第2章 障がいの特性と必要な配慮の基本 9 発達障がい 発達障がいは、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障がいです。 近年、自閉症やアスペルガー症候群は、自閉症スペクトラムと呼ばれることもあります。  「スペクトラム」とは連続体という意味でそれぞれの障がい特性等に切れ目がない、繋がっているという状態を示しています。 また、いくつかの発達障がいの特性を有するかたもいますので、どのような配慮が必要かは個人により大きく異なります。 障がいの特性 ・自閉症  @対人関係の障がい、Aコミュニケーションの障がい、B限定したじょう同的(特定の行動を取り続ける)な興味、行動及び活動の3つの特徴がみられます。 ・アスペルガー症候群 「自閉症」の1つのタイプです。自閉症の3つの特徴のうち、@対人関係の障がい、B限定したじょう同的な興味、行動及び活動の2つの特徴を有します。コミュニケーションに目立った支障はなく、知的発達の遅れはほとんどありません。 ・学習障害(LD) 全般的な知的発達に遅れはありませんが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」などの特定の能力を学んだりすることが苦手です。 ・注意欠陥多動性障害(ADHD) 年齢あるいは発達段階にそぐわない不注意・多動性・衝動性を特徴とする行動の障がいです。注意欠如多動性障害ともいわれます。 ・その他の発達障がい トゥレット症候群(まばたき、顔しかめ、首振りのような運動性チックや咳払い、鼻すすり、叫び声のような音声チック)を主症状とするタイプのものも発達障がいの定義に含みます。 意思疎通の手段とポイント ・絵や写真を使って説明したり、短い文で、一つずつ順を追って、具体的にすることを示されると、理解しやすくなる場合があります。 ・話を理解することが苦手な場合は、話の要点を紙に書くなどして、わかりやすく伝えましょう。 ・話すことが苦手な場合には、答えやすい質問をしたり、手本を見せたりしましょう。 ・読むことが苦手な場合には、行間を広げる、線を引く、物差しをあてるなどして、読む部分を明確にしましょう。 ・書くことが苦手な場合には、マス目や行間が広い、書きやすいノートを使いましょう。 ・否定的な言葉に敏感なかたもいます。ポジティブに接しましょう。 配慮のポイント ・顔の表情などから相手の気持ちを推測して行動することが難しい場合があります。 ・同時にたくさんのことを指示されると、適切な優先順位を付けられない場合があります。取り組む順番や、開始時間などをメモで渡すなどの配慮が必要です。 ・お願いや指示をする際には、その都度わかりやすいことばで伝え、取り組みやすいようにしましょう。 ・予測できないことや見通しを持てないと不安や苦痛を感じることがありますので、予定は前もって明確に伝える必要があります。 ・初めてのことに極度の緊張があるかたもいます。強引に接触することは避け、本人が拒否した場合には、無理強いしないようにしましょう。 ・視聴覚・触覚などの感覚が過敏な場合があります。不快な刺激は取り除いてあげましょう。 ・気が散りやすいかたもいますので、そうした場合は集中しやすい環境をつくりましょう。 ・発達障がいのあるかたの中には、たくさんの人がいる場所や狭い空間などで相談や打合せを行っている際にパニック症状を起こすかたもいます。この場合、場所を変え、落ち着くまでクールダウンの時間をとり、落ち着いた後に、再開するか、日を改めるかなどについて、本人の意向を確認し対応します。 ・パニックになっている場合などはただ制止するのではなく、今どうすればいいかをその場で具体的に伝えましょう。 家族からのメッセージ 外見からは分かりにくい障がいであり、その障がい特性は重複しているかたも多く、誤解されることも少なくありません。また、相手の気持ちを敏感に感じ取るかたが多く、障がい者という意識をもって接すると、心を閉ざしてしまうかもしれません。 常に緊張感を持っている方々ということを前提に、言葉がけに配慮していただければと思います。 相談・問合せ先 日本発達障害ネットワーク北海道