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最終更新日:2011年4月15日(金)

平成23年 職員に向けた仕事始めのあいさつ

平成23年1月4日(火)

北海道議会本会議場

 

 皆さん、明けましておめでとうございます。年末年始は、ゆっくりされましたでしょうか。また、年末年始にお休みを返上で最前線で勤務をされた方も多くいらっしゃると思います。本当にご苦労様です。そうした皆さん方には、感謝とねぎらいを申し上げたいと思う次第であります。

 

 さて、2011年の仕事始めに当たりまして、私の思いを皆様方に申し上げたい、このように思います。
 
  早いもので、私が知事に就任してから7年9か月の月日が経ったところであります。振り返れば、北海道に住んでいることが、国内外の人々の憧れとなるような、そんな北海道を創る、そのために全身全霊を捧げたいという思いから、北海道知事に就任をさせていただいて以来、常に、道民の皆様方が何を求め、そして本道の将来にとって何が必要かという視点に立ち、職員の皆さん方とともに新生北海道の実現を目指し、全力で駆け抜けてまいったと、このように考えているところでございます。

 

  懸命に乗り越えてきた課題の一つひとつに、それぞれの思い、深い思いがあり、様々な感慨も交錯するところでありますが、いずれにいたしましても、皆さんとか共に蒔いてきた新生北海道の種が各方面にしっかりと芽吹き、根を張ってきたと、その確かな手応えを感じているところであります。

 

 この間、ひたすら目標に向かい走ってこられましたのは、ひとえに、チーム北海道としての道職員の皆さん方の頑張りと力強い支えがあればこそと、このように考え、心から感謝をしているところであります。

 

  一方、2008年秋の世界同時不況で情勢は一変をしたと認識をしております。百年に一度と言われるその衝撃は瞬く間に世界中に広がり、世界経済は一気に冷え込み、景気後退は尾を引いているところであります。

 

  いま改めて振り返りますと、世界同時不況は、各国の社会・経済情勢や、内政・外交のスタンス、あるいは、世界経済の価値観や枠組みさえも変えてしまう程の大きなインパクトを持った転換点だったと実感をしています。

 

 いち早く回復軌道に戻り、世界経済でその存在感を増した中国をはじめとする新興国や資源国。また、輸出回復と拡大に向けた環境整備や外交交渉を急ぐ先進諸国。そして、株価下落と急激な円高で景気回復の足踏みが続く私たち日本経済。このような動きは、いずれも世界同時不況の文脈の上にあると、このように考えているところであります。

 

 経済の激震が続く中で、我が国でも政権交代が起こるなど、国内外の、政治情勢にも様々な変化が起こりました。

 

 急速に進む人口減少や社会の高齢化に加え、円高とデフレの影響や、国の公共事業予算の大幅削減などによって本道の経済は厳しさを増し、地域社会に様々な影響が出ているところであります。

 

 加えて昨年秋以降、突如として、TPP、あるいはロシア大統領の国後島訪問など、本道の将来を左右しかねない大きな問題も顕在化しているところであります。国における諸制度や政策の見直しが進む中、危機的な財政状況も相まって、産業・経済や安全・安心な暮らしに係る仕組みも揺らいでいるのではないかと、このように懸念をしているところであります。

 

 いま北海道は、こうした目前に迫った危機を乗り越え、その先の未来へと確かな道筋を付けていかなければならない重大な岐路に立っていると、このように私は認識をし、そして、その認識の共有を皆さん方と共にしていきたいと、このようにお願いをする次第であります。

 

 私の二期目の任期も残すところ3か月となったところでありますが、先ずは、「目の前の危機」をいかに乗り越えていくかという緊急的な対応に全力をあげること、このことが重要であります。そして、それと同時に、危機を乗り越えた先、北海道はどのように新たな時代を切り拓いていくべきかという中長期的な展望についても、その方向性をしっかりと構想していかなければならないと、このように考えているところであります。

 

  いま北海道が直面している危機を端的に申し上げれば、TPPや北方領土問題といった本道の将来を左右しかねない国の根本政策に関わるもののほか、新卒者や中高年者の方々の雇用不安、あるいは、地域経済を支える中小企業の経営難、そして、地域の安全・安心な暮らしに欠かせない医師の方々の不足などであります。

 

  こうした課題は、北海道だけ、我々だけでは解決できないことでありますから、本道の実情はもとより、我が国における本道の位置付けや、担っている役割などをしっかりと国に対して説明をしながら、道としての主張を強力に発信していくことが何より重要であります。

 

  一方、こうした緊急的対応と併せて、常に大きな時間軸で物事を捉え、その先を見ていくことも重要であります。約8年の任期を通じて、私自身訪れさせていただいた多くの地域で、数多くのかけがえのない「北海道価値」の存在を知ったところであります。そしてまた、道外、海外から北海道を見つめる機会を重ねる中で、今申し上げた「北海道価値」こそが今の時代が求めるもの、そして世界が求めるものであることを確信をいたしたところであります。

 

 北海道価値にこだわり抜き、北海道ならではの強みと資源、独自性に立脚した中長期的な対応を検討していくことこそが、新たな時代への対応の基本となるものと、このように考えております。

 

 そこで、現在、道では、北海道の強みである「食」「観光」「エネルギー」、そういった分野での、北海道価値を更なる向上に努めるとともに、本道の活性化とともに、我が国や世界に貢献していく取組として、「北海道モデル」を掲げ、その展開に努めているところであります。

 

 しかし、「青い鳥」の寓話ではありませんが、私たちは、直ぐそばにいる、私たち自身の「青い鳥」に、まだ十分に気がついているとは言えないのではないかと思うところもあります。

 

 北海道ならではの食や自然環境、エネルギーなどのほかにも、人の絆、アジアにおける地理的な優位性、北海道固有の歴史や文化などなど、数え切れない程多くの北海道価値が私たちの足元にあります。これが私たちの「青い鳥」だと思います。

 

 今一度、自らの足元をしっかりと見詰め、北海道価値を具体的な形にしていく取組が、私たちに求められているのではないかと、このように考える次第であります。

 

  こうした基本認識の下で、私たちはどのような姿勢で日々業務に臨むべきなのか、私の思うところを三点ばかりお話をさせていただきたいと思います。

 

  一点目は、「三つの目」を持つということであります。「三つの目」とは、複眼で様々な観点から注意深く見る「虫の目」、高いところから広い範囲を俯瞰する「鳥の目」、そして、川の流れや潮の満ち引き、時の推移を感じ取る「魚の目」のことであります。換言すれば、「虫の目」はじっと見つめる目、「鳥の目」は広く大局を眺める目、そして「魚の目」は潮の流れ、すなわち時代の潮流を見据える目だとも言えると思います。

 

  「地域や住民の思いの本質は何なのか」、「他の地域と比べて、この地域の強みは何なのか」、「私たちの目指す方向は時代の大きな流れに合っているのか」、そうした多角的な視点から、総合的に状況を見極め、柔軟な発想で行動をしていくことが大切だと思います。

 

 さて、二点目は「二つの道」であります。これはリスク・マネジメントの基本でもありますが、情報の収集や、対策を講じる際には、常に複数の「ルート」と「備え」を意識されたいということであります。

 

 私たち道庁には、道民の皆様方の生命・財産、暮らしを守るなど、行政として重要な任務と責務があります。同時に、「一つが失敗したから、それで全て終わり」というような安易な対応は許されないということを十分に理解しなければなりません。そして、そのために、常に不測の事態発生を想定して、二の矢、三の矢の対策を備えるなど、弾力的な対応や思考をもって、業務に臨んでいかなければなりません。

 

  三点目は、「一つの心」であります。これは、組織で情報を共有する、いわゆるナレッジ・マネジメントの徹底によって、人と人との和を強めることであります。

 

 難局を乗り越えるためには、道庁内の和、産学官の和、地域の和といった、「協働の和」という極めて重要なファクター、このことを認識しなければなりません。そのためには組織の風通しを良くして、職員同士のコミュニケーションを活発にし、それぞれが保有する情報や知識、ノウハウなどを不断に共有できる環境を整えておくことが重要であります。

 

  組織を人体に喩えるなら、コミュニケーションは血液の循環。血液の循環が、組織にとって欠くことのできないものであることは申し上げるまでもありません。

 

 常日頃から、職場・現場、庁内各部局の間はもとより、道全体、さらには、地域の皆さん方との「心」のキャッチボールを是非心がけていただきたいと思います。

 

  2010年は、新たな世紀・21世紀の「最初の10年」の最後の年でありました。2011年は、21世紀の第二ステージ、「新たな10年」がスタートする年でありますが、同時に、北海道開発庁が50年の歴史に幕を閉じて10年という節目の年でもあります。

 

 北海道開発庁は、2001年1月5日をもって廃止、国土交通省に統合されたところであります。これに先立つ2000年11月に開催された北海道開発審議会の席上、当時の審議会会長であった、当時、道経連名誉会長でもあった戸田一夫さんは、北海道開発庁に建議という形で意見書を出されております。

 

 その結びの一節は、道民に21世紀の北海道創造を促す異例のメッセージになっております。その一部をご紹介申し上げたいと思います。

 

 「21世紀においてどのような北海道を目指し、どういう方法でそれを構築していくのか、すべての道民が自らの問題として知恵を出し、議論し、目標を立て、行動を起こしていかなければならない。先達のフロンティアスピリットを想い起こし、背水の陣の気構えを持って取り組む必要がある。」

 

 この熱い思いに私たちはどのように応えるべきなのでしょうか。建議はさらに続きます。

「やるべきことは数多く、どれから手を着けて良いのか迷うかも知れないが、たとえそれがどんなに些細なことであっても、やるべきと考えたことは、今すぐに実践すべきである。それが自立への着実な第一歩となることを信じるものである。」

 

 いま、私たちの進むべき道の先には幾つもの試練が立ちはだかり、その先は容易には見通せないと、私は思います。しかし、視界不良な今だからこそ、自らたいまつを掲げ、北海道の可能性を信じて、日々前進をし、新しい未来づくりに挑戦をしていくべきではないか、私はそのように思います。

 

 例え、それが小さな挑戦であってもやるべきと信じたものは、今日今すぐにでも始めようではないかということを、戸田さんは渾身の力で呼びかけられたのだと、私は捉えております。

 

 他方、昨年10月、鈴木章北大名誉教授のノーベル化学賞受賞というビッグニュースが飛び込んでまいりました。受賞決定後のインタビューで、鈴木先生は、このように話されました。「自分の夢を大切にし、最後まで諦めないという気持ちが大事」、このようなお話であります。

 「諦めない気持ち」と「粘り強い努力」、そして「夢」を追い求める姿勢が、将来への不安を突き破り、偉業を成し遂げたのではないか、このように私自身は思っているところであります。

 

 夢と希望こそが、厳しい試練を乗り越える大きな力を私たちに与えてくれます。

 

  皆さん方の描く夢と、それを形にしていく行動力に期待をし、私の今年の、新年の、皆様方に対する仕事始めに当たってのご挨拶とさせていただきます。今年も皆様方と一緒に頑張ってまいりたいと思います。今年もよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。