第3章 こんな時、こうしよう 1文書や通知文を作成・送付する際のポイント 2来訪時の配慮 3会議やイベントの開催 4災害時の配慮 5情報保障に役立つ機器等について 第3章では行政において想定される様々な場面において、障がいのあるかたに対して必要とされる配慮をまとめました。 複数の障がい種別に共通して求められる配慮や、個別の障がい種別に応じた配慮もあるほか、場合によってはこの指針に書かれている配慮では不十分なこともあります。 また、同じ障がい種別であっても、ひとりひとり、障がいの程度等によって必要とされる配慮は異なります。障がいのあるかたもないかたも、実質的に同等の情報を得ることができ、また、意思を十分に伝えることができるよう、この指針を活用し、そのかたに応じた配慮を意識しながら行動することを心掛けましょう。 1文書や通知文を作成・送付する際のポイント (1)全般 回答や応募に期限を設ける場合は、情報の入手・読み取り・理解に時間を要するかたであっても対応できるよう、余裕を持って設定します。 (2)視覚障がいのあるかた  視覚障がいのあるかたであっても、障がいの程度や状態によって、適切な対応は異なるため、障がいのあるかたのニーズを事前に把握します。 ①点字の場合 点字文書を作成するには、パソコン、点字文書作成用ソフト、点字プリンターのほか、点字の確認も必要となるため、点訳を行う団体に依頼する必要があります。 依頼から完成までの納期や費用は団体によって異なります。納期については、資料等の量にもよりますが、基となる資料はできるだけ早めに作成します。 なお、点字を必要とする文字数が少ない場合や緊急の場合には、小型点字器等を用いることもできます。 ②拡大文字の場合 文字の字体、大きさ、太さ、間隔、コントラストに注意します。視野が狭い場合など、大きすぎる文字は読みづらくなるので、あらかじめ資料等を必要とするかたの読みやすい大きさ等を確認しておくことが最適です。 (標準的な拡大文字資料の例)  字体 ゴシック体が読みやすいとされています。 ポイント・太さ 22ポイントが標準とされていますが、本人に確認して提供してください。 あまり細い線は認識できません。 間隔 詰まりすぎていると字の識別が難しいです。 ページ数 長文の資料では、元の資料のページ数が分かるようにしましょう。 ③書類をデータで送付する場合 ア テキストデータの作成 ・視覚障がいのあるかた等に対しては、データを提供することで音声読み上げソフト等により、情報を取得することができます。 ・本人が必要とするデータ形式(word,excel,textなど)を確認します。 ・表・図・グラフなど、文章中の文字以外の箇所は、文章で表記します。 イ 視覚障がいのあるかたにメールを送付する場合 視覚障がいのあるかたにメールにより情報を提供する場合は、可能な限りファイルを添付するのではなく、メール本文内にその内容を記載します。 また、添付ファイルがある場合は、同様の内容をメール本文に記載することが望ましいです。 ④その他 複数の色を使う場合は、カラーユニバーサルデザインの観点から、適切な色の組み合わせを用いるよう配慮しましょう。 (見えやすい配色の例) 青色としろ色 緑色としろ色 青色と黄色 あか色としろ色 緑色の明暗 くろ色と黄色 (3)聴覚障がい・音声機能障がいのあるかた 問合せ先には電話番号のほか、FAX番号やメールアドレスも併記し、音声による会話以外の連絡手段も利用できるようにしましょう。 また、可能であればビデオ通話等(スカイプ,フェイスタイム等)を使った手話による問合せにも対応できるようにします。 (4)盲ろうのかた 障がいの状態や程度は様々であるため、事前にニーズ(文字の大きさや文字以外の方法等)を把握することが望ましいです。 (5)知的障がいのあるかた 大勢の人に内容が伝わりやすく、わかりやすい表現を心がけます。特に、知的障がいのあるかたに対して配慮する場合には、次の点に留意しましょう。 ①文書や資料にはルビ(ふりがな)を振り、行間を広めにとります。 ②抽象的な表現は避け、できるだけ平易な言葉で具体的に表現します。 ③文章は短く、わかりやすい表現にします。 ④絵や記号を用いると、さらにわかりやすくなる場合もあります。 (6)発達障がいのあるかた 読むことが苦手なかたには、行間を広げる、線を引くなどして、読む部分を明確にするようにします。 (7)電子メールを利用するとき ・電子メールでの情報提供や申込の受付が行えるよう努めます。 ・電子メールで文書を提供する際は、その人の状況や利用環境に応じて、ファイル形式や添付ファイルの有無の希望について確認することが望ましいです。