第3章 こんな時、こうしよう 4災害時の配慮 どうでは、災害時の障がいのあるかた等に対する避難支援や避難所運営を担う市町村等のため、「災害時における高齢者・障がい者等の支援対策の手引き」、「災害時の障がい者支援対策等の事例集」を作成しています。 障がいのあるかたが地域で安心して暮らすためには、平常時から、災害による生活環境の変化などに対応でき、必要なときに適切な支援が受けられる地域の体制づくりを進めることが必要です。 避難誘導や避難所での支援には、障がい特性に配慮できる人材の確保などが必要であり、平常時から、事業所や関係団体、民生委員、ボランティア等との連携を図り、災害時に備えた地域づくりを進めなければなりません。 (1)災害に備えた情報伝達手段 障がいのあるかたが災害時に避難情報を入手し、適切に避難するためには、情報の伝達、避難誘導、安否確認の仕組みが機能するよう備えることが必要です。 市町村や地域の人たちが、地域に住む障がいのあるかたを意識して取組を行うことは、障がいのあるかたが日頃から安心して生活を送れるようにする上で欠かせません。 障がいのあるかたなどの避難行動要支援者の名簿を作成すること、避難行動のための個別計画を作成すること、地域での防災訓練等を通じてこれらの仕組みが有効に機能するように取り組みましょう。防災訓練の実施に当たっては、避難行動要支援者と避難支援関係者の両者の参加を求め、情報伝達や、避難支援等について実際に機能するか点検します。 避難情報を単独で入手できないかた、情報の理解が難しいかたには、地域の避難支援者や家族による支援が求められます。 また、障がい特性に応じたICTの活用なども、情報伝達手段として有効です。 市町村が地域で行う情報伝達手段以外に利用できるものとして、どうで開設している「北海道防災情報」等があります。 (参考)「北海道防災情報」 ホームページアドレス https://www.bousai-hokkaido.jp/ (2)避難及び安否確認 障がいのあるかたの避難を誘導する際には、それぞれの障がい特性に配慮した情報提供が求められます。特に、視覚障がいや聴覚障がいのあるかたには危険な状況が伝わりにくい場合があるので、そのかたに応じた手段で確実に伝えるようにします。 在宅生活をしている障がいのあるかたの安否確認は障がい等に配慮した方法をあらかじめ定めておき、災害発生時等に早急に確実に行われる必要があります。 また、身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)は「身体障害者補助犬法」により、公共的な施設を身体障がいのあるかたが利用する場合に同伴を認められていますが、 補助犬が避難所内に同伴することにより、たの避難者がアレルギー等を起こす可能性がある場合は、身体障がいのあるかたと補助犬に別室を準備するなどの配慮が必要となります。 病院や施設から避難する場合は、個別の疾患や服薬に関する情報、求められる支援内容等が避難先で確実に引き継がれるよう留意することが重要です。 (3)避難所での情報提供 避難所では、食事や物資の配布など日頃の生活上の情報提供のほか、自宅周辺の復旧情報や、仮設住宅等の入居に関する情報など、被災者の今後の生活再建のために重要な情報が多く提供されます。 放送、掲示板、文書の配布、代読、手話通訳・要約筆記など様々な情報伝達手段を用いることで、確実に情報伝達がなされるよう留意する必要があります。 また、自分ができる支援(手話通訳、看護師、介護職等)、または自分に必要な支援(要筆談、要介助等)を掲載した名札等を身につけ、人間関係の構築と共助を進めることも必要となります。 名札等は見やすい大きめの文字やルビ(ふりがな)つきで表示することが望ましいです。 障がいのあるかたへの支援や配慮が利用できる時間や場所が限られる場合、それらを必要なかたが確実に利用できるよう留意する必要があります。 障がい特性によっては避難所での共同生活が困難な場合もあることに留意し、生活場所や情報の伝達手段などで配慮することが望ましいです。 定期的な服薬や医療的ケアが必要なかたに対しては、利用可能な医療サービスの存在や申出方法の周知など、医療関係者と連携した情報提供が求められます。    (参考)「避難所における視聴覚障害者等に対する情報・コミュニケーション支援について(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室)」 (4)災害時に役立つ支援機器・必要な設備等 ①電子黒板やホワイトボード ②筆談ボード 筆談ができるような小さめのホワイトボード等も有効です。 ③聴覚障がい者用情報受信装置(アイ・ドラゴン) 目で聴くテレビ「アイ・ドラゴン」は聴覚障がいのあるかた向けのIPTV(インターネット回線)専用受信機です。手話を取り入れた独自の番組や、一般の地上波放送で字幕のない番組にも一部、字幕と手話通訳を付けて放送しています。 また、緊急災害放送も手話通訳で見ることができます。 (アイドラゴンの製品写真) ④UDトーク(アプリケーション) 音声認識技術を使って会話やスピーチ等をリアルタイムに文字化することができるアプリケーションです。 その他にも、多言語音声認識・翻訳機能により外国人とのコミュニケーションに使用したり、読み仮名表示や漢字かな変換機能を使って知的障がいのあるかたや 世代間とのコミュニケーションの支援に使用するなど、様々な場面において活用することができます。 ⑤歩行誘導マットやスロープ 避難所等において、視覚障がいのあるかたや身体に障がいのあるかたの移動を補助するため取り外し可能な歩行誘導マットやスロープを備えておくと良いでしょう。 ⑥はくじょう 避難時に持ち忘れる場合も多いため、用意しておくと良いでしょう。 避難所等における視聴覚障害者等に対する情報・コミュニケーション支援について(例) (別紙) 視覚障害の場合 安否の確認 被災地域の要援護者を確認 ・放送やハンドマイク等を使用し、避難所及び周辺地区で、声をかけて確認。 ニーズの把握 障害特性に応じた支援内容 ・障害の程度(全盲・弱視など)や情報取得方法(点字・音声・拡大文字など)等を確認し、必要な支援を把握する。 関係者との連携 避難所等における活動 ・行政、視覚障害者協会、視覚障害者情報提供施設、保健師等が連携し、ボランティアを効果的に活用する。 避難所の説明 トイレや風呂、配給場所など ・ボランティア等を活用し、場所や使用方法、状況の変化などを適切に伝える。 情報の共有 食料、救援物資の配給など ・放送やハンドマイク等を使用し、必要に応じて個別に対応するなど、最新の情報を確実に伝える。(悪い例「張り紙を見てください。」など) 機材・物品・共用品・消耗品の手配など ・ラジオ ・テレビ(解説放送) ・乾電池(ラジオなど)など 聴覚障害の場合 安否の確認 被災地域の要援護者を確認 ・プラカードを使用し、避難所及び周辺地区で確認。(「聞こえない人はいませんか?」など) ・手話通訳者、要約筆記者などは腕章等を着用(「手話できます」「耳マーク」の活用など) ニーズの把握 障害特性に応じた支援内容 ・障害の程度(聞こえの状態など)や情報取得方法(手話・文字・補聴器など)等を確認し、必要な支援を把握する。 関係者との連携 避難所等における活動 ・行政、視覚障害者協会、視覚障害者情報提供施設、保健師等が連携し、ボランティアを効果的に活用する。 避難所の説明 トイレや風呂、配給場所など ・ボランティアやホワイトボード等を活用し、場所や使用方法、状況の変化などを適切に伝える。 情報の共有 食料、救援物資の配給など ・プラカードやホワイトボード等を使用し、必要に応じて個別に対応するなど、最新の情報を確実に伝える。(悪い例「1時の放送を聞いてください。」など) 機材・物品 共用品・消耗品の手配など ・テレビ(字幕・手話放送) ・ホワイトボード(設置型、携帯型) ・補聴器用電池など