
ちいちゃんは、小学校5年生の女の子です。車いすを使っています。
その日、ちいちゃんは、まちの図書館にお母さんと一緒に出かけるところでした。小さい子どもたちに本を読み聞かせするボランティアをしているのです。
そこにやって来たのが、となりまちの、いとこのたっくんでした。
「ちいちゃん、ボランティアしているの?すごいなぁ。車いすはぼくが押していってあげてもいいよ」
「じゃ、たっくん、お願いね」
お母さんもうれしそうに言いましたので、二人で図書館に行くことになりました。ちいちゃんはちょっぴり心配でしたが、たっくんは、おおはりきりです。
玄関を出るとき、お母さんが、ちいちゃんにお金とメモをわたして言いました。
「気をつけて行くのよ。帰りには、お店で買物してきてね」
「えっ。ちいちゃん、買物までするの?」
たっくんはちょっとびっくり顔です。
二人は、どきどきしながら外に出ました。たっくんは、車いすを押すのが初めてだったのです。ちいちゃんも、本当はお母さんと一緒の方が安心だったのです。でも、ちいちゃんは、心を決めて、大きな声で元気よく言いました。
「さぁ、出発!」 |