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」による原水のクリプトスポリジウム指標菌等(本要領別表-2の3欄に記載)の水質検査
簡易水質検査 「中央管理方式の空調調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準(告示)に規定する別に定める基準」(昭和58年3月18日環企第27号厚生省環境衛生局通知)の2欄に定める基準に関する水質検査
別表-2 水質検査に関する項目及び基準値
 

項   目

基 準 値

原水・浄水の別

1 一般細菌 集落数100/ml以下であること。 浄水
大腸菌 検出されないこと。
亜硝酸態窒素 0.04mg/L 以下であること。
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10 mg/L 以下であること。
塩化物イオン 200 mg/L 以下であること。
有機物(全有機炭素(TOC)の量) 3 mg/L 以下であること。
pH値 5.8以上8.6以下であること。
異常でないこと。
臭気 異常でないこと。
色度 5度以下であること。
濁度 2度以下であること。
2 トリクロロエチレン 0.01 mg/L 以下であること。 浄水
テトラクロロエチレン 0.01 mg/L 以下であること。
四塩化炭素 0.002 mg/L 以下であること
ジクロロメタン 0.02 mg/L 以下であること。
シス-1,2-ジクロロエチレン

及びトランス-1,2ジクロロエチレン

0.04 mg/L 以下であること。
1,4-ジオキサン 0.05 mg/L 以下であること。
ベンゼン 0.01 mg/L 以下であること。
3

クリプトスポリジウム

ジアルジア

大腸菌

嫌気性芽胞菌(ウエルシュ菌芽胞)

検出されないこと。

(ただし、クリプトスポリジウム等を除去又は不活化できる施設が整備されている場合を除く。)

原水原水原水

※クリプトスポリジウム及びジアルジアの水質検査は、「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」に基づき必要に応じて実施すること。

別表-3 給水開始前に実施する水質検査に関する項目別表-3 給水開始前に実施する水質検査に関する項目

必須項目

別表-2の1欄に掲げる項目

実施することが望ましい項目

水質基準に関する省令(平成15年厚生労働省令第101号)の表の上覧に掲げる項目(別表-2の1欄に掲げる項目を除く。)ただし、消毒を行っていない場合には塩素酸、クロロ酢酸、クロロホルム、ジクロロ酢酸、ジブロモクロロメタン、臭素酸、総トリハロメタン、トリクロロ酢酸、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム及びホルムアルデヒド(ただし、当該飲用井戸周辺の地下水等よりこれらの物質が検出されているものを除く。)を、また、水源が湖沼等水が停滞しやすい表流水でない場合には(4S,4aS,8aR)-オクタヒドロ-4,8a-ジメチルナフタレン-4a(2H)-オ-ル(別名ジェオスミン)及び1,2,7,7-テトラメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタンー2-オール(別名2-メチルイソボルネオール)を省略することができる。

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