第2章 障がいの特性と必要な配慮の基本 4 音声機能・言語機能障がい  先天性または外傷や腫瘍切除等によって生じる音声機能に障がいのあるかたと、 失語症などによる言葉の理解や表現の障がいである言語機能の障がいのかたに分かれます。  聞き取りにくいことなどがありますが、一人一人のかたの状況に応じてコミュニケーションを取りましょう。 障がいの特性 音声機能障がい  喉頭(のど)や発声きん等の音声を発する器官に障がいがあるため、音声や発音、話しかたに障がいのあることです。 例えば、無喉頭、がんなどによる喉頭の摘出手術、発声きん麻痺などにより音声が出ない場合などがありますが、 訓練により食道発声をしたり、人工喉頭を使用したりして会話できるようになるかたもいます。  また、肢体不自由の状態にあるかたのなかにも、発語にかかわる運動機能の障がいによって話しかたが不明瞭になるかたがいます。 失語症  脳の言語中枢が脳梗塞等の脳血管疾患や頭部外傷などにより損傷されることによっておこる言語障がいです。 話すことだけでなく、聞いて理解する、読む、書くなど言語を使用するすべての活動に障がいが起こりますが、 脳の損傷部位や広がりにより、症状や重症度は異なります。  複雑な内容や長い文章は理解されにくく、仮名より漢字の方が理解されやすいのが一般的です。 言いたい言葉が思い浮かばなかったり、違う言葉を言ってしまったりする場合は、聞き手が選択肢を示したり、 「はい/いいえ」で答えられる質問をすると意思表示が容易になります。  また、話し言葉だけに頼らず、身振りや文字、絵、カレンダーや地図などを利用すると、コミュニケーションがとりやすくなります。 意思疎通の手段とポイント ・音声機能障がいのあるかたとの会話は、静かな場所で対応し、落ち着いて話せるようゆっくり話すよう心掛けます。 ・人工喉頭や食道発声を用いるかたは、のどや首に器具や手を当てるために片手を常に使用している場合が多く、  特に電話の際にメモを取るのが難しいです。 ・失語症のかたの場合、社会性や状況判断能力、記憶は保たれているので、場にそぐわない発言があった場合は、  本当に言いたかったことなのか、言われたことが正しく理解できていたのかを確認する必要があります。 配慮のポイント ・外見からだけでは発語に支障があることは分からない場合が多くあります。  また、障がいの内容が詳しく知られていないこともあり、違和感をいだかれたり、不適切な対応をされてしまうことがあります。 ・会話の中では、一つ一つの言葉を聞き取ることが大切です。聞き取りにくい場合は、  ゆっくりと繰り返し確認したり、筆談に切り替えて、きちんと内容を確認してください。 当事者からのメッセージ  視覚や聴覚、肢体の障がいではないので、一般の皆さんにはわかりにくいかもしれませんが、 道内にも多くのかたが音声機能障がいによりコミュニケーションが難しくなっています。  まず、私たちのことを良く知っていただくことからはじめていただければと思います。 相談・問合せ先 ほくれい会