第3章 こんな時、こうしよう 3 会議やイベントの開催 (1)審議会等の傍聴可能な会議・どうみんが参加するイベント等を開催する場合  審議会・協議会等のどうみんが傍聴できる会議や、広くどうみんが参加できるイベント等を開催する場合には、障がいのあるかたが含まれていることを念頭に置いて、障がいのあるかたも同じように参加できるよう、情報保障に対応します。 ①事前の案内 ・案内を行う際には、情報保障の申込方法について併せて案内します。 ・申込期限は可能な限り長めに設定します。 ・障がいのあるかたの参加が多数見込まれる場合は、あらかじめ情報保障(手話通訳や要約筆記)を用意し、情報保障に対応したイベント等であることを案内します。 ②情報保障等の受付  受付時は、必要とする情報保障の詳細まで確認します。 区分 障がい種別  確認のポイント 資料の形式等  障がい者種別 全般 ○申込者が閲覧できる資料の形式等を確認します。 障害種別 視覚障がい  ○拡大文字のポイント、データで提供の場合の形式、点訳の範囲(全資料か概要のみか)を確認します。 会場での通訳・介助 障がい種別 聴覚障がい  ○障がいのあるかたが多く参加されることが見込まれる場合や、主催者側で通訳等を手配することが適当な場合は、手話通訳や要約筆記等を手配します。 来場方法  障がい種別 肢体不自由 ○公共交通機関の利用が難しく、自家用車での来場を希望する場合は、駐車場が必要となる場合も想定されます。会場に駐車場が確保できない場合は、その旨あらかじめ伝える必要があります。 ※車いす使用者は車いすの乗降スペースが必要であるため、一般駐車場の利用では難しい場合があります。 ※下肢障がいのあるかたは、移動が困難であるため、可能な限り入り口付近の駐車を用意するなどの配慮が必要です。   ③情報保障の準備 ○申込や状況に応じて手話通訳者・要約筆記者等の意思疎通支援者の手配や点字資料、拡大文字資料の作成等を行います。 ○意思疎通支援者にも委員に配布する資料と同じものを渡します。 ④当日の対応 区分 障がい種別 対応のポイント 会場設営 障がい種別全般 ○可能な限り情報保障・バリアフリーに対応した会場を設営します。 障がい種別 視覚障がい、肢体不自由 ○入り口から近く、座りやすい優先席を確保します。 障がい種別 聴覚障がい、盲ろう ○手話通訳等を見やすい情報保障席の設置(弱視ろうのかたなど、ごく近い位置での手話でなければ見えないかたなどには、特に配席やモニターの活用を検討します。 ○要約筆記等が表示される情報保障のスクリーンは、登壇者やメインスクリーンとできるだけ離れないように設置します。 ○聴覚障がいのあるかたに見やすさを確認します。 障がい種別 肢体不自由 ○車いす席の設置、配線等の養生をします。 ○医療行為の必要なかたには呼吸器等に使用する電源を確保します。 案内・誘導 障がい種別 全般 ○本人に確認し、必要があれば優先席・情報保障席に案内します。 当日の進行 障がい種別 全般 ○参加者にアンケートの記載をお願いする場合など、代筆が必要かどうか確認し対応します。 (2)障がいのあるかたを委員等とする会議を開催する場合 ①出席者が必要とする情報保障等の確認 区分 障がい種別 確認のポイント 資料の形式等 障がい種別 全般 ○出席者が閲覧できる資料の形式等を確認します。 障がい種別 視覚障がい ○拡大文字のポイント、データで提供の場合の形式、点訳の範囲(全資料か概要のみか)を確認します。 障がい種別 知的障がい ○資料にルビ(ふりがな)を振ります。 会場での通訳・介助  障がい種別 全般 ○会場での必要な通訳等を確認します。 障がい種別 聴覚障がい ○手話通訳や要約筆記等が必要かどうか確認します。(弱視ろうのかたなど、ごく近い位置での手話でなければ見えないかた等には、特に配席やモニターの活用を検討します。) ※要約筆記には手書きとパソコンがあるので、どちらの方法が良いかはご本人の希望を確認します。(道内では要約筆記者が少ないため、手書き・パソコンの希望に添えない場合があるので留意しましょう。) 障がい種別 盲ろう ○通訳・介助員が必要かを確認します。 来場方法  障がい種別 全般 ○肢体不自由や視覚障がいのあるかたは、来場方法について確認します。 障がい種別 肢体不自由 ○公共交通機関の利用が難しく、自家用車での来場を希望する場合は、駐車場が必要となる場合も想定されます。会場に駐車場が確保できない場合は、その旨あらかじめ伝える必要があります。 ※車いす使用者は車いすの乗降スペースが必要であるため、一般駐車場の利用では難しい場合があります。 ※下肢障がいのあるかたは、移動が困難であるため、可能な限り入り口付近の駐車場を用意するなどの配慮が必要です。 障がい種別 視覚障がい、盲ろう ○自力での来場が難しい場合、バス停や地下鉄の駅などで待ち合わせをして案内するなどの配慮が必要です。 ②情報保障の準備 ・出席者に応じて、手話通訳や要約筆記等、盲ろうのかたへの通訳・介助の手配や点字資料、拡大文字資料の作成等を行います。 ・資料の確認には時間がかかる場合があるので、情報保障に対応した形式で事前に送付するよう配慮します。また、たの出席者には当日配布する場合であっても、事前に送るようにします。 ・手話通訳者・要約筆記者等の意思疎通支援者にも委員に配布する資料と同じものを渡します。また、非公開であっても、通訳者の同席は認めるようにします。 ・知的障がいのある出席者がいる場合は、必要に応じて、事前に会議内容を説明する機会を設けます。 ・知的障がいのあるかたが会議の進行について意思表示したり、自分の意見を述べやすいように「3色カード」や「イエローカード、レッドカード」等を用意します。 《3色カード》 青色:「どういします。わかります」 黄色:「ゆっくり。もうすこしわかりやすく。」 あか色:「ストップしてください。」「むずかしいことばがあります。」   ③当日の対応 区分  障がい種別  対応のポイント 会場設営 障がい種別 視覚障がい、肢体不自由、盲ろう ○入り口から近く、座りやすい席を用意します。 障がい種別 聴覚障がい、盲ろう ○通訳者の席を用意し、確認します。 ○情報保障の提示方法を確認し、機材を用意します。 障がい種別 肢体不自由 ○配線等を養生します。 ○医療行為の必要なかたには呼吸器等に使用する電源を確保します。 案内・誘導 障がい種別 視覚障がい、盲ろう ○一人での来場が難しい出席者がいる場合には、事前に決めた待ち合わせ場所から案内します。 ○席に着いたら、机上の席の資料や飲み物等の位置を確認します。 ○会場内での移動が必要になった場合には誘導します。 会議の進行 障がい種別 全般 ○情報保障に対応し、ゆっくり、丁寧に会議を進行できるよう、余裕のある時間設定をします。 ○要約筆記が会場全体にスクリーン表示している場合、進行担当は適宜スクリーンを確認します。 ○長時間の会議になる場合は、適宜休憩時間を設けるようにします。 ○会議開始時に、全体の流れや時間をあらかじめ伝えるようにします。 (3)各工程のポイント ①情報保障の受付・手配 ・情報保障の対応が必要な場合は、相手方に必要とする資料の形式や会場での通訳・介助員の対応など、よく確認する必要があります。 同じ障がいであっても、障がいの程度や情報取得手段の違いから、必要な情報保障が異なる場合がありますので、丁寧に確認しましょう。 ・通訳者等の手配、点字資料の作成は外部団体への依頼が必要です。 ②資料の作成 資料の種類作成上のポイント 点字資料 ○点字文書を作成するには、パソコン、点字文書作成用ソフト、点字プリンターのほか、点字の確認も必要となるため、点訳を行う団体に依頼する必要があります。 ○依頼から完成までの期間は、資料の量等により異なりますので、あらかじめ確認し、依頼します。 ○団体に点訳を依頼する際には 氏名や特殊な読みかたの漢字にはルビ(ふりがな)を振ります。 表・図・グラフなど、文章中の文字以外の箇所は、文章で表記します。 拡大文字資料 ○弱視の人などが読みやすいよう、文字のポイントを大きく、太くして作成します ○文字の大きさは22ポイントが標準とされていますが、本人に確認して提供します。 また、本人のパソコンやタブレット端末で拡大表示して確認するため、電子データの提供を希望される場合もあります。 テキストデータ ○視覚障がいのあるかた等に対しては、データを提供することで音声読み上げソフト等により、情報を取得することができます。 ○本人が必要とするデータ形式(word,excel,textなど)を確認します。 ○表・図・グラフなど、文章中の文字以外の箇所は、文章で表記します。 ルビ(ふりがな)つき資料 ○ 知的障がいのあるかたの中には、漢字を読むことが苦手なかたもいますので、ルビ(ふりがな)を振った資料を求められた場合には対応します。 ③会場設営   ア 手話通訳者の配置  ・会議の内容や規模、手話通訳者を必要とするかたのかずによって、手話通訳者の配置に配慮が必要です。 ・手話通訳を必要とするかたが複数おり、会場全体へ手話通訳を行う場合には、手話通訳が見やすい席(情報保障席)を確保します。 ・手話通訳を必要とするかたが複数いる場合 → 全体手話通訳者 グループワークなど → 個別手話通訳者 (北海道施策推進審議会意思疎通支援部会における手話通訳の様子の写真が挿入) 通訳の対象 通訳の配置場所のポイント イベント等会場全体(全体手話通訳者) ○ステージイベント等で会場全体へ手話通訳を行う場合は、司会者や演者の隣に手話通訳者を配置します。 ○要約筆記スクリーンがある場合は、情報保障席に座る傍聴者が両方を見える場所に配置します。 会議の出席者(個人)(個別手話通訳者) ○出席者への手話通訳の配置は、出席者と対面になるように配置します。 会議の傍聴席(全体手話通訳者) ○傍聴席全体へ手話通訳を行う場合は、可能な限り手話通訳が必要なかたの席(情報保障席)をあらかじめ設定し、見やすい位置に配置します。 ○要約筆記スクリーンがある場合は、情報保障席に座る傍聴者が両方を見える場所に配置します。  イ 要約筆記者の配置等  ○要約筆記の方法 ・手話通訳と同様に会議の内容や規模、要約筆記等を必要とするかたのかずにより個人に対して行う場合と会場全体に向けて行う場合があります。 ・要約筆記には手書きとパソコンを使用する場合があります。 対象 要約筆記の方法  表示方法 個人 手書き 要約筆記の内容が用紙(A4)に表示されます。 パソコン 要約筆記の内容が出席者の手元のパソコンに表示されます。 会場全体 手書き、パソコン 要約筆記の内容を会場全体に向けスクリーン投影します。(OHC(OHP)やプロジェクター等を使用します。) ○要約筆記者の配置 ・個人に対しての要約筆記、会場全体に対しての要約筆記のいずれにしても、要約筆記者は要約筆記する発言等がよく聞こえる場所に配置します。 ・要約筆記は原則2人以上で1組として活動します。要約筆記を行うにあたり必要なスペースなど、事前に確認が必要です。 ・要約筆記を会場全体に向けて行う場合、スクリーン、プロジェクター(手書きの場合はOHC(OHP))等の機材を使用します。こちらで機材を用意する必要があるかなど、依頼する団体へ確認します。 対象  要約筆記の方法  配置のポイント 会議の出席者(個人) 手書き ○出席者の隣の席もしくは両隣の席に要約筆記者を配置します。 ○ 会場全体へスクリーン投影する場合はOHC(OHP)を設置し、プロジェクターにつなぎ投影します。 パソコン ○出席者の机上のパソコンにつなぎます。 ○会場全体へスクリーン投影する場合も、同じ端末からプロジェクターにつなぐことで投影できます。 イベント等会場全体 手書き、パソコン ○スクリーンは情報保障席から見やすい場所に配置します。 (北海道施策推進審議会意思疎通支援部会のパソコン要約筆記の様子の写真挿入) ウ 盲ろう者通訳・介助員の配置 盲ろう者通訳・介助員は通訳方法に応じ、出席者と盲ろう者通訳・介助員に確認して配置します。 ④会議の進行 ・情報保障の内容により、たの出席者と同じスピードで情報を得られる訳ではありません。配慮が必要な出席者が得ている情報の状況についても配慮し、進行する必要があります。 ・点字資料や拡大文字版の資料などは、点訳等をしていない資料と比べ、ページ数が多くなります。このため、資料の説明の際にはそれぞれの資料のページ番号を確認する必要があります。 ・視覚障がいのあるかたや聴覚障がいのあるかた、盲ろうのかたが出席している場合は、誰が発言しているかがわかるよう、発言者ははじめに所属と名前を言ってから発言するようにします。 ・「あれ」「それ」などの指示語は、理解しづらい人もいるので、なるべく使わないようにし、たの参加者にも事前にその旨を周知します。? イベント等の会場設営例 情報保障席について  手話通訳・要約筆記、ヒアリングループ等の情報保障を行う際には、通訳などが見やすい席として、「情報保障席」を設け、参加者にわかるよう表示します。 また、手話通訳と要約筆記などの両方を見ながら、情報を得るかたもいますので、2つの通訳は並べて配置することが望ましいです。  障がいのある方の意向を確認し、必要であれば案内するようにします。 会議等の会場設営例 ・車いすを使用する方や視覚に障がいのある方などは、会場の奥まで移動することが難しい場合があるので、入口付近に席を設けるようにします。 ・盲ろうの方や手話を必要とする方、要約筆記を必要とする方の座席の配置に注意する。 ・傍聴者に手話通訳を必要とする方がいる場合は、会場の広さなどを考慮の上、傍聴者用の手話通訳を配置します。