北海道障がい者の意思疎通の総合的な支援に関する条例 目次  前文  第1章 総則(第1条-第9条)  第2章 障がい者の意思疎通の支援に関する基本的施策(第10条-第16条)  附則  全ての人々にとって、日常生活を営む上で意思疎通を円滑に行うことは、必要不可欠である。  障がい者が意思疎通のために使用する手段には、障がいの特性に応じ、点字、音声、手話、ようやくひっき、弱視手話、しょくしゅわ、指点字、指文字、筆記、手書き文字、拡大文字、口文字、重度障害者用意思伝達装置、絵図等の提示、身振り等の合図、ルビ、平易な又は具体的な表現等の態様の異なる数多くのものが存在する。  これらの手段を使用し、障がい者が意思疎通を円滑に行うには、周囲の人々の適切な配慮、意思疎通のための機器、意思疎通を支援する者等が必要とされる。  しかしながら、障がいの特性に応じた多様な手段があることについて人々の理解が進んでいないこともあり、そのような環境はいまだ十分に整っておらず、障がい者の意思疎通に大きな支障が生じている。  それらの社会的障壁を解消するためには、障がい者一人一人の障がいの特性に応じた多様な手段についてのどうみん等の理解の促進、多様な手段の確保及びそれらを使いやすい環境の整備、多様な手段を活用した情報保障の推進並びに意思疎通を支援する者の養成等の推進について、どう、市町村、どうみん、障がい者、意思疎通を支援する者、関係団体及び事業者が、それぞれの役割を認識し、一体となって取り組んでいかなければならない。  このような考え方に立って、障がい者の意思疎通の支援に関する施策を総合的に推進し、障がいの有無にかかわらず、全てのどうみんが個人の尊厳を大切にしながら共生する真に暮らしやすい社会の実現に寄与するため、どうみんの総意としてこの条例を制定する。    第1章 総則  (目的) 第1条 この条例は、障がい者の意思疎通の支援に関し、基本理念を定め、並びにどうの責務並びにどうみん、障がい者、意思疎通支援者、関係団体及び事業者の役割を明らかにするとともに、どうの施策の基本となる事項を定めることにより、障がい者の意思疎通の支援に関する施策を総合的に推進し、もって障がい者の意思疎通の妨げとなる社会的障壁を解消して、障がいの有無にかかわらず全てのどうみんが共生する暮らしやすい社会の実現に資することを目的とする。  (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定める  ところによる。  (1) 障がい 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条第1号に規定する障害をいう。  (2) 障がい者 障害者基本法第2条第1号に規定する障害者をいう。  (3) 社会的障壁 障害者基本法第2条第2号に規定する社会的障壁をいう。  (4) 意思疎通手段 障がい者が視覚、聴覚又は触覚、身体、機器等を活用して意思疎通を図るための手段をいう。  (5) 意思疎通支援者 意思疎通手段を使用する障がい者の意思疎通を支援する者をいう。  (6) 情報保障 障がい者に対して障がい者でない者と同等の情報を確保することをいう。  (基本理念) 第3条 障がい者の意思疎通の支援は、全てのどうみんがその人格と個性を尊重し合い、かつ、相互理解を深めるために、意思疎通に支障が生じている障がい者が多様な意思疎通手段を使用し円滑に意思疎通を行えるよう、障がいの特性に応じて総合的に推進されなければならない。 2 障がい者の意思疎通の支援は、どう、市町村、どうみん、障がい者、意思疎通支援者、関係団体及び事業者の適切な役割分担による協働により推進されなければならない。  (どうの責務) 第4条 どうは、前条に定める基本理念(次条から第8条までにおいて「基本理念」という。)にのっとり、障がい者の意思疎通の支援に関する施策を総合的に推進しなければならない。 2 どうは、前項の施策の推進に当たっては、市町村、どうみん、障がい者、意思疎通支援者、関係団体及び事業者と緊密な連携を図るものとする。 3 どうは、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者の意思疎通の妨げとなる社会的障壁を解消するために必要かつ合理的な配慮をしなければならない。  (どうみんの役割) 第5条 どうみんは、基本理念にのっとり、障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段があること及びこれらが障がい者にとって日常生活を営む上で必要不可欠なものであることについての理解を深めるとともに、障がい者との円滑な意思疎通のための必要な配慮に努めるものとする。  (障がい者の役割) 第6条 障がい者は、基本理念にのっとり、意思疎通手段を現に使用する者の視点から、どうが実施する障がい者の意思疎通の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。  (意思疎通支援者等の役割) 第7条 意思疎通支援者及び関係団体は、基本理念にのっとり、他の意思疎通支援者及び関係団体と相互に連携して、障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段についてのどうみん等の理解の促進に努めるほか、どうが実施する障がい者の意思疎通の支援に関する施策に協力し、障がい者の意思疎通を積極的に支援するよう努めるものとする。  (事業者の役割) 第8条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業を行うに当たり、障がい者が障がいの特性に応じた意思疎通手段を使用できるよう、必要かつ合理的な配慮に努めるとともに、どうが実施する障がい者の意思疎通の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。  (市町村との連携等) 第9条 どうは、障がい者の意思疎通の支援を推進する上で市町村が果たす役割の重要性に鑑み、市町村が行う地域の実情に応じた障がい者の意思疎通の支援に関する取組に対して連携協力するとともに、障がい者の意思疎通の支援に関して必要があると認めるときは、市町村に対し必要な協力を要請するものとする。  第2章 障がい者の意思疎通の支援に関する基本的施策  (施策の基本方針) 第10条 どうは、次に掲げる基本方針に基づき、障がい者の意思疎通の支援に関する施策を総合的に推進するものとする。  (1) 意思疎通手段についてのどうみん等の理解の促進を図ること。  (2) 障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段の確保及びそれらを使いやすい環境の整備を図ること。  (3) 障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段を活用した情報保障の推進を図ること。  (4) 意思疎通支援者の養成及び派遣の推進を図ること。  (北海道障がい者施策推進審議会の意見の聴取) 第11条 知事は、障がい者の意思疎通の支援に関する施策を推進するに当たっては、北海道障がい者施策推進審議会条例(昭和46年北海道条例第20号)第2条の北海道障がい者施策推進審議会の意見を聴くものとする。  (理解の促進) 第12条 どうは、障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段の理解の促進を図るため、当該意思疎通手段の種類、特徴及び活用の方法並びに障がい者の意思疎通の妨げとなる社会的障壁について、どうみん等に対する普及啓発その他の必要な措置を講ずるものとする。  (意思疎通手段の確保等) 第13条 どうは、障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段の確保を図るため、障がい者又は障がい者でない者が意思疎通手段を習得するための取組への支援その他の必要な措置を講ずるものとする。 2 どうは、障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段が使いやすい環境の整備を図るため、公共施設、職場等において、使用可能な意思疎通手段の表示及び意思疎通支援者、機器等の配置の促進その他の必要な措置を講ずるものとする。  (情報保障の推進) 第14条 どうは、障がいの特性に応じた多様な意思疎通手段を活用した情報保障の推進を図るため、これらによる情報発信の推進その他の必要な措置を講ずるものとする。  (意思疎通支援者の養成等の推進) 第15条 どうは、意思疎通支援者の養成及び派遣の推進を図るため、人材確保を目的とした意思疎通支援者の取組の周知、その養成又は技能の維持若しくは向上のための研修、その派遣に係る体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。  (財政上の措置) 第16条 どうは、障がい者の意思疎通の支援に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。    附 則 1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。 2 知事は、この条例の施行の日から起算して5年を経過するごとに、社会経済情勢の変化等を勘案し、この条例の施行の状況等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。