第3章 こんな時、こうしよう 5情報保障に役立つ機器等について (1)情報保障に役立つ機器等 ①ヒアリングループ(磁気ループ)システム  ヒアリングループとは、難聴者の聞こえをサポートするシステムです。 ヒアリングループは音声を磁気に変え、その磁気を補聴器や受信機が受けて音声として聞くことができるようになるというものであり、ヒアリングループが設置されている場所で、補聴器や人工内耳の「テレコイル」モードに切り替えることにより、 目的の音を正確に聞き取ることができます。 あらかじめ床の下などに這わせてループになるように敷設する設置型、持ち運びができる携帯型、小型、窓口等に設置するのに適しているカウンター型があります。    (携帯型ヒアリングループの使用図)    ②聴覚障がい者用情報受信装置 (アイ・ドラゴン) 目で聴くテレビ「アイ・ドラゴン」は聴覚障がいのあるかた向けのIPTV(インターネット回線)専用受信機です。手話を取り入れた独自の番組や、一般の地上波放送で字幕のない番組にも一部、字幕と手話通訳を付けて放送しています。 また、緊急災害放送も手話通訳で見ることができます。 ③UDトーク 音声認識技術を使って会話やスピーチ等をリアルタイムに文字化することなどができるアプリケーションです。 また、読み仮名表示や漢字かな変換機能を使って知的障がいのあるかたや世代間とのコミュニケーションの支援に使用したり、多言語音声認識・翻訳機能により外国人とのコミュニケーションに使用する等、様々な場面において活用することができます。 ④音声コード 音声コードは文字データをデジタル情報にできる二次元コードです。音声コードの情報は専用機器や携帯電話・スマートフォンを使って音声で読み上げることができ、視覚障がいのあるかたをはじめ、だれでも活字情報を得ることができます。 音声コードには「SPコード」と「Uni-Voice」の2種類あります。 ア SPコード 専用の読み取り装置(スピーチオ、テルミー等)に対応した音声コードです。 専用ソフト(SP Code Maker)により、Wordに音声コード作成機能を追加することで、Word文書から音声コードを作成できます。 イ Uni-Voice JAVIS(日本視覚障がい情報普及支援協会)が開発した携帯電話やスマートフォンに対応した音声コード(専用アプリケーション:Uni-Voice、Uni-Voiceぶらいんど)であり、音声コードから読み取った情報をテキストで表示することができます。 専用ソフト(JAVIS Appli)により、Wordに音声コード作成機能を追加することで、Word文書から音声コードを作成できます。 また、Uni-Voiceは2018年1月現在で20カ国語に対応しており、日本語が読めない外国人向けに音声による情報提供が行えます。 (2)その他障がいのあるかたを支援する機器 ①携帯用会話補助装置 (インディー・コミュニケーター) 入力した言葉を音声または文字に交換する携帯式の装置です。電話での応対や、外出時の会話など自立を助けるコミュニケーションツールとして使用されています。 主な対象として音声言語機能障がいなどが考えられます。 (ボイスキャリーペチャラ) 文字版の文字キーを押すことで、文章を入力・作成します。入力した文字は発声キーを押すことで読み上げます。主な対象として発話による会話が困難なかたなどが考えられます。 ②情報・通信支援用具 (障がい者向けのコンピューター周辺機器やアプリケーション) ・画面読み上げソフト ・画面拡大ソフト ・活字音訳・拡大読書ソフト ・視覚障害者向けワープロソフト ・点字読み取り・読み上げソフト ・自動点訳・点訳支援ソフト ・キーボード補助具 ・マウス補助具 ・点字ディスプレイ   (点字ディスプレイ ブレイルメモスマートの製品写真)   ③点字器・点字タイプライター (点字器) 点字を書く道具で、点字板、点字定規、点筆の総称です。点字板に点字定規を固定して、穴の空いた点字定規に紙を挟み、点筆で打っていきます。 (点字タイプライター) 点字を表すためのタイプライターで、キーは6つあり、点字1字を表す6つの点にそれぞれ対応しています。 ④視覚障害者用ポータブルレコーダー (プレクストーク) CD、SDカード、USBなど複数メディアに対応した デイジープレイヤー。 ※ デイジーとは デシタルアクセシブルインフォメーションシステムの略。視覚障がいのあるかたや通常の書籍を利用することが困難なかたのためのデジタル録音図書の国際標準規格。 ⑤視覚障害者用拡大読書器 カメラで撮影した映像をモニターに大きく表示する読書専用のビデオ機器です。 カラーだけでなくコントラストを協調した白黒、白黒反転などの表示ができるものや、テーブルを操作することで、原稿を読み進むことが可能なものもあります。 据置型、携帯型、音声型などがあります。 ⑥地デジ音声対応ラジオ 地デジテレビ(ワンセグ放送)とAM、FMラジオを聞くことができる、音声ガイド付きの卓上ラジオ。「テレビの音声が聞ける」ラジオの感覚そのままに利用できます。 ⑦音声ICタグレコーダー (タッチボイス) タッチ式のボイスレコーダー「タッチボイス」は、ペンの形をした録音再生装置です。特殊印刷されたシールにペンの先端をあて、ボタンを押しながら録音すると、ペンでシールに触れるたびに録音した音声を聞くことができます。 録音データは内蔵のMicroSDカードに保存され、取り出し可能です。 ⑧人工喉頭  喉頭がんなどで喉頭を摘出されたかた、人工呼吸器の使用などで気管切開されたかた、ALSや筋ジストロフィー、神経難病や誤嚥防止術など声帯からの発声が困難なかた、食道発声やシャントのかたも食事中の代用発声として広く使用することができる発声補助器具です。 あごした周辺に当てた振動を口の中に響かせ、舌や口の動きで振動音を言葉にして発声することができます。   (人工喉頭 ユアトーン製品写真)     (人工喉頭 ユアトーン使用写真)   ⑨福祉電話 ・シルバーホンひびき(聴覚障がい者向け) 骨伝導式のハンドセットを搭載した電話機。相手の声を、頭部(耳のうしろ)などの骨に振動させて伝えます。電話の声が聞き取りにくいかたに便利です。  ・シルバーホン ふれあいエスツー(肢体不自由のかた向け) 呼気スイッチや制御スイッチを接続すれば手を使わずにダイヤルでき、身体の不自由なかたが電話を掛けることができます。 ⑩アイフォーン、アイパッドなど アイフォーンやアイパッドには障がいのあるかたが使用するための様々な機能が搭載されています。VoiceOver(画面読み上げ機能)や、ディスプレイの調整(色の反転等)、画面のズーム機能、表示とバイブレーションによる通知機能、音声入力、他社製のキーボードへの対応等。 また、視覚障がいのあるかたがアイフォーンを使えるようにサポートする「視覚障害者向け使い方教室 フォーアイフォーン」というアプリケーションもあります。 ⑪歩行時間延長信号機用小型送信機 歩行時間延長信号機では、歩行者用の青色点灯時間を通常より長くしたり、信号機の操作ボタンを直接押すことなく、遠隔で操作ができます。 ⑫聴覚障がい者用屋内信号装置 来客のチャイム、電話の着信音、目覚ましのアラーム、赤ちゃんの泣き声、火災報知機等のセンサー等を感知します。感知すると無線信号を発信し、受信機は振動、フラッシュ、アラーム等で知らせます。 ⑬音声色彩判別装置 (カラリーノ) 色を知りたい場合、対象物に当ててボタンを押すと音声で色彩を教えてくれます。また、明るさを音の違いでお知らせする光度測定機能も備えています。 ⑭盲人用時計 文字盤を点で表し直接てで触れて確認できる腕時計や、ボタンを押すことで自動的に音声で時刻をお知らせするという設計で視力の弱いかたでも時刻を確認することのできる腕時計です。 ⑮盲人用体温計 体温を音声で知らせます。 ⑯盲人用体重計 体重、体脂肪率、基礎代謝、BMI、内臓脂肪レベル、筋肉量、推定骨量、体内年齢、体水分率などを測定し音声で知らせます。 ⑰盲人用血圧計 最高・最低血圧、脈拍を測定し、音声で知らせます。 (3)その他障がいのあるかたを支援するアプリケーション ①Uni-Voiceブラインド 音声コードUni-Voiceに格納されているテキスト情報をスマートフォンの画面に表示し、音声合成機能で自動的に読み上げるスマートフォン、タブレット用の無料アプリケーション。 Uni-Voiceブラインドでは、視覚障がいのあるかたの操作を可能にするためにVoiceOver対応の操作をすることができます。 ②ボイスオブデイジー デイジー録音図書を再生するアイパッド、アイフォン、アイパッド専用のアプリケーションです。 ③ユーディーキャスト 映画・映像・放送等の音声解説や字幕情報をスマートフォン等の携帯端末を通じて再生することのできるアプリケーションです。 映画や放送番組、Web動画、展示施設などに対して、障がいや言語の壁を越えて誰もが情報を得ることができることを目的としています。 ④ブラインドスクエア 視覚障がいのあるかたのために開発されたアプリケーションであり、現在いる地点の環境について説明してくれると同時に、現在地周辺の施設や交差点が音声ガイドされます。また、電車や車で移動していることを検知し、次の駅等を読み上げてくれます。 ⑤マネーリーダーなど 通貨を瞬時に認識し、紙幣の額面金額を読み上げます。買い物中にお金を確認したり、おつりの金額の確認にも使えます。紙幣を素早く簡単に分類するのに便利です。 ⑥OCRなど 画像や写真から文字を認識するアプリケーション。音声読み上げ機能を使うことで、  印刷物等の内容を音声で知ることができます。 ⑦ライトディテクター 光を検知し、音で知らせるアプリケーションです。明るければ大きな音で知らせ、光が少なければ音も小さくなります。視覚障がいのあるかたが部屋の電気がついているかどうか知りたいときや、日光の差し加減等を知りたいときに使うことができます。 ⑧TapTapSee 視覚障がいのあるかたが物を識別するために作られたアプリケーション。対象をカメラで撮影すると、写った物が何であるかを音声で読み上げてくれます。