国民健康保険の手引き 日本では、全ての国民が何らかの公的医療保険に加入し、お互いの医療費を支え合う「国民皆保険」制度が導入されています。これは、日本に在留資格のある外国人の方も同様に加入することとなります。    その中には、企業の従業員が対象となる「被用者保険」と、被用者保険以外の方が加入し、都道府県や市町村が協同で運営する「国民健康保険」の2つがあります。  この手引きは、日本の国民健康保険のしくみや手続きなどを、北海道にお住まいの外国人のみなさまに理解していただくために作成したものです。  国民健康保険に関するご質問などは、お住まいの市町村へお問い合わせください。なお、手続やお問い合わせの際には、パスポート及び在留カードを忘れずにお持ちください。 1 国民健康保険(国保)の制度とは 国民健康保険は、病気やけがにそなえて、安心して医療が受けられるように、加入者がそれぞれ保険料(保険税)を出し合い、そこから医療費を支払う助け合いの制度です。 2 国保に加入する外国人 北海道の各市町村に住民登録をしている外国人の方は、次のいずれかに該当する方を除き、国民健康保険に加入する義務があります。 ・ 在留期間が3か月以下の方。ただし、在留期間が3か月以下でも、在留資格が「興行」「技能実習」「家族滞在」「公用」「特定活動」の場合で、資料により3か月を超えて滞在すると認められる方は加入できます。 ・ 在留資格が「短期滞在」「外交」の方 ・ 在留資格が「特定活動」のうち、「医療目的で入国した方とその付き添いの方」もしくは、「観光、保養目的の方」 ・ 不法滞在など、在留資格のない方 ・ 職場の被用者保険に加入している方 ・ 生活保護を受けている方 ・ 75歳以上の方(後期高齢者医療制度の対象です) ・ 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国の方で、本国政府から社会保険加入証明書(適用証明書)の交付を受けている方 日本と医療保険を含む社会保障協定を結んでいる国 アメリカ、ベルギー、フランス、オランダ、チェコ、スイス、ハンガリー、ルクセンブルグ(令和元年10月現在) 注意 本来の在留資格と異なる活動を行っていることが判明した場合、国保の資格が失われる場合があります。 3 国保の届出 (1) 国保に加入するとき 国保の届出は、世帯主がまとめて行います。国保に加入する方は、国保の資格が発生した日(※)から14日以内にお住まいの市町村に届出してください。 ・ 日本に入国した日 ・ 生まれた日 ・ 日本の他市町村から転入した日 ・ 他の健康保険をやめた日 ・ 生活保護が廃止された日 届出が遅れると ・ 届出前にかかった医療費は、やむを得ない理由があると認められる場合を除き、全額自己負担となります。 ・ 保険料(税)は、資格が発生した日までさかのぼって発生します。 (2) 国保をやめるとき 母国に帰国される場合や、日本の他の市町村へ転出される場合、また職場の健康保険など別の医療保険に加入する場合は、お住まいの市町村で国保をやめる届出と保険証の返還が必要です。 届出を行わないと ・ 国保の資格が失われた翌日から保険証が使えなくなります。うっかり使って医療を受けてしまった場合、医療費の返還が必要となります。 ・ 届出をしていない場合、不要な保険料(税)がかかり続けてしまいます。 (3)有効期限が切れたとき 保険証の有効期限は、保険証の右上に記載されています。原則、在留期間の翌日までです。在留期間が更新された場合、保険証も更新しますので、お住まいの市町村で届出してください。 4 保険証は大切に 国保に加入すると、保険証が交付されます。保険証は、国保に加入していることを証明し、病院などに受診するときに必要になりますので、大切に取扱いましょう。 保険証の正しい使い方 ・ 交付されたら、記載事項に間違いがないか確認しましょう。 勝手に書き直すと無効になる場合があります。 ・ 病院などに受診するときは、必ず提示しましょう。 ・ 他人との貸し借りはできません。法律により罰せされます。 ・ 有効期限が切れたものは使えません。 ・ 紛失したり破損した場合は、再交付の申請をしてください。 保険証が使えないとき ・ 病院で保険適用できない治療などの場合(健康診断、人間ドック、美容整形、歯列矯正、軽度のわきがやしみ、正常な出産など) ・ 業務上のけがの場合(労災保険の対象です) ・ 給付制限となる場合(故意の犯罪行為、けんかや泥酔など) 5 国保で受けられる給付 (1) 療養の給付 保険証を病院などの窓口で提示することで、医療費の一部を負担するだけで医療を受けることができます。なお、負担する医療費の割合は、年齢などによって異なります。 義務教育就学前 2割 義務教育就学後から70歳未満まで 3割 70歳以上75歳未満 2割または3割 交通事故などにあったとき ・ 交通事故など第三者の行為によってけがをしたときは、第三者の負担が原則です。 ・ なお、国保の保険証を使用したいときは、市町村へ届出が必要な場合がありますので、ご相談ください。 (2) 療養費 次のような場合は、医療費の全額を病院などに支払ってから、国保の窓口で申請してください。 市町村が申請内容を審査し、申請が認められた場合には、自己負担分を除く金額が療養費として後日支給されます。  @ 急病などでやむを得ず保険証を持たずに受診したとき  A 医師が必要と認め、コルセットなどの治療用装具をつくったとき  B 医師が必要と認めた、柔道整復・はり・きゅう・あん摩・マッサージの施術を受けたとき  C 海外渡航中(治療目的で渡航した場合を除く)に急病やけがにより、やむを得ず治療を受けたとき。 海外療養費に関する注意 ・ 海外療養費の支給対象となるのは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。 ・ 治療目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。  ・ 海外療養費の申請には、受診した海外の病院などの医師が記入した専用の証明書が必要になります。急病などに備えるため、持参して渡航するようにしましょう。様式については、お住まいの市町村にご相談ください。 (3) 高額療養費 1か月に支払った自己負担額が高額となったときは、限度額を超えた分が高額療養費として支給されます。また、入院などにより、医療費が高額になる場合には、あらかじめ市町村に申請して「認定証」(限度額適用認定証または限度額適用・標準負担額減額認定証)の交付を受け、病院などの窓口に提示することで、窓口での負担を高額療養費の限度額までとすることができます。 (4) 出産育児一時金 国保の加入者が出産したときは、手続により出産育児一時金が支払われます。なお、死産や流産の場合でも、妊娠12週(85日)以上であれば支給の対象となります。 (5) 葬祭費 国保の加入者が死亡したときは、申請により葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。 (6) 移送費 医師の指示による、緊急的な重病人の入院や転院などの移送を行った場合、その移送にかかった移送費が支給されます。通常の通院にかかる交通費などは支給の対象外です。 注意  (2)〜(6)は、2年を過ぎると申請出来ません。 6 保険料(税)を納めましょう 国保に加入すると、保険料(税)を納める必要があります。保険料(税)は、みなさんの医療費にあてる貴重な財源です。必ず納期内に納めましょう。 (1) 保険料(保険税)の計算方法 保険料(税)は年度ごと、世帯ごと、年齢ごとに計算します。 @ 年度ごと  前年の所得をもとに計算。正しい保険料(税)の算定のためにも、忘れずに所得を申告しましょう。 A 世帯ごと 1世帯に対して保険料(税)を計算します。世帯に複数国保の加入者がいる場合でも、保険料(税)は まとめてかかります。 B 年齢ごと 年齢ごとで保険料(税)の内訳が変わります。 (2)保険料(税)の支払い方法 保険料(税)は、納期限までに納めましょう。主な納付方法は、以下の通りです。 @ 口座振替で納める  毎回の保険料(税)が、指定の口座から自動的に引き落とされます。納め忘れの心配がなく、安心で便 利です。 A 納付書で納める  市町村から送付される納付書を利用して、お近くの金融機関、郵便局、またはお住まいの市町村の窓 口で納めて下さい。なお、市町村によってはコンビニエンスストアで収納出来る場合もあります。 (3) 保険料(税)の精算 帰国される際や、日本の他の市町村に転出される際には、国保をやめる届出が必要(p4参考)ですが、同時に保険料(税)の精算も必要です。精算は、国保の加入期間に応じて計算されます。 帰国後に保険料(税)の精算が生じる場合   帰国のタイミング等によって、帰国後に保険料(税)の追加徴収および還付が生じる場合があります。その場合、日本にいる方に納付等の代理を行っていただきたいので、帰国の際には市町村で手続を行ってください。 (4) 保険料(税)を滞納してしまうと @ 督促状が送付されます   文書による督促が行われます。また、延滞金などを徴収される場合があります。 A 短期証や資格証明書が交付される場合があります   通常の保険証の代わりに、有効期間の短い短期証が交付され、さらに滞納すると資格証明書が交付されます。資格証明書で病院にかかった場合はいったん医療費の全額を支払わなければなりません。(後日保険給付分の払い戻しを申請できます。) B 財産が差し押さえられる場合があります   滞納分に充てるため、給与や預貯金・生命保険などの財産調査や差押えが行われることがあります。 上記の措置がとられる前に 保険料(税)の支払が困難になった場合は、お早めにお住まいの市町村の窓口にご相談下さい。 (5) 在留期間の更新に影響が及ぶ可能性があります 滞納状況が悪質だと判明した場合   高額な保険料(税)を未納してることや、長期に渡り未納していることなど、悪質な状況が判明した場合、在留期間の更新が許可されない可能性があります。 特定技能の資格で在留している方へ  資格更新には、社会保険の加入状況や国保料納付証明書の提出が必要になる場合があります (2019年4月から) 2019年4月から、特定技能の資格で日本に在留している方が在留期間の更新を行う時、社会保険の加入状況や国保料の納付証明書の提出が必要になる場合があります。更新の際には、必要に応じて忘れずに用意しましょう。