第1期ほっかいどう障がい福祉プラン 素案 【令和6年度~令和11年度】 北 海 道 目次 第1 計画の基本的事項  1 計画策定の趣旨と目的  2 計画の位置づけ  3 区域の設定  4 対象とする障がいの範囲 第2 障がいのある人の現状等  1 障がいのある人の現状  2 サービス提供体制の現状と評価  3 主なサービス提供基盤の整備状況 第3 計画推進のための基本的事項  1 計画推進の基本方針 第4 計画推進のための具体的な取組  1 権利擁護の推進  2 障がいのある人が暮らしやすい地域づくり  3 就労支援施策の充実・強化  4 相談支援体制・地域移行支援の充実  5 サービス提供基盤の整備  6 保健福祉・医療施策の充実  7 多様な人材の確保・定着・養成及びサービスの質の向上  8 障がい児支援の充実  9 発達障がいのある人や在宅の障がいのある人等への支援  10 自立と社会参加の促進・取組定着  11 北海道意思疎通支援条例・手話言語条例の施策の推進  12 安全確保に備えた地域づくりの推進 第5 制度の推進管理  1 制度の円滑な推進  2 計画の推進管理 第6 令和8年度(2026年度)・令和11年度(2029年度)の成果目標  1 福祉施設の入所者の地域生活への移行目標  2 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る目標  3 地域生活支援拠点等の整備目標  4 就労支援に関する目標  5 障がい児支援の提供体制の整備目標  6 医療的ケア児支援に関する目標  7 難聴児支援に関する目標  8 相談支援体制の充実・強化に関する目標  9 障害福祉サービス等の質の向上 第1 計画の基本的事項 1 計画策定の趣旨と目的 (1) 計画策定の趣旨  道では、平成15年(2003年)3月に21世紀初頭の北海道における障がい福祉施策の基本的な方向と主要な施策を示す「北海道障害者基本計画」(以下「基本計画」という。)〔第1期計画期間:平成15~24年度(2003~2012年度)〕と、その着実な推進を図るため、「前期実施計画」〔計画期間:平成15~19年度(2003~2007年度)〕を策定し、「ノーマライゼーション社会の実現」を目標に、地域生活の支援体制の充実など、各般の施策の推進を図ってきました。 平成15年度(2003年度)からは「支援費制度」が導入され、障がいのある人の自己決定や選択を尊重した利用者本位のサービスが提供されることとなりましたが、「支援費制度」は、精神障がいのある人を対象としていないことや、支援の必要度を判定する客観的な基準がなく支給決定の過程が不透明であることなどの課題があったことから、制度全般が見直され、平成17年(2005年)11月7日に「障害者自立支援法」が公布、平成18年(2006年)4月から施行されました。 その後、平成24年(2012年)6月に、国においては、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等、障がいのある人の日常生活及び社会生活を総合的に支援し、新たな障がい保健福祉施策を講ずるため、「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」(以下「整備法」という。)を公布し、「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」という。)に改正し、「障害者」の定義に難病等を追加、また、平成25年(2013年)6月には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。)が制定され、平成26年(2014年)2月には「障害者の権利に関する条約」を批准、さらには、平成28年(2016年)6月に障害者総合支援法及び児童福祉法の一部改正が行われ、障がいのある人自らが望む地域で暮らすことができるよう生活支援と就労支援の充実や障がいのある子どもへの多様化するニーズに対応する障害児福祉計画策定の義務化、同年8月に発達障害者支援法が改正され、発達障がい者支援の一層の充実が図られました。 令和3年(2021年)には、医療的ケア児及びその家族が適切な支援が受けられるよう「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行され、令和4年(2022年)には、「児童福祉法」が改正され、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化等が図られました。 道では、「障害者基本法に基づく都道府県障害者計画」であり、「北海道地域福祉支援計画の施策別計画」の主旨を踏まえ、道の障がい福祉施策の基本的な方向性を示す「北海道障がい者基本計画」と、「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」並びに「北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例」(以下「北海道障がい者条例」という。)の趣旨を踏まえ、障がいのある人が自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、地域において必要な障害福祉サービス等及び障害児通所支援等が計画的に提供されるための実施計画として、「北海道障がい福祉計画」を策定してきました。今回、この2つの計画について、施策を一体的に推進し、実効性のある障がい福祉サービスを提供することを目的として統合し、「第1期ほっかいどう障がい福祉プラン」を策定することとします。 (2) 計画の目的 障がいのある人が、自立した日常生活及び社会生活を営むためには、道内の各地域において、必要な支援を提供できるよう、相談体制やサービス基盤の整備が必要であり、そのためには、共に生活する地域住民の理解や協力による「まちづくり」の視点が必要となります。   この計画は、こうした視点に立ち、障がいのある人を主体とした支援体制づくりを進め、本人が希望する暮らしの実現、意欲や障がい特性に応じた地域活動が保障される社会づくりを推進していくため、「希望するすべての障がい者が安心して地域で暮らせる社会づくり」を基本テーマとして目指すこととします。   令和6年度(2024年度)から11年度(2029年度)までを計画期間とする「第1期ほっかいどう障がい福祉プラン」については、地域における生活の維持及び継続の推進、就労定着に向けた支援、地域共生社会の実現に向けた取組、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築、障がい者の社会参加を支援する取組、障がい児のサービス提供体制の計画的な構築、発達障がい者支援の一層の充実を目指し、成果目標やサービス見込み量等の確保方策等について定めます。 ○第3期北海道障がい者基本計画 ・根拠:障害者基本法第11条第2項 ・概要:都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画を定める。都道府県障害者計画。 ○第7期北海道障がい福祉計画 ・根拠:障害者総合支援法第89条第1項  ・概要:障害福祉サービス等及び障害児通所支援事業等の円滑な実施を確保するための基本的な指針[令和5年(2023年)こども家庭庁・厚生労働省告示第1号](以下「基本指針」という。)に即して、市町村障害福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から障害福祉サービスの提供体制の確保その他障害者総合支援法に基づく業務の円滑な実施について定める、都道府県障害福祉計画。  ・参考通知:「地域生活支援事業に係る障害福祉計画の作成について」〔平成21年(2009年)1月8日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長通知障企自第0108001号〕 ○第6期障がい者就労支援推進計画[北海道働く障がい者応援プラン・第Ⅴ章] ・根拠:北海道障がい者条例第29条第1項 ・概要:障がいのある人の就労支援に関する施策の実施について示す、就労支援推進計画及び都道府県工賃向上計画。 ・参考通知:「工賃向上計画」を推進するための基本的な指針〔平成24年(2012年)4月11日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知障発0411第4号〕 ○ 第3期北海道障がい児福祉計画 ・根拠:児童福祉法第33条の22 ・概要:基本指針に即して、市町村障害児福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害児通所支援等の提供体制の確保その他障害児通所支援等の円滑な実施について定める、都道府県障害児福祉計画。 障害サービス等及び障害児通所施設等の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成十八年厚生労働省告示第三百九十五号)に基づく第1期北海道難聴児支援計画(仮称)を盛り込むこととする。 2 計画の位置付け (1) 計画の位置付け この計画は、障害者基本法第11条第2項に規定する都道府県における障がい者のための施策に関する基本的な計画(都道府県障害者計画)であり、「北海道総合計画」が示す政策の基本的な方向に沿って策定、推進する特定分野別計画である「北海道地域福祉支援計画」の施策別計画です。 道の障がい福祉施策の基本的な方向性を示す「北海道障がい者基本計画」と、地域において必要な障害福祉サービス等及び障害児通所支援等が計画的に提供されるための実施計画「北海道障がい福祉計画」として位置付けることとしています。 なお、社会福祉法その他法律の規定による計画であって障がい者等の福祉に関する事項を定めるものと調和を保つよう整理しています。 また、本計画は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に資するものです。 【持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)】  2015年9月に国連サミットで採択された、2030年を期限とする先進国を含む国際社会全体の開発目標であり、17のゴール(目標)と、それぞれの下に、より具体的な169のターゲットがある。全ての関係者(先進国、途上国、民間企業、NGO、有識者等)の役割を重視し、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して、経済・社会・環境をめぐる広範囲な課題に統合的に取り組むもの。 (2) 計画の期間及び内容 この計画は、計画期間を令和6年度(2024年度)から令和11年度(2029年度)までの6年間とします。  なお、道はこの計画について、第6期北海道障がい福祉計画の実施状況や地域のニーズ等を踏まえ、サービス量の見込み等について定めるものとし、令和8年度に目標の達成状況や障がい施策の動向、国の障害者基本計画の策定作業などを踏まえて、調査・分析及び評価を行い、必要な見直しを行うこととします。   図1 【計画の位置付け】 3 区域の設定 この計画に定めるサービスの提供体制の確保が、地域間の格差を縮小しながら進められるよう、次のとおり、サービスの種類ごとに、サービス量(支給量及び整備量)を見込み、推進管理等を行う「区域」を設定しています。 (1) 居住系サービス(施設入所支援):「全道域」 入所施設については、今後も、地域生活への移行支援を推進する観点から、基本的には創設は行わずに、現在入所されている方について、円滑に地域生活への移行が図られるような体制の整備を進めるとともに、施設入所支援を必要とする障がいのある人の状況を考慮し、全道一圏域で広域的に入所定員の調整を行うこととします。 (2) 居住系サービス(共同生活援助)及び日中活動系サービス:「北海道障がい保健福祉圏域の21圏域〔札幌市を含む。〕」(この圏域は、第二次地域福祉圏域と同じ。) グループホームなどの住まいの場や生活介護、就労継続支援などの日中活動の場については、利用者の生活圏域(通所等によりサービス利用が可能な単位)に着目してサービスの基盤整備を進める必要があることから、21の北海道障がい保健福祉圏域単位で必要な調整を行うこととします。 (3) 訪問系サービス及び相談支援:「市町村圏域」 居宅介護などの訪問系サービスについては、在宅において提供することを基本とすることから、市町村圏域単位で地域生活への移行の進捗状況などに合わせて必要な調整を行うこととします。 また、相談支援については、地域生活への移行や地域定着支援の観点から、最も身近な行政機関である市町村で必要な体制の整備について調整を行うこととします。 図2 【圏域の区域】 圏域名 振興局名 市町村名 1南渡島 渡島 函館市、北斗市、松前町、福島町、知内町、木古内町、七飯町、鹿部町、森町 2南檜山 檜山 江差町、上ノ国町、厚沢部町、乙部町、奥尻町 3北渡島檜山 渡島・檜山 八雲町、長万部町、今金町、せたな町 4札幌 石狩 札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石狩市、当別町、新篠津村 5後志 後志 小樽市、島牧村、寿都町、黒松内町、蘭越町、ニセコ町、真狩村、留寿都村、 喜茂別町、京極町、倶知安町、共和町、岩内町、泊村、神恵内村、積丹町、古平町、仁木町、余市町、赤井川村 6南空知 空知 夕張市、岩見沢市、美唄市、三笠市、南幌町、由仁町、長沼町、栗山町、月形町 7中空知 芦別市、赤平市、滝川市、砂川市、歌志内市、奈井江町、上砂川町、浦臼町、新十津川町、雨竜町 8北空知 深川市、妹背牛町、秩父別町、北竜町、沼田町 9西胆振 胆振 室蘭市、登別市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町 10東胆振 苫小牧市、白老町、厚真町、安平町、むかわ町 11日高 日高 日高町、平取町、新冠町、浦河町、様似町、えりも町、新ひだか町 12上川中部 上川 旭川市、鷹栖町、東神楽町、当麻町、比布町、愛別町、上川町、東川町、美瑛町、幌加内町 13上川北部 士別市、名寄市、和寒町、剣淵町、下川町、美深町、音威子府村、中川町 14富良野 富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村 15留萌 留萌 留萌市、増毛町、小平町、苫前町、羽幌町、初山別村、遠別町、天塩町 16宗谷 宗谷 稚内市、猿払村、浜頓別町、中頓別町、枝幸町、豊富町、礼文町、利尻町、利尻富士町、幌延町 17北網 オホーツク 北見市、網走市、美幌町、津別町、斜里町、清里町、小清水町、訓子府町、置戸町、大空町 18遠紋 紋別市、佐呂間町、遠軽町、湧別町、滝上町、興部町、西興部村、雄武町 19十勝 十勝 帯広市、音更町、士幌町、上士幌町、鹿追町、新得町、清水町、芽室町、中札内村 更別村、大樹町、広尾町、幕別町、池田町、豊頃町、本別町、足寄町、陸別町、浦幌町 20釧路 釧路 釧路市、釧路町、厚岸町、浜中町、標茶町、弟子屈町、鶴居村、白糠町 21根室 根室 根室市、別海町、中標津町、標津町、羅臼町 4 対象とする障がい者の範囲 障害者基本法第2条において、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」と定義されたことを踏まえ、この計画で対象とする障がい者は次の人とします。 ・身体障がい者 ・知的障がい者 ・精神障がい者(発達障がい者を含む。) ・難病患者などのその他心身の機能の障がいがある人で、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活及び社会生活に相当な制限を受ける状態にある人   第2 障がいのある人の現状等 1  障がいのある人の現状  北海道の人口に占める障がいのある人の割合は、高齢化等の影響により、年々増加傾向にあります。 また、全国と比較すると、すべての障がい種別で障がいのある人の割合が高くなっています。 (1) 身体障がい 身体障害者手帳交付者数は、令和4年度(2022年度)末現在で、290,155人となっており、平成24年度(2012年度)末と比較すると、10年間で12,541人減少しています。また、北海道の人口に占める割合は、平成24年度(2012年度)末の5.5%から、令和4年度(2022年度)末で5.5%と横ばいとなっています。全国においては、4,910,098人で、人口比3.9%となっています。 (2) 知的障がい 療育手帳交付者数は、令和4年度(2022年度)末現在で、68,501人となっており、平成24年度(2012年度)末と比較すると、10年間で17,311人増加しています。 また、北海道の人口に占める割合は、平成24年度(2012年度)末の0.9%から、令和4年度(2022年度)末で1.3%と0.4ポイント増加しています。   全国においては、1,213,064人で、人口比1.0%となっています。     (3) 精神障がい 精神保健福祉手帳交付者や自立支援医療受給者など保健所で把握している精神障がいのある人の数は、令和4年度(2022年度)末現在で、【調査中】人となっており、平成25年(2013年)12月末と比較すると、10年間で【調査中】人増加しています。北海道の人口に占める割合は平成25年(2013年)12月末の2.6%から、令和4年度(2022年度)末で【調査中】%と【調査中】ポイント増加しています。 なお、精神保健福祉手帳交付者数は、令和4年度(2022年度)末現在で、56,916人となっており、平成25年度(2013年度)末と比較すると、10年間で16,916人増加しています。 北海道の人口に占める割合は平成25年度(2013年度)末の0.7%から、令和4年度(2022年度)末で1.1%と0.4ポイント増加しています。 全国においては、R3末1,263,460人で、人口比○.○%となっています。 図3 【障がい者数の推移】 ・発達障がい 発達障がいとは、発達障害者支援法により、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されており、平成22年(2010年)の改正で障害者自立支援法の対象として明確に規定されました。 さらに、平成23年(2011年)8月には障害者基本法が改正され、「障害者」の定義において「精神障害(発達障害を含む。)」と規定されました。 また、発達障害者支援法の施行から10年が経過し、平成28年(2016年)に法改正が行われ、支援の一層の充実が規定されました。 発達障がいは、個々によりその特性が異なり、本人や家族、周囲の人が個人の特性を理解し、その人にあった配慮や支援を行うことにより、持っている本来の力が活かされるようになります。 ・高次脳機能障がい 高次脳機能障がいとは、脳卒中などの病気や交通事故、頭部への怪我などにより、脳を損傷した後遺症としてみられる障がいです。脳損傷による認知機能障害(記憶障害や注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など)を主な症状として、日常生活や社会生活に制約が出ている障がいをさし、「器質性精神障害」として精神障害者保健福祉手帳や自立支援医療(精神通院医療)の申請対象とされています。 また、手帳の有無にかかわらず、障害者総合支援法に基づくサービスの給付対象になることが可能です。高次脳機能障がいは、身体障がいがみられず、外見上は障がいが目立たないことから「見えにくい障がい」といわれ、障がいに関する十分な理解が得られていない実態があり、高次脳機能障がいのある人の正確な人数を把握できていないのが現状です。 (4)難病等 難病とは、発病の機構が明らかでなく、治療法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とする疾病です。 平成23年(2011年)8月に改正された障害者基本法において「障害者」の定義に含まれ、平成25年(2013年)4月の障害者総合支援法の施行により、「障害者」の定義に難病等(治療方法が確立していない疾病その他の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者)と明記され、難病等である人も障害福祉サービス等を利用できるようになりました。 また、対象となる疾病については、令和元年(2019年)7月に361疾病に拡大されています。 (5)医療的ケア児 医療的ケアとは、人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為をいい、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童のことを「医療的ケア児」といいます。 全国の医療的ケア児は、推計で約2万人(令和元年度現在)、道内では約700人(令和4年度現在) で、年々増加傾向にあります。 令和3年9月18日に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」により、国及び都道府県が医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務が示されました。 (6)難聴児 難聴とは、音が耳に入ってから脳に伝わるまでのどこかの段階で障がいが起こり、音が聞こえにくい状態をいいます。 先天性難聴児は出生数 1000 人当たりに1~2人とされています。 令和4年(2022年)2月25日付け厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知における「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」において、「難聴は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には、言語・コミュニケーション手段の発達・獲得を円滑にし、難聴児の今後の社会生活をより豊かにすることにつながると考えられるため、早期に発見し、療育及び教育につなげることが重要である。」と明記されました。 2  サービス提供体制の現状と評価 (1) サービスの利用状況 ① 障害福祉サービスの利用状況(令和5年(2023年)3月分) 障害福祉サービスの利用者は61,683人となっており、うち入所施設利用者が9,059人となっています。 サービス種類 単位 令和5年 (2022年)3月 サービス種類 単位 令和5年 (2022年)3月 訪問系 居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援 時間 358,042 日中活動系 生活介護 人日 371,929  333,406 370,455  93.1% 99.6%  居住系 共同生活援助 人 13,239 自立訓練(機能訓練) 人日 658  14,926 170  112.7% 25.8%  施設入所支援 人 8,355 自立訓練(生活訓練) 人日 8,288  9,059 6,021  108.4% 72.6%  日中活動系 就労移行支援 人日 27,561 療養介護 人 1,053  24,485 1,250  88.8% 118.7%  就労継続支援(A型) 人日 90,727 短期入所(福祉型) 人日 16,215  94,828 13,065  104.5% 80.6%  就労継続支援(B型) 人日 413,765 短期入所(医療型) 人日 1,596  434,291 830  105.0% 52.0%    ※上段:計画 中段:実績 下段:達成率 ※単位のうち人日とは、1ヶ月間の延べ利用人数 また、第6期北海道障がい福祉計画で定めたサービス見込量に対する令和4年度(2022年度)の実績では、施設入所支援が108.4%となっていますが、地域における居住サービスである共同生活援助は112.7%、訪問系サービスは93.1%、日中活動系サービスの生活介護は99.6%、就労継続支援(B型)が105.0%となっています。 ② 障害児通所支援等の利用状況(令和5年(2023年)3月分) 障害児通所支援の利用者は、児童発達支援で延べ98,119人、放課後等デイサービスでは延べ198,973人となっております。   サービス種類 単位 令和5年 (2023年)3月 サービス種類 単位 令和5年 (2023年)3月 入所 福祉型 人 114 通所 児童発達支援 人日 98,119 医療型 人 179 医療型児童発達支援 人日 841 居宅訪問型児童発達支援 人日 35 放課後等デイサービス 人日 198,973 保育所等訪問支援 人日 813 (2) 障害者入所施設の状況 令和5年(2023年)4月1日現在の入所施設数は、200施設で定員は10,264人となっています。 また、令和5年(2023年)3月の入所施設の利用者数は、9,354人となっており、令和2年(2020年)3月利用者数から204人の減となっています。 区分 入所施設数(定員) 入所施設利用者数 R2.4.1 R5.4.1 R2.3 R5.3 障害者支援施設 204か所 10,508人 200 10,264 9,558人 9,354人 (3) 居住支援の状況 グループホーム(共同生活援助)は、障害者自立支援法の施行後、指定基準の規制緩和が図られたことなどにより、施行時点の平成18年(2006年)と比較すると定員の大幅な増加がみられます。 また、令和5年(2023年)3月利用者数は、14,926人となっており、令和2年(2020年)3月利用者から2,737人の増となっています。 【グループホームの指定・整備実績】 H18.4 H20.4 H23.4 H26.4 H29.4 R2.4 R5.4 グループホーム か所数 635 321 377 433 525 626 826 利用定員(人) 2,960 4,672 6,555 9,579 11,140 13,148 16,782 伸び率(R5/R2) 127.6% ※H26.4まではグループホーム(共同生活援助)及びケアホーム(共同生活介護)の合計です。 (4) 工賃(賃金)の状況 令和3年度(2021年度)における道内の事業所(就労継続支援事業所1,260か所)における月額一人当たり平均工賃(賃金)は、29,661円となっており、このうち、就労継続支援B型事業所(1,021か所)では、19,523円となっており、障がいのある人が、生きがいを持ち安心して地域で暮らせるようになるためには、工賃(賃金)向上に向けた更なる取組が求められています。 《工賃とは》 生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として施設や事業所等の利用者に支払うこととされています。(障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準等) 《賃金とは》 賃金、給料、手当、賞与その他名称を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。(労働基準法) 【令和3年度(2021年度)工賃(賃金)実績】 施設種別 施設数 (か所) 定員(人) 工賃支払 対象者延人数 工賃支払総額(円) 平均工賃/月(円) 就労継続支援A型事業所 239 4,550 50,432 3,922,064,513 77,769 就労継続支援B型事業所 1,021 21,636 239,317 4,672,172,924 19,523 合計 1,260 26,186 289,749 8,594,237,437 29,661 《賃金と工賃について》 「賃金」と「工賃」は、ともに仕事・作業の対価として支払われるものですが、この計画においては、雇用関係において、企業、福祉工場、就労継続支援A型事業所等と雇用契約を締結する場合には「賃金」、就労継続支援B型事業所、地域活動支援センター・小規模事業所と利用契約を締結する場合には「工賃」としています。 【施設種別ごとの工賃(賃金)実績の推移】   【工賃支払対象者延人数及び工賃支払総額の推移】 ※工賃実績調査(厚生労働省調査) (5) 一般就労への移行状況 令和3年度(2021年度)における道内の就労系事業所から一般就労への移行者数は1,043人となっており、平成17年度(2005年度)実績(105人)と比較し、9.9倍の増加となっています。 また、法定雇用率が適用される道内の民間企業(3,889社)の障がいのある人の実雇用率は2.37%であり、全国平均(2.20%)を上回っていますが、法定雇用率を達成している企業の割合は50.1%(1,950社)にとどまっているほか、障がいのある人を一人も雇用していない企業は31.0%(1,206社)と全国平均(30.5%)より高い水準にあります。(令和3年(2021年)6月1日現在)。 障がいのある人一人ひとりの意欲や障がい特性等に応じて、安心して一般就労に取り組むことができるよう、企業等と連携・協働した就労支援の充実・強化を図っていく必要があります。 【就労系事業所から一般就労への移行者数】 ※福祉施設等利用者の一般就労等に関する実態調査(道調査) 【障がい者雇用の義務がある民間企業の実雇用率等(令和3年(2021年)6月1日現在)】 法定雇用率 実雇用率 法定雇用率達成割合 法定雇用率達成企業数 2.3% 2.37% 50.1% 1,950 ※令和3年(2021年)障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省北海道労働局) 《障害者雇用率制度について》 すべての事業主は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づき、法定雇用率以上の割合で障がいのある人を雇用する義務があります。 法定雇用率は、令和3年3月から、民間企業2.3%、地方自治体2.6%、都道府県等の教育委員会2.5%ですが、令和6年(2024年)4月から、民間企業では2.5%、令和8年(2026年)4月から2.7%と段階的に引き上げられます。同様に、国及び地方公共団体等についても段階的に引き上げられ、令和8年度から3.0%(教育委員会は2.9%)となります。また、それに伴い、障がいのある人を雇用しなければならない事業主の範囲が、従業員43.5人以上から40.0人以上へ、令和8年(2026年)4月から37.5人以上へと拡大されます。 (6) 地域生活移行状況 令和4年(2022年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの地域生活移行者数は、79人となっています。 また、地域生活移行先としては、グループホーム(共同生活援助)がもっとも多く59人(74.6%)となっています。 【退所者の状況】(単位:人) 【地域生活移行の内訳】(単位:人) ※H26.4まではグループホーム(共同生活援助)及びケアホーム(共同生活介護)の合計です。 (7) 特別支援学校卒業生の進路状況 道内の特別支援学校の令和5年(2023年)3月における高等部卒業者1,152人のうち、就職は417人で全体の36.2%、福祉施設利用は627人で全体の54.4%となっています。 特別支援学校を卒業した人が、身近な地域で生活することができるよう、在学中の就職支援の強化や地域のサービス基盤を整備していく必要があります。 【特別支援学校卒業生の進路状況】(単位:人) (8) 発達障がいのある人に対する支援の状況 発達障がい者支援の一層の充実を図るため、平成28年(2016年)8月に発達障害者支援法が全般にわたって改正され、医療、福祉、教育、就労等の関係機関が相互に連携し、一人ひとりの発達障がいのある人に切れ目のない支援を実施することが目的に追加され、きめ細やかな支援を推進することとされました。 道では、発達障害者支援(地域)センターを設置し、地域で発達障がいのある人やその家族の支援を行う市町村及び事業所等の関係機関への助言や人材育成を行い支援体制の充実を図るほか、フォーラムを開催するなど発達障がいの理解促進に関する取組を進めています。 また、北海道教育庁と共同し、発達障がいを含む特別な教育的支援を必要とする幼児及び児童生徒に対し、切れ目のない支援が受けられる体制を整備するため、福祉と教育の連携強化に関する取組を進めています。 (9) 障がい児に対する支援の状況 令和4年(2022年)6月の児童福祉法の改正に伴い、児童発達支援センターが地域における障がい支援の中核的役割を担うことが明確化され、道では、児童発達支援センターや市町村中核子ども発達支援センターの設置を促進し、道内各地への支援を進めています。 また、令和3年(2021年)9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関し、地方公共団体等の責務が明らかにされました。 道では、令和4年6月、北海道医療的ケア児等支援センターを設置し、医療的ケアが必要な子どもを持つご家族や関係機関からの相談に対応するほか、地域において寄せられる相談を総合的に調整する医療的ケア児等コーディネーターを養成するなど、支援を行っています。 さらに、国において「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」(令和4年(2022年)2月)に、難聴児支援の基本的考え方が示されており、道では、令和3年3月に、「お子さんの「きこえ」の手引き」を作成し、早期発見から早期療育を促進しています。 このような取組を通じ、道としては、子ども・子育て支援法の「子ども・子育て支援給付その他の子ども・子育て支援の内容及び水準は、すべての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない」との基本理念に基づき、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員が各々の役割を果たすとともに、相互に協力を図り、障がいのある子どもとその家族に対し、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した効果的な支援を身近な場所で提供する体制の整備を進めています。 (10) 在宅の障がいのある人等に対する支援の状況 重症心身障がいや在宅で暮らす重度障がいのある人が、地域で生活するための必要なサービス基盤を整備し、その家族の負担を軽減する取組を進めています。 (11) 北海道障害者介護給付費等不服審査会等の状況(令和5年(2023年)3月31日現在) 障がいのある人又は障がいのある子どもの保護者は、市町村が決定した障害支援(程度)区分認定や支給決定などについて不服がある場合に、都道府県知事に対して審査請求をすることができます。 道では平成18年(2006年)4月に北海道障害者介護給付費等不服審査会、平成24年(2012年)4月に障害児通所給付費等不服審査会を設置し、審査請求があった事件について審議を行っています。 北海道障害者介護給付費等不服審査会には、平成18年(2006年)の新制度施行以降、137件の審査請求があり、うち102件が障害支援(程度)区分の認定に関するもの、33件が支給決定等に関するものとなっています。 なお、障害児通所給付費等不服審査会への審査請求はありません。 【障害者介護給付費等不服審査会審議内訳】 採決内容 件数 請求内容 件数 認容 49件 障害支援(程度)区分関連 102件 棄却 56件 支給決定又は支給内容に関するもの 33件 取下 28件 その他 2件 却下 4件 計 137件 計 137件 ※ 障害支援(程度)区分関連 障害程度区分(平成18年(2006年)4月~平成26年(2014年)3月)及び障害支援区分(平成26年(2014年)4月~)に関連する請求 3  主なサービス提供基盤の整備状況  (1) 基盤整備の状況(令和5年(2023年)3月31日現在) 障害者支援施設の定員数は、令和2年(2020年)と令和5年(2023年)を比較すると169名(1.6%)の減となっています。   【サービス提供基盤の整備状況】 ※ 障害者支援施設の日中活動サービスはそれぞれのサービス種別へ計上している。 (2) 人材養成の状況 障がいのある人が各種サービス等の社会資源を有効に活用しながら生活することができるよう、相談支援業務に従事する人や居住系、日中活動系サービス事業者に配置が義務付けられているサービス管理責任者を、また、利用者に適切なサービスが提供されるよう、障害者総合支援法に定める障害支援区分認定関係者(認定調査員・審査会委員・主治医)を養成するための研修等を行っています。 【研修修了者の状況】(単位:人) 第3 計画推進のための基本的事項 【計画の体系】 《推進項目》 《推進施策》 Ⅰ 北海道障がい者条例の施策の推進 1 権利擁護の推進 (1) 権利擁護の推進・虐待の防止 (2) 意思決定支援の推進 (3) 成年後見制度等の活用促進 (4) 理解の促進 (5) 地域福祉活動の推進 2 障がいのある人が暮らしやすい地域づくり (1) 地域づくり委員会等の取組 3 就労支援施策の充実・強化 (1) 道民、企業、行政等が一体となった応援体制づくり (2) 一般就労の推進 (3) 多様な就労の機会の確保 (4) 福祉的就労の底上げ Ⅱ 地域生活支援体制の充実 4 相談支援体制・地域移行支援の充実 (1) 生活支援体制の充実 (2) 相談支援体制・地域移行支援の充実・強化 (3) 障害福祉サービス・地域生活支援事業の充実 (4) 生活安定施策の推進 (5) 福祉サービス事業者等の指定、指導監査の実施 5 サービス提供基盤の整備 (1) 住まいの基盤整備の充実 (2) 日中活動サービスの充実 (3) 地域生活を支えるサービス基盤の充実 (4) 共生型地域福祉拠点の取組の推進 (5) 地域間格差の縮小 (6) 施設による支援 6 保健福祉・医療施策の充実 (1) 適切な保健・医療施策の充実 (2) 障がいの原因となる疾病等の予・治療 (3) 精神障がいのある人や難病患者の方など障がい特性に応じた支援の充実 (4) 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築 7 多様な人材の確保・定着・養成及びサービスの質の向上 (1) 人材の確保・定着・養成 (2) サービスの質の向上 Ⅲ 自立と社会参加の促進 8 障がい児支援の充実 (1) 障がいのある子どもに対する支援の充実 (2) 学校教育の充実 (3) 医療的ケアを必要とする子どもや難聴児への支援の充実 9 発達障がいのある人や在宅の障がいのある人等への支援 (1) 発達障がいのある人に対する支援の充実 (2) 在宅の障がいのある人等への支援の充実 10 自立と社会参加の促進・取組定着 (1) 社会参加の促進 (2) スポーツ・文化芸術活動の振興 (3) 読書バリアフリーの推進 (4) 生涯学習機会の充実 Ⅳ バリアフリー社会の実現 11 北海道意思疎通支援条例・手話言語条例の施策の推進 (1) 情報通信における情報アクセシビリティの向上 (2) 意思疎通支援の充実 (3) 言語としての手話の理解促進等 12 安全確保に備えた地域づくりの推進 (1) 住まい・まちづくりの推進 (2) 移動・交通のバリアフリーの促進 (3) 防災・防犯対策の推進   1 計画推進の基本方針 Ⅰ 北海道障がい者条例の施策の推進 (1) 権利擁護の推進 障害者虐待防止法及び障害者差別解消法や北海道障がい者条例に則して、障がいのある人への差別を禁止し、障がいのある人の暮らしづらさを解消するとともに、障がい者の権利を最大限に尊重することなどについての理解促進を図ります。 (2) 障がいのある人が暮らしやすい地域づくり 障がいがある人が、住み慣れた地域で安心してで暮らすことができる社会づくりのため、障がい福祉圏域に設置した地域づくり委員会において、地域の課題等を進めます。 (3) 就労支援施策の充実・強化 障がいがあっても、地域において、いきいきと働くことができるよう、社会全体で応援する機運の醸成を図りながら、企業等と連携・協働し、障がいのある人の意欲や特性に応じた、就労機会の拡大と工賃(賃金)水準の向上や職場定着を促進します。 Ⅱ 地域生活支援体制の充実 (4) 相談支援体制・地域移行支援の充実 施設入所者の意向を把握し、受入地域と施設との連携や地域生活移行後のフォローについて関係者との連携を図り、退所を希望される方々の地域生活への移行促進を図るほか、道と市町村の役割分担による相談支援体制の整備や、障がいのある人が生きがいを持って生活できるよう社会参加の促進に努めるとともに、乳幼児期や学齢期、青年期、壮年期、高齢期といったライフサイクルを通じた一貫した支援ができるよう関係機関等の連携による取組や在宅で生活する障がいのある人の高齢化や重度化、さらには介護者の急病等の緊急時においても、地域での生活が継続できる体制整備を促進します。 また、障がいのある人が適切な意思決定支援のもとで自らの決定に基づき、身近な地域で日常生活又は社会生活を営むことのできる体制を整備し、在宅サービスの量的・質的充実を図り、施設入所者の地域生活への移行を推進します。 さらに、障害福祉サービス事業者等で適切な良質なサービスが提供されるよう、指定の際に厳正な審査を実施し、指定後においても利用者の人権擁護や虐待防止、意思決定支援のための体制整備等、適正な事業運営が行われるよう指導に努めます。 (5) サービス提供基盤の整備 市町村や事業所への助言等を行い、圏域ごとにサービスの整備量を調整しながら、地域間の均衡に配慮した計画的な基盤整備を行い、地域間格差の縮小に努めます。 また、広域・分散である北海道の地域特性を踏まえ、より身近な地域で障がいのある人を支援する資源を確保するため、障がい者施策と高齢者施策など他の福祉施策と連携した共生型事業等の取組を推進します。 (6) 保健福祉・医療施策の充実 障がいのある人が身近な地域において、保健サービス、医療、リハビリテーション等を受けることが出来るよう提供体制の充実を図るとともに、障がいの原因となる疾病等の予防、早期発見、治療の推進を図ります。 また、精神障がいのある人が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築や、精神障がいのある人に対し必要な支援を行うことにより、地域生活への移行と定着を促進するとともに、難病に関する施策を推進します。   (7) 多様な人材の確保・定着・養成及びサービスの質の向上 サービスの提供に直接必要な障がい福祉・医療を支える人材の確保・定着に努めるとともに、サービスの利用相談や計画策定を担う相談支援専門員やサービス管理責任者等の養成を行います。 また、適切で良質なサービスが提供されるよう、現場のニーズに即した研修などを通じ相談支援及び障害福祉サービス等の質の向上を図ります。 Ⅲ 自立と社会参加の促進 (8) 障がい児支援の充実 発達の遅れや障がいのある子どもに対する相談支援・通所支援・入所支援等のサービス提供体制の整備や重層的な地域支援体制の構築、地域社会への参加・包容を推進し、子どもと家族へより一層の支援体制の充実を図るとともに、障がいのある子どもの発達を支援するため、早期発見から早期療育、さらには学齢期への円滑な移行や学校教育におけるインクルーシブ教育システムの推進などに加え、児童が18歳以降、環境を円滑に移行できるための体制の整備を図ります。 また、医療的ケアを必要とする子どもや難聴児への支援の充実など、心身の発達の段階や年齢に応じた支援に地域で一貫して取り組むことができるよう、体制の充実を図るとともに、身近な地域において、専門的な療育や教育を受けられる体制の整備を促進します。 (9) 発達障がいのある人や在宅の障がいのある人等への支援 発達障がいのある人やその家族への支援が推進され、また、重症心身障がいや在宅の障がいのある人等が身近な地域において必要な支援が提供されるよう、関係機関が連携を図り、地域の支援体制の充実を図ります。 (10) 自立と社会参加の促進・取組定着 障がいのある人が自らの選択と決定により、参加することのできる様々な活動の機会を増やすとともに、障がい者が社会参加の主体として生きがいをもって生活できるよう、社会のあらゆる場面でのアクセシビリティの向上をはじめとする環境整備を促進します。 さらに、障がいのある人と地域住民等が交流する場の整備、コミュニケーション手段の確保、移動に関する支援の利用促進などに努めます。 Ⅳ バリアフリー社会の実現 (11) 北海道意思疎通支援条例・手話言語条例の施策の推進 障がいのある人に対し、障がい特性に配慮した意思疎通手段の確保や意思疎通支援者の養成・派遣等を行うほか、ICT(情報通信技術)の活用により、障がいのある人が障がいのない人と実質的に同等の情報を得られるよう情報アクセシビリティの向上に取り組むことで、障がいのある人のコミュニケーション手段を拡充し、自立と社会参加を促進します。 また、手話が独自の体系を持つ言語であることについて、広く道民への普及啓発を進めるほか、手話を習得するための必要な支援を行います。   (12) 安全確保に備えた地域づくりの推進 市町村や関係団体と連携を図り、災害時はもとより日常的に障がいのある人等の安全確保を推進するため、地域住民などとの共生による支援体制づくりを推進するとともに、障がいのある人が地域社会において、安全に生活できるよう、住まいから交通機関、まちなかまで連続し、安全で快適な道路交通の確保と防災・防犯対策を推進します。 第4 計画推進のための具体的な取組 Ⅰ. 北海道障がい者条例の施策の推進 障がいのある人への「虐待」や「差別」を禁止するとともに、障がいのある人が障がいのない人と実質的に同等の日常生活を営むことができるようにするために必要な配慮(合理的配慮)に努めます。 また、障がいのある人の権利を実現し、社会参加を確保するための社会生活に関する施策に当たっては、北海道障がい者条例の基本理念に基づき推進し、主な施策として「権利擁護の推進」「障がい者が暮らしやすい地域づくり」「障がい者の就労支援」を進めます。 ※「合理的配慮」とは  北海道障がい者条例第20条では、障がい者が、障がいのない者と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むことができるようにするために必要な配慮をいうと規定されています。 [北海道障がい者条例の基本理念] ・ 行政機関、学校、地域社会、道民、事業者その他関係団体が、相互に連携して社会全体で取り組むこと。 ・ 障がい者への差別を防止し、障がい者の暮らしづらさを解消し、及び障がい者の権利を最大限に尊重すること。 ・ 保健、医療、福祉、労働、経済、教育その他障がい者に関するあらゆる分野において総合的に取り組むこと。 ・ 道内における地域間の格差の是正を図ること。 1 権利擁護の推進 【現状と課題】 ・ 社会には、障がいのある人に対する理解の不足、誤解や偏見などがあり、これらを原因とする差別や虐待などが存在します。 一方、わが国は、権利擁護に関し、障害者差別解消法制定など国内法の整備をはじめとする制度の改革を進め、障害者の権利に関する条約を批准しています。 ・ 障がいのある人に対する差別や偏見、虐待は未だに存在しており、差別や偏見、虐待のない社会をつくるためには、障がいに対する理解を深め、障がいのあるなしに関わらずお互いの存在を尊重し、暮らしやすい地域づくりを推進することが必要です。 ・ 日常生活において支援が必要な方が、安心して暮らすことができるように、成年後見制度をはじめとした権利擁護施策の充実を図ることが必要です。 【考え方】 ・ 障がいのある人への差別を禁止し、障がいのある人の暮らしづらさの解消とともに、権利を尊重することなどについて、地域の相談支援体制の充実や地域づくり委員会での権利擁護の推進、社会的障壁を除去するための合理的配慮の提供、市町村における成年後見制度の利用促進の取組の支援、障害者差別解消法や障害者虐待防止法等の普及啓発など、あらゆる機会や施策を活用して障がいや障がいのある人に対する理解を促進します。 (1)権利擁護の推進・虐待の防止 【推進の視点】 ・障がいがあっても安心して地域で暮らすことのできる社会づくりを実現するためには、障がいのある人の権利擁護と暮らしづらさの解消が必要です。 また、権利擁護を推進、虐待の防止を図るため、関係する制度を道民に対し周知することが必要  です。 ・虐待は、障がいのある人の尊厳を害するもので、決して許されないものであり、自立と社会参加のためには、障がいのある人に寄り添った虐待防止に向けた取組を一層進めることが極めて重要です。 【推進施策】 ・障害者虐待防止法に基づき道が設置している「北海道障がい者権利擁護センター」において、障がいのある人への虐待防止等を図るとともに、市町村が設置する「市町村障害者虐待防止センター」において、適切な事実確認や成年後見制度等を利用した養護者支援等が図られるよう支援します。 また、弁護士など専門家が対応する障害者110番事業の実施など、権利擁護の取組を推進します。 ・虐待を受けた人や見聞きした人が、速やかに相談できるよう、相談先や通報先の周知徹底を図り、虐待を通報した人が、不利益な取扱いを受けないよう、関係機関に対して、障害者虐待防止法の趣旨についての理解・普及に努めます。 ・障害福祉サービス等、障害児入所支援及び障害児通所支援等を提供する事業所に対して、研修を実施するなどして虐待防止や権利擁護に関する指導を徹底するとともに、当該事業所等における障害者虐待に関する報告や通報があった場合には、市町村をはじめ関係機関と連携の上、障害者総合支援法に基づく監査等を実施し、当該事業者に対して障害者虐待防止法の規定による権限を行使するなど、速やかに対応します。 (2) 意思決定支援の推進 【推進の視点】 ・自ら意思を決定することに困難を抱える障がいのある人が、自らの意思が反映された日常生活や社会生活を送るため、本人が自ら意思決定できるよう支援することが必要です。 ・障がいのある人の意思決定支援については、それぞれの障がいの状態等において個別性が高く、その支援方法も多様なものであることから、支援者は、実情や個々の障がいのある人の態様に応じて不断に意思決定支援に関する創意工夫を図り、質の向上に努める必要があります。 【推進施策】 ・障害福祉サービスを提供する際に、障がいのある人の意思決定支援のため、サービス事業所の支援員や市区町村の相談窓口等の障がいのある人に関わる多くの人々に意思決定支援の参画を促すため、「意思決定支援ガイドライン」を広く周知します。 ・障害福祉サービス事業者等における意思決定支援が適切に進められるよう、支援にあたっての課題の把握や好事例の紹介を行うとともに、集団指導や実地指導において「意思決定支援ガイドライン」の周知や支援体制の整備等について助言・指導に努めます。 ・相談支援専門員やサービス管理責任者における意思決定支援の質の向上を図るため、研修の充実を図ります。 ・障がいがあることにより財産の管理や日常生活を支える必要がある人が、不利益を被ることがないよう、市町村が成年後見制度の利用を推進するために国の助成事業を活用することや、後見等の業務を適正に行うことができる人材を育成することなどの取組を一層促すとともに、家庭裁判所や関係機関と連携し、広域的な見地から必要な助言を行うほか、北海道地域福祉生活支援センターが行う福祉サービスの利用援助・日常的な金銭管理などの取組について支援します。 (3) 成年後見制度等の活用促進 【推進の視点】 ・障がいがあることにより財産の管理や日常生活を支える必要がある人が、支えの必要がない人と等しく、本人らしい生活を継続していくためには、相談支援体制の整備や成年後見制度等をはじめとした権利擁護支援策の充実が必要です。 【推進施策】 ・福祉サービスの利用援助や日常的な行政手続き等の援助を行う日常生活自立支援事業や日常的な金銭管理や福祉施設の入退所等の生活全般の支援に関する契約等の法律行為の援助を行う成年後見制度等、障がいのある人の判断力や求める支援によってサービスを受けられるよう相談窓口や支援策について広く道民に対し周知します。 ・日常生活を支える必要がある人に対し、北海道地域福祉生活支援センターが行う日常生活自立支援事業の取組の普及に努めます。 ・成年後見制度を必要とする人が制度を安心して利用できるよう、市町村に対し、必要な経費について助成事業の活用を促すとともに、相談支援体制の整備や後見等の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るための研修の取組について支援します。また、市町村が設置する中核機関の体制整備を支援します。 (4) 理解の促進 【推進の視点】 ・障がいのある人もない人も、共に生きる社会を実現するために、障がいのある人への差別をなくすことを社会全体で進めていくことが必要です。 【推進施策】 ① 障がいを理由とする差別の解消の促進 ・障害者差別解消法について、市町村や障害福祉サービス事業所などの関係機関はもとより、広く道民に対し制度の普及・啓発を図ります。 ・北海道障がい者条例に基づく地域づくり委員会が、障がいのある人やその家族(ケアラー等を含む。)(以下、「家族」という。)からの相談に応じ、協議やあっせんを行って解決を図ります。 ・地域における差別解消に向けた取組を円滑に行うため、関係機関によるネットワークづくりを進め、必要な情報交換や取組の協議を行います。 ・道は、障がいのある人の差別の解消に取り組むために作成した、職員の対応要領や事例集について、内容の充実に努めるほか、市町村に対し、引き続き職員の対応要領の作成や障害者差別解消支援地域協議会の設置を働きかけます。 ・障がいがあることを理由に資格・免許等を与えることを制限又は禁止する「欠格事項」について、国の見直しの状況を踏まえ、障がいのある人の人権が損なわれることのないように対応します。 ※職員対応要領「障がいのある方へのよりよい対応ができるサポートブック」 ※職員対応要領については、ホームページで公開しています(https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/shf/yoriyoitaiougadekirupe-zi.html)  ② 障がいのある人に対する理解の促進 ・障がいのある人の意見を障がい者施策に反映させるため、障がい当事者が委員となっている北海道障がい者施策推進審議会を開催するほか、その他の関係審議会委員などへの当事者の登用や、障がいのある人に係る計画、政策などの意思決定機会への参画を促進します。 ・ヘルプマークやヘルプカードの普及を推進し、外見から分かりにくい障がいなど、周囲の方からの配慮を必要としている人への思いやりのある行動を促し、障がいへの理解を図ります。 ・「北海道障害者介護給付費等不服審査会」の審査を通じ、障がいのある人の障害福祉サービスの利用が適正に確保されるよう努めます。 ・DVDの貸出やインターネット上への動画のアップロードなど、映像等を活用して、学校や企業、生涯教育の場等を通じた障がいに対する理解を促進します。 ※ヘルプマーク ③ 福祉教育の推進 ・障がいのある人に対する正しい理解を深め、思いやりの心を育むため、幅広い年代の道民が、心のバリアフリーについて、体験を通じて考えたり、情報を得られる機会の拡大に努めます。 ・障がいのある人との、幼少時からの交流体験を通じた福祉教育の機会を充実するため、地域で企画される各種行事や保育所、学校での交流、ボランティア活動への体験参加などの機会の拡大を図ります。 ・障がいのある人とのふれあい・交流をテーマとした体験作文やポスターの募集等を通じ、障がいや障がいのある人に対する理解を促進します。 ・思いやりのこころを醸成するため、福祉教育の一環として、福祉読本の活用を促進し、福祉のまちづくり等に関する理解を深めます。 (4) 地域福祉活動の推進 【推進の視点】 ・障がいのある人が地域づくりへの参加を促進するために、普及・啓発、交流の機会の拡大を進めていくことが必要です。 【推進施策】 ① 啓発活動の推進 ・「障害者週間」や「道民福祉の日」など各種行事の実施により、啓発に努めます。 ・北海道福祉のまちづくり条例の趣旨に沿った福祉のまちづくりを進めるため、普及・啓発の実施や推進体制の整備、市町村や民間事業者に対する支援に努めます。 ② 交流機会の拡大 ・住民が障がいのある人と共に参加する障害者週間記念行事などの啓発活動やスポーツ・文化活動等、地域の特色を生かした交流機会の拡大に努めます。 ・障がいのある人、高齢者、地域住民などが共に支え合いながら暮らすことのできる共生型の地域づくりを推進し、障がいのある人の主体的な地域づくりへの参加を促進します。 ・広く住民を対象とした一般のイベントや行事が、障がいのある人も参加することを前提に、地域で日常的に企画されるよう、啓発や情報提供に努めます。 2 障がいのある人が暮らしやすい地域づくり 【現状と課題】 ・北海道障がい者条例に基づき、障がいのある人の暮らしやすい地域づくりを推進しており、今後一層の取組が求められています。 【考え方】 ・道内の14圏域に設置した「障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会」において、市町村などと連携し、障がいのある人が受けた差別や虐待などの解消に向けた協議・あっせんを進めます。 (1) 地域づくり委員会等の取組 【推進の視点】 ・障がいがあっても安心して地域で暮らすことができる社会づくりを目指し、障がいのある人の権利擁護と暮らしやすい地域づくりを推進することを目的に制定した北海道障がい者条例に基づく各種施策等の取組を進めることが必要です。 【推進施策】 ・全道14圏域に設置している「障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会」において、中立・公平な立場で、虐待や差別、暮らしづらさに関する特定事案や地域の課題等について、当事者や関係者と協議等を行いその解決を図ります。 ・道と地域づくりコーディネーターが連携し、地域づくりガイドラインを活用しながら、市町村が進める相談支援体制づくり等の取組を支援します。 ① 制度の周知 ・「障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会」について、広く道民に周知し、一層の活用を働きかけます。 ② 社会情勢に応じた条例内容の検討 ・障がい者施策に関する法律の施行などによる社会情勢の変化に応じて、条例の内容について検討します。 図4 【北海道障がい者条例に基づく地域の支援体制】 3 就労支援施策の充実・強化 【現状と課題】 ・就労を希望する障がいのある人を取り巻く雇用情勢は依然厳しい状況にあります。 このような中で、障がいの程度や種別、年齢などに関わらず、希望する地域で、本人の意欲や障がい特性等に応じた多様な働き方が可能となるよう、社会全体で応援する体制づくりが求められています。 ・各地域において様々な分野の機関が連携した障がいのある人の就労を支えるネットワークの充実と企業との連携・協働の推進を図りながら、道民、企業、行政等が一体となった応援体制づくり、就労系事業所からの一般就労の推進、多様な就労の機会の確保、福祉的就労の底上げが必要です。 【考え方】 ・障がいがあっても、地域において、いきいきと働くことができるよう、社会全体で応援する機運の醸成を図りながら、企業等と連携・協働し、障がいのある人の意欲や特性に応じた、就労機会の拡大と工賃(賃金)水準の向上や職場定着を促進します。 (1) 道民、企業、行政等が一体となった応援体制づくり 【推進の視点】 ・障がいのある人がいきいきと働くことのできる地域社会の実現のためには、地域の方々、障害福祉サービス事業所、企業、行政等すべての道民が、「障がい」や「障がいのある人が働くこと」について理解を深め、地域社会全体で応援する体制づくりが必要です。 ・福祉的就労における工賃向上のための障害福祉サービス事業の安定的な運営に向けて、民間ノウハウを積極的に活用し、就労支援のための総合的なサポート体制の充実が必要です。 【推進施策】 ① 働く障がい者に対する道民の応援 ・障がいのある人の就労に関する理解を促進するため、道民一人ひとりにホームページや広報誌等様々な広報媒体を活用し、雇用事例や障害福祉サービス事業等の情報提供を行うとともに市町村における広報などの取組を進めます。 ・道民による障害福祉サービス事業所(就労継続支援事業所や生産活動を行う地域活動支援センター等)や障がいのある人を雇用している企業等(以下「障害者就労施設等」という。)からの購買など応援の取組を促進します。 ② 企業・行政の取組の推進 ・関係機関と緊密に連携しながら、障害福祉サービス事業の経営改善や受注拡大等の工賃向上に向けた各種取組を集中的かつ効果的に推進します。 ・北海道障がい者条例に基づく「障がい者就労支援企業認証制度」及び「障がい者就労支援の輪を広げる取組~道民一人1アクション」により、企業等による障がいのある人の雇用や障害者就労施設等への優先発注など、企業と連携した就労支援の取組を推進するとともに、その内容を広く道民にPRします。 ・認証制度については、必要に応じて評価基準の見直しを行うとともに、認証の取得を促進するための優遇措置として導入した道の低利融資や入札等での配慮について、より効果的な制度となるよう検討を行いながら、制度の普及・拡大を図ります。 ・障がい者就労施設等の製品の販路拡大を図るため、流通事業者等の民間企業と連携・協働した取組を推進します。 ・障がいのある人の就労支援に関する各種施策(福祉、雇用)や雇用に関する取組事例を企業や道民等に情報提供するとともに、市町村においても企業等に対する情報提供が行われるよう働きかけ、障がいのある人の雇用や就労についての理解を促進します。 ・経済団体等へ障がいのある人の雇用を一層推進するよう要請します。 ・道は、毎年、障がいのある人が就労する施設等からの物品等の優先的な調達を推進するための方針を策定し、特定随意契約制度の活用などにより、物品購入や役務の提供等について、障害者就労施設等に対する優先的な発注に努めるとともに障がいのある人を雇用する企業等への配慮措置について検討を行います。 また、市町村等に対して、障がいのある人が就労する施設等からの物品等の優先的な調達を推進するための方針の策定を促し、障害者就労施設等への発注促進について、働きかけを行います。 ・道の調達方針に基づき、指定法人は各部局等が物品の調達を検討する際の相談窓口となり、障害福祉サービス事業所が提供可能な物品等の情報の収集や提供、マッチング支援などの取組を行います。 図5 【就労支援企業認証制度】 (2) 一般就労の推進 【推進の視点】 ・障がいのある人の就労支援を推進するためには、福祉、労働、教育等の関係機関が連携し、様々な分野において一体的に支援を行うとともに、地域においては、就業面と生活面における一体的な支援を行う障害者就業・生活支援センターを中心とした就労支援ネットワークなどを活用し、関係機関や企業、市町村等との連携や協働を推進することが必要です。 ・障がい特性に応じた職場適応や職場定着のための支援を障がいのある人及び企業双方に行い、本人の能力・スキルの向上と環境整備が必要です。 ・一般就労及び職場定着の促進のために、就労系サービス事業所(就労移行支援事業所、就労継続支援事業所、就労定着支援事業所)におけるサービスの質の向上と、就労支援担当職員等のスキル向上が必要です。 ・企業における障がいのある人の雇用率向上のため、厚生労働省・北海道労働局、障害者就業・生活支援センター等関係機関との連携や協働を推進することが必要です。 【推進施策】 ① 関係機関のネットワークの充実 ・北海道障害者雇用支援合同会議を中心に公共職業安定所、高齢・障害・求職者雇用支援機構北海道支部、高等技術専門学院、障害者職業能力開発校などの労働関係機関と協力して、制度、施策の横断的な調整に基づく一貫した雇用体制を推進し、地域の福祉施設、企業との連携づくりを進めます。 ・障害者就業・生活支援センターを中心に構築した就労支援ネットワークなどを活用し、地域における市町村、就労系サービス事業所、公共職業安定所、障害者職業センター、特別支援学校等中等教育機関、大学等高等教育機関、企業など、福祉・労働・教育等の関係機関、団体のネットワークの充実を進めます。 ・市町村の協議会や21障がい保健福祉圏域に設置している障がい福祉計画等圏域連絡協議会を活用して就労施策を推進します。 図6 【地域における就労支援ネットワーク】 ② 移行サポート体制の整備 ・障がいのある人に就業面と生活面における一体的な支援を行う障害者就業・生活支援センターを中心に、関係機関と職業準備訓練から職場定着までのプロセスごとに役割分担し、生活支援を含め、障がいの種別や本人の希望に応じた包括的な支援が行われる体制づくりを進めます。 また、21障がい保健福祉圏域に障害者就業・生活支援センターの設置を目指すことを基本としつつ、北海道障がい者就労支援推進委員会の意見を伺いながら整備を進めます。 ・特別支援学校等中等教育機関及び大学等高等教育機関からの卒業、医療機関からの退院に備え、就労系の障害福祉サービス(今後創設される就労選択支援サービスを含む)の利用や就労適性等のアセスメントに取り組む市町村等を支援します。 ・職場での実習・体験を通じて働くことについての意欲を持ち、一般就労の可能性を引き出すことができるよう、道における実習の受入や臨時職員としての任用を推進し、市町村における受入等についても要請します。 ・障害者職業能力開発校などにおける職業訓練や民間訓練機関等への委託訓練による知識・技能の習得の支援、企業見学会の実施等により一般就労の促進を図ります。 ・就職等の困難性の高い精神障がい、発達障がい、難病などの障がいのある人に対し、関係機関と連携して専門的な支援を行います。 ・地域間の均衡に配慮しつつ、就労系サービス事業所の整備を促進します。 図7  【障害者就業・生活支援センター】 ③ 障がい者雇用企業や職場定着への支援 ・障がいのある人が企業において職場環境に適応するための実地訓練を行う職場適応訓練の活用を促進します。 ・障がいのある人の雇用の経験がない企業に、障がいのある人の雇用を取り組むきっかけづくりを進める障害者トライアル雇用制度の活用を促進します。 ・障がいのある人の職場適応を容易にするために、企業へ派遣される職場適応援助者(ジョブコーチ)の活用を促進します。 ・公共職業安定所を中心とした就職の準備段階から職場定着までの一連の支援(チーム支援)の活用が進むよう関係機関へ働きかけます。 ・公共職業安定所と連携し、法定雇用率の周知を図るとともに、障がいのある人を雇用する企業への支援策の活用が進むよう関係機関に働きかけます。 ・障がいのある人を雇用する企業に対する助成制度の活用を促進します。 ・障がいのある人の生活面の課題を把握するとともに、企業や関係機関、家族等との連絡調整やそれに伴う課題解決に向けて必要となる支援を実施する就労定着支援事業の活用を促進します。 ・精神障がいのある人の職場復帰や職場適応を円滑に進めるための職場復帰支援の活用を促進します。 ④ 就労支援サービスの質の向上 ・経済団体や企業等に対して、特別支援学校の生徒が、一定期間企業で働く体験をする現場実習の受け入れ推進を図ります。 ・障害者雇用を促進するという長期的な視点から、企業が障害のある生徒や障害者雇用について理解するための機会を確保するため、企業を対象とした特別支援学校の見学会等の推進を図ります。 (3) 多様な就労の機会の確保 【推進の視点】 ・一般就労の推進や福祉的就労の底上げを図るためには、地域における関係機関等の連携・協力の下、障がいのある人の特性等を踏まえ、地域の実情などを踏まえた新たな取組や事業展開を促進し、障害福祉サービス事業所等における就労の場を拡大することが必要です。 ・就労系サービス事業所において、事業所以外での活動(施設外就労、施設外支援)の取組が進められています。一般就労の拡大に向けては、こうした企業や地域との連携が必要です。 ・障がい特性や個々の障がいのある人を取り巻く環境から、通勤が困難な障がいのある人が、在宅においても就業できる仕組みの整備が求められています。 【推進施策】 ①地域特性等を活かした就労機会の確保 ・地域の行政、企業、経済団体、福祉団体等の連携・協力体制の充実を図り、障害福祉サービス事業所に対して、農業、工業、観光業等の基幹産業の関係施策とタイアップした取組や、介護・福祉サービスなど新たな職域に進出している取組に関する情報提供を進め、地域特性、就労系障害福祉サービス事業所の特徴を活かした事業展開を促進します。 ・就労移行支援事業等を利用したものの一般企業等の雇用に結びつかない方や、就労の機会等を通じて生産活動にかかる知識及び能力の向上が期待される高齢者等を対象として、就労継続支援B型事業等による適切な支援を実施する体制づくりを促進します。 ②施設外就労等の就労形態の普及促進 ・企業から請け負う作業を当該企業内で行う施設外就労(企業内就労)や就労系サービス事業所以外で活動を行う施設外支援(職場実習、求職活動、在宅就労)を推進するため優良な取組を紹介します。 ・障がいのある人の就労を促進するため、農福連携・水福連携など福祉と地場産業との連携を推進するとともに、農福連携技術支援者を育成し、農業現場に派遣するなど、地場産業や企業、市町村など地域における新たな就労の場の創出と自立促進、各事業所等に対する支援に努めます。 ・農業分野での障がいのある人の就労を支援し、障がいのある人の工賃向上を図るため、障がい福祉サービス事業所の農業への参入を支援するとともに、農業に取り組む事業所による販売イベント、農業生産者と障がい者就労施設のマッチング支援、障がい者就労施設への農業の専門家派遣を推進します。 ③ ICT等を活かした在宅就労等の推進 ・道や市町村等の優先調達による在宅就業障がい者の受注機会の増加を図ります。 ・在宅就業障がい者に仕事を発注した企業に特例調整金等を支給する制度など各種支援策の周知を図り、活用を促進します。 ・創業を目指す障がいのある人を支援するため、取組事例や創業に必要なノウハウ習得のための研修などの情報提供に努めます。 図8 【地域における障害福祉サービス事業支援ネットワーク】 (4) 福祉的就労の底上げ 【推進の視点】 ・一般就労が困難な障がいのある人が工賃(賃金)と障害基礎年金などの社会保障給付により、地域で経済的に自立した生活が可能となるよう福祉的就労における工賃等の向上を図るため、障害福祉サービス事業所に対する民間ノウハウを活用した総合的な支援が必要です。 【推進施策】 ① 障害福祉サービス事業所の収益力の向上 ・障害福祉サービス事業所に対し工賃向上計画の作成・推進に関する研修等を行うとともに、経営コンサルタント等による経営・事業改善、営業・製造技術等に関する助言や市場ニーズを踏まえた商品づくりをめざした商品改良や新商品開発に関する専門的な助言を行います。 ・障害福祉サービス事業所同士による原材料の共同購入や作業工程の分担、営業協力など連携体制づくりを推進します。 ・収益性の高い優良な障害福祉サービス事業所の生産技術・経営手法の紹介などにより、生産性の向上や新たな職域への事業展開などを推進します。 ・障害福祉サービス事業所が市場ニーズに対応した魅力ある製品や質の良い役務の提供を安定的に行うことができるよう、マーケティング手法等も取り入れて、市場ニーズ調査や製品等の評価を行い、障害福祉サービス事業所における商品づくり等の取組を促進します。 ② 製品等の販路拡大 ・企業が発注する業務を複数の障害福祉サービス事業所へスムーズにつなぐ「共同受注システム」の充実を図るとともに、専門コーディネーター及び道内拠点地域に配置する「地域スタッフ」により、製品・役務に関する情報提供や企業ニーズの収集など活発な営業活動を行うマッチング事業を推進します。 ・企業と障害福祉サービス事業所による商談会の開催や経済団体等が主催する商談会への参加などによりマッチング機会を拡大します。 ・行政機関の庁舎等のロビーや売店等のスペースを活用した障害福祉サービス事業所の販売コーナー設置など、行政における販売支援の取組を促進します。 ・大型商業施設等での販売機会の拡大や実証販売などを通じた製品改善、多店舗展開企業等での商品採用による市場での流通拡大を図ります。   図9 【共同受注システム】 Ⅱ.地域生活支援体制の充実 4 相談支援体制・地域移行支援の充実 【現状と課題】 高齢化の進展などにより、高齢の障がいのある人の数が年々増加するとともに、障がいの重度化・重複化が進んでいます。 また、自立意識や在宅志向が高まる中で、施設や病院で生活している重度・重複障がいのある人も含め、地域生活への移行を希望する人が増加し、障害福祉サービスだけではなく、医療的ケアや意思疎通支援など、障がいのある人及びその家族の求める支援は多様化しています。 地域での生活を希望する障がいのある人が、生涯を通じて自らの選択により、一人ひとりのニーズに沿った必要なサービスを利用しながら、地域での生活を継続できるよう、身近な相談支援体制や生活を支える福祉サービスの充実を図ることが必要です。 【考え方】 どこに住んでいても、自らの決定に基づき、身近な地域で日常生活及び社会生活を営むことのできる体制を整備します。 また、在宅サービスの量的・質的充実を図り、施設入所者等の地域生活への移行を推進します。 (1) 生活支援体制の充実 【推進の視点】 ・在宅で生活する障がいのある人の高齢化や重度化、さらには、介護者の急病等の緊急時において、障がいのある人の地域生活を支える機能の充実を図る必要があります。 ・障がいのある人の自立支援のため、施設や病院からの地域生活移行や地域生活の継続支援、就労支援に対応したサービス提供体制を整え、障がいのある人を地域全体で支えるシステムを実現するための地域生活の拠点づくりを進めることが必要です。 ・地域生活支援拠点等については、地域生活移行や親元からの自立等に関する相談、一人暮らしのための体験の機会や場の提供、ショートステイを活用した緊急時の受け入れ、支える人材の確保や専門性向上、コーディネーターの配置などにより、地域の実情に応じた創意工夫により整備し、障がいのある人の生活を地域全体で支えるサービス提供体制を構築することが必要です。 ・地域生活の拠点づくりを進めるには、市町村の協議会などにおいて、障がいのある人やその家族、支援者などが参画して、各地域の既存の資源を活用するなど、実情に応じた整備方法について検討することが必要です。 【推進施策】 ①地域生活支援拠点等の整備・充実 ・障がいのある人の障がいの重度化・高齢化などに備えるとともに、地域移行を進めるため、重度障がいにも対応できる専門性を有し、地域生活において障がいのある人やその家族の緊急事態に対応を図るため、「地域生活支援の拠点」を市町村において整備します。 ・地域生活支援拠点等の「相談」「緊急時の受け入れ・対応」「体験の機会・場」「専門的人材の確保・養成」「地域の体制づくり」などの5つの機能を備え、緊急時の迅速・確実な相談支援の実施・短期入所等を活用し、地域における生活の安心感を担保する機能を備えるとともに、体験の機会の提供を通じて、施設や親元からグループホームなどへの生活の場へ移行をしやすくする体制を整備します。 ・原則5つの機能すべてを備えることとしますが、必要な機能やその充足の程度については、地域の実情を踏まえて判断し整備を進めるよう、市町村に対し必要な支援を行います。 ・地域生活支援拠点等の運営や機能の充実にあたっては、市町村の協議会等において、十分に検討するものとします。 ・地域生活支援拠点等については、身近な地域での支援が可能となるよう、道内のすべての市町村に整備することとします。 ・地域生活支援拠点等を地域においてどのような体制を構築するかなどの、目指すべき整備方針や、体制や機能が地域の実情に適しているか、地域の課題に対応できているかなど、必要な見直しや効果的な運営の継続の検討にあたっては、市町村協議会等を十分に活用し、地域のニーズ、既存のサービスの整備状況など地域の個別の状況に応じ進めます。 ・広域、分散型の地域特性を踏まえ、障がいのある人等の生活をより身近な地域で支える核として機能が十分に図られるよう、地域生活支援拠点等に関わるすべての機関及び人材の有機的な結びつきを強化し、高齢者福祉施策などの他施策や他職種と連携した整備を促進します。 ・市町村によって利用者の状況やサービス事業者の整備状況が異なることなどから、複数市町村による共同整備も検討しながら整備を進めます。 なお、複数市町村による共同整備の検討に当たっては求めに応じて、各圏域に設置する、「障がい福祉計画等圏域連絡協議会」の場の活用や、地域づくりコーディネーターが支援します。 ・整備の促進や機能の充実に資するよう、市町村における好事例の紹介など必要な支援を行い、地域生活支援拠点等の整備に向けた取組が進んでいない市町村においては、既に整備が進んでいる地域の事例等も参考とし、地域におけるニーズの把握や課題の整理を行い、積極的な整備に努め、道においても、整備に向けて検討を促すとともに、地域の現状や課題等を把握し共有するなど、継続的な支援を図ります。 図10 【地域生活支援拠点等の整備イメージ】 ・「相談支援機能」「専門的人材の確保・養成」「地域の体制づくり」の機能については、「基幹相談支援センター」「委託相談事業」「特定相談支援事業」とともに、地域定着支援を活用してコーディネーターを配置し、緊急時支援に備え、事前に支援の必要な障がいのある人の把握・登録や連絡体制を確保し、必要な支援を行う体制の整備を進めます。 ・「体験の機会・場」の機能の確保については、本人の希望や障がいの特性に応じたグループホームやアパートなど、多様な住まいの確保について市町村に対し必要な支援を行うとともに、障がいのある人の自立に向けて、グループホーム等の活用による一人暮らしの体験ができる場の拡充を図ります。 ・「緊急時の受け入れ・対応」の機能については、家族の休息(レスパイト)や緊急時の一時保護対応のため、短期入所や地域生活支援事業の日中一時支援を活用するなどの、連携体制の整備を進めます。 ・協議会等を活用し、年1回以上、支援の実績等を踏まえ、運用状況の検証・検討を行います。 ② 生涯を通じた支援の確保 ・障がいのある人が必要なサービスを利用しながら安心して地域で暮らすためには、生涯を通じた支援が必要であることから、地域自立支援協議会などを中心に、市町村や教育委員会をはじめ、保健、医療、福祉、労働、経済その他地域の関係機関が連携して支援する体制づくりを促進します。 ・障がいのある人が生涯を通じて必要な医療を受けることができるよう、医療機関と相談支援事業所等との連携の強化に取り組むなど、障がい特性に応じた受診しやすい環境の整備に努めます。 (2) 相談支援体制・地域移行支援の充実・強化 【推進の視点】 ・「希望するすべての障がい者が安心して地域で暮らせる社会づくり」を進めるためには、相談支援を中心とする地域の実情に応じた地域生活支援体制の充実が必要です。 ・障がいのある人及びその家族が抱える複合的な課題を把握し、適切な保健、医療、福祉サービス等につなげるとともに、市町村、相談支援事業所、その他関係機関との連携に努める必要があります。 ・障がい児相談支援についても、身近な地域において、障がいの気づきの段階から、障がいのある人に対する相談支援と同様に、障がいのある子ども本人やその家族に対する継続的な相談支援を行うとともに、質の確保及びその向上を図りながら、障がいのある人に対する相談支援へ円滑に移行できるよう、関係機関の連携体制の構築が必要です。 ・全国と比較しても施設入所者が多い北海道において入所施設から地域生活への移行を促進するためには、施設入所者の意向把握、施設入所者に対する地域生活に関する説明、地域生活の体験、入所施設と受入地域との連携、地域生活移行後のフォローなど関係者が連携し、地域生活への移行促進を図ることが必要です。 ・相談支援の窓口が、障がいのある人にとって相談しやすいものとなるよう、当事者の気持ちに寄り添い、きめ細やかな対応ができるピアサポーターなどの活用を図り、その活動を推進します。 ・市町村が配置する障害者相談員、精神障がい者家族相談員、難病相談員、民生委員・児童委員や道が設置する地域相談員等への情報の提供や研修による資質の向上を図り、障がいのある人やその家族等が身近な地域で相談できる体制や機能の充実を図ります。 ・保健所に心の健康相談窓口を設置するとともに、精神保健福祉センターと連携して市町村や関係機関に対する支援を行うほか、訪問による生活指導を実施するなど、精神障がいのある人やその家族に対する相談支援体制の充実に努めます。 また、精神障がいのある人やその家族、地域住民等を対象とした講習会などを開催し、精神疾患や障がいに対する知識の普及に図ります。 ・障がいのある人及びその家族が抱える複合的な課題を把握し、適切な保健、医療、福祉サービス等につなげるとともに、市町村、相談支援事業所、その他関係機関との連携に努める必要があります。 【推進施策】 ①生活全般を支える相談支援体制の構築 ・障がいのある人やその家族への相談支援は、障害福祉サービスを利用する相談支援(基本相談支援、計画相談支援、地域相談支援等)、市町村が実施する相談支援(障害者相談支援事業、基幹相談支援センター、権利擁護センター、虐待防止センター)など、相談内容に応じ、専門的な窓口を設置し、対応する体制の充実を図ります。 ・相談支援機能については、その目指す姿として「北海道障がい者条例」に基づき策定した「地域づくりガイドライン」をもとに、それぞれの地域を支援します。その際、障がい者支援の観点から、地域の課題やニーズを把握し、検証・評価を行うとともに、その解決に向け、市町村や相談事業所等の関係者が一体となり、あらゆる地域資源を活用しながら、更なる強化・充実に向けて取り組みます。 ・地域において、障がいのある人の基本相談支援、計画相談支援等を担う相談支援専門員を養成し、相談支援専門員の支援スキルやサービス等利用計画等について適切に評価・助言等を行い相談支援の質の確保を図るために、事業所や地域において指導的役割を担い、相談支援の仕組みを支える中核的な人材として主任相談支援専門員を養成します。 ・障がいのある高齢者への迅速なサービス調整が行えるよう、介護支援専門員(ケアマネージャー)や地域包括支援センター等と連携を図ります。 ・地域の相談支援体制強化の取組や地域の相談事業者への専門的な助言(関係する相談機関との連携強化、事例の検証)、 地域移行・地域定着の促進の取組等を行う基幹相談支援センターや虐待防止センター、権利擁護センターなど市町村が設置する相談窓口の整備や充実を推進します。 ・市町村が設置する「基幹相談支援センター」の整備や機能の充実にあたっては、地域づくりコーディネーターが支援し、市町村の協議会で十分な議論を行い、地域の実情に合ったものを整備できるよう進めます。 また、地域の実情に応じ、複数市町村など広域での設置を促進します。 〈地域づくりガイドラインについて〉 地域づくりガイドラインとは、北海道障がい者条例第22条により、地域間の福祉サービス等の格差及び障がいの有無や程度による社会参加の機会の不均衡の是正を図りながら、障がい者が暮らしやすい地域づくりを推進するため、市町村が実施することが望ましい事項等の基本的な指針を定めたものであり、次の項目が盛り込まれています。 1 地域で暮らす障がい者に対する相談支援体制の確保 2 ネットワークの構築(市町村の協議会の設置・運営) 3 障がい者や障がい者の支援に関する社会資源の実態把握 4 地域住民と関係者との連携した障がい者の支援体制の確保(災害時の支援を含む) 5 障がい者の就労支援 6 その他(市町村の協議会の機能の確保) ・市町村における相談支援や権利擁護を充実するため、当事者の気持ちに寄り添い、きめ細やかな支援ができるピアサポーター・ピアスタッフの活動を推進します。 ・道の地域相談員及び市町村の障害者相談員等に対する相談技術向上のための研修を実施し、資質の向上を図り、障がいのある人やその家族等が身近な地域で相談できる体制や機能の充実を図ります。 ・市町村職員においては、適切な支援の提供が障がいのある人の自立及び社会参加に資することも踏まえ、地域生活支援事業における障害者相談支援事業及び介護給付費等の支給決定事務に係る業務を適切かつ主体的に実施するため、一定の専門的知見を身につけるとともに、制度に対する理解を深めることが必要であることから、その知識の習得に向けて支援します。 ②専門的支援 ・発達障がいのある人やその家族に対する専門的な支援体制を強化するため、市町村や地域の相談支援事業所等で対応が困難なケースについては、発達障害者支援(地域)センターが、市町村等への後方支援を行うことで、発達障がいに関する地域の相談支援体制の整備を推進します。 ・市町村が進める発達の遅れや障がいのある子どもの相談支援体制づくりを支援し、市町村が指定する指定障害児相談支援事業所を中心とした支援体制の充実に取り組みます。 ・一般就労を希望する障がいのある人に対し、就労を促進及び安定を図るため、就労面と生活面を一体的に支援する「障害者就業・生活支援センター」を中心とした相談支援体制の充実を図ります。 図11 【相談支援の体系】 図12 【基幹相談支援センター】 ③ 地域移行・地域定着の促進 ・市町村、一般相談支援事業者、施設などが連携する地域移行、地域定着の取組が円滑に進むよう、相談支援従事者の養成や必要な相談支援事業所の指定などに取り組みます。 ・地域づくりコーディネーターの支援により、各地域の基幹相談支援センター、相談支援事業所、ピアサポーター等の関係者と連携を図りながら、総合的な支援を進めます。 ・関係団体等からの協力を得ながら定期的に施設入所者の意向把握が行われるような取組を進めます。 ・入所施設と相談支援事業所が連携し、サービス等利用計画と個別支援計画により的確に入所者の意向を把握するとともに、市町村のサービスの支給事務を進める上においても実施状況の把握を行うことを通じて、地域生活移行のための支援を進めます。 ・障害児入所支援から障害福祉サービスへの円滑な支援の移行については、市町村、施設、学校及び障害者相談支援事業所等が連携、協議する体制を整備し、本人の意思を尊重し、適した進路支援に取り組んでいきます。 ・救護施設に入所している障がいのある人の地域生活移行については、関係機関と協議、連携しながら取り組んでいきます。 ・矯正施設に入所している障がいがあって自立した生活を送ることが困難な人に対しては、退所後、障害福祉サービス等の支援に繫がるよう、地域生活定着支援センターが、矯正施設、保護観察所、障害福祉サービス事業所等の関係機関と連携・協働することにより、社会復帰や地域生活への定着を支援します。 ・矯正施設を退所した障がいのある人を受け入れる障害福祉サービス事業所等に対し、地域生活定着支援センターによる体制整備の助言や研修などを行い、地域の支援技術の向上を推進します。   (3) 障害福祉サービス・地域生活支援事業の充実 【推進の視点】 ・障がいのある人が地域で安心して暮らせるように、障害福祉サービス・地域生活支援事業の充実が必要です。 【推進施策】 ① 住まいの場の確保等 ・地域間の均衡に配慮し、重度障がいのある人も利用できるグループホームなどの計画的な整備を促進します。 ・障がいのある人が賃貸住宅などの生活の場を確保できるよう、入居受入れについて、住宅所有者や不動産業関係団体などの理解が促進されるよう努めます。 ② 日中活動サービスの充実 ・障がい特性に応じた日中活動の場などを確保するため、自立訓練や就労移行支援、就労継続支援等の整備を促進します。 ・地域の医療機関との連携により、医療的ケアなどを必要とする障がいのある子どもや障がいのある人が日中活動に参加したり、家族が一時的な休憩(レスパイト)ができるよう、地域の支援体制の充実に向けた取組を促進します。 ・市町村が地域の実情に応じ実施する地域活動支援センターや日中一時支援などの地域生活支援事業の取組を支援します。 ③ 地域生活を支えるサービス基盤の充実 ・障がいのある人が必要なサービスを利用しながら、地域での生活を継続させるため、入所施設の有する人材、ノウハウなどを活用する取組を促進します。 ・障がいのある人がどこに暮らしていてもニーズや障がい特性に応じた必要なサービスが受けられるよう、居宅介護、重度訪問介護などの訪問系サービスや短期入所の計画的な基盤整備を促進します。 ・障がいのある人の移動に関する支援(居宅介護・重度訪問介護・行動援護・同行援護・移動支援)の充実を図るとともに、身体障がい者用自動車の改造など市町村が行う地域生活支援事業を支援します。 ・ホームヘルプサービス、ショートステイ、日常生活用具の給付など、難病患者を対象とした在宅福祉サービスの充実に努めるほか、難病の特性に応じた適切な福祉サービスの利用を促進します。 ・高齢化の進展などにより、介護や医療的ケアを必要とする障がいのある人が増加しており、国の制度見直しに合わせ、障がいのある人の高齢化、重度化に対応した取組を進めます。 ・身体障がいのある人の移動や日常生活をサポートする身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)の普及啓発に努め、道民の理解や身体に障がいのある人などの利用の促進を図るとともに、その育成等を促進します。 ・精神障がいのある人の公共交通機関等の割引制度などの充実について、国など関係機関等への要請に努めます。 ④ 障害者支援施設機能の充実 ・障害者支援施設において、自立訓練、就労継続支援、短期入所などを実施し、地域で生活する障がいのある人を支援する取組を促進します。 ・障がいのある人の高齢化や重度化などに対応した介護や医療的ケアなどのサービスが確保できるよう、施設設備の充実などについて国への要請に努めます。 ⑤ 道立施設の機能強化 ・子ども総合医療・療育センターにおいて、ハイリスクの胎児や新生児に対する特殊な周産期医療を提供する特定機能周産期母子医療センター、先天性心疾患等への高度医療を提供する循環器病センター、医学的リハビリテーション等を提供する総合発達支援センターとして、医療部門と療育部門が連携し複合的なサービスの提供に努めます。 ・心身障害者総合相談所、児童相談所、精神保健福祉センター等における専門的な相談に対応する機能の充実や関係相互の連携強化を図り、きめ細かな情報提供や支援が行えるよう努めます。 ⑥ 福祉用具の普及促進、利用支援 ・障がいのある人や介護者の負担を軽減する上で、重要な役割を果たす補装具の効果的な利用を促進するため、心身障害者総合相談所及び支所において、多種多様な品目や給付制度の活用に関する情報提供や相談対応に努めます。 ・心身障害者総合相談所において、補装具の研究開発情報などの収集を行い、市町村や民間事業者への情報の提供に努めます。 ・技術開発の進歩が著しいICT(情報通信技術)を活用し、重度の障がいのある人の生活の利便性の向上や社会参加が図られるよう、市町村における障がい特性に応じたパソコン周辺機器やアプリケーションの普及促進に努めます。 (4) 生活安定施策の推進 【推進の視点】 ・障がいのある人が地域で安心して暮らせるように生活安定のための支援が必要です。 【推進施策】 ・各種年金等の充実を国に働きかけるとともに、制度の周知に努めます。 ・障がいのある人の経済的自立と社会参加を支援するため、生活資金、事業を営むために必要な資金の貸付けを行います。 ・障がいのある人が地域で安心して暮らせるよう、燃料費など冬期間の増嵩経費について、市町村が行う経済的支援の取組に対する支援に努めます。 (5) 障害福祉サービス事業者の指定、指導監査の実施 【推進の視点】 ・障がいのある人の地域生活を支える障害福祉サービス等が、適切に提供される体制を確保することが必要です。 【推進施策】 ・障害福祉サービス事業者等において適切で良質なサービスが提供されるよう、指定の際に厳正な審査を実施し、指定後も利用者の人権擁護や虐待防止、意思決定支援のための体制整備等、適正な事業運営の指導に努めます。 5 サービス提供基盤の整備 (1) 住まいの基盤整備の充実 【推進の視点】 ・地域生活において欠かせない住まいを基本としたサービス基盤の整備が必要です。 【推進施策】 ① 住まいの確保 ・障がいのある人が円滑に地域生活移行できるよう、社会福祉施設等施設整備事業などを活用し、グループホームの計画的な整備を促進するほか、障がいのある人の安全を図るため、災害発生時における老朽化施設に対する耐震化整備などの防災対策や、ウイルス性感染症の感染拡大防止を図る整備を促進します。 ・相談支援事業所や市町村等と連携し、施設や病院から地域生活移行を希望する障がいのある人の居住の確保に向けた支援を行います。 ・障がいのある人の見守り等を行う相談支援事業所の地域定着支援を活用することにより、公営住宅や民間住宅における一人暮らしが可能となる支援をします。 ・障がいのある人が住まいを確保できるよう、障がいのある人などの入居を拒まない民間賃貸住宅である「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅(セーフティネット住宅)」や入居相談、入居後の見守りなどを行う「住宅確保要配慮者居住支援法人」について、相談支援事業所に情報提供するなどして、障がいのある人への利用を促進します。 ・地域生活移行を推進するためにも、グループホームをはじめとする多様な住居の確保について市町村等に対して必要な助言を行います。 ③ 環境の整備 ・「北海道福祉のまちづくり条例」などに基づき、誰もが安心で快適に生活できる福祉のまちづくりを総合的に推進するとともに、障がいのある人等の利用に配慮した建物づくりや、積雪寒冷な地域における必要な配慮のほか、障がいのある人を含むすべての人々が、お互いに理解を深め、支え合う「心のバリアフリー」を推進し、福祉環境の整備を促進します。 ・障がいのある人も安心して暮らせるよう、公営住宅等におけるユニバーサルデザインの普及促進を進めます。 (2) 日中活動サービスの充実 【推進の視点】 ・地域で生き生きと生活できるよう、障がいのある人が希望する日中活動サービスを保障することが必要です。 【推進施策】 ① 多機能型サービスの基盤整備 ・身近な地域に必要な日中活動の場を確保するため、多機能型サービスの基盤整備を促進します。 ② 日中活動の場の整備 ・地域生活への移行を進め、能力や適性に応じた就労ができるよう、就労移行支援事業や、就労継続支援事業、自立訓練等の日中活動の場を確保するため、社会福祉施設等施設整備事業などを活用し、整備を促進します。 ・地域での自立した生活には、日中活動及び地域交流の場の充実も必要であることから、市町村における地域活動支援センターや日中一時支援事業などの実施を推進します。 ・地域の医療機関や障害福祉サービス事業所等と連携し、重症心身障がいや在宅の障がいのある人の日中活動への参加や家族の休息(レスパイト)の確保など地域生活を支援する体制の充実に努めます。 (3) 地域生活を支えるサービス基盤の充実 【推進の視点】  ・障がいのある人が必要なサービスを利用しながら、地域で生活することができるようサービス基盤の充実が必要です。 【推進施策】 ① サービス基盤の整備 ・障がいのある人が必要なサービスを利用しながら、地域で生活することができるよう、施設機能の転換や介護保険法に基づく通所介護事業所、地域包括支援センターなどの既存社会資源のほか、地域づくり総合交付金等を活用した施設整備や人材育成などにより、地域特性を踏まえた、取組を推進します。 ・地域での生活や余暇活動に欠かせない移動に関する支援(居宅介護・重度訪問介護・行動援護・同行援護・移動支援事業)、意思疎通支援等の充実を図ります。 ・身体障がいのある人の移動や日常生活をサポートする補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)について、道民の理解や利用の促進を図るため普及啓発に努めるとともに、その育成等を推進します。 ・ノンステップバスの導入促進など、障がいのある人等が公共交通機関を円滑に利用できるよう、移動・交通のバリアフリーを促進します。 ・道路沿いや観光地などでの車いす使用者等が利用しやすい多機能トイレなどの整備を促進します。 ・障がいのある人に対する公共交通機関の運賃割引制度などについて、精神障がいのある人等も対象に加えるよう、引き続き国や関係機関に要請します。 ② 地域の人材育成等 ・共生の社会づくりを進め、地域の実情に応じた支援者の育成や市町村における地域での見守り活動等を推進します。 ・ボランティアの育成等の充実に努め、道民や団体によるボランティア活動を促進します。 ・子ども、高齢者、障がいのある人を問わずだれもが暮らしやすい地域づくりのため、多様な事業を展開する地域生活支援事業を推進します。 (4) 共生型地域福祉拠点の取組推進 【推進の視点】 ・道内各地域において、障がいのある人もない人も共に支え合いながら暮らすことのできる地域づくりを広げるためには、高齢者やボランティアなど様々な地域住民が参画しながら制度・分野を超えて、住民の生きがいづくりや地域づくりに取り組む共生型地域福祉拠点の取組を推進することが必要です。 【推進施策】 ・全国に比べ人口減少や少子高齢化が急速に進む本道の特性を踏まえ、複雑多様化するニーズに身近な地域で対応していくため、住民同士の支え合いなどにより地域課題の解決などに取り組む共生型地域福祉拠点の取組を推進します。 ・基盤整備、相談支援、日中活動の場、住まいの場、就労などあらゆる場面において、住民の主体的な支え合いを育み、暮らしに安心感と生きがいを生み出していくため、介護保険法に基づく通所介護事業所、地域包括支援センターなどの既存の社会資源のほか、地域づくり総合交付金等を活用した施設整備や人材育成などにより、地域特性を踏まえた取組を推進します。 ・既存の共生型地域福祉拠点における取組事例等をホームページで紹介するなどして、市町村や関係団体の取組を推進します。 (5) 地域間格差の縮小 【推進の視点】 ・障がいのある人がどこに暮らしていても必要なサービスが受けられるよう、地域間の均衡に配慮した基盤整備を進めることが必要です。 【推進施策】 ① 居住系サービス(施設入所支援) ・地域生活への移行支援を推進する観点から、現在入所している方について、円滑に地域生活への移行が図られるような体制の整備を進めるとともに、施設入所支援を必要とする障がいのある人の状況を考慮し、全道一圏域で広域的に入所定員の調整を行います。 ② 居住系サービス(共同生活援助)及び日中活動サービス ・グループホームなどの住まいの場や、生活介護及び就労継続支援などの日中活動の場については、利用者の生活圏域(通所等によりサービスの相互利用が可能な単位)に着目してサービスの基盤整備を進める必要があることから、障がい保健福祉圏域単位で必要なサービス基盤の整備について調整を行います。 ③ 訪問系サービス及び相談支援 ・居宅介護などの訪問系サービスについては、在宅において提供することを基本とすることから、市町村単位で地域生活への移行の進捗状況に合わせて、必要なサービス基盤の整備について調整を行います。 ・相談支援については、地域生活への移行や地域定着支援の観点から、市町村単位で必要な体制整備について調整を行います。 ④ 調整の方法 ・圏域ごとに設置している障がい福祉計画等圏域連絡協議会において、入所(入院)・通所・居宅などのサービス基盤全体の整備量を整理し、計画的な基盤整備が行えるよう市町村との連携を図ります。 ・市町村に対して、新規参入事業者など指定事業者の情報を提供するほか、不足しているサービス事業者の参入について、市町村による法人等への働きかけなどを助言します。 ⑤ 北海道障がい者条例に基づく地域づくり委員会の活用 ・地域づくり委員会を活用し、市町村や市町村の協議会と連携の上、地域で必要とするサービスの提供体制の整備に向けた支援を行うことにより、障がいのある人の暮らしづらさを解消します。 ⑥ サービスを担う人材の確保 ・サービス事業者の参入を進めるためには、その地域において働く人材が供給されることも重要であることから、市町村に対し、人材に関する情報の提供に努めます。 図13 【サービス基盤の地域間格差縮小のための取組】 (6) 施設による支援 【推進の視点】 ・障害者支援施設を利用している人の暮らしの充実や、地域で暮らす障がいのある人を支援する取組が必要です。 【推進施策】 ・障害者支援施設を利用している人の意向に沿ったサービス等利用計画の作成と、それを踏まえた個別支援計画に基づき、利用している人の施設での暮らしを充実させます。 ・障害者支援施設において、生活介護、就労継続支援、短期入所などを実施し、地域で生活する障がいのある人を支援する取組を促進します。 ・障害児入所施設等から移行して障害者支援施設を利用する人に対しても、必要な支援が継続されるよう支援します。 6 保健福祉・医療施策の充実 【現状と課題】 ・生涯を通じ、障がいの要因となる疾病等の予防、早期発見や治療の充実に加え、障がいを軽減するリハビリテーションの充実が求められています。 また、精神障がいのある人の社会的入院の解消を図るため地域移行の取組を進めるとともに退院後の地域生活に支援が必要です。 さらに、児童思春期の心の問題、うつ病をはじめとする精神疾患が関係した自殺予防、高次脳機能障がいのある人に対する支援が必要です。 【考え方】 ・障がいのある人が身近な地域において、保健サービス、医療、リハビリテーション等を受けることが出来るよう提供体制の充実を図るとともに、障がいの原因となる疾病等の予防、早期発見、治療の推進を図ります。 また、精神障がいのある人に対し必要な支援を行うことにより、地域生活への移行と定着を促進するとともに、難病に関する施策を推進します。 (1) 適切な保健・医療施策の充実 【推進の視点】 ・公費負担医療制度の適正な運営を図るなど、医療が必要な障がいのある人などが安心して適切な医療を受けられるよう努めます。 ・うつ病をはじめとする精神疾患に関する相談支援体制や自殺対策の充実に努めます。 ・救急医療施設の整備のほか、合併症の方や遠隔地の方へ対応するため、地域における医療機関の連携強化を推進します。 【推進施策】 ①障がい者への保健・医療の提供体制 ・障がいのある人の人権に配慮した適切な医療の提供が図られるよう努めます。 ・病状に応じた適切な精神医療が受けられるよう自立支援医療等の利用支援・周知に努めます。 ・うつ病等に対する保健医療福祉サービスを強化するため、内科等かかりつけ医に対する資質の向上を図るとともに、医療・保健・福祉等の各分野との連携体制の整備を進めます。 ・対面や電話による心の健康相談を実施するとともに、自殺対策や依存症等に関する研修や技術支援により市町村等身近な地域における相談体制の整備を図ります。 ・「北海道自殺対策連絡会議」や、道立保健所に設置している「自殺対策地域連絡会議」を通じ、保健、医療、福祉をはじめ、教育、司法、商工・労働等の関係機関及び団体と連携し、「北海道自殺対策行動計画」に基づく施策を総合的に推進します。 ・休日、夜間等における緊急な精神科医療へ対応するため、精神科救急医療体制を整備し、適切な医療及び保護の機会の確保を図ります。 ②保健活動の基盤整備 ・市町村保健センター(類似施設を含む。)を拠点として、市町村における一貫した保健サービスが円滑に提供されるよう、保健所による専門的・技術的支援に努めます。 ③小児に対する高度・専門的な医療の提供 子ども総合医療・療育センターは、ハイリスクの胎児や新生児に対する特殊な周産期医療を提供する特定機能周産期母子医療センター、先天性心疾患等への高度医療を提供する循環器病センター、医学的リハビリテーション等を提供する総合発達支援センターとして、医療部門と療育部門が連携し複合的なサービスの提供に努めます。 ④歯科保健医療体制の充実 北海道障がい者歯科医療協力医制度や歯科保健センターにより、障がいのある人が身近なところで歯科保健医療サービスが受けられるよう歯科医師会等と連携し、体制の整備に努めます。 ⑤医療給付等の充実 関係機関・団体と連携し、臓器移植に関する正しい知識の普及・啓発を一層推進するとともに、骨髄バンクへのドナー登録を促進することなどにより、臓器及び骨髄提供体制の整備を進めます。 身体の障がいを除去、軽減するために必要な更生医療や育成医療の給付を行います。 図14 【保健・医療提供の取組】 (2) 障がいの原因となる疾病等の予防・治療 【推進の視点】 障がいの原因となる疾病等の予防・治療の推進や適切な保健・医療の提供が必要です。 【推進施策】 ① 周産期医療の充実 地域において、妊娠、出産から新生児期に至る周産期医療体制を確保するため、周産期母子医療センターの整備や周産期救急情報システムによる情報提供を行うなど、周産期医療体制の整備を進めることにより、子どもを安心して産み育てられる環境づくりの推進に努めます。 ② 母子保健活動の推進等 障がいの原因となる疾病等を予防するための妊産婦や新生児・未熟児に対する相談指導や、発育・発達の遅れを可能な限り早期に発見するための乳幼児健康診査など子どもと親に寄り添った支援の手がかりを見いだして早期の支援につなげるよう、乳幼児健康診査や子育て支援などの市町村における母子保健活動の充実を支援します。 ③ 中高年期の予防対策の充実 ・がん、循環器疾患、糖尿病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の生活習慣病の発症予防や重症化予防として、適切な食事・運動、禁煙など健康に有益な生活習慣や社会環境の整備のほか、がん検診や特定健康診査・特定保健指導の実施を促進します。 ・生活習慣病の発症を予防し、健康寿命を延伸するためには、健康づくりの基本要素となる栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙、歯・口腔などの健康に関し、生活習慣の改善を促進します。 (3) 精神障がいのある人や難病患者の方など障がいの特性に応じた支援の充実 【推進の視点】 ・保健・医療・福祉の関係機関が連携し、急性期治療後のリハビリテーションから地域リハビリテーションまで切れ目のない一貫した体制の確保を図り、障がいのある人や難病のある人などに対し適切なリハビリテーションが提供されるよう努めます。 ・交通事故等による頭部外傷や脳血管障がい等によって記憶、認知、言語、判断といった脳の領域にダメージを受けた、高次脳機能障がいのある人やその家族等に対する相談支援体制の整備やリハビリテーションの提供に努めます。 ・児童の精神的健康を保持し、自閉症等の発達障がい、ひきこもり、家庭内暴力、薬物乱用といった児童思春期の心の問題への対応に努めます。 ・障害者総合支援法の対象とされた、難病等である人に対する地域の支援体制づくりが必要です。 ・令和元年(2019年)7月から、対象となる疾病が361疾病に拡大されたため、これらの疾病をもった方々が円滑に制度を利用できるよう周知に努める必要があります。 【推進施策】 ① 精神障がいのある人等への支援 ・日常生活における障がいを軽減し、自立を促進するため、市町村等が行う機能訓練への支援を進めるなど、地域におけるリハビリテーション支援体制の整備を推進します。 ・精神障がいのある人やその家族等に対する相談支援体制、地域における精神医療対策や精神科リハビリテーションの充実に努めます。 ・高次脳機能障がいへの理解を深めるため、各障がい保健福祉圏域において、講演会、研修会の開催などによる普及啓発を行うとともに、保健所における相談支援等を進めます。 ・支援拠点医療機関において、高次脳機能障がいの診断基準、リハビリプログラムの普及を図るとともに、地域の医療機関や相談支援機関等との連携や専門的な指導等を進めます。 ・高次脳機能障がいのある人に対するリハビリテーションの提供や地域生活を支援するため、就労、就学、在宅生活、障害福祉サービス事業所等の利用支援などの支援体制の充実を図ります。 ・「高次脳機能障がい者支援連絡会議」を通じ、専門性の高い医療機関などの委託事業者と、保健所等の相談対応者が連携し、高次脳機能障がい者やその家族に対する就学・就労、障害者就労施設等の利用、在宅生活に係る相談支援等を行う関係機関とのネットワーク構築を推進します。 ・クリニック等を含む一次診療施設(一般てんかん診療施設)と三次診療施設(専門的なてんかん診療施設)をつなぐ二次診療施設を認定し、てんかん診療の連携を図り、てんかん支援拠点病院が設置する「てんかん治療医療連携協議会」にて、道、保健所、医師、当事者及び家族等と事業の検証等を行い、関係機関との連携強化を推進します。 ・てんかん医療は、専門的な診療を行っている機関について、患者だけでなく医療機関においても十分把握されておらず、また、一般の医師への情報提供等についても充実を図る必要があることから、てんかん拠点病院を中心に、専門的な相談支援者、他の医療機関、自治体や患者家族等との連携・整備を図るほか、てんかんについての助言・指導、地域におけるてんかんに関する普及啓発等を実施し、てんかん診療における地域連携体制の整備を進めます。 ・「北海道ひきこもり成年相談センター」において、ひきこもり当事者や家族等からの相談などに対応するとともに関係機関とのネットワークの構築を進めます。また、ひきこもりサポーターを養成し、養成されたサポーターの活動を支援します。 ・ひきこもりの方に対して、早期に対応するため、市町村や各種相談支援機関、教育機関等、横断的な連携強化を推進します。 ・依存症に関する知識を普及し、当事者・家族を地域で支援することができるよう、地域住民に対する啓発や依存症の自助グループや支援者が実施しているミーティングの手法を学ぶ機会の確保など、依存症支援体制の構築を促進します。 ・「北海道アルコール健康障害対策推進計画」及び「北海道ギャンブル等依存症対策推進計画」に基づき、予防及び相談から治療回復支援に至る切れ目のない支援体制を整備します。 ・地域精神保健福祉活動を推進するため、保健所及び関係機関への技術的支援及び広報、研修、相談など、精神保健福祉の総合的な拠点としての精神保健福祉センターの機能の充実に努めます。 図15  【高次脳機能障がいに対する取組】 図16 ひきこもり支援施策の全体像 ② 難病等である人への支援 ・身体状況等に応じた適切な福祉サービスが提供できるよう、相談体制や地域生活支援事業の充実を図ります。 ・障害者就業・生活支援センターを中心とした関係機関等との連携による就業及び生活支援を推進します。 ・北海道難病センター、市町村及び関係団体と連携して、新たに障害者総合的支援法の対象とされた疾病をもった方を含め、難病等である人への制度の普及や必要な情報の提供を図るとともに、ニーズに応じた障害福祉サービス等の活用を促します。 また、医療機関に対し、制度対象となることなどについて周知するとともに、障害福祉サービス事業所に対しては、疾病の特徴などの周知を図り、難病等である人を受入の対象とするよう求めるなど、難病等である人が円滑にサービス利用できるように努めます。 ・難病診療連携拠点病院である北海道医療センターを中心に地域の難病医療協力病院と連携の上、難病の医療提供体制の整備を推進するほか、通院が困難な神経難病患者に対して医師や保健師等による訪問検診や相談事業を行うなど、在宅難病患者対策の充実に努めます。さらに、難病の特性に応じた適切な福祉サービスや福祉サービスを利用する上で必要な情報の提供に努めるとともに、難病に対する理解を促進します。 ・指定難病や特定疾患及び小児慢性特定疾病の治療研究の推進により、医療の確立や普及を図るとともに、患者の医療費負担を軽減します。 ・難病のある人やその家族等を対象とした医療や日常生活に係る相談、研修を実施し、難病に対する不安解消など精神的負担の軽減を図ります。 ・難病のある人や障がいのある在宅療養者を対象に、口腔衛生管理や口腔機能管理を促進し、療養生活の質的充実を図ります。 (4) 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 【推進の視点】 ・精神障がいのある人を含め、「希望するすべての障がい者が安心して地域で暮らせる社会づくり」を進めるためには、相談支援を中心とする地域の実情に応じた地域生活支援体制の充実に加え自治体を中心とした地域の精神保健、医療、福祉の一体的な取組の推進が必要です。 ・入院中の精神障がいのある人の地域生活への移行を進めるためには、地域の理解と医療機関を含めた関係機関の連携による継続的な支援が必要です。 【推進施策】 ①精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築 ・精神障がいのある人が、地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、既に圏域ごとに設置している保健、医療、福祉関係者による協議の場を市町村ごとにも設置できるよう、広域での調整に努め、重層的な連携による支援体制を構築します。 ・精神障がいのある人に対する地域住民の理解促進及び適切な初期支援の実施に向けて、研修会を行うなど、地域における受入れのための普及啓発に努めます。 ・精神科病院において、退院後生活環境相談員を中心に地域の相談支援事業所やピアサポーター等との連携を図りながら、本人への退院に向けた意欲の喚起や本人の意向に沿った地域移行支援が促進されるよう支援に努めます。 ・ 入院中から住居の確保や新生活の準備等の支援を行う「地域移行支援」や、退院し地域生活を始めた人への相談支援を行う「地域定着支援」を推進します。 ・ピアサポーター等を配置した精神障がい者地域生活支援センターにおいて、精神科病院や相談支援事業所等との包括的な連携などにより、精神障がいのある人の地域移行を促進します。 ・退院後に安定した地域生活を送れるよう、精神科病院や相談支援事業所等の専門職スタッフによる訪問等支援を推進します。 ・精神障がいのある人の地域生活を支援するため、市町村の地域生活支援体制づくりを広域的に支援するとともに、グループホームなどの住まいの場や就労継続支援などの日中活動の場の確保、自助グループの活動支援など、総合的な取組を促進します。   図17 【地域移行・地域定着のイメージ】 7 多様な人材の確保・定着・養成及びサービスの質の向上 【現状と課題】 少子高齢化・人口減少の下で、労働力の確保は重要な課題であり、こうした中、障がいのある人ひとり一人が、地域で本人が希望する暮らしを実現していくためには、サービス提供基盤の整備はもとより、それを支える多様な人材の確保・定着・養成を図ることが必要です。 さらには、障がいのある人の意向や障がい特性などに応じた良質なサービスが提供されるよう、サービスの質を確保していくことが必要です。 【考え方】 身近な地域で必要なサービスが受けられるよう、障がい福祉・医療を支える人材の確保・定着・養成に努めるとともに、安心してサービスが受けられるよう質の向上に取り組みます。 (1) 人材の確保・定着・養成 【推進の視点】 ・障害福祉サービス等の提供にあたり基本となるのは人材であり、サービス利用の際の相談や計画策定を担う相談支援専門員やサービス提供に係る責任者等の養成のみならず、サービス提供に直接必要な担い手の確保を含め、求められる多様な人材を質・量ともに確保することが必要です。 ・利用者に適切で良質なサービスが提供されるよう、障害福祉サービスの質の向上を図ることが必要です。 ・当事者の気持ちに寄り添い、きめ細やかな支援ができるピアサポーターの養成を推進します。 ・強度行動障がいがある人には、適切で専門的な支援を行う必要があるため、障がい者福祉施設等の従事者が、専門的な知識や技術を身に付ける必要があります。 <強度行動障がいとは> 自分の体や他人を叩いたり、食べられないものものを口に入れたり、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、物を壊す、大泣きが何時間も続くなどの行動が著しく高い頻度で起こります。 【推進施策】 ① 福祉・保健・医療関係職種の養成・確保等 ・障害福祉サービスの利用に関する相談に応じ、サービス等利用計画策定の中心的な役割を担う相談支援従事者や、サービス提供プロセスを管理するサービス管理責任者等の養成に努めます。さらに、相談支援従事者とサービス管理責任者等が連携し、チームで支援する本人中心のケアマネジメントの確立と定着を促進します。 ・社会福祉士や介護福祉士などの福祉関係専門職員の養成・確保を図るため、修学資金の貸付けや福祉人材センター及び福祉人材バンクを通じた人材の確保に努めます。 ・障がいのある人の健康な生活を支援するためには、医師や保健師、看護師などの保健医療関係専門職員が必要となることから、修学資金の貸付けや、潜在している人材の有効活用などに努めます。 ② サービス提供の担い手の確保 ・サービス提供の担い手となる訪問系サービス従事者(居宅介護、重度訪問介護、行動援護、同行援護)、たん吸引従事者等の地域での養成を促進します。 ・強度行動障がいや高次脳機能障がいを有する障がいのある人に対して、障害福祉サービス等において適切な支援ができるよう、人材育成等を通じて支援体制の整備を図ります。 ③ 各種研修の充実 ・福祉関係職員の知識・技術の向上を図るため、職種や業務経験に応じた計画的、体系的な研修を行い、障がいのある人を中心としたケアマネジメントや相談支援など、地域で新たに求められている機能の確保に努めます。 ・福祉と連携した質の高い保健・医療を担う人材を養成するため、保健・医療関係職種に対する研修機会の拡大等による専門技術の向上や福祉知識の習得などの支援に努めます。 ・市町村における保健活動の充実のため、保健師、栄養士などの研修を行うなど資質の向上に努めます。 ・児童相談所や心身障害者総合相談所、精神保健福祉センター等、道立施設職員の知識・技術の向上を図るため、研修などの実施に努めます。 ・サービス等利用計画を作成する相談支援専門員、サービス提供の中核を担うサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者、相談支援従事者の養成研修について、北海道自立支援協議会を活用し、研修内容の充実を図ります。 ・サービス管理責任者や相談支援従事者等の資質の向上を図るため、地域づくりコーディネーターを活用し、身近な地域でのフォローアップ研修を実施します。 ・市町村における相談支援や地域移行を促進するため、障害福祉サービス事業所において、障がい当事者としての経験を活かし、相談支援を行うピアサポーター養成します。 ・強度行動障がいある人へ適切な支援を行う必要があるため、障害福祉サービス事業者の従事者の研修を実施します。 ・障害福祉サービス、障害児入所支援及び障害児通所支援等を提供する事業所の職員に対して、人権の擁護や虐待防止のため、研修の機会を通じて指導助言を行っていきます。 ・利用者に適切なサービスが提供されるよう、障害支援区分認定調査員研修を実施します。 ・福祉・介護職員の知識・技術の向上を図るため、職種や業務経験に応じた研修を行うとともに、職員のキャリア形成を支援する研修などを推進し、職場への定着支援に努めます。 ・障がい福祉の職場に対する理解の促進に努め、多様な人材の参入促進を図ります。 ④ 就業環境の整備 ・就業環境を改善し、誇りと生きがいをもって業務に従事することができるよう、福利厚生の改善や育児休業、介護休業などの普及に努めます。 (2) サービスの質の向上 【推進の視点】 ・利用者に適切で良質なサービスが提供されるよう、障害福祉サービスの質の向上を図ることが必要です。 【推進施策】 ・利用者が適切にサービスを選択できるよう、障害福祉サービス事業者等の指定情報の公表を行います。 ・サービス利用に関する苦情解決の仕組みや福祉サービスの第三者評価制度の積極的な活用を推進し、利用者に対するサービスの質の向上に努めます。 ・障がいのある人の活動を推進し、利用者の立場に立ったサービスが提供されるよう、利用者によるサービス評価の仕組みなどについて検討します。 Ⅲ.自立と社会参加の促進 8 障がい児支援の充実  【現状と課題】 子ども・子育て支援法の「全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならない」との基本理念に基づき、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が各々の役割を果たすとともに、相互に協力を図り、障がいのある子とその家族に対し、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した効果的な支援を身近な場所で提供する体制を整備し、障がいのある子ども本人の最善の利益を保障する必要があります。 関係機関との連携により、乳幼児期から学齢期への円滑な移行をより一層促進し、障がいの重度・重複化、多様化や障がい特性に配慮した支援・教育の充実を図るなど、障がいのある子どもの発達の支援に努める必要があります。    【考え方】 発達の遅れや障がいのある子どもに対する相談支援、通所支援、入所支援等のサービス提供体制の整備や重層的な地域支援体制の構築、地域社会への参加・包容を推進し、子どもと家族へより一層の支援体制の充実を図るとともに、障がいのある子どもの発達を支援するため、早期発見から早期療育、さらには学齢期への円滑な移行や学校教育におけるインクルーシブ教育システムの推進などに加え、児童が18歳以降、環境を円滑に移行できるための体制の整備を図ります。 また、医療的ケアを必要とする子どもや難聴児への支援の充実など、心身の発達の段階や年齢に応じた支援を地域で一貫して取り組むことができるよう、体制の充実を図るとともに、できるだけ身近な地域において、専門的な療育や教育を受けられる体制の整備を促進します。 (1) 障がいのある子どもに対する支援の充実 ① 子どもの発達支援の充実 【推進の視点】 ・障がいのある子どもは、他の子どもと異なる特別な存在ではなく、同じ子どもであるという視点に立って、子ども・子育て支援法に基づく子育て一般施策の育ちの支援とともに、発達の段階や個々の障がい特性に応じて障がい児支援が連携し、障がいのあることが大きな不安や負担とならないよう、子どもとして健全に育つ権利を保障することが必要です。 ・障がいのある子どもの支援を行うにあたっては、その気づきの段階から、身近な地域で子ども本人の最善の利益を考慮することが重要です。 ・障がいのある子どものライフステージに沿って、地域の保健、医療、障害福祉、保育、教育、就労支援等の関係機関が連携を図り、切れ目の無い一貫した支援を提供する体制の構築を図る必要があります。 ・障がいのある子どもが、地域の保育、教育等の支援を受けられるようにすることで、障がいの有無にかかわらず、すべての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加やインクルージョン(包容)を推進する必要があります。 ・ 障がいのある子どもへの対応については、可能な限り早期に療育を開始し、基本的な生活習慣の習得や運動機能の発達を支えるとともに、社会性の育成などに配慮が必要です。 【推進施策】 ・障がいのある子どもとその家族への支援が身近な地域で受けられるよう、乳幼児健康診査などの母子保健サービスや子育て支援等の中での早期相談、家族への受容や気づきに配慮した申請によらないサービスの利用、制度や資源につなげるの支援や、障がいのある子どもの発達支援に着目した専門的な支援など、市町村において包括的な子ども発達支援体制の整備が図られるよう支援します。 ・市町村において実施が困難な専門的支援については、子ども総合医療・療育センターや旭川子ども総合療育センター、発達障害者支援(地域)センターが広域的に実施するとともに、圏域内の関係機関等に対する研修や情報交換等の機会を通して、地域の人材育成等を推進し、支援体制の充実を図ります。 ・障がいのある子どもに対する相談支援、通所支援、入所支援のサービス提供基盤となる施設や事業所等の整備を促進するとともに、医療、教育との連携はもとより、子育て一般施策における障がい児支援との連続・連携した支援や、家庭的な養育環境を提供する里親制度の活用などについて推進します。 ・障がいへの気づきの段階から身近な地域で支援できるように、障がい種別にかかわらず、質の高い専門的な発達支援の充実を図るとともに、どの地域においても等しく一定の支援が受けられるよう地域支援体制の構築を図ります。 ・発達障がいのある子どもについては、早期に発達の遅れや偏りに気づき支援につなげるため、発達障がいへの理解を促進する取組を進めるほか、発達障害者支援(地域)センターが、地域で直接支援を行っている保育所、学校、事業所等へ専門的な支援技術への助言を行い、支援の質の向上等を促進します。 ・市町村で保健・福祉・教育等との連携体制を進めるために、振興局が行う発達支援に関わる関係職員の研修と教育局が行う特別支援教育に関わるセミナーとを合同で開催するなどし、関係機関が情報共有を図るよう努めます。 ・幼児期から学齢期、就労期へと一貫した支援が行われるよう、乳幼児期からの支援ファイルと学校等で作成される個別の教育支援計画とを一体的に活用し、また、サービス利用の際の障害児相談支援計画等や事業所で作成される個別支援計画等を含めて連動した支援となるよう努めます。 ・市町村における協議会と市町村特別支援連携協議会、障がい福祉計画等圏域連絡協議会と各教育局に設置している特別支援連携協議会、道本庁に設置する発達支援推進協議会と広域特別支援連携協議会がそれぞれ連携した、福祉と教育及び関係機関による重層的な支援体制を推進します。 ・障害児入所施設に入所している児童が18歳以降、環境を円滑に移行できるように、移行調整に係る協議の場の設置を進めます。 ②家族への支援 【推進の視点】 ・障がいのある子どもの家族の子育て不安を軽減し、子育てに自信が持てるよう、発達の各段階に応じて子どもの発達を支援するとともに、家族を含めたトータルな支援が必要です。 ・家族への支援に当たっては、子ども・子育て支援法に基づく子育て一般施策との緊密な連携を図る必要があります。 【推進施策】 ・発達の遅れや障がいを可能な限り早期に発見し、早期支援へつなげるため、子育てをする親の思いに寄り添い、支援する視点から乳幼児健康診査の充実に努めるなど、市町村における母子保健活動を支援します。 ・障がいの受け止めや将来に対する不安などを抱えている家族に対して、保健センターや保健所、児童相談所、療育機関など関わりを持つ機関の専門家が、心理的なケアやカウンセリング等の支援を行うほか、ペアレントメンターによる相談活動や親の会活動などと有機的な連携を図り、家族への支援の充実や理解促進に努めます。 ・身近な場所において、子育てに関する相談支援や情報提供等を総合的に行うとともに、地域の子育て親子の交流などが図られるよう、支援に努めます。 ・家族の精神的・肉体的負担を軽減するため、身近な地域で短期入所等が利用できる体制整備に努めます。 ・子どもに障がいがあることによって就労が制限されることのないよう、家族の就労のための支援に努めます。 ・障がいのある子どもを持つ家族の子育ての不安を軽減するため、同じ障がいを持つ子の保護者が相談対応を行うとともに、日中一時支援や短期入所等の利用を進めます。 ・障がいのある子どものきょうだいの支援も重要であることから、きょうだい支援の活動をしている団体等と連携した心の支援の取組を進めます。 ・子どもを育てる保護者が、子どもとのよりよい関わり方を学びながら日常の子育ての困り事を解消し、楽しく子育てが出来るよう、地域での保護者支援の充実を図ります。 ③ 福祉、保育、保健、医療、教育、就労支援等の関係機関と連携した支援 【推進の視点】 ・障がいのある子どもへの発達支援は、子ども本人が支援の輪の中心となり、様々な関係者や関係機関が関与して行われる必要があり、連携を密にし、情報を共有することにより、障がいのある子どもに対する理解を深めることが必要です。 ・就学前、学齢期、卒業時などを通じて一貫した指導や支援が行われるよう、教育委員会、学校等と、福祉や就労との連携が必要です。 【推進施策】 ・発達の遅れや障がいのある子どもの、子どもとしての育ちを保障し、必要な支援や適切な療育を行うため、児童相談所、保健所、市町村、教育委員会、医療機関、児童福祉施設、学校など、地域の関係機関が連携し、乳幼児期から学齢期、学齢期から成人期へ一貫した支援に努めます。 ・特別支援連携協議会と地域自立支援協議会が、個別の教育支援計画とサービス等利用計画との情報の共有化を図り、連携した支援の促進に努めます。 ・市町村の障害児支援担当部局、母子保健や子ども・子育て支援、社会的養護等の児童福祉担当部局、保健センター、病院・診療所、訪問看護ステーション、児童相談所、発達障害者支援(地域)センター、障害児相談支援事業所、保育所、認定こども園、幼稚園、学校、特別支援学校、児童委員等の関係機関と連携を図り、支援が必要な子どもと保護者の支援が保育所や学校そして就労等に適切に移行され、適切な支援が引き継がれていく体制を整備します。 ・子どもの発達の遅れ、偏りについては、乳幼児健康診査、市町村保健センター等の発達相談、保育所、幼稚園、学校等の利用等を通して気づく場合があり、気づきの段階から継続的な支援を行うため、母子保健や子ども・子育て支援等の関係者や関係機関と連携した支援を進めます。 ・障がいの早期の発見及び支援並びに健全な育成を進めるため、乳幼児健康診査等の母子保健施策との緊密な連携を図るとともに、日頃から障がいのある子どもに関わる部局と、子育て支援担当部局、保健医療担当部局や教育委員会との連携を密に図る体制づくりを進めます。 ・市町村で保健・福祉・教育等との連携を促進するため、振興局が行う発達支援に関わる関係職員の研修と教育局が行う特別支援教育に関わるセミナーを合同で開催するなどし、関係機関における情報の共有化を図ります。 ・障がいのある子どもへの支援が適切に行われるために、学校、障害児通所支援事業所、障害児入所施設、障害児相談支援事業所、就労移行支援事業所等の障害福祉サービスを提供する事業所等が緊密な連携を図り、就学時及び卒業時において、支援が円滑に引き継がれる体制の整備を進めます。 ・幼児期から学齢期、就労期へと一貫した支援が行われるよう、乳幼児期からの支援ファイルと学校等で作成される個別の教育支援計画を一体的に活用するとともに、サービス利用の際の障害児支援利用計画等や事業所で作成される個別支援計画等とも連動した支援を進めます。 ・市町村における自立支援協議会と市町村特別支援連携協議会、障がい福祉計画等圏域連絡協議会と各教育局に設置している特別支援連携協議会、道本庁に設置する発達支援推進協議会と広域特別支援連携協議会がそれぞれ連携した、福祉と教育及び関係機関による重層的な支援体制を推進します。 ④地域社会への参加・インクルージョン(包容)の推進 【推進の視点】 ・障がいのある子どもが地域の保育、教育等の支援を受けられるようにすることで、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが共に成長できるよう、地域社会への参加やインクルージョン(包容)を推進する必要があります。 ・可能な限り、地域の保育、教育等の支援を受けられるようにしていくとともに、同年代の子どもとの仲間作りを図っていくことが求められます。 【推進施策】 ・障害児通所支援事業所、児童発達支援センター等が保育所や認定こども園、放課後児童クラブ(放課後児童健全育成事業)、幼稚園、小学校及び特別支援学校等の育ちの場での支援に協力できるような体制を構築することにより、障がいのある子どもの地域社会への参加・包容の推進を図るとともに、保育所等訪問支援による、障がいのない子どもとの集団生活への適応、障がいのある子ども本人への支援や訪問先施設等の職員に対する支援方法等の指導等を行います。 ・昼間、保護者がいない児童に生活と遊びの場を提供する放課後児童クラブでの障がいのある児童の受入れを促進します。 ⑤障がい児支援体制の基盤整備 【推進の視点】 ・発達の遅れ、偏りや障がいのある子どもの心身の状況に応じ、自立の支援と日常生活の充実を図ることが重要です。このため、発達の遅れや障がいのある子どもとその家族が、発達の遅れ等に気づいた段階から、身近な地域で利用しやすい支援が受けられるよう、障害児相談支援や、障害児通所支援、障害児入所支援の基盤整備が必要です。 ・広域分散型の北海道にあって、どこに暮らしていても、より身近な地域で支援が受けられるとともに、どの障がいにも対応できるようにする一方で、障がい特性に応じた専門性の確保が必要です。 ・障害児通所支援、障害児相談支援における障がい児及びその家族に対する支援について、障がい種別や年齢別等のニーズに応じて、身近な場所で提供できるよう、地域における支援体制の整備が必要です。 ・障害児入所支援では、小規模なグループによる支援や心理ケアを提供することにより、障がいのある子どもの状況に応じたきめ細やかな支援を行う必要があります。 【推進施策】 ・市町村が関係機関の連携のもとで、ライフステージに応じた支援体制が確保できるよう、相談支援専門員の育成、資質及び専門性の向上に向け取組を促進します。 ・家族の子育てに対する不安感に寄り添い、早期発見、早期支援が促進されるよう、ペアレントメンターの養成等、家族に対する支援体制の整備を図るほか、障がいのある子どもが待機することなく適切な診療、療育を受けることができる体制づくりを支援します。 ・ 児童発達支援センターの設置を推進するほか、施設基準を満たせずに同センターを設置できない場合には、保育所等訪問支援、障害児相談支援等の指定を受け児童発達支援センターと同等の機能を有する市町村中核子ども発達支援センターの整備を進めます。 その市町村中核子ども発達支援センターの整備に当たっては、地域の障がい児の健全な発達において中核的な役割を果たす機関として認定し、発達の遅れや障がいのある子どもとその家族、その子どもが通う保育所、幼稚園、学校や認定こども園その他集団生活を営む施設からの相談対応や助言その他の必要な援助を行います。 また、障害児通所支援事業所等と緊密な連携を図るとともに子ども総合医療・療育センター、旭川子ども総合療育センター、児童相談所及び発達障害者支援(地域)センター等による後方支援を行うなど重層的に障がいのある子どもへの支援体制の整備を進めます。 ・障がいの重度・重複化や多様化に対応する専門的機能の強化を図ったうえで、地域における中核的な支援施設として、児童発達支援センターや市町村中核子ども発達支援センターを活用し、障害児通所支援等を実施する事業所と緊密な連携を図り、重層的な障害児通所支援体制を推進します。 ・障害児通所支援事業の質の向上を図るため、関連施設との連携を促進するとともに、事業所の指定、指導監査、人材育成の研修等のあらゆる機会に「児童発達支援ガイドライン」等を活用し、より一層の支援の充実を図ります。 ・地域における重層的な支援体制を構築するため、道立施設や発達障害者支援(地域)センターなどからの専門的支援のシステムづくり及び地域支援を進めます。 ・障害児入所施設を利用する子どもとその家族への支援については、自立支援協議会等の場を活用し、市町村、障害児入所施設、児童相談所、保健センター、医療機関、相談支援事業所、学校及び障害福祉サービス事業所等と連携し、入所施設を利用する前からそれぞれの支援体制を確認し、退所後の支援を見据え、連絡調整を図っていきます。 ・施設を利用する子どもの中には虐待を受けた子どもが多くいることから、その支援に当たっては、より細やかな対応を行う必要があり、施設の状況に応じて、小規模グループケアの導入を検討するとともに、入所施設の専門機能の強化を支援します。 ・入所施設は様々なニーズに対応する機関として位置づけられている一方、北海道では、入所施設が設置されていない圏域がある現状から、地域の実情に応じ、身近な地域で家庭的な生活が提供される環境づくりを推進します。 ・18歳を迎える子どもが、退所後も安心して生活できるよう、入所中から、日中活動の体験利用や宿泊体験、自立支援協議会等の場を活用し、市町村、障害児入所施設、児童相談所、保健センター、医療機関、相談支援事業所、学校及び障害福祉サービス事業所等の職員等の連携のもと、その子に適した進路支援を行う体制を整備します。 ・社会的養護の必要な障がいのある子どもの措置に関しては、障がいの程度や地域特性等により、障がいのない子どもを含めた集団の中での育ちをできるだけ支援することも含めて対応します。 ⑥特別な支援が必要な子どもへの支援 【推進の視点】 ・被虐待や社会的養護等の特別な支援が必要な障がいのある子どもへの支援が必要です。 【推進施策】 ・児童養護施設や里親等を活用している障がいのある子ども、あるいは、家庭で養育されている障がいのある子どもに対し、児童相談所や市町村と連携し、障がい児支援の専門性を活かした支援の提供について検討します。 図18 【障がい児支援の地域連携】 (2) 学校教育の充実 【推進の視点】 ・障がいのある子どもが、地域の保育、教育等の支援を受けられるようにすることで、障がいの有無にかかわらず、すべての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加や包容(インクルージョン)を推進する必要があります。 ・共生社会の形成に向けて、障害者の権利に関する条約の理念を踏まえたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育を推進し、障がいのある子どもと障がいのない子どもが可能な限りともに教育を受けられるようにするとともに、障がいのある子どもの自立と社会参加を見据え、子ども一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、連続性のある多様な学びの場の一層の充実・整備を進める必要があります。 【推進施策】 ① 教育相談・支援体制の整備 ・教育委員会や学校などにおいて、保健・医療・福祉等の関係機関や道立特別支援教育センター等と連携を図りながら、保護者に対し適切な情報提供を行い、発達の遅れや障がいのある子どもへの早期からの教育相談・支援の充実に努めます。 ・教育支援計画作成の意義について普及を図るとともに、学校間はもとより、学校と保育所や幼稚園、子ども発達支援センター等の関係機関、卒業後の就労先などとの間で、個別の教育支援計画等の引継ぎが円滑に行われるよう、相互の連携を促進します。 ・就学にあたって、本人・保護者等に対し、十分情報提供をしつつ、その意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成が行われるよう、関係機関と連携の下、早期からの教育相談・支援の充実に努めます。 ② 幼児・義務教育の充実 ・発達の遅れや障がいのある幼児に対して、保健・医療・福祉関係機関等が連携して、教育相談を推進するとともに、小・中学校における児童生徒に対する指導や支援の充実のための教育環境の整備、並びに就学動向や障がいの状態に応じた特別支援学校の整備など義務教育の充実に努めます。 ③ 後期中等教育の充実 ・障がいのある生徒の後期中等教育の機会を確保するため、職業学科を設置する特別支援学校高等部など、受入体制の整備に努めます。 ④ キャリア教育・職業教育の充実 ・将来の自立に向けて、勤労観や職業観の育成を図るキャリア教育を推進するとともに、卒業後の進路を円滑に確保するため、学校、児童相談所、心身障害者総合相談所、公共職業安定所(ハローワーク)、障害者就業・生活支援センター、企業等の連携のもとに、個々の希望や障がい特性等に応じた進路指導や就労支援を計画的、組織的に進めます。 ⑤ 交流及び共同学習等の充実 ・障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒が体験的な学習を通して互いに理解を深める交流及び共同学習を一層推進するとともに、児童生徒のボランティア活動の取組を推進し、高齢者や障がいのある人とのふれあいや交流など教育活動を充実します。 ・特別支援学校等の教育活動の公開やホームページによる情報発信などを通して、特別支援教育に対する理解・啓発を進めます。 ⑥ 障がいの特性に配慮した教育の充実 ・障がいの重度・重複化、多様化に対応するため、医療機関等との密接な連携を図るとともに、自立活動担当教員の育成・確保に努めます。 ・障がいの特性に応じた指導やICT(情報通信技術)を活用した指導等を効果的に行うための施設設備の整備や、医療的ケアに対応するための看護師の配置など、教育環境の整備に努めます。 ・訪問教育を充実するため、指導内容・方法等の改善や教材・教具の開発の促進に努めます。 ・幼稚園、小・中学校、高等学校等における発達障がいを含む障がいのある幼児児童生徒の特性に応じた指導や支援の充実に努めます。 また、特別支援教育支援員の配置など、教育環境の整備の促進に努めます。 ⑦ 研修、調査研究の充実 ・児童相談所などの関係機関との連携を図りながら、道立特別支援教育センターにおける特別支援教育に関する総合的研究、相談事業、特別支援教育関係職員の研修等の充実に努めます。 ・幼稚園、小・中学校、高等学校等の教職員の専門性を高めるため、特別支援学校等と連携を図り、特別支援教育に関する研修の充実に努めます。 (3) 医療的ケアを必要とする子どもや難聴児への支援の充実 ① 医療的ケアを必要とする子どもへの支援の充実 【推進の視点】 ・重症心身障がい児や医療的ケア児とその家族が身近な地域において安心して生活することができるよう、充実した支援体制の構築を図ることが必要です。 ・医療的ケア児やその家族に対して保健、医療、 福祉、保育、教育、労働等を総合的に支援する体制を構築するため、関連分野の支援をコーディネートする役割を担う人材が必要です。 【推進施策】 ・常時介護を必要とする障がいのある子どもが自らが選択した地域で生活できるよう日中及び夜間における医療的ケアを含む支援の充実を図るとともに、体調の変化等に応じて一時的に利用することができる社会資源の整備を促進します。 ・本人やその家族等への適切な支援が図られるよう、北海道医療的ケア児等支援センターが中心となり、医療的ケアが必要なこどもを持つご家族や関係機関からの相談に対応するほか、支援を総合的に調整する医療的ケア児等コーディネーターを養成するなど、支援体制の充実に努めます。 ・医療的ケアを必要とする子どもへの支援の充実を図るため、各圏域、各市町村における協議の場の設置を進めるなど、地域や関係機関における連携体制の構築に努めます。 ・重症心身障がい児を含めた医療的ケアの必要な子どもの受入れを行う地域の医療機関や障害福祉サービス事業所等を把握するほか、地域において関連分野の支援の調整を行う医療的ケア児等コーディネーターが全市町村に配置できるよう人材の育成を行い、医療的ケア児及びその家族が円滑に必要な支援を受けられる環境を整備します。 また、その人材育成に当たっては、コーディネーターに求められる役割に沿った内容の研修を行います。 ・広域分散の地域特性を有する本道において、重症心身障がいや医療的ケアの必要な在宅の障がいのある子どもへの支援の推進を図るため、道、圏域、市町村において、関係者の協議の場の設置を進めるほか、関係機関や「特別支援学校における医療的ケア連絡協議会」等との連携促進を図り、その支援が学齢期から成人期に円滑に引き継がれるよう努めます。 ・地域の医療機関、障害福祉サービス事業所等や市町村と連携し、重症心身障がいや医療的ケアの必要な在宅の障がいのある子どもの家族の休息(レスパイト)の確保など、地域生活を支援する体制の充実に努めるとともに、できるだけ身近な地域において必要なサービスが受けられるよう、短期入所等のサービス提供を行う事業所の増加に向けた取組を進めます。 ・重症心身障がいや医療的ケアの必要な子どもの家庭等を訪問し、必要な支援を行うほか、市町村において実施が困難な専門的支援なども含め、重層的な支援体制の整備を図ります。 ② 難聴児への支援の充実 【推進の視点】 ・難聴児については、早期に聞こえにくさに気づき、ことばや知識を学ぶための適切な支援を行うことが重要です。 【推進施策】 ・コミュニケーションを築くうえで必要な集団適応を早期に身につけるため、新生児聴覚検査から療育につなげる体制整備のための協議会の設置や新生児聴覚検査から療育までを遅滞なく円滑に実施するための手引書の周知等、新生児聴覚スクリーニングや乳幼児健康診査の際になるべく早く難聴に気づき、療育につなげる取組を進めます。 ・難聴児及びその家族が、身近な地域において適切な相談支援及び療育を受けることができるよう、市町村、医療機関、道立聾学校等が連携し、難聴に起因することばの遅れや、コミュニケーションへの影響、知的、社会的発達の遅れを未然に防ぐ、または最小限にとどめるため、可能な限り早期に療育につなげ、専門的な支援による乳幼児期の発達の促進を図るなど、難聴児支援のための中核的機能を有する体制の確保を進めます。 ・聴覚障がいのある子どもの早期療育体制を図るため、道立聾学校において聴覚障がいのある乳幼児を対象とした相談・支援を行います。 9 発達障がいのある人や在宅の障がいのある人等への支援 【現状と課題】 ・発達障がいのある人やその家族への支援が推進されるよう、関係機関等の連携の下に切れ目のない支援が必要です。 また、在宅の障がいのある人とその家族が安心して地域で暮らしていくには、在宅で生活するための様々な支援が必要です。 【考え方】 ・発達障がいのある人やその家族への支援が推進されるよう、医療、保健、福祉、教育、就労等の各分野の関係機関が相互に連携し、可能な限り身近な場所で切れ目のない支援を受けられるよう、施策を推進します。 また、在宅の障がいのある人とその家族が安心して地域で暮らしていくことができるよう、障害福祉サービス等の福祉制度、訪問看護等の医療制度など、在宅で生活するための支援体制の充実に努めます。 (1) 発達障がいのある人ヘの支援の充実 【推進の視点】 ・発達障がいは、個々によりその特性が異なり、できるだけ早期に適切な支援を行うことが重要であり、障がいの早期発見と、特性に応じた援助並びにその家族に対する支援の充実を進めることが必要です。 ・身近な地域において、必要な支援が得られるよう取組を推進するとともに、多くの道民が発達障がいを正しく理解のするための普及啓発を図ることが必要です。 【推進施策】 ・発達障がいに関する課題について、関係機関と情報共有を図り、地域の実情に応じた支援体制等について、発達支援推進協議会において、意見交換を行い充実を図ります。 ・発達障がいのある人やその家族を取り巻く環境について、乳幼児期、学齢期、就労期等、一貫した切れ目のない支援が行えるよう、適切に引き継ぎを行うなど、関係機関との連携を促進します。 ・発達障がいのある人やその家族が、可能な限り身近な地域において必要な支援が受けられるよう、発達障害者支援(地域)センターが地域づくりコーディネーターと協働し、地域の医療、保健、福祉、教育等の関係機関や民間団体との連絡調整、情報提供及び研修を実施するとともに、発達障害者支援(地域)センターにおいて、発達障がいのある人やその家族に対し、市町村等では対応が困難な真に必要な相談について、地域の支援者と一緒に個別の相談支援を行い、地域の相談支援体制づくりを推進します。 ・発達障がいの特性などに対する理解の促進を図るため、フォーラムやパネル展の開催など道民の方々への幅広い啓発活動を推進し、相談支援機関や、発達障がいに関する診療を行っている医療機関等の情報をホームページ等により提供します。   図19 【発達障害者支援(地域)センターの支援対象エリア】 (2) 在宅の障がいのある人等への支援の充実 【推進の視点】 ・重症心身障がいや在宅の障がいのある人が、住み慣れた地域で安心して生活するためには、身近な地域で心身の状況に応じた支援を受けることが重要であり、支援を行うに当たって、その人数や受けているサービスなどの現状等を把握するとともに関係機関が連携を図り、子どもから大人まで切れ目の無い一貫した支援を提供する地域の支援体制の構築が必要です。 ・ 障がいのある人が自立した日常生活や社会生活を営むためには、育成医療をはじめとする自立支援医療等の適切な提供が必要です。 【推進施策】 ①支援体制の充実 ・地域の医療機関、障害福祉サービス事業所等や市町村と連携し、重症心身障がいや在宅の障がいのある人の日中活動への参加や家族の休息(レスパイト)の確保など、地域生活を支援する体制の充実に努めるとともに、できるだけ身近な地域において必要なサービスが受けられるよう、短期入所等のサービス提供を行う事業所の増加に向けた取組を進めます。 ・直接的なサービス提供の担い手となる看護師等従事者の育成、確保を図るため、地域の医療機関や障害福祉サービス事業所等の職員を対象に、重症心身障がいのある人への支援方法等に関する研修や、適切な医療的ケアを行うために必要な知識、技術などに関する研修を関係団体等と連携し実施します。 ・障害福祉サービス事業所等で喀痰吸引等業務を行う介護職員等の計画的な養成を図ります。 ②自立支援医療等の提供 ・障がいのある人が、その心身の障がいの状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療である自立支援医療を適切に受けられるよう、道、市町村及び医療機関が連携し、制度の周知や利用者の支援に努めます。 ・重度心身障がいのある人の健康保持と福祉の増進を図るため、市町村が実施する医療給付事業に対し、北海道医療給付事業による支援を行います。 10 自立と社会参加の促進・取組定着  【現状と課題】 ・障がいのある人が地域社会の一員として、町内会活動や地域づくり活動、文化芸術活動、当事者による自主的活動など、地域の様々な活動へ参加し、生活の質の向上や自己実現を図る機会の充実と参加を促進する環境づくりが求められています。 さらに、障がいのある人が主体的に地域の活動に参加するための情報提供や、スポーツ・文化芸術活動、生涯学習の拡大とともに、意思疎通手段の確保や移動支援などの充実を図る必要があります。 【考え方】 ・障がいのある人が自らの選択と決定により、参加することができる様々な活動の機会を増やすとともに、障がいのある人が社会参加の主体として活躍できるよう、社会のあらゆる場面でのアクセシビリティの向上をはじめとする環境整備を促進します。 さらに、障がいのある人と地域住民等が交流する場の整備、意思疎通手段の確保、移動に関する支援の利用促進などに努めます。 (1) 社会参加の促進 【推進の視点】 ・障がいのある人が、自主的に行動し、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加し、生きがいを持って生活できるような地域づくりが必要です。 【推進施策】 ① 社会参加促進対策の推進等 ・障がいのある人の社会参加を促進するため、障がい者団体等と協力しながら各種事業を実施するとともに、障がいのある人が地域で様々な活動に参加し、生きがいを持って生活できるよう、市町村が実施する意思疎通支援者の派遣や、移動の支援、生活訓練、スポーツ・文化活動などの市町村地域生活支援事業を推進し、障がいのある人のニーズに応じた社会参加の促進に努めます。 ・障がいのある人自らの社会参加を促進するため、北海道障害者社会参加推進センターが行う、社会参加活動に関する相談や、情報の収集・提供の取組を促進します。 ・選挙において、郵便等による不在者投票制度や点字による投票制度の活用の周知や、投票所においても障がいの特性に配慮した支援が行われるよう、市町村選挙管理委員会に対し働きかけます。 ・地域で行われる様々な行事や住民活動について、地域社会の一員である障がいのある人たちが参加しやすいよう、主催者が企画の段階から障がいのある人の参画や合理的な配慮が促進されるよう、様々な機会をとらえ周知に努めます。 ・障がいのある人と地域住民がともに地域のコミュニティづくりを推進する観点から、共生型事業を活用し、障がいのある人と地域住民等が交流する場の整備を促進します。 ・地域活動を行おうとする障がいのある人たちを支援するため、NPO法人の設立等に関する相談や助言に努めます。 ② 移動支援の確保 ・障がいのある人の社会参加を促進する観点から、移動に関する支援(行動援護・同行援護、移動支援等)の利用を促進するとともに、障がいのある人の移動手段の必要性や合理的な配慮について、市町村、イベントや住民活動の主催者、交通事業者など広く周知し、移動支援等の確保を促進します。 ③ ボランティアとの連携 ・ボランティアの養成・派遣を通じて障がいのある人の社会参加を推進する市町村の取組の支援に努めます。 ・市町村がボランティアセンターへの支援やボランティア活動に参加しやすい体制の整備を行う取組を支援します。 ④ 社会参加のための生活訓練の実施 ・入所、通所又は訪問による各種訓練(日常生活動作訓練、歩行訓練、点字訓練、福祉用具の使用訓練等)を実施し、中途視覚障がい者への支援に努めます。 ・食道発音訓練、人工咽頭による発音訓練等を行い、疾病等により喉頭を摘出した人への支援に努めます。 ・健康、文化、防災など社会生活に必要な知識習得のための講座を開催し、視覚や聴覚に障がいのある人などへの支援に努めます。 (2) スポーツ・文化芸術活動の振興 【推進の視点】 障がいのある人が、円滑に文化芸術活動,スポーツ又はレクリエーションを行うことができるよう,環境の整備等を推進することが必要です。 【推進施策】 ①スポーツ・レクリエーションの振興 ・関係団体と連携し、障がい者スポーツの体験等により、社会に対する障がい者スポーツの理解促進と多様な主体による支援の拡大を図ります。 ・障がい者スポーツに関する指導者やボランティア等の人材拡大を図ります。 ・障がい者スポーツを行うことができる施設や場の拡大を図ります。 ・スポーツ施設のバリアフリー化やユニバーサルデザインの導入等を含め、障がい者を含め誰もが利用しやすい施設の充実を図ります。 ・障がい者スポーツ関係団体の活性化及び相互連携を促進します。 ・障がい者スポーツの競技力向上のための環境改善・支援方策を検討します。 ・「I'm POSSIBLE」の活用等によるパラリンピック教育の充実を図ります。 ③文化芸術活動の振興 ・障がいのある人の美術、演劇、音楽等をはじめとする多様な文化芸術活動を支援する拠点として位置づけられている「障がい者芸術文化活動支援センター」の設置について検討します。 ・市町村や関係機関及び関係団体との連携により、障がいのある人が障がいのない人と同様に、芸術作品や演劇等を鑑賞し、また、障がいのある人自らの創造や活動の成果等を発表する機会の確保を図り、生きがいを持って日常生活を送ることができるよう支援に努めます。 ・障がいのある人の文化芸術活動を通じて、多様な人々との交流が促進され、障がいのある人に対する理解の促進に努めます。 ・障がいのある人の文化芸術活動の実態把握や情報収集を行うとともに広く発信することに努めます。 ・関係団体等との連携により、意見交換や情報共有に努めながら、障がいのある人の文化芸術活動を支援します。   (3) 読書バリアフリーの推進 【推進の視点】 ・障がいの有無にかかわらず、等しく読書を通じて文字・活字文化の恩恵を享受することができ る社会の実現に向けた取組を進めていくことが必要です。 【推進の施策】 ①読書バリアフリーに関する各種取組の推進 ・点字図書館や地域の公共図書館など関係機関との連携を図るとともに、点字や音声で書籍等の情報を提供する視覚障害者情報総合ネットワーク(サピエ)について、その内容や利用方法等を周知することで活用を促進し、視覚障がいのある人等が身近な地域において情報提供が受けられる体制づくりを進めます。 ・画面読み上げソフトや拡大読書器など、障がいのある人が情報を入手しやすくする用具の普及を促進するとともに、電子書籍等のアクセシブルな資料の充実を図るなど、情報の入手や操作が困難な障がいのある人に対する支援を行います。 ・関係機関が行う点訳図書、DAISY図書作成のためのボランティア育成・確保について、支援します。 (4) 生涯学習機会の充実 【推進の視点】 ・障がいの有無にかかわらず、すべての人が、より良く生きるためにそれぞれが必要とする学習を生涯にわたって継続することのできる社会を形成していくことが必要です。   【推進施策】 ① 学習機会の充実 ・学校卒業後の学習活動を推進するため、関係機関との連携により学習機会の充実に努めます。 ・インターネットからの配信による学校情報などの活用による学習活動を推進するため、ICT(情報通信技術)の普及・促進に努めます。 ③情報提供・相談体制の充実 ・生涯学習への積極的な参加を促進するため、道・市町村はもとより、生涯学習関連施設や高等教育機関が持つ学習情報のネットワーク化により、学習情報提供と相談体制の整備を促進します。 ③ 指導者の養成 ・多様な学習ニーズに対応するため、地域における生涯学習を推進する指導者の養成・確保に努めます。 Ⅳ バリアフリー社会の実現 11 北海道意思疎通支援条例・手話言語条例の施策の推進 【現状と課題】 ・北海道意思疎通支援条例・手話言語条例に加えて、令和4年5月に「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)が施行され、障がいのある人による情報の取得・利用、障がいの特性に配慮した意思疎通支援などに関する施策を総合的に推進することが求められています。 そのため、障がいの特性に対応したICT(情報通信技術)の利用の促進や情報提供の充実のほか、障がいの特性に配慮した意思疎通手段の確保や意思疎通支援者の養成・派遣等を行い、障がいのある人が障がいのない人と実質的に同等の情報を得られるように情報保障の確保を図ることが必要です。 また、手話が独自の体系を持つ言語であることについて、広く道民への普及啓発を進めるほか、手話を習得するために必要な支援を行う必要があります。 【考え方】 ・ICT(情報通信技術)の活用により、情報アクセシビリティの向上に取り組むとともに、情報提供や意思疎通支援の充実等、意思疎通支援条例に基づく各種施策等を推進することで、障がいのある人の意思疎通手段を拡充し自立と社会参加を促進します。 また、手話言語条例に基づき、言語としての手話の認識の普及等に関する施策を推進し、聴覚に障がいのある人等があらゆる場面で手話を使用できる社会の実現を目指します。 (1) 情報通信における情報アクセシビリティの向上 【推進の視点】 ・ICT(情報通信技術)の活用により、障がいのある人が円滑に情報を取得・利用できるよう、情報アクセシビリティの向上に取り組むことが必要です。 【推進施策】 ① 情報バリアフリー化の促進 ・ICT(情報通信技術)の発展による誰もが使いやすい技術を活用した情報バリアフリー化を促進します。 ・障がいのある人の情報の利用におけるバリアフリー化を推進するため、情報通信機器等に関する情報提供や好事例の周知などに努め、普及や利用の促進を図ります。 ・ 障がいのある人やその家族からの情報通信機器の利用に関する相談等を実施する障がい者 ITサポートセンターの設置により、情報通信技術の利用及び活用の機会の拡大を図ります。 (2) 意思疎通支援の充実 【推進の視点】 ・障がいのある人の意思疎通の妨げとなる社会的障壁を解消して、障がいの有無に関わらず、全ての道民がみんなで共生する暮らしやすい社会の実現を目的に意思疎通の支援に関する各種施策等の取組を進めることが必要です。 【推進施策】 ① 理解の促進 ・障がいや障がいのある人への理解が深まるよう、広報誌やDVD(映像)、インターネット(動画配信)などの様々な情報媒体を活用し、ノーマライゼーションの理念の普及を図ります。 ・障がいのある人や家族、地域の支援者、就職先となる企業等へ正しい情報をわかりやすく伝えるため、映像資料等を活用し、当事者、支援者団体等と連携した情報提供の仕組みづくりを進めます。 ② 意思疎通手段の確保等 ・障がいのある人に対する意思疎通支援など、コミュニケーションが図りやすい環境の整備を進めます。 ・点字、手話、要約筆記、触手話、代筆・代読、コミュニケーションボード等、障がいの特性に応じた意思疎通支援ツールの確保のため、意思疎通手段の習得の取組を支援するほか、意思疎通手段が使いやすい環境の整備に努めます。 ・手話通訳者の不在地域や、災害や緊急事態等で手話通訳者の派遣が困難な場合でも、円滑な支援を提供できる環境を整備するため、遠隔手話通訳の実施を推進します。 ③ 情報保障の推進 ・点訳奉仕員や手話奉仕員等の意思疎通支援人材の育成・派遣、災害発生時の情報発信拠点等のため、道内の視覚障がい者及び聴覚障がい者に係る情報提供施設を支援します。 ・点字やインターネットによる新聞情報の提供や、広報紙「ほっかいどう」の点字版・CD版の作成や道政広報番組へのテロップ(字幕)・手話通訳の利用、道公式ホームページへの自動読み上げ機能の搭載などにより、道政の話題や生活に必要な情報を提供します。 ・選挙管理委員会が発行する選挙公報について、市町村選挙管理委員会に対し、点字版や音声版等の発行、手話通訳等、障がいの特性に配慮した情報保障に努めるよう働きかけます。 ・障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段があることについて、道民の理解促進や普及啓発を図ります。 ④ 意思疎通支援者の養成及び派遣の推進 ・点訳奉仕員、朗読奉仕員、手話通訳者(手話奉仕員)、要約筆記者(要約筆記奉仕員)、盲ろう者通訳・介助員、失語症者向け意思疎通支援者等、意思疎通支援者の養成・派遣については、道、市町村がそれぞれの役割を担った上で関係機関と連携し、道内の意思疎通支援の向上を図ります。 ・市町村に対し、障がいの特性に応じた意思疎通支援者の養成及び派遣体制の充実を促すともに、体制が整備されていない市町村について、課題の把握に努め、体制の整備に向けた働きかけに努めます。 ・障がいのある人のコミュニケーションを確保するため、市町村や関係団体等と連携し、手話通訳者、要約筆記者等の養成や資質の向上などを図り、その基盤となる人材の育成に努めます。 (3) 言語としての手話の理解促進等 【推進の視点】 ・道民に手話が言語であることを広く認識していただくことや手話を習得する機会の確保に取り組むことにより、これらを広め、手話を使いやすい社会の実現を目的に北海道手話言語条例に基づく各種施策等の取組を進めることが必要です。 【推進施策】 ① 道民の理解促進等 ・手話が独自の言語であることについて、広報誌やインターネット等の様々な情報媒体を通じて周知し、道民の理解促進や普及啓発を図ります。 ・市町村と連携して、小中学生への手話講座等の実施により、児童・生徒の時期に手話を知る機会の確保に努めます。 ・経済団体、建築団体など道内の関係団体に対して、手話が独自の言語であることについての情報提供などを行います。 ・道民向けにインターネット(動画配信)を活用した手話講座を実施するなど、道民が広く手話を習得する機会を設けます。 ・道職員を対象にした手話講座の実施により、道職員が率先して手話を用いるよう取り組みます。 ②手話を習得する機会の確保 ・道教委と連携して、聴覚に障がいのある人が、乳幼児期からその家族等とともに手話を習得する機会を確保します。   12 安全確保に備えた地域づくりの推進 【現状と課題】 ・北海道福祉のまちづくり条例に加え、国においても「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下「バリアフリー新法」という。)などの法整備が進んでいますが、積雪・寒冷といった本道の地域特性などを踏まえ、誰もが安全で快適に生活できる福祉のまちづくりを推進し、住まいや公共的施設、交通機関、歩行空間などのバリアフリー化を図る必要があります。 また、障がいのある人等が地域社会において、安全・安心して生活することができるよう,防災・防犯対策の推進等を図る必要があります。 【考え方】 ・障がいのある人もない人も、すべての人が地域社会において、安全に生活できるよう、住まいから交通機関、まちなかまで連続し、安全で快適な道路交通の確保と防災・防犯対策を推進します。 (1) 住まい・まちづくりの推進 【推進の視点】 ・障がいのある人の自立と社会参加を支援し、誰もが快適で暮らしやすい生活環境の整備を推進するため、障がいのある人が安心して生活できる住まいの確保、建築物等のバリアフリー化を推進するとともに、障がいのある人に配慮した福祉のまちづくりの推進が必要です。 【推進施策】 ① 住まいの整備 ・障がいのある人の在宅志向の高まりや高齢化等により、バリアフリー化された住宅への需要が増加していることから、立地上の利便性や地域住民との交流に配慮しながら公営住宅等におけるユニバーサルデザインの普及促進を進めます。 ・障がいのある人が住み慣れた自宅や地域で安心して暮らし続けることができるよう、市町村と関係団体との連携促進により、市町村における住宅改善に関する相談支援体制の整備を図ります。 ・障がいや障がいのある人に対する理解の促進などに努め、障がいのある人が、賃貸住宅等に円滑に入居できるよう支援します。 ・障がいのある人の生活の利便性を高めるため、入浴補助用具や住宅内の手すりなどの日常生活用具の利用を促進します。 ② 福祉のまちづくりの推進 ・多くの人が利用する建築物、道路など公共的な施設において北海道福祉のまちづくり条例に基づき、障がいのある人に配慮した福祉環境の整備を促進します。 ・北海道福祉のまちづくり条例などに基づき、障がいのある人をはじめ、誰もが安全で快適に生活できる福祉のまちづくりを総合的に推進するため、公共的施設や公園、道路、住宅などが誰にも利用しやすいものとなるよう、設置者、建築技術者などへの広報活動や普及啓発、研修に努めるとともに、北海道福祉のまちづくり推進連絡協議会において、建築、経済、労働、金融、交通、福祉、医療などの幅広い分野の構成団体と一体となって福祉のまちづくりに取組みます。 ・北海道福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルの活用促進やまちづくり表彰の実施などにより、積雪寒冷な地域で必要な配慮など、わかりやすい整備内容の普及を図ります。 ・公共的施設や道路、公園等について、障がいの特性に配慮した適切な整備を進めるため、福祉環境アドバイザーの活用を促進し設置者等への技術的な助言等を行います。 ・障がいのある人が、盲導犬や介助犬などの身体障害者補助犬を同伴して、公共施設や商業施設、公共交通機関などを円滑に利用できるよう、理解の促進に努めます。 (2) 移動・交通のバリアフリーの促進 【推進の視点】 公共的施設のバリアフリー化に止まらず、障がいのある人の円滑な移動に資するため、公共交通機関等の整備や歩行空間等のバリアフリー化などを促進することが必要です。 【推進施策】 ① 交通機関等の整備促進 ・駅舎等の建築物については、北海道福祉のまちづくり条例に沿った整備が行われるよう設置者に働きかけるとともに、障がいのある人等が公共交通機関を円滑に利用できるよう、低床バスの導入の促進等について働きかけます。 ・公共交通機関を利用する上で制約が多い重度の障がいのある人の移動手段を確保するため、道路運送法に基づく福祉有償運送制度や移動に関する支援(行動援護・同行援護、移動支援等)を促進します。 ② 歩行空間等のバリアフリー化の推進 ・視覚に障がいのある人や車いす使用者などの移動の妨げとなる路上放置物の撤去や迷惑駐車の是正などについて、関係機関等との連携により、啓発・広報に努めます。 ・安全で円滑な移動ができるよう、音響式信号機設置等によるバリアフリー化を推進します。 ・鉄道駅周辺、中心市街地、通学路等を中心とした、日常生活における移動の支援のため歩道除排雪の充実を関係機関等に働きかけます。 ③ 観光へのアクセス ・障がいのある人などが気軽に旅行などを楽しむことができるよう、北海道福祉のまちづくり条例に沿った観光施設等のバリアフリー化の促進や移動支援を充実するとともに、障がいのある人のそれぞれの障がい特性に配慮された観光施設や宿泊施設などの観光情報の提供に努めます。 (3) 防災・防犯対策の推進 【推進の視点】 ・障がいのある人が地域で安心して暮らすためには、平常時から、災害や集団感染の発生時による生活環境の変化などに対応でき、必要なときにその障がいの特性に応じた適切な支援が受けられる地域の体制づくりを進めることが必要です。 【推進施策】 ①市町村における災害時要配慮者支援策の充実 ・災害時における障がいのある人等の避難支援の実効性の確保に向け、避難行動要支援者の個別避難計画作成が進むよう、市町村を支援するとともに、道が策定した「災害時における高齢者・障がい者等の支援対策の手引き」などにより、市町村等の関係機関や関係団体の取組を促進します。 ・市町村に対して、災害時における障がいのある人への情報伝達やコミュニケーション方法などを取りまとめた「災害時の障がい者支援対策等の事例集」や「障がいのある方への配慮と情報保障のための指針」の一層の周知を図り、災害や集団感染の発生時における障がいのある人への支援の充実に努めます。 ・障がいのある人等が避難所において、障がい特性に応じた支援を受け安心して生活できるよう、市町村における福祉避難所の確保を促進するとともに、その設置・運営に必要な資器材の確保への支援や道による独自の支援制度である被災者相談や福祉的支援を行うことを目的とした「北海道災害派遣ケアチーム(DCAT)」等による人材の確保を行います。 ・障がいのある人へ必要な情報の収集・提供を迅速かつ的確に行えるよう、日常生活用具等の有効活用を図るため、市町村に対する情報・意思疎通支援機器等の情報提供に努めます。 ② 共生による地域の体制づくりの推進 ・障がいのある人、高齢者、地域住民などが共に支え合いながら暮らすことができる共生型の地域づくりを支援するとともに、各種サービスを安心して利用できるよう安全の確保を図りながら、障がいのある人が必要な支援を受けられる地域の体制づくりを推進します。 ・障がいのため判断能力の不十分な人などが、犯罪などに遭わないよう、関係機関等との連携による各種相談支援体制の充実に努めます。 ・被災した障がいのある人の中には、一時的に施設等への避難が必要な場合があることから、市町村と施設等の間における連携を図っていきます。 ・障がいのある人への日常的な情報の提供や意思疎通支援などを充実させながら、災害や集団感染の発生時における支援体制づくりを進めます。 また、感染症に備えた取組については、「北海道感染症予防計画」や「北海道新型インフルエンザ等対策行動計画」等を踏まえ、支援体制づくりを進めます。 ・災害時に、障がいのある人等の災害時要配慮者の福祉ニーズに的確に対応し、避難生活中における生活機能の低下等を防止するため、一般避難所で災害時要配慮者に対する福祉支援を行う「災害派遣福祉チーム(DWAT)」を組成するとともに、必要な支援体制を確保することを目的に、官民協働による「災害福祉支援ネットワーク」を構築します。 ③ 施設利用者などに対する災害時等の支援策の推進 ・道が策定した「社会福祉施設等における非常災害対策計画の策定の手引き」を活用し、社会福祉施設等における非常災害対策計画の策定を進めます。 ・道と施設関係団体の間で締結した「災害時における社会福祉施設等の相互支援協定」に基づき、災害時における施設利用者の避難先の確保や、被災施設などへの人的・物的支援を行っていきます。 また、個々の施設に対しても、災害時において、直接避難できる同種・類似の施設を確保できるよう、施設間相互の協定の締結について働きかけます。 ・感染症や災害が発生した場合でも必要なサービスを提供できるよう、障害者支援施設等における業務継続計画(BCP)の策定、研修・訓練の実施などを支援します。 ・障害者支援施設等を利用する障がいのある人が安心して生活できるように、防犯に係る安全確保のための施設整備や防犯に係る職員の対応に関する点検等の取組を促進するとともに、関係機関や地域住民等と連携し安全確保体制の構築に努めます。 ・障害者支援施設等に対する集団指導において、非常災害対策の取組の強化について指導するとともに、実地指導の実施等により、消火設備その他の非常災害に際して必要な設備の設置状況や、非常災害対策計画及び業務継続計画(BCP)の策定状況、避難訓練の実施状況等について確認し、適切な措置を講じていない施設等に対しては、改善が図られるよう指導します。 ・障害者支援施設等に対する集団指導において、感染症対策に関する国からの関係通知を周知し、感染予防とまん延防止の重要性を説明するとともに、実地指導の実施等により、研修・訓練や業務継続計画の策定等、適切な措置を講じているかを確認し、適切な措置を講じていない施設等に対しては、改善が図られるよう指導します。 ・障害者支援施設等において、感染症の集団感染の発生など、早急に感染拡大防止策を講じる必要がある場合には、医療機関と連携し、基本的な感染対策や、施設の状況に応じたゾーニング等、感染対策に関する助言を行うことができるよう平時から準備を進めます。 ・障害者支援施設等で集団感染が疑われる事例が発生した場合、利用者の健康管理や支援を維持するため、初動対応に係る相談や感染制御に係る助言を行います。 ・近年の災害や感染症の発生状況を踏まえ、障害者支援施設等に対し防災や感染症対策について周知を行います。 第5 計画の推進管理 1 制度の円滑な推進 ・国及び市町村との連携のもとに、この計画の着実な推進により、障害者総合支援法や児童福祉法等に基づく制度の円滑な運営が図られるよう努めるとともに、市町村が作成した障害福祉計画等に基づき各市町村が主体的、計画的にその推進を図ることができるよう障がい福祉計画等圏域連絡協議会を通じた支援に努めます。 ・障がい福祉施策の立案及び推進に当たっては、障がいのある人の意見の反映や、ニーズに配慮するとともに、障がい者団体等との協働に努めます。 また、施策の推進にあたっては、関係する協議会や審議会等との連携を図りながらその展開に努めます。 ・障害者総合支援法や児童福祉法においては、計画に定める事項について定期的に調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、計画を変更することその他の必要な措置を講じることとされたことから、PDCAサイクルを導入します。 2 計画の推進管理 ・圏域ごとに設置している障がい福祉計画等圏域連絡協議会において、各年度のサービス供給量のほか、地域生活への移行や一般就労への移行などの成果目標の達成状況、「第4 計画推進のための具体的な取組」に関する推進上の課題等について、分析、評価し、わかりやすくその情報を地域に提供しながら、意見聴取を行うなどして、「北海道障がい者施策推進審議会」に、進捗状況を報告し、その意見等を踏まえて、計画の効率的な推進に努めます。 ・「地域生活」を始めた障がいのある人の生活実態やサービス利用希望の実態把握に努め、地域における関係機関の連携体制強化や次期計画への反映に努めます。 ・北海道障がい者条例に基づく北海道障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部幹事会の積極的な活用など、雇用、教育、経済、建設など関連する部局による横断的な施策の検討を進めます。 ・計画に定める事項について、定期的にその実績を把握し、障がい者施策や関連施策の動向も踏まえながら、計画の中間評価として分析・評価を行い、必要がある場合は、計画の変更などの措置を行うこととします。 また、評価などについては、「北海道障がい者施策推進審議会」などにより行うこととします。 図20 【PDCAサイクル】 計画(Plan) 目標を設定し、目標達成に向けた活動を立案する 実行(Do) 計画に基づき活動を実行する 評価(Check) 活動を実施した結果を把握・分析し、考察する(学ぶ) 改善(Act) 考察に基づき、計画の目標、活動などを見直しする 第6 令和8年度(2026年度)・令和11年度(2029年度)の成果目標 障がいのある人の自立を支援する観点から、「地域生活移行」、「地域生活支援拠点等の整備」や「就労支援」及び「障がい児支援」といった課題に対応するために、令和8年度(2026年度)及び令和11年度(2029年度)の成果目標を設定します。 この成果目標の設定については、国の基本指針で示す目標値やこれまでの実績等を踏まえ、設定することとしています。 また、成果目標の設定にあたっての「地域生活」、「地域生活支援拠点等」及び「一般就労」についての考え方は、次のとおりとしています。 1 福祉施設の入所者の地域生活への移行目標 令和8年度(2026年度)の道内の福祉施設からの地域生活移行者数の目標値は令和5年(2023年)3月末の施設入所者数9,354人の約2.5%にあたる235人を目標値として設定しています。また、施設入所者の減少見込数の目標値については、令和5年(2023年)3月末の施設入所者数の約3.7%にあたる350人を目標値として設定しています。 なお、令和9年度(2027年度)から令和11年度(2029年度)にかけての各目標値については、国の基本指針に基づき設定しています。 【福祉施設の入所者の地域生活への移行目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 地域生活移行者数 235人 796人 国基本指針に基づく目標値6% 施設入所者の減少見込数 350人 817人 国基本指針に基づく目標値5% 2 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る目標 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築を目指すため、入院後3か月時点、6か月時点と1年時点の退院率及び精神科病床における65歳以上及び65歳未満の長期入院患者数について、国の基本指針に基づき設定しています。 【精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る目標】 項目 R8目標値 備考 入院後3か月時点の退院率 68.9% 令和8年度(2026年度)における入院後3か月時点の退院率(R1の退院率62.2%) 入院後6か月時点の退院率 84.5% 令和8年度(2026年度)における入院後6か月時点の退院率(R1の退院率77.1%) 入院後1年時点の退院率 91.0% 令和8年度(2026年度)における入院後1年時点の退院率(R1の退院率85.2%) 精神病床から退院後の1年以内の地域における平均生活日数(地域平均生活日数) 330.1日以上 令和8年度(2026年度)の退院者における退院後1年時点の地域での平均生活日数(R1の地域平均生活日数330.1日) 精神病床における65歳以上及び65歳未満の入院1年以上の長期入院患者数 65歳以上 5,304人以下 (現状以下) 65歳未満 2,514人以下 (現状以下) 令和8年度(2026年度)末時点における入院後1年以上の65歳以上及び65歳未満の患者数 (R4の長期入院患者数) 65歳以上 6,786人 65歳未満 2,848人 保健・医療、福祉関係者による協議の場の設置 圏域   21か所 市町村 179か所 各障がい保健福祉圏域及び各市町村に設置 ※R11目標値は、「北海道医療計画」との整合を図り、令和8年度を目標年次とし、令和9年度以降の目標値は達成状況等を考慮し、別途決定。 3 地域生活支援拠点等の整備目標 「地域生活支援拠点等」については、すべての市町村に整備することを目標とします。 また、年1回以上、支援の実績等を踏まえ、運用状況の検証・検討を行います。 【地域生活支援拠点の整備目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 地域生活支援拠点の整備 179市町村 179市町村 全市町村 4 就労支援に関する目標 (1) 就労系事業所から一般就労への移行 一般就労への年間移行者数については、国の基本指針に基づき1,335人(令和3年度(2021年度)実績1,043人の1.28倍)を目標値として設定しています。 【就労系事業所から一般就労への移行目標】 項目 目標値 備考 年間一般就労者数 1,335人 令和3年度(2021年度)実績(1,043人)の1.28倍を設定 (2) 各事業の一般就労移行者数 就労移行支援事業、就労継続支援A型事業及び就労継続支援B型事業における令和8年度(2026年度)中に一般就労へ移行する者については、国の基本指針に基づき、774人(令和3年度(2021年度)実績(591人)の1.31倍)、238人(令和3年度(2021年度)実績の1.29倍)、341人(令和3年度(2021年度)実績の1.28倍)を目標値として設定しています。 【各事業の一般就労移行者数】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 就労移行支援事業 774人 1,014人 令和3年度(2021年度)実績(591人)の1.31倍を設定 就労継続支援A型事業 238人 307人 令和3年度(2021年度)実績(185人)の1.29倍を設定 就労継続支援B型事業 341人 437人 令和3年度(2021年度)実績(267人)の1.28倍を設定 (3) 就労定着支援事業に関する目標 就労支援事業所については、就労支援事業利用修了者に占める一般就労へ移行した者の割合が5割以上の事業所を全体の5割以上とすることを基本とします。 就労定着支援事業の利用者数については、国の基本指針に基づき、令和3年度(2021年度)の利用実績788人の1.41倍以上を目標値として設定しています。 また、就労定着率については、国の基本指針に基づき、事業所全体のうち就労定着率が7割以上の事業所が2割5分以上となるよう目標を設定しています。 なお、就労定着率とは、前年度末から過去6年間に就労定着支援の利用を終了した者に占める一般就労への移行先での雇用継続期間が前年度において3年6ヶ月以上6年6ヶ月未満に該当した者の割合をいいます。 【就労定着支援事業に関する目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 就労定着支援事業の利用者数 1,111人 1,566人 就労定着支援事業の利用者数(令和3年度(2021年度)実績の1.41倍を設定) 就労定着率7割以上の事業所の割合 25% 25% 就労定着支援事業所のうち、就労定着率が7割以上の事業所の割合 (4) 障がい者就業・生活支援センターの整備目標 障がい者就業・生活支援センターについては、国の方針に基づき、すべての障がい保健福祉圏域(21か所)に設置することを目標としますが、本道の広域分散型の地域特性やサービス見込み量等を考慮し、第7期計画期間中においては、14か所の整備目標とします。 また、サテライトセンターの設置など未設置圏域をカバーしているセンター等の負担軽減策に取組んでいきます。 【障がい者就業・生活支援センターの整備目標】 項目 R11目標値 備考 障がい者就業・生活支援センターの整備 14か所 令和11年度末までに整備 (5) 福祉的就労に関する目標 就労継続支援B型事業所における目標工賃(道における平均工賃月額)については、21,209円(令和3年度(2021年度)実績19,523円から8.64%増)を目標値として設定しています。 なお、すべての市町村が優先調達推進法に基づく「調達方針」を策定することを目標とします。 【福祉的就労に関する目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 平均工賃月額 (対象事業所:就労継続支援B型事業所) 21,209円 23,041円 就労継続支援B型事業所における平均工賃月額。令和3年度(2021年度)実績値19,523円、令和3年度(2021年度)実績値伸び率1.67%(5年で8.64%)から設定 工賃向上計画を策定する対象事業所の割合 100% 100% 令和3年度(2021年度)実績)90% すべての就労継続支援B型事業所が「工賃向上計画」を策定することを目標とする 障がい者就労支援企業認証制度登録企業数 236社 262社 令和4年度(2022年度)実績210社 直近(H30年度~R4年度)の年間登録増加企業数の平均値(6.5社)から設定 優先調達方針を策定する市町村数 179市町村 179市町村 全市町村 (6) その他の就労関連の目標 庁内関係課や労働関係機関等で構成されている北海道障害者雇用支援合同会議でまとめた目標は次のとおりで、これまでの実績などに基づき設定しています。 【その他の就労関連目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 障がい者に対する職業訓練の受講者数 76人 96人 令和3年度(2021年度)実績(60人)の1.27倍を設定 就労系事業所から公共職業安定所への誘導者数 4,135人 4,135人 第6期北海道障がい福祉計画の目標値より継続して設定 就労系事業所から障害者 就業・生活支援センターへの誘導者数 264人 264人 第6期北海道障がい福祉計画の目標値より継続して設定 公共職業安定所における就労系事業所利用者の支援者数 881人 987人 令和3年度(2021年度)実績(787人)の1.12倍を設定 5 障がい児支援の提供体制の整備目標 児童発達支援センターの設置数、保育所等訪問支援事業所数、主に重症心身障がい児を受け入れる児童発達支援事業及び放課後等デイサービスについては、設置する区域を21の障がい保健福祉圏域とし1か所以上設置することを基本とします。 なお、児童発達支援センター及び保育所等訪問支援事業所については、できる限り身近な地域で支援を受けられるよう、利便性に配慮するとともに、職員が訪問支援をするための移動距離等を考慮の上、整備を進めることとします。(例えば、市町村子ども発達支援センターのサービス提供市町村区域を参考とします。) 【障がい児支援の提供体制の整備目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 児童発達支援センター又は市町村中核子ども発達支援センターの設置数 21か所以上 21か所以上 障がい保健福祉圏域に1か所以上整備 保育所等訪問支援事業所数 21か所以上 21か所以上 障がい保健福祉圏域に1か所以上整備 主に重症心身障がい児を支援する児童発達支援事業所数 21か所以上 21か所以上 障がい保健福祉圏域に1か所以上整備 主に重症心身障がい児を支援する放課後等デイサービス事業所数 21か所以上 21か所以上 障がい保健福祉圏域に1か所以上整備 6 医療的ケア児等支援に関する目標 医療的ケア児等支援のための関係機関の協議の場については、21の障がい保健福祉圏域及び市町村において設置することを基本とします。 【医療的ケア児等支援のための関係機関の協議の場の設置目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 道 1か所 1か所 圏域 21か所 21か所 既存の会議体を活用している場合を含む。 市町村 123か所 179か所 既存の会議体を活用している場合を含む。 また、地域における医療的ケア児等に対する支援の総合調整を行う医療的ケア児等コーディネーターについては、市町村において配置することを基本とします。 【医療的ケア児等コーディネーターの配置目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 市町村 125か所 179か所 市町村における医療的ケア児等コーディネーターの配置 7 難聴児支援に関する目標 難聴のある乳幼児及びその家族の支援のため、市町村、医療機関、道立聾学校等が連携し、専門的な支援による乳幼児期の発達の促進を図るなど、中核的機能を有する体制を整備します。 【難聴児支援における中核的機能を有する体制整備目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 中核的機能を有する 体制の整備 1か所 1か所 北海道 8 相談支援体制の充実・強化等に関する目標 地域における総合相談や専門相談の役割を担う基幹相談支援センターについては、すべての市町村に設置することを目標とします。また、設置・運営等について、市町村へ支援を行うとともに、地域において障がい者相談支援に関する指導的役割を担う主任相談支援専門員を計画的に養成します。 【基幹相談支援センターの設置目標】 項目 R8目標値 R11目標値 備考 基幹相談支援センターの設置 179市町村 179市町村 全市町村 9 障害福祉サービス等の質の向上 指定障害福祉サービス事業者及び指定障害児通所支援事業者等に対する指導監査の適正な実施とその成果を関係自治体と共有する体制を継続します。